色々なIF集   作:超人類DX

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すいません、兄貴ちゃんの心情を追加しました。


生徒会を執行する!

 実の所な話、俺は自活をしてたりする。

 別に実家が嫌になったとかそういう理由ではなく、早くに自立する精神を鍛えなければならないという……簡単に言ってしまえば我が儘の様なものだ。

 実家にある自分の部屋と同じ程度の広さのワンルームアパートを借り、飯から家事から何まで全て己の手で完墜さする。

 中々遣り甲斐のあるものである。

 …………。なんて俺の実生活の正体なんてどうでも良いか……。

 

 

「関係者以外の学園内の出入りは禁止なんだがな」

 

 

 本日も元気に生徒会を執行していたある放課後の時の話だ。

 美化委員会の人達との連携による『学園とその周囲の地域を清掃しまっしょい』を無事に終え、残りの仕事を片付けようと生徒会室で書類整理をしていた時の事だった。

 また例によって、毛色の違う気配を扉の向こうから察知し、例によって『遠慮せずに入ったらどうだ?』と声を掛けてみたら、明らかにこの学園の生徒じゃない面妖な格好をした黒髪の男が『やぁ』とそこの角でバッタリ出会いました的なノリで挨拶をしながらどっかりとソファに座り出したのだ。

 俺はこの学園の生徒の顔と名前を頭に入れている。

 故に、この目の前でニタ付きながら俺を見ている黒髪の男がこの学園の生徒では無いことは分かっており、だから今の様な台詞を彼に向かって口にしたのだが、この黒髪男は一切動じた様子は無かった。

 

 

「普通に事務所に行ってお前に用があると言ったら簡単に通してくれたぞ? ほら、来賓カード」

 

「なるほど、なら良いが」

 

 

 セキュリティが甘いなこの学園……これは今後反省すべき点なのだろう。

 しかし正規の手続きを経て入ってきたのなら追い出す訳にもいかないか……。

 

 

「それで何をしに来たんだ? 見ての通り俺は駒王学園の生徒会長としての業務に追われている身なのだがな」

 

 

 偶にしか会わん癖に、言ってくることは大概同じ。

 それがこの男の特徴であり、分かっていてても取り敢えず聞いてみると、やはりというか何というか…………。

 

 

「決まってるだろ一誠。お前を迎えに来たんだよ」

 

 

 で、あーる。

 キリリッと無駄に良い顔でそう宣う黒髪男に俺は『やはりな……』と大きくため息しか出ない。

 

 

「懲りない男だなお前は……」

 

「当たり前だ。お前程の男が此処で燻って終わるなど……俺が許さん」

 

 

 何が許さねぇだよ。

 お前の訳の分からない変な集団に加わってればその『燻り』とやらが無くなるとは思えんし、何よりだ……。

 

 

「この学園の生徒会長になれてからは十二分に充実していると実感している」

 

 

 そう、俺はこの学園の生徒会長。

 そして只の努力フェチだ。

 歴史に名を連ねた英雄の子孫でも何でも無い……只の兵藤一誠(アブノーマル)だ。

 だからお前の言う……何だっけ、英雄派だったか何だかのサークルとやらには入らんし、そもそも資格が無い。

 そう昔と変わらずハッキリと断ってやると、魏の王・曹操と同じ名を名乗るこの男はケタケタと笑い出す。

 

 

「はっはははははははは! 資格が無いねぇ?

お前は嫌味で言ってるつもりは無いんだろうが、ククッ……お前で資格が無ければ誰も資格なんか持ちはしないだろうな。俺も……そして俺の仲間もな」

 

「…………」

 

「病気のレベルで己を虐め抜き、そして間違いなく結果を残す。

得た才の全てに傲る事なく常に高めていく……間違いなくお前は英雄たる資格がある…………俺の隣に立てるな」

 

「買い被り過ぎだ曹操。

俺は単に『努力』をするという過程がどうしようもなく好きなだけで、その先に会得したモノは全て『結果』でしか無く、副産物でしかない」

 

「そう迷いなく言い切るからこそ、お前に俺の背を預けられる」

 

 

 曹操の子孫を名乗るだけはあるのか、中々に風格を感じさせる雰囲気を見せてくるんだが……なんというか……。

 

 

「野郎にそんな誉められてもな……」

 

 

 最高に微妙な気分だぜ。

 

 

