色々なIF集   作:超人類DX

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それから……

 認識したのは本当に単なる偶然だった。

 

 偶々不審な動きをする堕天使が学園の正門で男子生徒を呼び出して告白している光景を偶々見てしまったのを見て、その堕天使の目的と告白されて微妙に困った顔をしていた少年が宿すものを知ることになった。

 

 無論、この町の管理を任されている身としては不穏な真似をする堕天使から少年を守らなければならない訳で……。

 否、本音を言わせて貰うと神器持ちならば護衛を持ち掛けつつ此方側に引き込む事も確かに考えた。

 

 この学園の男子生徒――という事を考えたら綺麗所を奇しくも揃えてる自分の軍門に勧誘すればすぐに頷いてくれるだろう等とも思いながら。

 

 しかしその男子は自分がそんな予測を外してきた。

 

 緊張も、興奮もせず、腕時計をしきりに気にして『早く帰らせろ』みたいな態度で、勧誘を断ったのだ。

 

 自分の最も大切な者と共に人として生きたいから嫌なんだと。

 

 上手く出世すればハーレムになれる。

 お金にも困ることはない。

 なにより不老長寿にもなれる。

 

 色々なメリットを、デメリットを誤魔化しつつ提示しても少年の心は揺れる事は――――そのもっとも大事な者も一緒に悪魔へとなればもっと永く一緒でいられるという話以外は揺れなかった。

 

 その精神は悪魔であるリアスにしてみれば割りと好ましかった。

 必要とあれば邪道にも染まる漆黒めいた精神はとても悪魔にとっても心地良いものらしく、なによりも彼の在り方は『何か大きな事をやらかすかもしれない』という妙な期待すらも感じられた。

 

 少年だけでは無く、幼馴染みで少年にとって最も大事な少女もまた……。

 

 この二人の両親は経験が豊富だったのか、訪ねた際怖いオーラを撒き散らされたけど、それを抜きにしても欲しい人材だった。

 

 

「奪うだけのものなんて、役に立たないものだと思っていたけど、今なら思うわ。

…………持っていてよかった」

 

 

 何故なら大人しそうで地味そうな眼鏡を掛けた少女もまた、神器とは別種の――過去に前例の無いなにかを保持していたのだから。

 その力は種族としての力の差がある堕天使にすら通用してしまう程の異常な異能。

 

 

F.T.D(フォースタクスドラゴン)……俺は今からそう名付ける。

龍のおっさん曰く、歴代の赤龍帝の誰にも無い領域(ステージ)で俺はやらせて貰うぜ……!」

 

『おっさんじゃない、ドライグだ!』

 

 

 宿していた神器が二天龍の片割れ。

 そしてその神器の使い方が見たこともない使い方をし、更には少女と同じ異常な異能。

 

 

 ある理由で、命を狙っていたはぐれ堕天使一派相手に傷つきながらも二人で勝利をもぎ取った少年と少女を前に、リアスはやはり思う。

 

 欲しい……この二人を何ともしてでも。

 

 悪魔が故に時には漆黒の意思をもって敵を殺害できる『凄味』を持っているのはとても……気持ちがいい。

 

 

「………。初めて殺しちゃった」

 

「俺もだよ。だがもう……後には退けないだろ。

これもまた一緒だ――そうだろう?」

 

「そうね……」

 

 

 とんだアクシデントでリアスは二人をまだ悪魔としての眷属にはできないけど、条件を必ずクリアしてみせる。

 少年の神器の技術によって放たれた牙によって縦に真っ二つに切り裂かれた堕天使の亡骸を見下ろしながらリアスは思うのだった。

 

 

 

 

 

 奇妙な邂逅によって一誠と藍華は悪魔であるリアス・グレモリーが部長を務めるオカルト研究部に『入部』する事になった。

 その背景には二人を悪魔の眷属として駒による転生を狙っていたのだが、今現在二人は正式な意味で眷属にはなっていない。

 

 いや、そればかりか悪魔にすら転生していなかった。

 

 それは二人がそれをまだ迷っているからというのもあるが、もっとも大きな理由は今のリアスの所持する駒の数では二人を転生させられなかったのだ。

 

 簡単に言えばレベルが足りません状態だ。

 

 

 それ故に取り敢えずの処置として、二人に対して、ある意味初めて心底その素質に惚れ込んだリアスは部に所属してはみないかと提案してなんとか上手く手元に置くことに成功する。

