色々なIF集   作:超人類DX

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別に誰もアレしてないのに続き。

コンセプト……再会できたからちょっと前向きな執事。


ちょっと前向きになれた元執事

 

 日之影一誠として取り戻した人生から、今度は兵藤一誠の人生を奪いかねない兵藤誠としてやり直しをさせられた。

 かつて兵藤一誠としての全てを奪った男に似た立ち位置なのはきっと皮肉な事なのだろう。

 

 しかし誠はその男とは違い、慎重に邪魔にならない様にひっそりと本来の自分となる筈である一誠を陰から見ていた。

 

 そのお陰かどうかは解らないが、一誠は双子の弟として生きる誠を可愛がっていた。

 もっとも、落ち着きが無いせいかしょっちゅう周りからは一誠の方が兄だと思われない様だが。

 

 そんな彼が悪魔であるリアスやその仲間達と出会い、切磋琢磨していく事になったのは切っても切り離せない運命なのかもしれない。

 

 かつて自分が執事として拾われたのと同じ様に、彼女の眷属として……。

 

 故に誠はそんな一誠を可能な限り見守る事に徹しようとした。

 巻き込まれたり、リアス達を紹介されたりもしたけど、基本的に外様として接するつもりだった。

 

 リアスやソーナや仲間達が自分の生きた世界の皆とは『根本的に違う』という理由もあって……。

 

 けれどそれは唐突に終わりを迎える事になる。

 

 

女王(クイーン)――いや、男の子だから将軍(ジェネラル)の駒を使うね? 後の駒はポーイで」

 

「あの時ですら結局ならなかった転生悪魔に今更なる事になるとはな……。人生ってよくわかんねぇ」

 

 

 自分が生きた世界を知る……最も親しい悪魔の一人との再会によって。

 

 かつての頃ですら無かった転生悪魔となって……。

 

 

 

 

 思えば思い当たる節はあったかもしれない。

 マコト……あぁ、俺の弟な? そのマコトに悪魔であるリアス部長達を紹介した時に特に驚いたリアクションも無かったし。

 あの時は単純に信じてないだけなのかと思ってたけど、目の前で普通の人間が使えそうも無い力を見せてもノーリアクションだった事を今にして思えば、元々そんな性格をしてるからとかじゃなかったんだって思う。

 

 何せ俺も知らない間に――しかも小さい頃に既にマコトは悪魔を知ったんだからな。

 

 

「という訳で俺に提案があります! マコトをオカルト研究部に迎え入れてあげましょう!」

 

 

 理由はどうであれとか、それなら教えてくれてもよかったじゃんかとか……まあ、色々と思うところはあるけど、取り敢えず一番に思うのは、これで名実共にマコトをのけ者にしないで仲間に入れてやれる喜びの方が大きい。

 今までは悪魔の事は知ってても悪魔に転生はしてなかったので一緒の部活に入れずに除け者っぽいことを少ししてしまってたけど、この度マコトは晴れて悪魔に転生……しかもリアス部長の幼馴染みのシトリー生徒会長のお姉さんでしかも魔王の一人である人の眷属になったのだ。

 

 最早一般人だからという理由でリアス部長に断られる理由なんて無い――そう信じて俺は早速部長や皆にマコトの入部についてを話したのだけど……。

 

 

「あのねイッセー? 確かにセラフォルー様の眷属に弟君はなったようだけど、この部に入れるという話とは別になるわ」

 

 

 部長や皆の返答は良いものでは無かった。

 

 

「何でですか? マコトだって悪魔に転生したのに……」

 

「そもそも私の眷属じゃないし……その、貴方は怒るだろうけど、どうも彼は取っつきにくいというか、何を考えてるか全くわからないというか――不気味というか……」

 

「同じく。イッセー先輩は逆に馬鹿みたいに考えてる事が顔に出てますけど、弟さんの方は人形みたいといいますか……」

 

「家に居ても話した事が無いし……」

 

「…………」

 

 

 次々と出てくるマコトに対する皆の意見に俺は反論できない。

 確かに昔からマコトは俺と正反対に無口で、よく俺の友達から『何だか怖い』って言われ敬遠されていた。

 

 でも俺にしてみればただ一人の兄弟だし、話してみればちゃんと返答してくれるんだ。

 

「だからこそこれを機にマコトの誤解を解いて欲しいのですよ」

 

