色々なIF集   作:超人類DX

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うーむ……なんともいえん。


泣き虫めぐみん

 イッセーが高確率で寝言の際に口にする名であるリアス。

 ちゃん付けで呼んでいる時点でそれが女である事は解るが、それ以上の事はまだ知らないし、深く聞く事は出来なかった。

 

 まだ半年の付き合いだし二度しか見たことはないが、イッセーがそのリアスという存在の事を話す時は決まって優しい顔をし、決まって罰が悪そうな顔をするのだ。

 どんな人なのか等、いくらめぐみんでも聞けないのは当たり前だし、聞いてしまったらイッセーと離れてしまうかもしれないという恐怖があった。

 

 どれ程そのリアスという存在と一緒に居たのか解らないけど、確実に半年しかまだ付き合いがない自分よりも長く共に居たのは察する事はできる。

 アクアに対して尋ねたのもそんなリアスへの対抗意識がそうさせたのだ。

 

 

「何で女神の私が馬小屋なんぞで生活しなくちゃいけないのよ!」

 

「お前が無駄遣いするからだろうが!! それに報酬の大きいクエストは危険でできねーし……」

 

「そこを何とかするのが私を巻き沿いにしたアンタの役目でしょうが!!」

 

 

 もっとも、そのアクアは結構残念なタイプだったりするのだが……。

 

 

「こうなったらまたアイツに金を……」

 

「アイツってまさか、この前ロリっ娘と居た奴の事か? 確か俺と同じ転生者で……」

 

「そうよ。少なくともアンタの千倍は役に立つし、いっそパーティーを組んで貰えないか交渉してみようかしら」

 

「悪かったな、どうせ俺と違って転生特典の力を持ってるんだからさぞ役に立つだろうよ……」

 

「違う、彼に転生特典なんてあげてないわ」

 

「は? そりゃどういう――」

 

「良いからさっさと探しにギルドに行くわよ!」

 

「ちょ、おい!?」

 

 

 めぐみんから押し付けられた資金も底を尽き、ギルドからのクエストは失敗続き。

 普通の転生者である佐藤カズマと仕方なく行動を共にしていたアクアは金を唯一貸してくれそうなイッセーを探しにギルド場へと訪れるが、姿が見えない。

 

 

「居ないじゃない……」

 

「何かクエストでもやってるじゃあないか?」

 

 

 イッセーの事は見ただけでよく知らないが、とにかくひもじいのでアクアの意向に従うカズマが、見付からずイラついているアクアを宥めつつ一緒になって探す為に、すれ違う冒険者に聞き込みをしていた。

 

 

「あの、俺くらいの歳の男とちっさくて眼帯っぽいの着けた女の子の二人組見ませんでした?」

 

「さぁ……」

 

 

 しかしギルドに登録している冒険者の数は少ないようで多く、特徴だけを述べて二人の行方を探し当てるのは難しい。

 何度となく色々な職の冒険者達に聞いても返ってくるのは知らないの繰り返しで、そろそろ諦めようとしたその時だった。

 

 

「アクセルの街よ、私は還ってきた!!」

 

 

 芝居かかった声と共にどこか偉そうな足取りでギルド内を闊歩するとんがり帽子が目立つ少女の声に、カズマとアクアは、それがイッセーと共にいた少女である事に気付く。

 

 

「ふっふっふっ、受け付けの人、見ての通り私とイッセーさんは血に餓えた獣二匹を狩ってきましたよ?」

 

「ほ、本当にクリアーしたのですか!? む、無茶だと思ったのに……」

 

「この通り、ちゃんと討伐数がカウントされてますよ」

 

「た、確かに……! ではマンティコアとグリフォンを生け捕りにはできなかったものの、討伐したのですね……」

「無論、まぁ、生け捕りも可能でしたけど、せっかくの巨獣でしたので、私の爆裂魔法で粉微塵にしてやりました」

 

 

 どうやらクエストからの帰還だったらしい。

 だが受け付けのお姉さんがかなり驚愕しているのと、マンティコアとグリフォンというかなり危険な生物の討伐という言葉を聞いた瞬間、偶々聞いていた他の冒険者達が驚愕の声をあげる。

