色々なIF集   作:超人類DX

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うーんと、前回の続き的な。


この龍神ちゃんは……凄いマセてます。


半分の記憶と龍神ちゃん

 この世界の自分と被るから顔の形を変えようと思う。

 

 

 15年程前にそんな事を言ったらババァとセラフォルーに死ぬほど怒られた事があった。

 なんでも、歳を重ねた差は絶対にあるからそこまでする必要は無い……とかなんとか。

 

 まあ確かに、この前この世界を見た後に自分の鏡を見てみたら俺の方が若干老けてる気がしないでもないが、初見でそれに気付けるのは俺か彼の近くに常に居た者くらいだろ。

 

 だからやはり一発でわかりやすくするために片目でも潰して眼帯装備でもしてみるか――と、それとなく今日の朝食の席でババァとセラに言ってみたら……。

 

 

「嘘でもそれやったら死ぬまで地下に監禁するから」

 

「二年半は引きずり続けますから」

 

「……………」

 

 

 どうしてもダメらしい。

 髪型をせめて変える程度なら容認してくれたけど……。

 いやまぁ、片目潰れたってどうせすぐ再生しちゃうくらい身体自体が進化しちゃってるから意味なんてないんだけどさ、どうも自傷する真似をするのが二人にとってタブーらしい。

 

 昔の俺なら全部無視して実行してただろうけど、()はそんな気にもなれないからなぁ。

 ………多分『アイツ』も似た様な事を言うだろうしね。

 

 

 だからこそ思うんだよね――

 

 

 

 

 

 

 

 俺は一体どっちなんだ……?

 

 

 

 

 

 

 

 兵藤一誠達は夏休みの期間をリアスの実家で過ごす事になった。

 勿論、単に遊びに行くわけではなく、滞在中は転生悪魔としてのスキルアップやら様々な催し物の出席、マナーの学習等々――新人悪魔であるイッセーやイッセーとの邂逅により転生することになったアーシアや、聖書の神が死んだ事で自棄になって転生したゼノヴィア辺りが少々大変そうなスケジュールであった。

 

 そんなスケジュールを前に、実の所イッセーは密かな楽しみを抱いていた。

 それは、夏休みの前に会った、自分そっくりの男……ギルバという男と再会したいという楽しみが。

 

 

「会える保証は無いわよ? あの方は普段は殆ど表舞台には立たない方だし、何よりもレヴィアタン様の将軍。

会わせてくれと頼んで会えるお立場では無いわ。

それを考えると、会える確率が高いのはソーナの眷属達の方が会える確率が高いわね」

 

 

 リアスはそう言うが、可能性はゼロでは無い。

 会った所で自分が何か出来る訳じゃないが、それでも何となく話をしてみたいのだ。

 会って語り合いたいのだ――――女性の乳の可能性についてを。

 これを言ったら周りに怒られるから、今のところ内緒だが、イッセーにはわかるのだ。

 

 彼は絶対自分と同類の男――否、おっぱいをどこまでも求道する修羅の漢なのだと。

 

 

 

 

「そろそろ頃合いだと思うのだがね?」

 

「何が……?」

 

「結婚です。セラフォルーとの」

 

「……またその話か。

アンタ等は俺と会う度にそれしか言えないのかよ?」

 

 

 イッセーにおっぱい求道者扱いされてるそんな、若干老けてる方のイッセーことギルバはといえば、セラフォルーの妹であるソーナが眷属を連れてシトリー家に帰省してきたということで、セラフォルーの眷属としてかてヴェネラナだった女性悪魔ことシャルロットと共にシトリー家へとお邪魔していた。

 そして来るなりセラフォルーとソーナの両親に連行されて、結婚の話をせがまれていた。

 

 

「純血種じゃない俺に、純血種の大事な娘をやろうとするなよな」

 

「そういう所だけ懐古的な考えを持ち込むのは卑怯だなギルバ? そもそも今の社会の原型を作り上げた功績者とも言えるキミだからこそだと思うぞ?」

 