 

 その後、一度イッセーの命を狙っていた堕天使達が他所の国からやって来た神器使いの少女の神器を抜き取ろうとする動きがあったり、その少女が偶々出会った藍華と言葉の壁を越えた友情を築いたり、それを見て微妙につまらなそうな顔をしていたイッセーにそれとなく色仕掛け半々の勧誘を仕掛けたら『養豚場の豚を見るような目』をされて凹んだり、その少女の命を救うために藍華がイッセーと共に乗り込んで初めて神器とは違う謎の力を二人が持っていることを知って余計欲しくなったりと色々あった。

 

 神器を抜かれて死んでしまった外国の少女を悪魔に転生させる形でギリギリで蘇らせて、自分達は味方だよ的なアピールも忘れない。

 

 

「自覚したのは中学に上がる前でした。

最初は触れたもの全ての『何か』を無差別に奪い取ってしまって大変でしたね」

 

「じゃあ今はコントロール可能なのね?」

 

「ええ、電気のスイッチを切り替えるみたいにONとOFFに切り替えることがイッセーのお陰でなんとか可能になりました」

 

 

 藍華の神器とは呼べぬ謎の異能。

 それは相手の持つ『何か』を奪い取るという、使い方次第では凶悪な力であり、実際あのレイナーレ達堕天使一派相手に『奪い取った』光景を目の当たりにしていたリアスは、イッセーだけでは無く藍華にも感じた予感が大当たりしていたと喜んだものだ。

 

 

「アイカさんと普通にお話できるなんて嬉しいです……!」

 

「ふーん、あっそー、それはよかったねー……?」

 

「勿論イッセーさんともこうして普通にお話できるのも嬉しいですよ?」

 

「う………あ、あっそう……」

 

 その知ることになった過程で、色々と騙されて教会から追い出されていたアーシア・アルジェントという悪魔をも癒せる神器を持つ少女を僧侶として眷属に迎えた訳で。

 いい感じの方向に風が向いているとリアスは大いに今の状況に気分が良い。

 

 

「イッセーも、龍のおじさん曰く『私と同質』の力を持ってます。

まあ、中身はこの前見た通りですけど」

 

「『意思』を『必ず』実現させる……かしら? 明後日の方向に投げた石ころが絶対に命中するのを見せられた時はびっくりだったわ」

 

「今はそういった使い方しかできないらしいですけどね」

 

「ここぞという時に絶対に外さない攻撃を放てるというのは大きな事よ。

しかし何故アナタとイッセーだけがそういう力を……? 他の人間を見てもそんな気配は微塵も感じなかったわ」

 

「それこそ『不明』ですよ私たちには」

 

 

 ちょっと苦手に思ってるのか、基本的にかなり素直で素直な言動ばかりのアーシアの笑顔に思いきり身体を仰け反らせながら目を逸らしているイッセーを見ながら、リアスは、不思議な神器の使い方をしていることを思い返す。

 

 単に赤龍帝の籠手として使わず、自信の背後に幽霊の様なデフォルメされた龍のヴィジョンを発生させ、自分のみならずそのヴィジョンにも攻撃させる。

 

 ヴィジョンの癖に何故か物理干渉が可能な事に対する疑問はこの際置いておいて、牙を飛ばすという攻撃方法とまた人体程度ならば容易に切り裂ける攻撃力を考えたら近・中距離にも対応出来るだろうと、リアスは考える。

 

 

「早く私もアナタ達を仲間にできる程の領域(ステージ)に立たないとね。

はぁ、今まで種族と血の力にかまけて碌に鍛えてなかったのが悔やまれるわ……」

 

「別に私とイッセーも鍛えてた訳じゃないですけどね……」

 

「同質の力を持つ者同士による共鳴によって感覚が研ぎ澄まされていくということもあり得るわ。

つまり知らない所でアナタ達はお互いに鍛えられてきたって事になるかもしれないわ」

 

「はぁ……そんなものなのでしょうかねぇ?」

 

 

 上手く距離感は掴めてきた。

 後は転生させるレベルに自分が上がるまで。

 

 これ程の人材を簡単に手放す訳にはいかない……と、リアスは一緒に居るだけでも強くなり続ける程に気が合いすぎている二人の獲得に闘志を燃やすのだった。

 

 だが、そのリアスの身に近々面倒な状況が急激に舞い込む事になる訳で……。

 

 

 

