色々なIF集   作:超人類DX

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続いてしまった。

取り敢えず整理の方は、要らぬと判断したのは消し、ある程度長いのはシリーズでまとめて――てな具合にしやした。



宇宙人を裏口入学

 結論だけ言えばララは結城家に居候という形に収まった。

 リトと美柑の父親が割りと軽い性格だったお陰も大きいが、一番の理由はやはりリトが何時に無く口数が多くなったからというのが大きいのかもしれない。

 

 幼い頃から妙に達観していて、全く子供らしくなかったからこそ、ララとのやり取りはそれまで見えにくかった息子の感情が見えた気がした。

 故にララを介してリトの感情をもう少し引き出そう……という思惑があったのだ。

 

 

「プリンセスっつーとお姫様か……」

 

『そうデス。これに懲りて少しはララ様を敬って――』

 

「ここは地球だって言っただろ? それに俺はデビなんちゃら星人じゃあ無いんでね。

自星じゃどれだけ偉いかは知らんが敬うなんてクソ食らえだぜ」

 

『こ、この男は……! ララ様! やはりこの男と生活を共にすることは反対デス!』

 

「じゃあ帰れ、喜んで送り出してやるぜ」

 

 

 ちょっと辛辣過ぎる気はあるが……。

 

 

 

 

 

 

 結城リトは正真正銘の童貞ボーイだ。

 そして本来の結城リトは初ボーイでもあり、様々なトラブルで異性との接触が多い。

 しかし結城リトの肉体に憑依した兵藤イッセーはといえば非童貞であり、その相手は後にも先にもリアス・グレモリーただ一人だった。

 

 つまりリアス以外の異性の裸体を見ても動じることはほぼ無いし、ましてやひとつの寝具で共に寝るなどあり得なかった。

 

 まぁつまり何が言いたいのかというと……。

 

 

 

「ねぇリト? 朝起きて部屋から出たらララさんがリトの部屋の前の壁に頭から突っ込んでたんだけど――全裸で」

 

「ああ、4時くらいに外に出て走ろうと思って起きたら、頼みも許可もしてないのに全裸で入り込んでたんだよ。

だから叩き出した」

 

 

 ある意味リアスやかつての仲間以外は男女差別せずの『平等的』な対応なのだ。

 美少女だろうがそれは例外にならず、ララが全裸でベッドに入り込んだ所でまっているのは壁に頭からめり込んでぶらさがってるというオチなのだ。

 

 

「ララさんの行動もアレだけどさ、リトの対応もどうなの?」

 

「じゃあ美柑は特に親しい訳でもないイケメンが全裸でベッドに潜り込んできたらどう思うよ?」

 

「……多分大声出しちゃうと思う」

 

「だろ? つまりそういう事だよ」

 

 

 壁に頭からめり込んでいた所を美柑に救出されたララは全身にシーツを巻いた状態で目を回して気絶しており、そうなった原因であるリトはと言えば全く悪びれもせずテレビで流れている天気予報を見ていた。

 ララが何を思ってリトの眠るベッドに全裸で潜り込んだのかはわからないが、少なくともこの兄に下手な色仕掛けは一切通用しないらしい。

 

 妹ながら初めて知る事が出来た面に、安心と心配が複雑に絡んだ微妙な気持ちを抱いてしまう。

 

 

「う……うー………ん……?」

 

 

 そもそも人を頭から壁にめり込ませる所業自体が凄まじいが、特に外傷もないララも流石宇宙人ともいうべき頑丈さであり、まるで普通に眠りから覚めた感覚で意識を取り戻す。

 

 

「あ、あれー? リトのお部屋じゃない……?」

 

 

 それでも軽く記憶障害にはなっていたらしく、世の男が見ればすぐにでも前屈みになるだろう、計算した訳ではない可愛らしい所作と共に身体を起こしたララがキョロキョロしながらリトの部屋では無い事に首をかしげていた。

 ついでに身体を起こした事で身体を覆っていたシーツが落ちて見事な肢体が露になるが、リトは天気予報を見てるまま一切振り替えることな無く、美柑はどう話し掛けたら良いか若干迷った。

 

 

「お、おはようララさん、ご飯あるけど食べる?」

 

「あ、おはようミカン! ご飯? 食べる食べる!」

 

 

 頬杖つきながら先に食べ終えていたリトが天気予報が終わると共にテレビから新聞に視線を切り替えつつ緑茶を飲む横で、ララは美柑が作った朝食を食べ始める。

 

 

「おいしー♪」

 

 

 どうやらお姫様のララにも美柑の料理は満足のいくものらしく、ニコニコしながら食べている。

 どうも頭でもしこたま打ったせいか、自分がリトに頭から壁にめり込ませされた事は忘れているらしい。

 