 

 

「う、嘘だろ!? あんな小さい子があのマンティコアとグリフォンを!?」

 

「となりに居る男と二人だとしても信じられない……」

 

 

 当初ピンと来なかったカズマだが、すぐに登録して直ぐの頃にアクアが勝手に受注しようとした高額報酬のクエストの紙にマンティコアとグリフォンという生物の捕獲または討伐のクエストがあったことを思い出した。

 

 

「ま、マンティコアとグリフォンって聞いただけでヤバそうな生物ってわかるけど、それを討伐しに行ってたのか? しかも二人で……」

 

「そうみたいね……。これはかなりお金が貰える筈」

 

 

 あのロリっ娘にそんな力があるのかと思うのもそうだが、見た感じ疲労の色も傷の一つも無さそうに多額の金を受け取って財布に入れているイッセーにただただ驚くカズマ。

 アクアが彼は転生の特典を持ってないと言い掛けていたが、それが本当なら一体どうやって仕留めたのか……。

 

 同じ転生者として一言くらいは会話してみたいカズマは周囲の巨獣を狩ったという事で早速色々な冒険者達からパーティーに誘われ始めている二人を見て、早く声を掛けないとマズイと思い、隣に居たアクアにも言おうとしたのだが―――アクアの姿は既に居なく、周囲を押し退けてイッセーとめぐみんの前に立っていた。

 

 

「探したわよアンタ」

 

「あぁ、アンタか」

 

「むっ……」

 

 

 こんな時だけ行動が異様に早いアクアのちゃっかりさに引くものの、声を掛けられるタイミングは掴めた事に変わりない。

 アクアの連れである事を利用し、ちゃっかり近寄ったカズマは既に顔見知りらしいアクアとイッセーのやり取りを、アクアが来た瞬間ムッとした顔をするめぐみんと共に見る。

 

 

「頼みがあるの! どうかお金をまた貸してください!」

 

「は?」

 

「………」

 

 

 馬小屋生活で金にがめついというか、自分の利益の為なら平気でプライドを放り投げるアクア渾身の土下座に、カズマやめぐみん、そしてイッセーも引いた。

 

 

「もう馬小屋生活は嫌なの! だからどうかお慈悲を!!」

 

「馬小屋て……何でそんな所に?」

 

「そ、それはこの役立たずのせいで……!」

 

「俺のせいかよ!?」

 

「そうでしょうが! アンタと居ると碌でもないことばかりよ!!」

 

 

 然り気無く自分のせいにされて怒るカズマに、イッセーが訝しげな表情になる。

 

 

「クエストしてれば豪邸とまではいかなくても馬小屋生活なんてしたくても出来ないだろ。

いくらアンタがそうなってたとしても」

 

「現にそうなっちゃってるから困ってるのよ……! だからどうか……どうか!!」

 

「そこの彼の力を考えたら金なんて楽に稼げる筈なんだが……」

 

「お、俺の力?」

 

 

 アクアの神としての力を削ぎ落とせるだけの力を持つカズマが居たら金なんて簡単に稼げるだろうと、勘違いをしたままのイッセーの言葉に本人が驚く。

 

 

「そうだろ? だってキミ、俺より上の領域に居るんだから金なんて適当にクエストやってれば楽に豪邸を建てられるくらいは……」

 

「い、いやいや! 俺がそんな――むがっ!?」

 

 

 イッセーと初めて言葉を交わした事で、何か勘違いされていると漸く知ったカズマが即座に自分はアクアを道連れにした事で力なんか何も持っちゃいないと説明しようとしたが、そこの所だけのプライドだけはまだ高かったアクアが即座にカズマに飛び掛かって首を締め始めた。

 

 

「おほほほ! 何でも無いのよ!」

 

「締めおとされそうになってるけど……」

 

「え、演技よ演技! コイツはマゾなのよ!」

 

「ぐぇぇぇっ!?!?」

 

 

 どう見ても昇天しそうなリアクションだが、アクアが演技だと言う以上、何も知らないイッセーは信じてしまう。

 

 

「と、とにかくお金が無いから何卒……」

 

