色々なIF集   作:超人類DX

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改訂しました。

主にライザーさんがひょうきんっぽくもやはり『強い(確信)』的なキャラに…………出来たかなぁ。


同類

 

 

 そんなこんなの結局、俺とリアスがうんたらかんたらだからどうのこうの……的な理由で婚約とやらを揉み消すという方向であった。

 ちなみに、あのグレイフィアってメイドは中立と見せ掛けてリアスの味方らしい。

 曰く……。

 

 

「私の様な失敗した人生を歩んで欲しくないですから……」

 

 

 異様に悟った顔をして言ってたので嘘では無いだろう。

 しかし、そのグレイフィアというメイド悪魔から聞かされたサーゼクスという魔王がまさかなじみにな……。

 いや、誰が誰を好きになるのは構わんし自由だってのは分かるし、なじみも一切の興味無しって様子だったんで気にする必要も無い筈なのだが、どうにも腑に落ちない気分になるのは何でだろうか?

 こう……慕ってた奴が遠くに飛ばされました的な。

 お気に入りの玩具が盗まれた的な……………うむ、分からん。

 

 

「何にせよ、俺がやることは決まってる。

嘘は下手かもしれないが………ふっ、やっぱり俺はなじみの言う主人公(めだか)にゃ向いてねぇぜ」

 

 

 サーゼクスとかいう魔王の事は取り敢えず横に置き、俺は俺が今友に対して出来ることをする。

 それが良いことなのか悪いことなのかという善悪もどうだって良い。

 俺は主人公では無く、只の努力フェチの変態に過ぎないのだからな。

 

 

「悪いと思ってるし、何なら気の済むまで殴り付けても構わん。

しかしライザー・フェニックスとやらよ。俺がリアスと……………まあ、そんな関係になってたのは事実だ」

 

 

 矛神モード……ON

 

 

 

 

 これが私の我儘だというのは百も承知だ。

 しかしそれでも私は嫌なのだ。

 決められた誰かと添い遂げるだなんてのは嫌だ。

 それくらいは自分で決めたい……だから私は、惹かれつつある相手である彼に頼ってしまった。

 人間で、本来なら私達とは無縁に生きている筈だったのに巻き込んでしまった。

 でも彼は普通に受け入れた。

 実は彼の方が幻みたいな存在でしたというオチがあったにしても、イッセーは理解してくれた。

 そして友達になってくれた。

 安っぽいと言われるかもしれない、チョロいと笑われるかもしれない。

 

 

『よ、リアス。

依頼と仕事が片付いて暇になってしまってな。これからアーシアとレイナーレとなじみで人生ゲームをするつもりなんだが、お前も混ざるか?』

 

 

 私は彼を――

 だから……。

 

 

「帰って頂戴ライザー

私はアナタに対して異性としても悪魔としても興味の興の字も無いわ」

 

 

 やっと手にした先の夢の為に、こんな所でつまづく訳にはいかない……!

 だから諦めず、滑稽だと笑われても、泥臭くても、みっともなくても私は抗って這い上がる!

 そうでしょうイッセー?

 

 

「俺には興味は無く、あるのはそこのちっぽけな人間……そういう事かリアス?」

 

 

 曰く『迎えに来た』と宣うソロモン72柱フェニックス家三男のライザーフェニックスが、呼び出しておいたイッセーに視線を向けつつ私に問いかけて来るので、私はハッキリと頷き……そしてイッセーの隣に立つ。

 

 

「そうよ……彼は人間。アナタが見下す人間かもしれない。

けれど彼は誰よりも心を折らない。どんな相手と対峙しようとも、どん底に突き落とされても決して心を折り曲げず必ず這い上がり、そして甦る」

 

 

 だから私は彼に惹かれた。

 ちょっと罰の悪そうな顔をするイッセーの肩に手を置いて言うと、ライザーは目を細め、蛇渇の如くイッセーを嫌っているセーヤが予想の通り露骨に顔を歪ませ、小猫、朱乃、祐人は驚いているという視線を私に向けていた。

 フッ、それもそうね……。

 此処まで私がイッセーに入れ込んでいると皆の前で言うのは初めてだもの。

 そりゃあ驚くわ……フフ……中立の立場となってるグレイフィアは無表情だけど。

 

