相変わらずチョロイんですけど……。
振り返らずに今は走る。
それが今は大切なのだ。
なじみを抜かせば最強で最高に高い壁として立ちはだかってくれたライザー・フェニックスという悪魔の期待に応える為に。
そして何よりもなじみに近付き……約束を果たす為に。
とある山の中にあるとある別荘。
そこに俺は居る。
今の状態から更に登る為に。
「ほほう、良い場所だ。子供の時からこういう木々だらけの場所に来ると自然とテンションが上がってしまうのだが、今まさにそんな気分だぞ」
曰く、グレモリー家が管理する別荘区画らしいこの場所は、カブトムシとかクワガタとか生息してそうな程にのどかで静かな所で、ついつい落ち着かずに周りを見渡してしまう。
うむ、今の内にクヌギの木に蜂蜜トラップでも仕掛けるか…………と思ったけどまだ季節じゃなかったな。
ちょっと残念だ。
「そういえばイッセー。気のせいかもしれないけど、アナタの髪って時々色が変わるのは何故かしら?」
「む?」
10日後の戦いに備える修行の為に別荘にやって来た後、早速執り行うとして俺やリアス達は学園指定のジャージに着替えて外に居た。
そした各々が準備運動をして身体を慣らしていた時、リアスがふと思い出したかの様な顔をして髪の色が変わるあの現象……モードチェンジについて尋ねて来た。
「アレか……? アレは……うむ分からん。
身体のリミッターを外すと変わるのだが、色が変わる理由はよくわからん」
「へぇ?」
しかし具体的には良く分からない。
恐らくそのモードになった時の精神状態が色として繁栄されているのだろうが、だからと言って色が変わる理由はやはり分からん。
なじみ曰く、この各モードを最初に使っていた黒神めだかもそんな感じだったらしいが………。
「只気になっただけだから真面目に答えてくれなくても平気よ。
ただ、昨日ライザーと対峙した時のイッセーの髪の色が赤色で『あ、私と同じ色ね』って思っただけだし」
「む……?」
フフンと何処か嬉しそうな顔と声のリアス。
そうか……リアスの髪の色も真っ赤だっもんな。
「そう、かぁ?」
「そうよ」
「そうか……じゃ一緒だ。
バンドでも組んだら目立ちそうだな……赤だし」
ビジュアル系で売り出したらどうだろう。
……って、何を考えとるんだ俺は。
修行だよ修行……バンド名は後だ後。
さて、修行をするに当たって幾つか問題がある。
それは俺は悪魔とは違うというところである。
悪魔がどんな修行をするのか興味もあるし、出来れば参加してみたいものだが、俺は手からビームなんて出せないし魔力なんて知らない。
デモンストレーションで姫島三年が木に向かってビリビリしそうな電撃を放って黒焦げの炭にして素直にスゲーと思ったし、カラクリが分ければ何となるとは思うが、結局の所、俺の専門は生身の近接戦闘なのだ。
「という訳で申し訳ないが、この中で近接戦が得意な者は居るか? 俺としては兄貴が一番得意そうだと踏んでいるのだが……」
レイナーレとアーシアとの鍛練で今更感は拭えないが、取り敢えず生身の戦い方をお復習しようと思ってリアス達の中に近接戦闘が得意そうな者が誰かと思いつつも、やっぱり兄貴がそうなのではなかろうかと兄貴に視線を向けるが、やはり俺がこうしてこの場に居るのと、昨日の事があってかますます敵意を強めてしまってるせいで……。
「………。お前とは嫌だ……いや、俺は独りでやる」
「な……セーヤ、またそんな――」
「話なら後にしてくださいよ部長。では」
嫌だと言ってから独りでやると宣い、そのままリアスの制止も聞かずにその場から消えてしまった。
……。うむ、やはり俺がしゃしゃり出てしまったせいでチームワークが乱れてしまってるか……。
「やっぱり駄目ね私は……」
「いや、お前が原因ではない。俺という外野の存在が気に入らんのだろうよ兄貴は。
どうする? なんなら俺が此処から去って独りで鍛練をしても……」
「そんな気を使う必要は無いわよ。
