色々なIF集   作:超人類DX

484 / 1034
前回の続きを終わらせる為の時間稼ぎみたいな話なんですよ。

内容のチョイスの理由としてはですね……ファンなんです。


※※※全力のマジでふざけた話

 ムカつく野郎だァ!!

 

 

 猿と見下していた奴等からの一度目の屈辱を晴らす為だったのに、またしても自分は敗北した。

 

 何が足りなかったのか、どこに落ち度があったのか。

 一度は完全に追い詰めた猿共に今度こそ敗北した俺はその意識を手放しながら考えても解らない。

 

 二度の敗者となった自分に考える権利すら無い。

 

 猿共に負けた……それだけが俺の現実なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 悪以上の悪。

 全てを蹂躙する帝王の力。

 

 身も心もボロボロとなった自分の前に現れたその男は、恐らく誰が見ても善人では無いと言うだろう。

 

 だけど、弱き者であった少女はその悪の男が英雄に見えた。

 

 

「チッ、よりにもよってこの俺が猿にも劣る地球人として生まれ変わってしまうとはな……。

力も本来の俺の遥か劣化……まったくもって忌々しい……!」

 

 

 全てを射抜く赤い眼光。

 派手にも見える紫色の頭髪。

 何より放たれるオーラは邪悪そのもの。

 

 

「月にすらやっと到達できる低レベルな文明では、宇宙船すら手に入れられんし、この程度の雑魚では力を取り戻すことすらも叶わん。

あの猿共のお陰で俺は死してもこんな屈辱を……!」

 

 

 言葉の節々に感じる誰かへの恨みは、普通なら誰も近付こうとはしないものを感じた。

 けれど少女は頼れる者との離れ離れにされ、今も襲われていた所を『通り道の邪魔』という理由だけで皆殺しにしたこの少年が正義のヒーローに見えてしまったのだ。

 

 きっと恐らく、これが少女の分岐点なのかもしれない。

 本来は赤い髪をした悪魔に拾われ、再起する筈だった少女の……。

 

 

「ま、まって……」

 

「? さっきの雑魚に殺されかけていた小娘か。

何の用だ、折角拾った命を無駄にするつもりか?」

 

「拾っても、私には行く場所が……無い……! だから――」

 

 

 人として生まれ変わってしまった宇宙の帝王の兄と、白い猫はこうして出会った。

 全てをはね除ける圧倒的なパワーを持つ男に憧れ、着いていこうとする猫の――

 

 そして月日は流れていく― 

 

 

 

 

 

 

 

 塔城小猫はその年齢では考えられない程のパワーを持った少女だ。

 拳を振るえば地面が割れ、空を蹴れば天の雲が裂け……。

 

 言ってしまえば将来性が抜群な少女として、天然ドSの主に拾われてから逞しく生きた訳であり、どこにも所属していないというのもあって、ある界隈では彼女を勧誘してみたいと思う者達もチラホラ居たのだ。

 

 その一人が悪魔という種族のリアス・グレモリーだった。

 

 

「アナタを狙う者は決して少なくは無いわ。

けれど私達の仲間になれば狙われるリスクは一気に減る。どうかしら?」

 

「何度もお声掛けしていただいて恐縮ですが、自分の身は自分で守れますから……」

 

 

 長い赤髪を持つ美しい少女の言葉を丁寧に断る小猫。

 純血悪魔のグレモリー家の者に勧誘され始めて久しいが、小猫はずっと彼女達の勧誘を断ってきた。

 

 彼女も、彼女の仲間達も自分を誘いたいみたいだが、小猫は既にある意味での身の安全が保証される場所を手に入れているし、何より主から『自分より弱い奴に頭を垂れるな』と言われているので、従う気はまるでない。

 

 

「やっぱりアナタの言う主という者が反対しているの?」

 

「いいえ、あの人は基本的に何も言いませんよ。

多分私が目の前で殺されてしまおうが、良くて舌打ちするくらいでしょうか?」

 

「……そんな相手を主と見てるアナタって変わってるわよ」

 

「ワイルドな所が好きですので」

 

 

 リアスも主である彼の事は知っている。

 悪魔よりも非情で、放つ力は人を遥かに越えている。

 

 だからこそ厄介な存在であると認識しているのだが、下手に刺激もできない。

 小猫の発言に傍で聞いていた最近転生悪魔になった少年がショックを受けた顔で騒いでるが、恐らく現物を見たら突っ掛かる気も失せるだろう。

 