 

「心を折らないだと? だからどうした? 折ろうが折らないが雑魚は雑魚だろ? ミラ」

 

 

 私が拒絶しているのは理解した様子だが、それでも私が人間であるイッセーを選んだ事にな納得してないようで、後ろに控えさせていた自身の眷属の名を呼び出すと、そのまま手で合図をしている。

 あの人間を黙らせろ……恐らくそういう意味の合図だったのだろう、ライザーのサインを見て頷いたミラと呼ばれた眷属が棒立ちしている様に見せているイッセーへ肉薄すると、彼の腹部に一撃を入れる。

 端から見れば人間(イッセー)では捉えられないスピードで殴り飛ばした……と誰もが――いえ、セーヤは違うのかしら?

 とにかくライザーも眷属達もそう思ってるようだがそれは違う。

 

 

「…………」

 

「これが現実だよリアス。お前は純血悪魔でアレは単なる人間。

お前の言う折れない心とやらを持っていようとも、所詮は俺の持つ下僕の……それも一番弱いコイツに軽く殴られて気絶するような脆い存在でしかないのさ」

 

 

 備品を盛大に破壊しながらひっくり返ってるイッセーにふんと鼻を鳴らした後、私に視線を移して人間を見下してる癖にわかったような事を気取った顔して語るライザーが、褒美のつもりかミラと呼ばれた眷属の頭を撫でている。

 しかし私はどうとも思わない。

 何故ならイッセーは…………。

 

 

「やはり凄いな……」

 

 

 ライザーの眷属のパンチが蚊になるレベルの人外である彼女の一人弟子よ。

 お仕置きですら命取りになりかねない彼女の扱きを12年以上も耐えて共に居たのだ……今更下僕悪魔の攻撃も彼には通用しないわ。

 第一、ライザーやその眷属達、そして私の眷属達が驚いた顔をしているところ悪いけど、今の攻撃だってイッセーは捌く事が出来たのよ?

 避けなかったのは『今回は嘘まで相手に吐いてしまってるからな……相手の怒りは出来る限り受け止めるつもりだ』と呆れた事を言ってたからだ。

 

 

「うむ、凄い。

殴られた時に踏み止まるつもりだったが見事に吹っ飛ばされたぜ。

っと、済まんなリアスと部員の皆。壊してしまった部室の備品は後で弁償させて貰う」

 

 

 コキンと首を鳴らしながら、全くのダメージを受けた様子を見せないで私の隣に近付くイッセーを、その場に居る全員が注目している。

 

 

「おいおいミラ。手加減しすぎだ」

 

「い、いえ……ちゃんと気絶する程度にはしたつもりですが……」

 

「ならば今度は半殺し程度にしろ」

 

「は、はい!」

 

 

 沈黙した空気を誤魔化す様に再びライザーに言われたミラと呼ばれる眷属が、ちょっとニタニタし始めたイッセーを鋭い眼光で見据えて前傾姿勢になる。

 恐らく今度はライザーの言った通りに半殺し程度の力で殴ろうとするのだろうが……その前に。

 

 

「イッセー。備品をこれ以上壊されたくないから、出来ればその場で耐えて欲しいのだけど……」

 

 

 弱いと思うなら勝手に思ってくれても構わない。

 イッセーも安心院なじみもそんな態度だから、初見は大体嘗められる。

 ならば一度、イッセーが彼女の弟子たる所以の強さを知ってもらうべきだし、そうすればライザーも多少は納得するかもしれない……そう考えた私は段々とワクワクし始めた顔をするイッセーに、攻撃をその場で耐えてくれとお願いする。

 するとイッセーは、隠しきれていない笑みを浮かべたまま前傾姿勢になってこちらを睨むミラって子に身体と顔を向けたまま視線を私に向けて一つ頷き……。

 

 

「フッフッフッ……わか――」

 

「てや!!」

 

 

