そしてまさかの関係がまた発覚。
それはきっと逆恨みだったのかもしれない。
だがそれでも許せないものは許せなかった。
二度も失えば、最早それが最適だったのかなんてどうだって良い。
それは間違ってると外からものを言う輩が居るのなら、自分は迷いなく言える。
『自分の意に添わずにこうなったと主張する男を許すことが大事なのかもしれない。話し合って最適な答えを導き出すのが平和的に解決できたかもしれない。
しかし、惚れて添い遂げて子供まで授かった女と、知ってて寝た男をヘラヘラ笑いながら許すなんて自分には出来ないし、許してしまったら我が子の気持ちはどうなるんだ?
今更正当化するつもりなんて無いし、正義と思うことなんてしない。
自分はただ惚れていた女を寝取った男がムカついたからぶちのめしただけ』
要するに気に入らなかったからぶちのめしたかったとサーゼクスは思っていた。
だって自分は悪魔なのだから。
結局殺す事はせずに『見逃す』形でグレイフィアに別れを告げたサーゼクスとミリキャス。
その後彼等がどうなるか等は考えたくも無いが、近い内に破滅を迎えることを思えば、決して見逃すのが温情では無いのかもしれない。
「以上の理由で、グレイフィア・ルキフグスと正式に離婚をする事にした。
以後、彼女を追うことは厳禁とする」
数日後に冥界中に渡ったビッグニュースに多くの悪魔達が震撼した。
しかしサーゼクスの厳命がそれ以上の詮索を許さず、現政権に与する悪魔達はグレイフィアの行方を掴めなかった。
まあ、旧政権派の輩が動くかもしれないが、最早彼女が旧派に出戻りしようがサーゼクスは知ったことじゃないと思い込みつつ、日は過ぎていった。
「…………」
「元気ねーなサーゼクス? まぁ、無理もねーか……」
この日は三大勢力と吟われる勢力のトップ達が集って会談を行う日だった。
駒王学園の大会議室を使い、天使・悪魔・堕天使のトップ達が集まっていたりするのだが、離婚調停が完全に終わってから振りである同志の姿に、出席していたアザゼルとコカビエルとガブリエルは見てられない気分に浸っていた。
「グレイフィアと離婚したという話ですが……」
その会談に出席する面子の中で、同志では無い者の一人であるセラフのトップであるミカエルが遠慮しがちに話しかける。
「そうだよ。はぁ……」
ミカエルからの声かけに対してサーゼクスは疲れた中年リーマンみたいな態度で力なく返答する。
「グレイフィアちゃんが居なくなってからずっとこの調子で……。というより、私も未だ信じられないよ」
最強の女悪魔として競いあっていた魔王の一人であるセラフォルーがフォローをするように声を出すが、サーゼクスの元気は回復の兆しがまるで無い。
「……。僕の事は良いから、早く始めよう」
それどころか無理して会談を始めようとする始末。
「…………。ふむ」
それを見たコカビエルは、席に座るアザゼルの後ろに控えるように腕を組ながら立ち、どう見ても割りきれてないサーゼクスの姿を見ながら何かを考える。
誰がどう見たって遺恨残りまくりな姿を前にミカエルやセラフォルーも実にやりづらそうな顔だし、自分やアザゼルやガブリエルだってぶっちゃけやりづらい。
「お、お前が白龍皇だと!? な、ななな、なにしに来たんだよ!?」
「堕天使の護衛だよ五大龍王君。
別にキミ達に興味なんて無いから安心してくれ。それより一誠とリアスは何処だい?」
「……。リアスとはどんな関係ですか?」
「ただの友達さ。で、何処にいるんだ?」
同じく護衛で来ていたヴァーリはのんびりと同じ駒王学園に通うもう一つの悪魔集団にて生徒会であるシトリー達相手にのんびりと駄弁られるので気楽なものだが……。
「この前の聖剣の件だが、このコカビエルの名前を語っていた堕天使タミエルがやらかした事だ。
まあ、未然にガブリエルとコカビエルが沈静化してくれてお陰で騒ぎが大きくなることは無かったがな」
「そうですね。
お陰でちょっとした『膿』もついでに取り除けましたし、特に私からはありません。
ご協力に感謝しますよコカビエル」
「その言葉はガブリエルに言ってやれ」
大人組の集まりはこの様に空気が重い。
取り敢えず会談をしなければ始まらないので、自然とアザゼルが仕切る感じで始まり、その最中もサーゼクスは一応聞いては居るのだが。
「ウァッチィィィ!!!??」
「さ、サーゼクスちゃん!?」
入れたて熱々のお茶をコールドドリンク宜しくに飲もうとして火傷したり……。
「
「数年前程から名前が上がってましたが……」
「それが只の愚連隊程度の集まりならどうでも良かったが、問題なのはその組織のトップに居る奴なんだよ。
無限の――」
「ブボォ!? き、気管に入っちゃった……ゲホッゲホ!?」
今度はコールドドリンクを飲もうとすれば噎せたり。
「よぉサーゼクス……?
