ちょっと細かいところを消したり書いたりしました。
例えな話、有名人と出会って握手とかして貰ったらテンションが上がるだろ?
それと同じように、俺はあの時程テンションが上がった日は無かった。
目標突破の為に自己を高め、突破した時に獲る快感よりもテンションが上がったあの日の事はこれからも忘れない。
なじみに聞かされ、憧れたあの二人と出会えたあの日を忘れず、元の世界へ帰るまで今日も俺は修業に明け暮れ、気付けば――
「…………。もう高校生になってしまったぞ」
この世界でも高校生になってました。
「ま、良いか」
しかし俺は悲観しない。この世界に来てからはあまりなじみがコンタクトを取って来ないことに引っ掛かりを感じるが、恐らく課された課題をクリアしたら来てくれるだろうと一人勝手に納得して、今までと変わらずに己を高める事に時間を費やしてきた。
マッドサイエンティストっぽい変な人物に身体を弄くらせろとか言われて、良いぞと答えて服を脱いだら何故か『やっぱりいい』としょっぱい顔して引かれたり、取り敢えず口を開けば妹が如何に素晴らしいかとしいのかを俺に教えようとする変な男とかとかとかとかとか、あの日以降友となれた二人の憧れとの出会いは、俺にとってかなりの刺激となれた。
「『キミってさ』『"彼女"と同じ気配がするんだけど』『身に覚えはあるかい?』」
「なんだそれは? 失礼な奴め俺は男だぞ。
彼女じゃなくて彼と分類しろ!」
「『………』『ごめんやっぱり何でもない』」
なじみ曰く『負完全』と呼ばれる彼との出会いで、俺はより過負荷を理解し、学んだ。
黒神めだかと人吉善吉とは対極に位置し、ある意味尊敬できるこの男は学ラン同好会員同士という訳の分からない繋がりを持っている。
何せ……フフッ『過去のなじみ』の顔面を剥がすなんてするのはこの男ぐらいなものだ。
そういう意味じゃ本当に凄いし尊敬する。その後黒神めだかが激怒して大騒ぎになってしまったがな……くく。
そういえば、俺が元々居た世界とこの世界の大まかな違いは、取り敢えず悪魔とか堕天使とか天使とか妖怪とかは居ないという所だ。
まあ、その神器に似たり寄ったりな才能という意味でこの世界では
俺の世界には神器として分類されて、異常者とか過負荷は俺となじみしか持ってなかったのが、この世界にはそんな人達が沢山居る。
言葉遣いというのはイマイチよく分からんが、とにかく俺と似たり寄ったり沢山居るが元の世界との大きな違いだ。
そう考えると、元の世界ってかなりファンシーなんだなと改めて思う。
だってリアスとかレイナーレもそうだが、当たり前のような顔して手から波動を出し、それを見ても何とも思わなくなった俺も中々にファンシーとなっていると考えると、ちょっとだけ元の世界が懐かしく思う。
ま、この世界のと元の世界の時間の流れは全然違うらしいし、俺が何年も掛かって修業を完了して帰っても、元の世界ではほんの半日程度しか時間が経たないらしいので、リアスとレイナーレとアーシアに要らぬ心配を掛ける心配が無いってのは安心できる話だぜ。
とまあ、長々と修業する為になじみに連れてきて貰ったこの世界についてだが、結局何を言いたいかというとだ……。
「なに、生徒会だと?」
「うむ、そうだ」
高校生になり、凄い大きな学園に入って、いきなり理事長に呼び出され、何だ? と思って身構えてたらサイコロ振ってと言われ、振って見せたら『あれ? 変だな』的な顔をされたという変な体験をしたままそろそろレイナーレとリアスとアーシアに会いたいと思い始める今日この頃。
元の世界で俺が彼女に憧れてそうした様に、この世界の彼女も同じく生徒会長になった事に嬉しさを覚え、全校集会の時の姿を目と記憶に焼き付けたというのに…………どういう事なのか俺は……いや、俺ともう一人の憧れ人の人吉善吉と共に俺は新生徒会長になった黒神めだかに半分拉致同然でこの生徒会室に居た。
そして何だ何だと人吉――あ、いや善吉君と拉致同然に俺等を引っ張った犯人である黒――いや、めだかちゃんに意図を問うと、あの日から心身ともに成長を遂げた堂々とした出で立ちでこう言ったのだ。
「善吉。一誠。入る。生徒会」
「何だその喋り方は? この子のマイブームか?」
「知るか。つーか、無理矢理拉致っといていきなりそれかよ!」
つまり、めだかちゃんは善吉君と……本来は元の世界でいうなれば兄貴と同じくイレギュラーである俺に生徒会に入れと言うのだが、うむ、俺の事は取り敢えず横において、可愛らしいから若干ワイルドへと進化した善吉君は、どうにも無理矢理拉致られた事がお気に召さないらしい。
「テメーは昔からそうじゃねぇか! 人の話を聞かずに勝手に巻き込んで…………なあ一誠?」
「え? あぁ、この子らしくて良いじゃないか。俺はそういうめだかちゃんが嫌いじゃないぞ?」
「ぬっふっふっふっ、流石は一誠。そう言ってくれると信じてたぞ」
「ぐぬ……! や、やっぱり昔から変わらずに包容力抜群だな」
してやったりな笑みを浮かべるめだかちゃんと、同意を得られなかった事に悔しがる善吉君。
というか、善吉君だって別に巻き込まれてる事に嫌気が刺してる訳じゃ無いのはよく知ってるので、憎まれ口叩いててもついつい笑ってしまう。
「よし、という訳でこれが腕章だ」
「カッ! なぁにが『という訳で』だ! 入るなんて一言も言ってねーだろうが!