 だからこそ俺はマコトと仲良くして欲しいともう一度頭を下げてみたけど、部長や皆は最後まで首を縦には振ってくれなかった。

 

 思わず感情的になりそうになったけど、それでは余計にマコトが不利になってしまうので、頭を冷やすつもりで部室を出た俺は校舎内をさ迷いながら対策を考える事にした。

 

 

「くっ……。やっぱりまずはマコトの誤解を解かないといけないか……」

 

「何の誤解だって?」

 

 

 リアス部長達みたいな美少女ハーレムを夢見る俺としては、是非ともマコトにもその楽しさを知ってもらいたいのと、やっぱり仲良くなってくれたら良いなぁと思うので、何としてでも部長達の誤解を解きたい――という思考が駄々漏れて声に出てしまっていたのだろう。

 

 俺の独り言に対して後ろから尋ねてきた声に反応して振り向くと、そこに居たのは先日のコカビエルと聖剣の件の時に知り合って互いの夢を語り合った生徒会長の眷属である匙だった。

 

 

「匙か。

いやさ、この度俺の弟のマコトが悪魔に転生した訳だろ?」

 

「弟って……あのお前と違って能面みたいな無表情顔の奴の事か? 転生したのかよ?」

 

「そうだよ、知ってるだろ?」

 

「いや転生したなんて初耳だし俺」

 

 

 むっ? あの生徒会長さんから聞いてないのか匙は? 妹さんなんだしその眷属なら直ぐにでも教えられそうなものなのに……。

 

 

「お前の所の眷属に? この前ゼノヴィアって人が騎士に転生したらしいから、確か残りの駒は戦車か?」

 

「いや違うって、生徒会長さんのお姉さんの眷属になったんだよ。

お前本当に何も聞かされてないのかよ?」

 

「会長のお姉さん―――って、この前の授業参観日にコスプレ撮影会してた魔王様の事か!?」

 

 

 心底驚いた顔をしてる匙。

 本当に何にも聞いてなかったのか……。

 

 

「嘘だろ!? 聞いた話だと会長のお姉さんは一人たりとも眷属を持たず、また持つつもりもないって公言してたらしいのに、お前の弟がそんな方の眷属になれたのかよ!?」

 

 

 へー? あの人の眷属になるだけでそんな驚く事なのか……。

 てか、そういう話は知ってる癖にマコトの事は何も知らんのかい……。

 

 

「小さい頃に一度会った事があったらしいんだってさ、その魔王様が言ってた」

 

「マジかよ……? お前の弟って俺達が悪魔だと知っても驚きもしてなかったらしいが……」

 

「多分そういう事なんだろうな。

で、話は逸れたんだけど、マコトが悪魔に転生したってことはもう仲間な訳じゃん?」

 

「そうなる……のか?」

 

「なるだろ当然。んで俺は部長達にオカルト研究部にマコトを入部させようって提案したんだけど断られたんだ」

 

「……そりゃ断るだろ普通」

 

 呆れた顔をする匙に少しムッとなる。

 

 

「なんでだよ? 同じ転生悪魔なのにマコトの何がダメなんだよ?」

 

「そりゃお前……昨日今日なったばかりとはいえ、魔王の眷属なんだぞ? やりにくいだろ色々と……」

 

 

 言われてみればそうかもしれないけど、マコトはそんな事を理由に威張る様な奴じゃない。

 と、口で説明した所で部長達にとっては『新人悪魔だけど魔王の眷属』としか見れない事を考えたら微妙に理解はしてしまう。

 

 将来の夢が生徒会長とデキ婚するとか宣う奴の癖に、尤もらしい事を言ってくれるぜ……匙め。

 

 

 だが、やりにくい……か。

 それを言われてしまうと俺も何も返せない―――あ!

 

 

「そうだよ! だったら魔王様に言って貰えば良くね!? 気なんて使わなくて良いぜみたいな!」

 

 

 圧倒的な閃きを引き出した己の頭脳が恐ろしいぜ!