無理ならセラフォルーに任せて休んだ方が良いんじゃねーか?」
「ええ、今の貴方はどうも見るに堪えないと言いますか……」
「そうした方が私も良いと思う……」
「……………」
割りとサーゼクスのメンタルは大丈夫じゃないまま、周囲に気遣われる始末だった。
「い、良いって別に……。
寧ろ気を使われるとアレな気分になるし」
割り切れと思えば思うほどズルズルと引きずってしまう。
というかそんな簡単に割り切れたら、ああまで逆恨み気味な報復をしやしないのだ。
ちなみにその頃外側の護衛をやってる子供達はというと……。
『Boost!』
『Divine!』
「合わせろ一誠!」
「よっしゃ任せろヴァーリ! 行くぜ、俺達のツープラトン奥義――
「「マッスル・キングタム!!」」
何か然り気無く駒王学園に侵入しようとしていた集団を返り討ちにしていた。
無駄に凝った技らしき何かで。
「ば、バカな……赤龍帝と白龍皇が何故……!」
「ば、化け物だ!」
「ひ、怯むな! 数は此方が――ひでぶ!?」
「会談の邪魔はさせないわ……。行くわよミリキャス!」
「はい、リアスお姉ちゃん!!」
姪と叔母のツープラトンも一緒になって……。
「……。暴れてますわね」
「暴れてますね」
「……。何なんだよアイツ等。てか何であんな親しいんだよ……」
「リアスったら何時の間にあんな強く……」
それを見ていた同志外の者達は妙な無力感を覚えるが、同志であることとそうで無い者に対する無意識な壁を作り出されたせいで、その溝が果たして埋まるかは不明である。
「外が騒がしいな。襲撃でもあったのか?」
「当たりだアザゼル。どうやらヴァーリと一誠とリアスとミリキャスが迎撃しているらしい」
「なら安心ですね、此方も捕らえましたし」
そして大人グループもまた簡単に仕事を終わらせていた。
「何でカテレアちゃんが……」
「くっ……!」
襲撃してきた旧派グループの一人であるカテレアなる悪魔を楽々とコカビエルとガブリエルが無力化して捕らえるという形で。
「ヒョウガをよくも傷付けてくれましたねサーゼクス……!」
「あ、ふーん? キミもそのクチだったのか。そっか……あはは……はぁ」
拘束したカテレアをどうしようかという話をしようとした最中、サーゼクスを睨み付けるカテレアの一言に大人の同志達は察してしまう。
要するに先程話に上がっていたテロ組織に与したと託つけてサーゼクスに報復しに彼女は来たらしい。
フック男の仇討ち的な意味で。
「何かもうデキレースな気分だよ僕は」
「よもやこの女とも関係があったのか奴は」
「この場合、責めるべきなのか困りますね」
両手で疲れた様に顔を覆いながら肩を落とすサーゼクスを、慰めつもりでコカビエルとアザゼルとガブリエルがポンとそれぞれ肩と背中を優しく叩きながら、微妙極まりない気分を共有する。
サーゼクスよりも前に知り合ってて、尚且つ惚れられてて、再会したら余計燃え上がってしまったからというのは分からなくも無いが、だったらもうその時点で別れ話を切り出して欲しかった。
「絶対に―――ぐっ……!?」
ガブリエルに当て身を食らって床に沈むカテレアを背後にフック男を幻視しながら、サーゼクスは更に落ち込んでしまう。
「いやー……参ったなぁ。カテレアとも親しかったみたいだ」
「みたいだな……安心院が傍観気取りと言ってたのが何と無く理解できたわ。
ガッツリ絡む位置じゃねーかよ的な」
「三ヶ月もしない内に老化しきってしまうと言っておくべきなのかこの女に?」
ガブリエルにより意識を失ったカテレアを見下ろし、フック男との繋がりがあることに微妙な顔をするサーゼクスとアザゼルに、コカビエルがフック男の未来について教えるのかと問う。