………だよな一誠?」
しかし気になるのは、善吉君って事あるごとに『なぁ一誠!』とか『そうだよな一誠?』なんて同意を求めてくるんだよな。
いや、憧れの人に頼りにされるなんて滅茶苦茶うれしい話なのだが……うーむ。
「あ、あぁ。うむ、確かに善吉君の言う通り、急に言われて『はい分かった』なんて無責任に引き受ける訳にはいかんとは思う……」
「ほーら、一誠はこう言ってるぜ?」
「む……」
一々同意を求めてくる事に関しては、めだかちゃんもそんな節があるような気がしており、今度は善吉君が『それ見た事か』的な顔をする。
……。やっぱり俺というイレギュラーのせいなのか……。
「一誠を味方に付けたと思ってるが、一誠は入らないとは一言も言ってはおらん!
そうだろ一誠?」
「て、テメッ! 一誠の包容力につけ込もうとしてんじゃねーよ!
おい一誠……惑わされるなよ?」
「…………。いや、一々俺に聞くなよ二人して。
答えに困るぞ……」
どっちの敵にもなりたくないし、本当にこういう時が困る。
よし……。
「……。あ、窓の外に逆立ち歩きしてる天狗がいる」
「「なに!?」」
考えの結果、取り敢えず撤退して二人でよく話し合って貰う事にし、あからさまな嘘に引っ掛かって窓の外へと二人して視線を向けた隙を見て生徒会室から撤退した。
あの二人とは結構長い付き合いなので、どう逃げれば振り切れるかも理解してる。
故に、こんな感じに撤退も無事完了だ。
「うーむ、それにしてもなぁなぁで何年もこの世界に住み着いてしまってるが、なじみの課題は果たしてクリアーできるのだろうか……」
校舎裏の縁石に座り、一人物思いに耽る。
黒神めだかと人吉善吉という、憧れだった二人に出会え、そこからまた多くを学べたのは良いし、友にもなれて真面目に感激もした。
しかし、本当に二人には悪いが俺は元々この世界の人間では無い。
何時かは帰らなければならない。俺を待ってくれる人が居るから……。
そう思うと、本当は二人と関わるべきでは無かったのかもしれないと思ってしまう。
「リアス、レイナーレ、アーシア……」
この状況をあの三人が知ったら何て言うか……。
笑うのだろうか、呆れるのだろう――
「みーつけた……おい一誠!」
「逆立ち歩きをしてる天狗なんて居らぬではないか!」
「うおゎ!?」
ちょっと真面目な空気に浸ってみようとした矢先だった。
色々と考え事をしてたせいで気配を感じることを怠ったのが災いし、背後から聞こえる二つの声に思わず陸に上がってしまった魚みたいにビクンと身体が跳ね、声の主が誰だか即解ってしまったのと誤算過ぎる展開に顔がひきつってしまう。
「な、何で追い付けたんだ……? 何時もなら振り切れるのに……」
振り切ったと思ったのに、まさかこうも呆気なく捕まるとは……俺も修行が足りないらしく、それ以前に何故追跡できたんだと二人に問うと、めだかちゃんも善吉君も揃って『何を言ってるんだ?』的な顔で、極々当たり前ですと言わんばかりに二人してハモりながらこう言ったのだ。
「「お前の事を私が(俺が)一番よく知っているし、何時までも追い付けないと思うか?」」
実に理に叶った、納得せざるを得ない答えに俺は何も言えなくなる。
ふふ……ははは……イレギュラーの俺をよく知るだなんてククク……ぁ? 何だ、二人してにらみ合いをしてるけど……。
「おい善吉よ。一番よく知るのは私でお前はその次だろうが」
「あ? それは此方の台詞だぜ。
男同士にしか通じない事もあるって考慮すりゃあ、俺が一番だろ」
二人して仲良くハモった癖に、今度は何やら言い争いを始めるのは昔からよくある。
どういう訳かよく分からんが、この二人は『俺を一番に知るのは自分だー』とか意味が無さすぎる争いをしょっちゅうやる。
「ふん、同性同士の友情を盾にするのは勝手だが、残念ながら私の方が先に一誠と知り合っているのだ!」
「カッ! たかが一時間かそこいらの差で何を偉そうにしてんだよ!
