案外早かった気もするなぁ、なんて思いつつ。
今回はユーリ視点〜です。
60戦目
・・・
不意に、意識が浮上する。目を開けてみれば、見慣れた天井。身体を起こしてみれば、刺された腹は痛むものの、何とかなりそうだった。
そこで、部屋に入ってきた者がいた。デュークだ。どうして。もしかして。
「お前が助けてくれたのか?」
「この剣を海に無くすのは惜しかったのでな」
ユーリの問いに、答えになっていないような返答。だが、
「なぁ、ザウデ不落宮は、満月の子の命を使って動いていたのか?」
「
デュークの話によれぱ、その後、生き残った満月の子と
それから、デュークも、
そして、話を終えると。デュークは窓から下町を見ていたか、思い出したかのように、振り向いた。
「そうだ、コレはあの娘の物だろう」
「?」
デュークが投げ渡したのは、正八面体に似た、そう、ペンデュラム型とでもいうのか、お守りだと言っていたペンダントだった。
「あぁ、確かにこれはアスカのだ」
「この剣を回収する為にお前が落ちた場所に行けば、薄い青色の球体がお前を守っていた。そして、お前の場所を示すかのようにその石が光っていた。いくつか、周りに瓦礫があったが、球体が弾いたようだ」
「いつの間にオレに付けたんだ?まぁいいや。お陰で助かった。アスカには助けられてばっかりだな」
「あの娘は、世界に呼ばれたイレギュラー。それをわかって尚、世界を救おうと動く。何故だ?」
「さぁな。オレ達だってアイツの全部は知らねえ。ただ、アイツは元の世界を離れて、二度とその世界に戻れなくても良いと思う程の仕打ちを受けてきたって事と」
「……」
「後は、使命だって言って、この世界を救おうとしてるって事くらいか。オレ達と一緒にいるのが、世界を救うのに1番の近道だとか何とか言ってはいたけどな」
「そうか。そして、その能力……」
デュークは納得したらしく、そのままユーリの呼び掛けにも応じず、部屋を出ていった。追いかけようにも、ユーリもまだ傷が治りきってない為、無理をすれば痛む。
ひとまず、自分が倒れてからどうなっているのか。仲間たちはどうか。気になることは沢山ある。そのため、痛む体を押して、部屋を出ていくのだった。
すると、そこで聞き覚えのある声がする。エステルとラピードだった。エステルはユーリに抱き着いた。しばらくして、何とか落ち着いて、話をする。
どうやら仲間達はそれぞれ、やるべき事をしているようだった。それを聞いて安心するユーリ。エステルが傷を治したものの、休めと言われたので素直に休むことにしたユーリだった。
・・・
翌朝、広場に行くと、ハンクス達が居た。再会を喜んでいると、ルブランたちが来て、どうやらユーリだけが手配書を出されたようだ。
ただ、騎士団に戻ればそれもポイだ、と話をする。が、ユーリは少し考えもしたが、すぐに逃げ出した。坂を一気に駆け上がった事で息切れをしていたが。そこで上から声がする。見てみれば。
「ユーリー!!!」
「コラ、ちょっと、パティ!!」
ユーリの近くに降りてきたのは、パティとアスカだった。2人ともスッと降りてきた。そして、パティはユーリに抱き着いた。アスカは、ホッとした顔をして笑った。そこに、一筋の涙が頬を伝う。
それを見ていたのは、エステルだった。エステルは、そっとアスカを抱きしめた。そして、トントン、と背中を叩く。赤子をあやすかのように。
「アスカ姐、大丈夫かの?」
「よかっ、た……!生きてるって、
心底安心したアスカは、フッ、とその場に座り込んだ。力が抜けてしまったらしい。
「アスカ!?」
「だい、じょーぶ。安心したら、ちから、抜けちゃった」
もう、アスカは泣いていなかった。そこでジュディスが現れる。心配していたと言うが、どうもそんなようには見えない。ただ、ユーリは生きていると確信していたような、そんな態度だった。
そんなこんなで、わちゃわちゃしていたが、バウルに運んでもらい、リタが居る、アスピオに向かうのだった。
ということでした!
長らく傍点機能があると知らず……
次回はアスピオ〜になります。