色々なIF集   作:超人類DX

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なんか、のそのそ書いてしまったので


前夜祭

 ライザー・フェニックス。

 その見た目と性格から、女好きと巷で称されており、近く行われるレーティングゲームの理由もまたそんな性格故だからだった……………表向きはだが。

 

 

「チッ、グレモリー嬢め。また余計な真似を……」

 

「そう言ってやるなよライザー君。

キミの大事な婚約者なんだぞ?」

 

 

 

 今度の対戦相手であるリアス・グレモリーとは所謂婚約者同士の関係であり、リアスからは物凄い嫌われていたりするライザーは、普段周りに見せるチャラけた性格とは真逆の、冷徹で冷静な面持ちで今頃自分に勝つために必死こいているだろうリアスに恨み言を漏らしていた。

 

 

「冗談はやめてください。俺があの娘に興味が無いのは貴女も知ってる筈だ」

 

「なんだよ、そんな怒る事無いだろ? ごめんごめん」

 

 

 実は彼自身リアスと結婚をする気が無く、寧ろ嫌がってたりするレベルだったりするのは自身の眷属と、今自分が居る自室のソファで寛いでいる白髪の少女だけだったりする。

 

 

「でも、僕自身はかなり楽しんでたりするんだぜ?」

 

「ですがね……いえ、分かりました」

 

 

 ニコニコと笑みを浮かべてソファに腰かけている白髪の少女に不満げな顔をするライザーだったが、自分達の親玉とも言えるこの少女が、今頃リアス達にしごかれまくってボロボロだろう過負荷(マイナス)の少年を放って置けと言うのだから従うしか無く、渋々と引き下がる。

 

 

「彼を利用する為に悪平等(ぼく)が利用されるのにどうも腹が立ってまして」

 

「キミらしい理由だね」

 

 

 フェニックスというを名を持つ通り、割りと熱い所があるライザーに少女は軽く苦笑いを見せる。

 悪平等(ノットイコール)以外は基本的にどうでも良いという典型的な性格を本来持つライザーにとって、リアスは実にどうでも良い存在であり、そのどうでも良い存在に自分自身とも言える悪平等(ミッテルト)とそのお気に入りである過負荷(イッセー)が利用されているというのは自分の事の様に腹立たしい話だった。

 

 

「あんまりやり過ぎるなよ? キミは熱くなる所が弱点みたいなもんだからな」

 

「向こうが話にならないレベルのままなら保証しかねますよ、安心院さん」

 

 

 

 だからライザーは今一度決心する。

 折れるまで徹底的にやってやる。

 自分達が一体誰を敵に回したのかを思い知らせてやる。

 

 

「皆、ちょっと俺の部屋に集まってくれ」

 

 

 白髪の少女が帰った後も、人知れず燃えたライザーはこうしちゃ居られないと自身の眷属達を呼び寄せると、まるで何処かの吸血鬼よろしくなカリスマ溢れるオーラを見せながら言った。

 

 

「皆の中には元々の種族が者も居るし、本来なら出会う事は無かったかもしれない。

それが悪平等(ぼく)という共通点があったからこうして出会え、俺なんかに遣えてくれている。本当に感謝する」

 

『………』

 

 

 ライザー眷属全員が主であるライザーに膝を付き、頭を下げる中、彼は続ける。

 

 

「だからこそ頼む。

悪平等(ぼく)達を利用するという事がどういう事かを何も知らない奴等に教えてやろうじゃないか。

悪平等(ぼく)等がどんな存在なのかを、誰を敵に回したのかを後悔させてやろうじゃないか。

だから皆……」

 

 

 俺に力を貸して欲しい……。

 低いながらも良く通る声で眷属達にそう告げたライザーに、全員が女性である眷属達は一斉に短く『はっ!』と深く頭を下げながら返事をする。

 するとライザーは……ほんの少しホッとした状態で頬を緩める。

 

 

「と、まあ柄にも無い事を言ってみたかったりする」

 

 

 あはははと爽やかに笑うライザーの声に、それまであった緊張感は霧散し、眷属達全員も軽く笑みを溢す。

 

 

「急に真面目な事を仰るので笑いをこらえるのに必死でしたよ……全く」

 

 

 ライザー眷属の女王であるユーベルーナが少し笑いながら言うのに対し、ライザーは照れ臭そうに頬を掻いている。

 

 

「ごめんごめん。何か言いたくなっちゃったんだよ。

他にも……『俺は恐怖を克服することが生きる事だと思っている。

世界の頂点に立つ者はッ! ほんのちっぽけな恐怖をも持たぬ者ッ!!』……………とか言ってみたかった」

 

