色々なIF集   作:超人類DX

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本当にただの一発ネタ。

何か急に思い付いただけ。


三バカとゼロ
一発ネタ 召喚された三バカ


 誰が言ったのか、誰が広めたのか。

 気付けば俺達はそうひと括りに呼ばれていた。

 

 いや、うん……確かに悪童と呼ばれる様な事をした覚えはあるんだけど、それにしたって何時までも悪童ってのも何か違うというかさ……。

 どっちかと言えば俺はまだ大人しい方だろ……残りアイツと比べたらさ……。

 

 

 

 その日、少年達は何時もの様にくだらない理由で喧嘩をしていた。

 

 

「またテメェ等かぁぁっ!!! 人の家の冷蔵庫を荒らすなと何度言えば分かるんだカスがぁぁあっ!!」

 

「ち、違う俺じゃない! コイツがやったんだ!」

 

「嘘だ! コイツも普通にプリンを食べたから同罪だ!」

 

「どっちでも良いから死にさらせボケがぁぁっ!!」

 

 

 チェーソーを振り回し、文字通り全力で飛んで逃げる少年二人を追いかけ回す怒り狂った少年。

 話の内容に依ると、どうやら独り暮らしをしている少年宅の冷蔵庫を、この逃げまくってる少年二人が勝手に開け、大事に取って置いたプリンを食べてしまったかららしいのだが、チェーソーをブン回し、全力の殺意で追い掛ける程のものかと些か疑問である。

 

 

「ヒャハハハハハ!!! バラバラにしてやるぜぇ!!!」

 

「うわ!?」

 

「躊躇無く脚を狙ってきたぞ!? こ、これは相当に怒っているな……」

 

「だから俺は言ったんだ! なのにお前が『この程度じゃ怒らない』なんて根拠の無いことを言うから」

 

「美味そうに食っておいて随分な言い方だな!」

 

 

 しかしチェーソー少年にとっては其ほどの怒りであり、理由としても充分であったからこそ、既に半泣きになりつつある銀髪と黒髪の少年を、もはや完全に悪人丸出しな笑みと共に追いかけ回す訳であり……。

 

 

「WRYYYYYYYYーっ!!!!!!」

 

 

 この騒動が、少年三人をこの世界から弾き飛ばす事になろうとは……。

 

 

「っ!? な、何だ……か、身体が……!」

 

「う、動けない……!? お、おい何だこれは、お前の新技か!?」

「い、いや違う俺じゃな――」

 

 

 妙な光を浴びるまで、知りもしなかった。

 

 

 

 

 

 くっ……頭がクラクラする。

 冷蔵庫のプリンを食べただけだとしても、報いとしては大きすぎる……。

 

 

「お、おい……お前等生きてるか?」

 

「あ、あぁ……さっきの閃光の様な光のせいで微妙に目がまだ眩んでるがな……」

 

 

 どうやら二人のどちらでも無かったらしい謎の光を浴び、意識を失っていたらしい。

 子供の頃に偶然知り合ってから、気付けば妙な括りで呼ばれるようになる程度には付き合いが深い友達二人の声を確認できてちょっとホッとしつつ、眩んでいた目に視力が徐々に戻ってきたのだが……。

 

 

「「「…………」」」

 

 

 俺達の目に飛び込んできたのは、先程までの景色とはまるで正反対の……なんというか、コンビニとかが全然無さそうな田舎っぽい場所。

 いやそれだけじゃない。

 

 

「アンタ達誰?」

 

 

 ……。人間が複数、それも前に魔法使いを名乗ったバカを三人でぶっ潰したソレに若干酷似している格好をしたのが、結構な数程俺達を見ているじゃないか。

 

 

「……。おい、おいおいおい……おい、そういう事なのか? これってそういう意味なのか?」

 

 

 茶髪の男が、死ぬほどめんどくさそうな顔をして、俺と黒髪の男に振ってくる。

 どうやら二人も目の前の……勝ち気な面構えの女や周りに居る人間の姿を見て察している様だった。

 

