色々なIF集   作:超人類DX

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別にブルマなんて履かないよ。

ただ、内面が……


亜空の瘴気………

 降参という形でライザー達が敗北した事により、リアスの首の皮は繋がった事になる。

 だがしかし、内容からすれば完全にリアスの敗北だったというのはこのゲームの内容を面白半分で見ていた多くの悪魔達にもわかる事であり、結果的にあのゲームによってリアス達の名はこれっぽっちも上がる事は無く、寧ろ一誠に至っては敵の王を前に戦わずして逃走した弱腰とまで揶揄されてしまう結果となった。

 

 無論、姫島朱乃はライザーの将軍(ジェネラル)によって顔を破壊されるまで殴られ続けた事が、フェニックス家から寄越された『フェニックスの涙』で癒されてもトラウマとして残る事になり、今の彼女は包帯を巻いた怪我人を前にすると震えが止まらなくすらなっていた。

 

 ゲームとしては勝者。

 しかし相手方の気紛れで与えられた偽りの勝利。

 婚約話が完全に消えたのは確かだが、結果的にリアス達に残った精神的なダメージは大きかったのだ。

 

 それは、七つに別れた聖剣を巡った戦いに勝利しても、その過程で神器を進化させても、新たに騎士として元・悪魔祓いが加わっても、男の娘ハーフ吸血鬼の封印を解いても、禍の団を名乗る旧魔王の血族者が三大勢力トップの会談を襲撃し、それをなんとか蹴散らした後でも、夏休みに突入して冥界に帰省する事になっても、心に刻まれ続けた『挫折』と『恐怖』だった。

 

 

「若手悪魔の会合……ですか?」

 

「そうです。フェニックスとのゲームに実質『敗北』したとはいえ、アナタ達は多大な功績をその後もたらしました。

故に将来を担う若きホープとして此度行われる会合に出席しなさい」

 

 

 そして今、フェニックスと当然それ以降の関わりが無かったリアス達は、後々聞いた話で、『ライザー・フェニックスとレイヴェル・フェニックスはフェニックス家の中でもっとも何を考えているか分からない悪魔』と言われる彼等と再会することになる……。

 

 

 

 

 自信を取り戻したライザー・フェニックスは、妹と義弟と共にそれからも一切の妥協のない鍛練を積み重ね続けた。

 無論、表側ではチャラチャラしたボンボンを……あのゲームでの行動以降、少し周りの評価が変わっていたとしても続けながらだ。

 

 

「会合ですって? 何故俺が?」

 

「魔王様並びに政府の上層部が推薦されてな。

あのゲームではお前はわざと降参したが、内容としてはほぼ圧勝だったと判断されたらしい。

無論断る事など出来ない、魔王様と上層部の意向に逆らう……とは言わないな?」

 

「……チッ」

 

 

 あれ以降、目立った真似をしたつもりは無かった。

 だが自分の知らない所で随分と妙な評価をされていたらしい。

 父親に呼び出され、出るのが決定事項だと言わんばかりの話をされ、あからさまな舌打ちをしたライザーは本当に嫌そうな顔をしていた。

 

 

「もし出るのなら、勝手にフェニックスの名を与えたあのギルという男の事も認めてやろう」

 

「……………………」

 

 

 認めてやるだと? 別にフェニックスの名なぞ単に仮で名乗らせてるだけであって、自分も、レイヴェルもイザとなればフェニックスの名なぞ捨ててやる。

 と、所謂前世の事もあってか、この世界の両親や兄達との折り合いの悪さを伺わせる事を思うライザーは、わかったと了承してさっさと部屋を出た。

 

 

「チッ、何が若手だ馬鹿馬鹿しい。

碌になにもしてない俺達に誰が期待する? どうせ体よく例のテロ組織の尖兵にしたいだけだろう? ましてやサーゼクス・グレモリーは妹に恥をかかせたって事で俺達を快く思っちゃいないからな」

 

 

 自室に戻りながら独り毒づくライザーにしてみれば、こんな茶番に出なければならないのは只のストレスでしかなかった。

 散々期待しておきながら、たった独りの男の意向に馬鹿みたいに従い、義弟を捨て駒扱いした連中共は今も昔も大嫌いなのだ。

 それが例えこの世界ではまだ正常だとしても。

 

 