「ぐっ……な、なんで無駄に良い声を出すのですか。

何時ものライザー様らしくないし……フフッ……!」

 

「だよね、俺らしく無いよな。はは、ゴメンゴメン」

 

 

 眷属達に笑われても苦笑いで済ませるライザーに怒りは全く見えない。

 

 

「だけど真面目な話、グレモリー嬢とのレーティングゲームは一切の慢心無しに真正面から叩き潰す。

悪平等(ノットイコール)がそう甘く無いことを知らしめる良いチャンスだし、何より俺は彼女と結婚する気は無いからな」

 

「まあ、リアス・グレモリー様から嫌われてる様ですし、全く心配はしてませんが……畏まりましたライザー様。

我等がライザー様の眷属にて同じく悪平等(ノットイコール)が、貴方様のご期待に全力でお応えしますわ」

 

「おう、ありがとうなユーベルーナ」

 

 

 眷属であり、悪平等(どうほう)でもあるライザーとその眷属達の繋がりは単なる繋がりとは一線を画しているとは彼等以外に誰も知らない。

 

 

「いやぁ、やっぱり素に戻れる相手が居るのは落ち着くよ。魔王の妹相手にゃ無理だね無理!」

 

「もし結婚することになったら本気で許しませんがね」

 

「それは無いから安心してくれ。

一緒に居たって安らげそうもない相手なんて御免だ」

 

 

 キリッと無駄に良い顔でユーベルーナに対して言い切るライザーであり、レーティングゲーム当日は圧倒的な力を見せようと頑張るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 修行とか週刊連載の少年誌の登場人物じゃあるまいし、何でそんな真似をしなければならんのだ。

 第一そもそもちょっと前まで人間でしかも虚弱野郎だった俺を無理矢理鍛えたって何の意味も無いだろうに……。

 

 

『ちょ、まって……タ、タン――ごはっ!?』

 

『すいません……部長からの命令ですので……』

 

『オゲェェ!? うげぇぇえ!』

 

 

 化け物らしいパワーで肋骨と内蔵をグチャグチャにしてくるわ……。

 

 

『ビ、ビリビリはいきなりレベル高いんですけど!

軽い組み手とかじゃないんですかね!?』

 

『詰め込みでと言われてますので……命令に逆らえ無いんです。ごめんなさい』

 

『アベベベベベレレレ!?!?!?』

 

 

 電撃で黒こげにしてくるわ、痛いとかいう問題通り越してスプラッターが過ぎるよ。

 

 

「皆して俺に何の恨みがあるんだよ……まったく」

 

「お疲れ様っす」

 

 

 1日中ボコボコにされて過ごすのが最早デフォルトと化している悪魔転生一週間目の夜。

 左腕に赤くてゴツい変なのを装備した兄者にしばかれまくって疲れた俺は、人質兼雑用係りで別荘とやらの掃除をしていたミッテルトちゃんに慰められていた。

 

 

「まあ、無意味に殴られ蹴られは慣れっこだから良いんだけどさー……一応今回は無意味では無いしね。連中にとっては」

 

 

 過負荷(マイナス)スキルを利用する為にミッテルトちゃんを人質に俺を悪魔に転生させ、近々行われるゲームだかなんだかに出る羽目になっちゃった訳だが、それに備えての修行とやらのキツいことキツいこと。

 マジでミッテルトちゃんが居なかったらとっくに逃げてたぜ。

 

 

「ま、それも後少しだ。

後少しでミッテルトちゃんを自由に出来る」

 

 

 嫌味な程に気持ちの良い夜風に当たりながらミッテルトちゃんと最早唯一といって良い安らぎタイムを満喫する俺に、ミッテルトちゃんはクスクスと笑う。

 

 

「私の為っすか……今のが本音ならちょっとキュンと来たッスよイッセーさん」

 

 

 なんて良いながら、連中が休んどる別荘とやらから少し離れた巨木に腰かけている俺の隣に、同じく腰かけていたミッテルトちゃんがピッタリとくっついてくる。

 しかし悲しいかな見た目のせいでトキメキもクソも無かった。

 子供過ぎるんだよ見た目が……。

 

 

「む……またバカにしてますね?」

 

「いやしてない。

なんていうかさ……ホント小さいよ――――あだだだだ!?」

 

 

 バカにしてないけど小さいと口にした途端、右腕に組み付いてたミッテルトちゃんのその見た目とは真逆の万力の様なパワーが俺の右腕に悲鳴があがる。

 

 

「小さくて悪かったすね。

どうせ私は紅髪の王様や黒髪の女王さんみたいにボインじゃ無いっすよ……クスン」

 

「ってて……。

いやでもほら数百年後には成長してるかもよ? 俺寿命で死んでて見る事は無いと思うけど」

 

