色々とはしょってますのと、やっぱ加筆しました。
その後の……
彼にとって分かった事は、例え人間でなくて別の生物でも、ちゃんと話が出来る限り理解できるという事だった。
悪魔や堕天使……天使はまだ出会った事が無いから何とも言えないが、少なくとも一誠が出会った悪魔と堕天使は話が通じてくれる相手だった。
それが強引だったろうと無かろうと、彼は理解し認めたのだ。
悪魔や堕天使……その他の生物を。
それがどういう事に繋がるのか……。
総ては彼を育て上げた師と彼の中にある異常性のみが知る。
「……」
冷静に考えれば考える程、何であんな恥ずかしい事をしていたのかと思えて仕方ない。
考えてもみろ、確かにイッセーは気になる。
けど、だからといってこの前のは無い。
結局帰ってこずのまま、安心院なじみに触発される形でイッセーの家に寝泊まりしたのだが、何で何時も彼が寝てるだろうベッドの枕元にエッチな本を仕込む作業をしてたのか……。
本気で恥ずかしくて仕方ない。
「ハァ」
私は馬鹿か……そう思わされたのは、その仕込みをイッセーが知ったと思われる翌々日の朝だった。
何時ものように……記憶を改竄して精神を平常に戻しておいたセーヤを含めた眷属達と登校した際、仕込んでたエッチな本を私に渡しながら…。
『これ、リアスが持ってきた本だろう? 忘れてったから持ってきたが……なんというか、高校生である以上読むべきではないというか……。
なんで女性のはだ――――』
『わー! わー!! 言わないでちょうだい!!』
そう涼しい顔で中身の事をまで話そうとするのだ。
もう顔から火が吹く勢いの恥ずかしさだった。
「おお、リアス先輩だ!」
「今日もふつくしい……」
眷属達の目の前で渡され……いやまあ、中身を茶封筒に入れてたからバレなかったからまだ良いけど、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしく、今日も今日とていい加減飽きないのかしらと思えてしょうがない周りの生徒達による騒ぎの中を歩く私は、ふと向こうの方で最初から私達を見ても一切騒がず、そして私達以上の存在感を見せる男の子……イッセーが背中に籠を背負いながら誰かと学園中のゴミ拾いをしていた。
「どうも俺は1度始めると几帳面になってしまう悪癖があるせいで、毎朝やってないと落ち着かんのよ」
「だからって何で私まで……」
「流石安心院さんのお弟子様ですね! 私も頑張ります!」
「「「「……」」」」
ひょいひょいと細かいゴミから大きなゴミまで背中の籠に入れては若干嬉しそうにゴミ拾いをしている、生徒会長のイッセー
先日新たに『転入』して来た金髪の元シスターことアーシア。
そしてアーシアと同じく、ブツブツと言いながらも律儀に拾っている黒髪の少女、天野夕麻という偽名を使っている堕天使・レイナーレ。
この三人の登場が、私達に向いていた生徒達の視線をごっそり持っていく。
「あ、会長だ。おーい、朝からご苦労様~!」
「む……おう、グッモーニン!!」
「夕麻ちゃーん!!」
「うるさい! 変な声で私の名前を呼ぶなー!!」
「アーシアちゃんも居るぞ! おーい!」
「あ、お、おはようございます皆さん……」
生徒達の声に三者が其々の反応を見せている。
わっはっはっ! と笑いながら手を振るイッセーだったり、喧しいと怒るレイナーレだったり、恥ずかしそうにモジモジしてるアーシアだったり。
元々イッセー一人でも皆から注目されていたのが、転入と同時にイッセーの手伝いをしている美少女転校生二人という触れ込みのせいで余計注目されるようになっていたのだ。
「あらあら、あっさりと私達に向けられていた注目をかっさらっていきますわねぇあの三人は」
「……」
「…………。チッ」
レイナーレを転入させるのを許可して欲しいと頭を下げに来たときは、随分と揉めたが、結局私が許可したことでああして紛れている堕天使とシスターは学校に通っている。
あの二人に対しての記憶がごっそり消えているセーヤはそれが気に入らないと舌打ちをしているし、女王の位置に属する朱乃は何時もの笑みを浮かべているだけ。
戦車の小猫と騎士の祐人はあんまりイッセーと接点が無いから見てるだけだった。
そんなこんなで注目をかっさらって行った三人の其々見せる反応を暫く眺めていた私達だったが、此処に来てイッセーが私を視界に捕らえたのか、フッと笑みを見せながら…………言わなくても良いのにわざわざ大きな声で――
「おーいリアスー!」
私をファーストネームで呼びながら手を振った。
…………そうなればどうなるか。
大体お分かりだろう。いや、友達なんだから一々気にする必要が無いのだけど、隣に居るセーヤの顔付きが殺意に満ちたそれになっているから気が気では無いのだ。
「…………………………………」
「あらリアス。いつの間に仲良くなってたのですか?」
