色々なIF集   作:超人類DX

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トゥルーエンド後、更に色々とだらしなくなった彼を支えていく内に、割りとしっかりものになっていったギャスパー。

それはまるでダメ男に惹かれるダメ女のごとし……。


連投だぜこんにゃろー!


第5.5弾・ちゃらんぽらん委員長としっかり者ギャスパー

 今にして思えば――風紀委員長であった彼は思う。

 

 

 多かれ少なかれ、転生者という存在はどこにでも居る。

 そう過程するならば、自分とギャスパーが生きた世界に居たあの転生者――つまり今は誠という名前を限定的に使っている一誠にとっての姉として現れた兵藤凛は『まだ大分』マシだったのだろうと。

 

 

「なぁなぁギャスパー、俺達の所に居た『姉』ってさ、今にして思えばかなりマシだったんじゃね?」

 

「僕はあまりあの人とは関わりが無かったので何とも言えませんけど、ここに居る怖い目をした人達と比較したら確かにそう思えると思います」

 

「だよな? うーん、完全に関わりを捨ててから初めての発見に俺は驚きだよ」

 

「あの人やあの人を慕っていたとされる小猫ちゃんや、祐斗先輩や、アーシア先輩はどうしてるのでしょうかね……?」

 

「まあ、仲良くやってんじゃあないのか? 此所と比べるまでもなくド平和だからなぁ」

 

 

 触れたら即お陀仏な爆弾みたいな気性二人と同盟関係にある風紀組二人。

 適当な廃墟を根城に元の時代へと戻る手掛かりを探しつつ、現れる転生者を消していくというのが主な活動内容であり、彼とギャスパーも、あの白音と零という名前を限定的に使っている方の一誠とまではいかないが、何人かを狩った経験はある。

 

 故に誠はふと思ったのだ、あの凛とかいう女の転生者はひょっとして相当まともな部類だったのだと。

 

 

「まさか俺があの女に対してこんな心境を持つ日が来るとはなぁ。

やっぱり人生って儘ならないよな」

 

「もし戻れたら会いに行ってみたらどうです?」

 

「え、それは嫌だ。

マシと思えるのと好き嫌いは別だろ? マシとは思えるけど、別に好きじゃあ無いし」

 

 

 とはいえ、新たな発見をしただけで、もし戻れたら和解してみようとは一切思わない。

 そもそも一誠は故郷のあの街を完全に捨てて世界をギャスパーと適当に放浪しながら組織を作り上げたのだ。

 今更生まれ故郷に戻るのは……朱乃の件もあるので気は進まない。

 

 

「第一会った所で話す事なんて無いだろ。

放置してた方が互いの為に良いに決まってるぜ」

 

「先輩がそういうのであるなら僕もこれ以上言いませんけど……」

 

 

 この素晴らしすぎる(皮肉)の連中と比べたらの話であり、結局根付いた嫌悪感は剥がれない。

 過去とは決別した今、後ろばかり向いて歩いていてもしょうがないのだ。

 

 

「むむっ!? 久しぶりに見る駒王学園の現役女子高生! うっはー! 叶うことなら風紀委員長としてスカートの丈チェックとかしてー!」

 

「ちょっとイッセー先輩! そっちばかり見ていないでちゃんと観察対象をみてくださいよぉ!」

 

「わーってるわーってる……えーっとあの目立つ髪をした――居た! グレモリー先輩&違う俺らしき男とシトリー先輩&俺より人生負けてそうな俺!」

 

 

 そんな過去を軽く振り返っていた誠とギャスパーは今、駒王学園の外から高性能双眼鏡で学園内を観察しており、観察の対象はギャスパーにとって主だった悪魔の少女と、誠にとっては委員の関係上敵対関係だった生徒会長悪魔少女だった。

 特に誠にしてみれば短い期間ではあるものの、かつてその二人の悪魔の眷属をやっていた時期もあったので、決して浅くは無い因縁がある。

 

 

「ふーむ、ひんぬー生徒会長は良いとして、久し振りにグレモリー先輩を見たけど、やっぱり目が覚める美少女だねぇ。

良いなぁあの俺っぽい奴、腕組みしながら歩いてるし、よく見たら目が怖いひんぬー会長も俺以上の負け犬オーラ放ってる俺と腕組みして歩いてるな」

 

 

 ソーナをひんぬー会長と呼びつつリアスを普通に誉めながら、自分そっくりの男子と仲良さげに歩いてる光景に誠は軽く妬みの入った声で呟く。

 これでいきなり通り魔の様に襲おうと考えてないのが、この世界に蔓延る転生者達との違いだったりするのだ。

 

 

「…………」

 

「ん? なんだよギャスパー? 腕が疲れるんだが?」

 

「………むぅ!」

 

 

 そんな彼の呟きを聞いて軽くムッとなったギャスパーが、双眼鏡で覗いているその腕にしがみついてみるが、本人は重いからやめてくれと意図すら理解していない。

 思わず小さく頬を膨らませるギャスパー……これが元々は男でも女でもない不安定な生命体で、かなり怖がりだったと思うと感慨深い。

 