 返事の声を聞かせてくれた……のと同時に掛け声と共に先程よりも力強い一撃を込められてると感じるミラって子の拳が再びイッセーの鳩尾辺りにめり込んだ。

 ライザーもその眷属達も、この鈍い一撃をモロに食らったのだから内臓破裂と共に今度は2度と立ち上がれずに吹っ飛ばされるだろうと笑みを浮かべていたが……ふふ。

 

「……ったぞリアス」

 

 

 その笑みが今度こそ驚愕に変わるのは間違いないのよ。

 だって、特に踏ん張ったって様子もなく棒立ちのままそれなりに力を込めたミラって子の一撃をその場を動かずに耐えきったのだから。

 

 

「う、嘘……? 確実に内臓を破壊する一撃だったのに……」

 

 

 ミラって子が、大木の様に動じなかったイッセーを見て少しだけ震えており、それに気付いたイッセーが笑みを浮かべながら懐から扇子を取り出して広げて口元を隠す。

 

 

「うむ、貴様の一撃は大したものだったぞ。

しかし、俺も俺で結構鍛えてたからな。何とか耐えられたのさ」

 

「な……な……!」

 

 

 事も無さげに言い切るイッセーの口元が嬉しそうに緩んでいるのが、横で見ている私には見えた。

 ホント、向かってくる相手を好むわよねぇ……男女問わずに。

 

 

「どういう事だ……確かにミラの一撃は喰らった筈だが。

まさか神器――」

 

「持ってないわよイッセーは。持ってるのは双子の兄で私の兵士であるセーヤよ」

 

「なら……何故この小僧は耐えている? 確かにミラは俺の下僕の中でも一番弱いがそれでも」

 

 

 理解不能。

 そんな顔をしながら私とイッセーの双方を交互に見ながら疑問をぶつけてくるライザーに私は、この際だからと私の眷属達にもハッキリと教えるように只一言こう言った。

 

 

「彼は兵藤一誠……。努力の先にある結果を得て快感を覚えるあまり、うっかり登り詰めてしまった人間であり……人外。

そして――」

 

 

 私が最も惹かれる男の子……。

 そうハッキリと宣言した私を見て、全員が言葉を失ったのかシーンとしてしまう。

 嘘でも何でもない……只本気と書いてマジな本音。

 

「もう一度言うわライザー。

家を勘当されても構いやしないし、そうなっても眷属達は絶対に路頭にも迷わせないつもり。

だから私はアナタとは絶対に結婚しない」

 

 

 覚悟はある。

 自由を手にする代償がその程度なら安いし、そもそも安心院なじみに対してお兄様がえらい執着心を持ってて、半浮気状態になってるのだからお兄様が私の事を言える立場じゃないのよね。

 だから、勘当された日には目一杯に当て付けでその事を言ってやるつもりだ。

 後は私の眷属の本音がどうかだけど……。

 

 

「ふっ、良いでしょう。

急激な成長の理由は何と無く察する事が出来ましたし、そこまで覚悟がおありなら私は付いて行きますわ。

私はアナタの女王ですから」

 

「同然僕も同じです。眷属になった経緯はアレでしたが、今の僕の王は間違いなく貴女ですからね」

 

「同じく……」

 

「………」

 

 

 聞くまでも無いわね。

 無言のセーヤが気になるけど、これで何時でも勘当される準備はそこからの生活資金云々含めて全て出来たわ。

 ふふ……イッセーと親しくなかったら此処までの覚悟は出来なかったわね……。

 

 

「…………。そうか、そこまで嫌か」

 

「ええ、嫌よ」

 

 

 ライザーの問いに念押しで断りの言葉を送り付ける。

 するとライザーは大きく溜め息を吐きながらソファに背を預けて天井を見上げ始め、ゆっくりと語る様に口を開く。

 

 

「確かに純血悪魔を絶やさない為にという理由で結婚したって納得する訳が無いのは分かってた。

正直俺だって父と母に命じられなかったら好きな女と添い遂げるつもりだった。

しかし、俺はライザー・フェニックス。フェニックス家を背負ってる立場だ。

己の私情と我ら悪魔の繁栄のどちらと問われたら悪魔の繁栄と答えるしかない……」

 

 

