色々なIF集   作:超人類DX

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続き。

ほら、ここら辺の時はほのぼのやし?


※細かい微調整


宇宙人と赤龍帝

 どうやら本当にララなる少女は宇宙人らしい。

 そう確信する材料は尻尾――では無くて、彼女を追って現れた万能変身ツールなる小型ロボットによる着替えだ。

 

 曰くララの発明品のひとつで、割りと流暢に喋る辺り高度なAIでも積んでるのだろうが、リトにとってはどうでも良かった。

 

 

「それで、感動の再会と共に無事に着替えられたのは良かったけど、この後はどうするんだ?」

 

 

 着替えも手に入れられたのなら出来ればとっととお帰り願いたいといった表情を全く隠すこと無くララにこれからの行動を問うリトの態度に驚いてるのか、変な服装に身を包んだララは目を丸くする。

 

 

「俺としては何事も無くさっさと何処へでも消えて欲しいんだよね。

なんていうの? キミを見てると余計な徒労感を毎日味わいそうなんだわ」

 

「………」

 

『ら、ララ様に向かってなんてコトを!?』

 

 

 頬杖つきながら美柑が入れてくれたお茶を飲み、不遜全開な態度で何処へでも消えてくれとハッキリ言うリトにやはりどこか驚くララと、彼女の服になってる小型ロボット的な存在……ペケは憤慨する。

 

 

「り、リト……? そんな言い方はいくら何でも……」

 

 

 さしもの美柑も、何時もとは違ってかなり排他的な態度の兄に困惑する訳だが、リトはそれでもハッキリ言った。

 

 

「まず人の話をまるで聞かなそうな顔してるし、そもそも宇宙人がマジな話としても俺達に何が出来るんだ? 何もできないだろう? だから気持ちよく送り出すんだよ」

 

「リトは私の事嫌いなの?」

 

「好きだ嫌いだじゃない。キミに対して何の関心というものが無いんだ。

宇宙人? ほほぅ、そりゃ凄いし、こうして向かい合ってる時点で偉い体験をしてるなぁ? ………で、だから? そんな感じだ」

 

『ふ、腑抜け顔の癖に先程からララ様に向かってなんという不敬!』

 

「知るか、ここは地球なんだよ。

そのデビなんちゃら星でどれだけ偉いか知らねーが、地球(ここ)じゃあ単なる小娘だろうが。

まぁとにかくだ、何で地球に逃げ込んだのかとかも敢えては聞かねぇから、どうか黙ってこのまま何処へなりとも行ってくれ」

 

 

 面倒なのはごめんだし、それにわざわざ付き合ってやるつもりは無い。

 見なかった事にするからとっとと出ていけ――――と、下手に受け入れたらこの先嫌な予感しかしなかったリトの冷徹な言い方に場の空気が完全に凍りついた。

 あのララでさえも何も言えなかった。

 

 

「ご、ごめんなさい……」

 

 

 結果、あんまりなリトの言い方にララは俯きながら謝った。

 当然その行動にペケが怒りを露にリトへと食って掛かろうとするが、それでも当の本人の態度は変わらない。

 

 

「リト、ちょっと言い過ぎ。何時ものリトじゃないよ、どうしたの?」

 

「ム……」

 

 

 しかしその態度を諌めたのが美柑であり、何時も無口でどこかテンパってる兄らしくない態度に違和感を覚えつつ、すっかりしょげてしまったララの傍らに付き、肩を叩きながら元気付ける。

 

 

「リトの機嫌が悪いみたいだけど、あんまり気にしないでララさん。妹の私が言うのもなんだけど、普段はもう少し優しめだから」

 

「う、うん……!」

 

「………………」

 

 

 小学生にしてはかなり器の大きさを感じさせる笑みを見てララも少しだけ元気を取り戻す。

 どうやら女同士というのもあってか、シンパシー的なものを感じた様だ。

 これでは――というか最初からリトが悪者的な感じになってしまった。

 

 

(チィ、宇宙人だか何だが知らねーが、どう見ても地雷じゃないか。

同性ってのがあるせいか美柑が思いの外向こう側だ……)

 

『お前の言い方にも問題があったんだろうよ』

 

(下手に出たら付け上がるかと思ったんだ。それが完全に裏目にでるとは……)

