ナナたそ出てないのにナナたそばっかりだ……。
ヤミたそもだけど。
たまに思う。
今この場で自分の頭を自分の拳で叩き壊したら、全てが終わりになれるのかって。
無意味に生きた所で、待ってる先は何も無いのではないのかと。
いや、自分で自分の頭を叩き壊して死ぬとか……それが出来たら苦労は無いんだけどよ。
なーんのトラブルも無く臨海学校も終わり、夏休みも終わり、気付けば二学期に突入していた。
夏休みの間に一切会う事なんて無かったクラスメートの男女数人が妙に大人になった感を出してたりとかしていても、そもそも名前も顔も未だに覚えてすら居ないリトにとってはわかる訳も無いし、彼は何時も通りの無表情顔なのだ。
そんなリトは夏休み中に妹の美柑を色んな場所に連れて行ってあげたり、ヤミ相手に力の向上をしていたり、そのヤミの存在が美柑と、臨海学校の時点で既に姿だけは知っていたララにバレて嫌々紹介したりといった事はあったものの、概ね何もない夏休みだった――
「よっすゆーき! 今度また新作のメニューがバイト先に出来るから食べにおいでよ?」
「え? あぁ、時間があったらね……。この前の激辛系はマジで客には出せないと思うけど……」
「流石にアレは没にしたわ。あまりにゆーきが平然と食べてたから大丈夫かと店長が食べたら、四日はまともに声が出せなくなるくらい喉やられちゃったし」
「ただの兵器だろそれは……」
「あはは、まあ創作料理には失敗も付き物ってことでここはひとつ……それじゃね」
という訳でもどうやらなきにしもあらずらしい。
臨海学校で同班になったてからやっと顔と名前を覚えた相手である沢田未央が、まあまあフレンドリーにリトに話しかけてくる。
「………。おいリト?」
「なに?」
未央からバイト先のクーポン券を渡され、それを財布にしまうリトのナチュラルな会話を見てしまった猿山が、どういう事だとリトに訊ねる。
ララに対して特に関心の無い態度は全く以て何時も通りなのに、何故未央に謎のクーポン券みたいなものを貰っているのか……というか会話の内容からして夏休みの間に数度は会ってると察した猿山の質問は、同じく見ていた春菜のびっくりした顔を横目にされた。
「沢田と夏休みの間に何かあったのか?」
恐らく同じ質問を里紗や春菜にされているだろう未央と一体全体何があったのかが気になる猿山だが、リトはといえば、一時間目の授業に使う教科書を暇そうに読みながら口を開く。
「別に何も。
偶々入った喫茶店が、ただのメイド喫茶で、知らずに妹と入ったらそこに沢田さんがバイトしてたってだけ」
『その後、半額を条件に実験段階の創作料理の毒味役を何回か頼まれた』と、相も変わらずつまらない男の言いそうなつまらない言葉に猿山は微妙な顔になる。
そうだ、コイツはララからのあからさまの好意にすら心底迷惑がる罰当たり野郎だったんだ。
そりゃあ、確かに何もなかったとコイツが言えばその通りなんだろう。
猿山はそう考えるが、やはりどこか引っ掛かる。
臨海学校の肝試しを二人でゴールしたあのジンクスが関係しているのか……と勘繰ってしまうのだ。
「まぁでも確かに無いか……」
「は?」
「いや、沢田とお前がもしかして夏休み中に仲良しになってそのまま――みたいな」
「沢田さんと? 有り得ないだろそれは」
「あぁ、お前のその淡白な反応を見てもよーくわかるよホント……」
里紗や春菜に対して、未央もまた普通に事の説明をしているのを見ながら猿山は取り合えず大丈夫そうだと思う。
