色々なIF集   作:超人類DX

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タイトル通り。

全部が嘘ですのでご安心せよ


全部嘘だから安心して読み流せ

 強さこそが全て。

 強くなければ守るべきものも守れない。

 強くなければ己の意思を突き通せる事はできない。

 強くなければ――

 

 

 かつて日之影一誠は全てを一度奪われた時に悟った境地。

 何者にも縛られぬ強さ、全てを平服させる圧倒的な進化。

 

 その自我は反抗期が終わって素直になろうとも変わる事は無い。

 

 いや寧ろ二度に渡り失いかけた経験と再会がよりその自我を強固なものにしていると云っても過言ではないのかもしれない。

 

 

「キミが何故あの人の事を知っているか等は聞かない。

しかし、だからこそ俺はキミと戦いたい……。

キミと俺――どちらがあの人を救えるのかを確かめたいんだ」

 

「……………」

 

 

 マシだろうが何だろうが知った事ではない。

 勝手に死に急ごうが、滅びてしまおうが、自滅してしまおうが関心なぞありはしない。

 けれど目に見えぬ本当の繋がりにちょっかいを掛けてくるのであるのなら……。

 

 

「ぐはっ!?」

 

「……………」

 

『な、なんと……! あのサイラオーグ・バアルをたった一撃で……!?』

 

 

 どれ程周りからの評判が良かろうとも排除する。

 自分を知る者には相当丸くなっていたとしても、他人に対する対応の根っこなそんなに変わらなかった執事は、意気揚々と勝負を挑んできた若き悪魔を徹底的に、心をへし折る敗北を与える。

 

 

「立てよ。

まさか自分から仕掛けておきながらこれで終わりとか抜かす訳ないよな? 初見から鬱陶しいと思ってたんだ……貴様には二度と挑む気を起こさせぬ様、粉々にしてやる」

 

「よ、よせ! もう決着はついた! この勝負はキミの勝ち――」

 

「眠たい事を言うなよ、サーゼクス()

殺るなら徹底的に殺らないで温情なんて与えてたらこの先また邪魔にならない保証なんてありはしねぇ……。

だったら今ここで、俺の名を聞いただけで吐く程の恐怖を教えてやらないとなァ?」

 

 

 狂犬の復活。

 若手の悪魔の中でも最有力とも呼ばれていた青年をたった一撃で沈めたセラフォルー・レヴィアタンのたった一人の将軍は、それまで押さえ込んでいた自我(アブノーマル)を解放していく。

 

 

 ―――まあ、嘘の展開だが。

 

 

 

 

 

 輪廻を越えた先に到達した所で、彼女にしてみれば単なる皮肉でしかない。

 何故ならその追いかけるべきその背は永遠に失われたのだから。

 

 

「久し振り……だね()()

 

「黒歌……姉さま」

 

 

 ならばせめて妹となっている彼女自身を幸せにしなければならない。

 その為にはかつての()と同じ様な居場所へとへと誘う。

 ……もっとも、かつて追い掛けた背をもっていたあの人とは違うあの人なのだけど。

 

 

「こ、この人が小猫ちゃんのお姉さんなのか!? お、おぉ……すげーボイン」

 

「緊張感が失せるリアクションはやめてくだい、このスケベ先輩」

 

「お、おぉ悪い……」

 

「…………………」

 

 

 妹の傍らに居る赤龍帝……。

 かつては敵だった赤龍帝が本来の宿主と共に存在してるのを前に彼女はかなり複雑だった。

 しかも名は彼と同じなのだから……。

 

 

「姉さまはどうしてこんな危険を犯してまで私に……」

 

 

「一目貴女を見たかったから。

大丈夫、これ以上迷惑は掛けないようにこれっきりにする。

貴女の幸せの邪魔をするつもりは無いから……」

 

「これっきりって……」

 

「待て待て! ヴァーリにはお前の妹を連れてくるから冥界に侵入するって言ったのに、話が違――」

 

「黙れ、そして先に帰れ………食い殺すぞ」

 

「うっ……」

 

 

 彼女についてきた男性に対して、異様な威圧感で黙らせる彼女は、その金色の右目を九つの勾玉のある波紋状の瞳へと変貌させる。

 

 

「お前は何も見ずにおめおめと帰った……」

 

「お、俺……は、なに……も、見て……ない……」

 

「ね、姉さま……一体その人に何を……?」

 

「な、なんか様子が変だが……」

 

「別に何も、勝手についてきて状況をややこしくしそうな邪魔者は帰って頼んだだけ」

 

