色々なIF集   作:超人類DX

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少し遅れてシャルロットさんの決意と……ガールズトーク編


自由への決意

 シャルル・デュノアとして当初学園に潜入したシャルロットは、自分にその任を命令した血縁関係だけはある父に反逆する為に、今は完全に任を放棄していた。

 

 地外法権であるこの学園に居る限りは父達は手を出せない。

 その間に父の呪縛から解放される為の策を練る。

 

 ならばシャルロット・デュノアとしての性を暴露してしまえば良いのだが、色々あってそのタイミングが見つからないのだ。

 

 

「山田先生に相談がありまして……。

その、僕の本当の性別は偽ったままにしておくべきなのでしょうか?」

 

 

 正直に言うと男装している事自体、物理的な意味で胸が窮屈だし、何よりクラスメートの女子達を騙し続けるのはとても後ろめたい。

 ちょっとしたポカによってシャルロット・デュノアとしての自分を知る者は居るにしても、やはり自分を偽り続けるのはとてもストレスになってしまう。

 

 故にシャルロットは自分を知る数少ない理解者の一人で副担任である山田真耶に相談を持ち掛ける事にした。

 

 

「先生個人としては早い段階で男装をやめるべきだと思います。

その方がデュノアさんにとっても気が楽になれる筈ですから」

 

 

 担任に相談しようにも、怖いというか、見抜かれてるが敢えて放置されてる気がするというか、どうも自分の弟――春人の方にしか興味がないように思えてならないのでこうして真耶に相談をしているのだが、真耶はとても親身になって相談に乗ってくれる。

 

 

「卒業するまでの間にご実家と戦う準備を整える為には、まず『自分は実家のデュノア社に強要されて男装をしていた』という事実を明るみにさせるべきです」

 

「はい」

 

 

 普段はオロオロしてる真耶がこの時はとても頼もしく見える。

 シャルロットは彼女の言葉により、男装をやめる決意を固めていく。

 

 

「わかりました先生。やっぱり僕、自分を偽るのはやめます」

 

「手続き上の事は先生に任せてくださいね?」

 

「ありがとうございます!」

 

 

 自分を偽らない人生を。

 周囲に翻弄され続けた彼女がやっと自分の意思を持った瞬間だった。

 かつて悪魔としての地位と名の全てを捨てたリアスの様に。

 

 

「グレモリー先生、僕はもう男装も止めます。

そして自由になる為に戦います……!」

 

 

 だからリアスはシャルロットの事を気に掛けていた。

 時には相談に乗り、時には励ましていた。

 だからなのか、シャルロットは布仏姉妹の様にリアスに懐いており、今も真耶と共に医務室へ訪ねたシャルロットに対してリアスは優しく微笑みながら頭を撫でていた。

 

 

「そう……。きっと良いことばかりじゃなくて辛い事もあるかもしれないけど、大事なのは自分の意思。

役に立てるかは分からないけど、私も出来るだけ手伝うわ」

 

「勿論私もお手伝いしますよデュノアさん!」

 

「あ、ありがとうございます……!」

 

 

 頼もしい大人という存在を今初めて目の前にしたシャルロットは感激して声が震えていた。

 これまで彼女が見た大人は死んでしまった実の母以外は碌な大人が居なかった。

 だからリアスの放つ包容力が母の様に思えてしまうのだ。

 

 

「私もアナタと似た様な人生を体験した事があってね。

実家は――随分前に没落して消え去ったけど、とある貴族の家系でね? とある男が潜り込んで来てから全てが狂ってしまったわ。

父と母はその男の言うことを全て信じ、私は一族の無能扱い。

もっとも、無能って所は合ってるのかもしれないけど、お陰で一番嫌いな貴族の三男と無理矢理結婚させられそうにもなったわ」

 

「や、やっぱりグレモリー先生って良い所のお嬢様だったんですね……。

立ち振舞いが綺麗ですし……」

 

「無理矢理結婚……。本当にそういう事があるんですね」

 

「血を絶やさぬ為って理由でね。

当然私は実家から逃げたり……ふふ、追っ手達の目を掻い潜る為に髪の色を染めたり切ったりと色々やったわ」

 

 

 そんなリアスもかつてはかなり苦労していたらしく、彼女に淹れて貰ったお茶を飲みながら真耶とシャルロットはすっかり聞き入っていた。

 

 

「でもある時見つかっちゃってね。

それも無理矢理決められた結婚相手の三男坊とその部下に」

 

「そ、それでどうなったんですか?」

 