 

 アーシア・アルジェントは『これも主から与えられた試練』と信じることで誤魔化して来たが、本当に運の無い少女だった。

 

 癒しの神器を持つが故に教会に拉致られ、聖母だなどと祭り上げられ。

 かといってとある悪魔を悪魔と知らずに治療したら異端扱いされて捨てられ。

 

 途方にくれていたら堕天使に『アナタの力は素晴らしい』とわざと希望を持たされる言葉を向けられ。

 

 じゃあ頑張ってみようと思って言葉もわからない異国に行ったら、単に神器の力を奪う為の方便だったと知らされた挙げ句殺され……。

 

 とにかく『運』にまったく恵まれない少女だったのだけど、ただひとつの幸運は言葉は通じないけど、不思議な事に互いの意思が伝わる同い年の少年と少女との出会いだっただろう。

 

 

「藍華のとーちゃんから教えられたlessonシリーズ。

思うに龍のおっさん、俺はこのlessonが強くなれる秘訣だと思うんだけどどうよ?」

 

『おっさんじゃないドライグだ。

確かにお前の親父といい、あの男共には妙な『凄味』を感じるが、意味はわかるのか?』

 

「lesson.2の意味は何となくわかったから、龍のおっさんをヴィジョン化させられたと思ってる。

だからlesson.3の『回転を信じる』っつーのを解明しようと思うぜ」

 

『おっさんじゃないドライグだが……回転を信じるか。

何の事だかさっぱりだな』

 

「うちのお父さん曰く、イッセーは自分の若い頃に似てるんだってさ」

 

「若い頃? それって親父に聞いたことあるけど、そんな喧嘩強くねーぞ?」

 

「喧嘩の強さとかじゃなくて雰囲気とかだってさ。

確かに、変な青いオーラとか赤いオーラを出しながら『殺してる』としか思えない大技をかませるとは思えないけどさ」

 

「あぁ、うちの親父も言ってたな……。

もっともオフクロ曰く、親父もそんなんだったらしいけど」

 

『お前ら二人の親父はおかしいだろ……』

 

 

 この二人との出会いはアーシアにとって劇的なものだったと言えよう。

 特に藍華との出会いは……。

 

 

「回転かー……一体どんな意味なんだろう?」

 

『そういえばイッセー、お前がこの前堕天使に石を投げた時、奇妙な回転をしていたが、あれは違うのか?』

 

「え? あぁ、アレは意味があるかどうかは別にして、野球の変化球みたいに回転を加えたら威力とかが少しでも上がるかなって思っただけの話だぜ?」

 

「でも回転ってそういう事じゃない? うちのお父さんも未だに殺人クラスの投球をするし」

 

「………藍華のとーちゃんは規格外すぎんだよ」

 

「イッセーのおとーさんも大概じゃない? 小さい頃、『遠慮しないで死ねや!』と奇声混じりに大理石の壁をぶち破ってたじゃん」

 

「スイッチ入ると人がガラッて変わるかんな親父は……」

 

 

 本当なら死んでいた筈なのに、結果的にこの出会いによって今の自分がある。

 悪魔になった事で最早主に祈りを捧げる事は出来なくなっているけど、それでもこの二人のやり取りをこうして眺めるだけでもアーシアさ確かな『幸福』を感じていた。

 

 

「他の人の意見も聞いてみるか……。

よし、アルジェントさん、キミの意見を聞こうッッ!」

 

「え? ………あ、えっと、その『回転』というものは私にはよくわからないですけど、龍のおじさまがおっしゃる様に、投げ方に関係があるのではないかな……」

 

「………………………」

 

「な、なんて……あははは」

 

『おじさまじゃないドライグだというに』

 

 

 ただひとつだけ懸念というか、心配というか、不安というか。

 藍華とは同性というのもあってか仲良くなれた気はするのだけど、イッセーの場合は何かが違う。

 ファーストネームでは呼ばれた事も無いし、いまいち彼の型にはまってないのか、微妙によそよそしい。

 

 勿論イッセーもまた藍華と同じ様に、命の恩人ともいえる存在なので、アーシアとしては彼とも仲良くなれたらと思うのだけど……。

 

 

「投球フォームかぁ……」

 

『いい加減お前ら全員俺をオッサンと呼ぶのはヤメロ』

 

「ピッチャーの入門書でも読んでみっかなぁ」

 

 