 

 

 

 自分にしか聞こえないドライグの声にリトは早急過ぎたと反省する。

 追い出すにしてももっと回り道をして上手く丁重にお帰りいただいた方が良かった……と思った処で、既に普通に楽しそうな会話をララと美柑はしてる。

 

 

「くっ、わかったわかった。ちょっと言い過ぎたよ俺も。

確かに風呂が壊されて若干イライラしてたのもあったし……ええっと、ララさんだっけ? ごめんよ?」

 

 

 結果折れる事にした。

 この結城家におけるヒエラルキーの最上位は母と美柑で最下位は文句無くの自分。

 逆らえるわけもないのだ。

 

 

「う、ううん、私もお風呂壊してごめんね?」

 

『ら、ララ様!? 何故この様な不敬な男に謝られるのですか! そもそも失礼なのはこの男デス!』

 

「………………」

 

 

 この流れじゃなかったら、さっきから喧しい声を聞かせる機械風情をぶち壊してたのにと、完全に不倶戴天の敵認識しているペケの声にちょっとイラッとしたリト。

 どうも今回のこの怒濤の展開に折角逃がしたストレスが蓄積されたままの模様。

 

 

「俺の態度がかなり悪いのは認めるけど、キミの敬愛する創造主サマが依然として右も左もわからない状態なのは変わってないんだぜ?」

 

『ウッ……そ、それは確かに。

ララ様はこれからどうするのですか?』

 

「本当はいい考えがさっきまで閃いていたんだけど、リトの言うとおり今から考え直さないといけないかも……」

 

「?」

 

 

 チラチラとリトを見ながらこれからの行動を考え直すと言うララと、家のインターホンが鳴ったのは同時だった。

 

 

「やば……お父さん帰ってきたのかな?」

 

「事情話したら特に考えもせず受け入れるだろ……。寧ろネタに使いそうなくらいだ」

 

 

 外国滞在中の母ならヤバイかもしれないが……と、父親のキャラを知った上で美柑を安心させる様に言いながらインターホンの鳴らした誰かを映すモニターをわざわざ全員で見る。

 

 

「だ、誰? り、リト……あ、明らかに変な人が二人……!」

 

「まるでヤー公だな」

 

『ら、ララ様……!』

 

「おかしいな、何で居場所が……?」

 

 

 どう見ても堅気には思えない黒スーツの二人組に美柑が怯えた様な声を出しながらリトの服を掴み、対するリトはこの二人組が両親の――そして自分達の知り合いでは無いことを察知し、現に解せない表情のララの知り合いなのだろうと判断しながら玄関へと向かう。

 

 

「り、リトったら! あ、危ないかもしれないよ!?」

 

「その時は全力で親父の職場に避難しろ」

 

 

 居留守は部屋の明かりが点灯している時点で無意味だし、この風体通りの性格をもし二人がしているのであれば、間違いなく鍵をこじ開けてでも入ってくるだろう。

 ならば此方から出向くまで――と、美柑の制止の言葉を振り切り、玄関の扉の鍵を開けたリトはそのまま開け、モニターで見た通りの堅気とは思えない風体の二人組と対面する。

 

 

「えーっと何かご用ですか? 新聞なら間に合ってますが」

 

『人間――いや、地球人とやらではないな』

 

 

 中からリトを介して見ていたドライグが二人組を完全に普通の人間ではないと見抜く中、リトは何も知らない風を装って追い返そうとまずは軽めのジャブを放つ。

 

 

 

「ララ様」

 

「あ?」

 

 

 しかし黒服二人はそんなリトの言葉を無視し、リト――では無くてその後ろを見てその名を呟くように呼んだ。

 後ろを振り向けば確かにララが居るし、様子を見に来たらしい美柑が怖がる様にララの後ろに引っ込む。

 

 

(チッ、言った側から……。どう見ても追っ手か何かだろコイツ等は。

さてどうする、とっとと引き渡すか?)

