色々なIF集   作:超人類DX

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金髪系には多大なトラウマがある。
とはいえ、アーの付く少女とは一切の関わりがないのでどうでもいいが。


『金髪は勘弁』by執事

 只の個人的な感覚でしかないのだけど、俺は金髪の女が苦手だ。

 俺の偏見でしかないと言われたらそれまでだけど、今まで出会した金髪の女が総じて『鬱陶しい』というのが主な理由だし、変な喋り方だとか、あからさまなお嬢様口調――金髪を巻いてる場合はトリプルプレイの3アウトだ。

 

 何でか知らないけど、金髪は基本的に『強い』し…。

 

 本当に何なんだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 日之影一誠は本来ならばとっくに高校を卒業している年齢だけど、諸々の理由で現在高校の二学年である。

 去年は留年したという体にした理由が理由もあって、相当数から敬遠されてきたりしてきたが、一年も経てば、基本的になにもなければ人畜無害であるという認識もされていたので、不良である認識は段々と薄れてきている。

 

 しかしながら、日之影一誠は出来る事なら学校を辞めたいと考えている。

 それは二年になった際に同じクラスとなった真面目女子に絶賛目を付けられたから――――というのも少しだけあるが、一番の問題はそうではなく、去年出会してしまった――現在三学年に在籍するとある女子生徒が理由だった。

 

 

「ヤミ……? 誰だそれは?」

 

「この前旧校舎で会った宇宙の殺し屋っす。

というか、まだ覚えてなかったんですね……」

 

「俺は、俺の人生に何の関係や影響が無いと思う存在は覚えない事にしているからね」

 

「きょ、極端っすねやっぱ」

 

「今更直せるもんでもないしね。それで? そのヤミだかなんだかがなんだって?」

 

「いえ、どうも俺を始末するまで地球に居るつもりらしいのですけど、イッセーさんの事も個人的な標的にすると言ってたので……。余計なお節介かもしれないですけど、一応注意をと……」

 

「ふーん」

 

 

 先日の旧校舎幽霊騒動の際に現れた宇宙の殺し屋の事を普通に記憶から消去していて、これからも覚える気のまるでない一誠が、なんやかんや付き合いがそれなりになってきたリトと話をしながら廊下を歩いている。

 

 実は頭脳明晰なララに、『この世界から全くの別世界そのものに移動することは現状難しい』と言われてしまったが故に、現在一誠とヴェネラナは元の世界へ帰る方法を失っている。

 それについてヴェネラナが『無理に焦っても仕方ない』と言ってる為に、一誠も少しは落ち着いていて、嫌々ではあるが学校もこうして通っている。

 

 が、どうしてもこの学園には一誠が見ただけで逃げたくなってくる程の苦手なモノがあった。

 それが……。

 

 

「やっと見付けましたわよ日之影一誠さん!」

 

 

 ちょうど階段へと続く曲がり角から不意打ち気味にリトと一誠の前に現れたブロンドのロングヘアを側頭部の高い所で左右それぞれおだんごの様に丸め、肩へとかかる髪は緩い縦ロールという、なんともセットからして面倒な髪型をしている女子生徒……。

 

 

「……」

 

「あ、天条院先輩……」

 

 

 名を天条院沙姫という、見た目通りの金持ちお嬢様が、どう考えても待ち伏せしていたとしか思えぬ出で立ちで一誠の目の前出現した。

 去年の学園祭の時にリトもこの先輩女子の事を知った……というか、ララに一方的に対抗心を燃やして軽くそれに巻き込まれた被害者的な立場だったりする訳で。

 

 最近はめっきりララに突っかからなくなった沙姫に軽く会釈をするリトは、チラリと一誠を見ると……。

 

 

「…………………」

 

 

 一誠は無言で、天条院沙姫から背を向けて早歩きで去ろうとしていた。

 

 

「お待ちなさい! 何故逃げるのですか!」

 

「…………………」

 

 

 それはもう、見事なまでな『オレ、コイツ、ヤダ』といった気持ちが全面的に出た顔でスタコラサッサと逃げようとする一誠を、沙姫は逃すかとばかりに追いかける。

 最初は両者共早歩きだったのが段々と小走りとなり――

 