 どこかに壁を感じる。

 いや、藍華と二人の両親以外の誰に対しても微妙に壁を作ってる気がしないでもない。

 アーシアはそれを敏感に感じる事のできるタイプが故に、微妙によそよそしいイッセーに対してちょっとした寂しさを感じるのであった。

 

 

「そういえば、イッセーのおとーさんから言われたんだけど、私は変な『呼吸法』の才能があるんだってさ」

 

「あぁ、親父がたまーに『コォォー』とかやってる奴か。

静電気が凄いんだよねありゃあ」

 

「呼吸法……」

 

 

終わり

 

 

 

 

 回転という謎のなにかの解明が、更に上の領域(ステージ)に到達できる。

 そんな気がしてならないイッセーは、あまり深くは語らない藍華の父からヒントめいた言葉を貰いながら模索していた。

 

 そんな中、リアスにとても厄介な事が急激に舞い込んできてしまったらしく、色々と焦ってしまっていたリアスは、下宿させていたアーシアを連れて何を思ったのか、夜のイッセーのお部屋に突撃したのだけど……。

 

 

「にゅふふふ……」

 

「えーっと……どうしました?」

 

「………………いえ」

 

「あ、あわわわ! あ、アイカさんがイッセーさんに……!」

 

 

 焦りすぎて色々と深く考えられなかったリアスはそれを見て一気に冷静に戻る。

 何故なら部屋にはスヤスヤと心底幸せそうに寝てるイッセーと、そんなイッセーにめちゃんこ絡み付かれていた藍華が居たからだ。

 

 連れてこられたアーシアはそんな光景に恥ずかしさで顔を紅潮させながら両手で顔を覆っているが、若干ムッツリでも入ってるのか、両手の指の隙間から覗いている。

 

 

「そうよね。流石に無理よね、冷静に考えたら……」

 

「? だから一体何がですか? ていうかアーシア、恥ずかしがってる様に見えるけどバッチリ見てるわよね?」

 

「ふぇあ!? み、みみ、見てませんよ!?」

 

「んん……う、うっせーなぁ……なんなんだよぉ……」

 

 

 もし仮に藍華が今この場に居なくて、イッセーだけであったとしても、リアスが懇願する話に対して即座に『嫌だ』と返されるどころか、下水道の溝鼠を見るような目をされるに決まってたと、嫌すぎて逃げるのに頭が一杯で冷静ではなかったリアスはがっくりと肩を落とす。

 

 

「なに? こんな夜中になんすか?」

 

「あ、いえその……お邪魔して悪い――」

 

「本当っすよ。折角おだやかな陽気の空に浮かぶ雲の上で寝ていた夢を見てたっつーのに……」

 

「「………」」

 

 

 寝起きで凄まじく機嫌も悪く、リアスとアーシアに対してかなり辛辣で、流石にちょっと凹む。

 

 

「起きたんなら解放してくれないかしら?」

 

「やだ」

 

「……ぅ」

 

「あ、あわわわ……あ、アイカさんが……!」

 

 

 逆に藍華は起きたなら離れろとイッセーに言うも、ますますくっつき虫の如く密着され、めっちゃ胸に顔を埋められている。

 よくわからない敗北感に打ちひしがれるのは何なのか

……。

 

 取り敢えずこんな夜更けに来た理由を話そうとしたリアスなのだが……タイミングが悪いことに彼女の実家のメイドで兄の嫁さんが追いかけに現れてしまったせいで色々の拗れてしまう。

 

 

「お嬢様、こんな場所へと逃げた所で一時凌ぎにしかなりませんよ?」

 

「グレイフィア……」

 

「わっ、メイドさんだわ……」

 

「ちっ、また訳のわからないのが……」

 

 

 銀髪メイドに目を丸くする藍華とは逆に、折角気分よく寝てたのを邪魔されたばかりか、大人しく寝れる空気じゃなくなってる状況にますます不機嫌度が上がっていくイッセー。

 

 だがそれ以上にマズかったのが、この四人が正規の手順……つまり玄関からお邪魔しますと入ってこなかったのがまずかった。

 

 

「うちの息子と娘(確定)の部屋に勝手に入り込んでるお嬢さん方……一体全体なんのつもりかご説明願おうか? ……………………………ねぇ?」

 

「っ!?」

 

「い、イッセーのお父様……!」

 

「あ、あの……」

 

 

