色々なIF集   作:超人類DX

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なんか単純に浮かんだんで……特に言うこともねぇ。


おっさん
一発ネタ・嫌がらせする為だけに送り込まれた奴


 

 使い方を教えて貰う代わりに俺はその人のやる事の手伝いをする……という契約を行った。

 

 その契約によって俺はめでたく『終わらせる』事が出来た訳だけど、ハッキリ言ってしまえば俺が為すべき事よりも、その人の手伝いの方が遥かに骨が折れるというかなんというか……。

 いや、実際問題折れるのだろう……だって相手にしなければならないのは、その人の過去的存在なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 負完全である球磨川禊との対立も乗り越え、あろうことかその球磨川を生徒会副会長となる事である程度の和解まで実現させた黒神めだか率いる生徒会。

 だが球磨川達との生徒会戦挙を乗り越えた事で終わったと思っていた一連の騒動に新たな火種が現れるのはそのすぐ後だった。

 

 

「僕は安心院なじみ。この箱庭学園の創始者で、平等なだけの人外だよ」

 

 

 人外を名乗る女の出現。

 そして語られる衝撃の事実。

 

 異常者(アブノーマル)と呼ばれる者達が集うフラスコ計画も、生徒会戦挙と呼ばれたシステムも、全ては彼女によって作られ、そのレールの上を歩かされていたという事実に、安心院なじみを知る球磨川以外の面々は絶句してしまう。

 

 

「人外だか人でなしだか知らねーが、簡単に言えばお前が最後の敵なんだろ? 良いぜ上等だ、かかってこいや悪平等(ノットイコール)!!」

 

 

 しかしそれでも生徒会に属し、黒神めだかの幼馴染として今まで縁の下の力持ちの様に支えてきた人吉善吉は威勢良く啖呵を切る。

 箱庭学園での経験が彼の心を着実に強くしているという表れであり、善吉という男はそういう男なのである。

 

 

「嫌だよ。僕はめだかちゃんとは戦わない。だって勝てないもん」

 

「……え?」

 

 

 だがそんな威勢の良さも、ラスボスと思っていた彼女からの思わぬ一言により、留守でその場に居ない黒神めだか以外の面々はまさしく面を喰らう。

 

 

「あの子は週刊少年ジャンプでいう所の主人公みたいな子だ。

だからあの子と戦えばどう足掻こうが僕でも負ける。だから戦わないのさ」

 

『……』

 

「君達だってあの子の近くに居たんだからわかるだろ? ああいう『理屈ではなく勝者が決まっている』を体現している事を」

 

 

 いくら人外でもめだかには勝てないと自ら宣言する安心院なじみに誰も声が出せない。

 それは今言われた通り、めだか自身を間近で見てきたからに他ならない。

 

 

「僕は寧ろ白旗をあげに来ただけだよ。勝てない相手と喧嘩するだけの人間じゃあないからさ」

 

「それならフラスコ計画を諦めるというの?」

 

 

 理由が色々とあってこの場に居る善吉の母である人吉瞳が動揺しつつも怪しむように問う。

 しかし安心院なじみは、その身に球磨川禊の始まりのマイナスを受けている証である無数のネジを刺したまま、紅白衣装姿で椅子代わりに座っていた生徒会長の机から軽い感じで降りる。

 

 

「いやいや、僕にとってもフラスコ計画は悲願でもあるからね。今更諦めるとかはしたくない」

 

 

 カランコロンと厚底の下駄の音を鳴らし、動揺を隠しきれない様子の面々に向かって、ある意味で堂々と言った。

 

 

「だからフラスコ計画自体はめだかちゃんが卒業した後にでもゆ~っくり再開させて貰うよ」

 

「なっ……!?」

 

 

 決められた勝者との戦いを回避するという方法では、一番の正攻法でもあるその言葉に善吉達は歯噛みをしたまま動けない。

 その中を下駄の音をさせながら悠然と出口へと向かって歩く安心院なじみは、これまでの戦いを上から見下ろす誰かの如く労うと……。

 

 

「ラスボスなんてとんでもない。僕は三年間そこら辺でケータイでも弄ってるよ」

 

 

 そう告げて生徒会室を出ていった。

 

 

 

 そう、ここまでは予定調和だった。

 しかしこの直後、『この』安心院なじみですら予想だにしていなかった不測の事態が降臨した。

 

 

「ホントだ、言った通りすっげー刺々しいのね」

 

『!?』

 

 

 まさに安心院なじみが出ていこうとしたその瞬間、彼女が己のスキルによる音もなく姿を現したその場所にそいつは現れた。

 

 

「な、だ、誰だアンタ!?」

 

 

 安心院なじみとまんま同じ方法で現れたその男に、全員が驚愕し、生徒会室をしげしげと見渡す他学校と思われる制服に身を包む少年を見る。

 それは今まさに出ていこうとしていた安心院なじみもそうであり、驚愕する面々を無視しつつ、若干目を細めながら口を開く。

 

 

「誰だいキミは? いや、『どこから来た?』」

 

 

