元の世界では一切モテなかったとイッセーは言っており、事実その通りではあるのだが……
今でこそイッセーは私に優しくしてくれるけど、出会った当初は私が生前妄想していたイッセーとは違ってかなり厳しかった。
基本的に女子供に対して優しいは優しいのだけど、『それはそれ』という考え方をしているせいか、修行や戦うといった行為に対する妥協が全くないのだ。
『断っておくけど、俺は人に戦い方を教えた試しはない。
だから教えるにしても手探りになる』
己の敵となるのならば、女子供だろうが確実に殺す。
それが私の知る兵藤一誠との違いのひとつ。
『幸い、この別世界とやらには見知らぬ生き物が多いようだからな。
まずはソイツ等を相手に『喧嘩のやり方』を教える』
ドルクネスの実家近くにあったあらゆる魔物達が住まうダンジョンから始まった修行は、イッセーと出会う前に私が計画していた修行方法と同じだったので、言われた通りに私はあらゆる魔物達を相手に敵を叩きのめす術を身体と脳に刻み込んだ。
『その闇魔法ってのは使い勝手が良さそうなのは見ていてわかったが、そればかりに頼るな。
バカな考えなのかもしれないけど、最後の最後に頼りになるのは魔法でも神器ではなく、自分自身の拳――そして『絶対にぶちのめす』って『精神』だ』
その間イッセーは、危うく私が食い殺されそうになったり、腕や足が千切れかかっていたとしても、決して助けはせずに黙って見ていた。
『ほら、さっさと全滅させないと喰い殺されてしまうぞ? 何せここまでその魔物達を誘き寄せる為に、可能な限り挑発しまくったからなぁ? 奴等は何がなんでもお前を喰い殺さなきゃ気が収まらないだろうよ』
恐らく当時のイッセーの『懐かない狂犬っぷり』を思えば、私がそれで死んでも何も思わず、その程度の人間だったのだとさっさと記憶から消していただろう。
だから私は手足が壊れようとも、顔の半分が消し飛ばされても、内臓をぶちまけようが必死になって戦い続けた。
『へぇ? ちゃんと生き残ってたじゃあないか。
少しだけ俺の中でキミの評価を上げる必要があるみたいだな?』
幸い、修行と共に成長していった闇魔法を応用することで、手足や内臓が消し飛ばされても時間こそかかりるが修復することが出来た。
『魔物数百体くらいが相手ならば無傷で倒せるようにまではなったか……。
ならばそろそろ次のトレーニングだな』
そんな修行を出会って三年の間休まずに行い続ける事でひとつの壁を乗り越える事が出来た私は、ここで漸くイッセーにある程度認められるようになったわけだが……。
『さて、俺もこんなナリになってしまったせいでパワーが落ちてしまった。
けれど、今のキミを相手にするにはちょうど良い――かかって来い、今日からキミのトレーニングは俺が直接相手になる』
ここからがまさに本当の地獄であった。
ある程度レベルが上がり、そこら辺の大人が束になって襲ってきても問題なく対処できる自負を持つことが出来た私が一撃でその自負を粉々にされた。
『昔、俺に喧嘩のやり方を教えてくれた人に言われた事があったし、そういう意味では最初の頃は俺も今のキミと同じだったよ。
俺と今のキミの違いは『喧嘩の経験の差』って奴だ』
何十、何百、何千、何万……。
途方もなき差を叩きつけられ続ける日々だった。
困ったことにイッセーは私に稽古をつけてくれる時や、ふらりと何処かへ―――今にして思えばヴァーリと会いに行って戻ってくる度にその強さを増していくせいで、全く差が埋められない。
『ぶっ!?』
『お? 俺のパンチを4発くらって鼻血だけとはな。
今の俺がそれだけ弱くなってしまったのか、それともお前が強くなっているからなのか……ふふふ』
(よ、4発……ですって!? 私にはイッセーの攻撃が全く見えなかった……!)