 

「だろうな。あの時は結構暴れてしまったし、報復に来てもおかしくは無いだろうよ」

 

「チッ、一回で大人しくなれば良いものを、めんどくせぇ」

 

「まあ本拠地ごと更地にしたのだし報復を考えても理解は出来るだろ。やったの俺達だけど」

 

 

 つり目をもっとつり目にしながら、その場に腰を下ろしていた俺達を睨む小柄で桃色の髪をした少女を見て察した俺達は、いつの間にか喧嘩の事も忘れて、目の前の連中をどうしてから帰ろうかという思考へと即座に切り替える。

 

 喧嘩を売られたから買ったまでであり、その報復に俺達を無理矢理ワープさせておびき寄せた……のであれば、やることなぞ一つしか無い。

 

 

「意識を奪ってた時点で殺らなかったのは間違いだったな魔導師共が」

 

「腕に自信があるのか、それとも殺す前に俺達が起きたのか……」

 

「どちらにせよ……」

 

 

 

 

 

 

「「「ぶちのめす……!!」」」

 

 

 堂々と帰らせて貰うよ、当然だろう?

 

 

 

 

 前代未聞という日が珍しいのであれば、まさに今日はその珍しい日なのかもしれない。

 そして召喚の儀式で呼び出した、平民らしき三人の男の『異常』な力も……。

 

 

「さてと、一応聞くが目的は何だ? わざわざ俺達三人を無理矢理ワープさせたという事は、やはりテメー等はこの前の蚊共の残党か?」

 

「な、何の事よ……てか、何よその口の聞き方は!? 貴族に向かって――――ひっ!?」

 

「質問に答えろ小娘。俺達をこの場所におびき寄せた理由は何だ?」

 

「人違いだけはしない主義なんでね、早いとここの前の魔導師集団の残党なら残党と名乗ってくれ」

 

 

 平民、そこら辺の平民。

 進級を賭けた使い魔召喚の儀式を何度も失敗し、何度もその度に周りの連中から嘲笑われながらも、やっと成功したかと思ったら、出てきたのは気絶していた平民三人。

 

 茶髪、黒髪、銀髪。

 それぞれタイプは違えどある程度顔立ちは整ってると個人的に思うレベルではあったものの、力も何も無い……というか、人間を呼び出したなんて前代未聞だ。

 案の定、見ていた連中は自分を笑いながら『呼び出せないからってそこら辺の平民を連れてくるなよ!』だのと悪口を叩く。

 

 当たり前だが悔しい。どうせならドラゴンだとか、せめて土竜でも良いから呼び出せてたらこんな屈辱なんて味合わずに住んだのに……。

 

 桃色髪の魔法使いの少女は、三人の平民男を恨みさえもした。

 

 けれど……。

 

 

「あ……あ……ぁ……!」

 

「…………あれ?」

 

「少し様子が変じゃないか? 軽い挨拶をしただけでこんなに怯えるなんて……」

 

「残党にしては少しお粗末な気がするな……」

 

 

 意識を取り戻し、三人で何やら話し合ったその瞬間、少女は……いや、その場に居た全ての人間は強烈なプレッシャーに金縛りに遇ったが如く硬直して動けなくなった。

 中には泡を口から吹いて倒れる者まで現れ、そのプレッシャーを真正面から三人にとっては軽いものとはいえ受けた少女は、気絶しないだけ中々の精神力を持っていると寧ろ褒められる程だ。

 

 

「下がりなさいミス・ヴァリエール!!」

 

 

 しかしそんな異常な重圧の最中、やはり頼りになるのは大人だと後に少女は痛い程痛感する。

 それも自分達に魔法のいろはを教えてくれる教師ともなれば、今ほど頼もしいと感じる事は無かっただろう。

 

 

「おっと、マシそうなのが居るじゃんか」

 

 

 コルベールという教師の叫びにホッとしたのも束の間、当然その声を聞いた三人は少女から視線を移し、そして出で立ちを見てニヤリとした。

 

