色々なIF集   作:超人類DX

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また新ネタ。

コンセプト……ぶっちゃけ元ちゃんとあの人のイチャイチャ。


ひんぬー会長・頑張る
転生神を破壊した代償の今


 じゃんけんで負けたから……とかそんな理由だった。

 一応友人同士のつもりだったし、じゃんけんといういい加減な理由だったとしてもまぁ良いや的なノリだったのも否定はできない。

 流石に事情があって『学』の無い自分が学校に今更通いましょうと言われた時は全力で拒否ったが、そこもいつの間にか同等の領域にまで至っていた彼女にまたしてもじゃんけんで負けてしまったが故、彼は渋々の嫌々で二度目の学校生活を送る事になってしまう。

 

 そう……未だに原因不明の『二度目』として。

 

 

 

 外から偉そうに覗いては、引っ掻き回す存在をぶっ殺してやったバチでも当たってしまったからなのか……俺って奴はとことん幸せを取り逃がしてしまうタイプなのか。

 漸く獲た全てを取り上げられたばかりか、色々と勝手の違う過去へとタイムスリップさせられた時はマジで泣いた。

 ロリコン呼ばわりされる原因だけど好きだからつるんでた龍も、ロリコンと呼び散らかしてくるバカ二人も、積み上げて来た全てを取り上げられてまたしても――いや、今度こそ正真正銘の独りぼっちの状況に放り込まれた俺は、『殺された』のでは無く『事故死』した敬愛なる両親ともまたしても一緒になれずにホームレス生活をやり直しさせられた時はマジで世界征服してやろうかと思った。八つ当たりで。

 

 ロリコンと呼ばれた原因の龍は何か知ってる性格じゃないから違うし、バカ二人も考えが違ってて気も合わないし、マジな意味でひとりにされた俺に残されたものと言ったらマイナスじゃない方のスキルだけ。

 

 ならもう世界征服しかないやん? と、壁を這う種類すら知らない蜘蛛を手掴みで食いながら、割りと本気でグレそうになりかけたのは、似て非なる過去での理不尽な二度目人生の最初の辺りだったっけか。

 

 友達は誰も居ない。仲間と呼べた者は見た目は同じでも考えとか中身がまるで別物で仲間と思えない。

 それもこれも、かつて両親もろとも俺を殺そうとしたクソを転生させたゴミを見つけて粉々にしたからなのかもしれないけど、それにしたってこんな代償は聞いちゃいない。

 

 蜘蛛を食うことも、雑草を食うことも抵抗なんて無いけど、獲られた繋がりを取り上げられる事だけはどうしても辛くて……泣きたくなる。いや、毎晩泣いてる。

 我ながらかなり脆いメンタルだと思うけど、流れる涙は止められないんだよ。

 

 だからこそ、ヤケクソで世界征服でもして気を紛らしてやろうと、掴まえた蜥蜴を枝に刺して焼いて食いながら俺は決心しようとしたのさ。

 

 

『藁にもすがる思いで探したわよ……』

 

 

 そう――

 

 

『オーフィスは……やはり違いましたか。しかしアナタは私の知るアナタで間違いないわね? だって、感じる気配がまさに『アナタ』ですもの』

 

 

 全部消えたと思ってヤサグレそうになっていたホームレス幼児となってる俺の前に現れたのは、懐かしさとある種の感動すら覚える幼き姿の友達であり――

 

 

『探したわよ一誠』

『ひ、ひんぬーさん!!』

 

 

 唯一オーフィスすらなれないままだった、完璧なる俺の同類と化した、あのひんぬー会長さんだったのだから……。

 

 

 

 

 

 

 原因はわからなかったけど、再会を経て私はある種の確信を獲ていた。 

 それは私と彼が紛れもない『同類』であり、かつての時でも他には――それこそ彼と最も付き合いが長く、最も大切にされていた龍神ですらなれなかった世界で二人だけの例外なる領域だったから――と、今なら思える。

 

 だから、藁にもすがる思いで必死に探し当て、私を見てあの頃と変わらない呼び名で呼ばれた時は、感激やらなにやらで胸が詰まりそうなまま、思わず飛び付いてお外で――なーんて衝動に駆られかけたりもしたけど、結局今でも私と彼はそういった事には及んでない。

 

 何せ彼はヘタレですからね……再会して実家の権限で保護した今でものらりくらりしてるのが何よりの証拠だし、その……オーフィスを思うと私もちょっとは悪いと思って引いてしまうんですよ。流石にね。

 

