色々なIF集   作:超人類DX

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本編とはまるで関係ないけど類似した設定……で、お送りします。

※修正と加筆をしました。


イカレ神父? と堕天使お姉さん

 悪魔をぶち殺す事が使命。

 物心が付いた時からそう教えられ、大人達のエゴを押し付けられた少年にとって、善悪感情は完全に欠落していた。

 しかし少年にとって消滅対象である悪魔よりも嫌いなのが、自分を無理矢理この道に捩じ込んでくれた神信者連中であり、何時からかはぐれ悪魔祓いとなっても、何時か『始末』してやろうと日々天賦の才を磨き続けるのが生きる動機となっていた。

 

 肉親を知らず、ただ目の前の存在を滅する戦闘マシーンに仕立てた連中達に対する復讐の為に……。

 

 

「へいへいへい、人間様の生活の邪魔をするクソ悪魔はとっとと消滅しまいなアーメン!!」

 

 

 天賦の才の他に持っていた才の為に、人権すら無視してくれたゴミ共を必ず殺すため……。

 

 

「へいボスゥ! 今日も小汚ねぇクソ悪魔を5匹程バラチョンにしたぜぃ!」

 

「勝手にフラフラと何処に行ったのかと思えば……遊びは程々にしろと言った筈だぞフリード」

 

「いやー 身体鈍らせるといけねぇと思いまして……へへん」

 

 

 そして、自分を拾って此処まで引き上げてくれた堕天使への恩を返す為。

 狂気のはぐれエクソシストであるフリード・セルゼンは、今日も元気に悪魔を滅する日々を謳歌し、とある理由で死にかけた自分を拾ってくれたボスと慕う堕天使に戦果を報告するのであった。

 

 

「怪我は無かったのかフリード?」

 

「勿論無いぜボス。どれもコレも雑魚で剣すら使う必要も無かったもんね」

 

 

 はぐれエクソシストことフリード・セルゼン。

 教会所属の元エクソシストである彼は、余りにもやり方に問題があり、巷ではイカレ神父だ何だと言われてるが本人は全く否定しない。

 理由は簡単に、イカレ神父だと宣ってる相手が元同僚である教会の信者で、フリードにとっては実の所悪魔と同等に教会連中――もっといえば信者達を尤もらしい言葉で巧みに操る天使達が大嫌いで、そんな連中達にイカレぽんちと自分を警戒してるのが愉快で堪らなく、言いたければどうぞと好きに言わせてる訳だ。

 

 

「相手が弱いからと油断する癖はまだ直せん様だな……」

 

「う……い、いやー……。

一応殺る前は戒めてるんですがねぇ……あひゃひゃ☆」

 

「まったく……」

 

 

 故にフリードは本来なら敵対種族である堕天使の下に付いており、死にかけた自分を拾ってくれ、只今呆れた様子を見せる堕天使の中でも最上級クラスの力を持つコカビエルから力の使い方から何からを教えられており、今もまた自分の抜けきれない『慢心』を指摘されて目を泳がせながら乾いた声でケタケタ笑っていた。

 

 

「偶々オレがあの時死にかけてたお前を拾ったから助かったものを、もう少し敵に対する『怯え』を持てフリードよ」

 

「はいなボス……すいませーん」

 

 

 何時もの様に狩る筈だった敵が思いの外強く、返り討ち処か絶命寸前まで追い込まれた時に、満月をバックに6対12の漆黒の翼を広げながら現れた堕天使・コカビエルの姿は、今でもフリードの記憶に鮮明と焼き付いている。

 

 降り立ち、重症の――それもコカビエルからすれば単なるちっぽけな人間でしかない自分を拾って介抱し、あまつさえ戦闘技術までも叩き込んでくれた師匠とも言うべき恩人。

 自分の人生を滅茶苦茶にしてくれた連中への復讐心を持つ事を知っても何も言わず、封印していた力の使い方すらも丁寧に教えてくれた、堕天使とは思えない面倒見の良さを持つコカビエルに、やれイカレ神父だ異端者だ実験体だと腫れ物を見るような目を向け続けられたフリードにとっては、記憶に無い肉親を想うそれに近い感情を芽生えさせるに十分だった。

 

 