この親友の異質さを理解した上で受け止められる者なんてそうそう居るわけもないんだ……と。
実は夏休み前に一度席替えをしたけど、ふざけたクジ運のせいで結局隣の席がララがであったので、新鮮味のクソも無いまま二学期がスタートしようとしていた。
が、今にも昇天しそうな老人全開な担任の先生がSHRの際になんと転校生が居るとよれよれな声で生徒達に言い出した。
そして確かにその通りに、廊下で待ってたんだろう転校生に入るように呼び掛け、中へと招き入れる。
「レン・エルシ・ジュエリア君です。
皆さん、仲良くするように」
入ってきたのは男子生徒であり、案の定猿山以下男子達がモテそうだと嫉妬する程度には美形の男子で、女子の一部からは黄色い声が出る。
が、リトはこれから始まる授業の教科書に視線を落としたままだし、ララですらそんなリトをじーっと見てるだけで転校生の美男子君には目もくれちゃい無い。
それを知ってるのか知らないのか、レンなる美少年は桃髪のララの姿を見るや否や、跳ぶように彼女の席の前まで移動すると……。
「やっと見つけたよララちゃん、ボクの花嫁……」
常人が言えばサムいだけの台詞だが、レンが言えば中々に様になる台詞と共にララの手を握っていた。
勿論周りはざわつくし、猿山達男子もイケメンのイケメン行動に中指まで立て始める始末。
そして、それまでリトの事をじーっと見ていて反応が遅れたララも若干びっくりした様に目を丸くし、歯まで輝かせてるレンに対して……。
「え、誰……?」
リトが一度しか会った事の無い程度の相手に対して平然と言いそうな事を思わず言ってしまった。
その瞬間、向こうは覚えてると思っていたのだろうレンが固まった。
「なにこれ? ララちぃの知り合いって事は、ゆーきも知ってるんじゃないの?」
「は? 誰が?」
「いやほらあの転校生のイケメン君……」
「転校生? どこに?」
「わぁお、そこから聞いてなかったんだね。
ゆーきってさ、関心の無いものとあるものとの態度の差が極端すぎるよ……」
結城という名字を彼女なりの親愛的な意味で砕けたイントネーションで呼ぶ未央にリトは転校生の存在そのものに気付いてない様子で呆れさせていた。
そして未央が指差す方向に視線を向けると、何か膝を付いて絶望している美男子君ことレンが目に入り――
「なにあれ?」
やっぱり無関心通り越したリアクションをしていた。
「わかった、その反応からして知らないんのね?」
「記憶にはないかな」
「いやさ、ララちぃの事を僕の花嫁とか言っててさ」
「花嫁? あぁ、そうなんだ、ふーん?」
なんだ、普通な感じの婚約者候補もちゃんと居るんじゃないか――と思いながら少しレンに対して関心が向いたのか、じーっと観察するリト。
その内にララも彼が誰なのか思い出したのか、少し声を大きめに出す。
「あ! 思い出した! 泣き虫レンちゃんだ!」
はっきり言って軽く、そしてナチュラルにディスられてるのだけど、レンはそれでも嬉しかったのか、またしてもキザ坊やモードに戻ると、ララの両手をしっかり握る。
「フフッ、やっぱり思い出してくれたんだね、ララちゃん」
「おひさしぶりだね? でもどうしてこの学校に来たの?」
ララの言葉を聞いたレンは自分の髪を指先で優しく掻き上げてみせると、今度はその手の平を彼女の前にゆっくりと広げてみせた。
その仕草はやはり画にはなり、彼女の瞳をしっかりと見つめている。
「そんなこと決まっているじゃないかララちゃん!