 

『多分だが、美柑の小娘からの好感度は一気に最低値まで下がるだろうよ』

 

(別に好かれたいとは思っちゃいねーよ)

 

 

 かと言って完全に嫌われたらこの身体の元の持ち主に悪いので避けはしたいが……と一人思いながら、ララと黒服二人のやり取りを暫く眺めるリト。

 

 

「ペケ……」

 

『はっ、ハイ!』

 

「私言ったよね、くれぐれも尾行には気をつけてって」

 

『……ハイ』

 

「もーーーーーっ!!! このマヌケロボ!! 完全にバレてるしぜんぶ水の泡じゃないのっ!!」

 

『ゴメンナサイ〜〜!』

 

「…………」

 

 

 子供っぽく怒るララとひたすら謝るペケとのやり取りを見てリトは察した。

 どうやらあのロボットがポカをやらかしたらしく、そのお陰で堅気とは思えない二人組がやってきた……完全に巻き込まれてる結城家だ。

 

 

「ララさん……どういうこと?」

 

「ゴメンね、私追われてるんだ……。そいつらは、その追っ手」

 

 

 その予想通りの展開にリトは小さく舌打ちする中、黒服が動く。

 

 

「さぁ、今度こそ覚悟を決めて貰いましょうか?」

 

 

 そんなやり取りをする一人と一体に向かって黒服二人がさも当然の様に上がり込もうとする。

 必然的にリトがその間に居て、黒服の通せんぼをしている体になるのだが、何を勘違いしたのか黒服がリトへと向かって口を開く。

 

 

「そこを退け地球人、我々はその方を捕まえに来たのだ」

 

「………」

 

「聞こえなかったのか? そこを退けと言ったのだ」

 

「り、リト!」

 

 

 黒服の片割れの言葉を無視するかの様にその場から動かないリトに、少し強めの声と共に肩を掴んで退かそうとするもう一人。

 その瞬間、美柑が怯えた声ながらも兄が危ないとその名を呼ぶのだが……。

 

 

「っ!?」

 

「…………」

 

「おいどうした?」

 

「う、動かせん!」

 

 

 全くリトの身体は動かない。

 まるで大地に根を張る巨木の如く全く動かせない。

 驚愕しながらも更に力を込める大柄の方の黒服に眉を潜めたもう一人と二人がかりで動かそうとしても、リトを全くその場から動かせなかった。

 

 

「な、何だ貴様! 邪魔をするつもりか!?」

 

「邪魔だと? 勝手に人様の家に上がり込んでおきながら邪魔は無いだろ。それに俺は何もしていないだろ?」

 

「こ、コイツ!」

 

 

 どこか見下すような言い方に黒服はカチンとでもしたのか、今度は退けさせるでは無く完全に突き飛ばそうとタックルをしてきた。

 

 

「邪魔立てするのであるなら容赦はせん!!」

 

「あ、危ないリト!!」

 

 

 体型から見れば間違いなくリトが吹き飛ばされ、大怪我してしまう……と流石にララも思った。

 だが現実はリトを除いた全員の思わぬ結果であった。

 

 

「ガァァァッ!?!?!!」

 

 

 タックルによる激しき衝突音に思わず目を覆ってしまうララと美柑だったが、聞こえてくるのは黒服の片割れの激痛に泣き叫ぶ声……。

 

 

「が……ぁぁっ! か、肩が……ぁっ!!!」

 

「………」

 

「なっ!?」

 

 

 覆った目を開けば、玄関の床に激痛で転げ回る黒服の一人と、何の感慨もなく見下ろすリトの姿。

 

 

「き、貴様今何をした!?」

 

 

 勿論相棒の謎の負傷に混乱しつつも、何かをしたと断定した黒服の片割れがつまらなそうな目をしているリトに叫ぶ。

 

 

「別に何も。勝手にタックルかましたそれが勝手に肩ぶっ壊しただけだろ。自業自得って奴だよ」

 

「ふざけるな貴様! 地球人にこんな真似が……ぐあっ!?」

 

「煩いな、じゃあその地球人様の力を体験してみるか?」

 

 

 足元で苦痛に呻く黒服Aの仇とばかりに激昂しながら掴み掛かってきたBに腕を伸ばして首を掴み、そのまま持ち上げて締め上げたリトはゾッとする様な笑みを浮かべる。

 

 

「か、かか……ぎっ……!?」

 

「ったくよぉ、風呂は壊されるわ、意味わかんねーのは来るわ。厄日だぜホント」

 