 それ程までにあの男は常軌を逸しているのだ。

 

 

「一応協力関係にはなっているし、それでは駄目なのですか?」

 

「他の勢力がアナタ達にもっと良い条件を突きつけて鞍替えされる前に……って思ってね」

 

「うーん、あの人は条件とかでは動かないから心配しなくても良いと思いますが……」

 

「あの部長? さっきから誰の話をしているんですか?」

 

 

 リアスと小猫の会話の間に、先ほど小猫の発言にショックを受けていた少年が口を挟む。

 

 

「彼女の主。私達の取引相手の事よ」

 

「小猫ちゃんの主? あ、主ってつまりその男らしいですけど、まさかエロイ関係だったり……」

 

「悪魔に転生してもそこら辺は変わりませんね先輩さんは? ご期待に応えられなくて申し訳ありませんが、そんな事は無いですよ。

……まあ、あってくれたら少しは良いかなとは思ってますけど私は」

 

「なぬぅ!!」

 

 

 なぜか一人で憤慨する少年。

 取引の結果通うことになったこの学校で、スケベで有名な少年はどうやら小猫もそんな対象として見ていたらしい。

 悔しがる姿を見て苦笑いする面々に小猫もちょっと笑っていると――

 

 

「あ、噂をしてたらどうやら来たみたいです」

 

 

 小猫だけが感じる事の出来る主の気配がここに来た事を教えると、同時に今居るオカルト研究部の部室の扉が開かれる。

 

 

「……………………」

 

「うっ……!」

 

 

 開いた扉から現れたのは、目付きの鋭い紫色の髪を持った青年だった。

 無機質な表情をした青年の登場に、それまで緩んだ空気は一気に張り詰め、騒いでいた少年も洒落の通じなさそうな者の出現に声を詰まらせた。

 

 

「クウラ様……どうしてここに?」

 

 

 そんな緊張感のある空気の中を平然としていた小猫は、とてとてと青年の傍へと近付いて、学生をやってない筈の主――クウラと呼ぶ青年に訊ねる。

 

 

「お前が指定した時間になっても戻ってこないから様子を見に来ただけだ。

俺は無駄な時間が嫌いだ」

 

「あぁ、それはごめんなさい。

ちょっと立て込んでましたもので……」

 

「………だろうな」

 

 

 自身の胸元くらいまでの背丈である小猫を目線だけで見下ろしていたクウラ青年の視線が、ソファに座っていたリアスとその傍に居た仲間達へと向けられる。

 

 

「えっと、暫くぶりねクウラさん? 約束していのに引き留めていたのは謝るわ」

 

 

 赤い両目に射抜かれて平謝りするリアスにクウラはチラリと先程騒いでいた少年を見る。

 見られた少年は思わず呼吸を忘れるくらいの緊張をする中、それに気づいたリアスが紹介する。

 

 

「私の新しい眷属よ」

 

「お得意のお仲間増やしか。

ご苦労な事だな」

 

「そうでもしないと、私達の種族も数が減っていく一方だもの」

 

「どうでも良い。

貴様等から持ち掛けた取引にこちらは応じてやってるに過ぎない関係なのだからな。

それで、コイツにまだ用とやらはあるのか?」

 

「いえ無いわ。引き留めて悪わかったわ」

 

「フン、帰るぞ白音」

 

「はーい」

 

 

 さっさと踵を返して帰るクウラに言われて、小猫は間延びした声で返事をしながらその後についていく。

 勿論去り際にお辞儀はしたが、クウラは勿論何もしなかった。

 

 

「相変わらずの威圧感ね。

小猫さんはよくずっと彼の部下をやっていられると思うと感心するわ」

 

「だ、誰なんすかあの男? 年は俺等とそう変わらなそうでしたけど」

 

「クウラ。

ここ数年の間に突然現れた強い力を持った者よ」

 

 

 完全にビビってる少年に説明したリアスは失敗した勧誘に対して力を抜く様にソファに座り直す。

 

 

「四名の魔王様と数年前、互角以上に戦ったという事もあって取引をしたのよ。

だから我々下の者達は下手な事を言って彼を怒らせてはならないの。アナタも肝に命じておいてねイッセー?」

 

「は、はい……」

 

 

 人の姿ではあるけど、人には思えない威圧を放つクウラにイッセー少年はすっかりびびって何度も首を縦に振った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勧誘されました」

 

 