キミを迎えにきたのさ!! ボクの婚約者もとい、花嫁としてね!」
その瞬間教室中に広がる驚愕の声。
「みたいだけど、ゆーきのコメントは?」
「それなら是非連れ帰って欲しいもんだね」
「……………。私から聞いといてなんだけど、今のそれ、絶対にララちぃには言っちゃダメだからね?」
逆に、厄介払いが出来るもんなら何でも良いとばかりなコメントを未央から聞かれて淡々と返すリト。
恐らく聞こえては無いらしく、レンはララに対して更に口説きに入る。
「ララちゃん覚えているかい? キミとボクがまだ6歳ぐらいのころの話だ。
ボクがいつか男らしくなったら結婚してくれる? って告白したとき、ララちゃんは良いよって約束してくれたじゃないか!」
「んー?」
恐らくその約束とやらを糧に今まで生きてきたのだろうレンだが、さっきまで完全にレンの存在を忘れていたララがそんな約束を覚えてる様には見えないし、現に『はて? そんな約束したっけ?』と罪な顔をしている。
「チッ、忘れてるってツラだな。
嘘でも覚えてると言いつつ頷け……! それでハッピーエンドだ……!」
「ゆーきってさ、時折本当に最低よね……」
「ふっ、わかってないな。
寧ろ七面倒な奴より、ああいう分かりやすい奴の方が良いに決まってるだろ?」
「いやぁ、ララちぃの気持ちとか考えてないじゃん」
沸き立つ生徒達のはまたしても正反対に――いや、ある意味別の意味で沸き立ってるリトに、未央がジト目をする。
夏休み中にリトやリトの妹、それから金髪の可愛らしい女の子と店に何度か来てくれたお陰で他人無関心のリトの生体というか性格がなんとなくわかってきていた未央。
リトは妹にはかなり甘いが、その他に対しては本当に冷たい―――というか無関心過ぎるのだ。
それはララという同棲中の美少女であろうが例外ではなく、そのあまりの出来すぎた区別主義っぷりには未央も軽く注意をしてしまう程だ。
例えその相手がどれ程にリトに対して想いを持っていても、本人は本気で迷惑にしか思ってないのだから。
「えーっと、私はその……」
案の定、ララはやはりリトに遠慮がちな視線を向けてくる。
リトが好きだと言いたいが、言ったその瞬間、どう考えてもリトが『やめろ、本気で迷惑でしかない』と言われたらと思うと言い出せないのだ。
だが、その視線の先に気付いたレンが、親の仇でも見てくるような目付きでリトを睨む。
「あぁ、そういえばそうだったねララちゃん!
聞いたさ、キミを騙している悪いヤツがいるんだろう?」
どうやらリトに関する事は少し知っていて、その上で敵意を抱いているらしく、ペンをクルクル回していたリトを指差す。
「キミの事だ結城リト!!」
確かに婚約者候補達にしてみれば悪夢みたいな奴でしかないリトに対する認識は間違ってはいない。
しかし淡白な男になってしまったイッセーもといリトは、そんなレンにも興味なさげに言ってしまうのだ。
「じゃあ今すぐそれ連れて帰ったらどうだ? 拍手しながら俺は見送れる自信があるぜ?」
身も蓋もない事をあまりにもハッキリと……。
ある程度リトの事をクラスメートととして分かっていた生徒達は、そんなリトに『相変わらずひでぇ……』と思い、ララは………ちょっと半泣きだった。
ララにとってリトという地球人の少年は、とても新鮮だった。
まず最初の邂逅から今の今まで全く以て自分に対して興味が無さすぎる。
数多の男性共を虜にする容姿を持っている彼女とて、流石に自分の姿に自覚はあった。
にも拘わらず、リトは一切自分に対して何の興味も持ってくれないのだ。
悲しいかな、そんな態度だからこそ逆にララは惹かれていった訳であり、リトにどうすれば嫌われないかを常に気にしてしまう子になってしまった。
それはやはり、まだリトの性質を理解せずにリトの部屋に夜入って一緒に寝ようとした時に、苦しそうに魘されながら何度も譫言の様に口にしていた『リアス』という者が誰なのかと聞いてしまった時の、虫けら以下のゴミを見るような顔をされたのが余程ショックだったからだ。