「話は変わるがフリード。

例の聖剣狂いの男の話だが……」

 

「はいな」

 

 

 だからこそコカビエルのすることに付き従うフリードは、それまでの呑気な雰囲気を引っ込めて話をすコカビエルに合わせて声を低く、ふざけた態度も潜ませ耳を傾ける。

 

 

「どうやら奴はオレの力を借りて聖剣を奪いたいらしい」

 

「へぇ……バルパー・ガリレイが?」

 

「あぁ、聖剣計画とやらの当時の中心人物で、今はお前と同じく異端者として追われてる男だ」

 

「………」

 

 

 転々と居を移す生活をする二人が今根城としているちょっと高級なホテルのソファに座って話すコカビエルの言葉にフリードは目を細めて聞く。

 バルパー・ガリレイ……そして聖剣計画。

 どちらも教会側の人間にとっては黒い歴史の一部であり、フリードもその名を『よーく知っていた』。

 

 

「オレとしてはお前の事があるから話だけしか聞いてないが、どうする?」

 

「俺はボスの意向に従うだけですぜ。バルパー・ガリレイについては『覚えてません』のでね」

 

「そうか……」

 

 

 意味深に覚えてませんを強調するフリードにコカビエルはソファに深く背を預けながら天井から照らす照明に視線を移す。

 かつて堕天使・天使・悪魔による三つ巴の戦争が泥沼化した結果、三大勢力と呼ばれるこの三つの種族の数は激変し、TOP達も戦争をする気は既に失われている。

 

 

「なら一つ、奴を利用して三大勢力に火種を送り込むか……」

 

 

 理由は分からないでもないが、戦いこそが生き甲斐であるコカビエルからすれば消化不良の何物でもない退屈な現在は堪えられないものがあり、だからこそ自身が所属する堕天使陣営をほぼ抜ける形で飛び出し、少しでも良いから血肉踊る戦いの日々に戻そうと、日々虎視眈々と機会を伺っていた。

 

 

「フリードの復讐にも繋がるだろうし……やる時が来たようだ」

 

「ということはボス?」

 

「あぁ――」

 

 

 そしてその時はやって来た。

 聖剣狂いの異端神父が持ち込んだ話を起爆剤に、ぬるま湯に浸かる三大勢力に渇を入れる時が……。

 

 

「暴れるだけ暴れるぞフリード……勝っても負けても後悔の無い喧嘩の時間だ……!」

 

 

 ソファから立ち上がり、口を歪めた笑みを浮かべながら遂に舞い降りた闘争の火種を大きくすると、同じく歪んだ笑みを見せるフリードに告げると、コカビエルはその背に漆黒の翼を広げて見せる。

 その出で立ちと威圧感はまさに、歴戦を生き抜いた堕天使そのもの。

 戦争が終わり、三勢力共が疲弊した事もあって戦う事を億劫がる中でも『戦う』事しか知らないが故にひたすらに己を高め続けてきたコカビエルの力は過去とは別次元の位置にあり、まだそのほんの一部であるものの叩き込まれたフリードもまた強くなっている。

 

 

「来たぜ……やっと暴れられるんだなボス!」

 

「あぁ、オレ達の力を知らしめる時が来たんだ。

分かってるとは思うが、決して気を抜くなよ!」

 

「りょーかい!」

 

 

 だからこそフリードは口先だけではないと身を以て教えてくれたコカビエルに地獄の果てまで付いて行く決心を決めている。

 

 

(漸く来たぜ……!

薄汚いゴミ共を斬り刻む時がなぁ……!)

 

 

 全ては自身の過去へのケジメの為に……。

 先の小競り合いで喪ったばかりの左目と、遠い昔から無くした気持ちを胸に、フリード・セルゼンは抱える狂気の全てを解放しながら、ボスと慕う堕天使の背を追い掛けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その伏線は張った、計画の為の準備は万端。

 後は管理だか何だかを任されてるからは知らないけど、街を横行する悪魔共を皆殺しにする。

 

 ボスと慕う堕天使に命じられたフリードの仕事は主に、コカビエルへ協力を扇いできた初老の異端神父の言うことを『馬鹿のフリ』をして何でもかんでも聞き、言われるがままに貸し与えられた七本の内の聖剣の一つを手に、悪魔相手に暴れることだった。