「フッ、お前が女だったら間違いなく口説いてたぞ」

 

「気色悪いから止めろ。

ハァ、もう良いだろう? 何度来ようが俺は自分の考えを変えるつもりはねぇ。

ったく……どうしてこうも俺を買い被る奴が多いのか……」

 

「? どういうことだ?」

 

「ぁ? あぁ……生徒会長になったばかりの時にちょっとな……」

 

 

 リアス・グレモリー然り支取蒼那――ああ、本名はソーナ・シトリーだったか? 努力フェチってだけの変態をどうしてこうも買い被るのかが分からん。

 時たま現れては曹操と同じ様な事を言ってくる、正体悪魔なあの二人の顔を思い浮かべながら話すと、何やら曹操の顔付きが変わっている。

 

 

「悪魔共か……。チッ、一誠の性質に気付いてるのか? それとも本能で求めてるのか? どちらにしてもさっさとモノにしなければ……。コイツを敵に回したくはない……」

 

「? どした?」

 

 

 ブツブツと突然何だよ気持ち悪いね。

 とか密かに思いつつ見てると、曹操はこれまた突然ニヤリと笑いながら俺を見てくる。

 

 

「例え話だが、この学園が消えたら生徒会長じゃ無くなる訳だが、その後お前はどうする?」

 

「………………………………。どういう意味だ貴様」

 

 

 人材発掘が趣味であり、その為には何でもすると初めて出会った時に言ってた曹操のニヤリとした笑みを浮かべたその言葉に、俺の声は自然と低くなる。

 仲間とやらにならければこの学園が消えるという脅し文句のつもりなのか……いや、どちらにせよやることは決まっている。

 

 

「やってみろよ……。

お前は俺より強いかもしれないし、不思議な力を持っている……。

しかし、強かろうと何だろうとお前がそのつもりなら俺は――」

 

「ばっか、冗談に決まってるだろう? お前を勧誘したいのに、お前を敵に回してどうするんだよ……」

 

 

 洗脳も何も通用しないしなお前は……とか何とか言うが、ホントなのかどうか……。

 

 

「……。良いだろう。信じるからな?」

 

 

 が、俺は信じる。

 こういう時のコイツは嘘付かないからな。

 まあ、嘘だったら友達やめるが。

 

 

「……。そうやって直ぐ人を信じる癖……何時かお前にとって災厄になるかもな……」

 

「うるせーな。ほっとけ」

 

「クックックックッ……口調が昔に戻ってるぞ?」

 

 

 黙れ、殴るぞコラ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 小うるさい曹操を追い出してから再び書類整理戻り、一息入れる所まで終わらせた。

 

 

「ふぅ……」

 

 

 書記でも居たら少しは楽なのかね……なんてボーッとしながら右腕にある腕章を見つめる。

 未だ俺以外の生徒会役員は見つからない。

 探しては居るんだが、どうにもピンと来る人材が居ない………………………って、どうにも曹操っぽいなこの思考。

 

 

「せめて副会長以外の役員をさっさと決めてしまいたいな……」

 

 

 副会長は最悪兼任しても何の問題もないから良いとして、今の独り言の通り『庶務』『会計』『書記』は欲しい。

 正直な所、一人で全て兼任するにも限界があるんだよ。

 

 

「松田と元浜…………は、無いな」

 

 

 一瞬だけあの二人が頭に浮かんだものの、あの二人の生活態度からして無理と判断して却下する。

 うーむ、何かこう……ティンと来る者は無いのか。

 

 

「下剋上を企ててくれそうな兄貴を誘ってみたら思いっきり断られてしまったしなぁ」

 

 

 『ふざけんな、誰がお前みたいな化け物とツルめるか!』と言われたぐらいだしね……。

 しかしだからといってこの学園の生徒じゃない者を生徒会に誘う気は一切無い。

 だって駒王学園の生徒会だぞ? この学園の生徒じゃ無ければまるで意味がない。

 

 

「俺と競ったソーナ・シトリーが最も有力だが、向こうの誘いを断っておきながらこっちが誘うのはなぁ……。リアス・グレモリーは部活の部長って事になってるし」

 

 

 中々どうして……俺って奴は人望が無いのかもしれんな。

 

 

 

 

 "生徒として困ったことがあったら相談を受け付ける"と、彼が言ってたのを思い出した私は、本当に困った事態に遭遇してしまったので彼が居るだろう生徒会室に訪れると、何やら一人で考え事をしている様子だった。