「何をしたらそんなに金に困るんだ? しょうがねぇ……」

 

 

 流石に違和感は覚えるものの、金が無いのは本当らしいので、初日と同じく仕方なく金を貸そうと財布を開けようとしたイッセーだったが、そんな彼の前に小さな人影が割り込む。

 

 

「ちょっと待ってください。この前の時もそうでしたけど、何でイッセーさんが貴女にお金を貸さないといけないんですか?」

 

「アナタは確か紅魔族の……」

 

「おいめぐみん……?」

 

「……くぇ」

 

 

 先日と同じく、リアスではないものの妙に親しげに話し掛けてくるアクアに対して不機嫌そうな顔をしためぐみんが、何故イッセーが金を貸さないといけないのかと問う。

 そのタイミングでアクアにチョークスリーパーされていたカズマが白目を剥きながら昇天しているのだが、悲しいことにめぐみんとアクアは全く気にもとめておらず、イッセーだけが『落ちてるけど、あれも演技なのか……』とカズマが演技上手だとまた変な勘違いをしていた。

 

 

「そもそも貴女はイッセーさんとはどんなご関係なのでしょうか?」

 

「ええっと……?」

 

 

 そんな締められ損のカズマを無視し、めぐみんの質問にアクアは戸惑いながらその後ろに立つイッセーに視線を向ける。

 

 

「だから単なる知り合いだっての、何でそんな怒ってるんだよ? さっきまで機嫌良かったじゃんか?」

 

「だって……二度に渡ってイッセーさんにお金貸せって妙に親しげにしてるから……」

 

「顔見知りで、言えば金貸してくれそうなツラに見えんだろうよ。なぁ?」

 

「お金に困って無さそうだと思ったのは間違いないわね」

 

「ほらな? もっとも、何でそんなに金に困るのかは俺も疑問だったりはするが……」

 

「むぅ……」

 

 

 めぐみんが納得できなさそうな顔でアクアを見る。

 リアスという名前ではないものの、自分と比べたら出るところは出てるし引っ込んでいる所は引っ込んでいるし顔立ちもかなり整っている。

 イッセーは只の顔見知りと言うが、顔見知りだけの関係だったら二度も金を貸せと言ってくるのだろうか? いや、確かに自分が極限に金に困ったら誰彼構わず何か食わせろと言うかもしれないけど、何でよりにもよってイッセーに言うのか? モヤモヤしてしまうめぐみんは納得できなかった。

 

 

「うっ……」

 

「あ、大丈夫かキミ?」

 

「げほッ! くそ、あの駄女神め……いきなり首締めやがって」

 

「まぁ、不意討ちだと痛いもんは痛いし、苦しいもんは苦しいわな」

 

「そもそも金に困ってるのだって、あの駄女神が無駄遣いするからで……」

 

「そうなのか? まぁ、仮にも神だし人間とは価値観も違うんだろうぜ」

 

 

 ついついアクアに敵意の視線を向けるめぐみんの横で、意識を取り戻したカズマとのほほんと会話し始める元凶の自覚ゼロのイッセー

 

 

「お金ならまた私が差し上げますよ」

 

「え、あ、ど、どうも……」

 

 

 流石に二度に渡って小さな少女に金に金を差し出されたアクアも微妙な気分になってくるが、軽く10万エリスはあったせいか、その良心の呵責は二秒で消し飛んだ。

 

 

「じゃあ私とイッセーさんはこれで……」

 

 

 ともかくさっさとこのアクアからイッセーを離そうと、彼女らしからぬ無愛想さで去ろうとするめぐみん。

 だが金を貰えてテンションが上がったせいなのか、アクアが空気を読まずにカズマとくっちゃべっていたイッセーに向かって爆弾とも言えるものを投下した。

 

 

「ねぇねぇ、これも何かの縁だし折角だから今後は一緒にクエストとかしない? そうしたらわざわざ金貸せなんて言わなくて済むし」

 

「は?」

 

「パーティー組めってか」

 

「それは俺も賛成だったり、いや、俺ももう馬小屋は嫌で……」

 

 

 要するに寄生させろと提案してきたアクアと、馬小屋生活の過酷さが嫌で同意する様に頷いたカズマ。

 

