色々なIF集   作:超人類DX

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別に引き延ばしをしてる訳じゃないという言い訳をかましとく。


オーフィスとぜったいにいっしょ

 普通なら無関係だと切り捨てるべき事だった。

 オーフィスと共に生き続ける目標だからこそ関わりたくないと避けてしまえば良かった。

 

 けれど結局の所一誠はリアス達に力を貸している。

 それは何故か……?

 

 同じ喪失感を持つもの同士だからだ。

 

 

 

 

「最近までこの街に複数の堕天使が居たのを知ってる?」

 

「さぁ? 確かに最近までそんな気配はあったってオーフィスは言ってましたけど、別に関係もなかったし……」

 

「そうね、それが正解よ。

それでその堕天使達の事なのだけど、ここ数日街から居なくなってるみたいなのよ」

 

「へぇ、それで?」

 

「うん、一応何かあったら実家から色々と言われるから変装しながら探ったりしたのだけど、どうもその堕天使に二人の神器使いが仲間みたいに加わってる様なのよ」

 

「神器使い? ……。続けてください、特徴は?」

 

「一人はシスターの様な格好をした女の子で、一人は……よくわからないわ。

この写真で確認する限り私達に歳が近いみたいだけど」

 

「どれどれ、一人は女で一人は銀髪で左右の目の色の違う色男? 昔どこかで見たな、こんな顔の奴」

 

「やはり黒だと?」

 

「さぁ……コレだけでは何ともね。

ただ、街から消えたのならこの件は保留にした方が良いですね、貴女の柵を何とかする方が先決ですから」

 

「わかったわ」

 

 

 次から次へとそれらしき存在が居る。

 その時点でリアス達は疑心暗鬼だし、一誠も神経質だ。

 

 

「父さんと母さんを殺したクソ野郎一号と、オーフィスに欲情した二号をぶち殺してハイ終わり……と思ってたけど、改めて視界を広げてみるとうんざりしますね」

 

「本当よ。この世界はどうなってるのかしら……何故この世界にそんな存在が沢山……」

 

「それこそ何処に居るかもわからない転生神をぶっ殺さないとこれからも沸いて出てくるでしょうね………ハァ」

 

 

 学園の生徒の中にも居るかもしれない……という事で表向きは互いに素知らぬフリをする一誠とリアス達が唯一素で話せるのがこの放課後の時間。

 細心に細心を重ねて学校外で集合し、街の外れで転生者対策の為に細々と活動する。

 まるで指名手配犯の逃亡生活のように……。

 

 

「げほげほ……」

 

「うぅ、ただいま戻り…まひた……」

 

「も、もう歩けない……」

 

 

 それが正しいかどうかなどはどうでも良い。

 大事なのは誰からも干渉されない安心安全な生活の為と、転生者による呪縛からの解放。

 その為にはまず転生者と対峙できる――最悪逃げられるだけの力を得る事。

 

 

「力の程を確認した。

今のままだと奴等に勝てない」

 

「……そうか」

 

 

 だから今一誠とリアスが転生者対策の話し合いをしたる最中、祐斗、小猫、朱乃の三人はオーフィスによって鍛えられていた。

 それはもう殺さない程度の加減でのスパルタで。

 

 

「ウ、無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)の凄さはお伽噺でしか聞かなかったけど、姿が僕達に近くてもそれは本物なんだね……」

 

「我は一誠と共に生きる為にこの身体になっただけで力は落ちていない。

寧ろ我は日々進化する」

 

「進化って……」

 

「オーフィスの言ってることはハッタリじゃないぜ。ていうか、そうで無ければ俺達は生き残れなかった」

 

「ふ、ふふ……これでも鍛えたつもりでしたが……」

 

「それは鍛えてくれる者が居なくて完全な我流だったからだろ? グレモリー先輩はある程度兄だか何だかを参考したから頭ひとつ抜きん出てはいましたけど……」

 

「それでも姉に比べたら劣化模倣品扱いよ」

 

「ソイツさえ居なければアンタにも『自信』というものを備えてたんでしょうけどね……。つーか神とやらに貰った力で粋がる奴ばかりだな。

例の神代にしてもそうだったけど」

 

 

 うつ伏せで倒れ込むを流し目気味にオンボロのソファに座っている一誠はため息混じりに愚痴る。

 ちなみに今彼等の居る場所は街から少し外れた放棄された大きな倉庫であり、どうやら不良の溜まり場だったらしく、どこぞの不良漫画のアジトみたいなテイストだった。

 化け物が出てくるという噂と実際に溜まり場にしていた不良の何人かが行方不明になった為、今では人っこ一人寄り付かなくなった曰く付きの場所らしいが、実際その化け物がはぐれ悪魔で利用するに辺りリアス達が退治したという背景があったとか。

