色々なIF集   作:超人類DX

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この始まり方にテンプレ臭がするぜ。




人妻キラー一誠くん

 兵藤一誠は人間だ。

 例え後々、鉛筆一本で神滅具を持つ英雄の名前を継ぐ青年の胴体を真っ二つにしようが、同じく二天龍の神滅具を持つハーフ悪魔をサッカーボール宜しくに蹴り飛ばそうが人間だ。

 

 それでも突っ込みどころは満載だが、彼の肉体は人間な事に代わり無いし、何も最初からこんなハチャメチャで理不尽な戦闘力を持っていた訳じゃない。

 寧ろ最初はそこら辺に居る普通の人間が如く脆い存在であり、年相応の少年だったのだが、それまでの環境ががらりと変わってしまい、その日を生きるのも危うい環境にブチ落とされてしまってから変わってしまったのだ。

 

 泥水を啜り、ゴミを漁り、盗みを働き……今までごく当たり前の家庭環境から、肉親も何もいない環境に陥れられた一誠の幼年期は、戦争孤児の様な生き方をせざるをえなかった。

 主人公と名乗る訳の分からない――自分と同じ顔をした少年がそれまで一誠幼年期の居た居場所を奪い取り、肉親やその周りの記憶から一誠の存在を末梢したせいで、そうせざる無かったのだ。

 

 だからこそ一誠は貪欲なまでに生きる事に対する汚さを得た。

 そして何よりも生きる為の知識を得て、誰よりもしぶとく生き残る決意を固めさせた。

 ゴキブリが如くしぶとく、鬼の様に強く。

 

 その意思をより強固にすればするほど、一誠の中に宿りし二つの無限と夢幻はより深くなる。

 強く、逞しく……そして途方もなき力を。

 

 その考えが歪に無限の進化を促し、その精神が歪に夢幻の中へとより一誠を導く。

 

 その経験があったからこそ――

 

 

「しゃっきーん、出来たぜ俺の無敵武器。

その名もメリケンサックならぬ、メガネサックよ」

 

 

 自由に生きる邪魔をする輩には容赦せず排除する。

 その相手が例え極上の女だろうが、悪魔だろうが、堕天使だろうが、天使だろうが、妖怪だろうが、神だろうが、何だろうが……。

 

 

「シーユーアゲイン、ナニもアゲインってな……ククク!」

 

 

 等しく平等に排除する。

 それが兵藤一誠という青年だった。

 

 

 

 

 俺は我が身が一番可愛いと思ってる。

 他人の為に命を張れるとかカッコいい事を言うつもりなんて無い……テメーが如何に人生をおもしろおかしく生きれるかが全てであり、その為に他の連中を盾にして逃げることも躊躇わん。

 良い飯食って、良い女抱いて、良い車乗り回して好き勝手にエンジョイする。それが今の生きる俺の動機なのであって、よく分からん連中に茶々を入れられるのはゴメンだ。

 

 だからこそ俺はソイツ等とツルんでる俺と同じ顔した物好き男の影に隠れてヒソヒソとやってきたのだ。

 故に、人から女を宛がえて貰うほど落ちぶれたつもりでも甲斐性無しのつもりもない。

 そもそも10代後半の小僧が考え無しに女性とお付き合いするのはどうかと思うんだ……自分の興味の有無は云々に。

 けれど、どうにもあの師匠は変なお節介が――いや俺自身をからかって遊ぶのが好きなようで……。

 

 

『暇だろう一誠? だからそんなキミに美女をプレゼントしてあげようと僕は考えたんだ。

フフフ、彼女も友達も居ないキミとしては喜ぶべきことだと思わないかい?』

 

『……………は?』

 

 

 毎度毎度の夢の中。

 何処かの教室を思わせる空間で、長い黒髪と魅力的な声と容姿をした女――安心院なじみは人差し指を立てながら笑みを見せてポカンとする俺に一方的にそう告げた。

 こんな吹けば吹き飛びそうな女がバグみたいな数の異能を持ち、涼しい顔で大男を凸ピンでぶち殺せるというのだから理不尽な話だ。

 

 この学校の教室みたいな空間だって、俺が眠ってる間に意識だけを拉致して押し込る為に鼻唄混じりで作ったらしいし……マジで理不尽としかいえない。

 

 

『まあ、直接僕がキミの(タレ)になっても構わないがな』

 

『いやー……食ったら即死しかねんフグの猛毒で死にたくはないから遠慮するぜ』

 