 

「ねぇねぇ、今日はどうするの二人とも?」

 

「どうって、このまま学校に行くつもりだけど……」

 

「? ガッコ?」

 

「……………………。学校を知らないのか?」

 

「なにそれ?」

 

 

 今日の予定の話になり、その中に出てきた学校という言葉にララが本気でわからない顔をする。

 どうやら故郷の星に学校が無いらしいので、めんどくさがって説明しないリトに代わって美柑が簡潔に説明をすると、興味でも持ったのか、自分も行きたいと言い出す。

 

 

「私もリトと一緒に行ってみたいなぁ……」

 

「うーん、それはちょっと難しいかも。ほらララさんは宇宙人でしょう? 学校に通うにもきちんとした手続きとか必要だし……」

 

「…………」

 

 

 美柑の正論は正しく、宇宙人のララがいきなり学校に行きたいと言ってもかなり難しい。

 だがリトはふと自分の通う高校の一応トップに位置するブクブクに太った豚みたいな校長を思い出し、もしかしたら……とつい口に出してしまった。

 

 

「俺の知ってる高校の校長ならある意味どうにかしてくれるかもしれねぇな」

 

「え?」

 

「ホント!? リトと学校に行けるの!?」

 

 

 見てくれだけならまぁまぁ美少女(リトinイッセー視点)のララだし、顔の良い女子は学力関係なく合格にしていたらしい変態校長なら頼めば裏工作全開で生徒にしてくれそうだとリトは段々ドン引きし始める美柑と逆に段々と喜びの顔をするララに説明していく。

 

 

「えぇ……? そんな校長先生が居るんだあの高校……」

 

「あれに比べたら猿山も俺も相当健全に見えるくらいだな」

 

「じゃあリト! そのこーちょーって人に会いに行こうよ!」

 

 

 ララが今にも飛び出しそうな勢いで校長に裏口入学を頼みに行こうとせがむ。

 だがリトは呆気なく一言で返した。

 

 

「イヤだ。もしかしたらって話をしただけで別に協力する気はねぇよ。そもそもお前と学校に行ってまで付き合わされる? 冗談じゃねぇよ」

 

「……」

 

「さ、散々上げといて……」

 

 

 天真爛漫なララすらも一瞬にして悲しみに表情を曇らせるくらいバッサリした言い方。

 これがもしリアスだったら二もなく、全力の脅しを駆使してでもねじ込ませただろうが、悲しいかな相手は特に関心も無いララだった。

 

 

「うー……!」

 

「ララさん……。ねぇリト、流石に可哀想だし、ちょっと見学させるだけしてあげたら?」

 

「見学会はもっと先だぞ? それに可哀想だからで何とかなる話でも無いしな」

 

「それはそうだけど……。見なよ、ララさんがどうして欲しい玩具を買って欲しい子供みたいな目で見てるよ?」

 

「チッ、余計な事言うんじゃなかった……」

 

 

 ララに同情した美柑のフォローにより、ちょっと見せたらさっさと帰す事で取り敢えず連れていく事にしたリト。

 その説明を本気で嫌々ながらした途端、死ぬほど嬉しそうにララが笑ったのは云うまでもない。

 

 

 

 

 

 基本的に殆どの望みは叶っていたララにとって、本気で拒否してくるリトはやはり新鮮だった。

 美柑によるナイスアシストのお陰で今回は学校というものを見せてくれる事になったから良いものの、あの時のリトは完全に自分の望みごとに付き合うつもりはない様子だった。

 

 

「じゃーん! 見て見てリトー! ペケに再現させたよ!」

 

「わかったわかった。わかったから声のトーンを下げてくれ……あぁ、マジで余計な事言うんじゃなかった」

 

 

 こっそり紛れて学校を見に行く作戦の為に、ペケを使って彩南高校の女子制服をコピーさせたララは、その制服姿をリトに誉めてもらおうとしたが、返ってきたのは素っ気なさすぎる一言のみだった。

 今までに出会った男とはやはり違うこの態度にちょっと寂しさを覚えるものの、やはり新鮮な気持ちになるララは気を取り直して学校へと向かって歩き出すリトに付き、現場に到着する。

 

 

「へー? これがガッコってやつ?」

 

「あぁ……あんまキョロキョロすんな」

 

 

 思っていたより大きめの建物を前に物珍しい気持ちになるララはリトに注意されながら正門を潜る。

 

 

「わ、人がたくさん……」

 

「学校だからな」

 

 

