色々なIF集   作:超人類DX

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またネタです。

前回とかの結合せいは無いです。



禍の団・内部危険因子排除部隊

 好きか嫌いかで言われたら……『まぁどうでも良いね』と俺は答える。

 ただ居場所として……己の立場上、敵対せざるをえないから俺は此方側に居る。

 

 ……。まあ、此方側も全体的に見れば一枚岩じゃなくて、色々と怠い小競り合いがあるんだけど、それを含めても『まあどうでも良い』である。

 

 理由は至って簡単、誰も彼も相手にする価値なぞ無い平等なるカスだからさ。

 

 

 

 修羅場……という言葉をよく耳にするだろう。

 男女関係の縺れだとか、血みどろの闘い前の極めきった緊張感だとか……日本語として使い方が正しいかは別にしても、こんな言葉をよく耳にする筈だ。

 

 それは実は存在する悪魔・堕天使・天使による会合の席に突如現れた者共によっても簡単に引き出されてしまう訳で……。

 

 

「ごきげんよう、現魔王のサーゼクス・ルシファー」

 

 

 駒王学園と呼ばれる高校に集まる天使お堕天使のトップの前で、現魔王にクーデターを仕掛けにやって来た旧魔王派なる団体の宣戦布告で修羅場は作られた。

 

 

「先代レヴィアタンの血を引く者……カテレア・レヴィアタンか。これはどういう事だ?」

 

 

 俗に言う、三大勢力会議の最中に現れた招かねざる客こと旧魔王派カテレア・レヴィアタンに、現魔王であるサーゼクス・ルシファーは僅かな殺気を放ち、目付きを鋭く不躾な客人に問う。

 しかしカテレア・レヴィアタンはかつての戦争で旧魔王を倒した新魔王として最強の悪魔の名を欲しいままにするサーゼクス・ルシファーの殺気に眉すら動かさず、何処か見下した表情で一礼をしながら口を開く。

 

 

「我等旧魔王派の者達は、これより『禍の団』に協力する事に決めました」

 

 

 育ちの良い貴婦人を思わせる出で立ちで一礼をしながら、サーゼクス達にとっては今しがた話題なっていたテロ組織……禍の団(カオス・ブリケード)にカテレア含む旧魔王派が付いた事を聞かされ、サーゼクスはピクリと頬を動かし、かつてカテレアを差し置いてレヴィアタンの称号を得たセラフォルー・レヴィアタンは罰の悪そうな表情となる。

 

 

「おっと? 新旧魔王サイドの確執が本格的になった訳か……あっはっはっはっ、悪魔も大変だなこりゃ」

 

 

 旧魔王派からによる現魔王派サイドへの宣戦布告。

 それはまさにクーデターであり、間違いなく他人事でしかない堕天使側トップのアザゼルと呼ばれる男はヘラヘラしながら茶々を入れている。

 

 

「カテレア、それは言葉通りと受け取っていいんだね?」

 

「その通りですサーゼクス。

今回の襲撃も我等が受け持ってます」

 

「クーデターか……何故そんな真似を?」

 

「知れた事ですよサーゼクス。

今日この会談で貴殿方が出した答えのまさに逆の考えに至っただけ。

神と先代魔王がいないのならば、この世界を変革すべきだと私達はそう結論付けました」

 

「オーフィスの野郎はそこまで未来を見ているのか?そうとは思えないが?」

 

 

 カテレアと口にするオーフィスなる言葉にアザゼルも、それまで見せていたヘラヘラした態度を引っ込めて口を挟み、我関せずだった天使側のトップであるミカエルが目を細めてフッと余裕な態度のカテレアを見据える。

 

 

「オーフィスは力の象徴としての……力が集結するための役を担うだけです。

彼の力を借りて一度世界を滅ぼてリセットし、もう一度再構築する。

そしてその後の新世界を私達が取り仕切るのです」

 

「……天使、堕天使、悪魔の反逆者が集まって自分達だけの世界、自分達が支配する新しい地球を欲した訳か。それのまとめ役が無限の龍神(ウロボロスドラゴン)のオーフィスって事か」

 

 

 あまりにも荒唐無稽な話を展開させる会議室内だが、誰しもがその話を笑い話とは取らなかった。

 こうして三大勢力のトップ達の会合を襲撃してきたカテレアの後ろにつく無限の龍神はそれほどに強大なのだ。

 

 

「カテレアちゃん!どうしてこんな!」

 

 

 簡単に言えば、世界を一回壊しますと真面目に宣うカテレア。

 そんな彼女に、浅からぬ因縁があるセラフォルー・レヴィアタンは、悲痛な面持ち問い掛けるがカテレアは寧ろセラフォルーを忌々しげに睨むだけだ。

 

 

「セラフォルー・シトリー……!