こうして何度も何度も叩きのめされ続けた私は、気付けばレベルが99になっていて、この世界の生物を相手に限れば簡単に負けないだけの領域に到達していた。
『え、ドラゴン波を教えて欲しい?』
『ドラゴン波だけじゃなく、イッセーの使う必殺技の全てが知りたいわ』
『うーん……教えても良いが、別にコツなんて無いぞ? 単に自分の持つエネルギーをそれっぽい必殺技の名前叫びながらぶっぱなしてるだけだし』
『やってみたけど、出来ないのよ……』
『あ、そう。
ならもう少し強くなってからだな』
けれど私は今のレベルで満足はしない。
私の目標は最早裏ボスを回避するだの、主人公に殺されないように立ち回るとかではないのだ。
「この痛みが、また私を強くする」
ユミエラ・ドルクネスではなく、ただの
「痛みはやがて怒りへと変わり、怒りは力へ変わる」
そしてイッセーの歩く道を共に歩む事こそが……。
「この怒りの強さが如何のものなのか―――
――――――――その身に刻み込めッ!!」
私の生きる意味そのもの。
つい先日、自分がクラスメートの男子(名前を記憶してないし、する気もない)と親しげに会話している―――と、イッセーからは見えたらしく、その事についてえらく気にされたと知ったユミエラの気分は実に良かった。
「~♪」
「その機嫌の良さは、イッセー元副長が理由でしょうか?」
「あ、わかる? いやーちょっとクラスメートの男子と喋ってただけなんだけど、イッセーが勘違いしてたみたいなのよー? ふふふ」
「……」
機嫌が良すぎて、イッセーと交代した使用人のリタは実になんとも言えない顔をするのだが、ユミエラはそんなリタのリアクションを一切気にせずにルンルン気分だった。
そのあまりのルンルン気分に、ユミエラを未だ怖がる数多の生徒達は余計怯えてしまうのだが、やはりユミエラはそんな有象無象達のリアクションも気にせず、ルンルン気分のまま朝食の席にて、同席していたアリシア――そしてアザゼルの件以降割りと仲良くなったエレノーラに惚気まくっていた。
「イッセーに独占欲を持たれちゃってまいったまいったわー……くふふふ♪」
「ああ、最近ユミエラちゃんに話し掛けてくれるアッシュバトンさんの件か……」
「嬉しさを最早隠そうとすらしませんわね……」
其々、イッセー、ヴァーリ、アザゼルという、訳アリな男共を知るという共通点が三人を繋げたともいえる。
「話を聞く度にちょっとユミエラちゃんが羨ましいなぁ。
私の場合、ヴァーリくんに抱き枕にされたくらいしか経験ないし……」
「それは贅沢と言いますよアリシアさん。
私なんて前に一度からからい目的で軽く耳を噛まれた程度しかされませんもの……」
ユミエラの惚気を聞かされるアリシアとエレノーラは、自分より進んでる事を羨みつつ、そろそろ自分達も本気を出すべきかと考えるのであった。
そんな、例えるなら二本の後ろ足で立ちながらハッピーな曲に合わせてぴょんぴょんと跳ねる子猫のような――――実に清々しくて歌でもひとつ歌いたくなるようなイイ気分なユミエラは、最近新しく変わった学園長からの頼みのひとつである実技授業の監督役もウキウキルンルンなテンションだった。
………表情は無のままなので他の生徒達には気付かれず、相変わらず気味悪がられしまっているのも何のそので。
「ユミエラ……ユミエラ?」
ユミエラの精神は本日も正常運転だった。
最近どういう訳か、クラスメートの一人が私に話し掛けてくる。
その男子の名前と顔はイマイチ記憶にないのだが、エレノーラさんの情報によるとこの男子は地方貴族の子息らしく、名前はパトリック・アッシュバトンらしい。
原作においても攻略キャラではない所謂モブの一人なので私の記憶には無いのは仕方ない事なのだが、何故かそのモブが頼んでいないのに私の名前を呼ぶのだ。
「? なんですか?」
当たり前だけど、私はこのパトリックだかなんだかに興味も関心もない。