 さっきまでの威圧的な態度が消え失せ、何処か投げ槍な雰囲気を感じるライザーの言葉に、少しだけ私は驚いた。

 チャラケタ態度と見た目で誤魔化されたが、それなりに彼も彼で思う所があったのかと……。

 そしてふと後ろでさっきから一言も発してないセーヤを見てみると、ライザーを見ながら何処か引っ掛かりを覚えてるって表情を浮かべていた。

 

 

(どういう事だ……? 俺は……どういう訳かこんな展開では無いと思ってる……ライザー・フェニックスを初めて見るのに……)

 

 セーヤはライザーを見るのは初めての筈だし、そんな顔をする意味は良く分からない。

 だがしかし、今はセーヤよりもライザーがどう動くかなのだ。

 

 

「俺の両親とキミの両親が既に話を付け、今更無かった事にするのは難しい。

が、勘当されても構わないという『覚悟』まで決めるとはな……」

 

「………」

 

「…………」

 

 

 独白する様な喋り口調のライザーの雰囲気が変わっているのは私も眷属達も感じており、だから扇子で隠していたイッセーの口元が異様なまでに歪んだ笑みに変貌していた事も天井を見上げたまま動かないライザーを見ていた事で気付かなかった。

 私も朱乃も、祐人も小猫もグレイフィアも、静かすぎる雰囲気を纏うライザーがどう出てくるかと警戒にも似た気持ちになっていた時………それは突然と『現れた』

 

 

「良いだろう……」

 

『っ!?』

 

 

 たった一言……只の一言がそれまでの静寂な空気をガラリと変化させた。

 天井を見上げたまま、それだけをライザーが口にした途端、その場に居た全ての者達の身体に強烈な重圧感が襲い掛かる。

 

 

(な、なに!? 上から何かに押さえ付けらたかの様似たら動けない……!?)

 

 

 敢えて言うなら、絶対的な存在を前にしてその場に固まってしまったというべきなのか、私と私の眷属達、そしてまさかのグレイフィアまでもが全身から嫌な汗を吹き出しながら床に膝を付いて動けなくなり、声すらも出せなくなった。

 

 

「ほう? お前は立ったまま……という事はやはりそうなのか。

よもや人間だと鷹を括ってたお前が『そう』だったとはな……見誤ってたぞ」

 

 

 只一人の例外、イッセーだけがソファに座っているライザーを立って見下ろしていた。

 

 

「………………」

 

 

 口元を隠すために使っていた扇子を閉じ、そこから見えた笑みをライザーに向けて。

 その笑みを見たライザーは、一人『ふむ』と納得した顔を浮かばせながらソファから立ち上がると、更に強く……イッセーを思わせる強烈な存在感と、イッセーには無い重圧感を放ち、膝を付いて動けない私達を一瞥し、それから既に見たことの無い獰猛な笑みを見せて立っていたイッセーに視線を向ける。

 

 

「ならばライザー・フェニックスとしての振る舞いは終わりにし、コイツら眷属の王である俺として此処からは振る舞わせて貰おうか……。

それが望みなんだろ、人間でありながら俺の同類よ?」

 

 

 ライザーが何を言っているのか……恐らく私とグレイフィア以外には分からないだろう。

 いや、それ以前に私と恐らくグレイフィアも驚いている。

 何せ今のライザーから感じ取れるこの感覚は……。

 

 

「クク……ふっははは! やはりそうか……なじみが一切口出ししてこなかった理由がわかったぜ……!」

 

 

 ニィ~っと笑みを深めて茶髪の髪を真っ赤に変色させている今のイッセーから感じ取れる感覚にソックリだったからだ。

 

 

ライザー・フェニックス

 所属・ソロモン72柱フェニックス家三男

 

 

 

 

 

 

 

 

備考……同類の男

 

 

 

(声が……出せない……! まるで、魔王様を目の前にしているかのように……空気が重苦しい……!)

