色々なIF集   作:超人類DX

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グダグダだぜ!
つーかグダグダだぜ!

ちょっと書き直したけどやっぱしグダグダだったぜ。
ちょっと兄貴がア○バ化しちゃってるけどやっぱりグダグダだった……。

もうこれで加筆は止めます。


その後のその後のその後……からの始まりかもしれない話

「嘘をつくのが苦手な様ですね」

 

「………。下準備無しじゃやはりバレるか」

 

 

 嘘って難しい。

 結局あのメイド悪魔にゃ一発で俺の言った事が嘘だとバレてしまった。

 

 

「成る程……物怖じしない態度と膝付きたくなる雰囲気(オーラ)

間違いないですわね」

 

「?」

 

 

 しかしながら、嘘でも最低な事を口にした俺に対して、怒った様子を見せないメイド悪魔は、何やら俺を見て納得する素振りを見せる。

 

 

「突然のご訪問をお許しください、兵藤一誠様。

私はグレイフィア……グレモリー家のメイド長を勤めさせて頂いてます」

 

「む?」

 

「グレイフィア?」

 

 

 そして突然、俺の眼前までやって来て頭を下げ始めるメイド悪魔に、俺とリアスはほんの少しだけ面を喰らい、今言ってた言葉の意味を考えようとする前に、メイド悪魔が続けざまに発した言葉で全てを察した。

 

 

安心院(あんしんいん)さんが以前自慢気に語っていた弟子……それが兵藤様なのはこの目で見て確信しましたわ。

リアスお嬢様のご友人としても含め、無礼をお許しください」

 

「え、え?」

 

「貴様……」

 

 

 俺以外に対してなじみが呼ばせようとする名前……安心院(あんしんいん)さんとハッキリ言ったメイド悪魔に、リアスは驚きのあまり目を丸くさせ、俺はこの時点でメイド悪魔が『只の悪魔』では無いと確信する。

 

 

「なじみを知るのはあまり居ないのだが……」

 

「ええ、周囲でも彼女を知るのは我が主である『サーゼクス・ルシファー様』だけですわね」

 

「お、お兄様が?」

 

「はい……。

リアスお嬢様はつい最近彼女を知った様ですが、サーゼクス様は幼少の頃より彼女と知り合い、そこから…………………」

 

 

 スラスラと答えるメイド悪魔だが、リアスの兄らしき人物、サーゼクス・ルシファーとやらを話に出した時のメイド悪魔の顔付きというか雰囲気が少々鋭いものになっているのは何でだろうか。

 

 

「なじみの知り合いか……」

 

 

 自慢気に俺の事を語ってたって……なんだかくすぐったいな。

 

 

「なるほど。しかしその……なんだ……貴様とリアスの兄とやらがなじみの知り合いなのは分かったが、リアス個人の『婚約』とやらの話しとは無関係だろう?

察するに貴様はどうやらリアスを連れ戻しに来たと見るが、本人は嫌がってる様だぞ……?」

 

「そ、そうよ。私は嫌よ! 帰らない!」

 

 

 婚約……俺にはまるで想像が出来ん話であるが、リアスは真面目に嫌なのか、俺の腕に抱きつきながらメイド悪魔に拒絶の言葉を投げ付けている……………あれ、何で俺は女性に触れてるのに拒絶してないんだ? まあ良いか、それはまた後だ。

 今は嘘も見破られてしまったこの状況をどうにか――

 

 

「分かりました。

では兵藤様の言った『リアスお嬢様と肉体関係を持っていた』という事にして、今晩はこのまま引き下がりましょう。

サーゼクス様、そして婚約者のライザー様にそう伝えておきます」

 

「「は?」」

 

 

 しようと思ったら、俺が言った苦し紛れの嘘を嘘だと見抜いた上で了承してきた。

  あれ、これってマズいのでは……。

 

 

「ちょっと待ってくれ。俺が嘘吐いたのは貴様だって分かってるだろ?」

 

「ええ」

 

「じゃ、じゃあ何で……」

 

 

 『そりゃそういう関係になりたいけど……』とメイド悪魔の意図が読めずに訪ねながら続けて小さく呟くリアスに、何とも言えない微妙な気分になりながら、表情が読めないメイド悪魔をジーっと見る。

