色々なIF集   作:超人類DX

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ついに斜め向こうからの刺客が……(ミッテルトちゃん的に)


波長…

 そんなこんなで時間となり、いよいよ悪魔達の道楽に付き合う時間がやって来た。

 時間ギリギリまで外でミッテルトちゃんと時間を潰していた俺は嫌々部室に戻ると、早速紅髪の人と兄者に遅いと怒られた。

 結婚したくないからか何だか知らんけど、どうせキミ達じゃライザーさん達にゃあ勝てないよ。

 悪平等って存在な時点で正攻法だろうと裏工作仕込もうと勝てやしない。

 人外は決して力が強いから人外と呼ばれるだけじゃないんだからな。

 

 

「……。これより皆様をゲーム会場に転送致します。

尚、兵藤一誠様の使い魔であるミッテルト様は別の場所に転送となりますのでご了承のほどを……」

 

「……」

 

「ういーす」

 

 

 適当にやって時が来たら適当に裏切ってはいサヨナラ。

 10日前から一切変わらずな考えを持っていると思ってないのか、はたまた承知の上で利用しようとしているのか、まあ、どちらにしても時は訪れ、グレモリー家のメイド長とやらで魔王の眷属とやらである銀髪の女悪魔が丁寧な口調で説明をしながら……………。

 

 

「………。(ジーッ)」

 

「……………?」

 

 

 多分……いや間違いなく俺をガン見していた。

 

 

「グレイフィア?」

 

 

 それは近しいポジションに居る紅髪の悪魔も疑問に思ったのだろう、ちょっと怪訝そうな顔つきで銀髪の悪魔……グレイフィアって人の名を口にする訳だが、グレイフィアって人は返事をしないまま俺をガン見したまま動きやしない。

 そして、俺はそんな理由を彼女を一目見て何と無く理解していた。

 俺とは違って自分の本質を完全に隠せるらしいね……フフ。

 

 

「朝起きて洗面台に向かって鏡を見る……って感じかな俺の気分は。貴女は?」

 

「奇遇ですね。貴方の事は『彼女』から教えられて知りましたが、実際に向かい合ってみると実に同意出来る」

 

「「「「?」」」」

 

 

 クックックッ……と込み上げてくる笑い声を互いに発し、端から見ても訳のわからない会話を、『初対面』にも関わらず展開させる俺とこのグレイフィアって人に、何も知らない連中は引き続き怪訝そうな表情を浮かべている。

 まあ、ミッテルトちゃんだけは何故か俺とグレイフィアって人を交互に見ながら俺をジト目で睨んでいる訳だが。

 

 

「ええっと、イッセー?」

 

「……。なんすか?」

 

 

 何だろうね、この意味の分からん気分は。

 まるで、テストの結果が駄目すぎて凹んでいる所に、己と同等レベルの結果だった奴が居てくれました……みたいな安心感というべきか……相手は俺とは違って人間じゃないのに此処まで同じ奴が居るなんて……世の中ってのは広いようで狭いらしい―――――とか何とか考えていたら、横で怪訝そうな顔をしたまんまの紅髪悪魔が、呼ばれたくない名前で呼んできやがる。

 正直、舌打ちをしてやろうかと思ったが、これから仕返しする相手なので我慢して返事をする。

 

 

「グレイフィアと知り合い……とは思えないけど、彼女がどうかしたの? さっきから互いに見つめあってるけど……」

 

「別に……美人だなって思っただけですよ。ただ、それだけ……」

 

 

 お前に過負荷(マイナス)の事を言っても理解しないし、まさかテメーん家お抱えの召し使いが俺と同種の駄目人間――じゃなくて駄目悪魔だと言っても信じる訳も無いだろう。

 だから適当に、当たり障りも無い薄っぺらな世辞でも吐いてやろうと、引き続きこのグレイフィアって人から視線を外さずに言ってやると、隣……つまりミッテルトちゃんから殺気を向けながら俺の脇腹をつねってくる。正直痛いけど、何と無く声にも顔にも出さずに我慢してると、それまで怪訝そうな顔をしてた紅髪……てかよく見れば兄者達も呆れた顔になっている。何だ?