 

「待ちなさいと言ってるでしょう!?」

 

「じゃあこっち来るんじゃねぇ!!」

 

「アナタが逃げなければ良いでしょう!?」

 

「テメーが止まれば良いだろうが!!」

 

 

 互いにマジ走りだった。

 マジといっても、一誠は周りの他の生徒の目もあって、マジではあっても『全力』では走れなかったので割りと文武両道気味な沙姫でも追い付きはしないものの離されず、互いに言い合いをしながら廊下を爆走しておいかけっこをしている。

 

 

「天条院先輩の事、相変わらず苦手なんだなイッセーさん……」

 

 

 そんな二人の始まった鬼ごっこを、一人取り残されたリトは人外じみた戦闘力を持つイッセーでも苦手なものにはああなるんだなと、微妙に微笑ましい気持ちになって見送るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、せっかく日之影君に良さそうな漢方薬を渡そうと思ったのに、いつの間にか居なくなって……!」

 

 

 その頃、重病不良の改心を心に誓う真面目少女こと古手川唯は、本などを読んで得た知識と手に入れた漢方薬の包装紙片手にぷりぷりと一人怒りながら、フラフラといつの間にか教室から消えた一誠を探していた。

 

 同じクラスとなってから今まで監視をしてきた結果、確かに一誠はなんの問題も起こさず、死んでるんじゃないかと思うくらい物静かに学校生活を送っていて、寧ろ騒ぎを起こすのはリトとかララ達だったと感じる様になっている唯だが、どうにも一誠を放置する気はまるで無いらしい。

 

 

「問題行動は今のところ無いみたいだけど……」

 

 

 どうも唯はあの時保健室で涼子とひっついてる光景が頭にこびりついてしまっているらしく、別の意味での問題行動に走るのではと懸念している様子。

 所謂ハレンチな行為はよろしくないと風紀気質な彼女は思うが、別に恋愛ごとに興味なが無いかと言われたら別にそうでもない。

 

 多少の憧れはなきにしもあらずなのだ。

 ………まあ、そんな相手と巡り会ってないので今は規律を重んじる堅物少女だけど。

 

 さて、そんな彼女は現在一誠を探して校舎内を捜索中である。

 胃腸の免疫を活性化させるで有名な漢方薬を渡すというのが主な理由だけど、既にその一誠の胃は『進化』による産物による化け物じみた回復力で今のところ修復されてるということは彼女は知らない。

 

 

「そういえば御門先生の事もそうだけど、最近よく沢田さん達と普通にお喋りしてるのよね……。

他とはあまりしゃべらないし私も―――あ、いや、別に私は喋らなくても構わないけどね……問題行動さえしなければ!」

 

 

 と、一人で言ってる様は端から見たら変人そのものなのだが、本人はリトや未央達とは割りと普通に話し、自分が声を掛けると露骨に嫌そうな顔をしてくる一誠の態度の差について不満がついつい飛び出てしまう。

 そんな時だったか……。

 

 

「チッ!!」

 

 

 びっくりするほど必死な顔で廊下を向こうから爆さてくる一誠を発見したのは。

 

 

「……………日之影くん?」

 

 

 この時唯は一瞬、一誠を発見できたと若干ながら喜んだ。

 が、理由はどうであれ現在一誠は小学生の頃から先生方に言われてきたであろう基本的な『廊下は走ってはいけない』というルールを絶賛破って走っている。

 

 それを認識した瞬間、唯は別の意味でちょっと喜んだ。

 なにせやっと一誠が……まあ小さな事とはいえ問題行動をやらかしたのだ。

 

 それはもう、矯正の甲斐があるだろうという意味では唯は内心嬉しくなりながら声を荒げた。

 

 

「日之影くん!! 廊下を走るとはどういう事!? 廊下は走ってはならないって教えられてきた筈でしょう!?」

 

 

 やった、注意できた。

 無口、無表情、無愛想、無機質等々。

 

 ともかくあまりにも問題行動だけはしてこなかったせいで、割りと欲求不満だった唯は、走ってくる一誠に向かって、片方の手を腰に当て、もう片方でピシッと人差し指を向け、妙に様になってるポーズをしながら待ってましたとばかりに注意をしてやった。