 そして、嘘を付くとロクな目に合いそうも無い……俺はこの時程そう思わされる事は無かった。メイド悪魔が溜め息混じりで口にした言葉を聞いた時にな。

 

 

「実の所、サーゼクス様は……チッ……安心院さんに対して個人的に気持ち悪いと感じるレベルの執着心を持ってます。

それで先程グレモリー宅に安心院さんが来て、久々にサーゼクス様と……チッ……お会いになった際、兵藤様の事を偉く自慢する話をしたのです……」

 

「「……」」

 

 

 メイドとしてでは無く、グレイフィアという1悪魔としての気持ちが見え隠れする、若干の悪態混じりの説明に俺とリアスは……特にリアスは驚いた表情を見せていた。

 恐らく、普段から物静かで礼儀正しい態度しか見てなく、舌打ちまでするメイド悪魔は初めて見た……といった所か。

 まあ、別にどんな態度になろうと俺は気にしないし、取り敢えずそのサーゼクスとやらとなじみの関係が気になるので、リアスと並んで正座して黙って聞いていると、メイド悪魔は語り始めた。

 

 

 

 

 

 

 冥界……グレモリー領。

 そこには超越者と言われ、強力な力を持った魔王が居る。

 それがリアスの兄であるサーゼクス・ルシファーなのだが、サーゼクスは自身が強い存在だと思っても無ければ、超越者と言われている事に対してもどうでも良いと思っている。

 それはかつて……まだまだひょっ子の子供の頃に出会い、そして知った本当の人外である彼女の存在があったからだ。

 

 

「やあ、グレモリー君。元気してた?」

 

 

 その名は安心院なじみ。

 7932兆1354億4152万3222個の異常性と、4925兆9165億2611万643個の過負荷。

 合わせて1京2858兆519億6763万3865個…………というこの世の生物の総数すら遥かに上回る数の様々なスキルを持つ人外は、何時でも何処でも自由に様々な場所へと一瞬で移動できるスキルも当然持っている為、グレモリー城の警備を掻い潜るのは、お茶汲みするよりも簡単に出来るので、こうして驚くサーゼクスの元へとやってくるのも朝飯前なのだ。

 

 

「あ、あ、安心院さん!!」

 

 

 ニコニコと実に魅力的な笑顔と声で、現れたなじみを目にした瞬間、サーゼクスはびっくりする程のスピードでサーゼクスの自室に置いてあった机に腰掛けて笑ってるなじみの足下で膝を付く。

 お分かりの通り、サーゼクスは出会ったその日から安心院なじみに恋をしていたのだ。

 

 

「お久しぶりです安心院さん。

言ってくれれば精一杯の持て成しを――」

 

「そんなもんは要らんさ。僕が勝手に来ただけだし」

 

 

 膝まである茶寄りの黒髪と学生服。

 それは幼少の頃に見た時とまるで変わっておらず、サーゼクスは自然と頬を赤く染めながら、笑みを浮かべているなじみ――――と、時々太股辺りをチラチラと見る。

 

 

「最後に会った時と変わりませんね……いやホント」

 

「見た目はそうかもだけど、中身は随分と変わったけどね……僕の最初で最後の弟子のせいかな」

 

 

 短いスカートから覗く白くて実に柔らかそうな太股をチラチラと見てくるサーゼクスに対して特に何も言うでも無く、変わらないと口にしてきたのを訂正するために、自身のバックアップであり全てをつぎ込んで育て上げている弟子――つまり一誠の事を口に出した途端、サーゼクスの顔付きが変化する。

 

 

「弟子……ですか?」

 

「うん、僕の大事な大事な一人弟子。

イレギュラーのせいでどん底に落とされ、そこから這い上がって僕の写し鏡になりつつある、最初で最後の弟子であり……僕が愛する子」

 

「!?」

 

 

 ちょっと頬を赤く染めながら、安心院なじみとしては信じられない言葉の数々を聞かされたサーゼクスは、驚きよりもショックの方が大きかった。

 何せ、実に嬉しそうに誰かを思いながらハッキリと愛する子だと言っているのだ。

 驚きとショックの半々がサーゼクスの心を支配していくが、徐々にその気持ちはある形へと変貌していく。

 

