なのに更新よ。
ほのぼの……? だよな?
完全に喧嘩別れみたいに母親と別れてからは特に大きな騒動も無く平和に過ごしていたリアス。
実家からしつこい程に連絡を寄越せ的な書状を送りつけられたけど、着信拒否のごとくリアスは無視し続けた。
「あーいい加減五月蝿いわ、此方は此方で大変なのに!」
「喧嘩別れみたいなもんだからしゃーないだろ。
なんだかんだで血の繋がった親なんだぜ?」
「血の繋がった親だからって子供の生き方を勝手に決めて良いと思う?」
「さぁ? 俺は金持ち坊っちゃんの家育ちじゃなかったし、そもそも親には捨てられちまったからなぁ」
「………ぁ、ご、ごめんなさい、そんなつもりで言った訳じゃ……」
「はっはっはっ、全然気にしてないから気にするなよリアスちゃん? 捨てられたからこそ今の俺があるんだしよ」
リアスの眷属達は其々の理由があって親が存在しない。
捨てられた、殺された、決別した。
ヘラヘラと笑って、人妻LOVEだなどとアホな顔して言いまくるイッセーですら、生まれた時から持ってしまった異常を越えた異常性のせいで人もどき扱いされて捨てられた過去があるのだ。
両親が健在なリアスは思わず自分の言動に恥じて謝るのだけど、イッセーも――そしてリアスの傍に居る仲間の誰もが親無しである事を気にしていない。
何故ならもう『家族』は居るのだから……。
「それより天界サイドから遣いってのがやって来るんだろ? 両親の事もそうだけど、取り敢えず今はそっちに集中しといた方が良いだろ」
「ん……そうね」
其々が種族としてはあり得ぬ何かを持つがゆえに迫害されし者達。
それを纏め、手を差しのべたのが生まれながらにして悪魔としても異質なものを持ってしまったリアス。
だから皆はリアスが大好きなのだ。
消える筈だった命を繋ぎ止めてくれて未来を与えてくれたリアスの事が……。
「あーっ! イッセー先輩が部長にエッチな事をしてるッスー!」
『ナニィィィッ!?!?』
「ばっ!? ち、ちがわい! 普通に話をしてただけ――」
「ずるいッス! 夜のプロレスごっこの話の時は私と副部長の四人同時って決めてたじゃないっすかー!!」
「何時俺がそんな話をしたんだよ!? てか球技大会の最中なのに声がデケー――」
『死ねぇぇ!! 兵藤ォォッ!!』
「小猫ちゃん、すっかりイッセー君を相手にイケイケになっちゃって……」
「なんであんな下っぱな後輩キャラになってしまったのかしら……」
「聞くところによると、ああいう感じが距離感を詰められるかららしいですわ」
球技大会・午前の部。
小猫がウザ後輩状態でとんでもないことを大声で宣うせいで、ほぼ全校生徒からあらゆる種類のボールを投げつけるボール鬼へと、突然の雨で中止になるまで種目が変わるのだった。
「……部長。実は昨日、
「彼……?」
「はい。『僕達』よりも前の被験体だった彼です」
「! 匙君や祐斗くんと同じ『鎧』を持つ者でしたね確か……」
「はい、気になることを言っていましたので、詳しい事は放課後部室で話をしたいと思っています」
イッセーが逃げ回る光景を眺めながら、祐斗が真剣な顔で話をする。
何やら波乱の予感が言葉の節々から感じ取れたリアスと側まで来ていた朱乃もまた真剣なものへと変わっていくのだった。
小猫のせいで余計に男女関係なく一般生徒から嫌われてしまったイッセーは、小猫の頭を掴んでこれでもかと揺らしまってやる形で復讐しながら放課後の部室へと来ていた。
「午前中はこの万年発情ロリ猫のせいでとんでもない目にあったぜ」
「の、脳みそがぐわんぐわんするっす~……」
「それで済ませてやってる俺の優しさに感謝しやがれってんだまったく……。
で? イザイヤの話ってのは何なんだ? 詳しく頼むぜ」
「祐斗って名前にいい加減馴染んで欲しいんだけど――まぁ今は良いか。
部長と副部長にはイッセーくんと小猫ちゃんがイチャイチャやってる時に少しだけ話したんだけど、昨日の晩に僕達の前の被検体の彼が久々に来たんだよ」
目を回しながら然り気無くソファーに座ってたイッセーの膝に頭を乗せて横になる小猫を放置しつつ、祐斗の話を聞き、彼という言葉にピクリと反応する。
「イザイヤや元士郎と同質の『鎧』を持ってる奴の事か……」
「そう。
そして恐らくこの世で最初に『鎧』という全く新しい力に目覚めた者さ」