「ちょ、ちょっとリト!?」

 

 

 ブクブクと口から泡を吹きながら意識を手放した黒服を見て、何でリトがこんな強いのかとかを取り敢えず横に置いた美柑が止めようとリトの服を引っ張る。

 

 

「ヤバイってこれ以上は!」

 

「っ……安心しろ、別に殺しはしないよ。ほらこの通り放すさ」

 

 

 若干泣きそうな顔の美柑を見て口ではヘラヘラした言い方だが内心『や、やばっ!』とフラストレーションが溜まってついやらかした己の行動を省みてすぐ後悔しながら締め上げていた手を離す。

 当然糸の切れた人形の様にその場に崩れ落ちたBと未だに負傷から立ち直れずに呻き声をあげるAのせいで完全に修羅場な光景な訳で……。

 

 

「おい、何時まで効いたフリしてんだよ。とっととソイツ拾って帰れ」

 

「ぐへっ!?」

 

「ちょ!? そ、そんな乱暴な……」

 

 

 しかしやはり修羅場を生きすぎて頭のネジが数本抜けてるせいか、負傷しても気絶はしていない方の黒服をの頭を掴んで無理矢理立たせたリトは、そのまま気絶した方の黒服とセットで家の外へと放り投げる。

 

 

「迎えに来るならもうちょい礼儀を知ってから出直すんだな。例えば保護してやった俺達に迷惑料として軽く1000万は用意して貰わないとなァ?」

 

「「……」」

 

 

 そしてどう見ても良い奴とは思えない口をこれでもかと歪めた笑みと共に地面に横たわる二人組に言うと、静かにドアを閉めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「追っ手に追われてたってのは理解した。

その上で勝手にズカズカと連中が家に入り込んできたからつい脊髄反射的にやっちまった訳だが、マジでどうするわけ今後?」

 

「えーっと……」

 

 

 地球人は非力だと聞かされてたのに、実際はララと同じデビルーク星人をほぼ何もせず叩き潰したリトに改めて問われたララは、先程の事で完全に文句が言えなくなったペケを抱えながらあちこちに目を泳がせる。

 

 

「そ、その前に聞きたいんだけどー……リトはどうして助けてくれたの? そのまま私を二人に渡しても良かったのに」

 

 

 まさか助けて貰える形になるとは思わなかったらしく、おどおどしながら聞いてきたララにリトは実に冷めた顔で返す。

 

 

「さっきも言った通りだよ。宇宙人だか何だか知らんけど、勝手に人様の家にズカズカ入り込むんだから防衛くらいはするだろ? 助けたつもりは無い…………と言いたいが、うちの妹と会話に付き合ってくれた礼とでも思ってくれ」

 

「えー? さっきの場合はどう見ても過剰防衛だった気がしたけど?」

 

「違うな、自信満々に吹っ掛けてきた向こうが勝手に自爆したんだぜ? 俺は悪くない」

 

 

 要するに物の次いでだったと、優しさの欠片も無い理由を教えられてちょっと凹むララは、ジト目で美柑に突っ込まれても悪びれもしないリトを見つめる。

 

 

「てか、喧嘩強かったんだねリトって。私知らなかった」

 

「何の自慢にもならないし、この歳で腹とか出たくなかったから我流で鍛えてただけさ。

てか、さっきも言ったけどアレは向こうが勝手に自爆したんだぜ? それにこのままだと美柑が危ないし、火事場の馬鹿力ってやつさ」

 

「ふーん? それにしては随分場馴れした感じだったけど? まるで漫画みたいに……」

 

「おいおい、普段の俺を見てるならわかるだろ妹よ?」

 

「まぁね……」

 

 なんというか、今まで出会った男性とは全く違う新しいタイプだ。

 

 今まで出会った男は大体自分の容姿やらデビルーク星の王の地位しか見なかった……。

 しかしリトはどうだ? 先程自分の正体を打ち明けても平然と興味なさげな態度は変えないし、今だって助けたというよりは単なるもののついででしかないと言い切った。

 

 

「でもさリト、どちらにしても、さっきやらかしたせいで確実にララさんを追うのを邪魔する地球人って見なされると思うよ?」

 

「ジーザス!? そ、そりゃそうだよなぁ!? し、しまったぁ! 若干イラついてたせいでそこまで考えてなかった……!!」

 