 

「実にアナタにそこまで言わせるその人が羨ましい……。

久々に誰かを殺してやりたいと思うほどに……!」

 

 

 嫉妬。

 何処の馬の骨ともわからん奴が彼女にそこまで言わせる……妻も子も居るが、それでも忘れられないサーゼクスはその弟子とやらに対して濃厚な殺気を放っている。

 しかし、なじみはと言えば、実に迷惑そうな顔をしながらサーゼクスを見下ろしている。

 

 

「別に僕が誰に愛情を持とうとキミには関係が無いだろう? 相変わらずメンドクセー小僧だ。

あ、そうだ……そういえばキミの妹だったね……リアス・グレモリーさんは?」

 

「っ……リアスが何か?」

 

「いや別に? 僕の弟子に最近ちょっかい出してるみたいでね……あ、別に怒ってる訳じゃないよ。

彼女を見てキミの存在を思い出して気分で会いに来てみただけだもん。

まあ、なんつーかさすが兄妹は似るもんだねというのが僕の感想だけど」

 

「…………。そうだったんですか……リアスが……」

 

 

 クスクスと笑いながら話すなじみに、サーゼクスは膝を付いたまま考える。

 なじみの言う弟子とやらはどうやら人間であり、リアスの近くに居る。

 そしてリアスは何を思ったのかその人間に対して想いを持っている。

 ライザー・フェニックスとの婚約が決定してしまった今となっては叶わぬ想いなのに……………と、此処でサーゼクスはピーンと閃いた。

 あれ? 安心院さんの弟子って事はそこら辺の連中の上を歩く存在じゃね? てことは、婚約を嫌がってるリアスにあのゲームを持ち掛け、上手くその弟子を参加させる事が出来たらリアスの婚約話をぶち壊せるし、うまーく行けばリアスとくっつけるかも………。

 そしたら――と、サーゼクスの脳内にこんなビジョンが浮かぶ。

 

 

 ~素敵な魔王様の素敵な未来~

 

 

『あーぁ、僕の弟子が寝取られちゃったよ……』

 

『それなら僕が彼の代わりに……』

 

『えー? ………………。ま、良いか。失恋でどうでも良くなってるし……』

 

 

 

 こうしてなあなあで寝室に入っていった人外と魔王は、最強で無敵な後継者を得ることに成功しました。

 めでたしめでたし……。

 

 

 …………。

 

 

 

「おっと、そろそろかーえろ。それじゃあねグレモリー君。

あんまり奥さんと子供を泣かせる真似はしない方が良いぜ?」

 

「あ、はい」

 

 

 そう言って姿を消したなじみに、サーゼクスは上の空気味な返事だった。

 そしてまた一人となった自室で、彼は急にケタケタと笑う。

 

 

「弟子? 弟子だと?? クックックッ! ふざけるなよ……僕が相手にもされてないのに、弟子だなんて許せる筈がない。

そうだよ、リアスがその弟子とやらを想ってるのならそのままくっ付けてしまえば良いんだよ。

そうしたら僕は―――――グレイフィア!」

 

 

 

 少しだけ狂気を孕む笑みを浮かべながら、自身の妻であり右腕でもあるグレイフィアを呼び寄せるサーゼクスは、そのまま、ほぼ本能的の考え無し状態で命じた。

 全てはあの時からの願いを叶える為に……。

 

 

 

 

 

 

「……と、いうのが事の顛末ですわ」

 

「「………………」」

 

 

 自分の主兼夫でもあるのに、どうにも他人事みたいに語ったメイド悪魔は、取り敢えずと俺が出したお茶を飲んでホッと一息してる。

 そんで聞いていた俺とリアスは、ただただ呆然としており、特にリアスは兄がなじみに向けていた執着心に中々なショックを受けていた。

 

 

「さ、最低よ……。グレイフィアは何とも思わないの?」

 

「まあ初めから知っていた事ですので」

 

「知ってたって……それじゃあミリキャスがあんまりにも浮かばれないわよ……」

 

「ミリキャス?」

 

 

 兄に対しての失望。

 そして大事な可愛い甥っ子がそうとも知らされずに居ると思うと同情しか出来ないと思うリアスに、俺は初めて聞く名前に首をかしげる。

 

