おい、お前もこっちじゃねーよ化してらぁ。
※整理したらミスって消したので直しました。
一体全体何でだ?
俺は確か『ゆうちゃんから垢抜け作法を奪って自分のモノにしてやるぜ、グゥェヒヒヒヒヒ!!』と化け物みたいな顔して堂々と出て行った所謂幼馴染みを生温く送り出し、電話帳には親とその幼馴染みとその幼馴染みの弟と、幼馴染みのかーちゃんの連絡先しか無い自分の携帯を見て、ちょっと惨めに思いつつも、ゲームの腕でも上げようと部屋に引きこもろうとしていた……筈だったんだけどな。
「ええっと、これは俺の居て良い空気じゃないよね?」
「…………」
「………」
妙にシャレオツな喫茶店に俺は何故か、朝意気揚々として出掛けて行った筈の幼馴染み……ってか智子にいきなり電話で一言『◯◯の喫茶店――じゃなくてカフェに居るから私に召喚されろ』と連絡されて今居た。
そう……。
「成瀬ちゃ――じゃ無くて、暫く振りだね成瀬さん。
元気でやってる……ってテンションでも無い感じだね、うん」
「あ……うぅ……」
中学時代、俺がカツアゲ君と呼ばれる原因となった――と言ったら語弊だが、兎に角切っ掛けとなった元地味子にて現在はびっくりビフォーアフターを智子に先んじて果たした女の子、成瀬ちゃんもセットにだ。
「なぁ智子。
この妙にシャレオツでシーンとしてるサ店のせいか、只でさえアレな空気が十中八九俺のせいで更にアレになってんぞ? 一体何故に俺を呼び出したんだよ?」
別に智子に呼び出されるのは良い。
基本的にコイツが困ったら出来る限り助けられたら良いなとか思ってるから。
しかしながら今回の場合は智子が困ってるって訳でもない様にしか見えんし、俺と智子の反対側に座ってる成瀬ちゃんは俺のせいでまともに声すら出せずに俯いてしまってる。
「一切俺に視線を寄越さないのは何時もの事だけどさ……」
というかカミングアウトするけど、成瀬ちゃんなんて気安く言っちゃってたりするけど、実際問題俺ってそこまで彼女と親しくは無いし、次いでに言えば智子と成瀬ちゃんともう一人……えっと、何か眼鏡なのが居たんだけど、呼ぶんなら俺じゃなくてその子呼んであげろしとか思うんだけど、そこんところ智子どーなのよ?
「ニッヒ!」
「っ!? 極悪人笑い……だと……?」
然るに智子の返事は言葉じゃなく、何かどう見ても『私今最高に仕返しした気分だぜぇ』的な顔だった。
しかもよく見たら俺にじゃなく、もうさっきからずっっっと俯いたまま、若干冷めちゃってる珈琲すら全く手も付けずにフリーズしとる成瀬ちゃんに向けていた……。
まさかコイツ……俺を召喚した理由は単なる成瀬ちゃんへの逆恨みが原因なのか? だとするなら何時もながらに何て性格の悪いチビ子だ……。
「あ、あのさ」
「ふぇい!?」
「ひぇひぇひぇ……!」
この野郎、中学時代の折角な友人をテメーから切る真似なんて正気の沙汰じゃないぜ。
その手には乗らねー……ぶっちゃけこの成瀬ちゃんと――あ、あと……何かホラ、眼鏡の……ホラ! 成瀬ちゃん以上に絡む気配があんま無くて、何か確か智貴にどーたらこーたらな子だけは智子から離す訳にはいかんのだ。
じゃないとマジで智子がダメになっちまう……故に俺はこの危機を乗り越えてやる。
乗り越えて――もう一段階自分を進化させてやる。
「俺、キミの事をカツアゲするつもりなんてナッシング!!」
クハハハハハ!! 智子ォ! 今回ばかりは兵藤一誠的にマジになるぜバッキャロー!
「……………へ?」
何か急にキョトンとした顔してっけど、カツアゲなんてしねぇ! つーかそんなつもり最初からねぇ!!
