つまり未来IF
かつての赤龍帝
人は神にはなれない。
しかし神を破壊することは出来る。
生き続ける事だけが目的で、それを許さんとほざく奴等を全員皆殺しにしてやった俺に残ったのは只の退屈。
同志となった者達はついて来れずに死んでしまい、残った俺は目的を果たした筈なのに胸中渦巻く虚しさと共に星が滅んだ後も、太陽が燃え尽きた後も……永遠に生き続けた。
最期まで自分みたいなクズに付き合ってくれた仲間が死んでしまったのは寂しくて泣いたものだったが、無念を晴らすかの様に生き続けた。
だからもう――手離した。
「もう飽きちゃった。悪いな○○○○、残ったお前にこんな状況になるまで付き合って貰ってよ」
「あぁ、良いさ……無敵となれた時代を生きられただけ俺は満足だ」
最強で最良で最高の相棒と最後の晩餐の後、俺はこの世での生を手離した。
生き飽いたから………いや、生きる意味が無くなったから。
「地獄で会おうぜベイビー……なんつってな……げげげ」
おっす、俺は兵藤一誠!
駒王学園に通う普通の学生だったが、とある事情から始まる話により、今悪魔をやってるんだぜ。
悪魔ってのは比喩じゃなくマジだぜ? その証拠に俺を悪魔に転生させてくれた麗しきリアス部長や仲間達と色々大変な目に逢ったりしたけど、それでもハーレム王を目指して今日も生きてるんだからな。
「え、来客……ですか?」
「ええ、ほら……この前魔王様が行った会談の席を襲撃してきた者達の事でよ」
「あ、それで」
様々な出来事を何とか切り抜け、妙に来るまでに長く感じた気がする夏休み前日。
表向きは只の部活動としてと通しちゃいるけど、実はその部員は俺を含めて悪魔で構成されている秘密の部活動であり、その部活の部室に招集された俺達は、部長であるリアス部長の言葉を並んで聞いている。
「人間界ではこの場所を拠点にテロ組織
「な、何だかまた大変そうですね……」
リアス部長の真剣な表情に部室内の空気ががピンと張り詰めた。
確かにこの前学園を襲ってきた奴等は俺達の仲間であるギャスパーを危ない目に逢わせた奴等だし、何より悪魔・天使・堕天使の三大勢力に宣戦布告までしてきた連中だからな。
あの時はその中の一派の勢を退けはしたものの、またやって来る可能性は寧ろある訳で。
その拠点としてこの街を使うとなれば……まあ、納得はするな……元々この街ってリアス部長の実家が管理してる街らしいし。
「それで部長? 来客というのは……?」
「当然魔王様よ」
「え、てことはリアス部長の――」
「いいえ、来るのはもう一人の魔王様であられるセラフォルー・レヴィアタン様よ」
夏休み中も気が抜けないななんて思いつつ、来客が誰かという話になる訳だけど、どうやらやって来るのはリアス部長のお兄さんであるサーゼクス様では無く、サーゼクス様含めた四大魔王の一人であるセラフォルー・レヴィアタンという悪魔らしく、名を聞いた俺は会談の前にやった授業参観で俺達男子を騒がせた女性魔王の姿がフラッシュバックした。
「どんなお方かはイッセーも目にしてあるでしょ?」
「は、はい……何とも中々俺達男子のハートをガッツリ持っていく様なお方と言いますか……」
「アナタらしい感想ね。けど来られたら決して失礼の無い態度をしなさい」
「う、うっす!」
仲間達から呆れられる視線を受けつつリアス部長に忠告されてしまった。
ぬぅ……生徒会長のお姉さんらしいけど、一体どんな展開になるのか予想できないぜ。
その日、リアス眷属とソーナの眷属達は合同で夜となった駒王学園の正門前に整列していた。
「そろそろ魔王様のご来賓よ。皆失礼の無いように」
「「「「「はい!」」」」
魔王の学園視察。
対テロ組織チームについての話し合いが主な理由であるのだが、眷属の王である二人の純血悪魔の表情は緊張しており、その緊張が各々の眷属達にも伝わっている。
「わぁ、皆してお出迎えなんて良かったのに~☆」