 

「ミリキャス。

お兄様とグレイフィアの子供で私の甥っ子よ。

まだ小さいのに……ハァ」

 

「なるほど……というか、うむ……なじみはフラなかったのか?」

 

「振ったらしいですが、全く聞いちゃいなかったぜ……らしいです」

 

 

 子も奥さんも居るのに、なじみを諦めて無い。

 しかも嫌だと断られてるにも拘わらず……か。

 なんだろうな……リアスの婚約といい、どうにも悪魔とやらはアレな気がしてならん。

 アレというのは敢えて言わんけど……。

 

 

「話を元に戻しますと、婚約話を消したければ兵藤様と関係を持ってると装って断るという事ですね」

 

「俺めっちゃ悪役じゃん……。別に善人気取るつもり無いから良いと言えば良いが……」

 

「仮にそういう流れに持っていってもライザーが納得するかしら?」

 

「しないでしょうね。恐らく兵藤様を殺そうとするかと……」

 

 

 あら、殺されるのか俺……。

 いや殺されるつもりは無いけどね。

 …………。まさかとは思うが、俺が消えるのが本当の目的じゃ無いだろうか。

 

 

「俺は別にリアスが困ってて助けになるのなら、それでも構わん。

しかし、向こうが殺しに掛かって来た場合は全力で抵抗するが」

 

「構いません、そうなる前に私が止めますから」

 

「い、良いのイッセー? 私が勝手に持ち込んどいて何だけど、元々関係ないのよ?」

 

「ふ、構わん。友の困りごとなら無条件で何とかしてやりたくなる……それが友達なんだからな」

 

 

 その為なら悪役にされても構わない。

 本当に数少ない友が困ってるのなら、悪だの善だのは些細でくだらん出来事だ。

 具体的に出来ることは限られるが、話を纏めて終えた後にリアスとメイド悪魔には帰って貰い、俺は相手の反応を只待つのみに徹する方向に決めてさっさと寝た。

 

 

 そして次の日の朝食で、レイナーレとアーシア……なじみにその事を話してみると、色々な反応を頂けた。

 

 

「何でアンタがそんな真似をしなくちゃならないのよ?

馬鹿じゃないの?」

 

「私もそう思います……」

 

 

 と、レイナーレとアーシアに言われ。

 

 

「うーん、いい加減消しとくべきかもなあの小僧は。

でもルキフグスさんとミリキャス君に悪いしなぁ……」

 

 

 誰にでも分け隔てなく接するあのなじみが、若干ウザそうに言ってた。

 しかし気になるのは、サーゼクスとやらなじみに対して持つ執着心とやらだ。

 

 

「お前、リアスの兄に何かしたのか?」

 

「いーやしてないよ。

只偶然彼が子供の頃に会って、只普通に話をしただけ」

 

 

 気にはなるので聞いてみるも、大した答えは貰えなかった。

 只話をしただけでそんな感情を向けられるとは思えんが、なじみが身に覚えが無いと言うのだから考えても無駄だろう。

 

 

「話をしたから惚れられたんじゃないの? いっそのこと受け入れてあげれば良いじゃない」

 

 

 なじみに若干の笑みを向けて言い放つのは、天野夕麻の姿では無く大人っぽい容姿……つまり本来の姿であるレイナーレ。

 本来の姿だと真面目に大人っぽい……まあそれでも学生と言い張ればどうにでもなる容姿なのだが、如何せん目付きが鋭いもんだから(その事を言ったら『生まれつきよ!』と思いっきり怒られた)若干幼い姿に変装させたという裏話があるが、今はあんまり関係なく、本来の姿のレイナーレの何でか知らないけど挑発的な物言いに、なじみは怒る様子は無く、逆にフッと馬鹿馬鹿しいとばかりな表情を見せる。

 

 

「嫌だね。

平等主義を唱ってる僕だけど、抱かれても良い男とそうじゃ無いという好き嫌いはあるんだぜ?」

 

 

 『つまり、あの小僧相手にそんな気分にはならないよん』――そう言い切るなじみ。

 見た事も話した事もないけど、ちょっとだけサーゼクスって魔王が可哀想に思えるハッキリし過ぎな一言に、アーシアは何処にそんな要素があったのか目をキラキラさせ、レイナーレはつまらそうな顔で『あっそ』とだけ言って俺に無言で空の湯呑みを寄越す。