「あぁ、良かった。変な強さはあってもリトはリトだね。変なところが抜けてる」

 

「………」

 

『ら、ララ様。

あの男の戦闘能力は明らかに単なる地球人でありませんよ。あのデビルーク星王家の護衛をいとも簡単に撃退するナド……』

 

 

 その癖あきらかに地球人離れした力。

 今自分の膝元に抱えられているペケの戦慄じみた声の通り、リトの力はまるで自分の父親を彷彿とさせる凄味を感じた。

 

 

「どうするよ? 今からでもさっきの連中探して彼女を渡すか?」

 

「今更そんな事をしたら、私リトと絶交だから」

 

「何で!?」

 

 

 自身への興味がゼロ。

 しかしもし―――――もしもリトが婚約者になれば父は満足して勝手に決めた他の婚約者の話を無くしてくれるのかもしれない。

 

 

「人としてどうかと思うし。それにリトは私に隠し事してたでしょ?」

 

「ぐっ……そ、そんな目で見るな。死にたくなる」

 

『くくっ、随分と妹に弱いなイッセー?』

 

(うるさいぞドライグ!)

 

 

 それにあの目……。

 まるでララを他全ての生物と全く差別無く同じものだと見る様な目もララは何故か不愉快には思えなかったし、逆に新鮮だった。

 

 

「妙にその子の肩を持つけど、何でだよ?」

 

「だっていい人だもん」

 

「俺に比べたら間違いなく彼女の性格は良いんだろうけど……ちくしょうめ」

 

 

 本当は適当に婚約者たちから逃げるために目をつけたリトを婚約者にでっち上げようとしていたララは、先程の冷たい殺意を放ってたとは思えないくらい美柑にタジタジとなっているリトにおずおずと口を開く。

 

 

「あ、あのね? もし良かったで良いから暫く匿って欲しいかなー……あいつら追い返したリトって強そうだし」

 

「まあ、あんな事情を見せられてさようなら流石に無いかもね」

 

「ちょちょちょ、美柑ちゃん? 他人だぞコイツ? 匿くまうとかおかしくない? 第一親父が……」

 

「リトがお父さんならオッケー出すでしょって言ってたじゃん。

お母さんはまだ暫く家には帰ってこないだろうし」

 

「いやいやいや! 今日はあの二人だけだったけど、この先は数の暴力で来る可能性があんだぞ!?」

 

「その時はリトが守ってくれるでしょう? 私の事も……」

 

「そら美柑は守るけどよ……」

 

「ならついででも良いからララさんも守れば良いじゃん」

 

「えぇ? そんなバカな……」

 

 

 結城家ヒエラルキーナンバー2の美柑の鶴の一声により、ララを匿う事になってしまった。

 こんな事ならあの時間に風呂なんざ入らなきゃ良かったと全力で後悔しながらドライグに笑われるが、全部が後の祭りだった。

 

 

「ありがとうミカン、リト。

えっとそれでね? リトはお嫁さんとか欲しくない?」

 

「!」

 

「は? それ、キミが婚約者連中から逃げてきたのと何か関係でもあるのか?」

 

「えーっと、あるかも。

例えばね? 例えばだけど、リトが婚約者になったら他の婚約者との話が無くなるかもとかー……」

 

「はぁ? オイオイ、いくら何でも図々しいなそれは? そもそも俺はキミに何の興味も無い」

 

『ワタシも反対デス! こんな無礼な地球人を候補に据えるなんて!』

 

「ふん、安心しろガラクタ人形め。頼まれてもお断りだぜ」

 

『が、ガラクタ人形とは何デスカ!!』

 

「そう……だよね。あはは……ごめんね変な事言って? ………………………………………えへ、えへへへ」

 

『え、ら、ララ様?』

 

「なに笑ってんだよ、宇宙人的に笑いのツボでもあったか今の会話で?」

 

「違うと思うけど……むぅ」

 

 

終わり

 

 

 

 

 

 他の男とは違うタイプ。

 数多の地球人の男性が自分を見るなり他の星の人達と同じような態度ばかりだというのに、彼だけは違った。

 

 