 

 

「良い指導者が居ないのは辛いな。

俺は相当に恵まれていたのがこれでよーくわかった」

 

「オーフィスにこれまで鍛えて貰っていたの?」

 

「最初は我が指導したが、現在は我もイッセーから学ぶ事も多い」

 

 

 回復を待つ間のちょっとした休息のつもりか、オーフィスがイッセーの隣に座ってもたれかかりながら力をつけた理由を簡潔に話し、リアスも成る程と小さく呟きながら頷く。

 確かに無限の龍神であるオーフィスに何年も鍛えられたともなれば強くなれるのに納得できる……イッセーが純人間のカテゴリーなのが解せないもののだ。

 

 

「神器はないのでしょう? それなのにあの水準(レベル)なのは……」

 

 

 本当にイッセーは人間なのか? と、思わず口から出そうになったリアスだったが、その前に他ならぬイッセーの声にかき消される。

 

 

「ところで、グレモリー先輩が何時も校内をこのメンバーで練り歩いてるのは知ってますけど、他に仲間は居ないんですか?」

 

「え? ええ……そうだけど」

 

 

 後からこれも仲間だからと言われても信用しないぞ? といったものを感じる目で見据えられて少し狼狽えながらリアスは頷き――――――その瞬間苦虫を噛んだ顔をする。

 

 

「ごめんなさい、正確に言えばもう一人居たわ」

 

「その人物は今居ない様ですが?」

 

「ええ……居ないわ」

 

「何で?」

 

 

 何時に無く辛そうな顔をするリアスにオーフィスも気になったのかいっしょになってジーッと見据える。

 もう一人居たとされる仲間……学園では見た記憶も無いので同年代では無いのかと思っていたイッセーだが、リアスのこの顔を見る限りそういう理由で居ない訳では無さそうだし、そもそもこうしてわざわざ薄汚い倉庫に来てるのだから呼び寄せてる筈だ。

 

 それが無いということは………イッセーは段々と嫌な予感がしてきた。

 

 

「僧侶の駒の子だったのだけど、私の力量では制御できないと実家の者達に言われてね。

制御できる日が来るまでは表に出さない事にしていたけど、姉なら制御できるという事で駒のトレードシステムを使ってその子は姉の僧侶になったわ」

 

「嫌な予感って当たる時は当たっちゃうもんですね」

 

「そいつは何て?」

 

「その子は特に転生者に何かされた訳じゃなかったし………まぁ、その、姉に懐いたみたいで喜んでたわ」

 

「ふ~~ん?」

 

 

 まーたリアスの姉の転生者か……と聞く度にうんざりしてくる展開にイッセーはいつの間にかフラフラと立ち上がった小猫、朱乃、祐斗に気付く。

 

 

「ギャスパーという女の子っぽい男の子で、怖がりな子でした。

けどある日部長よりメリーナ様と一緒なら何もしなくても怒られないからと言って……」

 

「メリーナって誰? ……あぁ、グレモリー先輩の姉の名前ね。

なるほど、大体わかりました、つまり他には居ないんですね?」

 

「ええ……」

 

 

 要するに女顔の男だから無理にでも手元に置いておきたかったのだろうと、今初めて聞いたリアスの姉の名を頭の中で復唱し、嫌悪を露にする。

 

 

「明日だったかに先輩の婚約者とやらと会わなきゃならないらしいし、俺ならやってらんねーと逃げちまいそうですわ」

 

「その事なんだけど……その、嫌だったら勿論断ってきくれて構わないのだけど、明日出来たら私達と一緒に居て欲しいのよ」

 

「は?」

 

 

 その嫌悪を抱く転生者と顔を合わせなくてはならなくなる訳だが。

 

 

 

 

 

 メリーナが優秀であるという理由でリアスはグレモリー家のスペア扱いだったし、周囲からもそう見なされていた。

 つまり此度の婚約についても、純血の数が減った対策といった理由であり、相手方であるライザー・フェニックスもリアスをそういう目でしか見ていなかった―――

 

 

「いくら実家からの命令だとしても私は嫌!」

 

「チッ、聞き分けの無い。

俺だって娶るならメリーナの方が良かったのにお前で我慢してやってるんだぞ?」

 

「それが嫌だと言ってるのよ!」

 

 

 と、イッセーは考えつつ、尊大な態度を崩さない男悪魔と口論を繰り広げているリアスを怒りを堪える眷属達と共に眺めていた。

 