そんな状況の中、魔王の陣と共に姿を現したのは……どうも格好がアレな魔王の一人、セラフォルー・レヴィアタン。
来るや否やゴテゴテの格好を遺憾なく見せつけ、出迎えてくれた事に勝手にテンションを上げている。
「ようこそ魔王様」
「やっほリアスちゃん。今日はよろしくね~☆」
妹のソーナが恥ずかしそうに俯く中、代表して挨拶をするリアスにセラフォルーはニコニコしながら手を振って応える。
ふざけたノリではあるが、今回の来訪の理由だけは真剣であり……空気は若干緩んでしまったものの、早速近い将来巻き起こるだろうテロ組織との戦いについて話し合おうとセラフォルーを学園の中へと案内しようとしたリアス達だったが……。
「あ、ちょっと待って。今日は彼も一緒に来てくれたんだよねー」
「彼?」
学園に入る前に口にした彼という言葉に全員が首を傾げる。
はて、彼というのは? セラフォルーの事についてほぼ知らないイッセー達は首を傾げるが、リアスとソーナだけはそれに当てはまらず、寧ろ本気で驚いてる顔だった。
「あ、あの方がいらっしゃったのですか!?」
「うん、付いて来てほしいなーって頼んだら案外アッサリね」
「そ、それはまた奇跡ですね……」
三人の会話を察するに、どうもその人物はかなりの気まぐれらしく、この場所にセラフォルーと共に来たとされる人物はそれだけで驚くに値する存在らしいのだが……。
「おい」
『!?』
その人物がセラフォルーの影からヌッと涌き出るような現れ方をしたかと思いきや、不機嫌そうにしているその容姿を見てその場の者達は驚愕した。
「あ、来た来た。もー勝手にどっか行っちゃったのかと思ったよー☆」
「……………」
その男は……目付きは悪いけど……。
「お、俺が居る……」
兵藤一誠と背丈以外は何もかもが瓜二つだったのだから。
「お、俺だ!? 俺とそっくりだ!!」
イッセーは思わず騒いだ。
目の前に現れた自分そっくりの男に。そして思い出す、リアスやソーナ……そして授業参観の時に自分を初めて見たセラフォルーが何故か驚いていた事を。
「あ?」
「うっ……!」
少しだけ年上に見えなくもないイッセーそっくりの男と目が合う。
それだけで何かを削がれた様な気分になって言葉を詰まらせるイッセーだったが、相手の男は数秒程イッセーと目を合わせてから興味が失せでもしたのか、ソックリな相手が居ることも特に驚くこと無く、ヘラヘラしてるセラフォルーに話し掛ける。
「俺を連れてきた理由はなんだ?」
「そりゃあほら、いーちゃんの言ってた事が本当かどうか確かめて本当だったから是非是非顔合わせさせたくてさ」
いーちゃんと気安く呼ぶセラフォルーに嫌そうな顔を隠そうともしない男。
イッセーと顔合わせした……というよりはどちらかと云うとセラフォルーに気安くされてるのが嫌そうだという感じだ。
「ん、取り敢えず紹介するね? 彼はギルバ。
悪魔としての名で本名は別にあるんだけど、私の女王だよ☆」
「…………」
と、空気を読まないで嬉しそうにイッセーそっくりの男……ギルバという男に自分の腕を絡めさせながら紹介するセラフォルーに、リアスとソーナはその場に膝を付き、イッセーを含めた残りの眷属は唖然としてしまう。
魔王の女王……つまり結構偉い人なのだから。
「ギルバ様、お久しぶりでございます。此度の視察に足をお運び頂き誠に光栄でございます」
「私達の様な若輩者の出来る事はたかが知れていますが、精一杯おもてなしさせて頂きますわ」
『!?』
そして最も驚くことは、自分達の王がある意味でセラフォルーよりも畏まっている事だった。
膝を付き、何故か面喰らった顔をしてるギルバなる男に頭まで垂れてる。
見ていたイッセーからすれば、微妙にむず痒い気分にさせられるのと同時に、セラフォルー程の美女にベタベタされてるそっくりさんがちょっと羨ましかった。
「………………」
「だってさ、いーちゃん。
この子達がまだ物心ついて間も無い頃振りの再会だけど、いーちゃんの知るこの子達では無い……わかる?」
