実は没にしたまんま放置してたのですが、なんとなく目に付いたので落書き感覚で完成させてみました。
憑依リトの低テンション
ある世界に、自由と繋がりを奪い取られた赤髪の少女が居ました。
その少女はとても可愛らしく、悪魔の中でも名家のお嬢様で、家の名に恥じぬように一生懸命頑張りました。
様々な暗い過去を背負った者達を助け、繋がりを作り上げていった。
だけど、彼女はただ一つのミスを犯しました。
とある男を一瞬でも懐に入れてしまった事です。
その男は全てを与えられた物で塗り固めた虚構そのものでした。
けれど少女や仲間達にそれを見抜ける力は無く、少女は仲間達の推薦によって、眷属にはしないものの仲間に誓い関係にしてしまったその男を最初は、それこそ仲間として共に頑張ろうと思っていました。
ですが、男は彼女がこれまで見ることの無かった『吐き気を催すゲス野郎』でした。
男は悪魔すらをも異質的に異性を引き寄せる魅力めいたものを持っており、最初は次々と仲間達がその男に惹かれていきました。
それは何時しか彼女の実母や、兄の妻にまで至り、誰も彼もが男のやる事は全て正しいのだと疑うことすらなく信じました。
それはつまり、美少女である彼女もまたその男に取り込まれたという事になる――――ではありませんでした。
何故だか知りませんが、その男に彼女はとても毛嫌いされていたのです。
理由なんてわかりませんが、本性を剥き出しにした男は確定的に彼女をおざなりにし、その結果、自身の親からも意味不明な信頼を勝ち取った男は、それとなく彼女をただの道具として使い捨てようとし始めました。
このままでは自分が自分ではなくなる。
そう思った彼女は、全てを捨てて逃げ出しました。
好きでもない相手と無理矢理結婚させられるのが引き金となった逃亡劇でしたが、まだ未熟な彼女はすぐにでも捕まりそうになりました。
その相手は、自分の身体だけが目的の純血悪魔の男であり、彼の好みの女性のみで構成された眷属達に取り囲まれ、自分の命運も最早これまでなのかと思いました。
『行くぜドライグ!!』
そんな彼女に光を与える者が現れました。
自分を捕まえようとする者達をなぎ倒し、守ってくれた者が。
その者は彼女よりひとつ年下の少年で、彼もまた男によって人生を破滅させられた復讐者でありました。
『キミの事は必ず守る……何があろうと絶対に』
地獄の底であろうと共に居てくれる。
自分の甘えた面ですら全て受け止めてくれた。
そして何よりも、どんな事があっても決して投げ出さず、最期まで一緒に運命と戦い続けてくれた。
自由を奪われた悪魔の少女が真に愛した少年。
それが彼の真の姿であり、本当のスタイル。
そんな少年は現在―――
「臨海学校って休めないのか?」
「無理に決まってるっつーか、行く気ねーのかよ!?」
悪魔の少女との日々を忘れられず、魂だけが異界の―――生まれたその瞬間に生涯を閉じてしまったとある少年の身体に憑依した状態で生きていた。
悪魔の少女は隣に居ない。
在るのは自身の相棒であるドラゴンだけ。
そのドラゴンにだけは自分の魂の本名で呼んで貰えるが、この世界の彼を知る者達は、彼の事をこう呼ぶのだ。
「出席しても部屋で寝てて良いってんなら別に良い」
「お前、自由時間は海で遊ぶんだぞ? それはつまり水着女子が眺め放題なんだぜ? ……マジで枯れてるよなリトは?」
――結城リトと。
ベリーハードモードが憑依してしまった4
結城リトとしてこの世をさ迷ってから16年近く。
妹の美柑に当初は、本当の意味でのリトとしての兄ではないという絶大な後ろめたさがあって、接し方に最近まで難航していた訳だが、ひょんな事から家に住み着くようになった、宇宙人の女の子によって少しだけ改善し始めていた。
しかしそれでも、リアスという悪魔の少女が傍に居なくなって16年近い時が経っても、彼女を一心に愛し続ける彼は、そのテンションもかなり落ち込み続けており、基本的に他人に関してかなりの無関心になっていた。
それは例え、特大の美少女から迫られても、寧ろ本気で鬱陶しいといった態度を一切隠さないくらいに。
そんな元赤龍帝・兵藤一誠もとい、赤龍帝・結城リトは、通ってる学校が行う臨海学校に対しても、休めるものなら休むと言い出すくらい今テンションが低かった。
休むと言い出したら本当に休みかねないと、リトとしての一誠の親友を自称する猿山という少年は、今から臨海学校の班決めを、クラス委員の春菜が仕切りながらしようとしてるのもあるせいか、何とか宥めていた。