 

「私はアーク・プリーストだし、そこの馬鹿よりは役に立つわよ?」

 

「一言余計だ! ……ま、まぁ確かに俺は冒険者だけど」

 

「俺も冒険者だぞ? ……ちょっと特殊な理由だけど」

 

「ならちょうど良いじゃない。そっちの紅魔族の子はウィザードだし、バランス取れてるわ。ね、そうしましょう? ひもじいのはもうイヤなの!!」

 

 

 所謂回復キャラである事をアピールしまくるアクアだが、正味アピールポイントとしては低い。

 というのも、イッセーは心臓を握りつぶそうが自然治癒してしまうし、めぐみんも殺られる前に殺れを地でいくタイプに加えて、仮に動けなくなっても即座にイッセーが対応してしまうので回復キャラの必要がそんなに無い。

 それに何より、めぐみん的にはアクアを仲間に加えるのはちょっとイヤだった。

 

 

「うー! い、イヤです!」

 

 

 案の定、特に断る理由も無かったイッセーとは反対に、スカートの裾をぎゅっと握っためぐみんがとうとう涙目になりながら嫌だと言い出した。

 

 

「イヤです! イヤだぁ!!」

 

「お、おいめぐみん?」

 

「めぐみん? 兵藤、お前そんな呼び方で呼んでるのか?」

 

「いや違う、この子の本名がまんまめぐみんなんだよ。ええっと、種族柄こういう名前が普通なんだとよ」

 

「ま、マジかよ。格好からしてちょっと変だと思ったけど……」

 

 

 めぐみんという変わった名前が本名だと知ってびっくりするカズマを他所にめぐみんは大泣きしながらとにかく嫌だと泣きじゃくる。

 

 

「そ、そんなに嫌なのか?」

 

「嫌です! イッセーさんが取られちゃうからぁ!!」

 

「と、取られるって誰にだよ……」

 

 

 こんなに泣くのは初めてだったので、面食らって戸惑いつつも、抱き着いてきためぐみんを受け止めてよしよしと背中を撫でるイッセー。

 端から見れば微笑ましいとも言えなくもないが、アクアからしてみれば兵藤一誠の過去を知るだけにただただ驚く。

 

 

「驚いたわ」

 

「は? 何が?」

 

「あの紅魔族の子に対する兵藤イッセーの対応よ。

アンタは知らなくて当然でしょうけど、転生する前の彼は自分が敵と思った相手を躊躇せずバラバラにする気性の持ち主なの」

 

「バラバラて、そんな大袈裟な。話してみたけど全然普通の奴じゃん」

 

「それは恐らく意図的に限界まで自分の特性を押さえ込んでいるだけ。

彼は転生する際に力を貰ってないと言ったのを覚えている?」

 

「あぁ、途中までは」

 

「それは正確には我々神から与えられる恩恵が必要ないレベルに生前到達していたって事。

アンタみたいな引きニートが読みそうな漫画みたいな世界を生きてきた男……それが兵藤イッセーなの」

 

 

 イッセーの過去を全て知るアクアの説明にカズマは驚愕するが、それとめぐみんに今もよしよししてる事にアクアが驚いている理由がわからないでいると、アクアは続けた。

 

 

「もう喪っているけど、彼が信じたのは生前共に戦った仲間だけ。

なのにあの紅魔族の子はそれに近い対応をされている」

 

「別に良いことじゃねーの?」

 

「悪いこととは言ってないわ、驚いてるのよ。

だから疑問なのよ……どうするのかと」

 

「何が?」

 

「…………」

 

 

 対人に対するコミュニティ能力はそれなりにあった。

 しかし信じた仲間で無ければ取り繕う態度にしかならない筈が、めぐみんに対して仲間達に近い態度になっている事を驚きはしても悪いこととは思わない。

 だが、そうなるとイッセーはもし今後神々が完全な死へと導く方法に辿り着いたとしたらどうするつもりなのか。

 

 彼女を置いてそれでも死ぬのか……それとも――

 

 

「流石に日を改めた方が良さそうね」

 

「空気読めるんだなお前でも」

 