 

 

「ああっ!? んだこの気色悪いモンは!? 切れねぇぞオイ!」

 

「今だ木場! やっちまえ!!」

 

「魔剣創造!」

 

「クソがぁぁっ!!」

 

 

 聖剣に恨みのある青年を煽り、何故か悪魔に協力的な元・同僚と小競り合い、やっぱりしゃしゃり出て来てくれた……因縁のある赤龍帝や只今自分を拘束した見慣れない悪魔にわざと合わせてピンチのフリをしたり……。

 

 

「何をしてるフリード」

 

「んぁ、バルパーの旦那? いえいえ、見ての通りウゼーコレが切れんのですよぉ!」

 

「黒い龍脈……? ふむ、なら聖剣に込める因子を強めてみろ。そうすれば造作も無く斬れる」

 

「む……お? マジだ」

 

 

 聖剣に関してまるで無知だという振りまでしてバルパーの姿を奴等に見せ、完全に相容れない者だと分からせるついでに金髪悪魔の復讐心を更に煽る。

 これがフリードの道化ともいえる仕事だった。

 

 

「バルパー・ガリレイ……!!」

 

「む、悪魔祓いが悪魔と結託してるだと? 随分と珍しい有り様だが、どうやら形成は此方が不利の様だな。

フリード……引くぞ」

 

「へいへい、そゆわけで勝負はまた今度っつー訳でサイナラ~」

 

 

 バルパーから渡された天閃の聖剣のみで複数の悪魔達相手に一人立ち回ったフリードは、バルパーの言葉に従って持っていた煙玉を投げてその場から去る。

 ちょっとばかし因縁のあった赤龍帝の少年……そして聖剣に並々ならぬ恨みを見せていた少年とフリードにとってすれば文字通りの遊びを終えた後の感想としては……『この程度か』というレベルであり、コカビエルに言われた通り油断はしないつもりでいるものの、負ける気は一切感じないと悟りつつ、バルパーを抱えながら敬愛するボスの元へと帰る。

 

 

「ただいまーボス」

 

「フリードとバルパーか。首尾はどうだ?」

 

「バッチリだぜボス! この分じゃ向こうから聖剣引っ提げて俺達を排除しようとするだろうぜ」

 

「そうだな、その時こそ奴等が確保している聖剣を奪い、私の悲願を……ふふふふ!」

 

 潜伏場所に使ってるホテルで優々と本を読んでいたコカビエルに嬉々として話すフリードと、もう目の前まで迫っている悲願を前に我慢ならないと身体を震わせるバルパー・ガリレイに、本を閉じたコカビエルは一つ頷きながら立ち上がる。

 

 

「よし、それなら次は儀式に使う場所の確保だな。オレ――こほん、私としてはリアス・グレモリー達が使ってる学舎なんかが調度良いと思っているのだが……」

 

「おお、それなら聖剣を抱える奴等も簡単におびき寄せられる……私は賛成だ!」

 

 

 既に悲願である聖剣の再融合の夢を叶えた気でいるバルパーが、一人称を言い直しつつ出した提案に二つ返事で同意しながら、落ち着き無く部屋内をウロウロ歩き、横でバレないようにシラけた目で見ていたフリードも特に意を唱えるつもりが無いので『ボスの判断に従うぜ』と頷いて見せる。

 

 それを見たコカビエルはコキンと首の関節を鳴らし、協力者のバルパーと右腕のフリードを従え……。

 

 

「よし、それならこれより駒王学園の確保を行う」

 

 

 十二分に自分達の存在がリアス・グレモリー達に害を為すと知らしめるという土台を作り終えたコカビエルは動き出した。

 そして……。

 

 

「ごきげんよう、リアス・グレモリーとその仲間達……」

 

「っ……! コ、コカビエル……!?」

 

 

 あっさりと駒王学園を占拠したコカビエル達の作戦は最終段階へと入る。

 

 

「え、こ、これがコカビエル……?」

 

「ん? あぁ、お前がフリードの言ってた赤龍帝か」

 

 