ミカエルとセラフォルーにしてみれば何が何だかわからない話なのだが、どうやらこの三人とガブリエルはカテレアが先に口走ったヒョウガなる人物について知っているのは何と無く察する事が出来た。
「あ、おいセラフォルー・レヴィアタン。
一応聞くが、お前、ミツルギ ヒョウガという名前に覚えはあるか?」
「へ? えっと……ごめん、全然わからないけど……」
「む……なら別に良い。変な事を聞いて悪かったな」
その疑問の最中、コカビエルがセラフォルーに確認するかの如く質問し、セラフォルーは珍しい人物から話を振られて若干面を喰らうも、聞き覚えが無いと首を横に振ると、コカビエルは軽く謝りながら再び腕を組んで何かを思案している。
「いや名前だけじゃ不安だろ。おいセラフォルー、銀髪で東洋人離れした容姿でオッドアイの男に覚えはあるか?」
「な、何なのよアザゼルちゃんまで。そんな人に覚えなんて無いってば……」
「あ、そ。なら良い、変な事を聞いて悪かったな」
コカビエルに続いてアザゼルにまで謎の人物の特徴まで出されて問われるセラフォルーは、微妙にやりづらい気分になりながらもやっぱり覚えが無いので、無いと答えると、コカビエルと同じようにアザゼルは素っ気なく言ってからカテレアを見下ろす。
「ヴァーリから連絡だ。カテレア・レヴィアタンが編成したと思われる襲撃者の部隊を無力化させたとの事だ」
「ま、当然だな」
「寧ろ下手打ってたら修行のやり直しを命じてますよ」
「ミリキャスは無事だよね?」
「むぅ……」
「前々から思ってましたが、何故あの四人は仲が良いのでしょうか……?」
「知らないよそんなの。私聞いてないもん……」
前々から妙に……戦争終結以降から妙に仲が良い四人の実態を知らないミカエルとセラフォルーは、今もまた仲の良い様子を見て解せない表情を浮かべていた。
特にセラフォルーにはその仲の良さが微妙に納得できない様子だったとか。
流石におかしい。
そう思ったのは木場祐斗、姫島朱乃、塔城小猫、ソーナ・シトリーと彼女の一部古参眷属だった。
「こんなものかしらね」
「つーか誰だよこれ?」
「知らないのか? コイツ等は無限の龍神がトップの組織の構成員だぞ。
どうやら三大勢力の会談に茶々いれする為に襲ってきたらしい」
「そうだったんですね。『前』はそんな事知らないままあんな事になっちゃったから……」
白龍皇と名乗るヴァーリ、赤龍帝の一誠。
伝説の二天龍を宿す二人が争うこと無く、当たり前の様に組んで襲撃者と戦い、そしてその前からも当たり前の様に……それこそ友達を迎え入れるかの如くリアスやサーゼクスに連れられてやって来ていたミリキャスもそこに加わる。
ハッキリ言っておかしいのだ。アーシアは新参故に特に疑問に思ってる様子は無いものの、それでも違和感を覚えた表情だ。
「あの……」
「え、なに?」
まず、一誠の時もそうだが、何でリアスが親しいのか。
そして何時からそんな親しくなったのか。
リアスはおろか、ミリキャスまでヴァーリと親しげだからこそ、解せない気分で一杯だった眷属達を代表し、黒歌の件で色々とある程度知ってる小猫が何と無くの理由で一番近くに居た一誠の制服の袖をクイクイしながら話し掛ける。
相変わらず微妙に素っ気ない態度の一誠だが、基本的に受け答えはちゃんとする方だったので、小猫は意を決して聞いてみる。
「あの、白い人と何時からそんな親しくなってたのですか? 私達は何も聞いてないのですが……」
「それ、一々言わないとダメなの?」
「そういう訳じゃ無いのですけど……」
「余りにも知らされてなかったんだよ。それに、そろそろ幻想郷という場所の事についても教えて欲しいんだ。
本当に僕の仲間が生きてるのかを知りたいんだよ」
「それは俺もイマイチ知らないんだがな。知りたければコカビエルさん辺りにでも聞いたら良いんじゃねーの?」
「いえですから、コカビエルは堕天使ですし、そんな簡単に接触なんてできませんわよ?」