 そう、三人にとって大人……それも色々と事情と理由を吐かせる事が出来そうな存在は今必要だったのだ。

 

 

「おっさんよ、俺達をこんな場所にワープさせたって事は、俺達の事を知ってるって事だろう?」

 

 

 茶髪の少年が首を鳴らしながら、杖を構える中年男性に問うと、男性は頬をピクリとさせながら訝しげな表情を浮かべる。

 

 

「あなた方が何者か等、我々は知りませんが……?」

 

 

 いきなりの事で内心困惑しつつも、油断無く杖を構えたままそう言い放つコルベール教諭に、今度は三人の少年が訝しげな表情をする。

 

 

「はい? おいおいおい、今更そっちが無理矢理ワープさせておいてそんなお惚けが通じるとでも思ってるかよ?」

 

「ワープ? 我々はただ使い魔召喚の儀式をしており、そこに居る生徒があなた方を召喚したのですが?」

 

「…………………は?」

 

「使い魔だと?」

 

 

 ここで漸く少年三人からの威圧が霧散する。

 

 

『っ……はぁ、はぁ……』

 

『げほ、ごほ!』

 

『な、なんなんだよいったい……!』

 

 

 その威圧から解放された周りの者達は、肺に無理矢理押し込められていた空気を吐き出す様にその場にヘタリ込んでいる。当然直ぐ近くの桃色の髪をした少女も、涙目になってヘナヘナと腰を抜かしている。

 

 

「……。えっと、アンタ等『コルティス・ダイ』とかいった変な集団の残党だろ?」

 

「……? 何ですかそれは? 我々はトリステイン魔法学院の者ですけど……」

 

 

 さっきから妙に話が食い違ってる。

 それに漸く気付いたのは、互いに間抜け気味な顔をしながら互いの持つ情報を提示し、それが全くのハズレである事を互いの口から聞いた今だった。

 

 

「「「………」」」

 

 

 茶髪、黒髪、銀髪の少年は杖をしまう中年男性から視線を外し、無言で顔を見合せる。

 そう……完全にコッチの勘違いでしか無かったというバカみたいなオチだったのだ。

 

 それを自覚した瞬間……。

 

 

「あ、あのすいません、本当にすいません……!」

 

「ひ、人違いでした……」

 

「か、勘違いでした……」

 

 

 中年男性を代表者と判断し、彼に近寄り思いきり頭を下げで謝罪を開始した。

 これには中年以下トリステイン魔法学院関係者全員はポカンとするしか無い。

 

 

「本当にすいません! 本当にすいません!!」

 

「い、いえ、お互いに勘違いをしていたのでお気になさらず……」

 

 

 さっきまでの獰猛な笑みや威圧が嘘の様な低姿勢さに、中年男性教師ことコルベールは肩の力がカクンと抜けるのを感じながら、取り敢えずお互いの情報を交換して勘違いを修正しようと提案し、それに応じた三人の少年相手に、此処が何処なのかとか等の説明をする。

 

 

「トリステイン? サモン・サーヴァント? ……全然聞いたことが無いな」

 

「サモン・サーヴァントというのは何となく予想できるが、トリステインという地名なぞ聞いた事が無いぞ」

 

「というか、もしかしなくてもあの妙な光を浴びたからこうなったのか?」

 

 

 そして浮上するは新たな問題だった。

 互いの情報を交換している内に、少年三人は全く異なる世界かは来た疑惑が出てしまったのだ。

 

 

「こ、これが世界地図だと?」

 

「冥界でも人間界でも無い地形で形成されてるのか……」

 

 

 試しに地図や、簡単な絵本を三人に見せてみれば、見知らぬ地形をしていると驚いたり、子供でも読める筈の絵本の文字を見て全く読めないと発覚していく。

 これにはコルベールも、そして召喚した本人である少女もただ唖然とする他無かった。

 

 

「う、嘘でしょ? わ、私は異世界の人間を呼び出しちゃったの?」

 

「こ、これほど我々の常識が通じてないともなれば、疑いようもありませんから……そうなりますねミス・ヴァリエール」

 