「ら、ララちゃんがお前と一緒に済んでるって聞いたけど、それは本当なのかよ!?」

 

「外国飛び回ってるお袋がいきなり連れてな。ったく煩くてかなわん」

 

「えぇ? あんな可愛い子なのにやっぱりそんな反応? お前本当に男かよ?」

 

「……………。遥かに可愛い子を知ってるからな俺は」

 

 一つ屋根の下で暮らしてると暴露し、嫉妬した男達に詰め寄られてもさめていて。

 

 

「ま、まぁその方がある意味良いけどさ……」

 

「は?」

 

「…………………………」

 

 

 いきなり現れた伏兵に危機感ばりばりの中学時代からのクラスメート女子にも気付こうとせず。

 

 

「リト~ 一緒にご飯食べよ!」

 

「嫌だ、猿山と食うか――もがっ」

 

「へいへいへい! 良いぜ良いぜララちゃん! 西蓮寺達ともだろ!? 全然オーケー!!」

 

 

 猿山くんアシストで嫌々付き合うだけで……。

 やはりどこまでも、日に日にその冷たい態度に嵌まっていくララは気づけばある意味本気でリトを意識してしまった。

 故に……故にだ。

 

 

「今日こそあなたを殺します」

 

「しつこいガキだな。ハッキリ言ってやろうか? 無駄なんだよ無駄。

はぁ……どうせならボインで長い赤髪の子に殺されたいぜ……」

 

「それは私の身体の一部分を見てバカにしてるんですか?」

 

「は? ………………………。くくっ、殺し屋なのにそこコンプレックスなのか?」

 

「! 殺します!!!」

 

 

 

 

「………………………………………。楽しそう。リトもどことなく楽しそう」

 

 

 天真爛漫ながらもどこか変わったララは物影から宇宙の殺し屋と軽く遊んでる(ララ視点)を姿を見て胸の奥にズキリとした痛みを覚え……。

 

 

「おい、ララの妹二号ォ……!!

ガキの分際で勝手に人様の部屋に入りやがって……! 美柑と親父とお袋以外で勝手に入ったらどうなるかおしえてやるぁぁぁっ!!!!」

 

「ぎゃん!?」

 

「も、モモーッ!? お前よくも――」

 

「喧しい!!! そこの二号みたいに壁にめり込みたくなけばとっとと失せろ!!!」

 

「う……そ、そんなに怒鳴らなくても良いじゃんかぁ……」

 

 

 何か居着いた妹二人の方が寧ろ距離近くなって……。

 

 

「り、リト……お願い、煩くしないから……! リトの為に頑張るから……わ、私を見捨てないで……」

 

 

 気づいた頃にはララは心底リトに依存してしまった。

 他の女子に絡まれてイライラした対応であしらっててもララにとってはそれが自分より構って貰えてると思い込んでしまう程に。

 

 

「リトの為なら何でもするから……リトに捨てられるのはイヤ……!」

 

「何を言ってるんだコイツは……」

 

『昔のリアスそっくりだな……』

 

 

 

 

 

 

 

「あのヤミだったかの同系統の生物なのはわかったが、人の心にズカズカ入り込んでタダで済むと思ってるのか? くくくく……くくくっ!!!!」

 

「っ!? この力は……!?」

 

 

 そしてそれとは別に地雷は踏んだらダメ。

 

 

「あぁそうだ。俺は結城リトの肉体を奪っちまった兵藤イッセーだ。

分かってたのに勝手に覗いたガキ共に礼だ……………一瞬で殺してやる」

 

「「っ!?」」

 

「これであの世に送ってやる! ビッグバン・ドラゴン波ァァァッ!!!」

 

 

 

以上・嘘。




補足

関心が向けられなさすぎて逆に……的な。
所詮嘘だけど、そのまま行くと必然的に女子が集まり、やがてお姫様は見捨てられると思い込んでしまって……。


その2
まあ、こんな所まで続くわけもないですが、もし地雷を踏むとするなら精神邂逅で全部を覗かれてしまった場合ですよね。
たぶん類を見ないガチギレに入るでしょう……それこそテッテテーと白目剥いて黄緑色のムキムキ伝説の超野菜人のごとき禍々しい変身をして……。

『無駄な事を、今楽にしてやる……!』とデデーン弾を―――

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