 

「我、アイツ嫌い」

 

「確かに友達になりたくないタイプだよな」

 

 

 長い黒髪を目深く被っている帽子に隠し、牛乳瓶の底みたいな伊達の分厚い丸眼鏡を掛けた――というよりは、ソファに偉そうに座ったホスト臭溢れる男の性格をリアスから聞いて心配になった一誠がこれらの変装をさせたといった方が正しいのだが、とにかくジャージ上下姿の干物女スタイルのオーフィスの言葉に一誠も声小さめに同意していた。

 

 

「そんなに嫌なら姉に話を持ち込めば良いじゃない!」

 

「ふん、そんなものとっくにしたに決まってるだろ? だがお前と違ってメリーナは優秀だ」

 

「ぐっ……!」

 

 

 貰い物の血筋と力と立ち位置をしっかり利用してる様で吐き気がするぜ……と、まだ見ぬメリーナなる存在に対して内心毒づきながら、一誠は目立たぬ様にオーフィスと手を繋いで只眺める。

 

 

「お前とてフェニックス家に嫁げるのだからありがたいと思えよ? 落ちこぼれだが顔と身体はメリーナの双子の妹だけあって似てるし、可愛がってやるぜ?」

 

「最低ね……アナタ……!」

 

「ふん、グレモリー家の血を引くだけの落ちこぼれ風情が俺に――」

 

 

 軽蔑を通り越して嫌悪しか抱いてないリアスの一言にライザーは鼻を鳴らすだけで堪えた様子は見られず、どこまでも尊大な態度のままリアスに対して再び落ちこぼれと罵しったその瞬間、部室内に新たな魔方陣が出現する。

 

 

「ライザーお兄様!」

 

「ん、レイヴェル?」

 

 

 転移と共に姿を見せたのは金髪碧眼の気の強そうな目をした少女であり、どうやら名はレイヴェルでライザーの反応を見る限り実の妹の様だ。

 突然の出現にライザーは多少驚いた様子で妹の名を呼ぶが、明らかにレイヴェルの表情には怒気が込められていた。

 

 

「別の場所からこのお部屋の様子を伺ってましたが、その態度はあまりにも失礼ですわ!」

 

 

 そう言いながらちょっと驚いてるリアスの横に立ち、深々と頭を下げる。

 

 

「兄が申し訳ありません……!」

 

「い、いえ……別にアナタが謝る必要は――」

 

「そうだぞレイヴェル。俺は事実を言ってるだけだ」

 

「お黙りなさい! 何も知らないくせに他者を侮辱するなど恥を知ってください!!」

 

 

 意外なリアスの援軍に少しばかり話し合いの場となってるオカルト研究部の部室内の空気が奇妙なものへと変わっていく中、事の成り行きを眺めていた一誠は意外に思っていた。

 

 

「初めてグレモリー先輩に対して庇う悪魔を見たかも……しかもあのホスト崩れの身内ってんだから意外だわ」

 

「多分あの悪魔はまともなのかもしれない」

 

「まともどころか唯一かもしれない部長にとって味方な人です」

 

「ん? キミ達も知ってるのか? あの金髪縦ドリル悪魔を?」

 

「ええ、メリーナさんでは無く純粋にリアスを慕ってくれる方ですわ」

 

「僕達も何度か顔を合わせた事があるんだ」

 

「へぇ……?」

 

 

 眷属達もそこまで言うならまだマシなタイプなんだろうと一誠はライザーに向かって声荒めに捲し立ててるレイヴェルなる悪魔を他人事の様に眺める。

 結局このレイヴェルの出現により話し合いは明日へと中断され、ライザーはグレモリー家のメイドらしい銀髪の悪魔と共に冥界へと撤収した訳だが、何故かそのレイヴェルは部室に残り、ライザーが完全に帰ったのを確認するや否や全力でリアスに謝罪し始めた。

 

 

「ご、ごめんなさいリアスお姉様! 兄がお姉様に失礼なことばかり……」

 

 

 先程と違ってほんの少しだけ口調が砕け、お姉様と呼びながらただただ半泣きになって謝るレイヴェルにリアスは微笑みながら首を横に振る。

 

 

「大丈夫よ、ああいう事を言われるのは慣れてるから……」

 

「で、ですが……」

 

「それよりレイヴェルの方が心配よ。ライザーにあんな事を言って大丈夫なの?」

 

「問題ありませんわ。

リアスお姉様にあんな事を言う兄などし知ったことではありません」

 

 