 なのに匙はさっきよりも、今度は若干哀れんだ顔をしやがる。

 

 

「どうやって魔王様に会うんだよ? 冥界に居て、しかもしたっぱでしか無いお前が個人的に会えると思ってるのか?」

 

「でもこの前会えたぜ? リアス部長のお兄さんとかにも……」

 

「それは偶然だろうが。

それにあの方達は二人の妹の姿を見に来たって理由で俺達が会えたのはそのついでだろ」

 

 

 俺達が会いたいと思って会える様な方達じゃねーよ

 そう無知な者を見るような目で呆れてる匙に、俺は理解はするけど諦めるつもりは無かった。

 

 

「だったらマコトだ! マコトに頼んで生徒会長のお姉さんを呼んで貰おう!」

 

「お前って本当に馬鹿だな……。俺も大概だと思ってたけど、お前にだけは負けそうだわ」

 

 

 何を!? ムッツリな癖に言ってくれるじゃねーの匙め。

 第一試してみなければ分からんだろうがよ! そうと決まれば早速マコトを――

 

 

「生徒会長のお姉さんって私の事かな?」

 

「「どぅわ!?」」

 

 

 放課後になったらいつの間にか居なくなるマコトを探そうと、匙にも協力させてやろうと思ったその瞬間だった。

 気配も何も無く突然後ろから聞こえたその声に俺と匙は比喩じゃなくその場から飛び上がる驚きリアクションをしてしまった。

 ビックリして早鐘する心臓に手を当てながら振り返ると、そこには散々匙が俺に『会いたいと思って気軽に会えるような方じゃない』と言ってた生徒会長のお姉さん――つまり魔王様が俺達のリアクションに驚いたのか、目を丸くしながらそこに居た。

 

 

「あらら、驚かせちゃった?」

 

「い、いえいえ……」

 

「嘘だろ、言った側で魔王様が……」

 

 

 あービックリしたぁ。

 しかし何時見ても凄い格好っつーか、童顔だから似合うしなんだかんだで可愛いいなオイ。

 

 

「ま、魔王様が何故ここに?」

 

「それはだね匙ちゃん、この前コカビーが起こした事件の件で近々この学園で三大勢力の会談が行われる訳じゃない? その下見をしようかなって思ってさ☆」

 

「さ、匙ちゃん? 俺の事を知ってるんですか?」

 

「そりゃあ勿論☆ ソーたんの兵士君だしねー?」

 

 

 ソーたんってつまり生徒会長の事だよな? …………ま、まぁ余計な感想は持たない事にしよう。

 微妙に似合わねぇと考えてはいけない気がする。

 

 

「そうだったのですか……ならばご案内を――」

 

「あ、良いよ良いよ。正直言うと下見なんて単なる建前だし」

 

「へ?」

 

「本当の目的はいーちゃんと遊ぶ為だから」

 

「いーちゃん……?」

 

「あー……マコト君の事」

 

 

 そう言えばあの時もマコトの事をいーちゃんだなんて呼んでたなこの人。

 でも何でいーちゃんなんだろ、マコトのどこにもいの字なんて存在してないのに。

 

 

「なら兵藤を探すのを手伝いましょうか?」

 

 

 そんな事を考える横で匙が会長の姉に気に入られたいからという気持ちが出すぎた顔してマコトを探すのを手伝うと言い始めた。

 けど魔王様はそんな匙に対して首を横に振る。

 

 

「わざわざ大丈夫。

いーちゃんならこうやって来て欲しいと思えば――」

 

「何だよ?」

 

「「どぅへ!?!?」」

 

「―――ね? 直ぐに駆け付けてくれるのさ☆」

 

 

 驚きリアクション二回目。

 魔王様がニッと笑いながら言おうとしたそのタイミングで音も気配も無く俺達の後ろにマコトが現れたもんだから、またしても飛び上がってしまった。

 

 

「ま、マコト?」

 

「……おう」

 

「ビックリした……! 心臓に悪い登場はやめろや!」

 

「…………」

 

 

 匙が怒った様に言うが、俺に対して一言返した時とは逆に、匙を一瞥したマコトはすぐに目を逸らしてしまう。

 

 

「あ、相変わらず愛想のねー奴……」

 

「人見知りなんだから勘弁してやってくれよ? 悪気は無いんだから……」

 

「チッ……」

 

 

 フォローをするも、匙は気に入らない様に舌打ちをしていた。

 やっぱり最初はマコトの人見知りについての改善から始めるべきなのかもしれない。

 ……と、思いながら魔王様に近づいてったマコトへと視線を戻すと、魔王様がいきなりマコトに抱きついていた。

 

 

「くふふ~♪ いーちゃん~☆」

 

「…………………」

 

