色々なIF集   作:超人類DX

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前回の続き。

チート転生者だらけが皮肉にも本来の繋がりを持ち始めた……


オーフィスとさらにいっしょ2

 一人二人では無いだろうとは思っていたけど、まさかそこまで居るとは流石に思いたくなかった一誠にとって、転生者という存在に良い印象が無さすぎた。

 

 両親まで巻き込み殺されかけたり、自分が大切に思う存在を殺してまで奪おうとする輩ともなれば抱く印象は当たり前だが、先日聞いてしまった新たな事実を考えても、やはり一誠にとって転生者という存在は反吐がでるほど嫌悪するものと固定されていた。

 

 

「ちくしょう、ストレスでその内ハゲ散らかりそうだ」

 

「その気持ちはわかるよ、実は僕も部長に拾われれる前まで所々に円形脱毛症が……」

 

「……マジかよ?」

 

「うん、部長の持つ駒で騎士として転生した時に何とか戻ったけど、後頭部のこことかはまだね……」

 

「おわ……本当だし。やべぇ、俺もそうなるのか?」

 

「どうだろう? キミの場合は上手くそのストレスをオーフィスが傍に居たお陰で逃がせてた感じに見えたけど」

 

 

 金髪頭の後頭部をかきあげた際に見えた10円玉サイズのハゲを見て顔を青くする一誠に、自分の後ろ髪を撫でて隠す木場は安心させるつもりで話すが、あまりフォローにはなってない。

 

 

「僕のこの木場祐斗という名前と姿を奴が今も名乗って、僕の仲間だった人達とノウノウと生きてると考えるだけでも頭の中が沸騰しそうになるし、今でも毎晩夢に出てくるんだよ……あの時の事が」

 

「お前……」

 

「もっとも、今は昔の仲間を仲間とは思えなくなってきてるけどね、部長や皆が居るし」

 

「…………」

 

 

 しかし転生者に陥れられた時の筆舌に尽くしがたい気持ちだけは一誠も理解できる。

 先日発覚したリアス・グレモリー達の持つ其々の過去はあまりにも一誠が辿ったものと酷似し、それを聞いた時一誠は如何に己がまだ恵まれていたのだと自覚した。

 

 

「何て言って良いかわからないけど……その、なんだ……飴玉あるけど要るか?」

 

「あ、うん……ありがとう」

 

 

 オーフィスに拾われ、変な女により宿す力の使い方を知り、転生者に復讐できるレベルまで進化できた自分とは違い、それが出来ずに溜め込むしかできない者も居る。

 この木場祐斗しかり、双子の姉というふざけた存在によって陥れられたリアス然り……。

 

 

「放課後になったらオーフィスを学校に呼びたいんだが……呼んでも大丈夫か?」

 

「え? それは僕たちで上手く誤魔化せるけど、それはつまり……」

 

「ば、バカ勘違いするなよ? 俺はまだ信用した訳じゃないし! これはアレだ! お前等の言ってることに嘘が無いかの確認で……」

 

 だからこそ何時になるかも分からない駆逐をしないとならない――一誠は慌てて木場に捲し立てながら思うのだった。

 

 

 

 

 クラスメートからの質問責めを適当に誤魔化し、こっそりと旧校舎へと入り込んだ一誠は、先日初めて立ち入ったオカルト研究部の部室に再びやって来た。

 

 

「ちなみにですけど、この場所がアンタの双子の姉とやらに筒抜けって事はないでしょうね?」

 

「毎回部室に来る度にそういった仕掛けが無いか全員で調べてから入ってるからそれは大丈夫よ」

 

「なら良いけど、俺はともかくオーフィスの事が奴等に知られたらそれこそ面倒ですからね」

 

 

 先日と違って年上には敬語口調で話す一誠は、同じくこっそり合流したオーフィスを自身の膝の上に座らせながら、これからの事についてを話し合う為に口を開く。

 

 

「他人なら即座にぶち殺してしまえば良いのですが、厄介な事に形式上ではアンタの双子の姉らしく、更に木場や他の人達を陥れた転生者については行方が掴めない」

 

「ええ、そうね……この朱乃に対して無理矢理襲い掛かった転生者も今は何処に居るのかも……」

 

「………」

 

「襲う? 襲うってどっちの意味で?」

 

「……………………………………」

 

「いや、もう良いです……」

 

 

 顔を真っ青にして震えだした姫島朱乃を見てすぐに悟った一誠は首を横に振りながらも忌々しげに顔を歪めて淹れたばかりのお茶を一気飲みする。

 口の中が軽く火傷したが、そんな事は最早嫌悪のせいでどうだってよかった。

 

 

「そもそも姫島先輩の事をどうこうしようとした転生者ってのは何の流れでそうしようとしたんですか? ていうかそもそもアンタ等は何でソイツが転生者だとわかったんですか? 同じ姿形に擬態していた木場はわかりますけど」