 それに私達が歩んだ歴史とは少し――いえかなりズレが生じてしまってるのもあって、先の展開に神経を張り巡らせなければならないというのもある。

 

 例えば、彼が……いや一誠が私の持つ眷属だったり。

 例えば、元々私達が居た世界で私が眷属がこの世界では眷属では無かったり……。

 

 

「御劔……赤夜?」

 

「そう、この子が私の新しい眷属よ」

 

「御劔です。よろしくお願いします」

 

「……どうも」

 

 

 ……。元の時代ですら見たこと無い人が、リアスという私の幼馴染みの眷属となって加入したりと。

 ここに来て少し相手を警戒しないといけない状況になってたりするんですよねー……。

 

 

「ソーナはまだ眷属は二人だけなの?」

 

「ええ、まあ……」

 

「ダメよそれじゃあ?」

 

「分かってはいるのだけど……中々ね」

 

 

 そもそも私は前と同じ構成にしようと考えてはいた。

 一誠だって最初は眷属になんてするのも烏滸がましいと思ってたから保護に留めただけだったのだけど、元の時代との誤差がありすぎで眷属に出来ないのは正直かつての仲間達が浮かぶだけで寂しい。

 

 

「え、生徒会長は眷属が二人しか居ないんですか?」

 

「はい、見つけるのがどうも下手みたいで」

 

 

 御劔……でしたっけ? 白髪赤目の少年が不思議そうな顔で尋ねるので私は曖昧に返す。

 というか、二人だけの理由はアナタにもあったりするのですけどね……というのは流石に八つ当たりだろうか。

 

 

「そうですか、見つかると良いですね?」

 

「……」

 

 

 調査したら元の時代の眷属があの子を除いて殆どがこの御劔なる少年と関わっていて、それの影響のせいかどうかは知らないけど、勧誘できる空気じゃなくなってるとは……。

 実家で腫れ物扱いされていた椿姫だって、まさか彼のお陰で……なんて思わなかったというか。

 

 

「ではリアス」

 

「ん、頑張ってねソーナ」

 

 

 ……はぁ、まさか元の時代では仲間だった子の殆どが彼に惚れてるとは思わなかったわね。ビックリよ。

 

 

 

 

 

 幼馴染みによる眷属紹介で軽く気分を沈めたソーナ・シトリーは、元の時代とは完璧に違う人生を送ってる事に嬉しさ半分複雑さ半分で生徒会室へと戻る。

 

 

「はぁ……」

 

「どうかしたんすか会長?」

 

「いえ、さっきリアスから御劔君を紹介されてね……」

 

 

 二度目になる生徒会長は決して嫌では無く、寧ろやりがいを感じる。

 しかし元の時代との決定的な違いは、圧倒的に生徒会のメンバー――つまり己の抱える眷属……つまり友が居ないという点であった。

 

 

「御劔っていうと、アレですか? 赤龍帝の?」

 

「ええ」

 

「そっすか……そりゃ確かに疲れますね」

 

 

 完全に居ないという訳じゃなく、確かに居ることは居る。

 例えば今自分の様子を察した様子で気遣う兵士の少年……匙元士郎は唯一元の時代と同じく自分の仲間である。

 

 

「俺達が知る時代には奴は居ませんでしたし、そもそもあの男って妙っすよね。この時代の副会長達を探ると何時もやつが出てくるし」

 

「そうなのよ。椿姫がまさか彼に保護されてるとは思わなかったというか……」

 

「他にも奴と関わって変わってる人達が多いですし、何かおかしいっすよ」

 

 

 何故彼だけは仲間として迎えられたのかは話すと長いが、簡単に言えば彼はどういう訳か自分と今はこの場に居ない彼と同じ時代に居た匙元士郎だからだった。

 故に元士郎もまた元の時代との誤差に相当戸惑ってたりするのだが、それでもソーナの兵士という二番目の眷属として生徒会にも所属している。

 

 

「というかアイツはどこで道草くってんすか?」

 

 

 故に元士郎の実力は転生悪魔としては破格すぎる力を保持してたりするのだが、それはまた後にする事にして、ただ今彼はテンションの低い主を気遣いながら、こんな時に必要な筈のチャランポラン男がこの場に居ないことに軽く憤慨する。

 誤差のありまくりなこの時代にて唯一主であるソーナと対等に接することが出来、元の世界ではロリコン破壊王等と呼ばれ、主に軽くストーカーレベルに執着されていたあの男……。

 

 

「チキショーが!! なぁにが匙くんを紹介してくれだボケ! 俺はメッセンジャーじゃねーっつーの!」

 

