色々なIF集   作:超人類DX

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変身能力を失ったクウラ様。

彼はその代わりとなるパワーアップ方法を模索し、彼の特性に行き着く……


新たな手段の模索

 どうしようもない絶望と差。

 届くとすら思えぬ圧倒的な頂。

 

 

 その赤い眼光は鮮血の様に冷たく。

 

 放たれる覇気は戦いを挑むという気位を根刮ぎ奪い取る。

 

 人の形をした化け物はあっという間にその頂点へと君臨した。

 

 

 他を捩じ伏せる究極的なパワーだけを武器に、世界を――星をも平伏させたのだ。

 

 

 彼の目的は誰にも理解できない。

 彼が二度に渡って敗北した事実だって誰も知らない。

 

 

 本来の力を削がれている事も、本来の力はこの世界においてはまさに無敵である事も。

 

 

 強さこそが、宇宙最強であることが彼のアイデンティティなのだ。

 

 

 頂に立とうと、彼のパワーはまだ発展途上である。

 

 

 

 

 戦闘力のコントロールを確実なものへとする事で、より効率的なエネルギーの使い方が出来るという考えに至ったクウラの鍛練は実の所既に完成の領域に達していた。

 

 彼の弟がたったの四ヶ月で神の領域と同等の質まで到達する程の才能を秘めている様に、クウラもまた異質と呼ばれる程の才能と飽くなき強さへの信仰が常人の遥か速度で技を己の物へとするのだ。

 

 

(チッ、やはりこの醜い姿では『変身』など無理だったか……)

 

 

 しかしながら、肉体を文字通り変質させながら戦闘力を飛躍させる変身という一族としての特性を、人として生まれ変わった事で失っているものの、戦闘力の緻密なコントロールさえも可能にした今、新たな形態への変身はおろか、元々の変身能力も失っている為に、変身とは違うプロセスで戦闘力の向上を目指していた。

 

 

(そういえば、孫悟空と地球で戦った時、超サイヤ人となる前は赤い気を発していた……。

あの気を纏った奴は変身した俺には及ばなかったものの、パワーとスピードが確かに跳ね上がっていた様にも見えたが……)

 

 

 失った変身能力を何時までも惜しんでいても仕方ない。

 人として生きなければならないという現実もあるので、既にある程度の切り替えをしていたクウラは、この生身の状態で本来の――いや、更にそれ以上の戦闘力に到達する方法を模索していた。

 

 

 現在基本戦闘力は9700万。

 これは本来のボディよりも当然ながら劣っており、今の肉体に転生して異界であるこの星に流れ着いた時は全力を出しても4000万にも届かず、更には長時間の維持すらも困難だった。

 

 故にこの世界の情勢を知るまでは、たまたま流れ着いた場所に居合わせた八坂をパシりに使いながら戦闘力の向上と維持の訓練に時間を費やし、訓練の完成と同時に八坂と別れて本来の戦闘力に戻すためにあらゆる勢力や種族に戦いを挑み――――――そして白音と出会い、白音に訓練を施しながら今に至る。

 

 

 その結果が9700万。

 フルパワーで1億を越える程のパワーは引き出せるし、この星においてはオーバーキルにも程がある戦闘力で間違いないのだが、本来のボディの通常形態(一族にとっては真の姿)の戦闘力が1億5000万で、そこから更なる変身で4億5000万だった身としては満足なんてする筈もなく、変身タイプで無くなったのなら別の道で更なるパワーアップをしてやろうと、クウラは色々な方法を試している。

 

 そして長くなったが、その方法のひとつを考える最中に思い出した孫悟空との地球での最初の戦闘における戦闘力の変質。

 

 クウラは知らない技術だが、界王拳と呼ばれる自身の戦闘力をその倍率分上昇させるという技術だった。

 変身型のクウラにとっては当時は取るに足らぬものだったが、今となってはその技術も必要になってくるかもしれないと、当時の戦いを思い返しながら試行錯誤するのが最近の主なクウラの行動だった。

 

 

「今日はここまでだ」

 

「はぁ……はぁ……! あ、ありがとうございます……」

 

 

 勿論、白音に施す訓練に手は抜かない。

 

 

 

 

 

 

 

 夏休みも終わり、新学期が始まった。

 結局夏休み中は、一度しか白音の姿を見ることが出来なかったイッセーは、学校が始まればもしかしたら会えるかもしれないと淡い期待をしていたのだが……白音は登校して来なかった。

 