「……。それをわざわざ教える為に連れてきたのか? だとしたら誤算だな。俺はもう別にどうでも良い」
よくわからない会話をする二人が何を言ってるのかはリアスとソーナですら解らないが、鬱陶しそうにベタベタしてくるセラフォルーを突き飛ばしたギルバなる男は、それまでの気だるげで不躾な態度が嘘の様にさっと姿勢を正し、特にイッセーを見据えながら一礼すると……。
「お初にお目に掛かりますリアス様並びにソーナ様の眷属様方。
只今我が主、セラフォルー様のご紹介に預かりました……ギルバと申します。
本日は近々本格的な抗争に発展するだろうカス共との――おほん! 失礼、禍の団の対処の話をご視聴させて頂くべく参上致しました。
皆様、私の事は適当に空気だか何だかと思って頂ければ幸いでございます」
(今禍の団の事をカス共って……)
機械的全開な前口上を口にするギルバなる男のちょっと出た本音らしき言葉に、全員内心突っ込む。
イッセーに似てるけど根本的に何かが違う……この口上だけで全員それだけは何となく察してしまった。
「あは、偉い偉い! よく言えました~☆」
「ぶち殺すぞ」
何となく、セラフォルーが表沙汰にしなかった理由を。
傷付いて気が立ってる狂犬。
私が最初に彼と出会った時に抱いた印象はそんな感じだった。
「対テロチームという感じで行こうと思うんだよね」
「なるほど」
「メンバーは私達ですか……」
手負いの狂犬で狂暴。
そしてどういう訳か悪魔を憎んでる。
私はそれが知りたくて、彼に挑んでみたけど……あはは、ボッコボコにされちゃったのはあんまり思い出したく無いかなぁ。
「み、見れば見るほどそっくりっすね俺達。ギルバさんの方が背とか高いけど」
「ん、あぁ……そうですね。私も地味にビックリです」
「あ、あの……普通に話してくれません? 何かくすぐったくて……」
「そういう訳にもいきません。アナタ様はリアス・グレモリー様の兵士様ですので」
「むぅ」
二度も殺されに来てくれるとは、くくく、久々に生きる活力が沸いたぜ。
何て言われて半殺しにされて……いやー私よく今まで生きてるよねー
「と、ところでなんですけど……お、おっぱいにご興味は?」
「ふっ、大好物です」
「ほ、ほんとっすか!? お、俺もっす!」
「はは、顔ばかりか気も合いそうですなぁ」
まあ、それもひっくるめて今となっては良い想い出だけどさ。
「所謂尖兵って所かな。あ、勿論私達もバックアップは惜しまないつもり」
「ちなみにギルバ様は……」
「うん、聞いてみたら戦争時以来久々にやる気出たみたい。とはいえ、若いキミ達の成長の為というのもあるから完全に介入するつもりは無いらしいけど」
「はぁ……十二分過ぎますね。
寧ろ誰が襲撃しても負ける気が全く起きない」
冥界最強の女性女王と対……いや、悪魔を越えた最古の転生悪魔であり、私の事をツンデレ気味に助けてくれる今となってはね……あはは。
「イッセー様は悪魔に転生なされてどう思ってますか?」
「えっと、そりゃあ最初はレイナーレ……あ、つまり堕天使に殺されてしまった流れでしたけど、大切な仲間になれて良かったと思ってます」
「………………。そうですか」
平行世界で悪魔を皆殺しにした男の子だったのにね……。
「あの、そういえばさっきからゼノヴィアの事をチラチラ見てるのは?」
「え? あぁ……ふっ、彼女は将来良い女になりそうだな……と」
………………。私に対する風当たりは多くてちょっと不満だけど。
話してみると全然いい人じゃんか。
なのに俺とゼノヴィア以外の奴等はギルバさんを怖がってる。
理由を聞いてみると……わからないけど怖いらしい。
なんじゃそら。
「ほう、神が居ない事を知らされて絶望して自棄になったと」
「え、えぇ……ですが後悔はしておりません。イッセーの様な強い男に出会えましたから」
「はは……そうですか」
ただ、ゼノヴィアを見るときの目が悲しそうなのは何故なんだ?