「そ、そんな……じゃ、じゃあ進級は?」

 

 

 使い魔の召喚であり異世界人の召喚をしろとは言われてない。

 故に少女は留年という最悪の結末を考え、絶望した表情を浮かべてみるみると顔を青くする。

 だが、コルベールという教師は実に話の通じる良い教師であるので、そんなヴァリエールなる少女に対してこう切り出した。

 

 

「……。この三人の方に使い魔になって頂けるか交渉してみなさい。

それでもし応じて頂けたら、このまま進級という事で話を通しましょう」

 

「ええっ!? や、やり直しじゃないんですか!?」

 

「どうであれ、召喚は召喚ですからね……」

 

 

 三人の少年に交渉して使い魔になって貰う。

 それがヴァリエール少女に残された進級への道だった。

 

 学院の外であり、未だに自分達を怪しむ様な目で見てくる他の生徒の視線に若干嫌そうな顔をしてるというのに、使い魔になれと言われて果たしてハイと答えるのかどうか……。

 

 先程真っ向から殺気を受けたせいか、何時もの威勢の良さが完全に消え去っていたヴァリエール少女は、取り敢えず三人に言ってみた。

 

 

「アンタ達、私の使い魔になりなさい」

 

「「「………」」」

 

 

 それはぶっちゃけお願いというよりは命令に近いものがあった。

 しかし貴族故に、身分の低い者に対しての口調がこれでもまかり通る様な環境で生きてきた訳なので、ある意味この世界ではこれが普通だった。

 

 

「使い魔に? それって周りで見てる連中の側にいる動物みてーなのと同じ扱いでもされるのか?」

 

「いえ、サイレントでこれまでの話は彼等には聞こえてませんが、あなた方は異世界から不慮の事故で召喚されてしまった。

なので、普通の使い魔と同じ扱いには決してしない様、このミス・ヴァリエールも誓います」

 

「そ、そういう事よ。悪いようにはしないわ」

 

 

 ちょっと嫌そうな顔をする三人に、コルベールがすかさずフォローをいれる。

 使い魔儀式の召喚魔法で異世界からの人間を呼び出したなぞ前代未聞。

 だからこその待遇を提案するのだが……。

 

 

「その召喚魔法の逆の魔法って無いんですか? 送り返す魔法的な」

 

「っ……やはり使い魔にはなって頂けませんか?」

 

「一応、俺達には義理の父親が居るんだ。そいつを心配させたくは無い」

 

「そう、ですか。その、言い難いのですが、送り返す魔法というのが存在しなくて……」

 

「………。なるほど、一方通行という事か」

 

「…………」

 

 

 コルベールの言葉に三人は目を細める。

 そして嘘を言ってる気配は無いと感じると、ふぅとため息を吐く。

 

 

「やはり次元を無理矢理力技でこじ開けるか?」

 

「帰れる保証も無く、最悪力尽きて次元の狭間に閉じ込められるかもしれないぞ?」

 

「だが彼等曰く送り返す魔法が無いとなればそれしか無いだろ」

 

 

「「……」」

 

 

 使い魔になるつもりも無く、寧ろ独自の手を使って帰る相談までしているのを聞かされ、ヴァリエール少女は今度こそ絶望した。

 

 進級不可と、それによる実家からのお叱りが来ることについて主に。

 

 

「……」

 

「あの……もしかしたら過去の文献を探せば見つかるかもしれません。

ですから、見つかるまでの間だけでもミス・ヴァリエールの使い魔になって頂く事は……」

 

 

 そんなヴァリエール少女を不憫に思い、コルベールが食い下がる様に三人へ提案する。

 

 

「そんなに使い魔になって欲しいんですか、その子は?」

 

「え、えぇまぁ……個人的な話ですが、もしこのまま使い魔が出来なければ、ミス・ヴァリエールは留年をしてしまうので……」

 

「留年? あぁ、そういえば此処は学校だったな」

 