そもそもセーヤの顔からして初めから乗り気では無い様子だったし、こうなったらセーヤは戦力に数えないと思ってやるしかないわ」
顔を顰めて言うリアスに、姫島三年と木場同級生と搭城一年が同意するように頷く。
そういえば、兄貴が眷属の理由で兄貴が自分から売り込みに来たとの事らしいが、どうやって悪魔の存在を知ったのだろうか。
もしやそれも、なじみの言う『イレギュラーが故に』って奴なのか……。
「それじゃあ始めるわよ。
イッセーは魔力を使う戦いは出来ないから………そうね、祐人と小猫と共にやってもらうわ。朱乃は私とよ」
「「「はい!」」」
「おう」
何はともあれ……だな。
兄貴には悪いが、俺は目の前に立ちはだかった壁を乗り越えたいのだ。
だからその為に彼等と共に動かせて貰おう……そう消えてしまった兄貴の事を頭の隅に押し込みながら、俺の前に立つ金髪の男子こと木場同級生と、白髪の女子こと搭城一年によろしく頼むと互いに頭を下げるのであった。
一誠のレッスン。
その1……同級生との打ち合い。
木場同級生は剣術使いらしい。
そういえば学園でもよく剣道場に居るのを見たが……ふむ。
「剣術か……。
俺も少しだけかじった事はあるが、流石に専門家には敵いそうもないな」
「…………。そう涼しい顔で言ってから無刀取りを決めてるのは突っ込んだ方が良いのかな?」
「いーや、俺が出来るのは精々ここまでだ……さぁ行くぞ!!」
リアスに事前に聞かされた眷属悪魔の駒特性。
木場同級生は『騎士』らしく、持っているスキル――じゃなかった神器も剣を生業とするものらしい。
しかも騎士はスピード特化らしく、互いに木刀を構えてからの木場同級生の動きは目を張るものがあった。
「せや!」
「っ!?」
ホント、擬似分身が出来なかったら頭をカチ割られていた所だった。
「ざ、残像……?
……。って、キミって人間だよね? 僕の持ってた木刀も弾き飛ばすし……」
「む? やろうと思えば貴様にも可能だろう?
俺にはこんな小手先の事をするしか貴様等に食らい付けんからな」
「いやあのね…………まあ良いや。続きだよ!」
「うむ、来い!!」
レッスンその2・後輩とのタイマン
騎士のスピードとは違い、戦車の特性は『力』らしく、その力は手合わせの際に知った。
「凄いな。戦車と言われるだけは…………あるぜ!!」
木場同級生の時もそうだが、こうして身体を動かせると精神が高揚してくる。
だからついつい乱神モードに切り替えて、真正面からの殴り合いに持ち込みたくなるのだが…………何だろうな、向こうからすれば失礼だとは思うが、あまり小柄な女子に拳をぶつけるというのも、少しだけ悪い気がしてしまう。
「くっ……な、なんて力してるんですか……先輩は……!」
「ははは! 力だけでは無いぞ搭城一年!!」
「ぅ!? 消え――――あぅ!?」
が、まあ……そんな甘いことを宣うつもりも無いし、鍛練に手を抜くつもりも無い。
俺の蹴りを腕で防いだ衝撃で横に吹っ飛んだ搭城一年に追撃をしようと、地を思いきり蹴って黒神ファントムで体当たりをする。
衝撃波で辺りの草木を消し飛ばしながら放った黒神ファントムは、搭城一年の小柄な身体……詳しくいうと腹部辺りのジャージの繊維を吹っ飛ばし、搭城一年は地面にひっくり返えっていた。
「っ……ぅ……!? 今のって、ライザー・フェニックスに使ってた……?」
「うむ、その通りだ」
「あの時もそうでしたが、全く見えなかった……。空気が破裂する音が聞こえたのと同時に……激痛が……」
と言いながらもフラフラと立ち上がる搭城一年のジャージの腹部分はポッカリと穴が空いて、青アザになってしまった肌が露出して――――――――っと、見ちゃ駄目だ。
「……。どうしたんですか? 目なんて逸らして……」
「ああ、スマン。あまり親しくない女性の肌は見るなと言われていてな……」
恐らくキョトンとしているだろう搭城一年に、目を逸らしている理由を話す。
いや、原因は俺なんだが、なじみに怒られるのは嫌なのだ………っと?