私から『レヴィアタン』の座を奪っておいて、よくもぬけぬけと言えますね……。

私が正統なるレヴィアタンの血を引いていたのに……私こそが魔王に相応しかったのに……それを貴女が!」

 

「カテレアちゃん、私は……」

 

「フン、安心しなさい。

今日ここで貴方を殺して私が新たな魔王となります。

オーフィスに新世界の神となって貰い、残りの『システム』や法、理念等は私達が構築する。

もはや貴方たちの時代は、ここで終わりです」

 

「待ってよカテレアちゃん! わ、私は!」

 

「話を聞く気はありません。偽りの魔王の言葉などね」

 

 

 

 とりつく島無し。

 レヴィアタンの血を引きながら、シトリー家でしかなかったセラフォルーに魔王の座を奪われた恨みは深く、どうにかしたいセラフォルーの言葉を切り捨てるかの様に言い伏せたカテレアは、最早話す舌は無しとばかりに視線を逸らし、グデーっと椅子に座って傍観していたアザゼルに向かって口を開く。

 

 

「さて、くだらない話は此処までにして、堕天使総督・アザゼル。貴方には我等の味方になって貰いたい」

 

「「「「!?」」」」

 

 

 それは紛れもない勧誘であり、態度は別にして三大勢力トップの内の一つを堂々と勧誘し始めるカテレアにアザゼル以外の者達の表情が一気に強張る。

 

 

「あ? どうして俺なんだ? サーゼクスとかの方が真面目だろうと思うが」

 

 

 しかしながら何処か緊張感が抜けており、アザゼルの自虐な一言に全員がうんうんと頷く。

 しかしカテレアは首を横に振ってそれは違うと勧誘する理由を説明し始めた。

 

 

「いえ、サーゼクスは確実に仲間にはならないでしょう。

今の魔王としては、私達を見逃すわけにはいかないでしょうし。

ですが貴方は墜ちた理由さえ除けば立派な人材です。

カリスマがあり、同族だろうと容赦なく罰する。また、未来ある者達を見抜く目もある。そ

して、神器にも深い造詣を持つ……本当に欲しい存在なのですよ」

 

「……ほう、そうかい。そいつは興味が湧くねぇ」

 

 

 勧誘の為の常套句だと分かってるが、三大勢力トップの中であまり信頼が無いアザゼルとしてはちょっぴりいい気分であり、シラーっとしたミカエルのチクチクした視線をスルーしながらニヤニヤと聞いている。

 

 

「では、仲間になってもらえませんか?

正直な所、新しい世界での神器に当たるものの研究は貴方が中心となって進めていきたいのです」

 

 

 しかも自分が夢中になってる神器にかんする責任者として迎えたいとまで言われた。

 ハッキリ言って聞いてる限りだとメリットだらけな話だったが、ニヤニヤ聞いていたアザゼルはそんなカテレアの勧誘を……

 

 

「んー悪いがやめとくわ。

確かにお前達の誘いは魅力的だけどよ、個人的には今のサーゼクス達に乗った方が楽だ……争いに使う時間を俺は研究に使いたいしな」

 

 

 無理な争い、平和になって研究に没頭できる時間を考えた結果、今のままの方が良いという判断を下したアザゼルはあっさりとその勧誘を蹴っ飛ばすのであった。

 半ば予想通りな答えだったカテレアとしても、驚く事でも無く『そうですか、なら決裂ですね』と小さく呟くと、一気に殺意を剥き出しにし始めた。

 

 