 小猫とイッセーにはその右目は見えなかったが、何かをしたのは間違いなく、先程まで声の大きかった名前も聞いてない青年はフラフラとした足取りで去ってしまう。

 

 

「さてと、鬱陶しい監視も消えてくれただし、白音、最後にアナタに仙術のコツだけ教えてあげる」

 

「仙術って……」

 

「これから先、アナタには多くの試練がきっと待ち構えてる。隣の彼や他の皆だけでは乗り越えられない試練が。

だからその試練を乗り越える為にもアナタは強くならなければならない」

 

「ま、待てよ! 二度と会わないなんてそんな……」

 

「私ははぐれ悪魔。

白音の側には居られない……だからアナタが白音の傍に居てあげて」

 

 

 かつて私が出来なかった様に……。

 イッセーに彼の面影を重ねた()()は、頭を下げた。

 しかしイッセーは否定した。

 

 

「ダメだ。姉妹が離れ離れで生きるなんて聞いてはいそうですかと頷けるか!

俺にも双子の弟が居る。もしアイツと離れ離れで生きなければならないなんて言われたら耐えられる訳がねぇ!」

 

「……………双子の、弟……?」

 

 

 兄弟は仲良くあるべきだと熱く語るイッセーに、黒歌は何故か呆然とした。

 

 

「だから――おわっ!?」

 

「教えて、その双子の弟というのはもしかして燕尾服を着たりするの? もしくは妙に家事が得意とか!」

 

「ね、姉さま?」

 

「な、なんでキミがマコトの事を……」

 

「マコト? それがアナタの弟の名前なのね?」

 

「お、おう……そうだが一体……」

 

「ごめん、その彼は呼べるの?」

 

「は? ちょ、ちょっと待った! アンタ一体マコトに何の用があって――」

 

「良いから!! 呼べるの!? 呼べないの!!!?」

 

「よ………呼べます。(こ、怖い……)」

 

 

 まさか……まさか! そんな筈はないと思いつつも黒歌はイッセーに有無を言わさぬ迫力でそのマコトなる存在をこの場に呼ぶよう命じた。

 もしかしたらかつて彼から全てを奪った存在と同義なのかもしれない。

 

 けれど確かめたかった。

 

 

「あ、あー……マコトか? 今どこに居るんだ? え? セラフォルーさんの傍?」

 

(セラフォルー? …………。いやまだ確信はできない)

 

「あの姉さま? 先輩の弟さんに何か?」

 

「弟さん? アナタはそう呼んでるの?」

 

「ま、まぁ……あまり関わりもありませんでしたから。

それに今は魔王さまの将軍ですし……」

 

「…………へぇ?」

 

「そう、そうだ。一人で来れるか? 何かお前を見たいって人が……」

 

 

 心臓が小さく早鐘していくのを感じる。

 今となっては全くなかった気持ちが甦る。

 

 

「…………すぐに来るってさ」

 

「そう……」

 

「なぁ、キミももしかしてマコトの事を――」

 

 

 早く! 速く!!!

 黒歌ははやる気持ちを押さえ込みながら必死にポーカーフェイスを繕う。

 すぐ傍でイッセーが一気に警戒した表情を浮かべているのだが、最早気付いちゃいない。

 ……そして。

 

 

「どうしたんだよ?」

 

 

 その青年は、かつて自分が追い掛けた姿と変わらぬ姿て現れた。

 

 

「実はこの小猫ちゃんのお姉さんがマコトを見たいっていうからさ。

……見覚えあるか?」

 

「姉? さぁ、知らないが」

 

「ですよね。すいません、急に姉が……」

 

「ぁ……い、いえ……」

 

「なに緊張してんだよ?」

 

「な、慣れてないからだよ……」

 

 

 間違いない。一発でわかった。

 見た目もそうだけど、何より彼の中から感じるものがかつてずっと追い掛けたそれと全く同じだったから。

 

 

「せ……先輩……!」

 

「は?」

 

 

 皮肉にもボインな姉に生まれ変わっていた白い猫は、奇跡的な偶然でかつて追い掛けた青年と再会できたのだ。

 

 

「先輩!! 私です! わかりませんか!?」

 

「……? …………………………………!!!!!!?」

 

「あは♪ 気付いてくれましたね? そうです()です」

 

「マコト? もしかしなくても知り合いなのか………はれ?」

 

「だとしたら何時どこではぐれ悪魔の姉さまと……ぅ?」

 

「ごめん、二人とも少し眠ってて?」

 

 

