突如現れた謎の女性の名前があの篠ノ之束という事に、多くの生徒達は驚いた。
ISを世に放った若き天才は千冬をちーちゃんと呼び、春人をハルくんと呼びながらハイテンションでエキセントリックな言動がとても目立つ。
箒の姉妹とは思えない程に。
「それで、よりにもよってこんな状況の最中、アナタは一体何をしに来たのでしょうか?
要らないお節介かもしれませんが、織斑先生と春人に会いに来たのなら授業の無い夜の方が良かったと思いますけど」
先日出会した時点で、近い内に出現するかもしれないという予想はしていた箒の声は、友人達やクラスメート達に聞かせる事は決して無い程に冷たいものだった。
「アナタだなんて他人行儀な呼び方をされるとお姉ちゃんは寂しいな? けどまぁ……これを見たら機嫌も直ってくれる筈だよ!」
そんな妹からの心底冷たい声に対して、意図を知ってか、知った上で敢えて無視をしてるのか、束は自信満々な笑みを浮かべながら空を指差した。
「さあ、大空をご覧あれ!」
「…………?」
束の声に全員の視線が太陽眩しい大空へと向けられると、何時からそこにあったのか、太陽を光を遮るかの様に黒い物体が落下してきた。
それは少し小さなコンテナを思わせる箱状の物体であり、落下の衝撃で少しだけ地面に皹を入れる辺り、決して軽いものでは無いのは見た限り誰もが思った事だ。
皆が圧倒される中、コンテナに近い箱らしきそれは、正面らしき壁がばたりと倒れ、その中身を露にすると、同時に束が口を開いた。
「じゃじゃ~ん! これが最新世代にてこの天才の束さんがフルチューンした紅椿だよ!」
箱の中身はなんじゃろな? 答えはISだった。
深紅に染まる装甲に多くの者達は声を出す中、箒と一夏だけは別の事を思い出した。
(イチ兄とリアス姉のパーソナルカラーだ)
(とんだ皮肉だな。もっとも……それだけの話だが)
一夏と箒にとって、赤や紅といえば一誠とリアスのイメージが強かった。
故に赤い装甲に覆われた、紅椿なる名のISを前にした時に二人の事を思い出すのだが………まぁ、ただそれだけだった。
「さぁ箒ちゃん! お姉ちゃんからの誕生日プレゼントだよ! これで箒ちゃんもハルくんの為になれて、仲良しにもなれちゃうよ、やったね!」
「……」
そう、ただそれだけだ。色だけであって関連性なんてありはしない。
ましてや一人勝手に話を進めようとしてる束が二人を知る訳じゃないのだ。
「さぁさぁ箒ちゃん! 今からフィッティングとパーソナライズをはじめようか。
私が補佐するからすぐに終わるよん♪」
「………………」
加えて今束は完全に春人の役に立てると言った。
その時点で箒は既に紅椿に対する関心も、姉に対しての関心の全てが無へと消えた。
「姉さん、その足下に落ちている石ころを拾って頂けますか?」
束は春人の為にもなると誕生日プレゼントと称してこの
だが今を以て、ほんの僅かに残った束への肉親としての情が完全に消えて無くなった今、そんなものを受けとる訳が無い。
だから箒はひとつ束を出し抜いてやる事にした。紅椿が落下した際に生じた地面のひび割れによって出来上がった小石を束に拾ってくれとお願いする箒。
「へ? あ、これ? うん、拾ったよ?」
いきなり何だ? そう思いながらも取り敢えず拾った束に、箒は
「ありがとうございます、ではその石ころを私に渡して頂けますか?」
「……? 何かの心理テストかな?」
その笑顔に天才としての勘が働き、何か企んでいるのがわかった。
でなければ箒があんな無邪気な笑顔を浮かべる訳が無いのだ………と、実は一夏や二人を導いた大人二人の前だと割りと笑う箒の事を知らない束は疑念を抱くも、ニコニコニコニコとしてる箒に渡せと言われてしまえば、何をたくらんでるにせよ取り敢えず渡してみないことにはわからない。
「はい……」
だから束は、言われた通り何の変哲の無い小石を箒に手渡した。
どちらにせよ、自分なら箒を上回れるからと……。
そして――
「どうもありがとうございます―――
―――――――――素敵な誕生日プレゼントを確かに受けとりましたよ束お姉様?」