 言われ慣れているからという所でかなり哀愁の漂う雰囲気を醸し出すリアスに聞いていた一誠とオーフィスは再び同情する。

 

 

「私の事は良いからレイヴェルも早く帰った方が良いわよ?」

「お姉様をバカにする兄の居る家には帰りたくありませんし、一晩此方でお泊まりさせてください」

「それは構わないけど……本当に大丈夫なの?」

 

「大丈夫ですわ。どの道また明日になれば話し合いの続きをしますし……」

 

 

 リアスが罵倒されて余程悔しかったのか、身体をわなわなと震わせるレイヴェルをリアスは大丈夫だから繰り返しながら優しく抱き締める。

 

 

「ところで、そちらの方達は?」

 

 

 そんな状況も重なっていたのだろう、実はずっと空気と同化する勢いで影が薄かった干物スタイルのオーフィスと普通の学生スタイルの一誠に気が付いたレイヴェル。

 

 

「えっと……」

 

 

 そのレイヴェルの質問にリアスは返答に困りながらある意味逆に目立つ風体のオーフィスと、手持ち無沙汰そうにしている一誠を、姉では無くて自分を慕ってくれたレイヴェルにどう説明したものかと迷う。

 

 転生者について何も知らないレイヴェルにその話をする訳にもいかないし、かといって無限の龍神の人間態と正直に話したところで信じて貰えるか微妙だし、逆に信じたら驚いてしまう。

 

 

「単なる友人その1」

 

「同じくその2」

 

「はぁ、リアスお姉様達のご友人の方でしたか。挨拶が遅れて申し訳ありませんわ」

 

「いえいえ」

 

「気にしなくても良い」

 

 

 そんなリアスの迷いを察知したのか、毒にも薬にもなりそうにもない自己紹介をする一誠とオーフィスに、リアスの事に関しては疑う事を知らないのか、あっさりとそれを信じてペコリとお辞儀をするレイヴェル。

 

 

「白音さんも朱乃お姉様も祐斗さんもお元気そうで安心しましたわ」

 

「うん」

 

「わざわざご心配してくださいありがとうございますレイヴェル様」

「来訪を心より歓迎しますわ」

 

 

 勿論リアスの仲間達にも挨拶を忘れず、呼び方が完全に下の名前な辺りどうやら三人との仲も悪くは無いらしい。

 

 

「しろねって誰?」

「さぁ? あの白い子に向かって言ってたのを見て想像するに、あの子の本名か何かじゃないの?」

 

 

 本当の所は迂闊に信用はしない方が良いと思う一誠だが、リアス達のレイヴェルに対する歓迎っぷりを見て、それを口に出すのは流石に無粋と感じ、隅っこでオーフィスと大人しくする事にした。

 

 

「許せません、いくら兄だとはいえお姉様を侮辱をしたのは……!」

 

「言われ慣れてるし、私は平気よ」

 

「しかし、お姉様は日々努力をなさっているではありませんか! それを知らないで勝手な事ばかり……! 今は兄の僧侶なんてやらされてますが、本当なら今すぐにでも放棄してやりたいですわ!」

 

 

 余程怒りを溜め込んでいたのか、貴族の令嬢とは思えない食べっぷりでケーキをどか食いしながら実の兄に対してやリアスを見下す他の悪魔達に文句を言い続けるレイヴェル。

 

 

「レイヴェルは部長の事が大好きなんです」

 

「だから部長がバカにされると本気で怒るんだ」

 

「それが私達にとっても珍しくて、仲良くなるのにも時間が掛からなかったのです」

 

「ふーん?」

 

「確かにあの悪魔の心に嘘は無い」

 

 

 然り気無くリアスに対する周囲の叩かれ方が冥界では理不尽レベルであることを知りつつ三人からの補足を聞いて適当に相槌をしている一誠とオーフィス。

 

 

「明日またここで話し合いが行われるとの事ですが、明日は初めから同席させて頂きます。

それでもしまたお姉様を侮辱する様なら私にも考えがあります」

 

「考えって……お願いだからアナタの立場が危うくなることだけはやめてレイヴェル」

 

「大丈夫です、元より上部だけでしか判断できない実家にはうんざりしてましたので」

 

 

 

「いっそグレモリー先輩の姉とやらがやった様に、あの子をトレードとやらで引き込めば良いんじゃないか?」

 

「それが簡単にできたら苦労はしなかったですよ。

部長は立場は貴族ですけど、理不尽な程に周りから叩かれてますから……」

 

「何で?」

 

「我が儘だとか、実力が伴わないのに口だけは達者とか……」

 

