【トリップ】それでも、私は生きている   作:月乃夜桜

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遅くなりました

今回はリタに会いに行く所〜です。


61戦目

・・・

 

リタにユーリの生存を知らせに来たエステル達。だが、その本人は、「分かった」と大声で叫びながら家に戻っていってしまった。あまりにも早すぎて、エステルの声も届いて居なかったようだ。

 

ユーリ達がリタの家に入ると、リタはブツブツと独り言を呟いている。声を掛けると、怒った。だが、ユーリの姿を見るなり、驚いて一瞬、言葉が詰まったようだった。しかし、声をかけられた時以上に怒り、ユーリにまくし立てる。

 

だが、ユーリも今回ばかりは心配を掛けたと思っているらしく、何も言わずに素直に謝った。それを聞いて、一旦落ち着いたリタは、エステルの力の抑制が出来るようになったかもしれない、と話す。

ただ、まだ実用には至っておらず、もう少し時間が掛かるとの事。その為、ユーリ達は先にカロルを迎えに行くことになった。

 

 

その道中で

 

「あいつ、無事ならちゃんと言いに来なさいよね!」

 

「見つかって、良かったです」

 

なんて、エステルやリタが話している。何となくで聞いていたアスカは、原作通りに事がすすんでよかった。そう思っていた。やはり、ヴェスペリアの世界は、一部を除いて原作通りで何も問題がないな、と思う。そんな事を思っていたら、リタから声をかけられた。

 

「そう言えばアスカ」

 

「ん」

 

「あんた、あの大事にしてたペンダントは?」

 

「あ、ユーリに預けたままだ」

 

「返してもらいなさいよ?大事なものなんでしょ?」

 

そう言われ、確かに返してもらってないなぁ、なんて改めて思った。ユーリが無事だった事が分かって、ホッとしていたので、忘れていた。まぁ、後ででいいかなんて思っていると、早速リタがユーリに文句を言っていた。それを見て、慌てて追いかける。

 

「ちょっと、ユーリ!アスカのペンダント、ちゃんと返しなさいよね!」

 

「あ、悪ぃ。お陰で助かった。コレが無きゃ、オレ瓦礫に埋まってたっぽいわ」

 

「!……そっか、託してよかった」

 

「てか、いつの間に付けたんだ?」

 

「ユーリが、1人で行こうとしたから鉄拳制裁したでしょ?それで転んだ時。ベルトに括っておいた」

 

それを聞いたユーリやエステル達は驚いていた。

まさか、そんな事をするなんて、と。誰一人として

ユーリにいつ預けたのか分からなかったのだ。まさかそんな時に付けているとは思っていなかったらしい。

 

そのペンダントが無くなったことに気付いたリタは、

アスカが月にかざしたりして、大事にしていたのを何度か目撃していた為、どこにアスカのペンダントがあるか把握していたからだった。大事にしている物だからこそ、どこに行ったのかも聞いてくれた。恐らく、無くしたと言えば探してくれるつもりだったのだろう。彼女は、そういう人だ。

 

「どうしてオレに?」

 

「単独行動する人だし、狙われてる時だってあるし、

そろそろ危ないかもって、思ったから。けど貴方は素直に受け取らなさそうだったから、ベルトに括っといた」

 

「だそうよ、ユーリ」

 

ジュディスが笑顔で言う。その言葉にユーリは返す言葉がない。実際、アスカのペンダントが無ければ、瓦礫に埋まっていただろうし、下手すれば死んでいたはずだ。ソディアに刺されていた傷も、止血などしていなかったし、その上落下の衝撃もあった。そう考えると、本当にアスカに助けて貰っているなぁ、と思いつつ、ペンダントを返すユーリだった。

 

・・・

 

ダングレストに着くと、すぐにドンの孫てであるハリーが走り去っていくのが見える。その後、レイヴンがユニオン本部で待っていて欲しいと言うので、ユーリ達はユニオン本部で待つことに。

 

ユニオン本部に入ると中の雰囲気は前来たときより、一変していた。どこか、ピリピリしているようだ。ドンの後釜に誰も着きたくないのだそう。確かに、あのドンの偉大さを知って、自分がと手を上げるのはやりたくないと思う方が多数だろう。

 

そして、皆が言っている間にレイヴンがハリーを連れて帰ってきた。が、そこからまた言い合いが始まる。だが、そんな中、カロルが声を上げる。

 

「仲間に助けてもらえばいい。仲間を守れば応えてくれる」

 

言い合いをしていた男たちは、カロルに近付くが、後ろにいる、ユーリ達を見て引き下がる。どうやら、カロルに手を出そうとしたらどうなるか、分かったらしい。

凄んでいる気もしないではないが。

 

「ボクはひとりじゃなんにもできないけど、仲間がいてくれる。仲間が支えてくれるからなんでもできる。今だってちゃんと支えてくれてる!なんでユニオンがそれじゃダメなのさ!?」

 

「少年の言う通り、ギルドってのは互いに助け合うのが身上だったのよなあ。無理に偉大な頭を置かなくてもやりようはあるんでないの?」

 

「これからはてめぇの足で歩けとドンは言った。歩き方くらいわかんだろ?それこそガキじゃねぇんだ」

 

ユーリらにそこまで言われても、まだ食い下がる彼らに、ユーリ達はもういいと言わんばかりに出ていく。確かにこのままここにいても、何も変わらないだろう。そうして、次の手を考えようとしている時だ。ハリーが、聖核(アパティア)を持って現れ、ユーリに投げ渡した。

理由を聞けば、ここにあるより、ユーリ達の方が有効活用出来ると思ったとの事で、しかもハリーの独断だった。ユーリ達は、受け取ってゾフェル氷刃海へ向かうのだった。




とりあえずここまで!

次回はゾフェル氷刃海〜になります。

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