「今の先生を見ると大事には至らなかったのはわかるけど、ドキドキしちゃいますよ……!」

 

「ふふ、囲まれて抑え込まれて、もうダメなのかしら……って思ってたら一人の男の子が現れてね」

 

 

 過去を懐かしむ様に目を細めたリアスの言った男の子という者に、それが誰なのか直ぐに真耶とシャルロットは気づいた。

 

 

「それって……」

 

「そう、今校内の自販機のチェックをしてるだろう一誠がね……。その貴族の三男坊と部下を倒して私を助けてくれたのよ」

 

「わぁ……!」

 

 

 予想通りの展開だけど、真耶とシャルロットは目をキラキラさせた。

 聞いた事がなかった一誠とリアスの馴れ初めだから余計だった。

 

 

「追われてるって話をしたら一誠が連れ出してくれたの。

それでずっと追っ手から守ってくれたわ……」

 

「い、良いなぁ。一誠さんにですかぁ」

 

「あの人ってもしかしなくても結構強いんですね……。

前に人一人じゃ絶対に持てない瓦礫を片手でヒョイヒョイと片付けてましたけど」

 

「貴族の娘としてじゃなくて、私を一人の存在として見てくれたばかりか、何があろうとも必ず私を守ってくれた……。

一誠も身寄りが無くて独りだったから」

 

 

 自分には一誠が居たから今を幸せに生きられている。

 それはとても幸運であり、これからもずっとそうだ。

 

 

「シャルロット、私は一誠と出会えたからここまで生きてこられたわ。

だからきっとアナタも自由になれる……私達がちゃんと協力するから……ね?」

 

「は、はい!」

 

 

 だから似た境遇のシャルロットを絶対見捨てない。

 

 

「一夏も普段は元気だけど、私やシャルロットみたいな境遇なのよ? ……いえ、常に相手が身近だったからもっと辛かったと思うけど」

 

「それってもしかして、織斑先生による織斑春人君との扱いの差……でしょうか?」

 

「そうよ。

けどあの子は箒という味方が居てくれたら腐る事なく前向きに考える事が出来たの。

よく見ない? 一夏が色々と無茶振りされても文句言わずにやってるの」

 

「本人は適当に従えば波風も立てないで済むって言ってました……」

 

「でもやっぱりその、明らかに扱いの差が激しいから一部の生徒達が疑問視してます」

 

「そこなのよね。織斑先生がその織斑春人君って子が心配なのはわかるんだけど、もう少しオブラートに包めないかとは思うわ。

何故か私は嫌われてるし」

 

「そ、そういえば前に織斑先生が『春人をあの非常勤保険医に会わせたら最悪だ』とブツブツ言ってました」

 

「どうも私がその彼を誘惑する様な女に見えるみたいね……。

ハッキリ言ってしまえば写真でしか顔を見たことの無い存在に関心を向けられる程、私って視野が広い訳じゃないのに」

 

 

 正体が悪魔である事までは知らないシャルロットだが、きっと悪魔と契約してでもこの自由だけは掴みたいと思うだろう。

 

 

「あ、あのー……今度から僕の事をシャルって呼んで欲しいなーって」

 

 

 ピリピリとした修羅場の中にぶちこまれるよりは遥かに安心してしまうのだから。

 

 

 

 こうしてシャルル・デュノアとしてでは無く、シャルロット・デュノアとして転校のやり直しを翌日に早速決行した。

 

 

「事情により僕は男装をさせられてこの学園に転入してました。

ごめんなさい! 皆さんを騙して……!」

 

 

 最初は勿論緊張した、騙した事による罵詈雑言も覚悟した。

 けれどこの学園の生徒達は妙に気の良い子達が多い為、男装で残念だったという声は出たものの、誰も責める者は居なかった。

 

 

「なーんだ、ニュースで報道されてないから変だなって思ってたけど」

 

「デュノア君じゃなくてデュノアさんだったかぁ」

 

 

 意外な反応にシャルロットは内心ホッとする。

 しかしそんなシャルロットを目を見開きながら見る春人は内心困惑していた。

 

 

(な、何で男装を止めた? 何かあった訳じゃないのに……)

 

 

 ひょっとして一夏が? と箒や本音と共にパチパチ拍手しながらシャルロットを歓迎してる一夏をジロリと睨むが、真相は聞いてみないことにはわからない。

 

「そういえば一夏君と同室だったんだよね?」

 

「あ、そうよ! ひょっとして織斑君のお兄さんはデュノアさんが男装してたのを知ってたとか!?」

 

 