俺なんてこの前一誠に分身の術を教えて貰ったんだぜ!」
「ふん、私などそれに加えて高速移動術も教えてもらったぞ!」
「なっ……! ふん、俺は一緒にプリクラ撮ったもんね!!」
「私は一誠に手提げ鞄を作って貰った!」
「「ぐぬぬぬ!!」」
「………………………おーい」
これって隙だらけだし逃げられるのではないのか……という誘惑を消し飛ばし、二人で言い争いをしているのをそろそろ止めないとと割り込もうとするが…………駄目だ、全然聞いてない。
「やるか!?」
「上等だ!」
「いいから静まれ!!」
うん……これ、俺が余計な事ばっかりしたせいだよな。
はは、ははは……ごめんリアス、レイナーレ、アーシア……もう少しだけ帰るの遅くなるかも……。
THE END
オマケ
取り敢えず一誠が二人を黙らせた後、当初めだかが予定していた事を善吉と一緒に手伝う事になったのだが……。
「一つ聞きたいのだが一誠よ」
「ん、なんだ?」
「…………。リアスだのレイナーレだのアーシアだのとたまにうわ言で口にすることがあるが、それは誰だ?」
「!?」
元の世界で一誠が安心院なじみから聞かされていた黒神めだかを真似てやっていた目安箱システム。
それは一誠というイレギュラーが存在するこの世界のめだかも同様にやっているようで、早速の依頼を引き受ける様を善吉と共に見てほしいという頼みを聞き入れて、只今三人で現場へと向かっている最中だった。
めだか曰く『譫言』で知ったとの事だが、まさかその名前を聞かされる事なんて想定もしていなかった一誠は思わずギョっとした表情になる。
「…………。そういえば依頼の内容は――」
「剣道場にたむろする不良を何とかしろ……だ。
で、誰なんだ? そのリアスやらレイナーレやらアーシアというのは?」
「……………………。あ、そういえば、善吉君のお母さんは元――」
「昨日会った通りだよ。で、誰なんだよその三人?」
「…………………………………。あ、空を飛ぶ円盤――」
「そんなものは飛んでない。
何だ、答えたくないのか? ん? 私も善吉も見たことが無いその三人を口にするお前は実に寂しそうだが、それほどに大事なのか?」
「あ、いや……」
「だったら教えてくれよ一誠。
名前からして外国の人っぽいが、確かにめだかちゃんの言う通り、会ったことが無いんだよなぁ。
もしかして俺等に内緒で会ってたとか?」
「な、内緒って……別にそんなつもりは無いし、そもそも教えた所でどうするつもりなんだお前達は?」
どうにも、迫ってくるような言い方をする二人に、三人の立ち位置的に教えるわけにはいかないと判断して誤魔化そうとするも、悉く封殺されてしまう。
なので、聞いてどうするんだと敢えて質問をすると、善吉とめだかは……まるで幼少の頃を思わせる変に無垢な笑顔を見せながら――
「「お話がしたい。一誠の何なのかとか、何処まで親しいのかとか!」」
「……………」
本当に無邪気な笑顔の二人を見て一誠は思った。
あ、何と無くだけどこれは言っては駄目なのかもしれん……と。
だから一誠は、教えろ教えろとせがむ二人に脳をフル活用した嘘を言って誤魔化すのであった。
補足
細かーく言うと、憧れだった二人と友人となることが出来てハシャギまくった結果、無駄に世話焼いたり、無駄に色々と教えたり、無駄に優しくしまくったせいで、二人からはほぼ依存されてます。
しかし、それでも善吉くんとは『友情』がちょっとスピード違反しちゃってる感じなだけで、決してアーッ! では無いです。
本当にないです。
その3
手からビームがどうのとありましたが、彼自身はリアスさんやらレイナーレさんから技を教えてもらったお陰で、滅びの力等々が扱えたりします。
まあ、使うことなんで絶対にしませんが(手から消し飛ばすビームを出してるのを見られたらヤバイ為)