 謎の少年を見て少し……いやかなり警戒した様子を見せる安心院なじみに、彼女を知る球磨川は驚きつつも『何故か安心院なじみに似ている雰囲気』を感じる少年を見る。

 

 すると問われた少年は何を思ったのか、ポケットからまだ世に普及して間もない携帯端末であるスマートフォンを取り出すと、これまた謎な事に生徒会室を撮り始めた。

 

 

「おー、話に聞いてただけだけど、生で見ると感激だなオイ」

 

「な、何してんだよ……?」

 

 

 まるで有名人のお宅に招待されたかを思わせる言い方でパシャパシャと生徒会室内を撮影しまくる少年に、行動の意図を含めて意味がわからない生徒会の面子達は、その意図を探る意味で善吉が代表して声を掛けると、善吉が室内で育てていた花まで撮影していた少年は、ピタリとその動きを止め、声を掛けた善吉を見る。

 

 

「お、おおっ! 本物の人吉君じゃん! すっげー! おいドライグ! 本物だぜ本物!」

 

『一々はしゃぐなよ……奴等からすれば俺達の存在自体が意味不明なんだぞ』

 

「そらそうだけどよー、噂に聞く黒神めだかと生徒会だぜ? 結構俺憧れてたから騒いじゃうぜ」

 

 

 善吉の名字を言い当てたばかりか、いきなり独り言を言い出した少年にその時は動揺やら色々で気に止められなかったのだが、その次の瞬間、その少年の左腕が急に紅く輝き始めたかと思うと、左腕全体を覆う様な真っ赤な……装甲を思わせる籠手が出現した。

 

 

「は!?」

 

「……!」

 

「え、なにあれ……」

 

「『……』」

 

 

 当然見た者全員は二重の意味で驚く訳だけど、少年自身は困惑する善吉相手に『写メ良いっすか!?』とハイテンションなために答えを聞くのは難しそうだ。

 

 

「待て待て待て待て待て! 写メとか以前にテメーは何なんだよ!? 安心院なじみとかいう奴みたいに突然出てきやがって、奴の仲間か!?」

 

「え?」

 

 

 しかし善吉が困惑しつつも警戒しながら声を張り上げ、そこで漸く落ち着いた少年は、安心院なじみの仲間かという質問に対し一瞬だけポカンとすると、然り気無く一緒になって自分を見ていたネジだらけの安心院なじみと目が合う。

 

 

「いやいや、人吉君。僕に仲間は居ないし、そもそも僕もそこの彼が『何者か』が分からない」

 

「『安心院さんがわからない?』」

 

 

 安心院なじみの否定が嘘か本当かは測りかねたが、今の彼女の様子と言動からしてそれが嘘とは思えない。

 では彼は……安心院なじみに続いて音もなく現れた彼は何者なのか? その答えを聞くのに然程時間は掛からなかった。

 

 

「へぇ、本当に封印されてた時期があったんだなー。へー? すげー」

 

『直接目にするまで信じられなかったが、これは驚いたぞ』

 

 

 背に不知火半纏が立つ安心院なじみの真ん前まで何の躊躇も無く立つ少年が、どこからか聞こえるおっさんっぽい声と共に、これまた驚いた様に呟くと……。

 

 

「…………」

 

「うっわー、腕まで使え無いとかかなり厳重じゃん。

すっげー、これやった球磨川って人を死ぬまで尊敬するわぁ」

 

「『!?』『僕の名前まで――』」

 

「!? アンタが球磨川禊か!? おお、お会いできて光栄だぜ!」

 

 

 背の関係で見上げる形となる安心院なじみの頬を両手でプニプニしながら自分の事を知ってると驚く球磨川に善吉と同じく感激した様な眼差しを送りだす。

 

 人外と名乗る得たいのしれない彼女の頬を躊躇も何も無くプニプニしてる時点で、単なるバカなのか何なのかは知らないが、少なくともこの少年は何故か自分達を知っている。

 

 それがまた何故なのかはわからないし、さっきから頬をプニプニされてる安心院なじみも彼……そして彼の中ある無数のそれと知らない力――――そして、黒神めだかと同じ性質を見抜き、いったい誰が彼を何処から連れてきたのかをもう一度だけ問う。

 

 

「ほうひひほひふへほ、ひぃみははへはい?(もう一度聞くけど、キミは誰だ?)」

 

 

 場合によってはめだかより危険かもしれないイレギュラーに、安心院なじみは少し間抜けな絵面となりながらも問う。

 

 

「ん? あ、ごめんごめん」

 

 

 すると、喋りつらいのを察したのか、軽く謝りながらパッと手を離した少年は、誰もが注目する中、平然と……至極真面目に自己紹介をした。

 

 

「俺の名前は兵藤一誠。

この安心院なじみとは違う安心院なじみの背中に立つだけの……ええっと、ハーレム王になりたいそこら辺の男です」

 

『………』

 

「あ、ちなみにこの左腕にあるのは俺の相棒。名前は――」

 

『ア・ドライグ・ゴッホ。只のドラゴンだ』

 

 

「………………」

 

 