 これはお茶のおかわりを意味してるので、俺はハイハイと湯呑みを受け取って淹れ直す。

 

 

「ほら」

 

「ん……さっきと変わらず、まずまずね」

 

 

 で、大体お茶を淹れるとレイナーレの感想はこんなもんだ。

 不味い! と言われるより全然マシだし、何やかんやで人にお茶を淹れるのは好きなので、どんな反応でも嬉しいもんだ。

 

 

「リアス・グレモリーに肩入れするのは勝手だけど、面倒な事に私とアーシアを巻き込まないでよね」

 

「あぁ、分かってるよ」

 

 

 皆がご飯を食べ終えたのを確認し、食器を片付ける作業に入り始めたタイミングで、レイナーレが不機嫌そうに言ってくるのを俺は頷きながら返事をする。

 今回は俺の独断でやった事だからな、レイナーレとアーシアには関係ないのは当然であり巻き込むつもりだって無い。

 自分で撒いた種だ……自分で処理しないだなんて無責任な真似は絶対しない……そう覚悟を入れてう頷く訳だが、何でか知らないけどレイナーレの機嫌は更に悪くなっていく様に見えた。

 何でだ? と内心首を傾げてもレイナーレは答えてくれずに食器を纏めてると、一緒に手伝ってくれてたアーシアが笑みを浮かべながら口を開く。

 

 

「私にお手伝い出来る事があったら何でも言ってくださいね? レイナーレ様も本当はイッセーさんのお役に立ちたい筈ですから」

 

 

 とまあ、人懐っこい笑顔を見せながら俺にとって物凄く嬉しい一言をくれた瞬間、レイナーレが口に含んでたとされるお茶を吹き出した。

 その際前に座ってたなじみにかかりそうになってたが、『オイこら、きたねーよ』と言いながらお盆を楯にしたので被害に遭うことは無く、ゲホゲホと噎せたせいで顔が真っ赤になったレイナーレがアーシアと……何故か俺を睨み付けながら怒り始める。

 

 

「ば、馬鹿言わないでよ、アーシアはどうだか知らないけど、私はアンタの手下になったつもりは――」

 

「え、でも最初にイッセーさんの話を聞いてた時、小さな声で『チッ、またリアス・グレモリー? 構う頻度が私より多いじゃない……』と――」

 

「知らない! 私はそんな事言っても無いし思っても無い!」

 

 

 うがー! っと吠えるような声で顔を真っ赤にしながらムキになってアーシアの言った事を否定するレイナーレ。

 どっちの言ってる事が正しいのか……よく分からん、と思ったら正解をくれたのはニヤニヤしてたなじみだった。

 

 

「アーシアちゃんの言ってたのが正解だね。

補足するとだね……『リアス・グレモリーには無条件に優しいのに、不公平よ……』とも――」

 

「あーあー!! 言ってない、言ってないぃぃっ!!」

 

「あ……あぁ?」

 

 

 急に喚き始めるレイナーレは、耳を塞ぎながらテーブルに突っ伏してしまった。

 結局本当なのか、なじみの冗談だったのか……分からずじまいだった。

 

 

「こ、こいつは人間こいつは人間こいつは人間こいつは人間……」

 

「……。変なの」

 

「レイナーレ様も素直になれば良いのに……」

 

「しょうがないよ、相手は以前まで見下してた人間であり、しかも本人に言っちゃってるからな。

イッセーくん相手だと素直にはなれんのさ」

 

 

 ブツブツと突っ伏したまま同じ言葉を繰り返してるレイナーレと、ヒソヒソと何やら話しているアーシアとなじみ。

 ……………。

 

「俺にはよく解らん感情だ。

いや、精神の成長が足りてないだけか……」

 

 

 もしかしたら俺だけ性別が違うからかもしれんが、未熟な俺ではまだまだ彼女たちの気持ちを察する事が出来ないみたいだとちょっと反省した気分になると、突然横に居たなじみがニコリと微笑みを見せながら、こんな事を言ってきた。

 

 

「だったら教えてあげようか? 他の女じゃ絶対満足出来なくなる身体にしてやるぜ?」

 

「は? どういう意味だ?」

 

「どういう意味って……やれやれ、性教育はしなかったせいかそこら辺が餓鬼のまんまだな……つまり――」

 

 

 そう一旦言葉を止めたなじみが俺な耳元に口を近づかせると、小さな声で――――は?

