色々なIF集   作:超人類DX

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また別物。


プチクロス的な感じ


シリーズ内プチクロスもん

 頭を打った衝撃だからなのか。

 

 それとも、何か他の条件があったからなのか。

 

 そんな事なんて考えるだけでも無意味で無駄な事だ。

 

 肝心なのは、自分が何者であったのか。

 

 どう生きたのか。

 

 どんな人格だったのか。

 

 どういう精神性をしていたのか。

 

 

 その全てを思い出す――いいや、取り戻せたこの瞬間、これまでどう生きてきたかだなん死ぬほどどうでも良い。

 俺にとって大事なのは、思い出す前まで夢見たハーレム王なんかじゃない。

 

 あ、いや……ハーレム王はちょっと良いと思うけど、とにかく取り戻した今、この目の前で起こってる些細なやり取りに一々従う理由だってない。

 

 というか――――

 

 

「あー、頭打ったら死ぬほどスッキリしたし、なんか色々と思い出したわ。

いやー、ありがとう雌鴉共、お礼に全員もれなくぶち殺してやる」

 

 

 ただ一人と、その血を引く娘以外の堕天使なんて、皆死んじゃえば良いと思ってるし、今目の前にその鴉共が居るわけだから、復活のお祝いと慣らし運転として皆殺しにしてやろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 明らかに目付きと雰囲気が変質した。

 

 やりすぎた堕天使の女との戦闘により、新人となる転生悪魔となったスケベな少年が吹き飛ばされ、壁に後頭部を激突させてから、明らかに変質している。

 

 そう思ったのは、この少年がシスター見習いの少女を悪魔を辞めてまでも助けに行こうとすると宣うので、そのフォローに来たリアス・グレモリーとその眷属達だった。

 

 

「殺す? 転生悪魔風情が随分と大きく出たわね? そこのグレモリーの女に色々と教えられて多少は戦えるみたいだけど、さっき私に吹き飛ばされてるのをもう忘れたのかしら?」

 

 

 その変質に気付いていないのか、今回の騒動の元凶である堕天使・レイナーレが余裕そうな笑みを浮かべているが、それは事実だろう。

 

 何せ、彼は悪魔に転生したばかりの新人。

 神器を宿しているとはいえ、まだその力の引き出し方すらまともにできないド素人。

 

 まともに戦えば負ける要素なんてある訳が無い。

 

 それはリアス達も思っていた事なので、突然雰囲気が変わった少年に下がれと命じるが……。

 

 

「あ? ()()グレモリー先輩に指図されるのは嫌々聞いてやらん事もないが、そこの―――あー、なんだっけ? 思い出したと同時に記憶から消し飛ばした部下共にまでほざかれると、脊髄反射的に殺したくなるから黙ってろよ?」

 

「ぐ、グレモリー先輩? さっきまで部長って呼んでたのに……」

 

「ぶ、部下共って私達の事でしょうか?」

 

「明らかに敵意みたいな感情を向けられてる気がするんだけど……」

 

 

 頭を打った衝撃でおかしくでもなったのか、昨日まで男子でイケメンな木場祐斗以外の女子達にデレデレしていた筈の少年が、リアスの呼び方を突如変え、そして他の部下の『二人』には明確なる敵意を向けている。

 いや、敵意というよりは、そこら辺に落ちた紙屑か何かでも見てるような――徹底的なる見下した目をしているといった方が正しいのか。

 

 

「あははっ! 眷属に反抗されてるなんてグレモリーの名が泣くんじゃないかしら?」

 

 

 それを見ていたレイナーレが、リアスを煽る。

 だが――

 

 

「テメーは喋るなよ、雌鴉風情が」

 

「え……」

 

 

 それ以上に、堕天使に対しての狂暴性が跳ね上がった少年が、煽っていたレイナーレの真後ろにまるで瞬間移動したかの様に回り込むと、背中に拳を突き出し、胸元へと貫通させたのだ。

 

 

「ガァッ!?」

 

「なっ!?」

 

「い、いつのまに……!?」

 

 

 驚愕する面々をどうでも良さげに、そのまま貫通させた腕を横に無理矢理振るい、レイナーレの上半身と下半身をまっぷたつに引き裂いてしまう。

 

 

「な……に……!?」

 

「おーおーおー、相変わらず無駄にしぶといな鴉?」

 

「がはっ!? な、何故お前ごとき……が……!」

 

