流れはネオ白音たん勝利系
※本当に嘘ネタ
それは劇的なのかもしれない出会いだった。
「はぁ? フラれた挙げ句その振った女のせいでクラス中にバラされて死にたい? そりゃまた……災難だな」
いや、もしかしたら別にそうでも無かったのかもしれない。
「俺を見てみろ、腕にこんなもの出せる――キミ曰くの中二病の塊で、挙げ句化け物みたいなクソガキに付け狙われ続けて擦りきれた負け犬だぜ? それに比べたら―――あ、そういうのとは違う?」
リアルに奇人、変人、異常者。
腕から変なものを出せるし、基本的に勉強以外は力技のごり押しで解決できて、挙げ句の果てには――
「なら気にするな。というか寧ろ笑え。
蔑まれても、殴られてもヘラヘラ笑え……クソガキが何時もお前に言うだろ? 気に入らないけど俺もそう思う」
優しく、ゆっくり引きずり込んでくる。
少年はそれが心地よかった。
だからどれだけ周囲を信用しなくなろうとも、この風変わりな二人組だけは何となく信じられたし、光に集まる蛾の如く吸い寄せられてきた。
「あぁ、キミがそうなんだな? 酷い奴だなぁ、コイツの勇気を踏み潰してくれたんだろ? でも心配しなくてもコイツは全然気にしないってさ?」
「ある意味でアナタのお陰で色々と吹っ切れた様ですからね。
まぁそれでも先輩はそれなりに傷ついたらしいので、この恨みは貴女には関係のないそこら辺の誰かに何かして晴らすことにします。だからアナタは悪くない」
「ひっ!? な、なん……なの……!?」
「あぁ、お前は悪くない。身の程知らずにその気になってコクったのは俺で、お前はそれをわざわざお友だちにバラしてそなままクラス中にぶちまけられただけだから全部悪くないな」
ある意味自分の理想とする化け物二人に……。
何時出会ったのかも一々記憶しちゃいないし、どうでも良い。
自分の失敗を責めず、全てを受け止めてくれるこの二人さえ居たら何も怖くなんかない。
だからこそ少年はゆっくりと二人の気質に感化されていく。
「あらら、転校したってさあの子」
「どうかしたんですかね?」
「多分俺達のせいだと思うし、もっと言えば俺と一誠を除いたクラスメートが全滅してる事に何かリアクションは無いのかよ……白音は一個下だけど」
少年の名は八幡と言った。
「高校? あー……うん、俺は卒業しないままちょっとあって行ってないな」
「私も同じく。一度先輩に殺され掛けてからは自動的に」
「じゃあさ、アレだ……せ、せ、折角だから一緒の高校とかどうよ?」
「何吃ってんだよ? 俺は別に良いぜ?」
「やっとたどり着いたド平和な世界ですからね、どうせなら高校生をやり直すのも悪くないかも」
そして何かを諦めてしまった少年をイッセー、執念でたどり着いた少女を白音といった。
ちなみに年齢も経歴も不詳だった。
「はぁ? 犬助けようとしたら車に撥ね飛ばされた? ホントつくづく災難だなお前って奴は?」
「犬に罪は無くてついな……何とかならないか?」
「だとさ白音?」
「こういう使い方はあんまりしないのですが―――幻実逃否」
始まるは、化け物と出会ってしまった事で根本的に心の作りを変質させてしまった少年の小さくてほのぼのとした日常。
「で、退院したら見事にカースト最下位になっちゃったと? ホントマジでツイてないよなお前って?」
「一誠ともクラスは違うしで、白音はいっこ下だからまだ入学してないはで見事にボッチだよ。まぁ、別にどうでも良かったりはするけど家に小町居るし」
「妹ちゃんか? あの子も中々に中々だよなホント」
「俺の自慢の妹だからな」
不慮の事故で血飛沫撒き散らしたせいでまたボッチになった少年が織り成すイカれたハイスクールライフ。
「ボードゲーム研究会とかどうよ? それかモン◯ン研究会とか」
「一言目で却下されんだろうな」
「オカルト研究同好会なら微妙に何とかなりそうじゃありません?」
優しく腐っていく少年と、壊れた少年と一年遅れで合流したイカれた少女によるほのぼの。
「クラス担任に滅茶苦茶言われて奉仕部とかいう部活に強制的に入れられたんだけど……」
「はぁ? 部活の掛け持ちは禁止じゃないのかよ?」
「曰く『同好会だから問題ない』らしい……」
「あぁ、あの先生らしいというか何と言いますか……」
しかしそれでも八幡少年に課せられた運命は本来の道を進ませる。
「雪ノ下? ………ごめん、誰?」
「ほらアレだ、進学クラスの学年一位で……」
「あ………あぁっ! ―――――あー?」