 

「アナタって安心院なじみって女の人の事を知ってる?」

 

「……………………………。あぁ、そういう事」

 

「あの女が教えたの?」

 

「ええ、あまり詳しくは聞けなかったし夢の中の事だから半信半疑だったけど、考えてみればみるほど合致できるのよ」

 

 

 一誠もオーフィスも夢の中で見た髪の長い女についてをリアス達も見たと聞いた瞬間、少なくとも彼女達が転生者によって陥れられたのは間違いないと断定する。

 

 

「俺が聞いた話だと、転生者というのはこの世界とは全く異なる神により、別の世界で死んだ奴等に力を与えて転生させるらしい。

基本的に奴等の力が強いのはそれが理由だとか」

 

「そうね、姉の力は既に魔王レベルだし、見たこと無い武器を持ってたわ。朱乃に要求してきた堕天使も確か……」

 

「は? 堕天使なの?」

 

「正確には私達と同年代の堕天使と天使のハーフ……らしいですわ」

 

「何だそれ、オーフィスは聞いたことあるか?」

 

「ハーフの話は聞いた事があるし、あり得ない話ではないと思う。

けど恐らくその元になった天使と堕天使は存在してないと我は考える」

 

「だろうな……で、その野郎はアンタにそういう事を要求したと?」

 

「はい……。その時の目が怖くて拒絶したら、『ここまでしてフラグが立ってないのはおかしい』と怒鳴って……その時は父と母が居たので何とかなりましたけど、その父と母も彼を信じてしまってるばかりか、その内婚約させられるかもしれないと……」

 

「私が朱乃を女王にする事でなんとか先延ばしにはしてるけど……」

 

「男に対して恐怖症を持ってもおかしくないなそれは」

 

「親のする事じゃない」

 

 

 どうしてどいつもこいつも下半身でものを考えるバカばかりなのかと、出されていたお菓子を乱暴に食いながら一誠はイライラを更に蓄積させていく。

 

 

「思うのだけど、そのハーフとサーゼクスの妹の双子の姉を会わせたらどうなる?」

 

「さぁ、クソみたいな欲望持ちだし互いに潰しあってくれたら楽だけど、変に結託されたらうざいな」

 

「実はもう会ってたり……」

 

「!? で、どんな様子でした?」

 

「わからないわ……一瞬戸惑ってたけど何事もなかったように振る舞ってたし」

 

「なるほど」

 

 

 以前顔を合わせる機会があったというリアスの話を聞く限り、結託される可能性は十分にあるとわかった。

 となるとやはり一人一人暗殺する形で消すしかないのかもしれないと一誠は考えるが、それでは時間が掛かりすぎる。

 

 

「オーフィスの名前を使って勝手してるゴミの集まりの事もあるし……各個撃破じゃ時間が掛かるな」

 

 

 この世に一体何人居るかもわからない相手である以上、一塊にしてから皆殺しにした方が楽だが、そんな都合の良い状況なんてある訳もない。

 

 

「あぁぁっ!! 本当にゴキブリみたいだな! 考えるだけで嫌になるぜ!」

 

「落ち着いてイッセー、全員を始末しようと考えるから駄目。

我達に干渉しようとする奴だけを最初は消してしまえば良い」

 

 

 膝の上に乗っていたオーフィスがその手を一誠の手に重ねて落ち着かせる。

 それを見ていたリアス達は幼い見た目のオーフィスからは想像できない母性を感じて少々驚いたのだとか。

 

 

「取り敢えずアンタ達に対抗できるだけの力がどれ程あるのか知りたいけど……アンタ等って強いの?」

 

「私達なりに集まって鍛えて来たつもりだけど、自信は無いわ……」

 

 

 オーフィスのお陰で落ち着きを取り戻しつつ、取り敢えずリアス達の現状の力を聞くも、本人達の表情に自信が見られないし、どこか沈んでいる。

 その違和感に一誠とオーフィスが仲良く首を傾げると、白髪の少女こと小猫が思い出したくないといった顔をしながら口を開いた。

 

 

「最近は部長の実家が無理矢理決めた結婚をどう回避するかで忙しくて修行が滞ってしまってるので……」

 

「……………。ちょっと待て、何の話だそら?」

 

「部長の実家がグレモリー家で……その、転生者が優秀で通ってしまってる為に部長はスペア扱いといいますか、純血を絶やさない為の道具扱いというか……」

 

 

 完全に実家からも道具扱いされていると聞いて一瞬唖然とした一誠が口を開きかけた時、意外にもオーフィスが少し声低めに口を開く。

 

 

「我、ちょっとイラッとした。

サーゼクスとは昔会ったが、そんな奴とは思わなかった」

 