 

 すると、一誠も唯に気付いたのか、彼女の目の前で止まる。

 

 

「げ……」

 

「げ……とは何よ? それより何故廊下を走ってたのかしら? そんなに走りたいのなら廊下ではなくて外――」

 

 

 あからさまに嫌そうな顔をした一誠にちょっとムッとした唯はそのままクドクドとお説教を開始しようとするが……。

 

 

「いい加減諦めなさい!」

 

 

 今度はその後ろから、金髪の女子生徒が爆走してきたではないか。

 

 

「く、クソが!」

 

「な、なに? また廊下を走ってる人が――きゃっ!?」

 

 

 よくわからないが、彼女も注意をすべき対象と思った唯。

 しかしその瞬間、唯に向ける以上に嫌な顔をした一誠が何を思ったのか、突然盾にするかのように唯の背後に回り、追い付いてきた沙姫と向かい合ったのだ。

 

 

「良いから消えろ!」

 

「ですから、こちらのお願いを聞いて頂けるまでは何度も続けると申した筈です!」

 

「ざけんな! 誰がテメーなんぞの言うことなんぞ聞くか! 嫌なんだよお前みたいなタイプが!!」

 

 

 そして戸惑う唯を挟んで言い合いがスタートした。

 唯だけではなく、偶々居合わせた他の生徒達も一誠と沙姫のよくわからない言い合いを眺めるが、両者ともまるで退かずの一進一退であった。

 

 

「アナタのお義母様にもきっと認めさせます! ですから……」

 

「何時から俺のババァ――じゃなかった、あのババァがオメーの母親になった! 断固拒否だボケ!!」

 

「何故です!? 私はこんなにもアナタをお慕い申して――」

 

「ひっ!? そ、それ以上言うんじゃねぇ! あのレイヴェル・フェニックスと被るんだよオメーは!」

 

 

 割りと真面目に怯え始めてる一誠。

 偶然なのか、悉く出くわす金髪女性は基本的に全く話を聞かずに押してくる者ばかり。

 

 

「私を誘拐しようとした下劣な者達をなぎ倒し、クールに助けてくれたではありませんか! これぞまさに運命です!」

 

「要らねーんだよそんなバカなもんは!」

 

 

 この天条院沙姫にしても、本当に偶々金目当ての誘拐犯に拐われそうになってる現場を見てしまい、助ける義理なんてなかったけど、逃走用の車が轢き殺す勢いで一誠の方へと走ってきたので、仕方なく真正面から片手で止め、そのままフロントガラス越しに運転席の誘拐犯をぶちのめし、結果的に彼女をお助けしてしまった―――という一誠にしてみれば『しょうもない理由』以降、追いかけ回される破目になったのだ。

 

 

「使用人としての腕も、ウチの者達を遥かに凌いでおりますし、文句なんて言わせませんわ! ですから――」

 

「しつけーんだよ! 嫌だったら嫌だ!」

 

「………」

 

 

 そんなやり取りを盾にされながら見させられてる唯は、当初こそ困惑していたが、段々腹が立ってきた。

 その理由は自分でもよくわからないけど、とにかく腹が立ってしかたなかった。

 

 だからとうとう唯は、ギャーギャーやってる両者に向かって……。

 

 

「いい加減にしなさい!!!!!」

 

 

 

 火山大噴火のごとき怒りで二人を黙らせたのだ。

 

 

「さっきから聞いていれば大きな声で……! ここは学校! 廊下は走らない! そんな常識的な事も守れないの!?」

 

「だ、だってこの金髪が追い掛けて……」

 

「だっても明後日もないわ日之影くん! そもそもアナタ、この人と何で普通に喋れるわけ!?」

 

「は? いや、鬱陶しすぎるから……?」

 

 

 話が少々個人的なものになってるものの、概ね言ってることは正しいので、一誠もいつになく渋々と唯のお説教を聞いているが、 沙姫はといえば、自分と一誠のやり取りに水を差されたと若干不満げだった。

 

 