「ええ、それにアナタは息子も同然。最早シトリー家のギルバでもあるのですから」

 

「…………」

 

 

 この世界のイッセーが本格的に悪魔として生きている事を理由に、髪型を無理矢理変更し、シャルロットの趣味で付けさせられたモノクルを左目に掛けた姿のギルバは、この世界でも義親化してるシトリー両親に微妙な顔をしていた。

 

 生まれた時代が本来よりも遥か前で、セラフォルーより若干程年下として存在していたギルバは、かつてグレモリー家とシトリー家の執事をしていたのとは違い、現在はシトリー家の執事長をしていた。

 

 それはグレモリー家のメイド長を勤めてるサーゼクスの嫁ことグレイフィアに何でかこの二人が対抗してギルバを立てたことに由来しているらしい。

 

 

「そろそろサーゼクス君の所みたいに孫が見たいんだ」

 

「お婆ちゃんと呼ばれたいのよ……ね? 今夜辺りでも本気出して……」

 

「気が向いたらで……。仕事あるので失礼する」

 

 

 シトリー家の紋章が金糸で胸元に刺繍された燕尾服を着ているギルバは、会う度に『はよ貰えや』と煩い義両親を適当にあしらいながら逃げる様に退散すると、部屋の前で聞き耳でも立ててたのか、シャルロットが待っていた。

 

 

「グレモリー家との縁が無いせいか、余計に押してくるわねあのお二人は……?」

 

「実は前世じゃ俺のせいで完全にグレモリーとシトリーが断絶したって言ったら卒倒するだろな」

 

「だったら今度こそそれを阻止したら良いじゃない? 何故頑なに拒むのかしら?」

 

「さぁてね、単に俺から踏み込むのが怖いだけかもな」

 

「………」

 

 

 バアル家の本家と大分揉めた結果、ギルバがほぼ誘拐同然に連れ去ってセラフォルーの僧侶になったヴェネラナことシャルロットがギルバの言葉に苦笑いする。

 

 

「踏み込むのが怖い……か。

反抗期が終わって少しばかり素直になった今でもそこは変わらないのね……」

 

「臆病なだけだ。

アンタ達に世話になってる恩は確かに持ってるが……」

 

「………」

 

 

 言葉を濁しながら、並んでシトリー家の屋敷の廊下を歩くギルバを見て、シャルロットは内心『嘘ね……』と思う。

 

 ヴェネラナとしてではなく、かつての世界では存在すらしていなかったシャルロットとして生を受けた彼女には、始祖の先祖返りとすら言われる程の高いバアルとしての才能を持ってしまった。

 

 それだけならバアル家して優遇されるのかもしれなかったが、問題は彼女が先々代の当主の不倫の結果生まれた存在だった。

 お陰で才能があると発見された時は幽閉されるしで、お世辞にも良い人生では無かった。

 

 が、それを物理的なパワーのごり押しで檻を壊して助けてくれたのが、まだ生まれる筈もない――ギルバという名前を使う事になっていた義息子のイッセーだった。

 

 曰く『ババァの気配がしたから適当に暴れた』と言っていたが、それが大当たりだったし、自分と分かった途端、バアル家の殆どを半殺しにして無理矢理『yes』と頷かせて連れ出してくれた。

 

 力は持つけど、心が弱かった守るべき息子に助けられた。

 それが母として嬉しかったシャルロットは同じ記憶を持つセラフォルーの僧侶になることで自由を取り戻せた。

 

 だからシャルロットは彼に母として感謝していた。

 ―――ただ一人の悪魔の女としても。

 

 

「それにアイツの事もあるからな。

もし仮にセラと結婚したとしよう―――アイツが暴れだしたら止められるか?」

 

「まあ、冥界がまるごと消え去るのを覚悟しなければならないかも」

 

「だろ? アイツは俺の特性も持っている上に、フィジカルからしておかしいし」

 