「噂によると、悪魔祓いとしてこの街に来た時に相棒が居たと……」
「あ、それってイリナの事っすよ。俺の幼馴染みで、アイツは悪魔にならずに教会に戻しましたけど……」
「………。教会に?」
「ええ、天使様の下で修行してやると息巻いておりましたよ」
「なるほど……」
会った事の無いイリナの名前と同行を何で気にしてるんだ?
「……………。何処までも違う、か」
ゼノヴィアをジーッと見て『何か違う』って顔をしてるのは何でなんだろうか……。
「張りと柔らかさこそ至高。
つまりイッセー様は中々お目が高いという訳です」
「そ、そっすか? でもギルバさん的にはレヴィアタン様はどうなのですか? そ、その……大きな声じゃ言えないけどあの人も中々」
「え? あぁ……あのアマ――ごほん! アレはそういう対象じゃありませんね」
「ええ、俺は良いと思うんどすけどねぇ……」
「まあ、見た目だけなら夜の妄想ネタにでも使えるんじゃないでしょうか?」
「お、おぅふ……ギルバさん下ネタいけるんですね」
わからないけど、気が合うから別に良いか。
「セラフォルー様……ギルバ様がボロクソに貶してますけど」
「小さい頃のやり取りから全然進歩してませんわねお姉様……」
「うん、慣れてるし別に良いよ……あはははー」
セラフォルーが眷属を持たなかった理由。
それがギルバなる男の存在が理由だった。
いや、というよりはギルバ以外に眷属を作れないといった方が正しいのか。
「どうだったの? この世界の昔のいーちゃんを見てさ?」
「……。とことん違うな」
視察が終わり、そのまま冥界に帰る……という事もなく人間界の宿泊施設で一泊する事にセラフォルーが言うから付き合わせる羽目になったギルバは、水を煽りながら風呂上がりでタオルを巻いてるだけの姿のセラフォルーを一瞥すらせず、そう抑揚の無い声で答える。
「ドライグの力は確かに宿ってる。それは同じだが、育った環境も、境遇も経験もまるで違う。
何より……ふっ、リアス・グレモリーやらその仲間共を信じてたりゼノヴィアが悪魔に転生してるのが何よりも違う」
落胆している……というよりは寧ろどこか喜んでる様に見えるギルバの言葉にセラフォルーは黙ってベッドに腰かけるギルバを見つめている。
「悪魔に転生させられて力を失ってしまっていた俺とは違い、彼は悪魔に転生した事で得た経験で強くなってる。
スキルを持たない純粋さ故なのか……ふふ、なんにしてもだセラフォルー・レヴィアタン。テメーもそうだがこの世界は俺が昔『一誠』として生きてた世界とは本当に違うようだぜ。悪魔の性格含めてな……げげげげ」
ギルバの話は知らない者からすれば訳のわからない話なのかもしれない。
けれどセラフォルーには伝わっている。
何故か? それは当初ギルバにセラフォルーは本気で殺されかけ、そしてその際そのすべての理由を知ったからだ。
「そう……久々に『新しい』気分だぜ……げげげげ!」
「……」
変わった声で嗤うギルバの左腕に、赤い籠手が出現する。
それは一誠として生きていた頃の証。
「だろドライグ? 死んでみるもんだと思わねぇか?」
『だな。お前がまさかかつて完膚なきまでに破壊した魔王の下で生きてるなんて、共に死んでみないとわかりゃしない事だ。
不満があるとするなら、この世界のお前と俺に遠慮して俺の力を全然使ってくれない事だが……』
「まぁまぁそう言うな。いつかは使うって」
破壊の龍帝。
悪魔を破壊し、邪魔立てする存在すべてを破壊して生き続けたかつて災厄なる赤龍帝。
それがギルバの真の正体。
「セラフォルー・レヴィアタン。テメーには一応感謝してやるぜ。
テメーがしぶとく生き残った挙げ句、俺に下に付けしつこくほざいてくれたお陰で、俺とドライグは今完全に充実してるからなぁ?」
「もう何百年って付き合いなのに、フルネームで呼ばれるとすっごい寂しいんだけどな……」