 当然、塔城小猫としての彼女の一部の一般生徒のファン達は一学期の最後辺りから一切登校してこない小猫を心配したり、会えない事に絶望する訳だが、イッセーもその内の一人であり、何と無く主であるリアスになんとか復活させた旧校舎という名の新築校舎の部室にて小猫について聞いてみた。

 

 

「あのー……小猫ちゃんが来ないのですが」

 

「来ないのは彼女がそういう気分では無いからでしょう。

私たちが強制出来る訳じゃないからそっとしてあげなさい」

 

「それはそうですけど、出席日数とかも足りなくなるし……」

 

「それは彼女の担任の先生が、保護者であるクウラにそういう連絡をするでしょうよ。

アナタが心配する話ではないし、今はアーシアに降りかかってる迷惑行為について考えてあげなきゃいけないんじゃあないの?」

 

「……」

 

 

 未だに小猫――つまり白音について一々気にするイッセーに、リアスは厳しめな口調を返す。

 イッセーが白音をやたら気にしているのは既に知っているが、それよりも優先するのは仲間であるアーシアに対して、ここ最近――あの日を境に繰り返されるストーカーじみた被害だった。

 

 犯人は既に解っていて、その相手は上級悪魔で夏休みの時に行った若手悪魔の会合にも出席していた者だったりする。

 

 リアスの実家パワーによって魔改築された兵藤邸にここ最近毎日送られる様々なプレゼント付きの手紙のせいで、アーシアはすっかり怯えてしまっているのだ。

 勿論リアスに言われるでもなく、イッセーはアーシアを気にかけているし、何時そいつに襲われても守れるように側に居る事も忘れてはいない。

 

 居ないのだが、やはり夏休みの後半に見てしまった白音の姿と、何故か居るボインな女性二人の事が頭から離れない。

 故にイッセーは突拍子のない提案をしてみるのだ。

 

 

「あのー……だったらクウラの屋敷の部屋を暫く借りて皆で住んで、そこから学園に通うってのはアリじゃありません? ある意味あそこって世界で一番の安全地帯みたいですし」

 

「『眷属がストーカーされてるので暫く部屋を貸して欲しい』って言ったら『そいつをとっとと殺せば良かろう、くだらん』と言われて門前払いが関の山よ」

 

「や、で、でも試してみる価値はありません?」

 

 

 門前払いはリアスの言うとおり、ほぼ間違いないかもしれない。

 だが白音にも会えるし、あの謎の女性二人の事も調べられるかもしれない―――と密かに考えるイッセーはかなり食い下がった。

 

 そもそも対ライザー・フェニックスの修行を頼んだら、虫けら呼ばわりされた挙げ句追い出された時点で何を言われるかの予想は付く筈だが、イッセーはとにかく白音と謎の二人の女性が気になってしょうがなかったので、ダメで元々で行ってみようと、リアスを説得しまくるのだ。

 

 そして……。

 

 

「あ、あのイッセーさん? やっぱりやめた方が良いですよ。

私個人の事なんて――いえ、もっと言えば私の存在自体あの方は認識もしてないと思いますし……」

 

「ダメで元々だけど、もし成功したら絶対な安全が保証されるんだ。

チャレンジする価値はあるぜ……!」

 

「なんでそこまで彼等に拘るんだイッセー君は……」

 

「ぼ、ぼぼ、僕は嫌ですよぉ……。あ、あの小猫さんって人に殺されるかもしれないのに……!」

 

「小猫ちゃんじゃない! 小猫ちゃんに命令するクウラが悪いんだ!」

 

「ど、どっちにしろ危険じゃないですかぁ!」

 

 

 三大勢力の会談の日が完璧なトラウマにもなってるギャスパーが泣きじゃくる。

 しかしイッセーはとにかく白音に会いたいせいか、何時も以上に強引であり、とうとうクウラの屋敷の門の前まで来てしまった。

 

 そして周囲が前向きじゃない心境のまま、イッセーが屋敷のインターホンを鳴らしてしまう。

 

 

『えーっと、何の用でしょうか?』

 

 

 ふと見ると屋敷の周辺には防犯カメラが設置されていて、どうやら自分達の来訪は見抜かれているらしい。

 明らかにかったるそうな声色をする白音に、イッセーに任せたら暴走する可能性があると思って下がらせると、リアスが来た理由を話す。

 

 

「ちょっとした相談があるのよ。

えーっと、勿論ご迷惑は絶対にかけないから少し聞いて貰いたいというか……」

 

 

 会談以降は下手に接触したら危険だったので、距離を置いていたリアスは少し緊張した面持ちだ。

 

 

『………。その常套句が本当にその通りになった試しって無い気がしますがね。

まあ良いでしょう、お客様としてお通ししましょう。今門を開けますね』

 