「ええ、ちょっとね」
ざわざわと周りの生徒がイッセーと私とを交互に見ながら何か言ってるのを気にしてないって様子で近付いてくるのを、朱乃が若干驚いたという顔を向けてくるので
私は曖昧に頷く。
すると、それまで憎悪の視線をイッセーに向けていたセーヤが口を挟んできた。
「何でですか? まさかまだ眷属にするつもりじゃ……」
必死に殺意を隠そうとする声を出しているセーヤに、内心ため息を吐きながら私はハッキリと言ってやる。
「眷属にはしないわ……というより私の技量じゃ不可能。
彼は只の友人よ」
友人……ホントはちょっと違うけど、セーヤにはそう言っておかなければ面倒なだけだ。
いや、友人と宣言しても面倒になるけどね……こんな感じに。
「何でだよ……何で……!」
わなわなと身体を震わせながら、怒りを爆発させようとしているセーヤに、朱乃と小猫と祐人の目付きが変わる。
分かってるのだ皆は……セーヤの危うさを。
だけど……その危うさをなあなあにはしない。
「……。私が誰と友人になると貴方に決める権利があるのかしら? 何時からそんなに偉くなったのセーヤ?」
「っ……!」
決して甘やかさない。
そう主張する視線と殺気を交えた言葉にセーヤがビクリと身を震わせる。
悪いけどねセーヤ……。
そんなものだからアナタはそこが限界なのよ。
神滅具・赤龍帝の籠手は確かに凄まじい力がある。
しかしそれまでだ……私は知ったのだ。
更にその先……その先の領域を。
それが……レイナーレとアーシアを引き連れながらやって来たセーヤの双子の弟であるイッセーと、安心院なじみだ。
「むむ……どうやらお邪魔のようだな」
「いえ、そんな事無いわ。
ふふ、朝から三人とも精がでるわね?」
「はい! イッセーさんや『あの方』の教えで心が軽くなれました!」
セーヤの姿を見て察するイッセーと、笑うアーシアとを見て私は首を横に振りながら自然と頬を緩める。
やっぱりあの時の判断は間違えて無かったわ。
「ふん、私は嫌だと言ったのにアーシアがヤル気満々で付いて行くから仕方無く……」
「へぇ?」
「……。なによ?」
ジロッと睨んでくるレイナーレの視線を受け流し、逆に意味深な笑みを見せてやる。
私は知ってる……あの日イッセーに無理矢理連れていかれ、何かを教えられた時の話を。
本当は他にも堕天使の仲間がいて、イッセーがそれらも纏めてやろうとしたら、レイナーレを放置して全力で逃げられたことも。
そして、何だかんだでレイナーレは結局アーシアに謝り、逃げもせずイッセーに付いて行ってるその理由も。
「いーえ? ただ……ふふ……私もそうだけど安心院なじみを出し抜くのは相当苦労するわよ~?」
彼って割りと面倒見が良いのよね。
てっきり『教える』というのが自分の考えを押し付けるだけかと思ったらそうでも無いらしいのよ。
「う、うっさい! 私があんな下等な人間ごときに……ブツブツ」
私の言った事に対して顔を赤くしながらムキになる姿を見せるレイナーレを見たら、イッセーに何を思うのか大体解るわ。
ホント……ナニをされたのやら。私も付いて行って見たかったわね。
「そうか……纏めて行動してる理由が眷属だったからか……合点がいったよ」
「ふふ、いつの間にかリアスと仲良くなってたのにはちょっぴり驚きましたわ。
あ、紹介が遅れましたわね、姫島朱乃です」
そんな自覚はまるで無いって感じで朱乃と話をしているイッセー
いや……誰と話をしようと関係ないのだけども、レイナーレの顔付きが変わってるのに気づきましょうよ……うん。
「うむ、知ってるぞ。
姫島三年、リアスと共に……えーっと、そうだ二大お姉様とか何とか――」
「そこのバ会長! 女とばっかくっちゃべって無いで早くゴミ拾いの続きをしなさい!! ほら!!」
案の定怒ったレイナーレがイッセーの腕を折る勢いで付かんで引っ張っている。
私もそんな心境だったからわかるわよレイナーレ。
「おわ? 急に何だ天野同級生。
さっきまではゴミ拾いなんてと文句を言ってたのを……まあ良いか。
それじゃあリアス、姫島三年、塔城一年、木場同級生……………そして兄貴よ。
何か困りごとがあれば目安箱に投書してくれ」
しかしマイペースのまんまなイッセーは、暢気な顔で私達にそう言うと、周囲の視線も気にせずゴミ拾いを再開するのであった。
「クソ……クソが……!」
「セーヤ」
後に残った私達は、今にも殺しに掛かりそうなセーヤを全員で静止しなければならなくなる訳で。
はぁ……。
兵藤一誠・生徒会長
血液型・AB
種族・人間
備考・
アーシア・アルジェント
種族・人間
天野夕麻(レイナーレ)
種族・堕天使
二人の所属・転校生および生徒会庶務見習い
リアス・グレモリー
オカルト研究部部長(グレモリー眷属・王)
種族・悪魔
備考・兵藤一誠と安心院なじみを知る者
To be continued?