「ふむ、それなら挨拶程度ですが此処等一帯を消し飛ばしてしまいしょうか。

既にお気付きでしょうけど、外には数百の同胞が暴れてがっていますのでね」

 

 

 ニヤリと……整った容姿ゆえに見栄えがある薄い笑みを浮かべて話すカテレアに、サーゼクス達も殺気を強くさせる。

 

 

「させると思うかい?」

 

「ええ……そうでなければ何の策も無しに貴殿方の前には姿を見せませんから」

 

 

 それはまさに戦争。

 少し前に堕天使による聖剣事件による戦争を何とか回避したというのに、間も無く訪れてしまったテロ組織からの宣戦布告。

 カテレアの言うとおり、外から感じる数百の気配も間違いなし……。

 

 これからまた学園で戦いが始まる……宣戦布告をしたカテレアも、された三大勢力のトップ達の誰もがそう思っていた――

 

 

 

 

 

 

「まーったく、後ろ楯を獲た瞬間に調子こきおってからに。

よくもまぁ、こんなくだらん事をしてくれたね」

 

 

 まさにその時だった。

 

 

『っ!?』

 

 

 音も無く、気配もまるで無い。

 ただただ初めからそこに居たのでは無いかと、歴戦の戦士達やその者達の殺気に動けずにいた若き悪魔達が錯覚してしまうほどに何も感じる事無く聞こえる男の声に、全員がその場で身体を強張らせた――カテレアをも。

 

 

「がっ!?」

 

『!?』

 

 

 何があったのか、何でそうなったのか。

 それは一体何時から『そうなって』いたのか……。

 聞き覚えの無い青年の声が会議室の扉から聞こえ、全員が振り向いた時には誰も居ない。

 声は聞こえど姿の見えない新たな侵入者に、全員がカテレアから意識を外して辺りに気を配る。

 だが声の主の姿は見えず、代わりに聞こえたのはサーゼクス達の座る席の真ん中で宣戦布告をしたカテレアの何かを吐き出す呻き声と身を貫く鈍い音。。

 

 

「だから俺がこんな所に来た……つまりこのままさようならって事」

 

「ぅ……ごほっ!?」

 

 

 まるで見えない……気付けない。

 歴戦の者達はただ翻弄されるがままに再びカテレアの方へと視線を向け……そして驚愕する。

 

 

「あ、あなた……は……!?」

 

「よぉ、知的なおねーさん? 身勝手な行動の罰の時間だよ?」

 

 

 帽子を深く被り、サングラスを掛けた声変わりが完了した……まだ成人を迎えてるかどうかも怪しい少年が、血を吐いて噎せてあびてるカテレアの背後に立っており、彼女の背中から胸を手刀で貫いているのだから……。

 

 

「カ、カテレアちゃん!?」

 

「な、なんだと……!?」

 

「お、おいおい……」

 

「……!」

 

 

 その有り様にトップ達の表情は驚愕に染まりきっており、自身の背中から胸元を貫いた真っ赤な腕から目だけを背後に立つ男に向けるカテレアは口からあふれでる血を吐き出し続ける。

 

 

「な、なぜ……!?」

 

「何故だって? おいおい、その質問はこっちがしたいくらいだなカテレア・レヴィアタンさん?

オーフィスは言った筈だぞ――『新世界なんて興味無い』ってさ……」

 

「ぐぎぃぃぃぃ……!!?」

 

 

 焼け付く様な激痛にカテレアは先程までの余裕を手放して痛みに声を張り上げる。

 だけど男はそんなカテレアに慈悲を見せず貫いた腕を抜きながら口を開く。

 

 

「だからわざわざアホな茶番をしようとするアンタ等を止めに来たんだよ……。

残念だけどオーフィス自身の目的は果たしちゃってるからねぇ……つーか種族間の騒動くらい自分(テメー)達で片付けてたらどうよ? あ、もう死ぬから意味無いか??」

 

「そ、そん……な……」

 

 

 崩れ落ちるカテレアに口許を歪ませた笑みを見せて送り出すのだった。

 

 

「あーちきしょう、取り締まっても取り締まってもキリが無いぜ最近は」

 

「…………。誰だい?」

 

「カ、カテレアちゃん……そ、そんな……」

 

 

 唐突過ぎる展開に、唖然としたサーゼクス達は即座怪しすぎる出で立ちの男に殺気を向けながら何者かと問う。

 すると、『あーぁ』と面倒そうに腕に付着したカテレアの血を払っていた男は面倒そうに首を傾けると……。

 

 

「えっと、そうだね……『その昔両親を悪魔にぶち殺されて一人だけ生き残った只の人間』と言えば良い?