「そうよ……何度も失敗して、やっとアナタ達を召喚できた……。

もう一度やれと言われても、何の魔法をやっても失敗しかしない私はもう召喚は出来ない。だからアナタ達に……」

 

「ふーん?」

 

 

 そこまで食い下がる理由が進級というのは、少年三人にしてみればぶっちゃけどうでも良い話だ。

 しかし様子を見てる限り、この少女にとってみればそれが全てである様に見える。

 

 正直な所、別に数年帰らなくても心配されるなんて事は実は無く、また帰る手立てにしてもリスクが高い。

 

 

 ともなれば、コルベールの提案である返還魔法の捜索に頼った方が安全なので……。

 

 

「まあ、暫くなら……」

 

 

 三人は少女の使い魔になることを取り敢えず了承した。

 

 

 

 

 

 

 ……。進級の為とはいえ、平民三人を説得して使い魔にさせたのって、あまり褒められる事じゃ無いとは思う。

 ミスタ・コルベールが間に入って無かったら多分留年だったけど……。

 

 

「使い魔かー……まるで悪魔だなこりゃ」

 

「奴等とは無関係だからどうとも言えないさ」

 

「というか、異世界に来るなんて事自体が問題だと思うぞ」

 

 

 正式な契りは交わしてないまま、ミスタ・コルベールが儀式をした後暇をもて余していた生徒全員に学院に戻るよう号令を掛けると、全員してフライの呪文で飛んでいく。

 

 

「おいルイズ、お前は歩いて来いよ!」

 

「あいつフライはおろか、レビテーションさえまともにできないんだぜ?」

 

「まさにゼロのルイズだ!」

 

 

 さっきまでこの三人の威圧で死にそうな顔をしていた連中からの悪口を言われながら、私だけが歩いて学院を目指す。

 

 

「ゼロ?」

 

「何の事だ?」

 

「キミは飛ばないのか?」

 

「………アンタ達が飛べないから合わせてるのよ」

 

 

 三人の使い魔擬きに尤もらしい言い訳をする自分が少し惨めに思える。

 そうよ、私はどんな魔法だって失敗する……だからゼロなんて呼ばれてる。

 

 当然飛べるなんて―――あれ?

 

 

「……………。何でアンタ達が宙に浮いてるのかしら?」

 

 

 ふと後ろを振り返った私は、思わずそう言った。

 だって、平民……いや、異世界の平民が三人揃って宙に浮いて私を見下ろしていたのだから。

 そして私の質問に対して三人は……。

 

 

「飛べないと空中戦に不利だから」

 

「一応半分の血が」

 

「飛んでるというよりは大気を足場にしてるから」

 

 

「……………」

 

 

 それが当たり前だと、揃って言って私の目の前で適当に飛んで見せた。

 ……………。いや、うん……平民なのよねアンタ達は? 何を普通にメイジみたいに飛んでるのよ。そんな話さっきしてなかったじゃない!

 

 

「ま、待ちなさい! あ、歩いて行くわよ!」

 

「何故だ?」

 

「うっ……!」

 

 

 三人の中で一番背の低い銀髪の男が不思議そうに私を見るせいで、言葉に詰まる。

 まさかメイジである私が飛べないなんて言えないから余計返答に困る。

 

 

「う、うるさい! 歩きたい気分なのよ!」

 

 

 だから私は食って掛かる様にして怒鳴って誤魔化そうとした。

 けれど、黒髪で目付きの鋭い男が私を見るなり何かを察した様に言ってしまった。

 

 

「……。お前は飛べないのか?」

 

「あぅ……!」

 

 

 無知な子供みたいな顔をしながら言われて私は声が出せないでいると……。

 

 

「きゃあ!?」

 

 

 茶髪の男が私を抱えて大きく飛び上がった。

 

 

「な、なにするのよ!? 離しなさい!!」

 

「え? 離すの? 別に良いけど、このまま離したら結構な大怪我になると思うけど……」

 

 