「エキセントリックな言葉遣いばっかなイメージしかねーけどな」
『えへへ~ 先輩の匂いでご飯が1俵いけるッス~』と、小猫が無遠慮にイッセーの腹部に顔を埋め始めてるのも無視して話は続く。
「『準備』が整った……彼はそう言っていた」
「準備?」
「うん、きっと彼や僕が過去にされた事に関する事だと思う……」
「『聖剣計画』の事ね……?」
「はい。彼はその計画のプロトタイプの被検体で唯一の成功例でしたから」
「『復讐』でもするのでしょうか……?」
「わかりません。けれどきっと僕以上に『神』を憎んでいるのかもしれません……」
「……。では教会からの遣いが来るという話も無関係じゃないのでは……?」
「かもね………って、切り替え速いね小猫ちゃん」
「流石にふざけてはいけない気がしたので……」
「最初からじゃあふざけるなし」
流石に真面目な話になってるので、それまでふざけていた小猫もイッセーから離れてきちんと座り直す。
小猫が元に戻ったのを見た朱乃が直ぐにお茶を用意し、着席したメンバー達配り、一先ず全員で一服する。
『ふぅ……』
しとしとと降り注ぐ雨が旧校舎全体を叩く音だけが部室内を一瞬だけ響かせる。
「イザイヤはどうしたい?」
「ん?」
「ソイツに倣って復讐するか? 手なら全部貸せるぜ?」
イザイヤ――木場祐斗の過去は当然イッセー達は知っている。
その上で彼等はもし過去に決着をつけたいなら、例えそれが立場的にマズイ事になろうとも関係なく手助けすると言い切る。
イッセーだけではなく、小猫も朱乃も――そしてリアスも。
「決着なら自分の中でついてるつもりだし、憎いといえば憎いけど皆に危ない橋を渡らせてまでしたいとは考えちゃいないさ。
今の僕があるのは皆のお陰――その真実さえあれば生きていける」
だが祐斗はゆっくりと首を横に振りながら復讐を否定した。
その答えにイッセーは静かに『そうか……』とだけ言うと、もう一口お茶を飲む。
「今も昔も神は大嫌いだけどさ」
笑う祐斗に嘘は無い。
背負ってきた過去を剣に込めてきたからこそ、彼は強くなったのだ。
さて、何やら物々しい空気になってきたわけだが、本日はこれで終わりではない。
教会から天界に属する遣いの者達がやって来るということで、学園生徒会――それ即ちソーナ達が傾向と対策を悪魔側としてしなければならないということによる話し合いの為にやって来たのだ。
「ごきげんよう皆さん―――って、一々怠い挨拶は省くけど良いわよね? だってその方が楽ですもの。私は悪くない。」
「相変わらずねソーナ……。前よりやさぐれてない?」
「やさぐれてる? 私が? 別にやさぐれてなんか無いわ。
一々実家から貴女みたいに結婚相手を寄越そうとしたのにムカついて、その家の身内に何か不幸が訪れるようにしてやったから寧ろ気分はハイな方よ?」
ゾロゾロとリアス達よりは眷属の数が多いソーナ・シトリーとその眷属達を出迎えたリアス達は、開口一番真面目そうな見た目をぶち壊す言動のソーナに苦笑いしかでてこない。
無論、彼女の率いる眷属達の中には元士郎も居る。
「機嫌悪いな貧――じゃなかった、会長さんは? なんかあったん?」
「副会長以下眷属の女子が自分を差し置いて皆胸が成長したと知って拗ねてんだよ」
「あぁ、なるほど……」
ニコニコと『人畜無害ですよ私?』的な笑顔を浮かべてるソーナの事情を元士郎からこっそり聞いた祐斗とイッセーは、微妙に気まずい顔のソーナの眷属の女子達を見て内心『ご苦労様です』と手を合わせておいた。
「しかし、自分の胸が成長できないからって、八つ当たりするってのはどうなんだよ?」
「オメーがそもそも昔会長の胸を貧乳呼ばわりしてくれたからコンプレックスになったんだろうが」
「じゃあ元を辿ればイッセー君のせいだね。はい、責任取って」
リアスと朱乃に対して『あらまぁ、大きいこと大きいこと、それだけ大きいとさぞ彼の目を引いて満足でしょうねぇ?』と、嫌味まで言い始めてるソーナを宥めろと、元士郎と祐斗がグイグイとイッセーの背中を押す。
いや、よく見たら視線だけとはいえ、ソーナ眷属達も背中を押す感じの目だった。
「兵藤君がバカにしたせいだから、責任取ってよね?」
「そうよ。アナタの前では笑って済ませてるけど、何時も影では本気で傷ついてるんだから……!」
「ほら早く……!」
「お願いします切実に……!」