事の始まりは、智子と優がテストも終わったという事で遊びに行き、取り敢えずノープランだったので何処に行こうかと相談し合う為にシーンとした喫茶店に入って一息付いてからだった。
「あ……また……」
「どうしたのゆうちゃん?」
「あ、うん……。
ちょっと高校のクラスメートからメールがね……」
「あ"?」
見事なまでに高校生デビューに成功し、実に可愛らしくなった優が鳴った自分の携帯画面を見ながら困った様な顔で、自分高校生になって友達一杯ですぜ……と、智子にしてみれば嫌味に聞こえる台詞に、まるでどっかの神速のインパルス悪童みたいな濁点付き声を発する。
(コイツ、私がこんな惨めになってるっていうのにリア充自慢か畜生が)
勿論これは単なる智子の被害妄想だ。
優は普通に良い子で、自慢なんてしたつもりだって欠片も無く、寧ろ今はメール相手に対して困っている位だったのだが、智子にしてみれば困るくらいにメールして貰えるなんてビッチは大変でごぜーやすねぇ? とばかりに只でさえ悪い目付きを更に悪くして隠れて優を睨んでたのだが……。
「どう返せば良いんだろう……」
「…? 誰からなの?(どうせ男からだろ? あーあ、ビッチに成り果てて嫌だ嫌だ)」
何やら本当に困った素振りの優に、智子は卑屈モードを若干引っ込めつつ眉を潜めて聞いてみる。
すると何を思ったのか、急にハッとした様に優がクリームソーダのアイスをストローでねちょねちょにかき混ぜてる智子へと携帯から視線を移すと、これまた何を思ったのかよりにもよって智子に聞いたのだ。
「付き合うつもりが無いのに、凄くしつこくメールしてくる人を上手くかわす方法って、もこっちわかる?」
「はい?」
アイスが混ざって色々と残念な事になってるクリームソーダをかき混ぜる手を思わずピタリと止めながら、優からの質問に目が丸くなる智子。
何を言ってるんだこのメスブタは? よりにもよってそんな事案を何故私に振ってきやがるんだこのメスブタは? と頭の中は瞬時に混乱しちゃうのだが、智子は思い出してしまった。
この前の再開時に色々と『話を自分で盛ってしまっていた』事を。
「あ、え……そ、それはー……うん、しつこいのはうざいよねー……?」
自分もそれなりに充実した高校生だと宣ってしまった事を此処で初めて後悔した智子が口に出来るのはこれが精一杯だった。
「(……ん、待てよ?)」
しかし待てよ? とテンパりの余り気持ち悪くなってきた所でふと思った。
しつこい相手…………そう、居るじゃないか自分には。
『おい智子~ PS4を懸賞で当てたからやろうぜ~』
『おい智子~ 漫画読ませれ~』
『おい智子~』
『おーい』
「………………」
「もこっち……?」
居るわしつこい奴。
しかもぶっちゃけある意味目の前のメスブタより慣れた事案。
茶髪で常に能天気で、何時だって自分にしつこくベタベタしてくる腐れ縁野郎が私には居たじゃないか!
これこそまさに智子の中で天啓として閃いたといっても良かった。
「あぁ、アレだよね。頼んでないのに勝手に席まで来てご飯一緒に食べようとしたり、邪魔だと言ってもヘラヘラ笑ってどっか行ってくれないし、挙げ句の果てには勝手に部屋に上がり込んだ挙げ句、着替え中だった所を覗かれたりとかさ~? アレ本当に参っちゃうよねぇ~?」
「え、それってちょっと違う様な……」
急にドヤ顔で饒舌に話出す智子に優は自分の今置かれた状況と全然違うと困惑する。
というか今もこっちの語る経験談って……と、ふとこの前偶然バッタリと魚屋で魚とにらめっこしてた、自分と智子が友人になるもっと前から常に居た彼の事なのではと優は思いつつも突っ込めなかった。
「何かお菓子食べたいって言ったら『おーい、本見てで作り方覚えて作ったから食えよ~?』なんて、食いたいって言っただけなのにマジになって作って無理矢理食わせてくるわ。