「っしぃ!!」

 

「「「「…………」」」」

 

 

 自動で開く門が開くと同時に、露骨にイッセーが喜ぶのを見て、リアス達は内心『絶対小猫に会うのが目的だろ』と冷めた目だ。

 とはいえだ、クウラの屋敷に暫く本当に滞在できるのだとしたら、これほど安全な場所は無いのもまた事実だったので開いた門を潜って中へと入り、暫く歩いた先にあるクウラの屋敷へとお邪魔するのであった。

 

 

 

 

 

 

 久々に近くで見た白音はとても可愛らしく、そして着ているメイド服も板についていた。

 

 

「小猫ちゃん! どうして学校に来ないんだよ?」

 

 

 だから屋敷のエントランスで待ち構えていた白音に対してイッセーはいきなりそんな事を聞いてしまう。

 

 

「え? いえ、退学処分になってるからですけど?」

 

「誰が退学にしたんだ? 誰もしてないんだぜ?」

 

「旧校舎とはいえ、敷地を破壊した時点で退学ものだと思うのですがね。

それに仮に退学になってなかったとしても、ちょっと今は通える状態では無いと言いますか……」

 

「?」

 

「まあ、とにかく此方へ、一応クウラ様がお待ちしてますので」

 

 

 背などは変わらないが、やはり胸が成していると目敏く思うイッセー達は、学園に登校する気は無いと言いながら広間へと案内する白音に首を傾げつつ広間へと通されれば、玉座の様な椅子に座る、冷たいオーラを放つクウラと――――

 

 

「クウラ様、お連れしました」

 

「む、あの者は誰じゃクウラ?」

 

「あーぁ、やっぱ告げ口されるわよねぇ……」

 

 

 クウラの近くに座る金髪の女性と黒髪の女性と金髪の少女がリアス達悪魔を見て各々のリアクションを取っていた。

 

 

「……? ……………………!?!? ちょ、ちょっと待って! あ、アナタって確か京都の……!?」

 

 

 その瞬間、一瞬見逃していたリアスはこれでもかと驚愕した。

 何故ならさも平然とクウラの近くに座ってる金髪の女性は、近々京都へ修学旅行になるイッセー達を悪魔側の特使として派遣する予定だった西の総大将だったのだから。

 

 

「部長? あの金髪おっぱいさんの事を知って――もがっ!?」

 

「黙りなさい! 彼女は京都を取り仕切る妖怪の総大将よ!」

 

「ええっ!? そ、そんな人が何でここに!?」

 

「わ、私が聞きたいわよ! い、一体どうして……」

 

 

 完全に失礼な言動のイッセーに鬼気迫る表情で叱りつつ話すリアスもイッセー同様、何でそんな存在がクウラの屋敷でこんな寛いで居るのかが分からずに、軽くヒステリックを起こしていた。

 

 

「わ、私の眷属が失礼致しました!」

 

「別に構わんよ。

少し前にそこの童が屋敷の塀をよじ登って覗いていたよりかは」

 

「覗いていた……? イッセー! アナタ何をしてるのよっ!? 何時そんな真似を!?」

 

「いいっ!? い、いやあの……夏休みの後半に一回こっちに戻ってきた時に、小猫ちゃんがどうしても気になって……」

 

「勝手にそんなはしたない真似をしないでちょうだい! 品位以前の問題よ!!」

 

「す、すいません! で、でも……!」

 

 

 サラッと八坂に暴露され、激怒するリアスにイッセー。

 内容からして、イッセーの独断だったのかとここにきて白音達も知る中、黙って聞いていたクウラが良く通る低い声で場を黙らせた。

 

 

「くだらん言い争いをする為に来たのなら、とっとと消えろ」

 

「うっ! ご、ごめんなさい……」

 

 

 足を組み、ひじ掛けに肘を立てながら頬杖をついてる姿がまた地味に画になるクウラにリアス達はただただ平謝りをする。

 

 このお陰で黒歌の影が地味に薄くなったのは幸いだったのかもしれない。

 

 

「それで?