 無駄な殺生を避け、学園に通う人間達が居なくなった辺りを狙って行った学園占拠。

 てっきりリアス・グレモリーの留守の代わりにソーナ・シトリーが現れるのかと思っていたのだが、何故か彼女共々悪魔が居なかった駒王学園を、奪った聖剣の融合儀式の場として占拠したコカビエルとフリードとバルパー。

 

 ちょっとだけ拍子抜けはしたものの、結局の所は魔王の妹二人をおびき寄せれば良しと、学園のグラウンドに聖剣融合の儀式の下準備をバルパーに任せ、コカビエルとフリードは『挨拶』の為に、赤龍帝の少年の家に集まっていたリアス・グレモリーとその眷属達の前姿を見せ、漆黒の翼を広げながら姿を見せ最上級堕天使としての威圧感を放って、気圧される悪魔メンツを見下ろしている。

 

 

「ふむ、赤龍帝なぞに今更興味は無いが、リアス・グレモリーの下僕なら無視は出来んだろう。オレ――じゃなかって私はコカビエル。

まぁ、見ての通り只の堕天使だ」

 

「え、あ……ど、どうも……」

 

 

 その中には、リアスの眷属となった赤龍帝の少年が目を丸くして自分を見てる気がするが、正直、歴代の赤龍帝と、それと対を為す白龍皇の何人かと戦って勝利しているコカビエルにとってはどうでも良かった。

 然るに、魔王の妹の下僕である以上無視も出来ないし赤龍帝の力はよく知ってるつもりだったコカビエルは、下級の下僕悪魔にも挨拶をし、赤龍帝の少年は『余りにも予想してたコカビエルの出で立ち』と違いすぎる展開に出鼻を挫かれた思いでペコリと頭を下げてしまっている。

 

 

「イッセー! 敵に何頭を下げてるの!」

 

「あ、す、すいません部長!」

 

 

 結果、敵に頭まで下げて赤龍帝の少年は叱られてしまう姿を、前に下級堕天使の勝手な行動による小競り合いの時に会ったとフリードから聞いていたコカビエルは、フッと笑みを溢す。

 

 

「ふふ、最近下僕になったみたいで私をあまり知らんみたいだし、そんなに言ってやるなよリアス・グレモリー?」

 

「ぐっ……ず、随分と余裕ね……!」

 

 

 自分の下僕を庇うように口を挟むコカビエルに反応して睨みながら嫌味を飛ばすリアスに、コカビエルの傍で聞いていたフリードがニタニタしながら口を開く。

 

 

「事実だろ? テメー等クソ悪魔が束になったってボスにゃあ勝てねーんだからよ♪」

 

 

 弾んだ声で……まるで自分の事のようにコカビエルとリアス達の差を突き付けるフリードは実に楽しそうであり、それを聞いていた怒られ赤龍帝の少年は、浅いようでそうでもないフリードとの因縁もあってキッと睨みつける。

 

 

「フリードてめぇ!! さっきはよくも逃げやがったなこの野郎!」

 

「おうおう、さっき振りだなクソ悪魔……と、完全に悪魔に堕ちた聖女様(笑)さんよぉ!」

 

「っ……フ、フリード神父……!」

 

 

 以前出会した因縁のある者同士+堕ちた聖女と呼ばれた少女との間から展開される平和じゃない空気を横にコカビエルは、此処に来た理由を行うためにリアスへと視線を向ける。

 

 

「ここ数日、オレの――いや私の同士達の動きを把握してる貴様にはもう分かってる事だろうが一応言っておこうか。

私達はこれから奪った聖剣を融合する儀式を行う。その儀式の余波でこの街は吹き飛ぶだろうが……止めたければ向かってこい……余興として遊んでやる」

 

「な、なんですって……!?」

 

 

 ニタリと笑みを見せるコカビエルにリアス達は焦る。

 聖書にも載る大物堕天使としての確かな実力を持つコカビエルがこう言ってる時点で本気なのだろうと確信できてしまうからだ。

 

 

「そんな真似をすれば確実に戦争よ!?」

 

 

 三大勢力間との因縁を知るリアス達からすれば、コカビエルのこの一言はまさに戦争への引き金となる一言であり、威圧に負けじと睨みながら指摘するも、コカビエルはニヤリとするだけだ。

 

 

「寧ろ願ったり叶ったりだぞリアス・グレモリー?