 早く満足して家に帰ってくんないかなといった態度にがありありと出ているリトに引っ付きながら初めて見る学校にわくわくするララ。

 まぁ当然の事ながらララの容姿は注目される訳で、何も知らない他の生徒達は死んだ目をしながら仏頂面で歩く男子の後ろをちょこちょことついていくララに視線が集中する。

 

 

「おいアレ見ろ」

 

「ん? ……うっお!?」

 

「誰だよ? あんな娘いたか?」

 

「転校生?」

 

「い、いやそんな事よりだ――

 

 

 

 

 

『凄くかわいくね?』

 

 

 

 デビルーク王妃の血を間違いなく受け継ぐララの容姿は下手せずともそこらのアイドルを軽く凌駕しており、そんな子が学校内を歩けば当然の如く注目してしまう。

 勿論、必然的に側を嫌々歩くリトにもだ。

 

 

「てか隣の男誰だよ?」

 

「一年じゃね? なんか目が死んでるけど」

 

 

 美少女を連れて歩く変な男子的な目を向けられるリト。

 その視線には半ば嫉妬じみたものが入るが、本人はその全てをガン無視している。

 

 

「おい、もう満足しただろ? 早く帰れよ?」

 

「え? こーちょーって人にお願いするからまだ帰らないよ? 大丈夫、この事は私が頼むからリトには迷惑かけない」

 

「チッ、そう来たか……」

 

 

 嫉妬の視線なぞリアスとイチャイチャしてた頃から慣れてるし、何かしようものなら軽く半殺しにできるので全く恐れもなかったリトは自分で校長を探し、自分で入学できないか頼むと笑っていうララに舌打ちしている。

 

 

「じゃあ早速こーちょーって人探すから一旦――」

 

「待て! ………………あぁ、はぁ………美柑にしてやられたよ。わかったわかった、どこに居るかだけは案内してやる。

一人にしたら何しでかすかわならないし、この方がまだマシだ」

 

「ホント!? ありがとーリト――――へぶ!?」

 

「鬱陶しいから飛び掛かってくんな。そら、とっとと立て」

 

 

 適当に学校を見せてから帰って貰うつもりだったが、放っておいたら本当に自分で校長を探し始めようとするララを一人にしたらイヤな予感しかしなかったリトはため息混じりで付き合う事を同意し、それにより嬉しそうに抱きつこうと飛びかかってきたララを避けて盛大に前から転ばせると、手も貸さず立てと命じて歩き出す。

 

 

『くくく、宇宙人の小娘と関わってから少しはお前らしくなり始めてるな?』

 

(けっ!)

 

 

 ハグを拒否られ、あげく盛大に転ばされたというのに何故かまだ嬉しそうについてくるララを背に、龍の相棒からからかわれながら、今頃下手したら全裸でエロ本読んでそうな校長のいる校長室へと向かうのだった。

 

 

 

 

 結果的に言えばララのお願いは呆気なく、鼻息荒くした校長により叶ってしまった。

 どう良い方に解釈しようが紛れもない裏口入学な訳だが、ララ本人はただひたすらにリトと学校に通いたいからという理由だし、実の所ありえないくらいの頭の良さなので複雑な所だ。

 寧ろこの裏口入学工作後の方がリトにとって『ダルい』話なのだから。

 

 

「やっベー!! ちょーかわいいじゃん!!」

 

「ねぇキミは転校生い!?」

 

 

 裏口入学も無事に済み、結局最後まで付き合わされたリトがララと共に校長室を出ると、まるで待ち構えていたかの如く広がる光景は、廊下を埋め尽くさんとばかりの男子生徒たちだった。

 

 

「……………………」

 

 

 誰も彼もがララに注目し、リトへといえばそんなララと共にいる理由を探るような妬みの入った視線ばかりだ。

 めんどくさい予感はこの時点で大当たりしており、リトの機嫌指数はどんどん下がる。

 

 

「おいリト!!」

 

 

 そんな集団の中から姿を見せたのは猿山と、他は名前すらどうでも良すぎて全然覚えてないクラスメート数人だった。

 

 

「よぉ」

 

「『よぉ』じゃねーよ! 誰だよその子!?」

 

「聞けば一緒に歩いてたみたいだが、どんな関係だよ!?」

 

 

 どうやら猿山も名も知らぬクラスメート達もララに充てられたらしい。

 何が良いのかわからん……と思うのは別にして、リトはかなり面倒そうな顔で、既に考えていたララとの関係について話そうと口を開く。

 

 

「デザイナーやってて外国飛び回ってる俺のお袋が昨日突然連れて来た外国の友人の娘さん」

 

「リトの母さんの友達の娘ぇ?」

 

「じゃ、じゃあ関係は?」

 

「昨日知り合っただけの単なる知人」

 

 