 

 Oh……何だこの気分。

 普通なら羨む筈が見てはいけない場面を見てしまってる気になる。

 

 

「魔王様に抱き着かれてるぞお前の弟……」

 

「あー……うん、どうもそういう感じみたい」

 

「そういう感じってお前……魔王様なんだぞあの方は?」

 

 

 匙も同じ事を思ってるのか、微妙な顔をしながら見ていた。

 何だろな、周りに壁を作りまくるマコトだから逆に安心してしまってる感が凄まじいんだわ。

 

 

「離れろよ」

 

「嫌だ~」

 

「そこまでベタベタする奴じゃなかったろ」

 

「そうだけど、諦めてたいーちゃんと会えたばかりか、今度はもっと近くなれたから反動が凄くて……」

 

「はぁ……」

 

 

 スリスリと魔王様がマコトの頬に自分の頬を擦り合わせてながら、これまた初見でも分かるくらい幸せそうな顔してらぁ。

 ………居たたまれねぇ。

 

 

「学園内で何をしてるのですかお姉様……!」

 

 

 まあ、その直後鬼のような顔した妹さんに見付かって仲良く連行されてしまった訳だが。

 ………何故か俺まで。

 

 

 

 

 

 それまで眷属を持つつもりが無いと公言していた筈の姉が突然一人を眷属にしたばかりか、明らかに異性間のスキンシップの度合いを越えた事をしている。

 妹のソーナは驚きもあったが、取り敢えず学園内でふしだらな行為に及んでた姉とリアスの兵士の弟と、近くに居た一誠と自らの兵士である匙にお説教をしていた。

 

 

「匙、生徒会に居ながら何故止めなかったのですか?」

 

「お、俺は止めましたよ! でも止めなかったから……」

 

「言い訳無用! お仕置きです!」

 

「痛い!? 痛いっす会長!!」

 

 

 特に匙への風当たりが凄まじく、17そこいらの歳になってお尻ペンペンをされていた。

 

 

「…………」

 

「木場も前に部長にされてたけど、アレ絶対に痛いわ」

 

「あーらら」

 

 

 手に魔力を込めたものだから相当痛いだろうなぁ……とイッセーは匙に心の中で手を合わせた。

 

 

「それでセラフォルーお姉様……彼はまだ未成年ですよ」

 

「それで?」

 

「それで? じゃありません! 犯罪ですよ犯罪!」

 

 

 匙が真っ白になって床に伏せているのを放置し、今度は姉のセラフォルーに対して怒気を向けるソーナだが、言われてる本人はケロッとした顔だった。

 

 

「お互いに合意だったら問題ないと思うんだけどな☆」

 

「そうだとしてもここは学校です! アナタも! お姉様の眷属になったのなら寧ろ止めてくれますか!」

 

「………………………」

 

「ま、マコト、返事した方がよくないか?」

 

 

 怒るソーナに対して無表情を貫くマコトに危機感を覚えたのか、横から一誠が焦りながら耳打ちする。

 だがそれでもマコトはソーナとは一切目を合わせる事は無かった。

 

 

「一体何がどうして姉がここまで好いてるのかは知りませんが、時と場所と常識を考えて――」

 

「セラ」

 

「? なぁに?」

 

「耳貸せ」

 

 

 しかしどちらにせよ、ソーナに言われると何となくイラッとしたのか、直接――では無くセラフォルーに耳を貸せと言うと、彼女に対して耳打ちをした。

 何を言ったのか……一誠も地味に気になって二人を見ていたが、耳打ちされていたセラフォルーが若干頬を染めながら『え、それを言わないとダメなの?』と言ってたのがとても印象的だった。

 

 

「そもそも――」

 

「ねぇソーたん?」

 

「む!? 何ですか? それとソーたんと呼ばないで貰えます?」

 

「ごめんごめん、ちょっと今いーちゃんから伝言を預かったんだけど……」

 

「伝言? 何で直接言わないんですか……?」

 

「まぁまぁ、で、いーちゃんが今『じゃあ何か? 学校の外でおっ始めてたらアンタは怒らなかったのかよ?』……って」

 

「……………は?」

 

 

 セラフォルーがマコトの言葉を代弁した瞬間、生徒会室内の空気は凍った。

 一誠も最初は意味が分からなかったが、そこはイッセー故なのか直ぐに意図を察し、そしてマコトがそういう事を言うのかと余計驚いた。

 