「えぇ……?」
多分最近眷属になったであろう女子から副部長兼女王にまで言われて渋々と恨めしい目で困った顔をしていたリアスと朱乃の胸を凝視しているソーナに近寄るイッセー
「あのー……」
正直な感想としては、ソーナとは別にそんな親しいつもりはない。
リアスの知り合いで、別系統で『持ってる』のは感じ取れるが、別にそれ以上の関わりはあんまり無い――と、本人は思っているらしい。
「……! あ、イッセーくん―――――
だから、そんなに気にしてたのならちょっと悪いことをしたのかも……と、他の人が被害に遭ってからやっと気付き始めた畜生イッセーが遠慮がちにソーナへと話し掛けた瞬間、ハッとした表情を浮かべたソーナが勢いよく振り向き――
「私ったらイッセーくんにはしたない所をみせちゃって、私ったらいけない子! ごめんなさい☆」
「…………」
『うわぁ……』
それはまるで、彼女の姉みたいな……こってこての魔法少女衣装でステッキ振ってそうな声色と口調でソーナは自分の頭を軽くコツンと拳で叩きながら――そう、所謂『テヘペロ』なしぐさをしたのだ。
これには古くからソーナを知ってる者達は『相変わらず』だと凄まじく似合わないとドン引きし、新参眷属達は見たこともない声色とキャラになってる自分達の王に絶句して驚愕していた。
「あの、そのキャラ疲れません? 別にそんな無理せんでも……」
「無理なんてしてないゾっ☆ 何だったら、最近横に無駄な贅肉つけて着れなくなった姉の衣装を着て、イッセーくんに魔法をかけちゃうゾっ☆」
「無理してるっての。顔が若干ひきつってますよ……?」
「な、なんなの? どうしちゃったのよ会長は?」
「あー、そうか、初めて見るのか? 会長ってさ……いやまあ何となくわかるだろうけど、あの人妻バカに――まーそういうアレな訳なんだけどさ、何を勘違いしてるのか、イッセーがレヴィアタン様のファンだと勘違いして対抗意識燃やしてるんだよね」
「そ、そうなんだ。
いや、なんとなく兵藤くんのことばっかり気にするからそんな気はしてたけど……」
「兵藤君の顔がシュールなものを見るものになってるわ……」
そこそこ長く眷属をしてる者ですら、初めて見る主の無理しまくりなキャラ作りのソーナに関する説明を、割りと実は古参眷属である元士郎がしながらやり取りを見ていると、ソーナがそろそろ――やっぱり無理をしてたので涙目になっていた。
「だ、だって姉さんが好きなんでしょう? マイナス思考で一々ネガティブな私より、胸も大きいし年上の姉さんみたいなタイプが良いんでしょう……?」
「俺何時あの人のファンだって言ったんすか? 別にファンちゃうし……」
「嘘よ。だって冥界のリアスの実家でパーティーをやった時に姉さんにデレデレと……」
「あー、持ち上げておけばお小遣いとかくれるかなとか思ってやったんすよねアレ。
目論見は普通に失敗しましたけど……なぁ、リアスちゃんと朱乃ねーちゃん?」
「ソーナ、レヴィアタン様にあんまり関心が無いのは保証できるわ。
曰く『若すぎるだろまだ』ですって」
「その証拠に、お小遣いをせしめられないと判断した瞬間、当時パーティーに出席していた妙齢の悪魔女性に片っ端から声を掛けて振られまくってましたわ」
「そして私達でお仕置きしました」
「おぉぅ……俺の古傷が……」
『転生悪魔ごときが話し掛けるな』と遠回しに言われてしまって見事に玉砕しまくったあの頃を思い返して軽く頭を抱えてるイッセーを一応フォローした三人にソーナはそれでも少し懐疑的だった。
「でも胸が小さい女は……」
「それは――」
「まあ――」
「あ、私将来大きくなるの確定してます」
「……………」
胸の小さい年の近い女性はほぼ無理なのではという話に胸がメロンなリアスと朱乃は思わず目を逸らし、小猫は順当に成長したら間違いなく胸が育つ事をとある事情で知ったので自信を持って言ってしまい、ソーナはグサリと皆と比べたらとても慎ましい胸に突き刺さる。
「ふ……やっぱり死のうかしら私。
生きてても意味ないじゃないこれじゃあ……。
やれる範囲で育てようと頑張ったのに、三年前から全くサイズが変わらないし……」
『………』
とうとうマイナス思考でネガティブ全開――負完全状態になってしまったソーナはブツブツ言いながらその場に蹲って床にのの字を描き始めてしまう。