「面倒な事になりやがったぞ二人とも。

なんでも『一切なにもしてない』俺達が、魔王や上層部のお眼鏡に掛かって、栄光ある会合に出席しなければならないらしいぜ」

 

「それは……」

 

「非常に面倒だな確かに」

 

 

 自分と妹とギル以外の全ての入室を厳禁させている自室に戻ったライザーの、凄まじく嫌そうな顔をした言葉に、ポケットサイズのボールからモンスターを召喚してバトルさせるゲームで戦って遊んでいた素顔状態のギルとレイヴェルもまた面倒な展開だと顔をしかめた。

 

 

「魔王だの、冥界の上層部からの推薦だのと宣うが、俺は多分あのサーゼクス・グレモリー辺りが余計な事でも言ったんだろうと思っている」

 

「……あー」

 

「てか、それしか無いでしょうね。

彼にしてみれば妹に恥をかかせた我々を快く思う理由がありませんもの」

 

 

 この世界のサーゼクスとは以前のゲーム後の際の軽い挨拶でそれ以降は当然、一切の関わりは無かった。

 が、あの時点でしつこい程に彼は『何故あのタイミングでわざと降参した? あれでは妹が恥をかくだろう?』と、煩かったのだから。

 

 

「彼はどうやら正真正銘この世界のサーゼクス・グレモリーで間違いはないらしいが……どうやら俺達は奴に嫌われる『運命』らしいな」

 

「ふん、妹の言うことを聞くばかりしか頭に無いだけだぜ」

 

「前も妹の言葉を全部鵜呑みにして、ギルを塵の様に扱っていたのを見てみぬフリをし続けてましたものね」

 

「あぁ、気取った笑みでも見てしまったら、光速パンチでこの世から消し飛ばしてやりてぇ……」

 

 

 ギルにしてみれば特にサーゼクスも『憎悪』する相手であり、無意識に全身から僅かに夜と呼ばれる炎が放たれる。

 

 

「気は進まないかもしれないが、寝床を提供してくれる両親の顔をここだけは立ててやろうと思うのだが……」

 

「ま、食べるものにも困らないのは両親のおかげですしね」

 

「俺もそれで良い」

 

 

 嫌いだが、何もまだされてはいない。

 だから無意味な反発は却って怪しまれると判断した三人は出るだけ出る事にする。

 理由は――まぁ、タダ飯にありつく的なそんなノリで。

 

 

 

 

 彼女にとって、それは衝撃だった。

 

 

『全く、便所の鼠の糞にも匹敵するレベルにどうでも良い悪魔の女を口説いて回るのも疲れるぜ……』

 

『お兄様、言葉遣いが汚いですわよ』

 

『本当に変わったな兄貴も……』

 

『当たり前だ。当時の俺が馬鹿だったぜ。

顔だけで女を選んで眷属ってよ……そら信頼関係もクソも無く呆気なく裏切られるわ』

 

 

 十年程前か。

 まだ貴族の者として未熟な彼女は、貴族としての振る舞い方の勉強という意味でとある悪魔の開いたパーティーに出席していた。

 そこには集まった貴族の者が自分の子を自慢し合ったりという――言うなればたんなるお見合いの意味も入ってたと思う。

 彼女も自分を連れてきた父に様々な名家の子息に引き合わされた。

 

 正直彼女はそれが嫌だったし、引き合わされる誰も彼もがプライドの高い彼女にしてみれば『幼稚』でつまらない者ばかり。

 

 だから他の貴族と談笑をしている父の隙を見て会場から抜け出し、一人会場外の庭を散歩していた訳だが、彼女はその時偶々見たのだ。

 

 

『炎の修行でもしようぜ。

どうせ居なくたって誰も気付かないだろうしな』

 

『ここでやるには目立ちます。

それにギルの事もありますから……』

 

 

 『何か』が違う悪魔の男を。

 身内と思われる少女と、黒い髪をした暗い目をした少年と共に外を歩き回るその姿を何抜き無しに当初は見ていた彼女は、彼の名前を後に知る事になる。

 

 

『! お兄様、あちらから誰かが見ています』

 

『どこぞの貴族の娘だと思うが……じーっと見てるんだけど』

 

『ん? 放っておけよ。

別に見られてマズイ事なんてしてない……が、本当にガン見してるな』

 

 

 他のガキと呼べる低レベルな連中とは何かが違う気がする。

 その証拠に、彼は思わず目で追っていた自分の前に立って口をこう開くのだ。

 