 何時も通り過ぎる冷めた言い方に、猿山もクラスメート数人も『あれ、思ってたような関係じゃない?』と少し信じかけつつ、一人がララに真偽を確かめる為に問いかける。

 

 

「り、リトはキミを単なる知人って言ってるけど、キミはどう思ってるんだ?」

 

 何でそんな質問なんだ……というリトの心の疑問は聞こえず、それまで上級生にナンパ紛いな声の掛けられ方をされていたララがクラスメートの質問に気づく。

 

 

「私? 私は――」

 

「すげーかわいいなあの子?」

 

「俺の趣味じゃねーから何とも思えねぇな」

 

「えぇ……? お前マジか、ホントに男かよ?」

 

 

 チラッとリトを見るララ。

 相変わらずこの状況でも冷めた目で、しかも自分を放置して猿顔の友人と思われる男子となにやら会話し始めてる……。

 さっきまで自分に構っていたのに、友人らしき者と会った瞬間、一切見ないという現実にララはリトとの関係性を話す直前で言葉を一瞬止め、胸の中に広がる淡い痛みを覚えながら、リトに怒られないようにと最大限考えて選んだ言葉を質問してきた男子に返した。

 

 

「私はえっと、リトのお友達で……」

 

『ホッ』

 

 

 変な事を言ったら怒って口を聞いてくれなくなる。

 意味を知ってる知らないは置いておいて、全裸でベッドに入り込む様なララにしてはかなりしおらしく、それがまた男子達のハートをガッチリ掴んで――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リトのお嫁さんになれたらなー……なんて」

 

『』

 

 

 そのまま握りつぶした。

 

 

『』

 

「今日お前日直だろ? 西蓮寺が説明したいって探してたぞ?」

 

「日直? あぁ、俺だったか……。めんどくせーな、その西蓮寺さんに押し付けようかな」

 

「それはダメだ!! 絶対にダメだ! 一緒に日直してやれ!!」

 

「はぁ? なにいきなり熱くなってんだお前?」

 

 

 ララの仕草や表情があまりにも『マジ』に見えた為、嫉妬による暴動すら起こせず全員が口から魂が抜けた状態で固まる中、猿山だけはリトと会話しており、ララが妙に大人しめにリトの制服の裾をクイクイ引っ張るまでこの惨状に気づかなかった。

 

 

「リト、そろそろ別の所案内して欲しいな?」

 

「あ?」

 

「うっわ、近くで見れば見るほど可愛いなこの子……。てか皆はどうして真っ白にもえつきたジョーみたいになってんだ?」

 

「えっと、よくわかんない」

 

 

 もしリトが聞いていたら、ララのメンタルを破壊する勢いで否定していたのだろう。

 それを考えればララは実に運が良く真っ白な灰になってる多数の男子の群れから抜け出し、リトとリトの友人である男子と共に教室へと移動する。

 

 

『ララ様、先ほどの言葉は冗談ですよネ?』

 

「最初は婚約者から逃げる為の方便にしようかなって思ってたんだけど、リトって私に興味が無いって言うでしょ? よくわからないけど、そう言われる度に悲しくて……でも、こうしてついていくだけでも嬉しくて……。リトに本当に嫌われたら嫌だというか……」

 

『ば、バカな……! あ、あんな男にララ様が……!?』

 

 

 その最中、ララはペケと小さな声量でこんな会話をしており、どうやら構われなさすぎて既にこの短時間で相当リトを意識するようになってしまっていたらしい。

 

 

「なぁ、あの子さっきからお前をじーっと見ながらぶつぶつ言ってるけど大丈夫か?」

 

「知らね、腹でも減ったんじゃねーの?」

 

「お前……マジであの子の事どうとも思ってないんだな。同棲と聞いてちょっと羨ましがったけど、逆にあの子が不憫に思えてきたぜ……」

 

 その当の本人は相変わらずの態度だったが。




補足

全裸で添い寝しようとしたら壁にめり込まされたララちゃま。
……リーアたんなら……リーアたんだったらこんな事には!


その2
美柑たんアシストにより中途半端に構ったり、悪態つきつつも根に残っているお人好しさがあるせいで、ララちゃまがド嵌まりを……。

その3
ペケの充電切れイベは回避されました。
理由、まず充電切式と知ったリトが密かに赤龍帝からの贈りものだの幻実逃否による補給をしてやってるからです。


その4
今後更に全裸添い寝決行要因が出てくる度に壁にめり込む全裸美少女が……。

………誰がそうなるんだろうねー(棒)



EX
このリトinイッセーは果たしてどこかの世界のようなロリッ娘ホイホイ気質なのか……だとしたらどうなるのか? ……どうなるんだろうね?

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