 

 誤差を埋める代わりとして眷属となりし男……一誠が、元士郎がぼやくと共に生徒会室のドアを蹴り開け、怒りながら入室してきた。

 

 

「いきなりどうしたのよ?」

 

「おい、ドアを蹴るな」

 

 

 穴埋めの代わりとして眷属となった男の登場の仕方にソーナと元士郎が呆れた様な顔でワケを聞く。

 これで元の世界じゃロリコンの癖に手の付けられない災害男と呼ばれていたのだから世も末である。

 

 

「ったく、校舎裏に女の子から呼び出されたからテンション上がってたのに、いざ聞いてみればオメーとの仲を取り持てとか言いやがって……スカートくらい捲ってやりゃあ良かったぜ!」

 

「あ、俺?」

 

「また? どうも今の時代のアナタはモテるわねぇ?」

 

「いやあんまり嬉しくはないんすけど……」

 

「余裕か貴様! くそ、それに比べて俺は前と変わりゃしねぇ……!」

 

 

 『副会長』の席に行儀悪く座り、ブツクサ文句を垂れる一誠はすっかり拗ねてしまった。

 

 

「この前クラスの子に匙の事を聞かれたわよ? どうも人気があるみたい」

 

「え、あの御劔と木場の方が人気あるんじゃないんすか?」

 

「あの二人は例外と考えると、アナタも中々よ?」

 

「はぁ……」

 

「何でだよ!? 俺の話は無いの!?」

 

「無いわ。

だって聞かれても即座に私が恋人だからと言ってるし」

 

「ワッツ!?」

 

「でなくてもお前は色々とオープン過ぎて引かれてるんだよ」

 

 

 地味なるソーナの妨害を知った一誠が噛みつこうとする前に、元士郎が冷静に普段の行いを指摘すると、一誠は苦虫を噛み潰したかの様な顔になるのだった。

 

 

「…………。で、例の……ほら、何だっけ? この時代の赤龍帝とやらはどうなんだよ?」

 

「日本人離れした容姿してるだけで、特に強いとも感じなかったわね。

アナタと違ってモテモテみたいだけど」

 

「モテモテはどうでも良いわ! そうじゃなくて変な因縁とか付けられなかった?」

 

「いえ、特には」

 

「……。まあ、仮にもアンタは女だから良い顔はするか。さもテメーは意図せずモテてますを演出する為によ」

 

 

 気を取り直して――というよりは話をすり替えた一誠の吐き捨てる様な言い方に二人は彼の過去を知ってるだけに迂闊な言葉は掛けられなかった。

 

 

「まさか悪魔に転生するとはな。おい匙、気を付けろよ?」

 

「何がだ?」

 

「ああいう手合いは『自分はそんな気無いけどモテてしまいます』と嘗めた態度を取るんだよ。

つまりだ、転生悪魔になった以上、何時かは魔王の前に出てくる事もある……その時レヴィアたんが――なんて事もあるかもしれないって事さ」

 

 

 レヴィアたんの名前に元士郎の顔つきが変わるが、ソーナは逆に冷静だった。

 

 

「姉さんがですか? そんな事は多分無いと思うけど……だってあの人も同じだし」

 

「じゃあもしだぞ? もし奴がレヴィアたんが好みでしたってなったらどうするよ? もし無理にでもアレしようとしたらどうするよ?」

 

 

 昔そんな因縁をロリ龍と共に居た時に吹っ掛けられた経験があるからこその、妙に説得力のある一誠の言葉に匙の目付きが変わる。

 

 

「そういう手合いは最悪、相手の意思を無視してアレしようとするからな……気を付けよろ匙? 悔しいが、レヴィアたんに関してはオメーが深い仲なんだからよ」

 

「……あぁ」

 

 おふざけでは無く、本気の忠告を受けた匙は首に掛けていたペンダントの装飾に触れながら頷く。

 もし一誠の忠告通りの真似をその男がした場合の地獄を見せる覚悟をしながら……。

 

 

「しっかしレヴィアたんに好かれるとかお前マジで羨ましいんだけど。何なのお前?」

 

「お前と会長が前の時からはっちゃけまくったお陰でだよ。あーほ」

 

 

 

 匙元士郎

 シトリー眷属・兵士。

 

 備考・人外化と共にストーカー化した主に戸惑い、同じ戸惑いを持つ魔王といつの間にかイチャイチャしていたのだが、過去に戻されてやり直しをしている暗黒騎士。

 

 