「少し騒がしくしたのは認めるけど、アナタにとやかく言われる筋合いは無いと思いますが? 確かにこんな所で言い合うよりは、是非一誠さんにウチに来て頂き、思う存分愛を語り合う――」

 

「こっ、の……! レイヴェル・フェニックスみてーな――」

 

「ハレンチな事は許しません! それに日之影君は嫌がっているではありませんか! 先輩かもしれませんが、クラスメートとして見過ごせません!」

 

 

 しかし唯も沙姫に対して退かずに言い返し、両者の間に火花が飛び交い、変な流れへとなっていく。

 

 それは周りで見ていた者達も思ったのだろう、唯の背中に隠れてる一誠を巡っての修羅場じゃないのか? 的な解釈をしたりする者も居る。

 

 

「とにかく、今後日之影君を追い回す様な真似は控えてください! ただでさえ彼は不安定なんですから!」

 

「だ・か・ら・! 何故ただのクラスメートでしかない貴女なんぞに指図されなければならないのかしら!?」

 

 

 確かに端から見ればそうなのかもしれない。

 ただ、一誠はといえば――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの金髪女め……!」

 

「古手川さんを盾に逃げたなんて、随分と情けないわね……」

 

「その気になりゃあ、あんな小娘なんぞバラバラにしてやれるさ。する気が無いだけでな……」

 

「レイヴェル・フェニックスさんにそんなに似てるの?」

 

「奴と比べるまでもなく力は雑魚だが、あの話の聞かなさとしつこさはまんま同じだ。

ちくしょう、だから金髪の女は嫌いなんだ……」

 

 

 二人がやりあってる隙に保健室まで退散しており、涼子に呆れられながらも愚痴りまくっていた。

 

 

「アレに比べたらババァに好き勝手されてる方がまだマシだ。

なまじ俺より上だったから始末にも負えなかったしよ……」

 

「なるほどねー? 天条院さんにまで、か……。

やっぱり意外とアナタってモテるわね」

 

「冗談じゃねぇ。

俺はそういうのは勘弁して欲しいんだよ」

 

 

 貰った緑茶をグビグビと飲みながら、異性から向けられる好意を否定する一誠はそのまま精神的に疲れたのか、机に突っ伏してしまった。

 

 

「これならババァの世話してた方がまだマシだったぜ……ちくしょう」

 

「勧めたのが私なだけに、なんとも言えないわね……」

 

「アンタに文句を言うつもりはねーよ……。

今現在も世話になりっぱなしだしな」

 

 

 ヴェネラナ共々涼子に世話になりっぱなしだからこそ、割りと律儀になる一誠。

 

 その涼子がほんの少しだけヴェネラナに近いものがあるからというのもあるし、あまり鬱陶しくもない。

 だから彼女の周りにまとわりつく柵をぶち壊して来たし、これからもそれは変わらない。

 

 自分達が元の世界へと戻るまで……。

 

 

「…………」

 

「イッセー?」

 

「……………………zzz」

 

「寝てる……わね。

相当精神的に滅入ったのね、天条院さんに押されて……。

彼女にも困ったものねぇ……」

 

 

 突っ伏したまま寝てしまった一誠の精神的磨耗を感じて、涼子も流石に同情する。

 というのも、一誠が金髪の女性を苦手に思ってる理由も既に聞いてるし、その最たる理由であるレイヴェル・フェニックスや八坂や九重――といった、一誠が越えるべき壁として見上げているサーゼクス・グレモリーに肉薄する領域の人外達の強すぎる押しについても聞いた事があったからだ。

 

 そんな者達の気質に、実力はともかく似ていた者に目を付けられてしまって追いかけ回されていたともなれば、こうしてダウンしてしまうのも仕方ないと思えるし、涼子は取り敢えず眠る一誠の肩に薄い毛布を掛けてあげる。

 

 

「期待される事を嫌がる癖に、期待を背負い過ぎなのよアナタは……。

ホント不器用なんだから……」

 

 

 眠っている一誠にそう呟く涼子。

 

 『力が無ければ自分に価値なんて無い』と、力を示す事でしか自分を表現できない不器用さもそうだけど、結局は根の部分でお人好しな所があるからこそ、向けられた期待を多く背負い過ぎてしまい、それをバカ真面目に応えようとする。