 軽々と私を抱えたのもそうだけど、特筆すべきはこの茶髪男の脚力。

 魔法とかじゃなくて、只普通にジャンプしただけで学院を見下ろせるくらいの高さにまで達しているなんて、普通の平民じゃない。

 いえ、それよりも一番は……

 

 

「わぁ……」

 

 

 空に居るというのはこんな気分だったのかという初めての感情と、見下ろす景色に思わず感激してしまったという所なのかもしれない。

 フライを使って飛んでる連中よりももっと高く、そして何より風が心地良い……。

 

 

「飛ぶってこんな感覚なのね……」

 

「何だ、やっぱり飛べなかったのかキミは」

 

「っ……う、煩いわね! それよりちゃんと学院まで安全に下ろしなさいよね!」

 

 

 平然と後ろから付いてきてる二人もそうだけど、この三人とはまた後でちゃんと話をしないといけないわね。

 

 

 

終了

 

 

 そんな訳で異世界にて使い魔をやる事になった三バカ。

 

 

「羞恥の基準が俺達の常識とはかけ離れてるみたいだね」

 

「あぁ、まさか女物の下着を洗うとは……」

 

「アザゼルに見られたくない光景だな……」

 

 

 ある時はご主人様の為に洗濯をし……。

 

 

「魔法使えないなら、物理で勝負すれば良いんじゃね?」

 

「はぁ?」

 

 

 ある時はご主人様を三バカ側に引きずり込もうとしたり。

 

 

「キミはゼロのルイズの使い魔だったね? やはり平民を呼び出したのは本当だったみたいだ。

まるで礼儀がなってない」

 

「落とした香水を拾っただけなのに、随分な言いようだな」

 

 

ある時はご主人様の悪口を言う輩と小競り合いになり……。

 

 

「イッセー、曹操……やつは俺がやる」

 

「おーう、精々殺すなよ?」

 

 

 ある時は銀髪君が決闘したり……。

 

 

「魔法というから、前の時を想定していたが……何だガッカリだよ」

 

「なぁっ!?」

 

 

 その決闘では相手の心をへし折ったり……。

 

 

「ダーリン!」

 

「……。またお前か、俺はお前に興味なんて……」

 

「ちょっとキュルケ! 私の使い魔に色目を使うのはやめなさい!!」

 

 

 そのせいで変なのに好かれたり……。

 

 

「俺思ったんだけど、ご主人様ことルイズって俺達寄りなんじゃね?」

 

「……能力保持者か」

 

「確かに、妙に他人の気がしない」

 

 

 結構すごい事が発掘されたり……。

 

 

「私を強くして……魔法以外で」

 

「えぇ? キミの場合ルイズと違ってコッチ側の才能が皆無だから無駄だと思うぜ?」

 

「…………」

 

 

 その結構凄いことを発掘し、無理矢理付き合わせることで魔法能力ではなく戦闘能力がえぐい事になりつつあるルイズを見て、大人しめの少女が弟子入り志願してきたり……。

 

 

「これが、スキル……?」

 

「そうだ、この世界で唯一の覚醒者。

誇れよルイズ、俺達の世界だと金銀財宝よりレアだぜレア」

 

「あの、私は……?」

 

「キミ? キミは……てかタバサには無いって前にも言っただろ? 残念だねまた来世に期待しな」

 

「…………」

 

 

 徐々に立場が逆転する秀才とゼロ。

 

 

 そう……ゼロだからこそ召喚し、ゼロだからこそ目覚めたのだ……人外に。

 

 

「悪童三人が使い魔」…………やりません。




補足

三バカ設定ですが、実の所設定が違ってます。

まず一つ、オーフィスたんとひんぬーさんとは完全に他人同士。

その二、イッセーはがっつくようでそうでもない。

その3 ヴァーリきゅんは三割増して良い子。

その4曹操くんはリトさん並みのラキスケ保持者。

その5 イッセーは大人しめの貧乳に好かれる。


その6 逆にヴァーリきゅんはボインの母性本能を擽る。

その7……アザゼルさんが三人の義理の父で、かなり慕われてる。


くらいかなぁ。

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