束から箒への誕生日プレゼントは捻じ曲げられた。
「…………………は?」
『!』
唖然とする束。
驚く春人と千冬。
コイツは何を言ってる? そんな感情がアリアリと出ている中、箒は束から受け取った小石を手にしながら堂々と言う。
「アナタから私への誕生日プレゼントがこんな素敵な小石だから、嬉しくて仕方ないんですよお姉様?」
「……お姉様ってなにさ?」
皮肉を込めた言い方にしか聞こえない、箒の『お姉様』呼びに束は僅かに動揺してしまう。
すると箒は笑顔から一変……途方も無い無表情と抑揚の無い声で言った。
「何やら勘違いされてる様なので、この際ハッキリ言いましょう。
私は別にISの専用機に憧れを持ってる訳でも、春人のサポートをしたいと思ったことも、これまで一度たりとも思ったことなんてない。
貴女は私を春人の――言ってしまえば盾にさせたい様ですが、そんな事はごめんですね」
そんな
束の妹らしく、関心を抱かぬ者への冷たい態度が束本人の心を突き刺した。
「ちょ、な、なに言ってるの箒ちゃん? ハルくんの白式の対となる紅椿だよ? これさえあればハルくんとも仲良しに――」
まさか妹にそこまで言われてしまうとは思ってなかったのか、何時にも無く焦りが伺える束は、箒の後ろで呑気に見ているだけの一夏という『絞りカス』から春人へと関心を向けさせる為が、完全に失敗してる事を悟りながらも必死に説得しようとする。
だがそうでは無い。
箒はもう既に、僅かに残った肉親としての情を完全に捨ててしまったのだ。他ならぬ束の不用意な発言によって。
「そこから勘違いされてるとは驚きだ……。
では言いましょう、別に春人と仲良くしたいとは思ってませんよ………昔からね」
『…………』
春人には興味はない。ましてや肩を並べてなにかをするだなんてしたくもない。
「私への誕生日プレゼントと託つけて、春人の盾を増やしたかったみたいでしょうが、残念でしたね束お姉様」
「違うって! 私はハルくんじゃなくて頑丈だけしか取り柄のないそこの――――うっ!?」
焦った束が再び不用意な――しかも今度は完全に箒の抱える地雷を踏んでしまった。
「ふ……クククッ! やっぱりそう思ってた訳だ、アナタも」
その瞬間、箒は小さく肩を震わせながら嗤った。
怒りを越え過ぎたからなのか、それとも思っていた通り過ぎてなのかは誰にもわからない。
だが確かな事は、ハッキリと、束が唖然とする前で言い切った箒は束から受け取った小石を手に千冬や春人、それからその友人達に、綺麗な笑顔で言った。
「そんなに春人が大好きなら、貴女方の中で好きなだけ守ってあげたら良い。
私はそんな輪に入りたいだなんて微塵も思わないし、私が守りたいのは春人なんかではない――勝手に巻き込むなよ?」
自分が守りたいのは目の前の者の事じゃない。
かつて心を潰されそうになった少年、導いてくれた姉と兄……そして一夏を一人の人間として見てくれる友人達。
「私には私の守りたい者がある。
決して貴女達では無いし、かつてアナタが私の大好きな親友に向けたあの目を一生涯忘れやしない」
「………」
親友と呼ぶ相手が誰なのかはすぐに束も理解できてしまう。
春人と千冬と同じ存在な筈なのに、全く異なる失敗作……。
後に知る事になる話だが、あの当時ですら落ちこぼれの絞りカスなのは見てわかった。
だからこそ、箒が一夏を何時も庇っていたのが気にくわなかった。
姉妹として仲良く春人を支えられた良いのにと、何度一夏の存在を疎んじたかはわからない。
けど……だけど……もう。
「篠ノ之束、私達はもうアナタの理解の外だ」
妹は……箒は今明確に自分を拒絶した。
姉をフルネームで呼ぶ様も、どこまでも冷めたその視線も……全てが皮肉な事に束がこれまで他人に向けたそれと酷似していたのだ。
「そしてありがとう織斑春人。お前が存在してくれたお陰で今の私がある」
「っ……!」
「本当にお前に対する周囲の異様な態度を第三者として見れて良かったよ。
下手したら私もお前に対してそう感じていたのかもしれないしなぁ?