 盗み聞きするつもりは無く、丁度のタイミングで聞いてしまった独り言から察するに、どうやら彼は役員を欲しているらしいが、私の姿を見るや否やすぐに何時もの表情になって私を迎え入れた。

 

 

「おっと、ぼーっとして済まないなグレモリー三年よ」

 

「いえいえ、何やら人手不足にお悩みの様だけど?」

 

 

 悪魔と敢えて正体をバラした後でも変わらず、あくまでも学園の生徒として見てくる彼に対して、少しだけ意地悪だと思いつつも言ってみる。

 すると彼は、セーヤそっくりながら何処か違う苦笑いを浮かべる。

 

 

「情けないところを見られたか……。

うむ……しっくり来るような人材が居なくてな……。

この学園の皆はやるやると言ってくれてるが、それだけで頼んでしまうのも何か違う気がする……そう思っててな」

 

 

 人望が無い? いや、それは違う。

 彼は何処までも優秀すぎる。

 だから、誰もが彼の隣に立とうとするのを後込みしてしまう。

 現に私もそうだ……人でありながら何処までも気高い。

 初めは私もソーナも眷属として彼を手にしたいと思っていたが、よくよく考えたらそれはとても勿体無い事だ。

 人間も此処まで突き詰めれば目の前で困った様に笑っている彼の様になれ……そしてこれからも成長し続ける。

 その可能性を高々悪魔の、それも転生させた一つの駒に落とすだなんてなんたる傲慢。

 彼は人であるべきなのだ、人間で人間の為に人間のまま……これからも頂を昇り続けるべきなのだ。

 だからもう私は彼を勧誘したりはしない。

 セーヤとは違う色を持つ彼がこの先人間のまま何処まで成長するのかを見てみたい。

 

 ………。まあ、今回はそのセーヤに関しての相談だったりする訳で……。

 

 

 

 

「? 兄貴がシスターと?」

 

「ええ……」

 

 

 油断してる所をリアス・グレモリーに見られてしまった……反省せねば――なんて思いながら、彼女が持ってきた悩み事の相談を受け付ける為に話を聞く。

 すると、その悩みの種とやらはどうやら兄貴にあるらしい。

 依頼受け付け専用ソファに座るリアス・グレモリーの話によると、悪魔に転生した筈の兄貴が、種族としては天敵とも言うべき天使の位置に属する教会のシスターと仲を深めているらしい。

 

 

「なるほどな……しかしそのシスターは兄貴を消すという考えを持ってる訳では無いのだろう?」

 

「まあ、そうだと思うけど。それでもかつての戦争で疲弊し、三大勢力も今は互いに睨みを利かせた拮抗状態。

そんな状態でもしセーヤが何かしてしまってそれが崩れたら、また戦争になってしまうかもしれないという所を恐れてるのよ」

 

「なるほどな……」

 

 

 兄貴。

 結局彼が何者で何を考えているのかは俺に掴める所が無かった。

 いつの間にか悪魔に転生してたらしいが……ふむ。

 

 

「一応、転生する前に今言った事を教えといた筈なんだけど……」

 

「ふむ……」

 

 

 つまり命令違反か……そのシスターに対してほっとけない事情でもあるのか……でなければ兄貴が命令違反をするとは思えん。

 よし……。

 

 

「どうしたの?」

 

 

 懐にしまっておいた扇子を広げながら席を立つ俺を、リアス・グレモリーがキョトンとした顔で見てくる。

 

 

「論より証拠。

百聞は一見にしかず。

実際に見た方が早いし此処で話を聞いただけでは人間でしかない俺には、貴様等の種族間のイザコザはイマイチよく分からん。

故に、今から兄貴とそのシスターとやらの様子を観察しようと思う」

 

 

 こういうのは見てからでは何とも言えない。

 運の良いことに、管理委員会から渡された部費予算の振り分け修正も終わらせた処で暇をもて余していた所だ。

 それに……。

 

 

「最近、どうも街中の空気に不穏な気配を感じるからな……。

パトロールを兼ねて少し外を視察をしてみたかった」

 

 

 何か……漠然的で言葉に現せないが、嫌な予感がするのだ。

 街が見えない黒い霧で覆われた様な……そんな感覚がな。

 

 

「引き受けてくれるのね? ありがとうイッセー」

 