「……目を逸らしてるならと思ったのですが、やはり避けますか……」
「まあ貴様の攻撃は真っ直ぐ過ぎて、ある程度見切れてるからな……。
ほら、今俺が着てたので差し支えなければ着ておけ。
そして破いてしまったジャージは後で夜なべして直させてくれ……悪かったな」
「変な人ですね。修行中の出来事で仕方ないのに……」
「そうだが、それでも異性の肌を見るのは失礼だからな。
……………なじみのネックブリーカーも怖いし」
「え?」
ギチギチ締め付けてくるのは怖いんだよ。
可愛らしい笑顔だから余計にな……。
冥界・フェニックス家の城。
そこには10日後にリアス達が戦う相手であり、リアスの予想を越えていた実力者だったライザー・フェニックスの根城でもあり、只今そのライザーは自室で自らの右腕であるユールベーナと共にお茶を飲んでいた。
「すまんな。本当なら昨日の時点でリアス嬢との婚約話を白紙にするつもりだったんだが、予想外の存在が俺の前に現れてくれてついテンションが上がってしまった。
だからお前等の許可無しでつい……」
「いいえ、私達はあなた様の下僕です。
だからどう使ってくれても文句なんてある筈がありませんわ……。
現にミラはライザー様の目に止まったあの人間に勝とうとずっと鍛練をしてますし……」
「ほほぅミラが……。
一番弱いだなんて悪いことを言ってしまったな」
親にも兄達にも見せない、静かな口調と雰囲気で優雅にお茶を飲む今のライザーにおチャラけた態度は微塵も感じさせない。
寧ろユールベーナ達眷属には、今のライザーが自分達が忠誠を誓うライザー・フェニックスだった。
世間の何も知らない連中は、女好きのライザーが自分達を汚い手を使って無理矢理眷属にしたと勝手な想像をしてくれてるが、ユールベーナ達はそれが実に腹立たしく思えて仕方なかった。
「ライザー様のお役に立つんだと言ってましたわ」
「そっか……。
はは、お前等ってこんな俺の為にも色々やってくれるし、やっぱ大好きだわ」
「……フフ。(私達があなた様に向ける『好き』という感情とは少し違うのでしょうね……)」
本来の姿は魔王すら越える気迫すらあり、何よりもその力はかのサーゼクス・ルシファーが言われる『超越者』とも言える程だとユールベーナは思っている。
そして何よりも鈍い事も。
「逆にやる気を出してましたから、ライザー様のお声は結果的にいい方向に向かってます。
なので、そんな事で気を病む必要は皆無です……私達はライザー様が大好きですから」
「嬉しいねぇ。
それなら後で俺もミラの修行に付き合わせて貰うか。
慢心してるとあの人間に――兵藤に足元掬われてしまうからな」
フッフッフッ……と己の同類と認めた人間――一誠を思い出して不敵に笑うライザーにユールベーナは府に落ちなさそうな表情になる。
「ライザー様が同類とお認めになられるのならそうなのでしょうし、現に私も近くで見てたので分かりましたが、妹様と婚約させるなんてどういう意図が……?」
「それは昨日も兵藤にも言ったが、奴の持つ可能性は視野の狭い老害共の節穴な考えをぶち壊せる程だし、何より気に入ったんだよ……兵藤自身をな」