 

 

「まさかとは思うけど、口説こうとしても無駄よ。グレイフィアは既に結婚して子供も居るわ」

 

 

 …………。へぇ、スゲーな。恐らく単純な完璧(マイナス)っぷりなら俺以上――いや以下なこの人と結婚する輩が居るのか。

 相手は…………………あの安心院大信者でありながら本人から全く相手にされてない魔王かな? 魔王の眷属で女王って地位を考えればそれが妥当かもね。

 ククク……。

 

 

「美人だなってふと思ってるだけで口説こうとなんて考えちゃいませんよ。只の感想ですよ、感想」

 

 

 実にアホらしい。実に馬鹿らしい。何も知らないだけキミ等は幸福者(プラス)だよ。

 聞けば魔王は……名前は忘れたけど、その魔王の性質は才能が気色悪いレベルで高い異常者(アブノーマル)だ。

 そんな人と、俺と同等かそれ以下かもしれないのを顔色変えずに完全隠蔽してるこの人が上手くやれてると本気で思ってるのか? はははは、無いわそんなもん。

 俺と兄者みたいにボロボロな関係でまず間違いない。

 まあ、単なる予想でしかないし、別に口説こうなんて考えも一切無い。だからミッテルトちゃんや、無言で尻をつねるのは止めてけれ。

 

 

「お前にも美人と感じる感性があるんだな……。

いや、そこの堕天使の事を考えればそれくらいはあるのか……」

 

「失礼だね『お兄ちゃん。』

俺はこの中の誰よりも()()だよ」

 

 

 ボソッと呟く兄者に笑顔を向けてやると、俺を黒焦げにしてくれた黒髪女と白髪チビと一緒になって気色悪いものでも見るような顔でソッポを向いちゃった。

 本当に失礼な兄者と取り巻きだぜ…………ん? あれ、金髪のお二人は顔を歪めてるけど、何か同情するような目を向けてくるのは何でや? ……………ま、いいか。

 

 

「フフ、これで完璧に確信が持てた……それだけでも一目会えた価値はありましたよ……」

 

「何の価値がとは聞きませんが良かったですね」

 

「ええ、フフフフ……」

 

 

 クスクスと嫌に色っぽく笑うグレイフィアって人の言葉の意味を深く考えずに、俺もそれっぽく笑ってやる。

 まあ、人間じゃなくても俺と似た存在が居ると分かっただけでも、紅髪悪魔の茶番に付き合ってやった価値をやっと獲られたって所だな。

 知っただけでこの先この人と絡むことなんて無いだろうけど。

 

 

「……。浮気者」

 

「? 何が?」

 

「イッセーさんの浮気者。性欲魔人。おっぱいフェチ……変態」

 

「あ、あぁ……?」

 

 

 後はこの茶番を台無しにし、自由を手に入れられれば良いなぁとか考えてたら、急に横からつねりっぱなしだったミッテルトちゃんが、綺麗な碧色の瞳を潤ませながら俺を……仕方無いとは言え身長差が故に上目遣いで睨んでいた。

 物凄い事を俺に言ってきながら。

 

 

「……クスン」

 

「ふふ、随分と好かれてますね。過負荷(アナタ)にしては?」

 

「まあ……この子は悪平等(ノットイコール)の中でも変わった子ですから……」

 

 

 終いにはちょっと泣いちゃったミッテルトちゃんに謝りながら、そんな俺等を見て何か思うところがあるのか、ふわりと笑うグレイフィアって人に、恐らく通じるだろう単語を交えた理由を話す。

 するとグレイフィアって人は只一言『そうですか……少しよろしいですか?』と言って俺から少しだけミッテルトちゃんを離すと、何やら彼女の耳元でボソリと呟いている。

 

 

(悪平等ですか……。

安心院さんはよーく知ってますが、早く彼を堕とさなければ、私が戴きますよ?