「まあ、悩んでる者もその中身もこの学園の生徒だからな……さて」

 

 

 この様な事態に遭遇した時の為に用意していた生徒会専用の制服を設置しておいた箪笥から引っ張り出す。

  中々凝った作りになってる駒王の制服とは違い、生徒会役員のみに配布予定で夜なべしたこの制服は男子は学ラン風、女子ならセーラー服風に仕立てており、冬場温かく夏は涼しくを追求し、時速90㎞のトラックからの衝撃を94%程カットする特殊素材だ。

 名は……………………別に無い。

 

 

「と……突然服なんて脱いでどうしたのよ?」

 

「む? ああ、生徒会執行用にコスチュームチェンジするのだ。しばし待て」

 

「あ……そ、そうなのね……。でも私、一応女のつもりなんだけど……」

 

「ん? だからどうした、そんなもの見れば分かるだろ」

 

 

 何だ急に狼狽えたと思ったら、当たり前の様な事を……。

 アンタが女なんて誰が見ても分かるだろ。俺はガキじゃねぇぞ。

 

 

「いやそうじゃ無くて、異性の目の前で裸になってる事についてアナタはどうも思わないのかしら?」

 

「は?」

 

 

 余所見しながらそんな事を言ってくるリアス・グレモリーに俺は頭に?を浮かべまくる。

 

 

「よく分からんが、頑張って鍛え上げたこの肉体を他の者に見られても俺はどうとも思わん!」

 

 

 太過ぎず細過ぎず……スピードを殺さない様にをコンセプトに鍛え上げたこの肉体は密かな自慢だ。

 まあ、師匠にしばかれて所々引っ掻き傷はあってちょっと情けないが、それでも自慢は自慢だ! と、まあ両手を広げながら見せ付ける様にして余所見しつつ時折見てくるリアス・グレモリーに言ってやると、何故か思いっきり呆れられた。

 

 

「……。アナタはセーヤとやっぱり違うわ。

どちらかと言えばアナタは天然ね……。

ま、良いけどとにかくお願いね?」

 

 

 サラピンのYシャツに袖を通し、その上に自作の学ランを着込んでボタンをキチッと閉めた処で、リアス・グレモリーは呆れた表情のままソファから立って部屋から出ようと背を向けている。

 どうやら帰るつもりらしいが……。

 

 

「何を寝惚けた事を言ってるんグレモリー三年よ。

当然貴様も来るんだぞ?」

 

 

 さっさと帰ろうとするリアス・グレモリーの頭を掴んで阻止する。

 

 

「ぇ? な、何で!?」

 

「何故だと? おいおい、貴様こそ何を勘違いしている。

俺はその者の持つ悩みを解決する手助けをするつもりでいるが、代わりに解決するつもりは一切無い。

第一、兄貴は貴様の眷属だろうが。

その主なら部下の面倒を最後まで見ろ」

 

「いだだだだだ!?!? ちょ、痛いから! 頭が潰れっ……!」

 

「おっとすまん」

 

 

 帰さんとついつい力を入れてしまった。

 物凄い声を出しながら痛がるリアス・グレモリーに対して申し訳なく思いながら手を離すと、リアス・グレモリーは両手で掴まれた箇所を抑えながら涙目で俺を睨んでいた。

 

 

「あ、アナタ……なんて力してるのよ……。

人間の腕力じゃ無いわよソレ……」

 

「筋肉断裂しても鍛え続ければこの程度なら人間でも可能だ。

どうも貴様等は力が強いらしいが、この地球の覇権を握った人間を余り舐めない方が良いぞ……っと、その前に済まなかったな? 大丈夫か?」

 

「良いわよもう……。ハァ……頭の形とか変わって無いわよね?」

 

「うむ問題ない。美人のままだ」

 

 

 そもそもそれなりに加減したし、悪魔は頑丈だからな。

 

 

「なら行くぞ。先ずは兄貴の様子を見に――――生徒会を執行する!」

 

「……。一応お世辞は言えるのね……」

 

「あ? 世辞じゃない。思ったからそう言っただけだ。早く来い」

 

「わかったわよ、人間で此処まで私を振り回せるのはアナタくらいなものね……でも、フフ……」

 

 

 何やかんやとあったが、漸く生徒会を執行できると張り切る俺は、何かニヤニヤしてるリアス・グレモリーと共に、兄貴がそのシスターとやらとよく会う公園とやらに向かうことにした。

 兄貴……まともに会話が成立すれば良いが。

 

 

 

 

 赤龍帝の籠手……それが俺の神器。

 しかし、この力を持ってても俺は弟に負けた。

 いや、勿論フルに使った訳では無く、然り気無くでも使ったから全力では無いにしろ奴は……。

 

 

『はっはははは! 流石だな、特に何をしてる様子が見えずとも、そこまで強いとは!