 

 この世界のヴェネラナが無事にジオティクスと添い遂げられたのは嬉しく思う。

 それ故に彼女は義理の息子の彼に対して少々――いや、結構な依存をしている。

 

 それこそ、シャルロットとして彼を――――

 

 

「おいババァ、なにボーッとしてんだ。早く行こうぜ?」

 

「……ん、わかったわ」

 

 

 ヴェネラナに容姿が似ているからと、だて眼鏡をかけて髪を後ろで一つに纏めた冷たい雰囲気の美女となったシャルロットは、前を歩くギルバを追い掛けながらその想いを募らせていく。

 

 

 

 匙元士郎にとって、敬愛する会長ことソーナの実家は初めてであり、またその規模の大きさにため息の様なものばかり吐いてしまう。

 

 そしてなまじ自分と同時期に兵士となったイッセーを知ってる身だからこそ、髪をオールバックにしてモノクルを掛けて、燕尾服を着て淡々と自分達をもてなすイッセーに似た男に違和感を覚えてしまう。

 

 

「ああ、久し振りのギル兄様のご飯。

やっぱり美味しいです!」

 

「ありがとうございます、ソーナお嬢様」

 

「ふっふーん、おねーちゃんは毎日食べられるけどねっ☆」

 

「………むむ」

 

 

 

 いや、イッセーよりも遥か昔の時代から転生悪魔を――しかも今ソーナに対してどや顔してるセラフォルーの眷属をやってる男なのは聞いているので知っているが、それでもイッセーを先に知ってしまってる元士郎や他の眷属達にしてみれば、あんな落ち着いた――言い方を変えたら淡々と抑揚が無さすぎる顔で給仕の仕事をしているのには違和感しかない。

 

 特に元士郎にしてみれば、ソーナとのやり取りが面白くもない。

 

 

「ギル兄様とシャルお姉様もご一緒しましょうよ! 良いですよねお父様、お母様?」

 

「私は一向に構わないよ」

 

「ソーナもこう言っている事だし、二人も一緒に頂きましょう?」

 

「「はっ」」

 

 

 普段のしっかり者のイメージそのままのソーナとは思えないくらいに……こう、少女チックというかなんというか、とにかく懐いている様な態度をソーナにされてるのが、できちゃった結婚を夢見る彼としてはとても面白くない。

 

 

「食事を共にするから口調も戻しなさい、良いね?」

 

「は? …………はぁ、はいよ」

 

「よしっ! ねぇギル兄様? 夏休みの間はずっと居るんですよね?」

 

「え? ……えーっと、セラが仕事さえサボらずに、苦情が来なければ――」

 

「お姉様? サボったら二週間は口を聞きませんからね?」

 

「げっ!? わ、わかったよぉ……。ソーたんは手厳しいなぁ」

 

 

 

「………」

 

「あんな会長、初めて見た……」

 

「ね、凄いなんというか、凄いね?」

 

 

 すっげー面白くねぇ。

 別に彼が悪い事をした訳じゃないのは重々承知なのだが、元士郎はとても面白くなかった。

 

 

 そんな気分では当然飯もあまり喉に通らなかった元士郎は、自由時間ということで少しシトリー家内を探索していた。

 あまりの広さに少し迷ってしまったりする中、彼が考えてたのはギルバという男だった。

 

 

「会長と仲良さそうだったな……」

 

 

 一言で云うなら軽い嫉妬が入ってるのだが、本人が聞いたらきっと『いや、絶対にありえないから』と言うだろう。

 

 

「ん……?」

 

 

 まだ若いが故の感情を持て余す元士郎少年。

 そんな彼がふと窓の外を見ると、ちょうどシトリー家の中庭が見えたのだが……そこに彼がYシャツ姿で何かしているのが見えた。

 ……そんな彼を近くで腰掛けながら見ているセラフォルーとシャルロットなるメイドとソーナも。

 

 

「……………」

 

 