 

「…………んんっ!? おいギャスパー、俺の腕にぶら下がって遊んでないでお前も見てみろ!」

 

「ぶら下がって遊んでるんじゃないのに……」

 

「良いからほら! グレモリー先輩達が登校して正門前に居る地点の少し後ろだ!」

 

 

 何かを見つけたらしい誠に促され、ちょっと納得できない気持ちになりながらも言われた箇所を辿って覗いてみる。

 するとそこには今朝共にご飯を食べた小猫と零――――では無く、黒髪の女性と見知らぬ男性がこそこそした様子で跡を尾けている様な姿が見えた。

 

 

「小猫ちゃん……じゃあ無いですよね? 少なくとも僕たちが今朝ご飯をご一緒した方じゃない意味で」

 

「そらそうだろ、だってあの二人は飯食った後『ウザいからこっちから出向いて消してくる』って、通り魔共よりも通り魔みたいな事言って出てったんだぜ? だからこうしてこの前発見したグレモリー先輩達の様子を見る役をやってんだもの」

 

「ですよね。すぐ近くに居る女の人と男の人は見たことありませんし……」

 

「男の方は知らんが、女の方はどこかで見た気がしたな……。

ええっと……なんだったかなぁ――――あ、そうだよ! 多分搭城さんのねーちゃんだ!」

 

「あ……僕も思い出しました。

名前は確か黒歌さん……」

 

 

 誠自身の様に、違う世界の小猫が居ても可笑しくはないと考えていた二人はすぐに双眼鏡で見える小猫が違う小猫であるのを看破するのと同時に、妙にリアス達を気にしながらコソコソしているのと、姉と記憶に無い男に怪しむ。

 

 

「おお、どうやら駒王の制服を着ているところを見るに、三人とも学生らしいが……かなり久し振りに搭城さんのねーちゃんを見るが、制服が寧ろ凶器になるほどのメロンだぜ……」

「イッセー先輩、そろそろいい加減にしないと僕だって怒りますよ?」

「だってお前スゲーだろ!? くぅ、あんなメロンを抱き枕に出来たら何時でも死ねそ――――あ!!? やめろギャスパー! 血を吸うな! 貧血になるぅぅ!!」

 

 

 怪しむ癖に黒歌という女性のメロンに鼻の下を伸ばしている誠にとうとう怒ったギャスパーがガブリと後ろから飛び付いて首筋を咬んで血を吸い始めた。

 ハーフ吸血鬼的な特性を持つ彼女は当初生臭くて血は苦手だったのだが、彼の血だけは受け付けるらしく、基本的に吸血するのは彼だけで貧血になるまで吸うのは彼女なりの彼への抗議だった。

 

 

「胸見て鼻の下ばかり伸ばしていないで、ちゃんと見張ってください。

まったく……大きい胸の人を見るといつもこうなんだから……!」

 

「お、おおぅ……わかったぜギャスパー。

でもお前、吸いすぎってか、別に吸わなくても平気になったんじゃないのかよ?」

 

「先輩の血なら慣れてるので大丈夫で他の人相手にやる気にはなれないだけです。

ほら、指の血だって先輩のなら美味しいと思えますから」

「お、おいおい! もうわかったからヤメテ!」

 

 ちゅーちゅーと嫌がる誠を無視して吸血行為をするギャスパー

 こんなちゃらんぽらんな彼と共に居たせいなのか、やはり彼の前だけでは割りとしっかり者に成長したようで、口調からもわかる通り、軽く尻にすら敷いてる感もある。

 

 

「はぅ……せんぱぁい……♪ センパイの血だけは美味しいですぅ……」

 

「変な声出すなよ。

だからやめろって言ったのに……」

 

 

 誠の血を少し吸いすぎたせいか、双眼鏡から目を離した彼の目の前には頬を上気させ、目がとろんとしたギャスパーが妙に妖艶な笑みを浮かべながらもたれ掛かってくる。

 

 

「酔っぱらいじゃねーんだから……はぁ」

 

「えへへ、だーいすきっ!」

 

「はいはい……」

 

 

 ギャスパー自身が完全に自己を確率させ、『過去は関係なくただのギャスパーとして生きる』という覚悟と成長とついでに周期的に入れ替わってた性別が固定されてから、誠の血だけは受け付けられる様になり、また吸いすぎると二割増しでエロっぽくなる。

 これはアルコール接種で酔っぱらった時と大体同じらしく、今のギャスパーはおくびもなく誠に抱き着いて離れない。

 

「先輩冥利に尽きるよホント……ははは」

 

 

 わざわざ全部と別れて自分に付いてきてくれた後輩。

 最初は何にでも怯える不安定な子がよもやこんなしっかり者になるとは……。

 今吸血し過ぎて酔っぱらってるにしても誠はギャスパーの存在がとてもありがたかった。

 