 

 確かに俺はアホで友達作りが客観的に見てもド下手だが、だからといって女の世話をされるなんて思いもしないし、大きなお世話だ。

 ましてやこんなバグキャラの相手なんて俺には無理すぎるし、どうせコイツの冗談なのだろうと、俺はニマニマしてる『師匠』を敢えて無視して冒頭の話について追求する。

 

 

『それは置いといてさっきお前が言ってた事に関してだが、そういうのを世間一般では大きなお世話と言うべきじゃないのか『なじみ』よ?』

 

 

 わざわざ女を俺に宛がうなんて、相手に失礼すぎると正論を述べた筈なのに師匠こと安心院なじみはちょっとだけ笑みを引っ込めている。

 

 

『そう? でもこの僕の弟子であるキミだって、女の子の一人や二人侍らせたいだろう?

キミを育てると決めた時から今まで、毎度毎度僕の予想をいい意味で簡単に覆してくれた……僕からのささやかなご褒美って奴さ』

 

『ご褒美ってお前、プレゼントとか言ってる時点でその美少女とやらの意思は完全に無視だろ? ていうか確実に悪平等(オマエ)の中の誰かだろ? そんな可哀想なことするなよ……』

 

 

 というか俺としてもそこまで落ちぶれちゃいねーしな。

 しかしなじみは……。

 

 

『尤もらしい理由並べて逃げようとするなよ一誠?

大丈夫大丈夫、その美女はキミ好みの所謂大人の女って奴だから色々と教えて貰いなさい』

 

『ちょ、おい!?』

 

 やめろと言ってやろうとしたんだが、見た目は華奢な美少女の癖して、この世に存在するありとあらゆる存在を『平等にカス』と言えちゃうだけの理不尽の権化とも言える我が師匠である安心院なじみの言うことから逃げられる訳もなく、断ることも勿論不可能であり、気がつけば謎の教室空間が消え、独り暮らしするために借りた安アパートの自室のベットの上で目を覚ましてしまう。

 

 

「ハァ。毎度毎度の事ながら悪平等(ノットイコール)でも無いのに変な事までしてくれる師匠だぜ……」

 

 

 目覚めが悪いとはまさにこの事……。

 安心院なじみ曰くこの世に一人しか存在しないオリジナル能力保持者(スキルホルダー)だからって、何故か毎度毎度変な事を夢の中で持ち掛けてくる訳だが、今回は一段と変な提案だぜ……とか思いながら上半身だけ起こし、時間を確認するとまだ深夜の3時だった。

 

 

「3時……うーむ、折角だしこのまま学校の時間まで鍛練でも――あーでも高校生が深夜出歩くのは良くないし――ぐぅ……!」

 

 

 中途半端に目が覚めちゃったせいで、二度寝の決行が困難になってしまった。

 なので少し早めの日課鍛練でもしようと一瞬だけ考えるも……今の独り言の通り、高校生である俺が深夜の外に出歩くのは健全では無く、お巡りさんに怒られてしまう事を考えてしまうと少しだけ躊躇してしまう。

 故に仕方なく鍛練は夜が完全に明けるまで我慢し、小さく悪態を付きながら枕元に放置しておいたタブレット端末でも弄くろうと暗闇に目が慣れてない状態で手をまさぐる。

 すると一つ違和感に気付き、まさぐる手がピタリと止まる。

 

 

「なんだ……この温い感触?」

 

 

 何かこう……あるんだよね隣に。

 というか段々目が慣れてきて見えるんだけど…………これれは――

 

 

「あら、もうお話は済んだのですか?」

 

 

 

 

 

 

「言ってからが早ぇんだよ師匠……」

 

 

 夢の中であの女が言ってた通りの、銀髪美女って奴が一人隣で寝ていた。めっちゃ気持ち良さそうにね。

 だから俺は、今頃どっかでほくそ笑んでる安心院なじみに対して睡眠妨害諸々の意味を込めた恨み言を漏らすのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「こうして直接お目見えするのは、安心院さんからの『集合指令』以来でしたわね?」

 

「は、はぁ……多分」

 

 

 取り敢えずきっと師匠が無理矢理言って派遣させた銀髪美女とやらをベッドから下ろし、互いに正座して向かい合いながら、詳しい説明を受けるつもりでの話し合いをスタートさせるも、妙に緊張してしまって上手く話せない。

 

 