おまけ
「ミッテルトもカラワーナもドーナシークも計画が失敗したと分かった瞬間に逃げるなんて……!」
「ふむ……俺としてはアルジェント同級生にごめんなさい出来たし、お前も去っても良かったんだぞ?」
「黙れ! 『共に這い上がろうじゃないか堕天使レイナーレ!』と言ったのはアンタでしょうが!!
責任もちないよ!」
そう生徒会室の会長席に座って呑気に扇子を扇いでいる一誠にムキーっと吠えるのは、庶務と書かれた席に座っている堕天使のレイナーレ。
「庶務見習い……頑張って見習いを卒業しないと……!」
そして騒ぐレイナーレの隣には、それまで信仰していた神よりもある意味バグった存在と知り合いとなった為に、変な信仰癖が付いてしまった金髪の美少女アーシアだ。
元々利用し、されるという関係だったこの二人も今は同じ駒王学園の制服に身を包み、右腕に『庶務(見習い)』と書かれた腕章を付けて会長の一誠と共に行動している。
「ったく……本当に行くところが無くなったから仕方無くアンタに責任取らせて養われてやってるのだから、感謝しなさいよホント……」
ひょんな事から知り合い、ひょんな事から一誠に付いて行く事となったアーシアとレイナーレ。
アーシアは安心院なじみとその弟子である一誠に対して、ちょっと変な方向に向かってる信仰心的なものを持っているので、一誠のやることに喜んで付いていってるのだが、レイナーレはと言えば堕天使という人間よりも遥かに力のある種族故か、一誠に対して割りとズバズバ……言っちゃえば若干のツンデレを見せていた。
しかし、そんなアーシアとレイナーレの違ったキャラも一誠は全く気にせずに受け入れている。
「おう。俺もまさかリアスに続いて二人も友が出来るだなんて嬉しい限りだぞ」
「と、友達だなんて……えへへ」
友達や親しい関係……的な言葉に滅法弱い一誠は、ここ最近親しい者が多くなっているのが実に嬉しく、恥ずかしげも無く宣えばアーシアも同様にはにかむのだが……。
「はぁ? 何でアンタみたいな人間と友達なんてやらなきゃならないのよ。冗談はやめてちょうだい」
フン! と鼻を鳴らしながらソッポを向いてしまうレイナーレ。
どうやら彼女はまだ一誠を認めては無いらしい――
「………………。だめか?」
「うっ!?」
――訳でも無く、一誠の友達発言に対して冗談じゃ無いと不貞腐れた顔をするレイナーレだったが、直後に一誠の見せる『崖からブチ落とされた子ライオンみたいな顔』に、それ以上言えずに言葉に詰まってしまう。
というのも、元々レイナーレの目的はアーシアの持つ神器を我が物とし、その力で堕天使の上層部に自分の名を知らしめる事だった。
だが紆余曲折の後にそれは失敗し、今は利用した挙げ句殺そうとまでした相手であるアーシアと共に一誠と行動している。
その理由はただ一つで、一誠……そして彼の師匠と呼ばれている安心院なじみの存在だった。
今までの常識を根底から覆す圧倒的な存在と謎の力と平伏したくもなる程の絶対感。
そして何より……。
『そんなに誰かを見返してやりたければ俺がそうさせてやる。
0から始め、鼻で笑われても無駄だと言われようと諦めないと誓えるのなら……フッ、俺が変えてやるよお前を』
人間とごときにと怒り、殺してやろうと襲い掛かった相手は楽々と自分を返り討ちにしただけでなく、そう笑いながら手を差し出してきた。
人間の癖に生意気なとレイナーレは思ったが、結局彼女は自然とその手を取り、彼の背中を追ってみることにした。
「……。ちっ、わかった、好きにしなさいよ。
なんて顔するのよ……もぅ」
「そうか、ははは! 俺は嬉しいぜレイナーレよ! あっはっはっはっ!!」
「……………。変な奴」
折れたレイナーレに対して嬉しそうに笑う一誠に毒気が抜かれてしまう気分になる。
レイナーレはその笑顔を見て、自分の中に突如現れる謎の気持ちを誤魔化すように、一誠から視線を逸らすのだった。
補足
まあ……ええ……やれと言われたら可能な限りやらさせて貰いますけどね……うん。
補足2
『メリークリスマス……誠八』
そんなポジションのヒロインがちゃんと居るのです。
この元ネタは有名かな? てか、無意識に兄貴のキャラが彼になってましたね、ははは