私の目的はまさにその戦争だからな……ククッ、サーゼクス・グレモリー――いやルシファーの妹である貴様とセラフォルーレヴィアタンの妹を人質に取れば、少なくとも二人の魔王が釣れる」

 

「なっ、私達はそんな簡単に人質にはならないわ!」

 

 

 心から闘争を望む物としての荒れ狂う殺意を受けるリアス達は顔を真っ白にしながらも真っ向から言い返す。

 それはフリードと妙な言い合いをしていた赤龍帝の少年も同じであり、王を守る下僕が如くリアスの前に立ち、窓の外から腕を組んで見下ろすコカビエルに威勢良く啖呵を切る。

 

 

「そうだ、部長達は俺が守るぜ!」

 

「ほう……?」

 

 

 バカなのか、それとも命知らずの度胸持ちなのか、殺意を放つコカビエルの負けじと威勢良く言い切る赤龍帝の少年・イッセーに少しだけ感心したように声を漏らす。

 

 

「中々見所があるじゃないか小僧……。

オレ――あ、私はお前みたいな馬鹿は嫌いじゃないぞ?」

 

「へ?」

 

 

 戦闘狂としてなのか、向こう見ずで突っかかる者は割りと好印象だったりするコカビエルはニヤリとしながらイッセー少年の心意気を素直に褒める。

 コカビエルからすれば馬鹿だろうが真っ直ぐである輩は嫌いでは無いのだ。

 まさかの褒められにイッセーも一瞬目を丸くしており、それはやがて敵からの賞賛だというのに照れ始める。

 

 

「い、いやぁ……そ、それほどでもあるぜ……」

 

 

 色々とあり悪魔に転生し、ハーレム王目指して頑張って来たイッセーとしてはコカビエル程の者に褒められて素直に嬉しかったのか、ヤケにだらしない顔を浮かべて照れていた。

 

 何故か? それはコカビエルの出で立ちに問題がある訳で、『予想してた姿をイッセーにとっては良い意味で裏切られた姿』を……そして『持っていた』という理由があり……。

 

 

「ただ小僧よ、あんまりジロジロと『私の胸を』見ても何も無いぞ?」

 

「ギクッ!?」

 

 

 その視線を受けてる本人に気付かれ、指摘されたイッセーはコカビエル……(♀)のちょっと呆れ混じりの声に身体を硬直させてしまった。

 

 

「フリードからリアス・グレモリーやその下僕の話を聞いては居たが、余程女好きらしいな貴様は……」

 

「い、いえ……は、ハーレム王目指してますんで……」

 

 

 年頃の餓鬼だし仕方ない部分はあるにしても、このイッセー少年の視線は露骨だったし、何より言ってることがかつて鬱陶しかった『堕天使の同志』に似ている。

 

 その時点で心意気は良いにしてもコカビエル的にはマイナスポイントだった。

 

 

「イッセー! こんな時に何なのアナタは!」

 

「す、すいません部長……だ、だってコカビエルが『女』だなんて……」

 

 

 そんなコカビエルの指摘にギクリとした表情を見せた横でリアスがイッセーに激怒していた。

 

 

「……。最低ですイッセー先輩」

 

「イッセーさん……」

 

「な、み、皆してそんな目で視ないでくれよ! だってあの人のおっぱいが俺好みで、ぶっちゃけ副部長や部長より大き――あぁっやめて?!」

 

 

 遂には主や下僕仲間までからも激怒されるイッセー少年はバシバシとシバかれており――

 

 

「ふっ、餓鬼だな。昔のアザゼルを思い出すよ」

 

 

 かつての同志の鬱陶しかった面を思い出しつつ軽く笑みを溢すのだった。

 

 

「チッ」

 

「む、どうしたフリード?」

 

「……。いえ、べっつにー?」

 

 

 先程までの緊張感は何処へやら、ギャーギャーとイッセー少年が囲まれてシバかれてる光景を軽く笑いながら見てるコカビエルの直ぐ近くで、フリードはイライラした様子で舌打ちをしていた。

 

 

(よし、ぶち殺し確定だわあのボケ)

 

 