「ふふ、そんなに緊張なさらずとも大丈夫ですわ」

 

「あ、あぁ……ハイ」

 

 

 俺の精神状態を見透かすが如く微笑む銀髪美女に、俺は目を泳がせながら適当に返してしまう。

 安心院なじみ……即ち悪平等(ノットイコール)という、人知れずに名乗る集団の内の一人であり、安心院なじみの分身という、簡単に言えば師匠と似たり寄ったり思考を持ち、様々な分野に対して『平等過ぎる考え』を持つこの銀髪さんに俺は見覚えがある。まあ、そんな話した事は無いんだけど。

 

 つまる所、この人……つーかよく見たらメイド服着てる銀髪の女性は安心院なじみの分身であり、そして確か悪魔というファンタジー種族の中でも強い方の悪魔であり……。

 

 

「一応自己紹介をしましょう。私はグレイフィア・ルキフグス、今を持ちまして一誠様の下僕となりました」

 

「げ、下僕て……」

 

 

 確か、ルキフグス家の純血悪魔だかそんなんだったような……まあ、そんな人である。

 

 

「下僕は単なる表現ですわ一誠様。

要するに単なる悪平等(ぶんしん)では無く、後継者であらせる一誠様の右腕を目指して参りました……そういう事ですわ」

 

「は、はぁ……」

 

 

 異様ににこやかに話す銀髪メイド……じゃなくてグレイフィアさんに俺は気の抜ける声しか出せん。

 つまり……なったつもりも自覚も無いが、アイツの後継者となる俺の理解者的ポジションとしてこの人は来たと――簡潔に言えばそうらしい。

 

 

「……。ま、本音を言うと私が他の悪平等(ぼく)達を蹴落として一誠様のお世話をする志願をしたのですがね」

 

「……。他にも居たんだ……そんな物好き」

 

「ええ、そりゃあ沢山。

中級堕天使の小娘やらフェニックス家の令嬢小娘やら……ふふ、まぁ……最終的に実力行使でもぎ取ってやりましたよ……ふふふ」

 

「……へぇ」

 

 

 ニタァという擬音が似合いそうな……蹴落として見下してるなじみみたいなドS極まりない表情にちょっとだけ引いてしまうのと同時に、俺って以外と悪平等(なじみ)達の中ではそれなりに名が通ってるだなと自分でも意外に思う。

 そんなになじみ自身意外と関わりが無かったからな……寧ろ何故1度だけなじみの悪平等会合に顔を見せただけでこうも認識されると、微妙に恥ずかしいな。

 

 

「ですので、何かして欲しいのであれば何でも致しますわ」

 

「はぁ……」

 

 

 

 微妙に話を無理矢理進められてる様な気がしないでも無いが、今は夜中だし『いやいや、無いから』と叩き出すのもなんか躊躇ってしまうのでもう良いとしてだ。

 

 思い出したんだけど、確かこの人……。

 

 

「ねぇ、確か貴女って結婚してるのではありませんでしたっけ? ほら、なじみに対してマゾ願望全開の魔王ってのに」

 

 

 そう、そうだ。

 このグレイフィアって人が悪平等で俺のお世話に来たのは別に良い。

 もう良いんだが、この人確か結婚してると聞いたような気がするんだよ……人格的になじみから鬱陶しがられてる魔王ってのと。

 

 つまり、この人にはこの人の家庭ってのがある訳で、いくら悪平等だからってわざわざなじみの命令に従ってまでこんな所まで来ちゃうのは良くないのではないかと……つまりそういう事なのだが……。

 

 

「あぁ、アレですか? アレなら大喜びで私を送り出しましたが?

『よーし、離婚の大義名分が出来たぞ! キミは何としても安心院さんの超お気に入りの憎たらしい小僧を落としてしまえ!』と……」

 

「……………」

 

 

 物凄い嫌悪感丸出しの顔で吐き捨てるが如く言い放つグレイフィアさんに俺は閉口してしまった。

 どうも、あのマゾ魔王を見てお察しの通り、何で結婚なんかしたんだって疑問レベルの破綻の夫婦間らしい。

 

 

「なので何の弊害もありませんわ。そもそも夫婦の契りにしたって、戦争に負けて旧派に所属していた私が新たに魔王となったあの男へ人質として嫁がされただけでしたし」

 

「……。複雑ですねそれ」

 

「本当なら直後にグレモリー家の面子を八つ裂きにして逃げてしまえば良かったのですが……まあ、色々とありましてズルズルと」

 