この前の体育の時に足首捻った時も、ストーカーみたいに即座に現れて、勝手に私の脚に触れて勝手に応急処置した挙げ句に、公衆の面前で抱き上げながら保健室連れてって襲おうとするわ……マジやばいよねー」
「…………………………………………………………………………………………」
そのしつこい男――というか一誠からして貰ってる智子のみに与えられた超特権の自慢にしか優にしてみれば聞こえず、思わず持ってた携帯を強く握りしめてしまう程のモヤモヤした気持ちに苛まれてしまったからだ。
そうとは知らず、智子は更に得意気になってペラペラペラペラと『襲うだ』や『覗かれた』だの以外はほぼノンフィクションな……智子にしてみれば良い迷惑だと思ってる一誠からの超過保護エピソードを語りまくっている。
「ふ、ふーん……そ、そうなんだー」
智子は友達だ。
これは誇張無しで虚構無しの本当の事だ。
だがしかし、その中で唯一優はその友達である智子に対して一種の妬みの感情を抱いている事がある。
それは高校に進学しても変わらず――というか、智子の為だけにわざわざ第一志望すら蹴っ飛ばして同じ高校に進学したという事実のせいで余計に抱いていた。
「ま、そういう時はビシッ! と言うべきだよゆうちゃん。じゃないと何時までも相手は付け上がるからね」
「そ、そう……だね……。
でも、相手は男の人だし、私……自信……無いなー……?」
久々に
笑ってはいるけど、半分は笑ってない優に……。
「む……それは確かに怖いかも。
私の場合、相手が雑魚だから余裕だけど、ゆうちゃんの場合、相手が逆上でしてきたら流石に危ないし……」
「そう……だね……」
すっかりご機嫌な智子は、久々に優に対する負の感情を払拭させ、如何にも私は経験豊富とばかりに振る舞い始めるのを優はそれでも笑って相槌を打った。
兵藤一誠――中学生の時に初めて見た、とにかく色々と凄い男の子。
体育の時間に見せられた特撮アニメ宜しくな身体能力は殆どの人達を敬遠させるものとなったのだけど、そんな中唯一それでも普通に接していたのが今目の前でケタケタと何でか笑ってる智子だった。
当時優は智子レベルに地味な子で、一誠の事はある意味有名でしかも地味に同じクラスが続いたので知っていた。
敬遠され、影の薄い智子に過保護なまでに世話を焼き、一年後に入学した智子の弟にも似た様に過保護で、敬遠されてからあの奇跡みたいなスゴさも見せなくなってすっかり只の過保護な男子になってしまった………というのが当初の優の認識だった。
「うーん逆上せずに諦めさせる方法か……。
事故に見せかけて処理――は、リスクが高いし……」
「ぶ、物騒だよもこっち……」
そう――あの時までは。
今でも信じられない経験だった。
あの日……ちょうど中学生活にも慣れてきたあの日、本屋についつい長居してしまい、真っ暗な道を近道して帰ろうとして道に迷い、廃墟と化した建物に間違って入ってしまったあの日に優は知ったのだ。
『きひ! 人間が一匹紛れ込んだ……げへへへ、久々の餌にありつけそうだなぁ!』
「ひっ!?」
人でも獣でもない……それはさながらアニメに出てくる様なキメラの様な生物が人の言葉を発し、恐怖で全く動けない自分を食らおうと迫り、まさにピンチだったその時だった。
『Boost!!』
「おいドライグ! あんまり強そうに見えねぇ――」
『グギヤァァァァァッ!!!?!!??』
「―――ぞ、ってオイ。小突いただけでバラバラになったんだけど? ちぇ、こんなんならそのまま帰って智子とゲームしてた方が……っと?」
自分と化け物の間に風のな速さで現れ、一撃で吹き飛ばした一人の影。
その影は誰かと話してるのか、独り言の様にぶつぶつ言いながらも化け物をあっという間に倒し、小さく震えていた優に気付いたのか、クルリと此方へと振り向き、顔を見せた。
「!?」
「げっ!? うちの学校の制服……!? ヤバイ、サラバダー!!!」
左腕に全体を覆う真っ赤な籠手。
聞いた事ある声。