だが、このパトリックとやらが私に絡む事でイッセーが明確に心配するようになったのだが、爪の先程度の感謝くらいはすべきだろう――ということで適当に返事をする。
「相手がいないなら俺と組まないか?」
「は?」
相手が居ないなら組まないか? ……ああ、そういえば今は演習の授業で今回は私も生徒として参加している事を忘れていた。
どうやら各々でペアを組んで軽い組手のような事をするらしいのだが――まあ当然私と組みたがる者は居るわけもない。
アリシアが居たらアリシアと組むのだけど、生憎この授業は『地方貴族』と『中央貴族』で別れての授業であり、アリシアは中央貴族の生徒に混ざって受けているのでこの場に居ないのだ。
それ故にボッチ状態となっていたところに、このパトリック某は私と組まないかと言ってきたのだ。
「? どうしたユミエラ?」
「……………」
はてさてどうしたものか。
私はこの男に対する関心はそこら辺に落ちてる石ころよりも無いということを前提としても、この男がなにを考えて私に絡もうとするのかがイマイチわからない以上――なにより他に組んでくれそうな人が居ない事を考えたらここは敢えて乗ってみるべきなのか。
しかしそれによってまたしてもイッセーに要らない心配をさせてしまうのは良くないのではないか等と考えていると……。
「ユミエラさーん、俺と組もうぜー?」
今この場で聞こえる訳が無い――私の大好き過ぎる良く通る声が耳を擽ったその瞬間、思わず私はその声のした方向へと振り向く。
するとそこに居たのは……。
「朝約束したじゃん、まさか忘れちゃったのかー? ショックだなー?」
「………………」
どこぞで調達でもしたらしい、学園の男子制服を着たイッセーが目の前に居るではないか。
「あ、え……?」
これには私も面を食らってしまった。
てっきり放課後までヴァーリやアザゼルと暇を潰して過ごしているのだと思ってたからだ。
『誰あの人……?』
『見たこと無いんだけど、あんな人クラスに居たかしら?』
当然クラスメート達は見たことがあるわけもない謎の男子に訝しげな視線を寄越す。
けれどイッセーはそんな視線を完全に無視し、同じように怪しむパトリックとやらからの視線もガン無視しながら変な声が出てしまった私の手を優しく取る。
「あっち方でやろうよ?」
「あ、は、はい……」
ニコニコと懐いた犬みたいな笑顔を浮かべながら、私を連れ出そうとするイッセーに対し、私は戸惑いながらも拒否する理由なんてものは皆無だったのも、流れに任せるように付いていこうとすると、案の定怪しんでいたパトリックがイッセーに声を掛ける。
「ちょっと待ってくれ。
キミは誰だ? キミのような者はクラスでも学年でも見たことがないぞ」
「………」
そりゃあそうだと言える質問に対してイッセーはパトリックに背を向けたまま答えようとはせず、引き続き私を連れ出そうとする。
「おい待て! ユミエラを何処へ連れていく!?」
「っ!!?」
そんなイッセーを怪しいと察したらしいパトリックが反対側の私の手を掴んで止めた。
イッセー以外の異性に触れられるつもりは全く無かった私は、突然の状況で完全に油断していたせいであっさりと手を握られてしまったせいで身体が硬直してしまう。
「お前は何者だ? 学園の制服を着ているが、この学園の生徒ではないだろう? 名を名乗れ」
掴んだまま離そうとしないパトリックをこのまま振り払ったりしたら、バラバラ死体現場になってしまうと躊躇ってしまう私が動けずに居ると、背を向けていたイッセーがゆっくりと振り向き―――――
「3秒だけくれてやるから、今すぐユミエラの手を掴んでるそのムカつく手を離しな」
ヴァーリと喧嘩をしている時とは違う、純度100%の狂暴な殺意を剥き出しにし始めた。
『ひっ!?』
『な、なんだ……!? か、身体が動かなっ……!?』