いやそれとも、『堕天使に妹をズタズタに惨殺された兄貴』ってな方が燃える設定になるかな?」

 

 

 怠そうに、常人なら声すら出せない三竦みからの殺気を鑢で逆撫でするような答えになら無い答えを男はヘラヘラした態度で返すだけだ。

 

 

「答える気は無いみたいだね?」

 

「答えるつもりが無いというか、君達に名乗ったって意味も無いと云うべきか……」

 

「カテレアちゃんを殺しておきながら名乗る意味がないわけ無い……!」

 

「そうだな、カテレア・レヴィアタンを俺達の目の前で殺しておきながら名乗るほどの者じゃねぇなんて通用しねぇぞ人間?」

 

 

 サングラスに帽子という不審者丸出しスタイルでサーゼクス達に囲まれて殺気を向けられてる男は、其々の言葉を受けても平然としたまま――いや寧ろ喧嘩を売るが如く口許でニタニタと何もない左腕を見せつけながら笑みを浮かべてこう返す。

 

 

「はいはい、じゃあ言うさ。

うちの組織を勝手に名乗って勝手に種族同士の争いを起こそうとした契約違反者を罰しに来た只の仕置人で――」

 

 

 濃度が尋常じゃない各勢力最強の者達からの殺気を愉快そうに受け続ける男はヘラヘラと笑いながら――

 

 

「『これ』を見れば只の人間じゃないことくらいわかるかな?」

 

 

 その界隈では有名なソレを出現させる事で名前の代わりに記憶に刻ませんと、左腕を大袈裟に挙げると共に、淡い光を発しながら出現した真っ赤な籠手らしきモノを見せ付けた瞬間、三大勢力のトップ達――特にアザゼルの表情は一気に強張る。

 

 

「その紋章……赤龍帝の籠手(ブースデッドギア)かっ……!」

 

「何だって……!?」

 

「ということは赤龍帝……!」

 

「はい正解」

 

 

 アザゼル、サーゼクス、ミカエルが男の左腕に出現した籠手を見て再び驚愕する。

 

 

「まさか禍の団に赤龍帝が居たとは……」

 

「無限の龍神に赤い龍かよ……」

 

 

 赤龍帝の伝説は三大勢力のトップ達もよく知る話であり、それがテロ組織のメンバーだった事実に顔を曇らせている。

 

 が、そんな中を……三大勢力のトップ達とは違う意味でその表情を驚愕に染める一人の少年が居た。

 

 

「な……なっ……!?」

 

 

 少年の名前は兵藤イッセーは。

 サーゼクス・ルシファーの妹であるリアス・グレモリーの下僕悪魔として転生し、ついこの前起きた聖剣事件の解決にもっとも功績が大きかった神滅具を持つ少年。

 

 その少年が何故男の腕に出現した赤龍帝の籠手を見て驚愕しているのか。

 それは少年の誰にも言えない過去があるからであり……。

 

 

「それじゃあ、三大勢力様、俺達は別に争うつもりはございませんのでこれにて――」

 

「っ……逃がすか!!」

 

「おわっ!?」

 

 

 立ち去ろうとする男にアザゼルが放つ小さな光弾を打ち放ち、それを避けた男の帽子とサングラスが外れ……露になる容貌がこの場の全員を更に驚愕させる。

 

 

「え、イ、イッセーもう一人……?」

 

「ど、どういう事だこれは?」

 

 

 突如現れた赤龍帝の男の容姿は、口を出せず黙って展開通りだとほくそ笑んでいたイッセー少年と……。

 

 

「げ、ド○キで買った変装グッズが壊されたし……」

 

 