「我儘? 俺はそうは見えないけどな」

 

 

 この少女の登場が、明くる日更に話が大事になるとは――

 

 

「あ、あのー……レイヴェル? 私も会えて凄く嬉しいのだけど、そんなに抱き着かれるとちょっと恥ずかしいわ……」

 

「お姉様は人間界の学校に行ってしまわれて頻繁に会えなくなってしまったのですよ? 私は寂しくて……」

 

「それを言われると弱いわね……」

 

「それにお姉様は暖かいし良い匂いがして落ち着きますの……」

 

「うーん……」

 

 

 リアスに懐きまくりなレイヴェルの姿を見て何と無くの嫌な予感で感じてしまったのはきっと気のせいでは無いのだろう。

 

 

終わり

 

 

 

 如何にして苦しませてから殺すか、如何にした絶望させてからあの世に送るのかというやり方だけは天才的ともいえる一誠。

 特にオーフィスにちょっかいをかける輩に対しては普段の倍は如実に顕れる。

 

 

「あちゃあ……腕と足がちぎれちゃったな? 痛い? 痛いよな?」

 

 

 自分は決して善人では無い自覚があるからこその思いきりの良さ。

 それが一誠の持つ進化の異常性を完全に引き出せる理由であり強味だった。

 

 

「どうしてどいつもこいつも大人しく隅で震えてれば良いものを、ちょっかいをかけてくるかなぁ? 転生する奴の脳みそはノミ以下なのか? え?」

 

 

 容赦なく腕をもぎ、足を引きちぎり、喉を破壊し、顔面の皮を剥ぐ。

 

 

「しかも何ダラダラとしてる訳? お前、戦ってる相手にわざわざテメーの強化変身的なものをまって貰えるとか思ってるの? テレビじゃあるまいし、そんな訳がないだろ?」

 

 

 例えば何かを使って変身する相手が居たとしても、そのプロセスをダラダラと待つ事もなくツールを破壊し、本人もズタズタにする。

 

 

「大体何なのこの形容しがたい玩具みたいな道具は? 腰に巻いてどうしたかったの? へーんしん! とでも言うの? 仮に成功して俺を殺したとして、オーフィスが大人しくついてくるとでも思ったの? だとしたらお前はオーフィスを嘗めすぎだぜ………………っと、喉潰しちゃったから返事は無理だっけ?」

 

 

 一人残らず消すまでそれは止まらない。

 

 

「オーフィスは誰にも渡しゃしない。何も無かった俺に生きてる意味を教えてくれたアイツは絶対にな。

ましてや、オーフィスを奪った後ナニをしようとするのか容易に想像可能な下半身ボケは…………死ね」

 

 

 誰にも邪魔される事なくオーフィスと生きる為に。

 

 

「ただいま~」

 

「おかえりイッセー…………ん、血の匂い? しかもイッセーじゃない……」

 

「あぁ、そこでちょっとした通り魔に襲われてさ、オーフィスから離れろとやかましく吠えるもんだからね」

 

「そう。それならまずはお風呂に入る」

 

「はーい」

 

 

 

 

 

「今日は我がイッセーを洗う」

 

「おう、悪い」

 

「気にしない。背中は洗ったから前――――――って、ふふ、我の事が欲しくなった?」

 

「うん……」

 

「そっか、ならおいでイッセー?」

 

 

 身も心も共鳴させて……。

 

 

 

 

 

 

 

「――以上の事から、我はドラゴンではあるけど、既にこの身体は殆ど人間の雌と変わらない。子も産める」

 

「そ、そこまでした理由はいったい…?」

 

「勿論イッセーと同じになりたいから。我の半分はイッセーのもの、そしてイッセーの半分は我のもの」

 

「……。少しだけ羨ましく思う関係ねオーフィスとイッセーは」

 

 

終わり




補足

まず冒頭でチラッとあった様にアーシアたんとはまず出会いもしなかったので、原作時期になって茶々入れに来た転生者Xにお持ち帰りされました。

その2
ギャーきゅんはリーアたんの転生姉が色々と裏で動いてほぼ無理矢理トレードさせられて居ません。

しかも本人も望んでトレードされたという救われなさ。


その3

転生姉の名前の元ネタは………メッサリナという方人物ですが―――まぁ、そういうことです。


その4
基本的にイッセーはお約束だのセオリーはガン無視上等派ですし、相手が相手だと余計それが強まる。

イッセーに言わせれば、目の前でわざわざ隙晒して間抜けなポーズを取って変身じみた何かをしようとする奴なんてバカ通り越してカモ………と、身も蓋もない事を言います

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