色々なIF集   作:超人類DX

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D×S系譜故にこのアザゼルさんは相当に良い人です。

あと修羅場経験してるせいで、並みの相手でも余裕を崩さないメンタル完備。

あと、鍛え直しまくって実力も種族突破完了。




フラグ建築士……アザゼルさん

 奴等がこの世界に居る。

 白夜叉から話を聞いた一誠と白音は確かに驚いた。

 

 が、それ以上にやらなければならない事が出来てしまったのかもしれないと、心の中で呟く。

 

 ちなみに、十六夜少年が蛇神なる存在をフラフラしてた最中に直接倒したという話が出てきた時、少し場が騒然としたが、一誠も白音も興味が無かったので適当に聞き流していた。

 

 

「白夜叉様は十六夜さんが倒した蛇神様を知ってるのですか?」

 

「知ってるも何も奴に神格を与えたのは私だ。もう何百年も前の話だがの」

 

 

 浮き彫りになりつつある一誠と白音の正体。

 しかしそれよりも先に十六夜少年は白夜叉が今シレッと口にした言葉に目をキラリと光らせた。

 

 

「へぇ? つまりあの蛇よりアンタの方が強いって事になる訳だ?」

 

「ふふん、当然だ。

私は東側の階層支配者(フロアマスター)だぞ。

 この東側の四桁以下にあるコミュニティでは並ぶ者がいない、最強の主催者(ホスト)なのだからの」

 

 

 一応は……と最後に小さく呟きながら、ボーッと何かを考えている一誠と白音を一瞥する白夜叉。

 

 

「ではつまり、貴女のゲームをクリア出来れば、私達のコミュニティは東側で最強のコミュニティという事になるのかしら?」

 

「無論そうなるな」

 

 

 謙遜するでも無く、自慢するでもなく、ただそれが事実だとばかりに淡々と話す白夜叉に十六夜少年……いや、十六夜少年達の表情が一気に変化する。

 

 

「なるほど、てことは探す手間も省けたって訳だ」

 

「元気な童共だ。

依頼しておきながら私にギフトゲームで挑むつもりか?」

 

「なっ!? 急に何を仰いますかお三人様!?」

 

 

 白夜叉をよーく知る黒ウサギが、慌てて止めようと声を張り上げた。

 が、その声を白夜叉が手を挙げて制す。

 

 

「構わんよ。元気な童は私も嫌いじゃない……良い歳しても童のまんまの男はどうかと思うがな」

 

 

 若干声が低い白夜叉。

 それはまるで誰かの事を思い出している様だった。

 

 

「それじゃあ……?」

 

 

 飛鳥がその先を促そうとする。

 すると返事の代わりのつもりか、白夜叉は袖口からギフトカードを取り出し言った。

 

 

「おんしらが望むのは『挑戦』か? それとも命のやり取りである死合い……『決闘』か?」

 

 

 その瞬間、白夜叉を中心に部屋が崩れ、一瞬にして世界が変化した。

 一言で示すなら白……冷気を感じさせる白世界。

 

 

「「「……!」」」

 

 

 余りの異常な光景に、十六夜少年達三人は息を呑む。

 

 

「今一度名乗り直し、問おうかの。

私は『白き夜の魔王』……太陽と白夜の星霊・白夜叉。

 おんしらが望むのは、試練への挑戦か? それとも対等な決闘か?」

 

 

 絶大な威圧感を持って再び問いかける白夜叉に誰しもが言葉を放つ事が出来ない。

 

 

(さて、あの二人は……フッ、やはりこの程度では動揺もせぬか)

 

 

 が、その中でも圧倒される問題児三人とは真逆に、古い友人の知り合いである二人の超越者は白夜叉の起こした光景に対しても平然としている事に『やはり本物か……』と、確信めいたものを感じとる。

 

 

(アザゼル、ヴァーリ、黒歌の三人が恐れた『災害』か)

 

 

 平然と茶まで飲み始める二人の怪物に白夜叉はその小さな身が微かに震わせ、笑みを溢す。

 森羅万象を破壊し、数多の神を殺し、全てを力で捩じ伏せたというアザゼルの話も強ち誇張でも無さそうなのだから。

 

 

(アイツ等、この状況に呑気に茶なんて飲んでやがる……!)