 ムカッとしてしまったのはまだ若いからだろう。

 そして何より、誤解が解けるまであまり良い印象をイッセーに持ってなかったが故なのもあるだろう。

 元士郎は何をしているのかというのも気になった上で、こっそりと中庭に近づいてみることにした。

 

 

「フッ……! ハッ……!」

 

「ああ、久し振りのギル兄様の修行風景……!」

 

「分かったから、スマホで撮影とかしようとしないでよソーたん……」

 

「別ベクトルながらも変わらないというか……」

 

 

 そして近づいて直ぐにムカッとした。

 どうやら彼が中庭を使って修行なんかをしているらしいが、その姿をあのソーナがスマホに収めてるのだ。

 すっごい楽しげに。

 

 

「あの、俺何時までシャドーしないといけないの? そろそろセラかシャルと組手したいんだけどな……」

 

「ま、まだです! ギル兄様のYシャツの下に覗く鎖骨を撮ってませんから!」

 

「………………」

 

 

 しかもなんか変態チックなフェティシズムまで軽く暴露された気がしてますますムカムカしてきた。

 スマホ片手に、キャーキャー言ってるソーナのキャラ自体が初見で驚く所だけど、今の彼はギルバに対する嫉妬と対抗意識で一杯だった。

 

 

「……………そこの物影に居る方、別に隠れて見るものでもないので出て来ても構いませんよ?」

 

 

 挙げ句の果てにその嫉妬相手に見ていた事がバレてしまった。

 元士郎は対抗心から来る気性もあり、ちょっと睨む感じの目付きでギルバを見ながら姿を晒す。

 

 

「サジ? 何をしてるのよ?」

 

「……偶々歩いていた中庭でなにかされてるその人を見付けて気になっただけっす」

 

「ふーん?」

 

 

 ふーん? ふーんだけ!? なんか適当な感じになってるソーナに軽くショックの元士郎はますますその元凶化してるギルバに嫉妬する。

 

 

「あの、何か貴方様を不愉快にする真似をしてしまいましたか私は……?」

 

「いえ……別に?」

 

 

 思わずそんな目で睨んでいた元士郎の視線に気付いのか、少し困惑した顔のギルバ。

 ギルバにしてみれば、元士郎という男はカテレア・レヴィアタンとそのまま添い遂げた記憶しかないので、彼がソーナを好いていて、自分に嫉妬してるとは思わなかったらしい。

 

 

「む、ギル兄様にな―――むがむが!」

 

「はーい、ソーたんはお姉ちゃんの抱き枕だぜー?」

 

「折角なのでお茶のご用意をしましょうか? ギルバも休憩して」

 

 

 が、セラフォルーとシャルロットは即座に理解したのか、ソーナの一言で拗れる前に彼女を抑え、そのまま話題をすり替える事に成功する。

 

 

「???」

 

 

 そもそもこの世界のカテレアはアザゼルとのタイマンに敗北して殉職したので未来が変わっている。

 前世の刷り込みの強さがあるが故に、まさかソーナにと思ってなかったギルバは、目付きこそ戻ってるものの、明らかに歓迎してない顔の元士郎にちょっとビクビクしながら、シャルロットのお茶を飲むのであった。

 

 

「えーっと、ソーナお嬢様の将来が楽しみな兵士という事で……」

 

「そう伝わってるのは光栄っす」

 

「え、ええ……お嬢様からのお手紙にも貴方様の事がよく書かれているので……」

 

「へぇ、そりゃ嬉しいっすね」

 

「………………はい」

 

 

 

 俺なんかしたの? 明らかに不機嫌な元士郎に、前世は、反抗期拗らせて友達なんて出来るわけもない性格だったのに、それでもよくしてくれたのもあって、この元士郎の態度にちょっとショックなギルバはセラフォルーとシャルロットを見るが、二人は無言で目を逸らしてお茶を飲んでる。

 

 

「サジ、貴方さっきから―――むぶっ!?」

 