あのトラウマがララに積極性を完全に失わせてしまい、どうすれば振り向いて貰うかというよりは、どうすれば嫌われないかになってしまっていた。
しかし、だからララはリトに惹かれている。
父のギドの様な強さ。
恐らく母の全開の魅了すらも平然とした顔してそうな強靭で冷たい精神――の中に確かにある暖かいなにか。
そして美柑や家族すらも知らないリトの抱える大きな影。
つまり確かに冷たくて無愛想だけど、確実に一個人としてララを見てくれるだろうリトが好きで仕方なくなってるのだ。
「結城リト! 僕と勝負――」
「バキューン」
「し……ろぉ……!?」
突っ掛かってくるレンに対して指で弾くだけで飛ばした輪ゴムで頬を掠め、後ろにあったモノを破壊するその理不尽さも。
「な、なななっ!? なにをした!?」
「地球人はありふれた物を武器にできる。
輪ゴムってのは最高の発明だよ、鉄程度ならこれでぶち壊せるからね」
「いや、それリトだけだから。
レンつったか? 頼むから真に受けんなよ?」
相手を見下しきるそのSっ気全開の目や歪んだ口許も……。
「あ、あわわわ……!」
「おいおい……。
完全に今ので腰抜かしてるじゃねーか……」
「やりすぎだよ結城くん……」
「結城って変な奴だと思ってたけど……。未央は驚かないわけ?」
「それが夏休みの時に変な客に絡まれた時、ゆーきがジュース飲んでた時に使ってたストローでそのお客さんを吹っ飛ばしてたのを見ちゃったもんで……」
ただの生活道具を兵器にさせる訳のわからなさも。
「えーっと、ごめんねレンちゃん? 多分その内パパの方から他の婚約者候補さん達にも通達されると思うけど、私と婚約するには、リトを倒すことが第一条件になる筈なんだ」
「あ、あんな化け物を倒す!? キミのお父様はなんたってそんな理不尽な条件を……!?」
「だって私、リトが本当に好きなんだもん……」
「そ、そんなぁ……!」
何よりもその強すぎる我がどうしても……好きだった。
とても危険で、とても間違っていて、とてもじゃないが非効率的なのかもしれないけど、ララはスタスタと歩幅も誰かに合わせる気も無しに前を歩き続けるリトを追い続けたいのだ。
終わり。
嘘なる少し先の未来
モモ・ベリア・デビルークは少し前の自分を張り倒してでも止めたいくらいに後悔していた。
お年頃の男性なんだからコロッとなるだろうだなんて傲慢にも近い思考回路を訂正させられるものなら是非とも訂正させたい――なんて思う程に、リトから死ぬほど嫌われていた。
例えば結城家で偶々出会したら――
「あ、えっと、おはようございますリトさん――」
「……………チッ」
舌打ちされる。
モモを視界にすら入れないのがまず基本で、舌打ちでもまだマシだ。
「あ、あのごめんなさい。
リトさんにご迷惑が掛かると思ってたので黙ってて――」
「迷惑もハローワークもあるか! ボケェ!!」
「」
例えば機嫌が悪い時なんかは、某全員悪人がキャッチフレーズの某映画の登場人物ばりの罵倒が飛んで来るのだから。
「何で俺がクソ程どうでも良いガキの尻拭いなんぞしなくちゃあならないんだ……! あー腹立つ!!」
「落ち着けよリト。
私がやったって事にしても良いから……」
「……チッ、じゃあ仕方ない」
「」
その癖、何故か双子の姉のナナにはめっちゃ甘いし、最近めっちゃ優しくなってるし。
リトの友人である猿山が言ってた通り、完全にファーストコンタクトを間違えたとしか言えなかった。
そのファーストコンタクトにしても、姉のララみたいに裸になってリトの部屋に入った的な話なのだが、一瞬で目覚めて鬼みたいな形相になったリトに真っ裸のまま窓から外に投げ捨てられた訳だが。
ともかくモモは、リトとのこの終わりきった関係性をほんの少しでも良いから軌道修正したかった。
それは、理不尽めいたパワーに惹かれただとかではなく、ただ単純に母の魅力にすら全く心が揺れなかった強靭的過ぎる精神力に妙な憧れを持ったから――なのかもしれない。