 どうやって聞き出そうかと考える春人にとってナイスフォローとなるクラスメートの一部女子の疑問の声に、他の女子達もまた一夏に話せよ的な目線を送る。

 

 

「知ってたけど、話したら退学にさせられると思ったから黙ってたぜ? 間違ってるかもしれないけど、黙ってた事に後悔は全くないな」

 

『…………』

 

 そんな女子達に一夏は悪びれもせずアッサリと知ってた上で黙ってたと白状すると、女子達も何かプラトニックな展開を期待してただけにそれ以上何も言えなかった。

 

 

「お風呂の時とか覗いてシャルの性別を知ったとか……」

 

 

 だが春人が如何にも単に呟いただけですよ的なスタンスで爆弾を投下する。

 その瞬間、一瞬だけクラスが騒がしくなるが、余りにも一夏の態度が平然とし過ぎてる為、千冬による春人と一夏の扱いの差が露骨すぎる事を疑問視していた女子達は『まぁ、ありえないか』と苦笑いしていた。

 

 

「シャル? 何だ春人、いつの間にかそんなに仲良くなってたのか?」

 

「えーっと、ごめん、その呼び方は僕にとって親しみを感じる人からじゃないと呼んで欲しくないというか……」

 

「っ……!」

 

 

 シャルと普通に呼ばれた瞬間、言い知れぬ寒気に襲われたシャルロットは、普段そんな事は決して言わないが、思わずやめてくれと言ってしまった。

 その瞬間、以前楯無に完全に一蹴されてしまった時の様に半泣き顔を浮かべる春人を見て、セシリアや千冬が殺意を向けようとする。

 

 

「ちょっとデュノアさん? 春人さんに対して少し失礼ではありませんか?」

 

「別に春人と親しくしろとは――いや、寧ろしないで貰えると余計な虫が増えないから助かるが、春人の好意を無下にするのは無視できないな?」

 

「え、えぇ……?」

 

「どうしろと」

 

 

 ちょっと冷たい言い方だったかもしれないけど、千冬の言い分は非常に矛盾しており、一夏も思わず呆れてしまう。

 仲良くしたらキレて、春人からの好意を無下にしたらキレるだなんて、じゃあどうしたら解決するんだか是非共一夏は聞きたかったし、箒に至っては完全に相変わらず過ぎる()()に対して完全に、姉の束に対して同様、見限った様な目をしていた。

 

 

「はいはい! 言い争いはやめましょう! とにかく今後はデュノアさんとして皆さんとお勉強をしますので、仲良くしましょうね!」

 

「……。山田先生、最近私に対して妙に――」

 

「授業が進まないと困るのは織斑先生も同じですよね?」

 

「あ、あぁ……」

 

 

 そんな空気を黙らせたのは真耶であり、最近妙に反抗してくる後輩に一言言おうとした千冬も、ニッコリとされながら言われてしまって思わず頷いて大人しく授業に入らざるを得なかった。

 こうして変な空気になる前に授業は開始されたのだが、春人だけはやはり納得できない気分のままだったとか。

 

 

『………』

 

 

 腕輪となって待機する白式がほんの少し淡く輝いた事に気付かず……。

 

 

 

 

 シャルル・デュノアの重荷を捨てて楽になったシャルロットはこれで堂々と箒や本音等の女子達とガールズトークが可能となった。

 

 それは楯無や真耶等に影響され、すっかりシャルロットにとっての癒し場所となってしまってる用務員室にて、この場所と用務員の存在を知る者達とのガールズトークで発揮されていた。

 

 

「という訳で僕は男装を止めました! 部屋も変わると思います」

 

「一夏は何か失礼な事とかしなかったか?」

 

「全然、お風呂に入るときは用務員室のシャワー室の方が安全だとか、寧ろ色々とアドバイスしてくれて助かったくらいだよ箒」

 

「そうか、なら良かったよ」

 

 

 一誠とリアスを中心に集結した不思議な集まり。

 教師だったり生徒会役員だったり……立ち位置はバラバラだけど妙に馬は合う。

 常に互いが春人を独り占めしようとピリピリとした殺意をぶつけ合ってる向こう側に比べたら遥かに胃に優しい空間だった。

 

 

「グレモリー先生~ 膝枕して~」

 

「こら本音! またアナタはグレモリー先生に我儘を!」

 

「良いのよ虚。ほらおいで本音?」

 

「わーい!」

 

「ぐ、ぐぐっ……! 私もあんな風に……!」

 

「相変わらず虚ちゃんと本音ちゃんはグレモリー先生が大好きねぇ……」

 