「………」

 

 

 うーん……結婚ってのも中々大変なんだね、人間も悪魔も。

 遠くでも見るような目で語るグレイフィアさんに、あまり知りたくなかった現実がそこにはあった。

 

 

「生憎あの男に身体を渡す真似は死んでも嫌だったので子供はおりませんし、当のあの男は厄介払いが済んで喜んでる様ですし? 私としては自分の種族としての『くっだらねー』柵から解放されたので良いと思ってます」

 

「なるほどね」

 

「それに……ふふ……私はやはり人でありながら人でなしであられる貴方様に惹かれましたので、ね?」

 

 

 ……。どうしよ、良いから帰ったほうが良いっすよ? とは言い辛くなってしまったぞ。

 いやだってお前、確かになじみの言うとおり文句無しの美女だし、ほぼ最初から夫婦仲が破綻してるとはいえ人妻じゃん。

 何か変な罪悪感が半端ないっていうか……うん。

 

 

「そういう訳でありまして、色々と至らない事が多いかと思いますが、このグレイフィアを可愛がってくださいませ……一誠様」

 

「あ、うん……」

 

 

 ……。あ!? し、しまった……!?

 考え事に没頭しすぎて頷いちゃった! こ、この人中々やるな……!

 

 

「ありがとうございます一誠様……やっと自分の生き甲斐を得られましたわ」

 

「ぅ……そ、そこまで言われると帰れって言えないんですけど」

 

 

 しかし今更になって帰れとは言えなくなったし、頷いちゃった途端目に見えて表情を明るくさせるグレイフィアさんを見てるとどうしても……と、結局師匠の暇潰しの相手にされてしまった俺は、銀髪メイド美女に負けてしまうのであった。

 仕方ないじゃん……何やかんやで美女なんだもん――

 

 

「では早速……」

 

 

 なー……なんて考えて、取り敢えず家の連中にどう言えば良いのかと考えていた時だった。

 何を思ったのか、突如グレイフィアさんは着ていたメイド服のリボンを外し、中のブラウスのボタンを外して……………。っておい!?

 

 

「え、な、何してんすか!?」

 

「ナニって……さっきも言いましたが、これで漸く私は一誠様だけの従者ですわ……。

いえ、寧ろ下僕と言っても過言ではありませんし、身の回りのお世話だって当然します。

なので、取り敢えずお掃除とかは明日にすることにして、今はお年頃の一誠様が抱える性欲の解消のお手伝いでもしようかと……」

 

 

 極々当たり前ですと言わんばかりの顔で、ほんの若干頬を染めながら言うブラウスのボタンを外してちょっと見えてる胸を強調させつつソロソロと此方に近付いて……………セイセイセイ!

 

 

「待て待て待て……待ってくださいっての!

貴女が俺の話し相手になってくれるのは分かりましたけど、そんな事しろとは言わんし、ビックリするわ!」

 

 

 なじみが最後に言ってた事がマジだったのは驚いた……いや、違う違う!

 どうであれ人妻にこんな真似させられるかい! だから止めろ! ブラウスの下がちょっと見えてるから――やめい!

 俺はいつになく必死になってほぼ半裸になってるグレイフィアさんの手を掴んで止める。

 しかしその際足が縺れてしまい、そのまま彼女を下に……まるで少女漫画を彷彿とさせる押し倒し体制を作り上げてしまった。

 

 

「あ、あらあら、されるじゃなくてする側がお好みでしょうか?

これは申し訳ありません……不勉強でしたわ。

ではどうぞ一誠様……ちなみにこの歳になってまだ未経験ですので、できれば最初は優しく――」

 

 

 ……その行為がグレイフィアさん的には迫られたのかと思ったのか、紅潮させた頬と熱の籠った目と、妙に色っぽい声をしながら目を閉じはじめる。

 

 

「違う……。ていうか恥ずかしいなら止めてください。

俺は別にアンタを下僕だ召し使いだとか思わないし、そんな簡単にこう言うことはしちゃならんというか……とにかくいきなりそんなはレベルが高いというか……と、取り敢えず服を着てください……割りと切実に」

 

 

 悪魔と言えど女性であり、下手な女性なんぞ目じゃない華奢で白い肌から目を逸らしながらさっさと離れて後ろを向く。

 

 その際グレイフィアさんがどんな表情をしているのかは知らないけど……会って間も無い人となぞ、そんなに持ってないモラル的にダメだと思うわけでありまして……とブツブツ煩悩を消しながら呪文を唱えるように呟き、チラッと身体を起こした彼女を見てみると……。

 

 

「……。一誠様は私の身体では満足できませんか?