「私は知ってますよ? 私より胸の無い人ですよね?」
「そうそう、白音は記憶力が良いなぁ」
「…………………………。本人を目の前にしてよくそこまで言えるわね……!」
時には学年一位をおちょくり……。
「クッキー作りたいだってさ聞きました八幡さん?」
「聞きましたよ一誠さん。何というか……ねぇ?」
「な、何かバカにされてる!?」
実は血祭りになった原因である犬の飼い主だと知らずにやって来たクラスメートだとすら覚えてない女子の依頼にヒソヒソしたり。
「よっしゃ出来たぜ八幡! これぞ某テニスのジャンプ漫画ばりの百錬自得の極みだぜ!」
「リアルに漫画が出てくるような真似すな!」
「おいおい、そんな事言いつつお前はなんだ? リアル才気煥発の極みじゃねーの?」
「いや、お前が単純だからだっつーの! 俺に出来るか!!」
『…………』
カースト最上位を平然と笑いながら踏み潰す何かを二人でやらかしたり。
「戸塚君に教える?」
「何故か頼まれたんだが……そこんとこどうよ部長さん?」
「…………アナタ達は奉仕部をただのボランティアだと勘違いしてる様ね」
「いや別にしてないぞ? 上から目線で手を差しのべて自分で解決させるのを促し、それが無理なら捨て置く部活だろ?」
「…………………」
基本的に押しに弱すぎるせいでテニスを教えたり。
「皆で使えば良いって考えは悪くないな。戸塚もそれで良いよな?」
「え……あ、う、うん……」
「「………」」
何か割り込んできたカースト最上位グループを別に理由も無いので取り敢えず混ぜ。
「やめたいって何だよ? お前等――えーっと名前は……まぁ良いや後で覚える事にして、お前等の方からコート使いたいって言って皆でやるって言ったんだろ? それを言うだけ言って三球くらいラリーして止めたい? それは酷い話だろ? テニス経験あんだろ? なら皆で戸塚に教えてやろうぜ? なぁ?」
「ふ、ふざけるなし! 気持ち悪いんだよアンタが!!」
「言うに事欠いて八幡に気持ち悪いんだよはねーだろ? なぁ戸塚君は八幡が気持ち悪いって思う?」
「えっと、僕は別に」
「ほら、こんな大人しい戸塚君は八幡を気持ち悪いだなんて思ってないんだぜ? …………差別するなよ?」
混ざって数分で後から混ざった白音共々ヤバイと悟った最上位達は逃げようとしたけど逃げられず。
「おーっし、折角だから軽く試合やろうぜ!」
「「………」」
関わるべきでは無かったと後悔し……。
「アナタ達のやり方はスマートじゃないわ」
「「サーセン」」
「私普通に合流しただけなのですけど……」
「いやぁ、しろねんも割りと酷いかも……」
ゆきのんに怒られ。
「なぁなぁ、雪ノ下に姉とかいたりするか?」
「!? 姉と会ったの!?」
「お、おぅ? そんな怖い顔されるとは思わなかったぞ? いや、白音と一誠と小町――あ、妹な? その三人とでカラオケでプリキュアメドレー歌った帰りにさ。
何でか俺達が雪ノ下の知り合いだって見抜かれてた」
「っ……そ、それで?」
「いや? 適当に返事してたら一誠見て怯えて去ったぞ?」
「お、怯えた?」
「ナンパしようとしただけなんだけどね俺……めっちゃ逃げられたわ」
ゆきのんの持つ高すぎる壁を知り……。
「扉の具体的な開け方は八幡から聞きな。だけどひとつ言っとくが、この超絶平和な日本でこんなものを持っても意味は無いぜ? あってせいぜい俺達の何かをちょいと理解できるとかか?」
「俺が!? 何で俺が……」
「ばか野郎!! 青春ラブコメってのを目の前で見せろ! 爛れたり逆レ◯プされるドロドロはもう嫌だ!!」
奉仕部の部長の手を無意味に掴んで引きずり込んだり。
「……………。自分って中身を今漸く知った気がするわ。ふふ……建前ばかりで逃げ続けてるという意味で」
「まぁ自覚できるだけ偉いんじゃね?」
「アナタに慰められたら私もおしまいね……あははは」
一誠と白音から八幡へ八幡から……一体何人が引きずり込まれるのか。
それはわからない。
マジで嘘です
補足
あくまでサブキャラというか、運悪くこんなのと出会ってしまったせいで螺子曲がり過ぎて逆に若干まっすぐになった八幡君が、無意識に引きずり込んだりする感じのお話。
カテゴリー的にはもろにマイナス。
マイナス能力は他人の傷を代わりに背負い、必要ならどこぞの誰かに押し付けるというキレやすい若者であるモノクルさんとは微妙に違う能力。
欠点、自分の傷は押し付けれないというやっぱり負けそうな能力。