 

 ミッテルトちゃんって堕天使としてはかなり若いと聞いたし、将来は分からんだろうよというフォローを一応入れておく。

 本当にもしかしたら前に消滅した黒髪の堕天使でミッテルトちゃんのチームリーダーだった……ええっと、何だっけ? あ、そうだレイナーレって人みたいに……。

 

 

「な、なんすか?」

 

「………」

 

 

 レイナーレって人みたいに…………うむ。

 

 

「来世に期待するしか無い気がするのは果たして俺だけ?」

 

「う、うっせーっすよばーか!!」

 

 

 ごめんよ、その子供よろしくな見た目の現状じゃ全く想像出来ねぇと言いますかね……決して意地悪で言ってる訳じゃなくて……あ、そんな涙目で俺を睨まないでよ。

 

 

「まぁまぁ落ち込むなよ。

世の中にゃあミッテルトちゃんみたいな子が好きだって男も多いらしいし……って、この言葉何度目だ?」

 

「そんなのいらねーっすよぉ……。

何でイッセーさんの好みが乳お化けなんすかぁ」

 

 いや、別に乳デカさんが好きって訳じゃ無いんだけども。

 現にミッテルトちゃんが恨めしそうな顔して出してた紅髪の人やら黒髪のドSさんに対してどうも思わんし、乳は確に『おお、デカイ』とは思うけど。

 アレ等とは近くに居るだけで疲れそうって思える時点であり得ないわ。

 つーか明後日には2度と関わる事も無くなるしね。

 

 

「大体、一切無い訳じゃないんですよ? ほら……」

 

 

 早く人間に戻りてぇ……とかボーッと考えながらお星様キ~ラキラな空に視線を向けようと思いきや、突然ミッテルトちゃんが俺の手を取って自分の胸に押し付けて、確認しろコラ的な顔で俺を見ていた。

 

 

「ど、どうすか?」

 

「どうすかと言われても……」

 

 

 みるみると顔を紅くさせながらも押し付けたまま離さない姿に、ちょっぴりだけ可愛いかもしれないなとか呑気に考えつつあるか無いかを確かめろと言われた通りに、手を動かしてみる…………ふむふむ。

 

 

「っ……ひん!? ぁ……ぅん……!」

 

「おわぉ? 急に変な声出さないでよ……」

 

「だ、だって……触り方がエロいっすよぉ……あっ……ん……!」

 

 

 エロいって……そんなん知らないし。女の子の胸をガン触りするのだって今が初めてだし。

 どっちかと言うと今のキミの出してる声の方がエロい気がするし、確かめろと言ったのはキミなんだから俺は悪くない。

 

 

「んむ、ふむ……ほうほう……」

 

「ま、まだっすか……ぁ? あ、あの……うち……お腹辺りが物凄く熱くなってきたっす……」

 

「ちょっと待って、あと少しだけ……うんうん」

 

 

 真面目にヤバイくらいに顔が蕩けてるミッテルトちゃんを半分無視して審議中の俺の掌の先にあるのは、まあ確かに女の子しか持てない柔らかさはある……………つまり。

 

 

「全く無い訳じゃないね。フニフニしてたよ?」

 

 

 結論は、全く無い訳では無いって所だったね。

 良かった良かった……まな板娘って言ったことは謝ろうと思うよ。

 まあ、それでも絶望的に無いけどね。

 

 

「はぁ……はぁ……よ、良かったっす。

え、えへへ……でも何か……あはは……お腹の下辺りが切ないっす……」

 

「え、腹? どれどれ…………うわ熱っ!?

ってオイオイ、キミ発情してんじゃないか?」

 

「た、多分そうだと思います……責任取ってください……」

 

 

 え、そんな笑顔で責任取れって……。

 

 

「ごめーん、それはちょっと……。

ていうか、時と場所を考えるべきだと思うぜ?」

 

「ひ、酷い。倦怠期っす……。

ウチは外でだって全然構わないのに……」

 

「始まっても無いじゃん。てかそんな顔してド変態みたいな事言わないでよ……」

 

 

 ハァハァしながら擦りよってくるミッテルトちゃんの顔と目が怖いし、何かくっつく力が異様に強いっていうか……。

 

 

「うー……うー……イッセーさぁん……うちもう無理っす……」

 

「ちょ、オイ……エロい声出すんじゃ………あっ!? ど、何処触ってるんだキミは!?」

 

 

 発情期の犬じゃあるまいし、これ以上はちょっと止めて欲しいんだけど、服の間に手を入れないで欲しい……ってオイ!? 何処に手を入れてんだこのロリっ娘!? そこは俺の―――

 

 

 終わり。




続きは無いですぜ

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