 

 

 周りから抱かれていたイメージとは全く違う。

 雰囲気も気質も何もかもが、獲物を狙う鷹の様に瞳孔を開かせているイッセーと向き合っているライザーと合致出来ず、寧ろこの圧倒的な重圧感は魔王と錯覚してしまうぐらいだった。

 

 

「小僧の名は兵藤一誠だったか……。

ふっ、その気質に免じて覚えておこう」

 

「あぁ、実に光栄だよライザー・フェニックス」

 

 

 既に私達には目もくれず、イッセーの持つ異常性を感知したのか、ライザーは薄く笑みを浮かべると……それまで部室を支配してた重苦しい重圧感が綺麗サッパリと消える。

 

 

「ったく、義理のつもりでリアスとの婚約を黙認してたのに思いっきりフラれるし……俺と同類を見付けてしまってついつい素になっちまったし。

あーぁ、眷属と妹以外には隠してたのによー」

 

 

 そして、『何時もの』ライザーに性格が戻ったのか、ポリポリと後頭部を掻きながらめんどくさそうに愚痴っていた。

 

 

「ラ、ライザー……」

 

「んーなんだ? 今更惚れ直した?」

 

「それは無いわよ……!」

 

 

 何時もの知る気取った口調の減らず口を叩くライザーに、私はどうすれば良いのか分からなくなった。

 あの重苦しさがそのまま実力に移行するのなら、私は確実に逃げられないのだから。

 でも、ライザーは『何時もみたいな』ヘラヘラと気安い態度でこう言ってきたのだ。

 

 

「そこの人間――兵藤を好いた理由は分かったし、納得はしてやったが此処まで話を膨らませてしまった状態でそのまま何事もなくオジャンにする事も時間が掛かる。

でもお前は俺と結婚したくない。

だから、そこに居られる『最強の女王』が今から何か提案する……………だろ?」

 

「っ……!?」

 

 

 見破られてる。

 ニヤリと笑ったライザーの言葉に私はゾクリとしたものが背中を駆け巡らせながら、重圧感から解放されて動ける様になってたグレイフィアに目線を送る。

 

 

「……。ライザー様の仰る通りですわ。

双方の話が拗れた場合、『レーティングゲーム』の勝敗でお決めになられたらとサーゼクス様は仰っておりました」

 

 

 ライザーからの威圧から早くも回復し、何時もの様に抑揚の無い声で部屋に居る者達全員に聞かせたグレイフィアに、ライザーはフムと顎に手を添えている。

 

 

「レーティングゲームね……。そんな面倒な事をせずとも、結婚しないと『直接』魔王に直談判すれば良い話だと思うんだがな……」

 

「なっ……アナタそれって……」

 

 

 事もなさげに、一応は魔王をやってる兄の女王であるグレイフィアを前にしてハッキリと言い切るライザーは、先程の雰囲気をバラしたせいなのか、チャラケタ感じてはあるものの、所々あの異常性を感じさせる側面を見せる。

 

 

「…………」

 

「ふっ、なんてな。俺ごとき1悪魔が魔王様にそんな畏れ多い真似は出来んよ。

良いでしょう、リアスが受けるのならそれで決着をつけましょう。ただし――」

 

 

 さも自分は弱小ですと卑下する言い方だが、さっきの雰囲気のライザーならやりかねない……私は何と無くそう思いながら、グレイフィアから私……そして私の眷属達へと視線を移しながら、最後にいつの間にか髪の色が元に戻っていたイッセーを見詰めてニヤリと笑うと……。

 

 

「兵藤一誠……お前が参加する事が条件だ」

 

「え!?」

 

「なっ!?」

 

 

 

 

「む?」

 

 

 ライザーは眷属でも何でもない、イッセーを参加させる事を条件に出してきた。

 その提案に私と……それまで口出しできずにいたって様子のセーヤは思わず驚き、指名されたイッセーはキョトンとした顔になっていた。

 その理由は謂わずもながら、イッセーとライザーの中身の類似性に関係もあるが、私自身の力不足もあった。

 

 

「リアスよ。お前は眷属がフルじゃないだろ? 見る限りじゃ兵藤一誠以外にこの場に居るソイツ等……まあ、隠しで一人くらい居るんだろうが、それでも足りん。

どうせゲーム自体はリアスの年齢を考えれば非公式となる筈だし、人間の一人二人が参加しても文句なんて言われんさ…………並みの悪魔の上を行ってるだろう兵藤なら尚更な」

 

「……。それは自信の現れって奴かしら? 確かに現状の私達にだけだと勝てないけど……」

 