 いや何を言ってるんだコイツ? 誰しもが思って口を開けなかった。

 というかその腕のそれから出てる声は声帯模写じゃないのか? いやそもそも何だこの安心院なじみとは違う安心院なじみって? 色々と訳が分からなすぎて逆に冷静になってしまえど誰も口を開けない中、少しだけ納得した様子を見せる安心院なじみ。

 

 

「なるほど、良い趣味をしてる僕だな。だからキミから妙に身近なものを感じる訳だ」

 

「そうでも無いと思うけど。今のアンタってツンツンしてるし」

 

「へぇ~? その言い方じゃ僕じゃない僕は随分とキミに入れ込んでるみたいだね?」

 

「入れ込んでるというか、等価交換というか。アイツにしてみれば俺は代償払いの為にあくせく働く奴隷かなんかだと思ってると思うぜ」

 

 

 誰かを探してるかの様にキョロキョロとしながら、安心院なじみと平然と会話する一誠なる少年。

 言葉の意味は殆どわからないが、どうであろうと安心院なじみに関連しているということは、彼もまた人外であるのは間違い………筈なのだが。

 

 

「しっかし、この時代のアンタがそんなネジだらけなんてな。うっかりパイたっちもできないなこりゃ」

 

「……………」

 

『……………』

 

 

 言動が一々アレというか、何と無くこの少年はドスケベなのかもしれない。

 

 

「その違う僕とやらはキミにそんな真似をさせてるのか?」

 

「だってさぁ! 代償とはいえ女の子をナンパしたらネックブリーカーで締め落としてくるんだぜ?

こちとら可愛い女の子ときゃっきゃっしたいのに一々邪魔してくるし。だったらもう性格とおっぱいの量はともかく見た目はマシなアイツにセクハラしないとやってらんねーよ。

第一、ここに来たのだって『昔の僕を凄い困らせてやりたい』って無理矢理飛ばしやがったんだぜ?」

 

「昔……」

 

 

 別の安心院なじみは相当に彼をこき使って遊んでるのか、次々に彼女への不平不満が飛びてるその中に、昔のという言葉を安心院なじみは聞き逃さなかった。

 

 

「なるほどね、昔と来たか……やれなくは無いが、このタイミングでイレギュラーが起こると困るのも知ってる訳だ。

性格悪いなキミの僕は」

 

「キミのって、アイツは俺のとかじゃないし、寧ろアイツが俺を所有物扱いするし。

なんせ、この時は七億弱居た悪平等も、今のアンタの後ろに居る不知火半纏も居ないしね。てか、不知火君ポジに奴隷追加したのが俺だからね」

 

「ふーん……? で、何をしに来たのかを教えてほしいな? 僕もこの場の皆もまずはそれが知りたいんだけど」

 

 

 余程不満があったのだろう、然り気無く安心院なじみ自身にとっても内心驚く事実を聞きつつ、目的を聞き出そうとする。

 

 

「目的? あぁ、アンタが現状して貰ったら一番困ること。

そう例えば、別世界における黒神めだか相当の特性を持つ奴が徹底的にアンタに嫌がらせするとか?」

 

 

 そんな質問に一誠は悪びれず様子もなくしれっと答える。

 つまりコイツが今この場に現れた理由は、目の前の安心院なじみに徹底的な嫌がらせをする為だった。

 

 

「………。趣味が悪すぎるだろ。人でなしの僕でもそんな手の込んだ真似はしないけど」

 

「それをして来いと言ったのが未来のアンタなんだけどね? でも趣味が悪いのは同意だわ。

あの女、この前やっとデートまでこぎつけた女の子に対し、俺に化けたかと思ったら嫌われる真似しておじゃんにしたし、その後めっちゃ笑顔で罵倒しながら脚舐めろとか言うし……出会った頃ってそうでも無かった筈なんだけどなぁ……」

 

『………』

 

 

 兵藤一誠

 

 備考・安心院なじみに対して嫌がらせととあるメッセージを送る為に、別世界に住み着いた未来の安心院なじみにより送り込まれた限界突破の人外にて、対主人公(めだか)になりうる主人公(イッセー)

 

備考その2

 

気に入られ過ぎて逃げられない。

 

 

終わり

 

 

 

 




補足

強いて言うなら、この後割りとファンな善吉君や球磨川君やめだかちゃんにテンションまた上がったり。

めだかちゃんに善吉君をぶつけようとする安心院さんの邪魔ばっかりして言われた通りに嫌がらせして、逆に『引き上げる特性』で善吉君をガチガチの主人公に化けさけてめだか&善吉のダブル主人公にしてしまったり。

過去の悪平等の末端五人に半笑いで『中学生? ごめん、対象外』と煽ってやったり――


「僕にとっては久しぶりだけど、キミ達にとってははじめまして。
僕の名前は安心院なじみ、のんべんだらりとするだけの只の人外さ。
そして彼は兵藤一誠、僕の為に何でもしてくれる主人公(イッセー)だ。
あぁ、暫く僕の一誠が迷惑掛けたみたいだけど、ほら結局の所全員『進化』しただろ? それでおあいこにしてくれないかな?」


 一誠をめっちゃ所有物と主張する未来の彼女が出てきたり。

 簡単に言えば、過去の自分に自慢したいだけという話になる。


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