「……。ですがレイヴェル様はご自身が惚れたお相手と添い遂げたいのでは……?」
「フッ……その事なんだがなユールベーナよ。アイツは結構満更でもなさそうだぞ?」
「え?」
同類と認め、そして話にならない奴とは結婚なんて反対だー……的な思考。
つまりちょっとしたシスコンなライザーの意味深な笑みにユールベーナはキョトンとする。
というのも、あの日ライザーが突拍子もなく一誠に自分の妹と婚約しろよと提示した時のレイヴェルの反応は、ただただ困惑していた様にしか見えなかったからだ。
でもライザーが言うには満更でもないとの事だが……。
「笑いながら俺に対して『絶対にギャフンと言わせてやるぜ』と宣言した姿に惚れたらしいぞ」
「は、はぁ?」
「いやマジだって。アイツの部屋覗いてみ? 枕抱えながらベッドの上ゴロゴロ転がって兵藤の下の名前……確かイッセーと連呼してるからね? すっかり女の顔になってな」
「………………」
そ、そんなんで? ユールベーナは困惑した顔をしてニヤニヤするライザーを見つめていたが、確かに本来のライザーを前にしても不敵な笑みを崩さない処か、ライザーと同等の『王』の気質を見せたのだから分からないでも無いが……。
「リアス・グレモリー様は彼に惚れている言ってましたけど……」
「そうだな。まあでも……もう遅いな。
レイヴェルはその気満々だもん」
「…………………」
知ってて目の前でその話をしたライザーも天然なのか単に嫌がらせだったのか……。
ユールベーナは後者を予想しながら己の主が見せる笑みを監察するのだが、真実はライザー本人の胸の内であり……。
(まさかジョークで言ったつもりだったのに、レイヴェルの方がなぁ……。
ククク、昼メロみたいにならねぇかなぁ……)
ユールベーナの予想はほぼ当たってた。
つまりライザーはドロドロ好きなのだ。
「あぁ……イッセー様……。
本来の兄に対して向けた鋭い眼光と、今すぐ屈服してしまいそうになる風格……。
レイヴェルの心はあの時からイッセー様のものですわ……フフフ」
と、ベッドの上で枕を抱えながらゴロゴロと転がり、惚けた表情であの日見た人間の少年に対して、通算525回目となる同じ台詞を口にしていた。
所詮只の人間でしかなく、リアスが何故そんな人間に加担するのかと疑問にしか思わなかったが、兄の放った
「もしお前等が敗けた場合、兵藤一誠……お前は俺の妹の婚約者になって貰おうか?」
「よかろう。ならこの勝負、全力で―――――――――――――――は?」
事の始まりは兄であるライザーのこの一言から始まった。
今は兄よりも下に居るが、それでも同質の可能性を秘めている一誠に自分と婚約しろと意味が分からない事を口にし、一誠は勿論後ろで眺めていたレイヴェル本人もポカンとしてしまうし、何よりも言葉すら交わしてない得体の知れない人間の男……ともなれば流石にレイヴェルも嫌だったのだが、話はリアスの必死こいた介入があったにも拘わらずポンポンと進んでしまい、結局レーティングゲームの勝敗に委ねられてしまった。
(勝手な事を……!)