「はーいソーたん? お姉ちゃんがケーキ食べさせてあげるからねー?☆」

 

「サジ様、お茶のおかわりを……」

 

「っす」

 

「……」

 

 

 セラフォルーとシャルロットのファインプレーで取り敢えず拗れはしなかったが、ギルバは終始元士郎からのなんとも言えぬ視線に、最強の転生悪魔だとか言われてるのに、小さくなっていくるのであった。

 

 そして、何で彼がそんな態度だったのか。

 それを知ったのは解散して自室に戻った時に二人の口から語られる事で知ることになる。

 

 

「うっそだろ!? この世界の匙君がソーナを!?」

 

「私も最初驚いたけど、多分間違いない」

 

「アナタがあの子に懐かれてるから嫉妬したのでしょうね」

 

「マジかよ……」

 

 

 カテレア・レヴィアタンと死ぬまでイチャコラやってるイメージで塗り固められてただけに、二人から教えられた真実にギルバは、納得するのと同時にやはり信じられない気分だった。

 

 

「確かにそれなら合点もいくが、俺別にこの世界のソーナに変な事とかしてないし、する気もないぞ?」

 

「まだ若いのよ彼は。

恋愛ごとに対して」

 

「私達もピチピチだけどねっ☆」

 

「「ねー?」」

 

 

 息ぴったりに声を重ねるセラフォルーとシャルロットにギルバは変な敵意を持たれてしまったと項垂れつつ一言。

 

 

「何がピチピチだオバハン共」

 

 

 この二人がピチピチなら世の中の誰もがピチピチだっての……と、一言つい余計な事を言ってしまうギルバ。

 以前この世界の使用人仲間的な繋がりのあるグレイフィアにも『ガキ生んだら老けたか?』と、冗談半分で言ったら、微笑みながらのジャンピングニーパッドを顔面にプレゼントされたというのに、全然懲りてない。

 

 その後パンツ一枚にひんむかれてセラフォルーとシャルロットに『お好きにどうぞ』という張り紙と共に投げ渡されたのに、それでも彼は懲りない。

 

 

「オバハンだってさー? ふーん、じゃあ今から全裸になるけどいーちゃんはなんにも思わないんだね?」

 

「おっとその手には乗るか! 俺は逃げ――もぷっ!?」

 

「あらあら、また胸が恋しくなったの? しょうがないわねぇ?」

 

「やめろ! 手を入れるな! 脱がせるな! ヒィィッ!?」

 

 

 逃げようと回れ右した瞬間、顔面が柔らかいものを捕らえ、それがシャルロットの胸であり、そのままガッシリ捕まったギルバはあれよあれよとパン一に脱がされた。

 

 彼が強くなっているのは事実だが、彼女達もまた彼を独りにしないために進化を重ねているのだ。

 2対1では殺意が互いに零なので余計に成す術が無い。

 

 ベッドに放り投げられたギルバの目の前で服を脱ぐセラフォルーとシャルロットがする事はひとつ。

 

 

「ほーら、いーちゃんの大好きなおっぱいだよー?」

 

「好きなだけ甘えてくださいねイッセー?」

 

 

 今だろうが昔だろうが変わらない、反抗期が終わろうが素直になれない男の子にちょっとしたお仕置きをしてやる事。

 例えこの子の記憶の半分に自分達も知らないイッセーの記憶があろうとも、彼は彼……。

 

 

「嫌な予感がしたから来た。お前達、我のイッセーに何をしてる?」

 

 

 例え、来るなり不機嫌顔……を多分してる長い黒髪と黒い目をした小さめの少女が来ようが上等なのだ。

 

 

「んー? 見てわからないかな? いーちゃんとおねんねするんだぜ?」

 

「邪魔をするのは勘弁していただけませんか………無限の龍神・オーフィス?」

 

「………………」

 

 