そして茶髪と見知った中学男子の制服の少年……。
少年は優を――いや優の着ていた制服を見るなり脱兎の如く逃げ出し、どうやら誰なのかまでは知らない様子だったが、優は吹き飛ばされた天井から差し込む満月の光に照らせた彼の顔をよーく知っていた。
そう……同じクラスで小柄な同級生の女の子に対して過保護に接しまくってる半有名男子……兵藤一誠だった事を優は瞬時に見抜いた。
「………………。兵藤、くん……?」
化け物も居なくなった埃っぽい廃墟の中で、地味子な優はクラスメートの男の子の名前をただ呟いた。
正直色々とワケわからなすぎて理解も追い付けずにアレで、その後自分がどうやって帰ったのかも覚えてない。
覚えてないけど、自分はこうして無事で、どんな理由にせよ兵藤一誠に助けられた事だけは記憶に大きく刻み込まれたのが真実で……。
「せんせー! 給食グループって男女混合で良いっすか? え、オーケー? よっしゃ、んじゃ智子と…………あ、そこのキミ! 確か成瀬さんだったよな? 俺達と組もうぜ!」
「は、はひ! よろしくおねがいしましゅ!!」
偶然と、運と、その他が影響し、智子と友達になるのと同時に一誠とも単なるクラスメートからお話が出来る程度の関係にランクアップした。
「でさー智子がその時ーー」
「………………………」
『お、おい……兵藤が成瀬をカツアゲしてる……』
『先生に言った方が良いよね……?』
まぁただ……。
「うひょ!? ボインなJKは最高だぜ!!」
「声がデカいんだよこのバカ!」
「…………。(あぁいう感じの女子が兵藤くんの好み……でも、もこっちは例外……)」
一誠からしたら……。
「え、か、カツアゲ? 俺が成瀬さんを? い、いやいやいやいやしてないっすけど!? なぁ成瀬さん!」
「え、あ……ぅ……そ、その……う、うぅ……」
「兵藤……後で職員室に集合な?(ニッコリ)」
「んなアホな!? 冤罪だぁぁぁっ!!」
智子と友達になってくれたけど、自分の事は滅茶苦茶嫌ってると思ってて、カツアゲ冤罪事件から距離が離れてしまった訳だが……。
「あ、いっそ一誠に生け贄になって貰うか。
アイツなら刺されても5分もすれば治る……ゴホンゴホン、平気だし……」
「え!?」
故に優は頑張って頑張って頑張って頑張って頑張って! 智子枠ではなく一誠の好みの女子枠になろうと自分をガチガチに磨き、こうして最高クラスの高校デビューに成功した。
願うことなら一緒の高校に進学したかったが、原幕は残念な事に不合格となってしまい、別々の高校となってしまった。
偶然この前再会した時はエラく驚かれ、チラチラ胸を見てきた時はテンパって会話も碌に出来なかったけど、それでも嬉しさの余りスキップしながら帰り、まだ会いたいなと……地味に自作した一誠マスコット人形と二・三時間程エアトークした優は、いきなり智子が一誠を召喚すると言い出した事に固まってしまった。
「え、え!? よ、呼ぶの!? 兵藤くんを!?」
「え、うん」
「な、なななな! 何で!?」
「何でって、ゆうちゃんにしつこいって人を代わりに追い払って貰う為だけど?」
「ふぇ!?」
さも呼び慣れてるぜとばかりに電話で一言『召喚されろ』とだけ言って切った智子に、優はテンパってしまった。
「だってゆうちゃんの彼氏が追い払えないんでしょ? 今の今までしつこいってことは?」
「え?」
智子の命令なら100%聞く一誠を知ってるので、間違いなく来るだろうと思った優は、今すぐにでも化粧室で軽くお色直しをしたくて堪らなかったが、智子の一言にその考えは吹っ飛んだ。
「え……もこっち? 私別に誰とも付き合ってない……」
「………は?」
何をどう勘違いされたのか、智子に彼氏が居るんでしょと言われた優は即否定した。
すると今度は智子がキョトンとし始める番だった。
「ちょっと待ってよゆうちゃん、確かこの前言ってたじゃん?」
「い、いやいや言ってないよ!