 そんなクウラ相手に唯一と云って良いほど普通に話し掛けられる様になっている小猫はというと、悪魔達との取引によって手に入れた家に戻る最中、自分が勧誘された話をクウラに話していた。

 

 

「私って意外と将来性があるみたいなんですって? クウラ様に鍛えられたお陰ですよこれも」

 

「俺の部下としては話にもならんがな。

今のお前では機甲戦隊の中の一人にもなれん戦闘力だ」

 

「宇宙人と地球人では地力の差もあるんですって。

ましてや異世界じゃないですか」

 

 

 この世界では相当な力を持つ小猫でも、クウラやクウラが生きてきた世界では塵にも等しい。

 どんな手を尽くしても元の世界に戻れぬ事を悟らされたクウラは、だからこそ最初は無視をしてきた小猫を使える手駒程度になるまで鍛えてやっていたお陰か、今の小猫は手から光線は出せるし、クウラの得意とする目からビームも出せる様になっていた。

 

 

「今の貴様の戦闘力はせいぜい10万程度、身体が成体に成長する前に300万にはなって貰わなければ価値なぞない」

 

「わかっています。

絶対にクウラ様の期待に応えますから……!」

 

「ふん……」

 

 

 10万の時点で、この世界の存在としては破格だったりするのだが、悲しいから、この世界において少しずつ力を取り戻して億に到達しているクウラの提示するハードルはまさに鬼畜なレベルだった。

 

 

「でもクウラ様って本当は宇宙人で、変身とかできたんですよね? 私達とそう変わらない姿になった今、変身とかできるんですか?」

 

「恐らくは無理だが、変身した時と同等の戦闘力へと底上げさせる事は可能な筈だ」

 

「だとしたら誰もクウラ様に勝てないですよねー

最近神様の一人をぶっ飛ばしてましたし」

 

「あんな雑魚がこの世界で神を名乗れたと知った時は拍子抜けだったがな」

 

 

 完全に懐いた野良猫みたいにクウラの後ろをひょこひょこと付いてくる小猫。

 それが彼女にとって幸せなのかどうかは別として、今を生きる彼女の顔はある意味で満たされている様子だった。

 

 

「はー、それよりお腹空きましたし、早く帰ってご飯にしましょうよクウラ様!」

 

「まるでサイヤ人の猿だな……」

 

「ええ? 私猿じゃなくて猫なんですけど?」

 

「下品な食い方が似てるだけだ」

 

 

 クウラ

 ヒューマノイドに転生

 

戦闘力・本来のクウラ最終形態未満。

変身・不可能。

 

 

部下・白音

 

 

 塔城小猫

 戦闘力・10万

 主な必殺技・破壊光線(クウラ先生直伝)

       サウザーブレード(腕に気を纏って切り裂く)

 

 死にかけた所を宇宙の帝王の兄に結果的に助けられて懐いた度胸だらけの白猫。

 

 

 

 現在状況

 悪魔側からに持ちかけられた取引によって地球にて不自由なく暮らしている。

 この世界での行動遍歴

 

 クウラ、死にかけていた猫を結果的に助ける

 

 小猫、力こそパワーをそこで学ぶ

 

 クウラ、とりあえず手駒として猫を部下にしながら鍛える

 

 小猫、使えないと判断されたら捨てられると思って全力で食らいつく。

 

 クウラ、他種族の存在を知り、力を取り戻すために喧嘩を売りまくって戦闘力戻し始める。

 

 小猫、その戦域に参戦して戦闘力をあげていく。

 

 クウラ、各勢力から停戦願いを出される。

 

 小猫、それを近くで見て『あれ、この人何気に世界制覇してね?』と思う。

 

 クウラ、現在かつての最終形態相応の戦闘力に戻ろうと自己鍛練続行中

 

 小猫、取り敢えず戦闘力を高めていくのと同時に周期的に来る発情期に困ってしまってクウラに若干の期待込みでしてみても『知るか、自分で処理しろ』と言われて軽く凹むも、『お子さま体型だからダメななのか』と最近豊胸修行中。

 

 クウラ、最近小猫の姉に仇の如く恨まれるもこれを一蹴する。

 

 

 未来永劫続かない。




補足

某ソシャゲで変身クウラを手に入れた訳で、使ってみるとこれがまたエグい性能なんすよ。

カテゴリーというリーダースキルも有能ですしね。


その2
えーっと、小猫たんが強いんです。
それだけです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。