平行世界で生き飽いた兵藤一誠は、ニタニタと嗤いながらちょっとしょんぼりしてるセラフォルーに皮肉っぽく礼を言うのだった。
「対価は互いに与えてるだろ? テメーには俺のスキルの一部で大事な妹を守り通せる強さを得る。
俺はこの世界でテメーから『新しさ』を提供して貰う。
なら呼び名なんてどうでも良いじゃないか?」
「そりゃあ、悪魔が嫌いであるいーちゃんはそうかもしれないけどさー……」
かつて悪魔により失った経験があり、悪魔を絶滅させた男。この世界では悪魔の内面が違うということをセラフォルーのしつこさで知って何もしては居ないが、基本的に何処と無く線引きをしている。
ギルバとしての一誠を知る四大魔王の残りの三人に至っては、話そうとすらしない。
そのせいで古参の悪魔でギルバを知る悪魔は微妙に彼に不信感を抱いてる。それがセラフォルーは心配だった。
「さっさと服着たら? 風邪ひかれても俺は何もしないぜ?」
「むぅ」
不信感の延長で惨劇が起きましたなんて、笑えない話なのだ。
「あ? 何の真似だよ?」
心配になってしまう程、セラフォルーは彼と長く居すぎてしまった。
「悪魔はやっぱり自発的には受け付けられない?」
理不尽な強さ、理不尽な破壊力、理不尽な精神。
それでも尚、自分達悪魔はアナタの知る悪魔とは違うという事を示し続けた結果抱いてしまった感情は、セラフォルーを長年苦しめる。
巻いていたタオルを外し、一糸纏わぬ姿となってギルバに切なそうな表情を向けても、ギルバは怠そうな顔をするだけで何にもしない。
「俺は元々人間でお前は悪魔だ」
「人との間に生まれた悪魔もちゃんと居るよ? それにいーちゃんだって今は悪魔だし……」
「それは当人同士の話だろ? 俺には何の関係も無いな」
バッサリと切り捨てる様な台詞を吐くギルバにセラフォルーは悲しそうに俯く。
結局違いは理解して貰えても、抱いた気持ちを受け入れてくれる事は無い。それが今のセラフォルーにとっては何よりも苦しかった。
「……。わからないな。殺されかけれた相手に何故そんな真似が出来るんだ? 俺が昔殺ったセラフォルー・レヴィアタンはまるで話の聞かねぇ奴だったが……」
「違う! 私はいーちゃんの世界に居たソレとは違う!」
「怒んなよ。只の例えだろ」
ムキになって叫ぶセラフォルーにギルバがハイハイと手をヒラヒラさせる。
「違う、私は違う。いーちゃんの事を殺そうなんて思ってない。思ってないんだから……!」
「わーったよ。チッ、この話を出すと何時もこれだ」
そんなにショックなのかね……と内心思いつつ適当にあしらおうとするギルバ。
確かにかつて壊してやったセラフォルーとこの世界のセラフォルーは違うのはもうとっくに分かってる。
分かってるが、何故そんな感情をよりにもよって自分に向けてくるのかが解らない。
「いいから服着ろよ。んな所で半泣き顔されても俺は何もしねーぞ」
「うぅー……!」
何故嫌だと言うと泣くのか? 悪魔を深く知らないまま壊してしまったギルバには未だに解らなかった。
「じゃあ……ぐすん……好きじゃなくて良いから……道具っぽくて良いから……お願い」
「あ? まだんな事言ってるのか? 懲りねぇアマだな」
好かれる要素ゼロな筈なのに。
「駄目だ、とっとと寝ろ」
「……ぐすん。いーちゃんのばか……」
「何とでもほざいてろ」
破壊して生きてきた別世界の一誠にはわからなかった。
補足
レベルカンスト。
全部ぶち壊して目的を果たしたけど、仲間はそれに付いていけずに結局残ったのは彼のみ。
故に死に、過去の平行世界に飛んだ訳ですが……この世界のセラフォルーさんとよりにもよって会ってしまい、最初は即破壊しようとしたのですが………。
狂わなければマシな部類で知ってる悪魔とはこの世界の悪魔は微妙に違うというのを知って破壊は止めました。
そして女王ポジとしてセラフォルーさんを弄くる毎日を送ってます。
ちなみに年齢は完全に不詳。