 あまりにも似ていたからだ。

 イッセー少年の主であるリアスも、少々有名となってイッセー少年の顔を知る三大勢力のトップ達の誰もが、イッセー少年と似すぎてる赤龍帝の少年から目が離せずに居た。

 

 

「だから俺は嫌だって言ったのによ……あーぁ……」

 

 

 その中を赤龍帝の少年はただただ……面倒だと思いきり態度に出しながらガシガシと髪を掻くと……。

 

 

「チッ、タダでは逃がしてくれそうも無いし……やるぞドライグ」

 

『サービス残業って奴か、フッご苦労な事だ』

 

 

 暗殺者の様な冷たい殺気と射抜く様な目付きへと変貌させた赤龍帝は、淡く輝く籠手から聞こえる声と一言言葉を交わし……

 

 

『Boost!』

 

「小手調べと行こうか……三大勢力と+α!!」

 

 

 内に秘める性質を一気に剥き出し、身構える強者達に戦いを挑むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 禍の団(カオスブリケード)……。

 それは元々、無限の龍神ことオーフィスが故郷に引き込る為に邪魔な夢幻の龍神を倒す仲間を集わせる為に作った組織であり、テロ組織ではない。

 だが、基本的にボーッとしてるオーフィスに統治なんて出きる訳もなく、気づけば数が増え、気づけばオーフィスの名を使って悪いことをする連中のせいでテロ組織扱いされてしまっていた。

 

 が、それでもオーフィスを真に理解する者達はちゃんとおり、オーフィス自身の考えもその理解ある者達との日々さえ守られればそれで良いと切り替わってる事を禍の団の多くのメンバーは知らない。

 

 

「一誠さま……遅いですね」

 

「オーフィスの名を使いまくる旧魔王派を止めに行くって言ってたからにゃー……それにしても遅いけど」

 

 

 禍の団には多くの派閥がある。

 旧魔王を信仰する悪魔達の旧魔王派。

 英雄の名前を継ぐ英雄派……等々と種族の違いの弊害によって自然と組織内で派閥が作り上げられる中、只今禍の団のアジト内にある質素な部屋のベッドに並んで座りながら、誰かの帰りを待つ二人の少女は派閥には所属していない。

 

 いや、強いて言うなら――

 

 

「これでエロ本読みながらダラダラ出来るぜ……うぇっへへへ」

 

「あ、一誠が帰って来たにゃ!」

 

「一誠さまぁ~!!」

 

 

 禍の団……赤龍帝チームといった所か。

 数時間前、人間界の学校の会議室で三大勢力トップ+αに晒したくも無かった素顔を晒して驚愕させた赤龍帝の少年をリーダーとした少数精鋭チームに少女二人はほぼ勝手に名乗って所属し、今もまたアジトの個室に帰って来た兵藤イッセー少年そっくりな顔をした一誠少年を熱烈にお出迎えする。

 

 

「遅かったね、何処で道草くってたの?」

 

「ずっとお部屋で待ってました!」

 

「おっとと、黒歌とルフェイか……」

 

 

 人間でありながらオーフィスと同じ無限を覚醒させ、人間でありながらオーフィスの宿敵である夢幻を覚醒させた当代最強の赤龍帝であり、一誠と呼ばれる少年は飛び掛かってくる少女二人の身をよろけること無く受け止め、『あ、まずい……買ったばかりのこのエロ本隠さないと燃やされる……』と内心戦々恐々としていた。

 

 

「いや、オーフィスの名前を使って余計な事をしようとする輩を仕置きしに行った――――までは良かったんだけど、その後素顔見られて面倒な事に……」

 

「あ、もしかして一誠さまを名乗ってる……」

 

「そうそうそれ……ちょっとした拍子にバレちゃって、顔がまんま同じだから大騒ぎでね……。

適当言って退散するのにちと時間が……」

 

「それはまた災難だったにゃん」

 

 

 引っ付く二人をベッド座らせ、鬼のような速さで仕入れたエロ本をその下に隠しながら、何故か懐いてくる二人の美少女に帰りが遅くなった理由を話すと、黒歌なる少女とルフェイなる少女は察した様な表情で部屋の隅に置かれていた小さな椅子に座る一誠を見つめている。

 

 