「ええっと、男子4人と女子4人のグループを作ってから合計8人の班にします。
男子は男子、女子は女子でグループを決めたらくじ引きで班を決定しますので、皆さんよろしくお願いします」
と、言う春菜の声と共にグループ作りが始まる。
クラスの仲の良い者同士が組んでいく、中、リト自身は余り物になった所にでも入る気なのか、全く動こうとしない。
「ねぇねぇリト、一緒になろうよ?」
そんな終始つまらなそうな顔をしてるリトとは逆に、現在リトの家に住み着いてる宇宙人美少女のララが、話を聞いてなかったのか、一緒の班になろうと誘ってくる。
「聞いてなかったのかお前は? まずは男子と女子でそれぞれグループを作ってからのくじ引きで決めるんだよ」
「それは知ってるけど、私はリトと一緒が良いかなって思って……」
「クジで当たれば一応なれるから、適当に祈っておくんだな」
「う、うん! えへへ……」
心底怠そうな顔で言うリトのつまらない男感満載な態度だが、ララはニコニコと何故かとても嬉しそうだ。
基本的にリトはララに対しては『事情があって家に住まわせてる』というだけの態度を崩さず、これまた基本的に対応が冷たい。
いや、冷たいというか関心があまりにも薄すぎるという方が正しいのか。
以前、リトの寝室に侵入した時に、夢に魘されながら譫言の様に呼んでいた『リアス』という者について聞いた時ぐらいだろう、フラットな態度が一気にマイナスへと突き抜けたのは。
それ以降ララは決してリトにリアスという名の者について訊ねることはしなくなったのは言うまでも無く、当たり障り無い態度とはいえ、返答してくれるだけでも今のララは嬉しくて仕方ないのだ。
宇宙中の男共を虜にする程の美貌を持つララに対してこうまで興味のない態度を出来るのはリトが初めてだとしても、物悲しいものを感じてしまう。
「よーっし、勿論俺と組むぞリト!」
「俺はどうやら猿山と組むみたいだが、キミも早いとこ他の女子と組むんだな」
と、促されるララは既に組む相手は決まっている。
転入してから一番早く仲良くなった春菜や沢田未央なる女子やら籾岡里紗なる女子と組む約束をしてるんだとララが言っているのでその通りなんだろうし、現に3人と集まって楽しそうにしている。
「お、ララちゃんは西蓮寺と沢田と籾岡とかー」
「こりゃララちゃん目当ての修羅場くじになりそうだぜ」
「……。で、コイツはどうでも良さそうな顔を変えないと」
「……………」
人数の関係でリト達のグループは三人となり、猿山が連れてきた名も知らぬ男子一人によってグループは完成する。
クラスの誰ともほぼ関わりが無く、猿山くらいしかまともに話すらしたことがないので、この男子が誰なのかも正味どうでも良いリトのその態度に、男子は微妙な顔だが、猿山がそこはフォローする。
そしてグループも決まり、男子大半がおまちかねのくじが始まる。
どのグループもララのグループと組みたいという念が出まくりだった。
「えーっと、3番だよ」
どうやらララのグループは3の番号を引いたらしい。
男子達はそれを聞いて3番を目指して引いていき、リト達のグループが引く番になった。
「頼むぞリト!」
「どう見ても物欲センサーが無いお前が引けばきっと行ける筈だ!」
「……………………」
猿山に背中を押されてくじの入った箱の中に嫌々手を入れるリト。
ララ……そして密かに春菜が祈る中、リトが引いた番号は―――
「…………………3」
「よくやったリト! やはりお前はやれば出来る子だって信じてたぞ!」
「お前を今日からリト神様と呼ばせてくれ!」
他の男子グループ共が絶望する中、淡々とした顔で――リトの中に宿るドライグが『本当にそういう運だけは引き当てる』と笑ってたりするのを横にリトは引き当てた。
……本人は全くそんな気も無いのだが。
こうして班が決まり、班ごとに集まって軽いレクリエーションをする事になり、机をくっ付けて座る。
「ありがとうリト! 私リトと一緒で嬉しい!」
「……………」
的確に引いてくれた事がそんなに嬉しいのか、いきなり抱きつこうとしてくるララの頭を押さえつけながら阻止するリトのテンションはまだ低いままだった。
「そこで引き当ててくるなんて、運命なんじゃないのー?」
「ララさんったら、アンタが引き当てて欲しいって本気で祈ってたわよ?」