 

「な、何を言って――」

 

「セラ」

 

「ん……。えっとね『だから、学校の外でガキでも仕込んどけば怒らないのかアンタは?』――だって。ねぇいーちゃん? それって遠回しの告――」

 

「違う」

 

「な…なっ!?」

 

「お、おいおいマコト? お前割りとそっち系も話せたのかよ?」

 

「……まぁ、純粋無垢ですよとは言わんな」

 

 

 パクパクと顔を真っ赤にしてるソーナを他所に、イッセーはマコトが下ネタがいけるのかと、自分の兄弟なんだと少し喜んだ。

 

 

「第一、お前と――後あの誰だかわかんねー二人組が覗きだのなんだのしてて具体的に何もしてない癖に一々偉そうなんだよ」

 

「それを声に出すべきじゃないと思うんだが」

 

「…………」

 

「半分冗談だ。何となくイラッとしたからつい……」

 

「ねーねー、冗談にしなくていっそ本当に……」

 

「待て待て! 兄弟なんだからチェリーを卒業するなら一緒だろ!? それに男ならハーレム王だろ!?」

 

 

 当然この後ソーナの雷が落ちたのは云うまでもなかった……。

 

 

 

 結局最後までソーナと目を合わせる事は無かった。

 横から様子を見ていたセラフォルーはそれがどういう意味なのかを分かってしまった。

 

 

「やっぱり違うと思うんだ……?」

 

「……。まぁな」

 

 

 それはセラフォルー自身も思った事だった。

 だからそれを責めるつもりは無い。

 しかしやはり、かつてはソーナの考えてる事を先回りして行動していた頃を知ってるだけに悲しいものがあった。

 

 

「リアスちゃんにもそうなの?」

 

「そもそもあのリアスとはまともに話した事すら無いからな」

 

「そっか……」

 

 

 見た目は全く同じなのかもしれない。

 けれどその生き方も中身も違う。

 拒絶――とは違うが、どう接したら良いのかが全くわからない。

 だからマコトは関わらない事を選んだのだろう……セラフォルーはそう感じていた。

 

 

「でもまぁ、特に何も無いんだからこのままで良いだろ。

俺より大分まともな()が居るしな」

 

 

 それはこれからも変わらない、ましてや自分が居るのだから……と、少し笑うマコトにしなくてセラフォルーは複雑そうに口を開いた。

 

 

「それで本当に良いの……?」

 

 

 確かに違うかもしれないけど、やはり複雑な事には変わりない。

 故にセラフォルーはもう一度だけ聞くも、マコトは頷いた。

 

 

「今はお前が居るし、それで良い」

 

「……。相変わらず不意打ちがお得意だねいーちゃん。

ドキッとしたよ今の言葉には?」

 

「そうかい。

まあ、確かにしまいこんでたものをさらけ出せる相手と再会出来たお陰かどうかわからんけど、妙に安心してる自分が居るのは間違いないかな」

 

「だったらさー? その気持ちを上手に表現して欲しいと思っちゃったりするんだけどな~? 例えば、いーちゃんから抱き締めてくれたり……とか?」

 

「別に良いぞ。今なら躊躇いもそんな無いし」

 

「え!?」

 

 

 セラフォルーが知ってるセラフォルーだとわかったからか、前よりは悲観しなくなったのと、微妙に素直になってるマコトにちょっとビックリする。

 

 

「これで良いか? よくわかんないけど」

 

「う、うん……」

 

 

 ただ、セラフォルー的にはお得だったらしく、今度は離さないと誓うのだったとか。




補足

匙君やリアスさんやソーナさんとは一切関わりを避けまくってたので、無口で何を考えてるかわからない不気味人間扱いされてましたとさ。

ただし、お兄ちゃん一誠君が『仲間外れやだ!』と動き回ってるせいか少しややこしい事に……。


その2
何だかんだ寂しかったらしく、セラさんと再会した後は若干前向きになってる元執事。

なので基本的に彼女からお願いされたら断らないらしい。

だから執事時代と比べるとデレ度が高いのです。


その3
ちなみに昔かららしいですが、セラフォルーさんの事は別に嫌いじゃないらしいです。

彼の好き嫌いの基準が、嫌いなら嫌いと言い切るタイプですので、つまり嫌いじゃないという事は………?

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