 

 

 そして十六夜少年もまた、白夜叉の威圧に呑まれる中、平然と茶を飲む二人の化け物に戦慄と同時に歓喜を覚えていた。

 十六夜少年はどうにも負けず嫌いらしく、折れるよりも挑む気位が多かった。

 

 

「白夜と夜叉……この空間はお前を表現しているってことか」

 

「如何にも、ここは私の持つゲーム盤の一つだ」

 

 

 しかし白夜叉もまた化け物であり、何食わぬ顔で展開したこの空間をゲーム盤の一つと言われて驚くよりも笑うしか無かった。

 

 

「して、おんしらの返答は? 挑戦なら手慰み程度に遊んでやろう。

 しかし、『決闘』を望むなら……魔王として命と誇りの限り戦おうではないか」

 

 

 黒ウサギにボディアタックで突撃していた白夜叉は今存在しない。あるのは只、白き夜の魔王としての白夜叉であるこの現状に、十六夜少年はチラッと同じく呑まれていた飛鳥と耀を見ると……。

 

 

「参った……降参だぜ白夜叉。良いぜ、今はただアンタに試されてやるよ」

 

 

 黙して退くを選択し、白夜叉に告げた。

 その瞬間、白夜叉が見せた景色は一瞬にして溶け……先程の場所へと切り替わる。

 

 

「そうか、中々『空気』の読める童じゃな。嫌いでは無いぞ?」

 

「チッ……」

 

「して、おんし達は?」

 

「……。良いわ、同じく試されてあげる」

 

「右に同じ……」

 

 

 白夜叉の言葉に十六夜少年は見透かされていたのかと舌打ちをする。

 ハラハラしながら見ていた黒ウサギはそれに気付いて無かった様なので、適当に茶化して誤魔化しはしたものの、差を教えられたという屈辱は変わらなかった。

 

 

「一応……いや、正直あんまり聞きたくないのだが、おんし達はどうする?」

 

「元々俺はゲームなんてするつもりもない。だからパス」

 

「同じく、貴女には色々とこれから聞きたいこともありますからね」

 

「そうか……私としてもアザゼルの知り合いで、黒歌の妹でもある二人とはやり合いたくはないからのぅ」

 

 

 その白夜叉があの二人に下手に出ているという点でも……。

 

 

「さっきから白夜叉はこの二人を知ってるみたいだが、俺達は全く知らないんだよ。どうもしゃべりたがらない性格みたいでな」

 

「……。一体二人は何者かしら?」

 

「喋りたがらないというのは、おんし達がこの二人に心の底から相手にされてないというだけの事じゃが……まあ、私とてそこまで詳しくは無い。

強いて云うなら……天災かの?」

 

「天災とは酷い言い草ですね。寧ろ余計な真似さえして来なければ大人しいものですよ私と先輩は?」

 

「それにお前だって、鬱陶しい蚊が周りを飛んでたら駆除しようと思うだろ? それと同じだよ」

 

「くくく、まぁたしかにの」

 

 

 十六夜少年は特に気に食わなかった。

 

 

 

 そんなこんなで十六夜少年達は白夜叉との軽いギフトゲームをする事になったのだが……。

 

 

「それで……三人は今何処で何をしている?」

 

 

 グリフォンなる獣と戯れてる問題児三人の様子を一瞥たりともくれる事無く、一誠と白音は白夜叉に改めて問い詰めた。

 

 

「まあ、気にならない訳も無いか」

 

 

 それを受ける白夜叉も、おどけた態度を引っ込める。

 

 

「あ、あの白夜叉様……結局このお二人は――」

 

「はぁ……それを知らずに呼び出したのか黒ウサギは? 全く、いくら切羽詰まっているとはいえ、少しいい加減じゃの?」

 

「う……そ、それは……」

 

「が、応じたのは私としても意外に思うぞ赤龍帝?」

 

「違う、読んだだけで応じたつもりも無く飛ばされたんだよ。そんな事より奴等は本当に……」

 

「居る。今頃箱庭の外でフラフラ自由にやっとるだろう」

 

「黒歌姉様が……ですがその気配はまるで―――いや、そういえばかくれんぼが得意でしたね」

 

 

 何時に無く喋る一誠に黒ウサギは少し意外に思いつつも、白夜叉との会話に聞き耳を立てる。

 思えば手から光線ぶっぱなして広範囲の土地を破壊するわ、白夜叉の威圧にも平然としてるわで、一々底が掴めなかった。

 なのでこの際正体を知っているらしい白夜叉との会話で掴んでやろうと、黒ウサギは敢えて黙って聞いてみる……。

 

 

「ふむ、何なら三人を呼び出してみるか?」

 

「あ?」

 

「連絡出来るんですか?」

 