 無限の龍神・オーフィス。

 それは最近世間を騒がれているテロ組織のリーダーの名前―――と、他の誰もが聞けばそう思う存在なのだが、セラフォルーとシャルロットとギルバの認識は違うものだった。

 

 

「邪魔はしないけど、お前達を黙らせた後で我がイッセーと交尾する」

 

「しねーよ!? お前のせいで散々俺はロリコン扱いされて、またされたら堪ったもんじゃねー!」

 

「有象無象の雑音なんか我は気にしない」

 

「俺がするの!」

 

 

 彼女はセラフォルーとシャルロットが生きた世界とはまた違う可能性の世界を生きた記憶を持つ存在。

 そして何より彼女の世界ではイッセーと常に共にあり、悪魔達とはあまり接点を持たなかった。

 

 その記憶があるギルバは、お陰で周囲の友人からめっちゃロリコンとバカにされてきた訳で……。

 

 

「簡単な方法を我は知ってる。

気に入らないけど、お前達もイッセーを大切にした者。

だから少し協力してあげる」

 

「へー?」

 

「興味深いですね?」

 

「おい、俺の意見は―――」

 

 

 確かにロリコンとバカにされてもオーフィスと一緒だったのは、彼女に拾われてなければとっくに死んでいたこと、そして自分の為に身体を人に近いものに作り替えてまでいてくれたからというのがある。

 

 現に今世間を騒がれてるテロ組織のオーフィスは、このオーフィスが作り上げた操り人形みたいなものであり、姿もオッサンみたいな姿。

 

 そして彼女こそが――限りなく人に近づいても尚力を落とすことなく更に進化してきた永久ロリ龍がオーフィスなのだった。

 

 

「まず我も脱ぐ」

 

「うぉい!?」

 

「それで?」

 

「お前がイッセーを後ろから抑える」

 

「こうでしょうか?」

 

「ひんっ!?」

 

 

 実はオーフィスとセラフォルーとシャルロットの付き合いは意外と長い。

 イッセーが本来の歴史よりかなり前に出現して、暫くガチの奪い合いが始まったのが主な理由なのだが、それをするとイッセーが困るというのを知ったので、三人は気付いたら喧嘩は多少するが、協力体勢を取ることが多くなったのだ。

 

 

「そのまま一緒に寝る。

あまり無理強いすると可哀想だから」

 

「うーん、それは確かに……」

 

「ちょっと今泣いてますしね……」

 

「な、泣いてねーし……!」

 

 

 取り敢えず全裸になったオーフィスに言われて抑える事にしたセラフォルーとシャルロット。

 

 

 

 が、そのままの姿で取り敢えず寝るのは確定らしい。

 

 

「…………」

 

「おば様がやっぱり一番胸が大きいなぁ……」

 

「多分これはヴェネラナだった頃と変わらないわね」

 

「……。我はそんなものが無くてもイッセーにして貰えるから要らない」

 

「や、オーフィスちゃんも少しあるじゃん。ほら」

 

「っ……いきなり触るとびっくりするからやめて……」

 

「あらホント、ちゃんと女性の身体なのですね……?」

 

「や……! そんなにふにふにとされると我……!」

 

「やんっ♪ オーフィスちゃんとおば様こそそんな所を摘ままないでぇ……!」

 

「んっ……お返しです……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「うるせー!! 俺を寝かせろよ頼むから!?」

 

 

 寝不足確定な事を三人してやってて、時折艶かしい声とか出されてギルバはとても大変だったみたいだ。

 

 

意外と仲良し三人。

 

 

続かない。

 

 




補足

あれです、要するにブラコンみたいなもんです。

物心ついた時からセラフォルーさんの眷属兼執事やってたので。

ちなみに高校生イッセーを初めて見た時はギョッとなったけど、すぐ見分けはついたらしい。

その2
そんなんだから軽く嫉妬されて困惑の執事。


若いからね、しゃーないね。


その3

龍神ちゃん推参。

小・中・大……コンプリートセレクション! 何がとは言わんがね!

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