 兄に呼び出されたと思ったら、急に自分を先輩と呼びながら喜びの表情を浮かべる女が側に居た。

 何だこいつ? と一瞬訝しげな表情を浮かべていたマコトだったが、まさかだったのだ。

 その気質と、どこで得たのかいまいち分からなかった強力な瞳術でイッセーと小猫を眠らせた黒い女は確かに……知った者なのだから。

 

 

「塔城さん……ですよね?」

 

「ええ、かつて私は塔城小猫でした。

という事はやはり先輩はイッセー先輩で間違いないですね?」

 

「…………………ええ」

 

「く、くくっ! この世界の私に仙術の基礎を教えて二度と会わないつもりで来たのに、最後の最後で運が向いた!」

 

 

 かつて塔城小猫だった黒歌はそれはそれは嬉しそうだった。

 

 

「そうと決まれば、あんなどうでも良い組織なんて抜けます。元々この世界の私の姉としての行動をコピーしてただけなんで。

先輩、聞いたところによると今はセラフォルー様の将軍をされている様ですが?」

 

「え、ええ、セラも我々と同じでしたので…」

 

「セラ? ……………へー、愛称で呼んでるのですか? ならば私は黒歌にちなんでクロと呼んでください。

ちなみに他には?」

 

「ババァ――じゃなくて、今はシャルロットという名の悪魔として生きるヴェネラナが……」

 

「ヴェネラナ様もですか!? おぉ……! 一気に生き返った気分です!」

 

 

 イッセーに重なる様に眠る小猫の姉の容姿のせいか、微妙に違和感を感じるものの紛れもなくかつて日之影一誠として生きた世界の塔城小猫だとマコトは理解していた。

 

「地爆天生……っと。

ほらイッセーくん、この程度凌げない様なら妹を任せる事はできないよ?」

 

「む、無茶苦茶な……! こんなのどうやって……おわぁ!?」

 

「キミを軸に重力を発生させたから、さっさとしないと周りの物に押し潰されて死ぬよ?」

 

「ぐっ!? 重力の源はあの黒い塊か!? それなら……!」

 

 

 その日以降、禍の団のとある派閥ひとつを文字通り自重しなくなった状態で潰してしまった黒歌は、この世界の自分とそのついでにイッセーの修行の面倒を見る名目に託つけてマコト達のもとへと来るようになった。

 

 

「それにしても先輩も変わりましたね……。

なんというか、素直といいますか」

 

「やっぱりわかる?」

 

「反抗期のまま離れ離れになってしまいましたからね、再会した時のあまりの素直さに驚きましたよ」

 

「ヴェネラナ様――失礼、シャルロットさんは特にそう思いますよね。

しょっちゅうババァと呼ばれてましたし」

 

「それは今も変わりませんがね……」

 

「でもその反抗期が完全に終わったら今度はスゴいよ? 天然で口説き文句がポンポン出るんだもん」

 

「あー……それもわかります。

行く宛が無いなら一緒に居れば良い、文句を言う奴は全部俺が黙らせてやる……って真剣な顔しながら言われたましたし」

 

 

 輪廻を越えた仙人猫もまた、反抗期終わりの青年に改めてやられてしまう。

 

 ―――――まあ、これも嘘展開だが。

 

 

 

 そして……。

 

 

「私は曹操。

ふむ、一誠というのはアナタね?」

 

「そ、そうだが、曹操って女の子だったのかよ……」

 

「見た目で判断すると痛い目を見るわよ? ………………違うわね」

 

「へ?」

 

「いや、こっちの話。

ふむ、祐斗と元士郎も私の知る二人とは違う……か」

 

 

 

 

「…………! アナタ、一誠でしょう? 誠なんて名前で隠してる様だけど」

 

「テメーが何でこの時代に……」

 

「さぁ、運命の導きとやらじゃないかしら? それとテメーとは何よ? 私の真名を忘れた訳じゃないでしょう?」

 

「………華琳」

 

「ふふ、覚えててくれて安心したわ。さて早速だけど再び私に遣えて――」

 

「そういう訳にはいかないな、いーちゃんは私の将軍なのよ」

 

「昔気にくわなかった鳥女を思い出すからぶちのめす……」

 

「ふっ、そう言われるとますます欲しくなるわ。

言っておくけど、御せぬ程私は弱くは無いわよ……?」

 

 

――全部嘘だから安心しろ。




補足

ボインになったよ! よかったね小猫たん!
……まあ、ボイン素質あったからあんま意味ねーけど。


その2
この世界のイッセーと小猫を強化する教官化してます。
内容は死ぬ手前の鬼畜さですが。

その3

何時だったかのIFまでもが繋がってたら……です。


これ全部嘘なので気にせんでください

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