 自分の恩師ともいえるコカビエルをそんな目で見るイッセーに殺意を覚えるというのが舌打ちの理由であり、まるで殺人鬼のような形相を浮かべてバラバラに解体する意を、緩いウェーブの掛かった長い黒髪を靡かせ、鮮血の様な赤い瞳を丸くさせながら見ているコカビエルに気付かず決めるフリードだった。

 

 

「ではリアス・グレモリー達よ、早く止めに来ないと死ぬぞ?」

 

「クソ悪魔……テメーはやっぱり殺すわ。金髪クソ悪魔共々ぶち殺す!」

 

 

 そしてそれは別れ際にイッセーへ明確な殺戮予告を宣言する辺り、かなり本気であり……。

 

 

「何をそんなイライラしてるんだお前は……?」

 

「別になんでもねーっすわ……クソ悪魔殺してーだけですぅ」

 

「???」

 

 

 飛べないフリードを後ろから抱っこしながら駒王学園に戻る最中も、戦闘狂故に自分のスタイルやら容姿に自覚が無かったコカビエルはただただ分からないままだっただったとか。

 

 

 

 コカビエル

 元・神の子を見張るもの幹部

 種族・最上級堕天使。

 

 備考・壁を常に超え続けるために頑張る『超戦者』にて女性堕天使。

 

 

 フリード・セルゼン

 元・悪魔祓い。

 種族・人間。

 

 

 備考・コカビエルをボスと慕い、地獄の果てまでお供すると決意せし天然の◯◯◯ー◯使い。

 

 

これは、生徒会長もマイナスも風紀委員も存在しない時空に生まれし堕天使能力保持者と、はぐれ悪魔祓いとの種族を越えた絆の物語……。

 

 

「よっと、そんなに殺気立つな。冷静になれ冷静に」

 

「癇癪起こす度にあやしつける様に抱かれる程、俺はもうガキじゃねーっすよボス……」

 

「フッ、それもそうだな。なら私好みの『良い男』に早くなって見せろ」

 

 

 




補足

最強の女性堕天使・コカビエル

 緩いウェーブの掛かった長い黒髪と、鮮血の様な赤く鋭い瞳……そして八重歯が特徴的で、初見でイッセーが一発で目を奪われる容姿とリアスさんや朱乃さんを越えるボディを持っている最強の女堕天使。

(簡単に言えば、ウェーブの掛かった黒神さんをイメージして貰えれば……)


 女という理由で嘗められがちだが、己の中に燻る戦闘意欲と、飽くなき向上心という性質が超戦者として覚醒させており、在りし日の聖書の神を既に越えている。

 同志だったアザゼル達とは喧嘩別れ同然にグリゴリを脱退しており、そのせいで彼女を信仰していた多くの堕天使達が密かに後に続いて脱退寸前となっており、色々と崩壊寸前になってたりいなかったり。

※下部堕天使の殆どはミーハー含めて彼女の信者が多く、ぶっちゃけると天界陣営の多くからも堕天された事を今でも悔やまれてる。


 ちなみにアザゼル達はアザゼル達で『ある意味』自分達のアイドルな彼女を必死こいて連れ戻そうとかしてるらしく、その為に今回の事件で天界と冥界陣営と戦争になろうとも幹部達の考えは……


『コカビエルが戻るんだったら、戦争になろうとも構わねぇわ』


とか何とか……。


因みに、そんはコカビエルが一番に信頼を置くのが死にかけていた所を拾って様々な技術を叩き込んだフリードのみである。


趣味・鍛練とフリードを鍛えること。
好きなもの・強い相手、フリードが独学で収得した手料理。

嫌いなもの・向上心がないやつ、自分を女扱いしてくる奴(同期の堕天使連中)、昔からチャラくてウザかったアザゼル。

最近の楽しみ・フリードが『良い男』になる姿を見守ること。


…………。誰も得しねーなこれ。




 フリード・セルゼン。

 本編設定を知ってるなら、彼が天然のジョワユーズ使いだとお分かりの通り、この時空軸の彼も天然のジョワユーズ使いである。

 悪魔も勿論のこと、フリード自身の過去の思い出により天界陣営連中も毛嫌いしている。

 勿論、コカビエルに叩き込まれたお陰で原作より遥かに強化されている。

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