 

「それにしてもあの違う搭城さん達は何か企んでるのか? 特にあの一緒に居た男は見たこともない男だし………」

 

 

 

 取り敢えずギャスパーをおんぶしながら観察を再開する事にした誠は引き続き謎の男を怪しみながら校舎へと消えていくのを確認して観察を終了する。

 

 

「うーん、グレモリー先輩とひんぬー会長はやっぱり搭城さんの言うとおり、俺達に近い立ち位置なんだろうか。

だとしたら多分あっちの俺も強いのかなぁ……もしそうだったら自信無くしそうだぜ」

 

 

 どこかで上手く接触できやしないか。

 ………等と、この世界から抜け出せる確率を少しでも上げたい誠はギャスパーをおんぶしたままテクテクと歩きながらついボーッとしてしまってると、向こうから歩いてきた誰かと肩をぶつけてしまった。

 

 

「あ、すいません」

 

「いえこちらこそ……」

 

 

 ぶつかってしまったのなら謝るのは当然だと誠は直ぐ様ぶつかった相手に謝り、そのまま再び空をぼーっと眺めながら歩き出す。

 

 

「うーん、てか俺多すぎじゃね? 転生者に比例して俺等も沸いてるってのか?」

 

「えへへぇ、先輩のえっちー……ふみゅ……」

 

「マジの酔っ払いみたいになるまで吸いやがって、こやつめ……しかもなんちゅー寝言を言ってんだか。

あ、でもギャスパーはもう女の子なのか………………………いやいやいや! 大事な後輩なのにそんな目で見たら嫌われて終わる! ダメだダメだ!」

 

 

 故に気付かなかった……。

 

 

「今のは……一誠とギャスパー君……?」

 

「……………」

 

 ぶつかった相手が亜麻色の髪を持つリアスそっくりな美少女と、燕尾服を着た右腕と右目のない誠そっくりの目付きの悪い少年だったことに……。

 

 

「いっせー……せんぱい……」

 

「うぬぬ、そういえばギャスパーってちんまいままだけど意外と胸の感触はする――――いやダメだって! 考えるな俺っ! そもそもギャスパーはそんな風に俺を見てすら無いんだからさ! ギャスパーにだけは邪な事は考えちゃ駄目だ! …………でも昔から格好可愛いと思うことはあったし、ギャスパーだけが俺に優しくしてくれるんだよなぁ……」

 

 

 

 

 

「間違いなく違う一誠ね。

ギルバ、どう思う?」

 

「ギャスパーと一緒なのには驚いたが、十中八九ババァの考えてる通りだと思う。

…………それにしたって俺多すぎだろと突っ込みたくはなるけど」

 

 

 そして自然とコカビエル達に後々知られる事になるまで、誠はギャスパーについて若干葛藤していたので気付かなかった。

 

 

「あ、あれ? 僕は何を……?」

 

「お、おう起きたかギャスパー……。

血を吸いすぎて酔っ払ってたからな……運んでやったんだぜ」

 

「あ、そうだった。

ごめんなさい先輩……一度先輩の血を吸うと自分でも止められなくて……」

 

「べ、別に構わないさ……」

 

「? どうしたの先輩? さっきから変な挙動ですけど……」

 

「な、なんでもないぜ!? 公園のベンチにこうしてお前寝かせてた時にちょっとくらいならとか考えて見てないからねっ!?」

 

「え、見たってなにを――――っ!?」

 

「ち、違うぞ!? 暑そうに――そ、そう! お前が暑そうにしてたからちょっとブラウスのボタンを外しただけだからな!? 変な事なんてしてないからね!?」

 

「…………………………見たんですか?」

 

「み、見てない見てない! お前にそんな事は流石に――」

 

「先輩、僕の目を見て言ってください。

もう一度聞きますけど………見たんですか?」

 

「………………………。ごっ、ごめん! すまん! つい出来心が働いちゃったんだ! 何か酔っ払ってたギャスパーがエロく見えたからつい……」

 

「ふーん……そっかぁ、先輩に見られちゃったんだね僕。そっかー……えへへへ♪」

 

「あ、あれ……怒らないの?」

 

「何で怒るんですか? 他の知らない女の人に鼻を伸ばされるんだったら僕を使ってくれた方が、僕は幸せです……」

 

 本人達は割りと楽しそうに――特にギャスパーがあたふたしている誠に身体を預けながら幸せそうにしているせいで全くまだ気付いていなかったのだ。




補足

前にどっかで聞いたけど、吸血鬼の吸血行為ってつまりそういう意味らしい。

だから―――うん


その2
ニアミス完了。
中心人物とさえ徒党組めば後は絶滅タイムだ!


その3
ギャーきゅんに対しては後輩という認識が強いのと、流石に固定されたとはいえセクハラはできない模様。

代わりに距離感が異常だし、ちょっと出来心が働いたらギャスパーにめっさ見捨てられると戦々恐々。


……まあ、そんな事無いんですけど。

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