「はぁ……俺もおっぱい揉みてぇ……」

 

「お前、俺があの人にそんな事を毎日してるとでも思ってんのかよ?」

 

「思ってますけどー? むかついてますけどー?」

 

「胸なら私もありますよ? ほら好きにしても良いわよ?」

 

「貧乳なんか揉んでも空しいだけなんすけどー」

 

 

 ソーナ・シトリー

 

 シトリー眷属・王

 

 備考・人外のせいで拗らせて人外化し、拗らせたまんまやり直しをさせられたけど、誤差があるこの世界でもやっぱり拗らせてる後天的な人外。

 

 

「ならお腹がたぷんたぷんになる程の孕ませプレイを――」

 

「丁重に断るぜ!! おっぱい力たったの2じゃ話にならんぜ!」

 

 

 

 一誠。

 備考・ロリコン、貧乳好き……等々と誤解されまくりの人外にて、やり直しを同じくさせられてる男。

 オーフィスやニバカを喪ってヤサグレそうになったところをひんぬーさんにひっぱたかれたお陰で持ち直してはいる。

 

 

 ……………シトリー眷属・将軍(ジェネラル)(女王)

 

 

 

 これは、人外達による色んな意味での抗い。

 

 終わり

 

 

 

おまけ・元ちゃんの密会現場。

 

 

 一誠が何故元士郎を羨んでるのか。

 それは元士郎が持つ関係にあった。

 

 

「元ちゃ~ん!☆」

 

 

 一誠とソーナと同じ時代出身の元士郎は、二人や二人の友達の領域に嫉妬を抱いた時に仲が深くなった女性が居た。

 その人こそソーナの姉であり、魔王であり、そして奇跡的に元の時代の記憶を持って居た事でこの世界でも再会出来た――

 

 

「え、あれ……来て大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫、大丈夫! 精巧に作った分身置いてきたから☆」

 

 

 セラフォルー・レヴィアタンである。

 冥界からわざわざ人間界にやって来て、元士郎と密会するというのは知られた時点でスキャンダル確定なのだが、生憎本人達にその自覚は殆ど無いし、知られた所で周囲から反対されるのも知ってたので、コソコソはするものの開き直っても居た。

 

 ちなみに今の彼女の格好は、密会故に何時もの派手な格好では無く、地味な格好だったりする。

 

 

「この時代でも出世できたら何とかなりそうっすけど……」

 

「大丈夫だよ元ちゃんなら☆ ほら、おねーさんがちゅーしてあげるから♪」

 

 

 しかし地味だろうと地味に目立ってたりはする訳で、今も元士郎はセラフォルーに抱き締められつつキスまでされてる。

 これが一誠が羨んでる理由なのだ。

 

 

「えっへへ~ 元ちゃんとしちゃった~☆」

 

「……。い、何時やっても地味に恥ずかしいっすよ……」

 

「あぁん♪ もう元ちゃんったら可愛い!」

 

 

 順調に行けば、ガチな意味でレーティングゲームが出来る人数もの―――――だったりするこの二人は再会が出来てからは余計にアレであり、特に前とは違って元士郎は幼い頃にソーナの兵士となっていたので、端から見たら完全におねショタだったりもした。

 

 

 故にもしどこぞの誰かが彼女にちょっかいを掛けるようなら――ヤバイ。

 

 

 ちなみに……。

 

 

「匙と姉さんは上手くやってるかしら……」

 

「やってんじゃねーの? チッ!」

 

「はぁ、何時まで嫉妬してるのよ?」

 

「あっちはイチャイチャしてて、こっちはこんなひんぬーと書類仕事なんだぞ? 舌打ちのひとつもしたくなるぜ」

 

「ふーん? それならイチャイチャします? てかしましょう? こう、アナタに無理矢理服をビリビリに破かれて、征服されゃう的な内容で」

 

「具体案が嫌すぎるわ。どんだけ俺を鬼畜にしたいんだアンタは?」

 

「アナタに対してのみ私はマゾになっちゃうだけの事よ。元の時代からお預けされ続けてるせいで、最近はアナタに触れられるだけでお腹が熱くて下着が大変な事に――

 

「あーあーあー!! 俺は何も聞いてませ~ん!!」

 

 

 拗らせた原因と拗らせまくったコンビは、何時ものようなやり取りをしながらせっせと生徒会の仕事を片付けていたとか。

 

 

終わり




補足

裏テーマ、ひんぬー会長との真剣なる向き合い。


続きは……まあ、需要無いだろうし多分やらん。


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