「相手も相手で部長のお姉さんの方が良かったと言うし、前に一度会いましたけど、何て言ったと思います? 『まあ、顔やスタイルは似てるから我慢してやる』ですよ!? 私達それを聞いたとき本気で殺意が沸きましたよ……!!」

 

「………………」

 

 

 仲間達の怒りの声に一誠は結構慕われてるんだな……とリアスをちょっと見直すのと同時に、実の親が本当にそんな事を娘に言うのか? と疑問に思う。

 

 

「実の娘だろ? 本当に親がそんな事させるのか?」

 

「私はグレモリー家の悪魔だから……それも姉に比べたら落ちこぼれのね。

だからそうする事しか実家の役に立てない――そう思われてるのよ」

 

「…………………。言いたくないけど、アンタの家の連中も最低だな」

 

 

 自嘲するように笑ってるリアスだが、どう見ても無理してるのが丸わかりで思わず一誠は言ってしまう。

 だがリアスの仲間の誰もが一誠の言葉を否定しない辺り、皆もそう思っていたのかもしれない。

 

 

「俺は父親も母親も優しかった記憶しかなくてね。いや、ドラマだ漫画だニュースで虐待する親が世の中には居るってのはわかってたけど………ある意味それを超越するな」

 

「我ならそいつを消してる」

 

「だな、俺でも半殺しにしてやってるわ。

オーケーわかった……まずはアンタの持つ邪魔な柵を粉々にしよう。でなきゃウジ虫退治もなにもないし」

 

「……え? な、なぜそんな」

 

「さぁね、なまじ自分の家庭環境か幸せだったから、そういう話を聞くと変なイラつきが沸くんだよ。

まあ、こればかりは余計なことかもしれないけど……」

 

 

 オーフィスの頭を撫でながら軽く笑みを浮かべ、まずはリアスの持つ柵を何とかする事から始めると宣言する。

 

 

「勿論、アンタとその仲間にも協力して貰うぜ?」

 

 

 安心安全なる生活の為に……。

 

 

 

終わり

 

 

 

 

 

 

 

 

 リアスの婚約者だが、思っていた以上にオーフィスの嫌いなタイプだった。

 

 

「まあ、一応愛してはやるよ? 落ちこぼれには勿体ないだろ?」

 

「……………我、アイツ嫌い」

 

「俺がグレモリー先輩本人だったらこの時点で眼球抉ってやってるぜ」

 

 

 不遜な態度を崩さない婚約者気取り。

 だがしかし、そんな男の持つ女だらけの下僕の中にただ一人……。

 

 

「その様な言い方は失礼ですわ! 何故リアスお姉様の事を……!!」

 

「何怒ってるんだよレイヴェル? 本当の事だろ?」

 

 

 婚約者男の妹らしき少女。

 

 

「ご、ごめんなさい……私がいくら言ってもお姉様の事を……」

 

「良いのよ、ありがとうレイヴェル……」

 

 

 唯一リアスを慕う少女が泣きながら謝る姿は嘘ではない。

 

 

「この子はレイヴェル・フェニックス。こんな私と仲良くしてくれる子なの」

 

 

 本来の道から叩き落とされたからこそ得た繋がり。

 

 

「も、もう我慢なりませんわ! 私は今日限りで兄の下僕をやめてお姉様の眷属になりますわ!」

 

「お、おいおい……それどういう意味かわかってて言ってるのか?」

 

「勿論! あんな連中よりお姉様のお傍でお守りしたいのです!」

 

「………」

 

 

 脱退宣言と加入宣言。

 しかし話はこれにて更に拗れ、転生姉が間に入ってくる。

 

 

「だったらレーティングゲームで白黒つけたら? ちょうどリアスの所にも新しい子が入ったようだし?」

 

「………あ?」

 

「むっ……」

 

 

 リアスの姉の視線が一誠に向けられる……妙に熱っぽく。

 その視線を見て目深い帽子やらを使って正体を隠していたオーフィスがイラッとするが……それはきっと杞憂だろう。

 

 

「さわんなブス、今すぐ俺の視界から消え失せろ」

 

「………え?」

 

 

 そのオーフィス以上に嫌悪丸出しだった一誠が堂々と罵倒したのだから。

 

 

 

「何が双子だ、全然似てねーよ……あーぁ、吐き気しかしねぇなオイ? なにお前、こんなのが良いわけ? じゃあグレモリー先輩じゃなくてコレにしろよ? こんな豚みたいなカスの何が良いのか理解したくもないけど」

 

 

 ただ、この一言のせいでもっとややこしい事になったわけだけど……。

 

 

 

 嘘予告……分岐点となるフェニックス




補足

取り敢えず基本的に善良思考が誰もいない。

何故か? 転生神がそんなタイプだけしか送りつけないから。


その2
勝手に粋がってヒーハーしてるけど、それのお陰で別の繋がりを持ってたりするのだ。



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