「まぁの、実はアザゼルから専用端末を貰っていてな。

用があればこれで呼び出せるのだ」

 

 

 白夜叉からの提案に一誠と白音が少し意外そうな表情をする。

 割りとアッサリ呼び出してくれるという意味で。

 

 

「勿論、三人を見た瞬間襲い掛からないのを条件にだがの」

 

「今更そんなつもりはねぇよ。つーか、俺はアザゼルさんに頼まれて結局何もしてねぇ……恨まれはしてるだろうが」

 

「流石に実の姉でしたし、私も何もしてませんよ。ですので誓えます」

 

「結構、なら今呼び出してみるから待っておれ」

 

 

 そしてこれまた意外にもアッサリ再会出来る状況に二人は若干ながら会ったら何をすべきかを考え様としていたのだが……。

 

 

「……むむ」

 

 

 多分アザゼル作だと思われる通信端末を操作していた白夜叉が、突如としてその指を止め、何やら難しそうに唸りながら画面を睨み始めるではないか。

 

 

「? おい、どうした」

 

「まさか今になってやっぱ止めたなんて言い出しはしませんよね?」

 

 

 ここまで期待させておいてそれは無いだろうと、一誠と白音は最悪脅してでも呼び出させようと思ったのだが……。

 

 

「いや……うむ……その、考えてみれば何時もアザゼルの方から誘いの連絡を受けていてな? 私から何かを連絡することが無かったというか……」

 

「「「は?」」」

 

 

 どうやらそういう訳では無く、単に自分から連絡する事に戸惑いがあった様だった。

 これには一誠と白音……そして聞き耳を立てていた黒ウサギもポカンとしてしまう。

 

 

「…………。いえ、普通に来いと言えば良いじゃないですか?」

 

「それはそうなんだが……。

な、何というかほら、それじゃあ味気ない気もせんか?」

 

「味気ないも糞も呼び出すだけだろうが……」

 

 妙にもじもじしてる白夜叉に、勘繰ってた自分がアホらしくなってしまう。

 

 

「え、誰ですかあの方は? 白夜叉様は何処に?」

 

 

 そんな態度の白夜叉を見て、黒ウサギもまた知っている本人とは違う一面に軽く現実逃避じみた事を思わず呟いてしまう。

 

 

「早く呼べや。

ここに来て怖じ気づいたなんてほざいたら流石に蹴り飛ばすぞ」

 

「わ、わかっとる! だ、だがもし出たらどんな台詞を言えば良いのかの……?」

 

「知らねーよ! んなもん適当で良いだろうが! 何だテメー! 白き夜のなんたらとかほざいてた癖に思春期のガキか!」

 

「相当に遅れてる思春期ですけどね」

 

 

 終いには『うーうー』言い出す白夜叉に飽きれ通り越して馬鹿らしくなってきた一誠は、白夜叉から端末を引ったくって代わりに呼び出してやろうと手を伸ばしたが……。

 

 

「!? や、やめろ! 私がやる! 余計な事はせんで良い!」

 

「じゃあ早くしろや!」

 

 

 白夜叉は端末を取られまいと必死に庇い、意固地になって自分でやると言い張る。

 

 

「『しばらく振りだなアザゼルよ。お前に会わせたい奴が居るからヴァーリと黒歌と一緒に来てくれないか?』………で良いと思うか? 変じゃないかの?!」

 

「変じゃねーから」

 

「早くしてくださいよ……どんだけアザゼルさんが好きなんですか……」

 

「ち、違う! ミスをしてアイツに笑われたくないだけじゃ!」

 

「こ、この人白夜叉様じゃない……」

 

 

 結局このやり取りだけでかなり時間を喰ったのは言うまでも無く、一誠は遠い昔を最後に見なくなった堕天使の姿を思い浮かべつつ、随分と変な奴に好かれたもんですね……と呟くのだった。

 

 

「す、するぞ……すーはーすーはー……うぅ、何じゃこの緊張感は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「へっきし!」

 

「何だアザゼル、風邪か?」

 

「ずずっ……いや、多分白夜叉辺りに悪口言われてるんだと思う」

 

「あー……アイツか。そろそろ茶でも誘ってやれば良いんじゃないか?」

 

「あー……それは別に良いんだが、アイツ、会うたびに格好の駄目だしとかしてくるからなぁ……」

 

「それがあの子の挨拶だと思えば良いにゃ」

 

 

 終わり




補足

ちょい悪、イケボ、それに見合う強さ。

けど若気の至りの反省を踏まえて女遊びはしない。

故に……結構モテたりそうで無かったり。



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