あまりに力の差がありすぎると、その圧だけで多数を黙らせられるというのは経験上承知している私は、イッセーの放った圧力当てられたクラスメート達が次々と膝を付くか白目を剥きながら意識を失う様を見つつ真正面からそれを受けた事で、死人のような顔色と共に、地面に縫い付けられたかのように這いつくばるパトリックが私の手を離した事にホッとしながら、持ってたハンカチで手を拭く。
「が……なっ……!?」
一瞬で『差』を叩きつけられたのもあり、完全に目の前のイッセーを『化け物』と認識したらしいパトリックが、這いつくばるような格好のまま、これでもかと見下した目をしているイッセーを見上げる。
「一度だけは警告してやる、だけど次同じ真似をしたら殺すぞ?」
「ひっ……!!?」
そんなパトリックに向かってイッセーは一言言うと同時に、這いつくばるパトリックの頭部スレスレの地面を踏み砕いてクレーターを作る。
「ぁ……ぅぐ……」
「さてと、じゃあ行こうかユミエラ?」
「う、うん……」
地面を簡単に踏み砕くパワーと放たれる尋常ではない殺意にすっかり心が折られたパトリックがひっくり返された蛙のように動けずにいるその姿をたっぷり見下し鼻で笑うと、私の手を握ったイッセーにより連れ出されてしまうのであった。
「悪かった。
思ってたより俺は気色悪い性格してたらしい……」
先日ユミエラから他の異性には興味が無いと言われたものの、やはり気になって仕方なかったイッセーは、背格好が似てるそこら辺の名も知らぬ男子生徒を背後から気絶させて制服を奪い取り、ユミエラのクラスの授業に混ざり、例の男子がまたユミエラに近寄ってるのを見たことで自分の中にあるスイッチが切り替わってしまった―――と、学園にある森まで連れ出したユミエラに話すイッセー
「いきなり学園の制服着たイッセーが現れて私も驚いちゃったわ。
まあ、理由はわかったけど……」
自分でも制御できないくらいにユミエラに対しておかしな感情を拗らせていると、俯き加減で吐露するイッセーに、割りと似た感情を拗らせいるユミエラは特に怒ることもせず、すんなりと受け入れる。
「まさかあそこまで気安くなってるとは思わなくてよ。
なんか普通に名前で呼んでるし……」
「別に呼んで欲しいなんて言ってないし、そもそも殆ど顔と名前も覚えてないわよ私は」
「どうも向こうはそう思っちゃいないみたいだったぞ。
だからつい……」
「理由はわかったし、正直一切怒る気も無いわ。
けどこの騒ぎのせいで学園長――そして王国側に知られてしまったかもしれないわね……」
要は自分への独占欲が爆発した結果なのだと思うだけユミエラの気分は寧ろハッピーになるので、そこに対して思うところはないものの、この騒動によりあの新しくなった胡散臭い学園長――そして彼を派遣させた国王にイッセーの存在が知られてしまうとなると、自動的にヴァーリとアザゼルの事もバレてしまうと懸念するユミエラ。
「三人の存在とその強さを知ったら間違いなく野放しにしようとはしないわ。
確実に素性を調べようとする」
「わかってた。わかってたけどよ……」
「ええ、我慢出来なかったのよね? 正直イッセーにそこまで思って貰えてるだけで私は幸せよ。
だけど心配なのは私じゃなくてイッセー達なの……」
一人一人がこの世界を力で黙らせられるだけの戦力であると知られたら、復活する魔王よりも危険な存在と判断されて排除に動くかもしれない。
「……まあ、そうなったらそうなったで、逆に力で黙らせてやるに過ぎないわ」
それを懸念していたユミエラだが、割りと切り替えの早いユミエラは、そうなったらなったで返り討ちにしてやるだけだと考える。
必要なのはイッセーと生きる事だけであり、その他に関しては全てがどうでも良いのだ。
「可能な限り闇魔法を使って目撃者達の記憶をシェイクするわ」
「……すまねぇ」
「構わないわ。
今までお世話になってきたのは私の方だもの」
今は取り敢えず今回の目撃者達の記憶を闇魔法を使ってシェイクする方向に決めたユミエラに最早道徳心は無い。