「包容力が凄まじいからなリアス姉さんは」

 

「確かに羨ましいくらいね。

あの包容力を持たないと一誠さんとチュッチュできないわ」

 

 

 この中では年長クラスのリアスと真耶が居るのに変な緊張もしないし、寧ろ友達感覚というかとにかくホッとしてしまう。

 男たる一誠と一夏は二人して席を外してしまって今居ないが、この面子には妙な頼もしさを感じてやまない。

 

 

「そーいえばグレモリー先生は一誠さんとキスとかした事あるの?」

 

 

 そんなシャルロットの安心空間内にて、リアスに甘えてる本音が突然……大人向けの話を振りだす。

 その瞬間、ビクッと楯無と真耶が反応したのは突っ込むべきではないだろうし、リアスもちょっと照れさくさそうに笑う辺りは―――済みなのはすぐにわかってしまう。

 

 

「ちょうど虚と同じ年の頃に一誠と出会ったけど、互いの気持ちを打ち明け合った後は――――少なくとも十代の頃はほぼ毎日してたわねぇ」

 

「ぐあー! そうだと思ったけど、改めて聞くと羨ましいー!!!」

 

「ち、ちなみに……えっと、ど、どうなんでしょうか? き、きき、キスって?」

 

「? 先生はキスの経験は……?」

 

「ず、ずっと女子しか居ない学校に通ってたので……」

 

「見たまんまですね先生は……」

 

「という事は、まさか一誠さんに対しては――」

 

「べ、別に一誠さんは良い先輩と思ってますけど、そ、そんなグレモリー先生という素敵な方が居るのにそんな気持ちは――」

 

「あー……先生、ほぼバレてますから隠されなくても良いですよ?」

 

「うっ……! そ、そうですよ! 初恋が二十歳過てからだし、既に好きな女性が居る方ですよ!!」

 

 

 ガァァッ! とやけくそ気味に真っ赤な顔して叫ぶ真耶。

 二十歳過ぎて訪れた初恋が既にほぼ事実婚してる男性だなんて、実家の両親が聞いたら泣くか絶望するかのどちらかにしか思えてならない。

 

 

「私と同じですね山田先生?」

 

「更識さんはまだ学生さんだし、積極的になれるから良いですよ。

私なんて良い年した大人の癖に、親しい先輩の男性に対してこんな……」

 

「良いのよ先生。

別に私と一誠はまだ籍も入れてないし。寧ろあの子の良い所をちゃんと知ってくれてる事が嬉しいわ」

 

「うぅ、グレモリー先生は大人です……」

 

「この余裕さに何度敗北したか……」

 

 

 これぞ大人の余裕だといわんばかりのリアスに真耶と楯無はがっくりと敗北感で肩を落とす。

 そんな時だったか、それまでソワソワとしていた虚が意を決して口を開いたのは。

 

 

「キスはしたって事は、その……あの……そ、それ以上の事とかも?」

 

「お姉ちゃん……」

 

「随分と思いきった事を聞くのね虚ちゃんも」

 

「そ、そそそ、それ以上の事って……!」

 

「だ、だって! き、気になるじゃありませんか……」

 

 

 確かに。と虚の言葉に同意し、全員が白衣を羽織ってるリアスにどうなんだという意味の視線を向ける。

 ただ一人箒だけは『知ってる』のか、ちょっと笑ってる。

 

 

「えーっと、結論から言うとあるわ」

 

「「………」」

 

 

 そんな全員に見られて白状させられるとは思わなかったリアスも流石に恥ずかしかったのか、少し頬が紅い。

 分かってはいたが、その現実に楯無と真耶はハァとため息を吐いていた。

 

 

「そ、それって、どっちから誘ったのでしょうか?」

 

「先生も結構グイグイ来るわね……」

 

「割りと山田先生は妄想癖があるからな……」

 

「そ、そんな事ありませんからね篠ノ之さん!?」

 

 

 箒のボソッとした言葉に真耶が必死に否定するが、何度か目撃されてる時点で意味は無さそうだし、横で聞いてた楯無は一誠とリアスの関係の深さを更に知りたいので話を戻す。

 

 

「それで先生、どっちから誘ったんですか?」

 

「それは私よ。当時一誠は私の事は守るべきであって、そういう目で見たら他の連中となんら変わらないって言ってたから」

 

「な、なるほど、だからグレモリー先生から……」

 

「そうね、もうその時は既に私を私として見て接してくれる一誠に惹かれてたから……」

 

 