「思い出したんだよ。俺、取り敢えずとある二人を抜かした堕天使の全部がむかつくってのに。

いやー、さっきテメーが吹き飛ばして頭しこたま打ったおかげで、全部――力の使い方から何までを思い出したぜ。

だからその礼だ―――死ね」

 

 

 血反吐を吐き、地面へと横たわる上半身だけのレイナーレの頭を、そのまま容赦無く踏み砕いて殺害する少年は、腕に着いた血を近くに落ちてたはくれ悪魔祓いの服で拭き取る。

 

 あまりにも呆気なく、あまりにも残虐に他人の命を奪い取ったその少年の人の変わった様な姿に唖然となる他無いリアス達。

 

 

「っと、邪魔だなこれは」

 

 

 しかも左腕を覆っていた自身の神器をそのまま反対側の拳で砕く。

 

 

「こんな神器(ガラクタ)なんぞ必要ないぜ」

 

 

 そう言い切る少年の雰囲気は、まるで戦い慣れた戦士の様だった。

 一体何がどうなっているのか……廃教会の祭壇に奉られてる様に横たわる金髪の少女をチラッと一瞥するだけで、アレほど助けると言って聞かなかった執念が嘘の様に……。

 

 

「あーらら、薄情その2が死んじゃってるよ。

ガラクタでも引っこ抜かれたのか? まあ……どうでも良いな」

 

 

 アーシアと呼ばれし少女の亡骸に対して、興味の無い玩具を見るような目をする。

 

 それはリアスの眷属である木場祐斗、塔城小猫に対しても同じで、リアスの女王であり、先程からまるで雷に打たれた様に固まっていた姫島朱乃に対しても――――

 

 

「悪い、待たせたな朱乃ねーちゃん。今完璧に思い出した」

 

 

 いや、彼女にだけはとても優しげに微笑みながら……これまた聞いた事もない呼び方で彼女を呼ぶ。

 そう、彼は兵藤一誠という名の少年で確かに間違いない。

 

 これから赤龍帝として、この事件を機に軽く女性にトラウマを持ち、仲間達と克服してハーレム王となる物語へとなるのが本道だ。

 

 しかしながら、これは――

 

 

「アナタが私を知らないって目をしていた時はとても寂しかった……。でも、おかえりイッセー君……」

 

 

 前世の記憶を完璧に思い出した風紀委員長だった兵藤一誠の先の物語なのだ。

 

 

 

 兵藤一誠

 赤龍帝(記憶復活の際、限りなく消滅)

 

 備考

 自分を守ってくれた堕天使一家の為だけに人を辞めた――『なるべくしてなった人外』

 

 

 

 これは兵藤凛の呪いをぶち破った少年の辿らされる本来の道筋に抗うお話。

 

 

「朱璃さんは……」

 

「……。死んだわ。

そしてお母さんが殺されたと同時に私も記憶を取り戻したの……」

 

「そう、か……。ごめん……俺はまた――」

 

「言わないで! …………それでも一緒に居てくれるんでしょう?」

 

「ああ……朱乃ねーちゃんだけは死んでも守る」

 

 

 朱璃は既に殺されてる時間軸。

 しかしそれでも、朱乃は守ると改めて誓い……。

 

 

「あ、あのイッセーさん……。

イッセーさんが助けてくれたと部長さんが……」

 

「は? ……あぁ、結果的にそうなるのか? 別に礼とかマジで要らないし、キミがこれからどう生きようが知ったことじゃないんで」

 

「………」

 

 

 この前のイッセーとは明らかに変わってる事に、転生悪魔となったアーシアはショックを受け。

 

 

「がふっ!?」

 

「そ、そこまで!」

 

「なんだ、これじゃあ肩慣らしにもならないな」

 

「………」

 

 

 明らかに戦車よりも戦車めいたパワーで小猫を徹底的に叩きのめしてしまったり。

 

 

「キミは、僕や小猫ちゃんやアーシアさんに対して急に敵意を向け始めたけど、何か僕たちが――」

 

「ああ、顔が気に食わないだけで他意はないから安心してよ。

反射的にぶっ飛ばしたくなるツラなんて世界探しゃ一人や二人居るだろ?」

 

 

 見かねた祐斗に注意されたら、それ以上な辛辣な返しで黙らせたり。

 

 

「結婚? へー、そーですか」

 

「……。どうでも良さげね」

 

「正味、アンタが誰となにしようが知った事じゃないですしね。

朱乃ねーちゃんが無事であるのなら、喩えこの世界が消し飛ぼうがどうでも良い」

 