 

 

「……………」

 

「どう? ちなみに僕は未経験」

 

 

 ニヤニヤしながら罰でよく使ってくる太股をスカートを捲ってチラチラ見せてくるなじみ俺は顔を引き吊らせる他無く……。

 

 

「不純異性交遊は駄目だ」

 

 

 目を逸らしながらキッパリと断った。

 決して顔をあげて俺に凄い目付きで睨んでたレイナーレが何故か怖いと感じたからとか、なじみがチラチラとスカートを中身が見えないギリギリのラインまで捲って見せてきたのに対して、変な気恥ずかしさが込み上げてきたとかでは無く、高校生だから駄目なもんは駄目だから断ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 おまけ

 

 兄貴の憂鬱。

 

 

 アーシア・アルジェントと天野夕麻。

 季節外れに転校してきたこの二人は、アイツ……つまり一誠の知り合いのようだが……。

 

 

「何か……あの二人を見ると何か引っ掛かる……」

 

 

 転校してきたばかりだというのに、既にそれなりにクラスへ溶け込んでいる二人を見ていると、何かが引っ掛かって仕方ない。

 でも、それが何なのかは俺には分からないし……。

 

 

「そういや今日はレイ――――夕麻が弁当を作ったのだったな……。

うむうむ……」

 

「ふん、テキトーよ適当。アンタに手間かける理由も無いし味に期待は――」

 

「とか言ってますけど、朝早くに起きて凄い頑張ってましたよ?」

 

「なっ、あ、アーシア! 余計な事は言わないでよ!」

 

「そうか……それならありがたくイタダキマスっと……………ふむ」

 

「な、なによ? 不味いなら捨てても構わないわよ?」

 

「いや……普通に美味いぞ。うむうむ……美味い美味い」

 

「……っ、そ、そう? まあ、そりゃそうよね。

何と言ってもこの私が作ったのよ! 有り難く頂きなさい!」

 

「おう」

 

 

 

「…………チッ」

 

 

 何故だろう、分からないけど一誠が誰かに親しくされているのを見てるとイライラする。

 アイツが小学校を卒業する頃には、俺が全てに置いて上だったのに、簡単に追い抜いたから?

 いや違う……もっと根底の……そう、存在自体が許せないというのか。

 生理的に受け付けられないというべきなのか……アイツを見てると自分のペースが崩される。

 

 

「イッセーって前々からナチュラルにモテるよなー?」

 

「だな。二人とも美少女だし……良いよなぁ」

 

 

 問題児の元浜と松田が三人仲良く昼飯を喰ってる様子を羨ましそうに見詰めているのが見えるが、俺は別にそうは思わない。

 思わないが、モテるモテないという以前にアイツの周りに人が集まるのを見てるとイライラする。

 リアス部長は裏切ってアイツの所に行くようになったし……。

 

 

「……………クソ」

 

 

「ねぇ、イッセー君のお兄さんがまた一人でイラついてるわよ?」

 

「顔は似てるのに怖いわよね……あんまり話とかしたこと無いから余計に」

 

「でも良いわよねぇあの二人。

何かイッセーくんも前々からの知り合いって感じだし……」

 

 

 どいつもこいつもイッセーイッセーイッセーと……。

 

 

「あ、あの……セーヤさんが凄い目付きで私達を見てますけど……」

 

「む? ……。ああ、何時もの事だ。兄貴は俺が物凄く嫌いだからな」

 

「アレで赤龍帝って……。

まあ、今度喧嘩を売って来られても負けないつもりだけど」

 

 

 とある日の昼休みの小話




補足。

マイナスverと同じく、夫婦仲は冷めてます。
まあ、壊滅では無いですけど。

やはり感想を貰うとやる気が出ます。
まさに私にとっての栄養源ですね

兄貴はその内どんでん返しがあります。

こう……前にも言った『メリークリスマス雅○』
的な素敵な女の子に救われます的な意味合いで。

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