「あの母様の魅了すら全く動じないってのは何と無く想像できたけどさ……。
一言『ウザいから早くどっか行って貰えません?』って言うのはどうかと思うぞ……。母様も完全に固まってしまったし……」
「自分の制御できない力と分かってて俺に見せてきた時点で信用なんざ無くなってたし、アレのどこに何の魅力を感じるのかも理解できなかったからな。
いや、ナナの母ちゃんだから多少悪いこと言ったとは思ってるけど……」
「思った事をすぐに口に出すその癖を少しは制御してみたらどうです? デビルーク王との決闘に敗れた直後にドクター御門が治療を買って出てくださったのに、いきなり出た言葉が……『触んなメス豚がァ!』……でしたし」
「敗けて一番気が立ってたんだよ。ちゃんとお前等に言われて謝ったし……」
女だろうが全く差別せず、敵と認識すれば徹底的に叩きのめす。
そして自分が認めた者にしかその優しさを見せない。
なまじナナや美柑やヤミに対してそのギャップとも言える優しさを見せてるのを見てしまってるが故に、モモは狡いと思ってしまうし、欠片でも良いからその優しさを欲しがるのだけど……。
「すーすー……」
「…………。ナナ、何してるの? その状況ってなに?」
「………。アタシにもさっぱりわからない。
起こそうとしたら何かこんな事になっちゃって……。
まあ、よく考えたら今日は日曜日だし、朝のトレーニングもちゃんとしてたし、二度寝させても問題ないかなーって……」
その優しさは全部双子の姉のナナにしかないのだ。
只今スヤスヤ寝てるリトが、多分寝惚けてナナを抱き枕にしちゃってるのだけど、これがもし自分ならまずならないし、間違ってもそう仕向けた瞬間、下水道に叩き落とされる。
「寝てる時はこんな穏やかな顔してる癖に……」
「むぅ……リアスちゃん……」
「はいはい、リアスじゃないっての。
まったく、間違えるなんて酷いぞ? ま、仕方ないから怒らないであげるけどさ……ふふ♪」
「……………………」
まず普通に寝てるリトを見ることすらモモにとってはレア。
常に能面顔か嫌そうな顔か舌打ちする不機嫌顔が、そんな穏やかな表情を見るのは激レア。
というか、抱き枕にされるとかは最早スーパー激レア等々。
「…………………………んぁ?」
「やっと起きたか寝坊助? もう10時だぞ?」
「あぁ、悪い……またやっちまったのか……」
「何度も別の女の寝言ばっか聞かされて結構複雑にさせられて損ばっかりだよアタシは」
「………悪い」
「それほど気にしてないから大丈夫。
ほらまずは着替えだ」
「んー…………………―――」
「あ……お、おはようございます……そ、その勝手に入ってしまって本当にごめんなさい」
「………………………………………………………………………………………」
「起こしに行ったアタシが戻らなくて心配して来たんだから、怒るなよ?」
「………………………………………チッ」
ファーストコンタクトはとても大事だ。モモ・ベリア・デビルークは、ナナに言われて何も言いはしなかったが、露骨に嫌な顔しながら小さく舌打ちをされ、ひとつ大人にさせられてしまった。
「パシり共」
「は、はーい……なんですかマスター?」
「いい加減パシり呼ばわりは――」
「……………あ゛?」
「ひぅ!? す、すまない……! パシりだ! うん、パシりだもんな! あ、あははは……!」
それを考えたらついこの前めでたくパシりになったこの二人の方がまだマシなのかもしれないとさえ最近のモモは思ってしまう。
「あ、あのー……? 私もパシりになっても――」
「悪いな小娘、パシりはこの二匹で充分なんだ」
「で、でも人手は多い方が――」
「じゃあヤミ医者の探して自分の内臓売って金にして持ってこい」
「」
パシりならワンチャンあると思ったけど、やっぱり断られ―……。
「ぐすん……」
モモは引きこもりになってしまったとさ。
おしまい
補足
何時も通りの
ヤミたそー
ナナたそー
その2
モモさんはね……考えすぎて空回りしまくりなんですよね。