そこの小僧がソイツ等を覗いてた等という訳のわからん真似についての謝罪なら要らんぞ」

 

「あ、い、いや……覗いてた事は私達も今知った事で……。

その、実はちょっとした相談があって……」

 

 

 最近頻繁に会う事が多くなったアザゼルから何度も念押しで『クウラを怒らせるのはやめろ』と言われていたリアスは、出来る限り言葉を選びながら、自身の眷属のアーシアがストーカーされているという話をしてみた。

 

 勿論、一応耳を傾けていたクウラは心底くだらない話を聞いている様な態度だった。

 

 

「貴様の部下が他所の誰かに迷惑を掛けられてるのなら、ソイツをさっさと殺せば良かろう。

それに、話を聞いてる限りでは、そこの小僧が白音にやってる真似に似てるのではないのか?」

 

「お、俺はストーカーじゃない! 純粋に小猫ちゃんが心配で……」

 

「自覚してない時点でストーカーみたいなものにゃ……」

 

 

 ボソッと呟いた黒歌の言葉に八坂も白音――九重までもが頷き、リアスや仲間達までもがそれを否定できなかった。

 

 

「お、俺はストーカーじゃねぇ……ストーカーじゃねぇ……」

 

「あ、あの本当に申し訳ないわイッセーが……」

 

「あー……別に良いですよ。

頭の先から爪の先まで興味もありませんし」

 

 

 遂にはブツブツ一人でストーカーじゃないと言ってるイッセーにハッキリ興味ゼロと言い切る白音。

 本人がこれで堪えるかとなれば、様子からしても無さげだが……。

 

 

「それであの、話を戻させて貰うけど、消すにしても同族で相手の地位も高い位置にあるから難しくて……」

 

「だったらそこの部下に我慢でもさせるんだな」

 

「我慢なんて可哀想な事はさせられないわ。

でも対策を施すにも時間が必要なの、私達はアナタのような力は無い。

だから暫くアナタの屋敷に滞在させて欲しいの、そうすればディオドラ・アスタロトは間違いなく手を出せないから……」

 

 

 ある意味最強の抑止力であるクウラの傍ならば相手も何も出来ない。

 ある意味で理には適ってる話に、聞いていた八坂は馬鹿馬鹿しいといった顔をしていたクウラに話しかける。

 

 

「なるほどの。

確かにクウラの近くに居ればそ奴は何もできんし、やって来た所で排除も可能になるという訳だ。

どうするクウラ? 相手にする必要という前提を抜かしても、恩を売って色々と寄越させるという意味では悪くないのではないか?」

 

「…………」

 

 

 と言いつつ然り気無くクウラの傍まで近づく八坂に、白音がムッとした顔をする。

 

 

「そこの先輩さんから覗かれる可能性もありますがね。

あぁ、アナタがそこの先輩さんにヤらせてあげれば良いんでしょうけど?」

 

 

 言い方が割りとキツくなってる白音にリアス達が驚く中、八坂はクスクスと笑う。

 

 

「童にくれてやる身は無い。

お前こそ、童に好かれているようじゃから、わらわ達の為に夜伽の相手になればよかろう?」

 

「……………よーし、ここまで我慢してましたが、一度貴女はぶちのめさないといけない訳ですね。

表に出てくださいよ、刹那で殺して差し上げますから」

 

 

 

 ……と、珍しくうんざりしてる顔のクウラを左右から挟んで争う八坂と白音。

 動く度にどっちかの胸ががっつりクウラの顔面に入るので、それを見ていたイッセーが血涙を流す勢いで悔しがるのだが……。

 

 

「黙れ。低俗な争いを俺の横でするな、鬱陶しい」

 

「ぐへ!?」

 

「ぎゃん!?」

 

 

 見えない衝撃波を放ち、二人を吹っ飛ばした。

 それぞれしこたま壁にめり込んで目を回すのを見て。黒歌が内心『あーぁ』と思い、九重は然り気無く二人が居なくなった後に、クウラの真横に立ってキラキラした目でクウラを見る。

 

 

「そこの小僧に俺の所有物を貸す気は無い」

 

「ま、また所有物って……」

 

「イッセー! 勿論そんな事はありえないと誓うわ……! 覗きも絶対にさせない……!」

 

 

 クウラなりに白音を部下として認めてる証なのだが、やはり所有物呼ばわりはイッセーにとって嫌な響きだったが、リアスに黙らされる。

 

 

「そこの小僧には用がある。その用が済むまではこの屋敷の部屋を貸してやろう」

 

 

 そんなリアスにクウラは珍しく聞き入れたので、頼んだ方のリアス達のほうが驚愕してしまった。

 

 

(小僧の神器のパワーはさておき、その効力は白音から聞いた限り、孫悟空のあの技術に似通っている。

暫く小僧のパワーを体感し、それを再現すれば或いは……)

 

 

 その本音はアーシアのストーカー被害のお助けなんてものではなく、イッセーの神器の力を参考に界王拳の技術を物にするという思惑があったからだ。

 

 

「部屋は白音に案内させる。

起きろ白音!」

 