「彼に対しては慎重にならないといけないのよ、下手したら殺されるわ」

 

「そんな気性の荒い奴には見えないんだけどなぁ。出来れば一緒に行動してお前の面倒を見てもらいたいぐらいだし」

 

 

 何時か選択をしなければならない……。

 

 

「うぅ、イッセーさんが取られちゃうのはイヤなんです……」

 

「俺は物じゃねーよ、ったく、時折わからんなお前は。

ほれ落ち着け」

 

「ぐすん……ぐすん……じゃあ不安だから今日は一緒に寝て欲しいです」

 

「え? ……しょうがねぇな、それで機嫌直るなら構わんよ」

 

「ぐすっ、あは、嬉しい……好きですイッセーさん」

 

「はいはい、俺も好きですよーっと」

 

 

 

 

「…………。あ、俺大体わかってきたわ……なるほどね、あのロリっ娘がなぁ、本人はあんまわかってなさげだけど」

 

「色々と彼を知ってる身からしたら驚きものよ」

 

「逆に俺はちょっと気持ち悪いくらい仲が良すぎねーかと思うぜ」

 

 

 ギルド場のど真ん中で青年と少女が抱き合ってる時点で犯罪の臭いしかせず、アクアとカズマ以外の冒険者にも完全に顔を覚えられてしまったのは云うまでも無いが、次の日からイッセーとめぐみんはアクアとカズマの二人と組む事が多くなった。

 

 それも意外な事に、めぐみんの方から組んでも良いと切り出す形で……。

 

 

「我が名はめぐみん! アークウィザードを生業とし、最強の攻撃魔法となる爆裂魔法を操る者!」

 

「お、おう……よろしく」

 

「紅魔族らしい子ね」

 

 

 何時ものめぐみんらしい名乗りをする辺りは調子も戻っているが、その横に立っていたイッセーに何やら肘でつついている。

 

 

「ほらイッセーさんも」

 

「……本当に言わないと駄目なの?」

 

「勿論! さぁ!」

 

 

 ヒソヒソしながらちょっとどころか結構嫌そうな顔をするイッセーにカズマとアクアが首を傾げていると、おほんとひとつ咳払いをしたイッセーが、突然全身から赤いバーナーの様なオーラを周りを壊さない程度に軽く放出させながら口を開いた。

 

 

「わ、我が名はイッセー! え、ええっと、元・赤龍帝にて無神臓を持つ者!」

 

「「………」」

 

 

 恐らく昨晩の内にめぐみんからせがまれたからだろう、言った後後悔の色しか見えない顔をしているイッセーは、とても嬉しそうにニコニコしていためぐみんにオーケーだと背中を叩かれていた。

 

 

「と、いう訳で先日は取り乱して申し訳ありません。

イッセーさんと話し合った結果、アナタ達と組む事を了承しようと思います」

 

「………………………」

 

「あ、うん」

 

「お疲れ」

 

 

 色々と察したのか、生暖かい目でイッセーの肩を優しく叩くカズマが労っている中、妙にご機嫌なめぐみんがアクアに握手のつもりで右手を差し出す

 

 

 

「是非我々の爆裂魔法を世に知らしめる為に頑張りましょう! それとアクアさんでしたよね?」

 

「?」

 

 

 それに応じて右手を出した瞬間、めぐみんがその手を捕食生物が獲物を喰らうが如く勢いで掴むと……。

 

 

「…………………………………………………………………………絶対に負けませんから」

 

「え、えぇ……?」

 

 

 かなり低い声と、それまで浮かべていた筈の笑顔が嘘みたいに無表情となって、アクアに言い放つのだった。

 

 

「なーんてねっ、冗談ですよ冗談! あはっ♪」

 

「」

 

 

 次の瞬間にはまた弾けるような笑顔に戻るが、アクアの右手に込められる力はとても強く、ミシミシと嫌な音が聞こえたのだという。




補足

然り気無く高位クエストを二人でクリアしてます。
捕獲しなかったのは、最大威力で爆裂させちゃったからです。

その2
とにかく懐きすぎて番犬みたいになり始めてるめぐみん。

寂しい度がMAXになると泣きます。


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