安心院さんが言うには、女性が大好きでこうしたら凄い喜ぶって聞いたのですがね……。

それに、本音を言うと他の女が一誠様と……なんて嫌なのですが」

 

「いや確かに女の子は好きだが……って、なじみのバカ野郎。

20兆ほどスキル使えなくしてやろうか……!」

 

 

 ホントに余計なお世話だぞ師匠め……。

 

 

「い、良いっすか? 俺は偉そうな事を言っといて結局は俗な人間なんだ。

だからその……グレイフィアさん程の人がそういうこと言っちゃうと色々と……わ、わかる?」

 

「ふむ……要するに段階をちゃんと踏めと?」

 

「そ、そう! それ! ……。正しいかは知らないけど」

 

 

 ち、ちくしょう。今まで全然意識してなかったのに、急にあんな行動されたせいで変に意識がというか、今も衣服がはだけてるせいで肌が――いや駄目だ!

 

 

「取り敢えず……こう、お互いの事を知ってとか……なんかこう、ね?」

 

「その過程で一誠様が他の女に気を向かってしまったらどうすれば?

私はどれ程この時を待っていたか……安心院さんの弟子でありながら安心院さんではない、独自の進化を遂げた貴方様に惹かれた私は……」

 

「い、いやぁ……俺全然モテないから多分大丈夫だと思うけど……」

 

 

 心の整理やら何やらで、とにかく駄目だと必死に言い聞かせる俺に、グレイフィアさんは小さく頷いてくれるも納得できない表情だった……。

 だが、それでも必死に説得して何とか分かって貰うことに成功した。

 

 

「わかりました。確かに急ぎすぎましたわね……」

 

「うん……よかったよかった」

 

 

 グレイフィア・ルキフグス、か。

 数居る悪平等の中でも少しだけ特殊なタイプとは聞いたが、確かにこれは特殊だな。

 

 

「ですが、これだけ言わせて頂きます。

私は初めて貴方様のお姿を見てから、貴方様のモノになろうと決心してました。

つまり……良い歳こいた女の一目惚れですわ」

 

「あ、あぁ……びっくりだ」

 

 

 

 

 

兵藤一誠

種族・人間

所属・特になし

 

 

備考・・安心院なじみの対となる外

 

 

グレイフィア・ルキフグス

種族・純血悪魔

所属・グレモリー家メイド長(暫定的に元)

   サーゼクス・ルシファーの妻(元)

 

 

「取り敢えず寝直しましょ……。グレイフィアさんはこれ使って良いからさ」

 

「ふむ、それでしたら一誠様もご一緒して頂けますか?」

 

「……。アンタ、俺の話を聞いて――」

 

「勿論聞いてましたわ。言われた通り今は何もしません、ただ並んで寝る……それだけですわ」

 

「……その割りにはハンターみたいなその目は一体なんだ……」

 

 

 

備考・・悪平等(ノットイコール)にて、分類上人間に一目惚れをした離婚寸前人妻メイド悪魔。

 

 

「……。並んで寝るだけでしたよね?」

 

「申し訳ございません。一誠様の体温が心地よくて我慢なりませんでしたわ……ふふふ♪」

 

「……。(女の人の匂いがする……。おっぱいが物凄い顔に来る……頭がクラクラする……)」

 

 

 




補足

メガネサック。
一誠の近距離武器。
文字通り眼鏡をメリケンサックの要領で使用して相手を殴る。
殴られた相手はただでは済まされない。


その2
人妻さんについて。

この人妻さんとサーゼクスさんはほぼ最初から互いを嫌ってます。
安心院さんの分身である妬みもあり、人妻さんが一誠の所に行くとなった時はグレモリー家の全員を物理的に黙らせて、暖かく見送りました。


その3

実は年上萌えだったりする一誠くん。
ほぼ初対面と人妻さんに嘯いてますが、1度見た時から割りと頭の中に刻み込まれてたりしてます。


その4
人妻さんはほぼ一目惚れしてるせいで、殆ど躊躇いが無いです。

話にあった通り、一誠の下に行く候補だった某ロリ堕天使や某フェニックスお嬢様を大人気なく蹴落とし、その座を勝ち取りました。

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