 

 朱乃に対する過保護さが記憶の復活の反動か、更に徹底的になってしまったり。

 

 

「今、ねーちゃんに触ったな? よーし、殺す……!!」

 

 

 とにかく朱乃に何かしようものなら、徹底的にその相手を潰す様になり……。

 

 

「心配しなくても、アンタの兵士となった以上は、他のお仲間連中とはそれなりに仲良くはしますよ。

単なる仕事仲間として……ですが」

 

「どうしてそこまで三人の事を……」

 

「さぁ? 姿形が気に食わない奴って居るでしょ? そんな感じですよ」

 

 

 ただ朱乃の為に。

 その為だけに更なる領域へと到達し続けていく。

 

 

「やり過ぎじゃなければ正義にもならねぇ。

昔、とある先輩が教えてくれたと言葉でね――俺ァ、徹底的にやらせて貰うぜ?」

 

 

 朱乃が守れれば、世界が滅ぼうが構わない。

 

 朱乃の想いを完全に受け入れる覚悟が出来る様になったイッセーは恐らくきっと無敵なのかもしれない。

 

 

 そして――

 

 

 

「アンタ、本当にひんぬー会長か? ……どうも知ってるひんぬー会長とは違う気がするんだが」

 

「ひ、ひんぬー? ……………貧乳って事? あはは……結構気にしてるのに……」

 

「ぷっ」

 

「! な、なに笑ってるのよ! 私の執事さんなのだから、そこは味方になりなさいよ!!」

 

「渾名の付け方が上手いと思ったから笑っただけだ。

それに、足りないのは事実だろ? くくく、ひんぬーとは言い得て妙――」

 

「そんな事言うんだ? 夜になったらそのひんぬーを寂しくてちゅーちゅーする癖に」

 

 

 何かが違う黒髪眼鏡な悪魔さんと、そんな悪魔さんの後ろに控える、黒髪の執事さん。

 

 特にこの執事さんは前世では見たことすら無かったので、イッセーは脳裡に兵藤凛のような存在が過った。

 だが――

 

 

「……! この感覚は……!?」

 

「イッセーくんと同じスキル……!?」

 

「やっぱりイッセーと同じスキルを持っていたのね。

あぁ、この世界で生きなきゃならなくなってからは顔も名前も変わってしまったけど、彼と私はアナタ達とは更に別の時間軸の者よ」

 

 

 同じ進化のスキルを持ち、更にはひんぬー会長と呼んでいた少女、ソーナから語られる話によって、目付きのかなり悪くて無口な少年が別時空の自分自身と知る。

 

 

「しかし羨ましいわ姫島さんが。

あんなにストレートにアナタを愛してくれてるじゃない? ウチのイッセーの場合は素直じゃなくて常時反抗期みたいなものだから、中々うまくいかないのよ」

 

「そういえば全くしゃべりませんわね……」

 

 

 どっちが強いかという理由で、執事と元風紀委員長がガチの殴り合いをしているのを見ながら、ほのぼのとお互いの大切な彼についてを教え合う。

 

 

「チッ、中々やるな。

本気で殴っても殴り返してくる奴なんて何時以来になるか……」

 

「…………」

 

「にしても、執事ね……。

お前もどうやらクソみたいな神にねじ曲げられちまった結果そうなったみたいだが、ある意味それで良かったと思ってるだろ?」

 

「………だったら?」

 

「俺も思ってるからな。

しかしまさかひんぬー会長とねぇ……? なに? お前ってねじ曲げられたせいてちっぱいでも好きなのか?」

 

 

 口数の多い風紀委員長と、口数がほぼない執事。

 小どころか、中や大からも構われ倒されて常時反抗期状態だったりするのだが……それは今は良いだろう。

 現在彼がまともに話せて、まともに心が許せるのは小……つまり、ソーナと呼ばれる少女しか居ないのだから。

 

 

元風紀委員長と執事くん。

 

 

永遠に始まらない




補足

いや、なのはさんシリーズ書いてたら、過保護さが徹底的になった風紀委員長系もアリかなー……なんてね。


その2

徹底的です。朱璃さんが死んでしまった後に復活したせいで余計に徹底的の中でもやばい徹底的さです。


その3
執事君とソーたん。

彼等の第一目標は元の世界に戻る事。

が、寂しさのせいで最近結構互いに慰めあってるとかなんとか。

……戻ったら色々と大変だろなー……

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