そんな様子を見て、これまた正直名前なんて覚えなかったりする里紗と未央がからかってくる。
「…………」
「うわ、相変わらず無愛想ねー?」
「もっとこう、慌てるとかないとつまんないじゃないの?」
「……………いや、ララと西蓮寺さんはわかるが、そういえばキミ達って誰だっけと思っただけだから気にするな」
「ふーん、私達の名前を知らないってなら仕方ない――――は?」
「いや、結城、アンタ私達の名前知らないわけ?」
「知らないし、正味かなり興味な――」
「へーいへいへい!! リトは人見知りが強いからな! 悪気はまったくないんだよなー! なははは!!」
そのまま『キミ達の名前なんてどうでも良い』みたいな台詞をストレートに吐こうとするリトを察したのか、猿山がわざとらしく声を張り上げて割って入る。
お陰で直前のリトの発言はなんとか誤魔化せ、未央と里紗の気分を害することもなく無事に切り抜ける事ができた。
「てか、春菜のことは知ってたって何で?」
「中学の頃、そういや同じクラスに居たってのをなんとなく覚えてたから」
「ふーん? そうなの春菜? てか結城って中学からこんなんなの?」
「そ、そうだけど悪気は無いから……」
結城リトの生体が地味に謎なので、地味に気にする二人に春菜は臨海学校のしおりをペラペラめくりながら適当に頬杖つきながら呼んでるリトをチラチラと見ながら猿山と同じくフォローに走る。
「えへへ、たのしみだねリト?」
「美柑に土産買うぐらいしか俺には楽しみなんて無いな」
まともに妹の美柑ぐらいにしかその優しさを伝える気が無いリトは無愛想で辛辣な奴という認識は出来る限りの払拭できたら良い。
異質な面にシンパシーを感じる春菜と猿山はとにかくリトのフォローを頑張るのであった。
こうして班も決まり、後は臨海学校の当日を待つだけになる。
ララはとにかく新しい体験を前にウキウキわくわくで、美柑に楽しみだと話している。
そしてそんな彼女の知らぬ所で、現在リトは先日の『怒りに我を忘れすぎての弱体化』という致命的過ぎる弱点の克服の為に、密かに精神的な鍛練をしている。
「この前はキミの気質にキレて本来の万分の一のパワーしか出せなかった。
……なんて言い訳にしかならんだろうが、それでも言ってやる。今の俺を殺すなんてキミには無理だし、無駄だよ」
「くっ……!」
そう、あの日以降――というか、胸の事に触れて以降、そっちの意味での個人的恨みで突っかかる様になった、宇宙の殺し屋である金色の闇――通称ヤミを肩慣らしの相手にしながら。
「俺の戦闘スタイルを
リアスちゃんに近い気質を持っていたのは理解してやるけど、所詮はリアスちゃんの遥か劣化でしかない」
「私はリアス・グレモリーじゃない!」
奇しくも、偶然であるとするなら、これ程までに皮肉な運命も無いと思える事実の発覚。
ありとあらゆる技術を己の物にできるというスキルを持っていたリアスと同じ才を宿していたヤミに激怒したリトは、ドライグの説得もあり、その個性を否定する事はしなくなった。
だが、ヤミの個性は認めるが、リアスに比べるまでもない劣化した
ヤミ本人も、自分をリアスと寝ぼけて間違えて抱き枕にしてきた挙げ句、胸が萎んだとか言われて頭に来たという理由と殺し屋としてのプライドもあって、必死にリトを――冷静で十全の実力である状態で仕留めてやる気でトランス能力の全てを行使して片手だけであしらうリトに挑むも、リアスと比較されるせいか冷静になれない。
「このっ……!」
「消滅の魔力か。
悪いがそれは俺も使える」
リアスの種族と血筋としての力である消滅魔力を、スキルの覚醒と共に――なによりドライグから見せられた彼の過去の記憶を見ることで扱える様になったヤミが、両手に集束させた消滅魔力をぶつけるが、リトもその力は一誠としてリアスと繋がっていこう会得できていたものなので、片手で相殺されてしまう。
「ハァ、ハァ、ハァ……!」
「ドライグがキミに余計なものまで教えてくれた時点で、本当ならキミを完全に殺してこの世から消してやりたいと思っている。
だけど、他ならぬドライグに言われてるから俺はキミにこんな施しめいた真似をしてるんだ。
どうであれ、土を付けたのは認めてやるけど、キミは俺の気紛れで生かされてるに過ぎない」
「そんな事は百も承知です……! アナタにまるで届いてないのだって流石に私でも解ってるつもりです……!