いや……お前はどうも昔から私が嫌いだって目をしてたからそうでもないか?」
それは春人へも当然向けられ、そればかりか心の奥を見透かされてる様な言い方に春人はカッとなりそうになる。
我慢できたのは周囲の困惑した表情をする多くの生徒達の目があるからに他ならない。
「良いさ別に、お前が私と一夏を嫌おうが。
私もお前という存在に興味なんて欠片も無いことだしな」
そんな春人に箒はこれまで抱いた気持ちという名のボディブローをひたすら打ち込む。
それは奇しくも、一誠にちょっと似ていた。
「けどな、調子に乗って一夏を陥れるだなんて頭の悪い考えはやめておいた方が良い。
もしそんな事をするなら……ほら、私はお前を本当に表すら歩けない身体に
こんな風に――
と、持っていた小石を握力だけで握り潰して砂にしてしまった箒に春人は下唇を噛む。
(やっぱり僕の知らない誰かがこの二人に何かを吹き込んでる……!)
箒と一夏の存在を知り、尚且つ自分という存在がイレギュラーだと知るイレギュラーが二人に何かを吹き込み、何かを与えたと考える春人はその何者かを消さなければならないと考えた。
自分の第二の人生の為に……。
「あ、しまった。受け取るだけ受け取って、政府か何かに売り付ける手もアリだったかもしれなかったな。
最新世代で彼女直々の作品なら、数億で売れそうだしな」
「箒お前……」
「知ってるだろう一夏? 私は昔から粘着質なのさ。
された恨みは絶対に忘れないし許せない、器量の狭い人間さ」
「ほ、箒ちゃ―――」
「まあ要らないと言った手前は諦めよう。
さてと、作業だ作業! すまないな皆、余計な時間を取らせてしまって」
「そ、それは良いんだけど、良いの? お姉さんがショック受けた顔で立ち尽くしてるけど……」
「ん? あぁ、自分の考えた通りにならなかった妹だったと思ってるだけだから問題ないだろ。
それより、キミ達の中であのISを受け取ってやる気のある人は居ないか? あんなのがあると邪魔だろ」
「いやいやいや!」
「流石に無理だって!」
「最近思った事のひとつに、専用機持ちの人たちって癖がありすぎて疲れそう説が流れてるし……」
「僕って曲者かな……」
「デュノアさんは例外過ぎて逆にイレギュラー化してる説が……」
誰にも触れられる事無く沈黙する紅椿を背に、束は挫折や屈辱に似た気持ちを初めて抱いた―――――という事すらも興味が無かった箒は、専用機持ちになったら苦労しかしなさそうだと最近思っていたクラスメート達と作業に戻るのだった。
「織斑先生! 大変です!」
戻ってきた真耶による騒動らしき何かが発生したとしても、関係ないとばかりに。
終わる
※無関係だから頭からっぽにして読むよろし
春人はひょっとしたら彼女が二人の後ろ楯だったのかもしれないと推測するも確かめる術がなかった。
「紅椿ねぇ。そこの彼の白式をサポートできる様に調整してるみたいだけどさ、見事にガラクタだねこりゃ」
「いい加減にしろよ……パラレルワールドだのとめちゃくちゃな事ばかり言いやがって、この束さんの姿をパクっただけの存在じゃないの?」
「何でキミなんかをパクらないといけないのか、甚だ疑問だね。
それにガラクタってのは事実だろ? その証拠に……」
『Boost!』
「こうやって、ちょっと小突いただけで壊れちゃう程度だもん」
「あ、紅椿が!?」
しかし見るだけでも解った事がある。
この束は紛れもない――化け物なんだと。
左腕に見覚えの無い赤い装甲の様な物を纏い、どこからともなく聞こえた声と同時に紅椿を小突いたら、粉々に破壊する。
それは誰しもが驚愕し、畏怖してしまう力そのものだった。