「……はい」

 

 

 更なるパワーを手に入れる為に。

 

 

 

 

 

 

 

 意外にもリアス達を暫く滞在させる許可を出したクウラ。

 空いてる部屋を案内させ、戻ってきた白音は意識を取り戻した八坂や黒歌にその理由を訪ねられるのは当然だった。

 

 

「何故あの連中を? デメリットしかないと思いますが……」

 

「私一応はぐれ悪魔で、向こうからしたらお尋ね者なんだけどな……」

 

「理由がちゃんとあるんじゃろう?」

 

「聞きたいぞ」

 

 

 特に白音と黒歌はデメリットしかないので軽く嫌そうな顔だったが、クウラは淡々と理由を話す。

 

 

「なに、小僧の神器とやらの力が気になっただけだ。

俺が会得しようと考えている技術の参考に参考にしてやろうとな」

 

「技術……ですか?」

 

「ああ、当然白音よ、俺が会得した暁にはお前にも会得して貰う。

もし成功すれば、お前の戦闘力は100万くらいには一時的に上昇するかもしれんしな」

 

「え、じゃ、じゃあ半分は私の為……?」

 

「一応はな……。

それと黒歌、お前ははぐれとやららしいが、仮にそれに奴等が気づいた所でこの場所に居る時点で何もできやしないだろうから一々不安がるな」

 

「え、あ……い、今私のこと初めて名前で……。

それに、今のはアレなの? 守ってくれる的な?」

 

「白音がな。俺は知らん」

 

「だ………だよねー……。

そこまでハッキリ言われると軽く傷つくにゃ……」

 

 

 白音は自分の為でもあると言われて一気にニコニコと明らかに喜んでいて、黒歌は複雑そうに笑みを溢す。

 なんやかんやで白音の身内である黒歌にはそれなりの待遇はあるらしい。

 

 

「八坂、九重、黒歌……それと今は居ないがオーフィスか? 貴様等はどうやら俺に付くつもりなのは、ここ暫く見ていてわかった。

だが、俺の役に立たん奴に価値は無い。俺にとって価値があるのは強者だ。

故にこの先俺に付く気があるのなら、戦闘力を上げろ……でなければ消えろ」

 

 

 が、やっぱり厳しいところは厳しく、戦闘力を上げる気が無いなら容赦なく切り捨てると、ここで完全に宣言する。

 

 

「白音はある程度その水準を満たした。故に俺の所有物だ……だがお前達には今その価値はない。

わかるな? 俺に付きたければ価値を示せ」

 

「わ、わかったわ……! どの道ここから追い出されたら終わるし、必死になるしかないにゃ」

 

「あの小さかったクウラにこんな事を言われるとは……。

でも何故じゃろうか……背中がゾワゾワしてくる」

 

「が、頑張るぞ!」

 

 

 ただ付かせる気はない。

 どうせなら全員戦闘力をマシな位置へとさせて独自の勢力を持つ。

 

 

「のうクウラよ、もしお前さんの所有物になれたら夜伽の相手にして貰えるのかの?」

 

「ご心配なさらずとも、クウラ様は中古のおばさんに興味なんてありませんから」

 

「初物しか武器にならない小娘にも興味がないと思うがのぅ?」

 

「またその話か。

地球人は何故そんな事ばかり気にするのだ」

 

「えーっと、二人が特別クウラが大事だから……じゃない?」

 

「良いなぁ……私も早く大人になりたいぞ」

 

「やはり理解できん……」

 

 

 宇宙最強へとなるために……。

 

 

「よ、夜伽って……こ、小猫ちゃんもなのか!? な、なんて羨ましい……ずるいぞ……!」

 

「さ、さっき怒られたばかりなのにまた覗くのはやめようよイッセーくん!」

 

「ほ、本当に殺されちゃいますよ……!」

 

 

 




補足

まあ、元ネタがまんま界王拳ですしね。

ドラゴソボールなんて観たら無意識にテレビに向かってデスビームぶっぱなしそうだけど(笑)


その2
故にその特性に近い赤龍帝の特質を解析しようと、珍しく懐に一時的に入れてみたクウラ様は、さっさと会得した後に白音たんにも教える気満々らしい。

……これで第二のストーカーである彼はアーシアたんぬ何もできなくなりましたとさ。


その3

仲は悪くないんですよ普段は。

けど、クウラ様の事になると一気に小競り合いが始まるらしい。


その4
クウラ様の子供とかさ、もろ一族復興やん。

某カテゴリーである『最凶の一族』が構成できそうやん?

クウラ様をその気にさせる事ができればだけど……。




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