クックックッ……それでこそ積み上げて来た甲斐が……ある!!』

 

 

 悪魔に転生し、赤龍帝の籠手を持ってた。

 単純な戦闘力なら俺の方が上の筈……なのに奴は笑いながら向かってきた。

 茶髪の筈の髪が真っ赤に変色し、その瞳は獲物を狙う鷹の様……。

 そして何より、その動きは人で無かった。

 

 

『避けてくれよ兄貴……。これは俺の師匠の友人が使ってた技らしく、教えられた俺はまだ力加減が上手く出来んからな……!』

 

 

 そう笑って言った途端、大気が破裂する音と共に奴の姿が消え――

 

 

『グボァ!?』

 

 

 俺の身体は人形の様にぶっ飛んだ。

 

 

『自分の身体を亜音速と化し、そのまま相手にぶつける必殺技。

まあ、俺は教えられた時から更に改良を加えて亜光速化に成功させた……加減は出来んがな。

名を黒神ファントムと…………え、兄貴!?』

 

『が……か……』

 

 

 何を言ってたのかその時死にかけた俺には解らない。

 肋骨と内臓を破壊され、まともに呼吸も出来ない。

 その時俺はわかった……コイツは、何時か殺さなければならない化け物なんだと。

 

 

『す、すまん〇〇〇。珍しく兄貴が『遊んでやる』と言ってくれたもんだから……』

 

『あーらら、おいおい……めだかちゃんの必殺技(フェイバリット)を使ったのか? 加減出来ない内は使うなと教えた筈だろ? まったく……』

 

『う、うん……』

 

『異常性に覚醒したのは良いが、キミの異常性はキチガイレベルだぜホント。

取り敢えずに彼に今死なれたらちょっと困るし、僕が治すけどよ……。

彼にはキミの身代わりになって貰い、キミは主人公(イッセー)として僕と対を為す本当の意味での悪平等(ノットイコール)になって貰う為とはいえ、これからは気を付けろよ?』

 

『おっす……』

 

 

 そこからの記憶は曖昧で、アレだけの負傷が一晩で無くなっていた理由は最後まで分からなかった。

 只一つ……。

 

 

「本気を出せば勝てる……あんな化け物に俺が……」

 

「セーヤさん……?」

 

「……。あ、いや何でもない……。

さて、今日は何処に行きたいアーシア?」

 

 

 そうだ……俺はまだ負けた訳じゃない。

 この赤龍帝の籠手を禁手化――いやその先の領域である覇龍まで覚醒させれば刹那で……殺す。

 そんな事を最近知り合ったシスターの少女であるアーシアに内緒で密かに考えながら、俺は今日もリアス部長に内緒で会いに来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「む……相変わらず兄貴はモテモテだな」

 

「あら羨ましいの?」

 

「羨ましくねぇと言えば嘘になるが……俺の師匠が『おい、オメーを此処まで育てたんだからハーレム王になるなんてほざくなよな?』と、ドキッとする笑顔で言われてしまってな……。

別にハーレムなんて目指したつもりは無いが」

 

「何なのよ、アナタの師匠って……?」

 

「……。何処までも魅力的で、どこまでもスゲー女かな――む、兄貴達が動き出した……行くぞグレモリー三年。

ふふ、実は他人を尾行するのは初めてで少しだけワクワクしてたりする」

 

 

 その背後で、赤髪の美女と誠八とそっくりな顔をした美男子に尾行されていた事に、誠八は知り合った金髪の美少女と一緒に居て少しだけ浮かれてたせいで気付いてなかった。




補足
師匠はつまり……そゆことでした。

ちなみに、巻き込まれ体質はべらぼうに高いです。
例えば師匠大信者に嫉妬されたり、テロリスト集団の幹部的な人になってるとは知らずに友達やってたり、ベクトルこそ違えど、同じ無限の力を持つ幼女にどうのこうのされたり……。

なんてね

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