 大人な話な為、皆してドキドキしながら聞いてしまう。

 ガールズトークというよりは、ほぼ猥談になってる気がするが、一誠が居たら恥ずかしくて大騒ぎしてしまうことを思えば居ない方がある意味一誠にとっても良かったのかもしれない。

 

 

「お、お布団ですか? それともベッド……?」

 

 

 変に吹っ切れたのか、グイグイと聞く真耶に場所とシチュエーションまで聞かれてしまうが、ここで一瞬だけリアスが固まる。

 なんというか、当時は色々とありすぎて凄まじく言いづらい場所だったからだ。

 

「………………………と」

 

「へ?」

 

「そ………外よ。それも森の中にあった洞窟みたいな場所で……」

 

『…………………』

 

 

 今にして思えば、若気の至りにしてはハッスルしまくってた気がして途端に恥ずかしくなったリアスだが、つい言ってしまった。

 当然外と言われて皆な固まるし、箒だけはやっぱりちょっと笑ってた。

 

 

「そ、そうなんですか……」

 

「す、凄いね先生……」

 

「や! あ、あのね? 当時実家から逃げてて、一誠も家が無くてアルバイトのお給料で何とか食べ繋いでたものでね? あ、あははは!」

 

「ちなみに兄さんと姉さんが寝る時は、基本的にひとつの毛布に二人で密着しながらくるまって寝るんだ」

 

「嘘っ!? それって今もですか!?」

 

「ええっと……た、たまによ? 一誠に甘えたくなるときとか……」

 

 

 思っていた以上に深いし、ちょっとアブノーマルチックだった一誠とリアスの関係にすっかり初な女子達は顔が真っ赤だった。

 

 

「わ、笑ってる箒こそ一夏とキスはしたのでしょう?」

 

「え!? ま、まぁ……したよ。小学五年の時に……」

 

「あ、やっぱり。一夏君ってアナタの事がどう見ても好き過ぎるって目を向けてるし」

 

「というより一夏って基本的に箒と一緒だもんね?」

 

「だが流石にそれ以上の事はしてないですよ私達は。

それにあったとしても二人みたいに外ででは……」

 

「どうかしらね。最近一夏が箒に対するスキンシップが強くなってるらしいし」

 

「確かに最近一誠兄さんがリアス姉さんに対する甘え方に似てる気がする。

胸に顔を埋めながらがっちり抱き締めてくるし……」

 

「へー? 昔私達が住んでたアパートの部屋の扉に耳を当てながら顔を真っ赤にして、二人で身体を触り合ってたのは―――」

 

「わー! わー!!! 覚えてないぞそんな話は!!」

 

「へぇ? そこの所詳しく」

 

「興味ありますね」

 

「話して楽になろうぜしののん?」

 

「あわわわ! 皆大人です……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「へーっしょい!!!」」

 

「ズズッ……なんだろ、俺の知らない所で恥ずかしい話を暴露されてる気がする」

 

「奇遇だなイチ兄、俺もだよ」

 

 

 そんな猥談の中心人物にされてるとは思ってない一夏と一誠は、目を盗んで男子用の大浴場に浸かっていた。

 

 

「それで? 最近どうなんだ?」

 

「特に変わった事はないかな。

千冬姉さんや春人達とも微妙な距離感を保って大きな波風も立ててないし。

強いて言うなら……箒に死ぬほど甘えてぇ」

 

「お前、俺の変な所に影響を受けすぎだろ」

 

「だーってよぉ! 小学生くらいの時に箒と二人が住んでたアパートの部屋の前まで来た時に、中からリアス姉の――今にして思えばアレな声が聞こえてさ、当時意味が分からなかったけど、箒と聞き耳立ててたら変な気分になって……」

 

「そういやドアの前で物音が聞こえると思って開けてみたら、お前と箒が発情した顔してまさぐり合ってたな……くくっ! 最近のガキは速すぎるとビックリしたぜ?」

 

「多分アレのせいで俺と箒の性への目覚めが早まったのは間違いないぜ……」

 

「それは悪いことをしたな―――って、なんつー会話してんだ俺達は」

 

「風呂入ってると言動も開放的になっちまうのかもなぁ」

 

 

 こっちも猥談してたようだった。

 

 

終わり




補足

完全に真っ向から戦う決意を固め、そのバックアップを先生やリーアたんもする。

よし、何とかなりそうだ!


その2
考えてみたら……普通に外でしたねこの二人の初めてって。


その3
遊びに来る前についイチャイチャしてたらまさか聞かれてるとは思わないどころか、そこで性に目覚めて二人で意味も分からず触りっこしてたらしい。


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