どうやら彼とは随分と波長が合うみたいなので……フフ)

 

「(………!? な、だ、)駄目っす! イッセーさんは……!」

 

「それなら早く何とかしなさいな――――本来の私は気が短くってよ?」

 

 

 何を話してたのかは知らんが、アワアワしてるミッテルトちゃんを見るに、中々エグい事でも言ったのか……。

 そんな事を考える暇も無く、いつの間にか無表情に戻ったグレイフィアって人は、途中から空気と成り果ててた連中は共々、やっと始まるレーティングゲームとやらであるの会場へと転移した。

 その直前、ミッテルトちゃんから――

 

 

「イッセーさんはおっぱい無くても大丈夫っすよね!? 人妻属性とかも無いですよね!?」

 

「え、お、おう……?」

 

 

 凄い必死こいた顔で迫られたんだが、あのグレイフィアって人は何を言ったんだ?

 

 

「フッ……」

 

 

 教え――てはくれんだろうな。

 初対面なのに、何と無く解るわ。

 

 

 

 正直に予想以上……否、私達風に表現するなら予想以下だった。

 私のように持って生まれたものなのか、それとも環境がそうさせたのかは詳しく話をしていないので分からなかったが、私の心は久方振りに踊ったのはまず間違いない。

 一見飄々としたその態度から滲み出る駄目(マイナス)っぷりは私と同じ……いやそれ以上に最低なものだ。

 今も完全とは言えない状態で本性を隠しているのが見える。

 フフフフ……その枷を外したらどうなるか……。

 私と同じでありながら、天然の能力持ち(スキルホルダー)…………どんな力かはまだはっきりと分からないが、恐らく前向きな力では無いことは滲み出る本性でハッキリ解る。

 だからこそ私は思うのだ……自分と同じ……いやそれ以上の駄目(マイナス)な存在の近くに居ればどれ程に安心して自分を偽ること無く生きることが出来るか。

 我が子と会わせ、その生き方を学ばせてあげられたらどれだけ良いか。

 才能に溢れたあの男とは違って、持つ欠陥(スキル)を制御する気も無い彼の持つ駄目っぷりから容易に感じ取れる安心感を常に隣で得られるとするならと、やはり考えるだけで心が踊る。

 あぁ……彼が人間では無く悪魔であり、それでいてあの戦争の時点で出会えていたなら私は例え脅されてもあの男の子種で孕む事はなかった。

 恐らく嫌がられてもこの男の子の傍らに付いていたかもしれない……。

 

 それほどまでに、人間でありながら異質で惹かれ過ぎる彼の本質は、たった1度で私の価値観をぶっ飛ばしてくれたのと同時に初めて自覚した。

 

 

「一目惚れって、本当にあったのね……フフ」

 

「グレイフィア? さっきから貴女は何を――」

 

「何でもありませんよリアスお嬢様……。それでは皆様……個人的な事ですが『御武運を。』」

 

 

 おっといけない。今の私はグレモリー家のメイドのグレイフィアであって、グレイフィア・ルキフグスではない。

 まだ仮面を被らなければならない……。

 そしてその仮面を剥がしてくれるのはもう決まった。

 

 

「一誠……お前の持つ訳のわからない力は使えるんだろうな?」

 

「……。誰かが怪我をしたら回復させれば良いんだろ?」

 

「ああそうだ。

それとだが、もしも俺等を裏切ったらあの堕天使は――」

 

「はいはい。ミッテルトちゃんが無事だと保証されてる内はどんどん俺を使い潰してくれや……」

 

 

 双子の兄……確か赤龍帝の兵藤誠八だったかに鬱陶しそうな顔をしている兵藤一誠……貴方に私が成し得なかった『全てを一緒くたにかき混ぜて台無しにする』という所業を達成して貰い、私に付けられた仮面と枷を無理矢理剥がして貰う。

 あの悪平等の堕天使は彼を好いている様だが……フフ、真に波長が合うのは恐らく―――――

 

 

「っ!? ……なんだ?」

 

「……。(フフフフ……色仕掛けで引っ掛かるかしら?)」

 

 

 私だ。




補足

完璧に過大評価されました!

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