これにはレイヴェルも怒りを覚える他なく、引き上げの直前に真っ赤な髪色をした一誠が、空気を破裂させる音と共に姿をかカキ消してライザーに向かって何らかしらの攻撃を仕掛けている場面を見ながら、後で文句を言おうと決めていた。
「っ!?」
「恐ろしいな……。
人間の動けるスピードとパワーを遥かに凌駕している。
並の悪魔連中……多分俺の眷属達なら今ので終わってたが……フッ……俺も俺でそれなりに修羅場は潜ってるつもりなんだよ」
一誠の頭を掴み、そのまま床に叩き付けたライザーが不敵な笑みを浮かべ、驚くリアス達を一瞥しながら掴んでいた手を緩める。
「ふっ、10日後を楽しみにしてるぞリアス……そして兵藤」
「………」
「ふっ……ふふくく……!」
「? 何だ兵藤? 何処か可笑しい所でもあるのか?」
圧倒的な差の一端を見せられ、不様に床に叩き付けた一誠がユラユラと立ち上がるのをライザーが顰めた表情で見つめる中、どんな文句を言ってやろうかと思案していたレイヴェルも鷹を思わせる鋭い眼光を放つ一誠に視線が移り……そしてゴクリと喉を鳴らした。
「済まなかったな……今の自分の位置を貴様を使って試したかった。
結果は負け……俺の大敗だ」
負けと認めながら今の一誠から感じる雰囲気は、ライザーと同じく『強者』のオーラがあった。
圧倒的な壁を前にしても折れず、それどころか歓喜とすら見れる笑みを見せる一誠に、後ろで心配そうに見ていたリアスの方を振り向き、緩やかな笑顔を見せてから言ったのだ。
「だが俺は折れんぞライザー・フェニックス。
友の頼みの為に……何よりも貴様という壁に大穴開けてギャフンと言わせてやる為に俺は這い上がる。
それが俺という人間……兵藤一誠だ!!」
「…………。ほう?」
「イッセー……」
折れず、それどころか少年の様な笑顔で啖呵を切る一誠にライザーも久々に楽しみを前にする子供の様な笑みを浮かべていた。
「…………………………」
それは妹のレイヴェルも同じであり、折れずに立ち上がった姿を見て驚き半分。
そして――
(……っ!? な、何で……ロクに話もしてない人間の殿方に……)
心臓をぶち抜かれた衝撃を一誠から受けたのだとか何とか。
それがどういう意味なのかは、家に帰って自室に籠ってから約数分で完全に自覚する事になり――――
「お写真とか撮れば良かった……。
あぁでも10日後になればお会い出来ますし………ふ、ふふ……ふふ!」
明くる日からはこんな様子となっていた。
「……………な?」
「ほ、本当ですね……」
その様子を兄とその右腕に見られてるとは知らず、レイヴェル・フェニックスは箱入り娘が故に完璧な一目惚れを一誠にしてしまうのだった。
「でも私達が負けたら婚約は無しなんですのよね…………。
あ、でも負けて無しになっても向こうから好きになって貰えば良いのね! つまり勝っても負けても私は変わらない!」
「おおっと……昼メロ再現確定だねこりゃ」
「……。悪い人ですね、ライザー様は」
「む?」
「どうしたの? 後ろに何か?」
「……………。いや、何か……何だろう……上手くは言えんが、これから変な事に巻き込まれそうな……」
「え?」
そしてそんな事になってるとは知らない一誠はといえば、リアスと朱乃に振る舞われた料理をもぐもぐと実に美味そうに食べていたのであったとか。
「……。まあ良いか、それにしても美味いな。
レイナーレやアーシアが作ったのも美味いが、それに負けず劣らずで……」
「そういえば安心院なじみは作らないのかしら?」
「なじみ? ああ、作って貰った事が一度だけあるな。
美味すぎて3ヶ月は何を食べても美味いと感じれなくなるくらいだったぞ」
「……。それは逆に恐ろしい料理ですわね……」
こうして修行は続く。
補足
ちょ、チョロイじゃねーか!!
……………うん、ごめんなさい。
セシ○アさんとなんか同じイメージがしたっていうか…………ねぇ?
補足2
よくディスられやすいライザーさんですけど、普通に根は良いと思うのは俺だけ? てか、嫌いじゃねぇってのも俺だけ?
リアスさんは単純にほら…………中の人が箒さ―――いえ、何でもないっす。