 

『何か用かな、お嬢さん?』

 

 

 単なる挨拶だった。

 別に特筆すべき事なんて無い単なる挨拶でしかなかった。

 だが彼女は彼の姿に目を奪われた。

 

 

『? 何だ、幽霊を見たような顔で……? こんな所に居ては身体が冷える。

早く会場に戻った方が良いと思うのだが……』

 

 

 心の中心に入り込んでくる様な鋭くも優しさを感じる蒼い瞳。黄金色の頭髪。透き通る様な白い肌。そしてなにより、自分とそう年の変わらないと思われる男としては思えない妖しい色気と声色。

 

 全てが彼女にとって衝撃だった。

 不気味な程に輝く赤い満月を背に佇む彼の姿に彼女は惹かれたのだ。

 

 彼に従いたい。彼の望むモノ全てを献上したい。彼にこの命を使われたい。

 それはつまり、絶対的な『忠誠心』が芽生えた瞬間だった。

 

 

「会合にライザー・フェニックスが……!?」

 

 

 それから月日は流れた。

 今の上級悪魔は下僕を持つ事がトレンドだ。

 しかし彼女は周囲からどれだけ言われても眷属をひとりたりとも持たなかった。

 それは彼の下僕になりたいから。

 彼の為にこの命を使いたいから。

 

 恥だと罵倒されようとも、馬鹿だと罵られても、無能だと見下されても彼女の意思は変わらなかった。

 全てはあの夜抱いた希望の為に。

 そしてそのチャンスはめぐってきたのだ。

 

 普段彼は眷属の二人と家に籠って動かないので、これまで接触する機会は無かった。

 リアス・グレモリーのゲームの時に見たあの波動で完全なる確信をした彼女にしてみればこれは大きなチャンスなのだ。

 

 無論、彼女が周囲から期待されている若手悪魔として会合に出席できる資格は無い。

 だがギャラリーとしてなら上手くいけば接触する事ができる。

 

 だから会合の当日、凄まじく早起きし、凄まじく早く会場に潜り込み、凄まじく待ち続けた。

 ライザーとゲームをしたグレモリーだの、その友人のシトリーだの、バアルだの、グラシャラボラスだの、アスタロトだのだのだのだのは全てがどうでも良い。

 

 彼女が――『アガレスの恥』と揶揄された彼女が待つのは……。

 

 

「この日をどれ程待ちわびたか……。

我が主、ライザー・フェニックス様……!」

 

「…………はぇ?」

 

 

 会合出席者のみが入れる筈の控え室に入り、周囲の悪魔達が目を見開くのもガン無視で、他の者達から離れた場所で眷属二人と座っていたライザーに膝まづく彼女の名前はシーグヴァイラといった。

 

 

 

 

 

 リアスにとって――否、リアス達にとってフェニックスのライザー達はまさにトラウマだった。

 そんな者達が此度の会合に出席するという話を聞いた時はどうしようもない怖さを思い出したし、一誠と朱乃に至っては吐き気を訴えていた程だった。

 

 だからリアス達はなるべく、控え室の隅っこでのんびりとやってるライザーとレイヴェル、ギルと呼ばれた包帯男をなるべく見ないことにした。

 

 新参と封印を解かれて事情を知らないゼノヴィアとギャスパーは不思議がっていたが、この二人には特に彼等の恐怖を刻み込ませる訳にはいかないと、とにかく彼等に構うなと言っておいた。

 

 なのにどうだ。

 彼等の所だけ異様な雰囲気が放たれ、他の悪魔達も近づき難い何かを感じてる状況に突如現れた、アガレスらしい女性悪魔が、ライザーの前に膝まづいているではないか。

 あまりの突然的な展開に、リアス達も思わず彼等を見ていた。

 

 

「この命、貴方様の為に……」

 

「……。唐突過ぎて処理がつかないのだが、聞かせてくれ? 何だキミは?」

 

 

 顔も見たくない連中の視線をガン無視し、時間が来るのを二人と待っていたライザーの前に膝まづく見知らぬ女悪魔に、さしものライザー達も普通に困惑する。

 取り敢えず何のつもりかを尋ねてみるのだが、ただのシーグヴァイラと名乗る悪魔は頭を垂れたまま膝を付いて忠誠を誓うと言うだけ。

 

 

