色々なIF集   作:超人類DX

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……なんかなぁ


色々な意味での始まり

 

 

 

 どれくらいの時が流れたのか。

 

 裏切られ、見捨てられ、忘れられ、そして身動きもとれなくなってしまった私は暗闇に封じられ続けた。

 

 死にたいと思っても死ぬこともできない。

 

 希望なんてありはしない。

 

 時間の感覚すらも忘れてしまう程の時を生かされ続けた私は、きっと世界が滅びても尚このままなのだろうと思うと、悲しさよりも笑いが込み上げてしまう。

 

 いつの頃から私は諦める気持ちを持ちながらもどこかで願った。

 

 誰でも良い。

 この暗闇から解放して欲しい。

 

 無意味で無駄な事だと思っていても、私はただ自由が欲しかった。

 

 

 

 だから……。

 

 

 

「さてと、今の俺がどれだけ『勘』を取り戻しているか、ちょうど都合良く出てきたお前で試させて貰おうか?」

 

『Welsh Dragon combine!!』

 

 

 だから―――

 

 

 

「『オレは赤い龍とイッセー――おっと、ハジメの合体した存在

………名前はまだ決めてないがな!』」

 

 

 もう誰も来ないと思っていた私の前に現れた三人の人間は……。

 

 

「『どうしたデカブツ! オレのスピードにはついてこられないか!』」

 

 

 もう永遠に見ることなんて出来ないと諦めていた『光』そのもの……。

 

 

「『それなら―――くたばりやがれぇぇぇぇっ!!!』」

 

 

 だから私は……。

 

 

「あ、ありがとう……。

あの、今度は私の力をアナタに――」

 

「あ、そういうの大丈夫だから!」

 

「アナタはこれでもう自由よ。

それじゃあ」

 

「お、おいおい引っ張るなっての! ……えーと、それじゃあサイナラー」

 

 

 

 

 

「えぇ……?」

 

 

 

 私の封印を解いた後、あっさりと……特に私に興味もなさそうに去られた事に、凄まじく納得できないと思った。

 

 

 

 

 

 

 色々な冒険を経てハジメ、香織、雫は地上へと戻る手懸かりを漸く得た。

 

 それは、このオルクスの大迷宮の最下層に到達し、迷宮の名を冠するオスカー・オルクスの部屋を発見し、色々と『知ってしまった』事を含めた壮絶――でも途中からはなくなりつつある道のりだった。

 

 

「10倍・ドラゴン波ァ!!」

 

「蒼龍破!!」

 

決別の一撃(コルポ・ダッディオ)!!」

 

 

 

 

「………………」

 

 

 その影には常にハジメの上着を羽織った吸血鬼の少女が居たりはしたのだが……。

 

 

「おー……太陽が眩しい」

 

「やっと戻ってこれたのね私達……」

 

「はぁ……風が気持ちいい……」

 

 

 

 紆余曲折あって地上へと戻ったハジメ一行は、久々のシャバ的な空気を存分に味わうと、地上へと戻る直前に着替えた新たな衣装姿でこれからについて話し合う。

 

 

「んで、どうするよ? 何度も言うが俺は間違いなくクラスの皆とか教会側には死んだ扱いされてる筈だし、わざわざ生存を教えて戻るつもりも全く無い。

出来ることならこのまま適当にふらふらしながら生きていこうかと思うが……」

 

「愚問ね、当然私はアナタのそのふらふらした生活についていくつもりよ」

 

「というより私と雫ちゃんも間違いなく死んだと見なされているだろうしね」

 

 

 一応オスカーオルクスの隠し部屋にて、この世界の真実的な記録の一部を知りはしたものの、それを知った所で反逆する気も更々無く、なんなら半分ニート的な生活を送ろうかとすら考えている『駒王学園』のブレザーの男子制服姿のハジメに、同じく『駒王学園』の女子制服姿の雫と香織は当たり前だと言わんばかりについていくことを宣言すれば、最早ハジメも当初のように拒絶はせず、苦笑いをしながらも『はいよ』とうなずく。

 

 

「それならなるべく、ハイリヒ王国から離れるか……。

まさかってのもあるしね」

 

 

 こうして実はそこまで元の世界に戻る気も無いハジメ一行の宛の無い静寂の地を求める旅は緩やかに始まろうとするのだが……。

 

 

「で? こうして地上へと戻れた訳だがキミはどうするんだ――――――――ユエ?」

 

 

 

 その前に改めて確認をしなければならない相手がもう一人―――雫と香織と同じデザインの制服を着た吸血鬼の少女へと視線を移しながらハジメは問いかける。

 

 

「今こそ人生リセットのチャンスだと思うけど……」

 

「私も三人に――ううん、ハジメについていく」

 

「えー……? まあ良いか」

 

 

 そんなハジメの問いにユエ(本人が過去の名前は名乗りたくないと言ったので、三人で考えてつけた名前)もまた、わざわざハジメについていく言い直しながらも同行を願い出る。

 

 

「「………」」

 

「ハジメは二人とそんな関係じゃない以上、文句を言われる筋合いなんてない」

 

 

 そんなユエに香織と雫がなにか言いたげな顔をするも、ユエも負けじと二人を見返しながら静かに火花を散らせる。

 

 

「さてと、どこへ行こうかねぇ……?」

 

 

 

「ユエ、この際だから今ここでアナタの立場というものを分からせてあげるわ」

 

「今の私は魔力も体力も万全。

そう簡単に負けるつもりはない……」

 