「ふーん? ならヴァーリに頼んだら? アイツはコカビエルの弟子だし」
「……………」
素っ気ないし、肝心の箇所をうやむやにしているものの、答えてはくれる一誠にかつての仲間が幻想郷なる場所で生きていると聞かされた祐斗の視線が、ヴァーリへと向けられる。
「あの……幻想郷って場所についてなんですけど……」
「? あぁ、キミは確か聖剣計画の……。
なるほど、仲間の安否が知りたいんだな?」
「! い、生きてるのかい!? ほ、本当に……!?」
「直接は知らないが、ガブリエルとコカビエルに聞けば分かると思うぞ」
もっと取っ付きにくいのかと思って構えてた祐斗だが、案外普通に答えてくれたのと、やはり生きてるんだという証言に思わずといった様子でヴァーリに迫っていた。
祐斗にしてみれば、かつての仲間が生きてるというだけでも救われる話なのだ。
「あの、姉は……」
しかし反対にこの際だからと例の男と一緒に居たらしい姉の事について聞かなければならない小猫は、少し沈んでる表情で一誠に聞く。
「姉? あぁ、あの黒の猫の……。まあ、その……普通にフック男と一緒だったし、何というかその……レスリングごっこしてたよ、うん」
「レスリングごっことは?
……………………………あ、いえ、わかりました。はい、もうそれだけ聞ければ充分です」
珍しくリアスや同志以外に対してかなり気を使って、耳打ち気味の声量で小猫の姉の現状について話した一誠に、小猫は一瞬その言葉の意味を捉えられずに困惑するも、直ぐに察したのだろう。若干諦めた様な顔でそれ以上聞くことを放棄した。
「あの、もしかして連れてきた方が良かった?」
「いえ良いです。聞いた限りだと元気にしてる様ですので」
「まー……うん、ハッスルはしてたし元気ではあったかな…………何かごめん」
小猫の態度に流石の一誠も思うところがあったのか、珍しく気を使う様な態度だ。
「良いんです。色々と吹っ切れた気もしましたし」
「そ、そう? ……………………飴あるけど要る?」
「え? あ………はい、ありがとうございます」
吹っ切れたという割りには哀愁漂うオーラを出す小猫を見て流石に他人事で済ませられなかった一誠は、偶々持っていたコーラ味の飴玉をあげる。
小猫はそんな一誠からの対応に一瞬目を丸くし、コーラのあめ玉を差し出す手と一誠の顔を交互に何度か見て、彼なりに気を使ってくれてるのかと察すると、何だか暖かい気持ちになりながら、そのあめ玉を少し笑みを溢しつつ受け取った。
「必要ならフック男からキミのねーちゃんを連れてきても……良いぞ?」
「良いですよ別に。姉が好きになった相手は確かに薄気味悪く思いましたけど、姉にとってはそうじゃ無いみたいですから。
なら、私が一々口だしする事じゃありませんよ」
「そっか……わかった」
「ふふ、それより急にどうしたんですか先輩? 何時もはちょっと無愛想なのに」
「へ? あー……いやほら……うん」
何時もは業務的でどこかよそよそしさすら覚える態度だった一誠が、リアス達には見せる人間味の感じる態度を見せているのが可笑しく、クスクスと笑ってしまう小猫に一誠はポリポリと人差し指で頬を掻きながら曖昧な声を出す。
それがまた可笑しく、あの未だに何だったのか不明だった謎の男のせいで少しは仲間っぽくなれた気になれたのは皮肉なのかもしれない。
「一応聞くけど、キミはあのフック男を――」
「無いですね。この前からそこら辺を気にするのは何でですか?」
「いや………昔、簡単に女に囲まれる様な男を見たことがあって、ゲームみたいに簡単に惚れさせる様な奴だったから、ひょっとしてその手なのかなぁ……なんて」
「へぇ、そんな人が。
ですがご心配無くとも私はそうじゃありませんので」
「そっか」
「やけに気にするんですね?