「私はあの日の夜、貴方様に出会えた衝撃を今でも忘れません。

そして、その時から私の支配者は貴方様だと……」

 

「…………」

 

「「………」」

 

 

 何を言ってるんだコイツ? と、レイヴェルとギルに目で訊いてみるも、二人は当然『さぁ?』と首を傾げる。

 忠誠がどうだとか、支配がどうとかとさっきから物々しい事ばかり言ってるが、ライザーにしてみればそもそもこのシーグヴァイラ・アガレスからこんな頭を垂れられる理由に関する記憶が無いのだ。

 

 

「お記憶が無いのは仕方ありません。

私はかつてとあるパーティーで貴方様と出会ったきりですから」

 

「は、はぁ……パーティーね」

 

 

 向こうで見てくる会合出席者達の視線が地味に痛い。

 中にはずっと悪い事をしたと思ってた一誠が居るが、彼から怯えるような目をされるのが地味に堪える。

 

 

「貴方様を世間では女好きのだらしのない男と、物の本質を見抜けぬ馬鹿共はほざいておりますが、私は貴方様のその面が偽りであることを知っております……」

 

「…………………ほう?」

 

「……どう思うレイヴェル?」

 

「……。多分、素でお兄様のファンなんじゃないかしら?」

 

「マジかよ……とんだ皮肉だな兄貴も」

 

 

 どうやら単に物珍しさで寄ってきただけの者ではないらしい。

 今の言葉で理解したライザーは取り敢えず彼女に頭をあげろと告げる。

 

 

「以前キミは俺達と会ったといったな? ならばキミは『引力』というものを信じるか?俺達の『気の緩み』によって以前、俺達の本質を見抜き、そして今この場に向かい合っているということを?」

 

「はい、信じます。やはり貴方様は……」

 

「なるほど、しかし俺達はキミを信じる事はできない。

何故ならキミを俺達は知らないからだ」

 

「わかっています。

だからこそ何時かこうなる時の為に眷属は作りませんでした……。

貴方の下僕となる為に……!」

 

 

 その眼は忠誠を超えた狂信的などす黒いクレパスの様なものが見えた気がした。

 眼鏡を掛けた知的そうな容姿の若い女性……にしてはあまりにも強すぎる念を孕んでいる程に。

 

 

「少し待って貰えるだろうか?」

 

「勿論でございますライザー様……」

 

 

 取り敢えずそれを感じ取ったライザーは、再び頭を垂れたシーグヴァイラに待っててくれと言うと、ただただ見ていたレイヴェルとギルに集合をかけ、彼女から少し離れた所で円陣を組むように丸くなりながらヒソヒソと話し合う。

 

 

「お、おい、何なの? 正直訳がわからねぇ。

俺彼女の事は一切記憶にねぇぞ……」

 

「私もありませんわよ。

ただ、本気と書いて間違いなくマジな迫力を彼女から感じ取れますわ」

 

「てか、他の連中がすげー見てるぜ……」

 

 

 ライザーにしてみればかなり困る話だ。

 いきなり現れていきなり忠誠を誓うとも言われればそうもなる訳で、取り敢えず眷属を他に作るつもりなんてまるで無いライザーは丁重にお断りしようと思った矢先だった――

 

 

「き、貴様ァ……! 今私の前でライザー様を侮辱したなァ……!?」

 

「な、なんだよ、アガレスの無能姫が偉そうにする気か!?」

 

 

 家族会議に気を取られてる隙に、何かがあったのか、シーグヴァイラが会合出席者の悪魔の一人……たしかグラシャラボラスの者に対して信じられない怒りの形相を浮かべていた。

 

 

「よくも! このクソボケがッ! 私の前でライザー様を愚弄してくれたなァァァッ!!」

 

「く、クソボケだと!? このアマ! 女好きの単なる雑魚フェニックスに尻を振る時点でやっぱりアガレスの無能――」

 

「よせゼファードル! それ以上彼女を刺激するな!」

 

 

 その形相はこの場に居る女性悪魔達に勝るとも劣らぬ整った容姿なだけあり、顳顬から血管まで浮かび上がらせた凄まじい怒りの形相であり、血管がピクピクと痙攣している。

 何やら慌ててサイラオーグ・バアルという悪魔が止めようとしたが、既に怒りの頂点に達して最早顔芸のレベルにまで達した白目を剥いたシーグヴァイラは……

 