しつこいようだが、イッセーの傍に居るためなら平気で世界に喧嘩を売る程度には覚悟が極まってしまっているのだ。
「寧ろリスクを承知であんな行動をしてくれたことが私は嬉しいわ。
本当……大好きよイッセー。
宇宙で一番、この世に生きる全ての生物よりも好き」
「……。ああ、俺もだよ。
最近、おかしくなるくらいにな……」
こうしてユミエラは道徳心をそこら辺に投げ捨て、今回の騒動で残ったイッセーの痕跡を残らず消し去る為に動くのであった。
「という訳で、今日から本気でお義父様と呼ばせて頂きます」
「あ、おう……。
それにしてもイッセーがなぁ」
「変われば変わるものだな。
あの下手くそなナンパをしては殴られてたイッセーが……」
「………」
終わり
オマケ・浮上する影
イッセー本人は前の世界では女っ気0だったと語り、ユミエラもそれを信じていたのだが……。
「そういや思い出したんだが、お前『ミッテルト』とはどうするんだよ?」
「は?」
「オレもその名前を聞いて思い出したぞ。
確かに他の女達とは違ってミッテルトだけはお前に懐いてたな」
「え、な、なんですかその話!? ミッテルトとは確か見た目幼女の堕天使のことですよね!? どういうことイッセー!?」
「なんでこの話にミッテルトが出てくるんだよ? アレとは別に仲良くなんてなかっただろ。
あの見た目ロリ、初めて会った時からそうだが、顔合わす度に『今から馬になれッス!』だの、『ウチの足を舐めさせる名誉をくれてやるから感謝して舐めろッス!』だの、挙げ句『あーあ、今ウチは全裸なんだけど、このまま大声出したらイッセーが性犯罪になっちゃうかもしれないなー? でも今ならウチの口を塞いで犯しまくれば弱味を握れるかもしれないッスねー?』とか、趣味じゃねぇのにウザい事言ってきただけだろ?」
前の世界においてアザゼルや思い出したヴァーリから語られる意外な繋がりにユミエラは多大なショックを受けるが、イッセー本人は全く自覚がなかった。
「………。てなことがイッセーとあったらしいのだが、ユミエラはどう思う?」
「わ、私が先に済ませますからっ! ミッテルトには負けませんから!!」
「イッセーの奴は全然気付いてないが、思い返せばイッセーの好みとなる姿とは『正反対』の姿をした女には割りと懐れてたな……。
確かそう――サーゼクスの妹の所の戦車の猫娘とか……」
「イッセーの浮気者!!」
「なっ!? なんの事だ!? 俺は浮気してねーぞ!? そもそもサーゼクスの妹の戦車ってあの白髪のクソ生意気な猫ガキだろ!? あのガキ、俺が人間界でナンパしようとすると餌待ちの野良猫みてーに現れては邪魔ばっかしてきたんだぞ! 挙げ句の果てには『何故かアナタのことを先輩と呼びたくなるんで死ぬまで呼び続けますね?』だの『この世の女性全員に拒否されたら、仕方なく嫌々私が先輩に貰われてあげなくもありませんよ』って、鼻で笑いながらほざきやがるわ、『無茶苦茶嫌で嫌でしょうがないですけど、発情期が来てしまったので先輩で妥協してあげます』って、趣味じゃねぇもん見せつけてきやがるわ……」
「………。らしいぞ?」
「今の話に関してはオレ達も初耳だ」
「し、白髪の猫ガキって聞き覚えがあるわ……」
「いやだからそんなことは無いっての。
あのチビ共、俺が当時持ってた携帯に勝手にテメーらの連絡先登録させてきたと思ったら、嫌がらせか何かで、全裸の自撮り写メを大量に送りつけてくるんだぞ? 恨まれるような事はしてねーのに……あー、嫌なこと思い出しちまった……」
自覚が無さすぎたせいで、向こうから割りと過激な押しがあっても尚、やはり自覚していないらしく、ユミエラは心底ほっとするのだった。
終わり
補足
自覚がないのと、相手の言動にユミエラさんのようなストレートさがないのもあって本人はモテないと言っているのだが、実は元の世界において見た目ロリ気味との女の子とは変な形で旗は立ってた模様。
金髪ロリ堕天使だとか、白髪ロリ猫とか……。
まあ、今更もう遅いのですけど