 五郎が全身から謎の黒紫っぽいオーラを撒き散らしながら、うもはも言わさぬ迫力に、リアスとアーシアは即座に正座をし、グレイフィアは微妙に圧されていた。

 

 何だかよくわからないが、怖いのだ。この見た目は眼鏡を掛けた冴えなさそうなおっさんが。

 

 

「常識が無いにも程がないかい? それにアナタは大人だろう? そんな珍妙な格好をしてるのもアレだが、保護者ならちゃんと止めるべきじゃあないのですか?」

 

「ご、ごもっともです。申し訳ございませんでした。

すぐにでも連れて帰ります故……」

 

 

 下手打ったら急激にスイッチが切り替わりそうなタイプだと見抜いたグレイフィアはとにかく謝った。

 人間一人に対して見下すとかではなく、種族の差で負ける気なんてまるで無い筈なのに、この五郎の迫力にグレイフィアはただただ平謝りしかできなかったのだ。

 

 もしスイッチを切り替わったら、小刀を持ち出して襲い掛かってきそうな気がしたから。

 

 

 こうしてさっさと追い出されてしまった三人は、改めて二人に何故こうなったかを説明する事になるのだが……。

 

その後もまた大変だったのは云うまでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

「………。ヤバイよ俺。

べつに女を何人侍らそうが知ったこっちゃないし、グレモリー先輩が結婚しようとも知らんけど、明確に『殺意』が沸いたのって初めてかも」

 

「でもまぁ事実なんだし仕方ないじゃない。

こんな綺麗所だらけの中、私みたいな地味女がいりゃあああも言われるでしょ」

 

「だから許せねぇ。

あんにゃろう、眼鏡外して髪を下ろした藍華見たら間違いなく掌返すに決まってるのが予測できてしまうのが余計ムカついてしょうがない。

ていうかそもそもだ! おさげで眼鏡の藍華も可愛いだろうがッッ!! そうだろうよ!? なぁアンタ等!!?」

 

『は、はい……』

 

「……。惨めになるだけなんだけど」

 

 

 藍華がディスられたせいで漆黒の意思スイッチがONになってしまったとか……。

 

 

「龍のオッサンの牙に回転を加えて威力向上だぜ!!」

 

『むっ!? 回転の力を感じたら力が沸き上がるぞ……!』

 

 

 やる気MAXでstage.2に進化したとか。

 

 

「お、俺の不死の力が……!? き、貴様等俺に何をした!?」

 

「はて、地味で目立たなくてブスな私にはなんの事やら……?」

 

「だが、アンタを今からボコしても復活はできねーってのは現実な訳だが、そこについてはどう思うよ?」

 

「うっ……! ま、待て、リザ――イガァ!?」

 

「F.T.D、回転牙弾50連射ッッ!!

オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!!」

 

 

 漆黒の意思スイッチのまんまヒーハーしちゃったりとか。

 

 

「は? 結婚を阻止した理由が、俺がグレモリー先輩に惚れてるからですって? なんすかその訳のわからん話は?」

 

「そ、そうじゃないのか? だからリアスの為にゲームであれだけの活躍を……」

 

「いや、藍華が相手にディスられてイラッてしたからであって、べつにおたくの娘さんがどうこうって訳じゃあありませんが。

惚れてる云々もまるで違いますし、つーかありえないっす」

 

「…………」

 

『…………』

 

「あーぁ」

 

「え、なにこの空気? 違うものを違うって言っただけじゃん」

 

「もう少しオブラートに包むべきだったのよ」

 

 

 ハッキリと実の両親の目の前でおたくの娘には欠片もそんな感情は無いと言ったせいで微妙な空気にもなるし。

 

 

「ハーフ堕天使? あ、そっすか。

でよ、藍華。俺が思うに俺と藍華のスキルと回転と龍のおっさんの力を混ぜ合わせれば先に行ける気がするんだよ」

「そ、そっすかって……。

結構勇気を出したのにそうっすかって……」

 

「聞いてあげなさいよ、先輩なんだから……」

 

 

 色々と打ち明けてみても素っ気なさすぎるし。

 悪い奴ではないけど、なんかイマイチ素っ気ないのが玉に傷なのであった。

 

 

なんてね




補足

某猫型たぬきロボットみたいな意味で、親父達はマジに変に経験豊富であり、色々な事を知ってる模様。

例えば喧嘩のやり方から回転技術だの、ドスの扱い方から謎の呼吸法だの。



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