 

 プッツーーーン

 

 

 そのドス黒い忠誠心を爆発させてしまった。

 

 

「蹴り殺してやる……………このド畜生ガァァァッ!!!!!!」

 

「ガブバァッ!?」

 

 

 ビックリするくらいに軸足の利いたハイキックがゼファードルの顔面を潰し、彼の身体は人形の様にぶっ飛んだ。

 吹っ飛んだゼファードルがリアス達に衝突しそうになるも、リアス達が咄嗟に逃げた事で二次災害にはならなかったが、床に転がったゼファードルに向かって素早く肉薄したシーグヴァイラは凄まじい形相のままゼファードルの腹を蹴りまくる。

 

 

「殺すだけでは気が収まらないッ!! バラバラにするだけでも足りないッ!!」

 

 

 内臓が蹴り潰され、口から黒い血を吐きながら泡まで吹いてるゼファードルにシーグヴァイラの攻撃は緩まる気配が無い。

 あまりにすさまじい光景に暫し唖然となっていた周りはハッと我に返ってシーグヴァイラを止めようとする。

 

 

「よ、よせアガレス! ゼファードルが本当に死ぬぞ!?」

 

「邪魔をするなァァァァッ!!!!」

 

「ぐぅ!?」

 

 

 怒りをパワーに変える。

 多分きっとお手本のような状況なのだろう、止めようとしたサイラオーグに殺意の塊の様な目を向けながら、どす黒い魔力を全身から放出しながら裏拳で吹き飛ばす。

 

 

「あ……あ……」

 

「な、なんなんだよあの人……」

 

 

 そのおぞましさにリアスや一誠はライザーの事を思い出して動けない。

 共に居たソーナ・シトリーは眷属達と共に止めようとするも、怒りをパワーに変えまくる今のシーグヴァイラには多勢に無勢だった。

 

 

「貴様等まとめて殺してやる……! ライザー様を愚弄する者は全てッ!!!」

 

「な、ま、待ってよ! 私たちは別にライザーを侮辱なんて――」

 

「ま、まずい! 怒り狂って目の前が見えてないんだ!」

 

 

 ゼファードルは内臓がグチャグチャになり、下半身から汚物を垂れ流しながら瀕死になっており、シーグヴァイラの矛先がリアス達に向く。

 何を言っても聞く耳持たな状態に身構えるリアス達。

 

 

「止まれ」

 

『!!』

 

 

 しかしその寸前、ドン引きしてたライザーが取り敢えずしょうがないからって顔をしながら制止する声を出す。

 その瞬間、怒りという感情の塊だったシーグヴァイラが止まった。

 

 

「……………」

 

「か、顔つきが戻った……?」

 

 

 凄まじい形相も元に戻り、ビクビクしていたリアス達からスッとライザーの足元に移動したシーグヴァイラが、再び膝まづきながら口を開く。

 

 

「ライザー様、ひとり始末しました……」

 

「…………あ、うん」

 

「ライザー様の敵は私の敵です。

誰であろうと、魔王であろうが必ず始末してみせます」

 

 

 そこに魔王の身内が聞いてるんだけどな……。

 と、ドス黒い精神に対して完全に怯えてる皆を見ながら、取り敢えずこのまま彼女を放置してたらヤバイ事になると判断したライザーは、レイヴェルとギルが無言で頷くのを確認してから、シーグヴァイラに告げる。

 

 

「キミの忠誠心はわかった。眷属にしよう。

だから『友達』になろうじゃないか……キミの望むモノは俺が叶えよう、だから教えてくれ―――お前の欲しいものはなんだ?」

 

 

 適当にそれらしいことを言ってまずは落ち着かせようと思うライザーの言葉。

 だがその言い方は多分間違いだった。

 

 何故なら感激したように頬を染めたシーグヴァイラは言うのだ。

 

 

「貴方様の所有物になることです。

貴方様の為にこの命を注ぐ事、貴方様にこの命を使われること。

それが私の欲しいものです……!」

 

「…………………………………あ、はい」

 

 

 忠誠心を通り越した狂信者の答えは決まっているのだから。




補足

うん……大体予想されてたね。


その2
彼女のせいで余計一誠君に恐怖されてしまったというね……。


その3
彼女は本当にライザーが首とかはねてみ? と言えばガチではねます。

所謂ライザー眷属のジョーカーですかねぇ。

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