「お、前ぇ……!!」
「だ、ダメだよ束お姉ちゃん!」
「落ち着け束!」
「離してよ二人とも! こいつは私の紅椿を……!!」
「おーおー、怒ってるねぇ? 昔の私もこんなんだったかと思うと懐かしい気分だぜ。
もっとも、こんなガラクタとしか思えないスペック程度の玩具を作ってはない自負はあったけど」
完全に上から見下す様な笑みを浮かべる平行世界の束は、怒り狂う束に堂々と背を向けると、平行世界の一誠に対する頭のおかしい感情を聞かされて困惑する一夏と箒に優しげに微笑んでいる。
「聞きたいことがあるなら何でも答えてあげるけど、後ろに五月蝿いのが居るから場所を変えようか?」
「えっと……」
「今のはやはり……」
「そうか、二人も見たことはあったんだね? うん、思ってる通りだし、ちゃんとドライグ君の意思も宿ってるんだぜ?」
こうして見ると、割りと落ち着いてるというか、妙に親しみを感じる女性に見えなくもないが、一度一誠の事となるとぶっ壊れるというか……。
彼女の目的そのものすら、聞いた時は誰もが頭がおかしいと思ってしまう訳で。
「目的? 死んだアイツを甦らせる――というか、造るんだよ。
美化もしない、風化もさせない、一切のズレも差違も無い、アイツ自身をつくって復活させるのが今の私の目標だよ」
「つ、造るって……」
「不可能としか思えない……」
「そうだね、まだ不可能の領域なのは認めるよ。
けど私はどんなに長い時間が掛かろうともアイツを造る。
そして勝手に私に託して死にやがった事を謝らせてからぁ……うーん、まずはそうだね、ちゃんと子種が出せて孕めるかの実験を、不本意ながら私自らやってあげようかなとか考えてたりするかな」
「……それ自体が目的なのでは……」
「冗談はダメだよ箒ちゃん。
言ったでしょ? 寸分違わぬアイツを造るって。
だから一つでも違いがあってはならないし、アイツは生前常に発情した犬みたいだったからさぁ。
復活と同時に世の女達が襲われてしまう前に、嫌々この束さんが身代わりになってやるってだけの事だぜ―――てか現に生前襲われたし」
『………嘘だからな。
コイツの妄想の中での話だ』
「っ!? 今の声……」
「アナタが平行世界のドライグ……」
『あぁ、よろしくな。
それよりタバネ、いい加減捏造した話ばかりするのはやめ――』
「捏造じゃないじゃん! アイツが宿主だった時にドライグ君だって見たでしょ!? あのばか野郎と初めて再会した時になんて言った!? 『あ、やっぱり可愛くなったね束ちゃま』だなんて言ったんだよ!? 開口一番がそれとか変態じゃない!」
「…………」
「…………」
『すまん、コイツのこういう思考は俺にもわからんのだ。
言ってる事と行動の矛盾が凄まじくてな……』
「心配しなくても復活した暁には、アイツを誰も知らない世界の地下に一生閉じ込めて、悪さできないように束さんが飼い続けるさ。
餌もちゃんとあげるし、お風呂だってしょうがないから入れてやるし……まぁ身体も洗ってやらないこともない。
それでもし発情しても――嫌だけど世の女達を救ってやる為に犠牲になってやるさ。あぁ……泣いてもアイツはきっとお腹の中が子種だらけにするまで束さんを犯すんだろうなぁ。嫌だなぁ………くふふ♪」
「……何があったんだよ?」
「余程の事がないとこうはならないだろ……」
『先代……つまり一誠が当時のコイツに対して遠慮というか、罪悪感を持っていてな。
それで常に気を使ってたらそれが全部空回りした挙げ句、コイツはコイツで一誠の腕の肉を食いちぎって自分に移植したりしてる内に……』
「屈折してるな色々と――」
『コイツが勝手に屈折させるんだよ。