あ、ひょっとしてリアス部長という人がありながら私に惚れ――」
「それは無い。ありえない。天地に誓ってリアスちゃんしか見ない。だから安心してくれ」
「……………………。冗談で言ったのにそこまで否定しなくても良いじゃないですか……?」
「俺は浮気はしねぇ」
魔王にとっては未だハードモードだが。
終わり。
おまけ……本当に慰安旅行をするならば その2
グレイフィアなる者と間違われた挙げ句、胸の大きさで違いを理解されると色々と個人的に外来の魔王に腹立つメイドさん。
どうやらこの魔王を主のカリスマ吸血鬼さんは気に入った様なのだが……。
「いやホント申し訳無い。サクヤさんとグレイフィアは違うってちゃんと理解したからもう取り乱さないよ。
そもそもやっぱり胸の大きさが――じゃなくて、サクヤさんの方が幼く見えるもの」
「…………。喧嘩を売られてる気しかしませんが?」
「いやいやいやいやそんな事無いからね!? 気に触ったら謝るよ……ごめんなさい」
だからそのグレイフィアってのは何なんだ。そこまで似てるのか? というかさっきから失礼すぎるだろこの男。と、咲夜さんは内心サーゼクスに良い気分は抱かなかったのだが……。
「紹介するよ、この子は僕の娘で……」
「お、お母様!? な、な、なんで!?」
サーゼクスそっくりの髪色の娘なる子からサーゼクスと同じく驚かれたり。
「む、貴様はたしか吸血鬼の館の所の……。そういえば似ていたのを忘れていたぞ」
「コカビエルさん……でしたか。
なるほど、そういえば貴方も私を最初に見て驚いてましたね。
相当私はそのグレイフィアなる方に似てるのでしょうね」
「いや、似てるどころか姉妹と言われても信じられるわ。すっげー似てんな……サーゼクスの元嫁に」
「………………は?」
前に一度相対したコカビエルの仲間である事、そしてコカビエルと同種属のちょいワルな風体の男に言われた事に固まる咲夜さん。
そして……。
「きゃ!?」
「おっと!? 大丈夫かい……………って」
「あ……」
「………」
「………………。えっと、やっぱり違うかな。うん、グレイフィアの方が手のひらから溢れるくらい大き――ぶっ!?」
「コカビエルさんのお仲間の方ならこれくらいやっても許されますよね?」
ラッキー発動して眉間にナイフぶちこまれても仕方ないのかもしれない。
「お、お父様……」
「お兄様、それは無いですわ」
「なんというか……フォローが出来ないっす」
「お、おぉ……目の前が真っ赤だよ……」
ハードからノーマルになろうサーゼクスさん編。
「誤解してる所アレだけど、普段のサーゼクスさんはいい人だからな?」
「はぁ……」
「例えばほら、今はああしてミリキャスちゃんと楽しく遊んであげてたり……」
「それが何だというんですか?」
「いや別に何だって訳じゃ無いけどさ……なぁリアスちゃん?」
「え、えぇ……。(一ヶ月毎に来ると、お兄様を影からジーっと見てる事は突っ込まない方が良いのかしら……)」
「…。(まあ、やめた方が良いかも。俺達の世界じゃストーカーだってのも言わない方が……)」
「……………。なにか?」
「「いえなんでも」」
気づいたら元妻にクリソツなメイドにやらかし、それがトリガーになって見張られてるの巻。
に、なりません。
補足
まさかの転生者とカテレアさんは繋がってましたオチ。
お陰でサーゼクスさんは更にやるせない気分であり、お察しの通りめっちゃメンタルが大変です。
これはもう、嘘予告みたいにクリソツメイドさんか人外さんにラッキー発動してしまうしか気は紛れねぇ。