「それも多少はあるが、それ以上に兵藤の見せる『可能性』を見てみたいのさ」

 

「…………」

 

 

 同類と会うなんてこの先あるかもわからんしな……と小さく締めたライザーに、私は無言でイッセーを見てみると、イッセーは小さく目を閉じながら口を開く。

 

 

「……。貴様に勝利することが出来たら、リアスは自由になれるのか?」

 

 

 ……。この期に及んで私の自由の心配をしてくれるイッセーに嬉しく思いつつも、それが自分の力量不足を実感させられてしまうのもまた事実だった。

 

 

「あぁ、正直揉み消すだけなら無条件でやっても良かったが、ああまで啖呵を切られて黙って引き下がるなんてのは男が廃る。

だからお前達が勝てば、正真正銘婚約は破棄。

俺が勝てばリアスとはこのまま婚約……」

 

 

 そして……とライザーはそこで一旦言葉を切ってから、静かに佇むイッセーに指を差し――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兵藤一誠。お前は俺の妹の婚約者になって貰おうか?」

 

「よかろう。ならこの勝負、全力で―――――――――――――――は?」

 

『へ?』

 

 

 何でそうなるのか、一から千まで説明してもらわなくても納得できない提示を半笑いな顔で宣ったのだ。

 イッセーも途中までカッコ良く受けようとしてたのが、一気にポカンとした顔になってしまってし、それは横で私達もグレイフィアもだ。

 

 

「何だそれは? 何でそうなる?」

 

 

 若干困惑してしまってるイッセーの質問は当然だ。

 というか、イッセーはさっきまでライザーが見下してた人間だし……そもそも……。

 

 

「ふ、ふ、ふざけてるの!? 何で会ったことも無いアナタの妹とイッセーがっ……!」

 

 

 そんなもん私が許すはずが無い。

 というか安心院なじみが……聞いてるかもしれないけどこの場に居たらとんでも無いことになるわよ。

 しかしライザーはどうやら安心院なじみを『知らない』のか、フッフッフッと笑いながら言うのだ。

 

 

「なに、簡単な話だ。

俺と同類だぞ? 悪魔じゃ今まで居なかった俺の同類だぞ?

フッ……そんなもん此方側に引き込まない手は無いだろう?

おう兵藤よ。自慢じゃあ無いが、妹は中々良い女だぞ? お前みたいな…………英雄気質というべきか? そういうタイプは妹のドストライクだし、お前自身も顔は悪くない。

恐らくだが顔合わせしたら一目惚れしてくれると思うぞ? どうだ、悪くない話だろ? 何なら俺がリアスとの婚約を破棄する代わりでも――」

 

「駄目よ! 絶対駄目!!」

 

「え、あ……? うん?」

 

 

 やっぱり勝とう。

 いや、勝たなければならない理由ができた。

 負けて私だけがというのならわかるけど、そんな……目の前で何処の馬の骨とも分からないライザーの妹がって……………無いわ! いや、というか安心院なじみが世界をポン消しするわ! それを避けるって意味でも負けられないわ!




補足
焼き鳥と言わせると思った? 普通にボスキャラです!

現時点での一誠の格上くらい出ても良いじゃない的な?


補足2
ライザーさんはペラペラ語ってましたが、実は妹さんはミラさん達眷属達に隠れて見てます。
ちなみに感想は…………。


「え、嘘……なんでそんな事に?」

ってなり……。

「でも、お兄様の素の威圧感に物怖じしなかったし…………どうなんでしょう」


となってます。


補足3

一誠は安心院さんに教えられた影響で、乱神モードと改神モードと廃神モードが使用可能。
乱神モードは体内のリミッターを外してただ戦うモード。
改神モードはそれに加えて相手の特徴を真似て完成させるモード。
廃神モードは改神の逆モード。



そして、オリジナルの矛神モードは、異常・無神臓のスキル性能をフル状態に押し上げ、まるで本来持つべき力であった赤龍帝の如く全ての力が『無限』押し上げられ、際限無く進化し続けるモードだが、このモードだけは条件が揃わないと発動が出来ない。

その条件は……。

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