 

 それが一誠という人間であって人間を超越した青年なのだと、涼子は思いながら眠っている一誠を眺め続ける。

 今まで出会ったことが無いタイプで、口は悪くて無愛想だけど、どこまでも律儀で……。

 

 だから涼子はそんな彼に好意を持っている。

 

 

「そんなアナタを好いてる女性は結構多いのよね……。

結城君のことなんて言えないわよイッセー?」

 

「くー……くー……」

 

 

 軽く微笑みながらヴェネラナや自分より深めの茶髪であるその頭を撫でる涼子は、二人だけになれるこの時間が少し気に入っていた。

 

 

 

終わり

 

 

 

 

 

嘘な別未来。

 

 

 期待を向けられ、結局は背負ってしまう。

 そんな事を繰り返す内に、一誠はとうとう完全ダウン状態――つまりまごうことなき風邪となった。

 

 無論、ヴェネラナやら涼子やら達が代わりばんこに高熱状態の一誠の看病をするのだが、そんな大人達よりもしっかりしていたのが、美柑だった。

 

 

「まだ熱が高いみたい」

 

「………移るかもしれないからあんま近づかない方が良いぞ」

 

「その時はリトや一誠さんに色々と頼めるから構いませんよ。ほら、ジッとして?」

 

「…………」

 

 

 専門的な知識がある訳じゃないが、一番自然体に風邪状態の一誠を看病したのが美柑だったらしく、目がぼーっとしてる一誠の額に自分の額をくっつけて熱の高さを確かめた少女は、そのまま寝かせて額に氷水で冷やしたタオルを乗せる。

 

 

「うー……」

 

「ヴェネラナさんから聞いたけど、風邪とかほとんどひかないんですって?」

 

「……まーね。だからなるとこんな情けない事になる」

 

「情けないとは思わないよ? いつも大変そうなのは知ってたし、こんな時くらいは休んだっていいと思う」

 

「………キミはホントしっかりものだな」

 

 

 横になる一誠の手まで握ってる美柑のカーチャンっぷりに、一誠もただただ頭が上がらない。

 美柑が、一誠だからここまでする気になっているんだという想いについては気付いていない。

 

 気付いていない癖に……。

 

 

「すーすー……」

 

「あ、あの一誠さん? ね、寝ちゃってるんならしょーがないと思うことにするけど、ちょ、ちょっと恥ずかしいんだけど……」

 

「くーくー……」

 

「だ、だめだ、全然起きてくれない。

でも仕方ないか……」

 

 

 完全に肉体的にも精神的にも弱ってたせいか、完全に寝てしまった一誠は遂に美柑にやらかしたのだ。

 そう―――『何時ものアレ』を。

 

 

「んー……」

 

「っ!? い、いっせーさん!? そ、そんな急に……わ、私、御門さんみたいに大きくないのに……! あ、あぅ……」

 

 

 何をされてるのかはご想像に。

 

 ただ……。

 

 

「………………。キミの手で俺を殺してくれ。キミにはその権利がある」

 

「そんな大袈裟な……。

熱のせいだったのだし、私もそこまで気にしてないから大丈夫ですよ? ………………ちょっと変な気分になったけど」

 

「………………」

 

「そりゃ他の人にあんな事されたら絶対に許さなかったけど、一誠さんには色々な事を教えて貰ったし、えーっとその……一誠さんの事キライじゃないし……」

 

「なのに俺はそんなキミの気持ちを踏みにじったんだぞ……」

 

「そうは思ってないから本当に大丈夫。

それに、途中から一誠さんが大きな子供に思えて……なんだろ、とても優しい気持ちになれたから」

 

「……………」

 

 

 

 この一件で、信じられぬ母性を覚醒させてしまった感は否めなかったとか。

 

 

終了




補足

金髪、お嬢様、押し方が似すぎ

トリプルプレーでーす!



その2
古手川さんを盾に逃げた執事。

その後が余計怖いのはいうまでもない。


その3
美柑たそーにやらかした場合……。

リアル年下ママン化して某赤い彗星モード入ります。

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