ある時は一誠を罵倒しながら自分を縛って犯されると喚くし……』
平行世界の一誠と束は相当複雑……というのだけは何と無くわかった様だ。
そして時は流れ……。
世界が一誠とリアスの生きた世界とは微妙に違う過去世界へと舞台が移動した時、彼女は再び現れた。
「やっ! 久しぶりだね皆。ちょっと大変そうだから手伝うぜ?」
「………………」
一誠と全く同じ姿と容姿をした――ちょっとげっそりしてる青年を連れて。
「キミが彼女の言ってた……」
「そういうキミは束ちゃまの言ってた別世界の俺自身と――リアス・グレモリーか」
「ええそうよ。
アナタにとってはやっぱり意外?」
「まぁね、俺にとって人以外の生物はドライグを除いて皆敵だったからさ。
まあ、今は流石にそういう認識も改めようとしてる訳だけどな」
その青年こそ、狂気と執念と愛憎の果てにマジで造りあげた平行世界の一誠そのものであり、彼はリアスと共に生きる自分自身を前に意外に思いながらも否定せず握手をしていた。
「束ちゃまから聞いた通りだな。
ちゃんと前向きなイチ坊が居て、たっちゃんや篠ノ之ちゃんや布仏さん姉妹やデュノアちゃんと仲良くやれてる―――って、山田先生じゃん!?」
そして自分の知る関係とは微妙に違う一夏達とも挨拶を交わそうとした時、彼の少し軽い性格は戻ってきた。
「マジか!? 山田先生とも仲良しになれたのか!? 良いなオイ!? 俺の場合めっちゃ怯えられちゃってさぁ!」
「あ、ど、どうも……」
「いやぁ、懐かしいのと同時にやっぱり先生は可愛いなぁ……! それに変わらぬ特盛具合もまた……うへへ――あば!?」
思わず調子にのって困惑してる真耶の胸に鼻の下を伸ばした別世界一誠――またの名をマコトは、後ろから束に蹴飛ばされた。
「な、なにすんだよ束ちゃま!?」
「黙れよ、ちょっと目を離した隙に犬みたいに発情しちゃってさ。
やっぱりだと思ってた反面、ムカついてしょうがないよ」
「だ、だって山田先生だぜ!? 童顔特盛眼鏡という俺の理想とする女性像全盛りの山田てんてーだぞ!? そりゃ俺だって――」
割りと違うというか、束の話も割りと誇張ではない部分があるのかもしれないと感じる程度には確かに女性に対して色々と軽い部分がある別世界一誠ことマコトだが、相手はあの束だったので盛った所でどうしようもなかった。
「部屋、借りて良いかな?」
「え、ええ良いけどその……何をするのかしら?」
「決まってるじゃん……発情を抑える処置だよ処置」
「や、やめろって! お、俺は別に盛ってなんか無いし! そ、そもそも束ちゃまは――た、助けてくれ! 俺今度こそ死ぬ!」
「…………ごめん、他所の家庭事情に首を突っ込むものじゃないと思うし」
「別世界のイチ兄……頑張れ」
「大丈夫ですよ、多分子供ができたら姉さんもきっと落ち着く筈ですから」
束に引きずられていく別世界の一誠を見送るしかできない一誠達は、次の日の朝、死にそうな顔で出てきた彼と、そんな彼の横を満足そうな表情で自分のお腹を撫でながら然り気無く身体を寄せる束を見て全員して『やっぱり』と悟るのだったとか。
「取り敢えずさ、リアスちゃんの残りの駒を巡って外様が勝手に騒いでるなら、いっそ私とマコトを雇ってみない? 目的も果たした今、割りと暇でさぁ」
「………………………………出来れば束ちゃまのストッパーになって欲しいっす。マジで死ぬっす……」
そして戦力は外様がどうにも出来ない領域へと更に引き上げられていく……。
嘘だけど
補足
皮肉な事に姉妹だからこそ似てる所は似てるんです。
その2
まあ、仮話、復活した一誠とこの束ちゃまが加わったら最早世界征服も夢じゃねぇ。