「ふーん? そっかー…………………じゃあカッ消すよ!!」

 

 

『おい、小娘共がまた小競り合いを始めたぞ……』

 

 

 

 

 

「禁手化・双覇の聖魔剣+デュランダル!!」 

 

 

 

 

「限界突破・フェニックスモード……!!」

 

 

 

「ふ……ふふ……最終ラウンドだッッ!!」

 

 

 

 

「へ? ああ、何時ものだろ? やっぱ女の子同士だからか仲良いよな?」

 

『………………』

 

 

 

「聖覇剣・デュランダル奥義! 冥道残月破!!」

 

「フルパワー・決別の一撃(コルポ・ダッディオ)!!!」

 

停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)……!」

 

 

 

 ハジメ本人だけが全くもってその意図を知らずに。

 

 

 第一章・身勝手パーティ結成篇――終了

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハジメは一応仲間となっている者達には秘密にしているつもりの事がある。

 それは元の世界への帰還にはまったく興味がないという点であるのだが、それはあくまで南雲ハジメとして生まれ変わった世界への帰還のことだ。

 

 そう彼はオスカー・オルクスの手記を読んでこの世界の在り方の一端を知ったその時から密かに抱いた野望があった。

 

 イッセーとして生きた世界への到達。

 

 

 大切であった仲間達とイッセーとして生きたあの世界へ。

 守れずに目の前で失ってしまったあの世界へ。

 

 今度こそ間違えない為に。

 今度こそ失わない為に。

 

 

 可能性を知ってしまったからこそハジメはそんな野望を抱き、その為に腑抜けた己の力を鍛え直し――そして更なる進化を求め始めたのだ。

 

 その無限に求める精神こそが、彼の喪失した抜け穴の精神を埋める最後のピース。

 

 

「確かに俺はもうイッセーではない。

俺は南雲ハジメなのかもしれない。

だけど、それでも――あの時のケジメをつけなければ俺は前に進めない!」

 

 

 永遠の進化に必要な――燃えたぎる情熱を取り戻した時、南雲ハジメは新たなステージへと到達するのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「あらそうなの?」

 

「そうなんだ? うんわかった、私達もついていくね?」

 

「は?」

 

「別に隠さなくても、ハジメを通して私達に託してくれた昔のハジメの仲間達の記憶を見ればわかる」

 

「え?」

 

 

 もっとも彼女達は、ハジメの野望については普通に見抜いていただけく、反対もされないどころかついてくる気満々だったりするのだが。

 

 

「断っておくけど、私達は決してアナタをイッセーとは呼ばないわ。

私達にとってアナタは南雲ハジメなの」

 

「だからと言って私達はハジメ君にイッセー君としての記憶を忘れて欲しいなんて思わない。

悔しいけど、ハジメ君がイッセー君だった頃の仲間の人達がどれだけ大切な人なのかはわかっているつもりだから……」

 

「ハジメでもイッセーでもどっちでも良い。

だけど、どっちでもアナタは一人じゃない」

 

「…………」

 

 

 覚悟が既にキマりすぎているヒロイン達にハジメはきっと恐らく、初めて南雲ハジメとして心の底から笑った。

 

 

「ほんとに大バカだぜお前ら……。

けど、俺ってそういう大バカが大好きなんだよなぁ……くくく」

 

 

 彼女達の覚悟を知る事で漸く精神の炎を取り戻したハジメは、本当の意味での再スタートをきる。

 

 

「というより、あの夜の既成事実の件がある限り、絶対にアナタを逃がさないわよ?」

 

「ドライグとティオを見習って、早くハジメくんとの赤ちゃんが欲しいなー?」

 

「………………」

 

 

 キマり過ぎて逃げられないという方が正しいのかもしれないけど……。

 

 

「はじめにーたん」

 

「おう、ドライグとティオ――てかとーちゃんとかーちゃんはどこに居る?」

 

「かーしゃまが、とーしゃまに『いたいいたい』してもらうから、はじめにーたんのところに行けって」

 

「あー……そ、そうか。

それならなにして遊びたい?」

 

「うんとね、かーしゃまととーしゃまがやってるおあそびがしたいの」

 

「ドライグとティオが? なんだそれは?」

 

「おいしゃさんごっこ!」

 

「……えぇ?」

 

 

 相棒に至っては、火の玉どころかブルドーザーのような勢いで突撃してくる竜の娘に補食されているわけで……。

 

 

「俺の相棒が俺よりアブノーマルなプレイしてるなんて、ある意味の姪っ子に聞かされてどんな顔すりゃあ良いんだ……?」

 

「お医者さんごっこってどんなことをしてるのかな……?」

 

「あまり邪な感じはしないようだけど……」

 

「いや、多分だけどキミ等が思ってるような健全さはまるで無いと思うぞ」

 

「そういえばこの前ティオとお風呂に入った時、背中とか首筋に軽い噛み跡があったっけ?」

 

「本人は『ドライグから征服されいる感を感じて堪らない』って寧ろ喜んでたけど」

 

「………俺を見ながら言うなよ。

絶対にやんねーからな」

 

 

終了

 

 

「こほんこほん、ハジメ先生……ちょっと体調がおかしくて」

 

「具体的には胸が苦しくて……直接触りながら見て欲しいのですけど……」

 

「だからやらねーよ!? いちいち見せてくんなや!?」

 

 




補足

一応第一章終了


尚、続きは未定



その2
小娘竜をボコったと思ったらむっちゃ突撃されたドライグなのだった

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