ですが、私はリアス・グレモリーの代用品なんかじゃない……! この力は確かに彼女のものかもしれません、ですが私は金色の闇であり『イヴ』です……!」
ギリギリで立つヤミが、自身の
「当たり前だろ。キミをリアスちゃんの代わりなんかと思う訳がないだろ。
嘗めんなよ? キミの1000倍は可愛いし、キミの1000倍は強いし、なによりキミのその貧相な―――っと?」
「
胸の大きさを比較する言葉を放とうとしたリトに、一瞬だけ限界突破したヤミのトランス能力の一撃がリトの頬を掠めた。
「依頼人はアナタが消しました。
けどやはりアナタだけは確実に仕留めます。
今はアナタとも、リアス・グレモリーよりも弱いけど、きっと私はリアス・グレモリーとは別の方向でアナタを追い抜いてみせる……!」
「…………」
意思の強い瞳で頬がほんの少し切れたリトを見据えるヤミ。
既に地球に到着した当初の何倍も強くなってはいるが、ヤミは目の前の絶大なる壁を越えるまでは強くなった事を認めない。
「ドライグが言ってた意味はこういう事か……なるほどね」
掠めた頬の傷が瞬く間に塞がっていく異質な回復力も……。
「心配すんな。
さっきも言った通り、俺は絶対にキミなんぞをリアスちゃんの代わりなんて思わない」
それまで子供の癇癪をいなすだけの佇まいが、ゆっくりとした動作で構えに移行するその動作も。
「誰もリアスちゃんの代わりなんて出来やしない。
例え同じ気質であろうがな」
その全身から迸る血の様に真っ赤な闘気も。
「だからキミは俺の体の良い修行相手だ。
結城リトとしての身体で全盛期を完璧に取り戻す為の……な」
そこから放たれるその力強い一撃も。
その全てがヤミの力を更に飛躍させていき、乗り越えた時こそ本当の自由になれる気がする。
ヤミは容赦の無いウェスタン・ラリアットで乱回転しながら吹き飛ぶ中、ただそう思うのだった。
終わり
密かにヤミを相手に全盛期を取り戻すリト。
しかしやがて、ヤミの存在をララに知られて、ララの表情がとても曇ってしまう事になる。
……まあ、本人は知ったことじゃないという態度のままだが。
そしてその後、ララの妹までもが地球に来て、結城家に住み着いたりするのだが、どっちも基本的にどうでも良かったのでリトは何を言われてもスルーした。
ただ、モモという名の少女に半分からかい気味に迫られた時だけはイラッとしたので、二階の窓から投げ捨てたが。
「餓鬼が。
俺の半径五メートル以内に近付くな……」
「じょ、冗談半分なのに……」
「冗談半分であろうが無かろうが、テメーみたいな一山いくらにもならねぇ雌餓鬼に嘗めた真似されるのがむかつくんだよ。
ぶっ殺されなかっただけありがたいと思え……ぺっ!」
本来の結城リトならばタジタジとなり、なんか知らないけどメインヒロインに昇格していくのだが、リアスが居ないせいで相当やさぐれてるリトであり一誠である彼の前にはまるで通用しなかった。
「モモがショック受けて引きこもっちまったんだけど……」
「だから?」
「いや、アンタがキレてる理由も理由だからあんまり言う気もないけど、少しだけ許してやって欲しいというか……」
そんな双子の妹が完全否定されたショックで引きこもりになってしまったのを見かねた姉の方がリトに許しを乞うことになったり。
「チッ、わかったよ。キミに免じて半径五メートルから二メートルにしてやる。
とにかくアレに寄られると、脊髄反射的に首の骨をへし折ってやりたくなるからな……そんな妹の死に様なんぞ見たくはないだろキミだって?」