「オーフィス様からのお仕事はもう無いのでしょうか?」

 

「ん、暫くは内部に蔓延る違反者を取り締まる仕事かな……。ったく人使いの荒い似非ロリだぜ」

 

「オーフィス自身が信用できるのが直属部下の私達だけだら仕方ないにゃ」

 

「なんだよな……ここ十数年で人員増えすぎだっつーの」

 

 

 シュワシュワとコップに注がれる炭酸飲料を煽りながら赤龍帝の少年――一誠は最近勝手に禍の団を名乗る連中の多さに辟易とした様子である。

 勝手に名乗るのもそうだが、オーフィスの言うことすら聞かずに勝手に行動する連中の多さもここ数年多くて叶わない。

 

 最もオーフィスから信頼される一誠達赤龍帝チームは内部に蔓延る危険因子の廃除が主な仕事なのだ。

 

 故になのか、過去が原因による一誠の他人を中々信じない癖に寂しがりやという矛盾した性格が理由なのか……赤龍帝チームは他の派閥以上に少数でありながら何処よりも互いの信頼関係が異常なまでに強かった。

 

 

「皆殺しの神滅具を持つ兵藤イッセーはどのタイミングで消すべきか……。

『あらゆる種族の有利となる力で殺す』って神器を持ってるのもそうだけど、師匠の言ってた『原作知識』ってのがもっと脅威なんだよな」

 

「あの方曰く、会ったこともない私のことも黒歌さんの事も知識というので知ってるんですよね……なんかモヤモヤします」

 

「向こうが一方的に知ってるってのも変な気分……白音が心配だにゃん……」

 

 

 互いの抱える過去も共有する……。

 

 

「うん、もうやめだやめ! 何時かチャンスは来るし、今は現在(イマ)を面白おかしく生きようぜ」

「……はい!」

 

「……うん!」

 

 

 それが他には無い『本来の一誠』の持つ繋がりだ。

 

 

 一誠

 種族:人間

 所属:禍の団・オーフィスが最も信頼を置く赤龍帝チーム。

 

 備考・・同じ顔を持つ存在から全てを奪い返そうとする能力保持者と神滅具のハイブリッター

 

 赤龍帝の籠手(ブースデッド・ギア)

 無神臓(インフィニットヒーロー)

 幻実逃否(リアリティーエスケープ)

 

 

 

「ちょっとオイ! クッソ狭いのにわざわざ一緒に寝るとか……!」

 

「くっつけば大丈夫にゃん」

 

「そうですよ一誠さま。今に始まった事じゃないですし」

 

「だけど……あふ!? ちょ、おい! ど、何処触って……ああぁ……プニプニ押し付けるなよぉぉぉ……そんなくっつくられるとヤバイからぁぁぁ……!」

 

「「♪」」

 

 

 追加備考・夢言遣い。

 

 

終わり。

 

 

「む……一誠から知らない女の匂いがする……」

 

「……。ホントです……一体誰の……?」

 

「え……これはアレだ、仕事帰りに現役女子高生をナンパしようとして、多分その時軽くボディタッチとかしたから――――

 

「「………」」

 

「え、なにその目? 良いじゃん……俺もう17なんだぜ?」

 

「「…………」」

 

「ちょ、ちょっとその刺す様な目しないで……何か心が痛いから……!」

 

 

 

終わり




補足

何気にシリーズ初登場なるルフェイさん。
……。出す意味あったか? ってなりますが出してみたかった……それだけです。

禍の団はある意味原作より内部的にグラグラしてますが、ある意味オーフィスさんにとっては寂しくならない人材も極少で集まってるので、彼等との繋がりだけはものっそい強いです。

+名誉顧問的なポジションにおのお方ががが。

え、黒歌さん? ……。本編よりまだマシですが、本編一誠を震撼させたあのスキルはちゃんと持ってるのでイタズラし放題という。


ちなみに、赤龍帝チームの特徴として『神器を持つ者持たぬもの拘わらず、異常なまでの仲の良さと能力(スキル)を全員発現させている』というものがります。


一誠くんの正負のスキルとか。
黒歌さんの安察頑望(キラーサイン)とか。


そして……ルフェイさんの???とか。

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