イッセーはソーナとはそんなにかかわり合いがある訳じゃないと思っているが、ソーナにしてみればまるで真逆であり、実は幼少の頃からリアスと同じ異常な面を持っているイッセーが、自分と同じ『負』の側面を持っている事を感じ取って、シンパシーを感じており、自分なりにあの手この手でアプローチをしてきたのだ。
……まるで効果はなかったが。
「イッセー」
「え、俺?」
「アナタ以外に誰が居るのよ?」
『どーせ私はこのまま行き遅れて喪女になって引きこもるだけよ』と、すっかりマイナスを撒き散らしてしまっていたソーナを何とかしろとリアスがイッセーに命じる。
そもそも彼がソーナに以前――
『………あれ、センパイもしかして胸になんか詰めてます?』
と、イッセーが胸の大きな女好きというリサーチをして胸に仕込んで大きさを盛ったソーナに対して無遠慮に言ってしまったからであり、しかも『貧乳っすね』とトドメを刺してしまったのが悪いのだ。
元々手の施しようのないマイナスだが、尊厳はぶち壊されるし、貧乳とまで言われてしまえばマイナスであろうとなかろうと女の子なら傷つくのだ。
他の誰に何を言われようが、ソーナは全部『ヘラヘラ笑って受け流せる』が、イッセーに言われてしまえば心底傷付く。ましてや、マイナス故に惚れっぽく、そのままイッセーに惚れちゃったのだから。
「あのー、すんません。色々と失礼なことを……」
「今頃気付いても遅いのよ……もう私は生きる気力なんて……」
「……。じゃあお詫びに何でもするのでどうか自殺だけは――」
「え? 何でもするの? じゃあ今すぐこの場でキス――」
「ソーナ? 言って良いことと悪いことがいくらなんでもあるわよ?」
「同情はしますが、笑えませんわねぇ?」
「先輩も大変ですねホント……」
もっとも、切り替えも早いので結構イケイケだったりもするのだが。
ソーナ・シトリー
周りからの評価・シトリー家のでき損ない。
備考
異常の中でも己と同じ負の素養を凄まじく感じるイッセーを取り込もうとして奮闘していたら惚れっぽさのせいで惚れてしまった悪魔眼鏡っ娘。
ネガティブだけど意外と強か。
「というか、話し合いは……?」
「もうちょい掛かるな。会長達のせいで脱線しまくりだし」
「ハァ、会長にも困ったものです。
私達の胸が大きくなるといつも親の仇の様な目で睨むし……」
「なんというか、お疲れ様です……」
「え? ぁ……い、いえ別に! な、慣れてるので……! え、えっと所で木場君!!!?」
「は、はい?」
「い、良い天気ですねっ!?」
「…………土砂降りですけど外」
「ふぇ? あ、いやそのっ! 違くて! ええっと……うー!」
「……???」
「副会長……」
「な、なによ元士郎君その目は!?」
「いえ別に……」
真羅椿姫
白銀に輝く銀狼に恋している中々のメロン持ちの子。
神器持ち
「こ、この前のレーティングゲーム、み、見たわ! す、素敵というか、えっと……その……!」
「は、はぁ……ありがとうございます?」
「つ、つきましては、お祝いをして差し上げないこともないかなって思ってまして……」
「ちなみに、あのフリフリ衣装を着ることに関しては実は抵抗は無かったりするのよ。
……着てあげるけど、見る?」
「えー? 俺はどっちかというと、三十路中盤の女性が恥ずかしそうにしながら着る姿に興奮するし、若い人が着てもなぁ……」
遣い達の事は完全に忘れてる悪魔達だった。
補足
木場きゅんは過去をある程度吹っ切ってます。
まさに絶狼の曲の歌詞みたいな感じに。
その2
元ちゃんも結構古参なんで、眷属としてら割りとセンパイだったり。
もっとも、褐色眼鏡さんとイチャイチャしてるのでアレやけど。
その3
副会長さんは原作? 通りに彼にお熱。
時期は前倒しで、彼が鎧を纏って銀の馬に乗って大地を駆けてる姿にきゅんとしたらしい。
その4
皆大好きソーたん! イッセーの為なら魔王少女キャラにもなれるし、衣装だって着こなしちゃう!
でもおっぱい大きくなったら嫉妬しちゃう!
ネガティブでマイナス思考で周りからの評価も最低最悪だけどヘラヘラ笑って流すよ! でもイッセーに貧乳と言われると本気で傷ついちゃう子なんだよ!
もし望んだとしたら、お部屋でイッセーにだけ魔法少女になって色々できちゃうよ!
……………やっぱどうしてもソーたん贔屓しちゃうね私