「う、うん……感謝するよ」
反対に、ナナに対しては打算もなく、結構サッパリしてる性格のせいか、それほど毛嫌いはされておらず、寧ろ普通に話せたり……。
「えーっとね、この猫達はアンタが本気で好きなんだとさ。
なんでも、良い匂いがするとか」
「俺は猫が逆に嫌いなんだが……」
「うーん、良い匂いがするとか安心するらしいんだが――すんすん」
「……なんだよ?」
「確かに悪くないかも……と思っただけ」
基本的にサッパリしてる性格の方が仲良くなれるのか、あんまりツンが少ないナナに懐かれてしまったり。
そのせいで姉のララと妹のモモが地味にナナに嫉妬したりするのは……あんま関係ないだろう。
「にしても、パパと真正面からやりあって互角だなんて、本当にリトは地球人なのか? 金色の闇も簡単にあしらえるし……」
「さぁね……」
「それとさ、そのヤミがたまにアンタの事をイッセーって呼ぶけど、あれはなんでだ?」
「……………」
「あ、言いたくないなら言わなくて良いし、アタシも今の質問は忘れる。
…………アンタって、周りはあんまり気付いてないみたいだけど、時々寂しそうな顔するし、多分その理由のひとつなんだと思うしな」
「……………」
「あんまり無理するなよ? いくら強いからって、辛い時は抱え込んじゃダメだ。
まあ、アタシなんかに何ができる訳じゃないけど、隣に座って愚痴を聞いてやるくらいは出来るから。
それと頭を撫でるとかな?」
「……。何で今撫でる……」
「今ちょっと寂しそうな顔してたから。
ふふん、ガサツに見えて意外とアンタの事はわかるのさ……よしよし――なーんてね!」
ヤミが過去のリトを知る者だとするなら、ナナはきっと今のリトを察する者なのかもしれない。
「あ、ララ姉様やモモと違ってぺったんこでごめんな? でもこうすればちょっとは寂しくないと思うよ?」
「誰もここまでしろとも言ってないし、別にやらんでも……」
「いいからいいから! アンタにアタシが出来る事なんてこんな事ぐらいだし」
ただ、微妙に母性が成長してるのは気のせいじゃないと思う。
「……………」
「……………」
「あ、あの二人とも……そんな目で見ないでよ。
別にアイツとは何でもないし」
「でもリトはナナに優しい」
「私なんて顔見ただけで露骨に舌打ちされるのに……」
「そ、それは二人ともアイツにもたれ掛かり過ぎるんだよ。
モモに至っては、アイツが一番嫌うやり方だし……」
「へー? じゃあナナはリトさんの頭を撫でても怒られないのはどうして?」
「そ、それはわかんないけど……」
「良いなぁ……私もリトにしてみたいのに……」
「ララ姉様だったら可能性はあるけど、モモは多分、やった瞬間、頭から地面に叩きつけられるかも……」
「なんで私だけ!? そ、そんなにリトさんは私が嫌いなの!?」
「それとなく聞いたら、マジで嫌そうな顔しながら――『ドブ川に本気で叩き落としたくなる程度には嫌い』って言ってた……」
「………………」
そして最初のコンタクトを完全に間違えたモモは引き続き引きこもりになった。
嘘終わり
補足
リアスちゃんさえ居たら、コミュ強なんだけど、居ないから常時テンションが低いに加えて、前回のヤミたその覚醒で微妙に更にテンションが低い。
その2
ヤミたそー
その3
ナナたそー……とありますが、これもはやナナたそちゃう。
ぺったんこだけど、リトの心情を察知した結果、デレの方が多くて母性覚醒してしまうとか……。
まあ、嘘なんで安心してナナたそーと叫んでおきましょう。皆で