それ多分、ただのクラスメートのこ――」
「おーい智子~ いきなり何だよ?」
「はひゃあ!?」
「ぬぉ!?」
勘違いを正そうとした優。
しかしタイミング悪く……電話して僅か一分以内という気色悪さ全開の速さで現れた毎日でも聞いていたい男の子の声に優の思考回路は吹っ飛び、静かな喫茶店内に奇声が響き渡る。
「た、たわ……! ひょへ……!? ひょ……!?」
「ゆ、ゆうちゃん?」
「お、おい……成瀬さんも一緒だったのかよ?」
幸運にも客が自分達しかおらず、グラサン掛けたダンディなマスターがビクッとしただけで済んだが、優はそれ処じゃなく、結局高校デビューを果たしても一誠の前では中学時代と変わらないのであった。
これが一誠が来た事の顛末である。
「ストーカーだって?」
「そうそう、ゆうちゃんに」
「…………は、はいでごさいます」
お、おもしれぇ。
やっぱりゆうちゃんって一誠が苦手なんだな。
ふははは、呼びつけて正解だぜ。
「何でもゆうちゃんの彼氏でも追い払えないストーカーに悩んでるんだって」
「へー……? あ、俺アイスロイヤルミルクティで」
ゆうちゃんがストーカーに憑きまとわれているという話に一誠はマイペースにも飲み物を注文し、私の隣に座ってゆうちゃんをジーッと視姦している。
時折チラチラとゆうちゃんの胸を見てるの事については取り敢えず今だけは面白いので黙っておく。
「はいでございます……! そして彼氏はいないでございます!」
「え、居ないの? おい智子、居ないって言ってるのはどういう事だ?」
「そういえばお前が来るタイミングで言ってたわ。ごめん、ゆうちゃん彼氏居ないんだってさ……」
「何じゃそら……でも彼氏居ないのも変というか、寧ろ居ない方が男の見る目が無いんじゃねというか」
見よこの萎れたビッチを。
全く以て静観だね。
つーか彼氏居ねーとか嘘だろ……何清楚ぶってんだか。
「彼氏は居ないけどストーカーが居ると。
まあ、出てきても可笑しくないからな、今の成瀬さん」
「まんまお前の事だからストーカー野郎の心理状態も見抜けるでしょ?」
「は? 何でストーカーの心理状態を理解してる体何だよ……」
「ほら自覚してない。
嫌だ嫌だ……これだからストーカーは変態で困る」
「んだコイツ……ひっぱたきてぇ」
「…………」
それにしても、やっぱり見てて確信した。
ゆうちゃんは一誠とフラグってたんじゃなくて、普通にこのクソ強引な性格を苦手としてるだけだ。
私だから寛大に一誠の奇行をある程度黙認してやってるが、他人からすればストーカーだからね。
「全然目も合わしてくれないのって、かなり心に来るぜ」
「脳みそと下半身が直結した言動ばっかりだからそうなる……ザマァ!」
「お前にだけはマジ言われたくねーよ!」
まったく……一誠って奴のせいで私はこの様だという事をそろそろ自覚して欲しいものだ。
「くっ……何かよく解らないけど、取り敢えずその成瀬さんに憑き纏う男を『二度とそんな気が起きない程度に』追っ払えば良いのか?」
「ひょ、ひょ……ひょーどーきゅんにごめいわくは……」
「良いってゆうちゃん。
コイツバカだけど、無駄に喧嘩強いし、刺されても死なないって」
何だしひょーどーきゅんって……ウケるんですけど。
「オメーが何で決めてんだよ……まぁ、良いけど。
で、そのストーカーってのと今連絡取れるの?」
「しょ、しょれ……しょひ! け、けーたいありましゅ……!」
「グフッ!」
思っていた以上に効果てきめんだねこれは。
どうしよ……今度からゆうちゃんのビッチ具合にイラついたらコイツ召喚してやろうかな。
一瞬で縮こまるだろうし……ゲェヒェヘヘヘ!!
「智子が笑ってた理由が解ったよ。
ったく、お前って奴は……吸収するんじゃ無かったのかよ?」
「ふん、そんなもん自力で身に付けてこそ意味があるんだよ」
「あ、そ……のぼせるのは構わねぇが、クリームソーダのアイスを口周りにベタベタくっつけながらほざく台詞じゃねーよ……おら、拭くから動くな」
「ぶっ!? ちょ、やめろし! 自分で出来るわこれくらい!」
「はいはい」
「……………………………………………………」
ただ、バカにまた余計な事をされてる時にゆうちゃんの顔つきが変わったのは何でだろうか?
終わり
補足
一誠は気付けなかったが、バッチリとゆうちゃんに人外とそれをぶちのめす自分を見られてしまってました。
そして、もこっちの為にが行きすぎて中学時代に何気に『三人』を引き合わせた影のアシストマン。
その2
ゆうちゃんはアレです……本人を前にすると半もこっち化してしまう、高校デビュー成功しても直せなかった致命的弱点が……。
その3
ちなみに一誠はゆうちゃんに『恐怖されてる』と思われてるので、若干距離を置いてます。
まあ、とはいえ、もこっちとのトークで出る時は気安く呼んでますけど――本人居ないし。