【トリップ】それでも、私は生きている   作:月乃夜桜

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お久しぶりです!

もうすぐ今年度終わりますねぇ……新年度とかやだなー

今回は扉の先に進んだ所〜になります。


52戦目

・・・

 

さきに進んだ所で、アレクセイと謎の球体に閉じ込められたエステルを見つけるユーリ達。アレクセイはまだ何か企んでいるのか、聖核(アパティア)を手に持ち、ユーリ達を見ている。

 

「エステルを救えるのが、お前だけ?ふざけるな。そんなこと、絶対あらへんから!!」

 

「アスカ…!」

 

アレクセイは、こちらが何を言っても聞き入れない様子で、聖核(アパティア)を掲げる。すると、すぐ側にある台座だろう場所に横たわる始祖の隷長(エンテレケイア)が、反応を示す。同時に、エステルも反応する。どちらも苦しそうだ。そして、始祖の隷長(エンテレケイア)は、聖核(アパティア)になってしまう。そして、その聖核(アパティア)を、アレクセイは小ぶりだと、そう吐き捨てるように言った。

 

「貴様……」

 

「そうだ、せっかく来たのだ。諸君も洗礼を受けるがいい。姫が手ずから刺激したエアルのな」

 

アレクセイが聖核(アパティア)を掲げると、球体ごとエステルが移動し、赤い光を放つ。

その途端に、飛鳥はチカラを使った。だが、習得したばかりの力故に、上手いこと使えずに、自分以外にユーリ、フレンの2人しか、エアルを取り込むことは出来なかった。だが。そのおかげか、ユーリは宙の戒典(デインノモス)を使って周辺に漂う、濃いエアルを消す。

 

アレクセイは、ユーリが宙の戒典(デインノモス)を持っている事に驚くが、ユーリの話を聞いて不要だと言う。そして、エステルが聖核(アパティア)だと言い放つ。飛鳥はそれを聞いて、あぁ、と納得してしまった。自分がエステルの力の影響を受けるのも、エステルがエアルを自在に操るからだと。

そして、エステルは皆と一緒に居たいけれど、自身の力で傷付けてしまうから、どうしたら良いか分からないと告げる。皆は、そんな事ない、と言うようにエステルの名前を呼ぶ。

 

「四の五の言うな!来い!エステル!わかんねぇ事は皆で考えりゃいいんだ!」

 

ユーリの言葉を皮切りに、皆で駆け寄ろうとした途端。嫌な予感がした。飛鳥は皆の前に滑り込むようにして立って、チカラを使った。すると、バチン、と音がする。

 

「え……?」

 

「貴様……!」

 

「アスカ!?」

 

「う、くぅ……ほんっと、きっついんだから。でも、こうやって、消すことは、出来るよ」

 

飛鳥は心臓の痛みを感じながらも、そう答えた。アレクセイは、飛鳥の力の事を知らないが、それでも自分がする事には邪魔だと考えた。だからだろう。アレクセイはユーリ共々、消すために自分の部下を置いて先に行ってしまう。ただ、部下はというと。姿を現したのはシュヴァーンだった。驚く仲間達。だが、飛鳥は驚きすらしなかった。

 

知っていたから。知っていたから、驚かなかった。だけど、知っているだけで、シュヴァーンはとても強い。現実世界の動画で見ただけで、実際に戦った訳では無い。だが、それでも見ているだけでも相当な強さだということは分かっている。

 

「帝国騎士団隊長首席シュヴァーン・オルトレイン、……参る」

 

だから、飛鳥は銃を抜いた。そして、後方で支援に徹した。だが、シュヴァーンは、飛鳥を見逃してはくれなかった。今までの旅で飛鳥の技が、かなりユーリ達の危機を救っていた事を知っていたのだ。だからこそ、潰しにかかった。

 

「アスカ!!」

 

「いくらでも、攻撃すれば?」

 

「アスカ何言ってんだ!?」

 

「うちは、“知ってる”から。やりたいなら、やればいい」

 

「……厄介だな」

 

そう、飛鳥は自身がエアルを取り込んだ上でレイヴンに触ると、レイヴンに悪影響を及ぼす事を知っていた。レイヴンが、人魔戦争の後にされた事を知っていたからだ。だから、飛鳥は銃でシュヴァーンの剣を持つ手を狙った。剣は流石に飛ばせなかったが、一瞬よろめいた。その隙にユーリが奥義を決める。

 

だが流石、隊長を務めるだけあるといった所だろうか。中々決着がつかない。そんな中、ユーリがアスカを庇い、怪我を負った。その途端。飛鳥は自分の中の何かがプツン、と切れるのを感じた。そして一瞬の隙を突いて、飛鳥は奥義を発動させた。

 

「外さへんで、これは!――アルバストゥルレイ!」

 

銃を乱射し、飛び上がって散弾を撃ち、すぐにゼロ距離で銃を打つ。そして、すぐさま防護壁を貼って反撃を防いだ。倒せないと知っていたから。きっと、反撃されるだろうって、思ったから。

 

「!」

 

「っ、ぐ……!うちは、“知ってる”。だけど、貴方に、適うほど、強くなんて、あらへんから……!」

 

必死で、戦った。戦いなんて知らない。ただの、御伽噺。そんな世界からやってきたのだ。出来る事は、全力で。

 

「ただの小娘が必死だな」

 

「そりゃ、ね。うちは、知ってる。だって、全部知ってんだもん」

 

「知っている?何をごちゃごちゃと……!」

 

シュヴァーンは、飛鳥の言っている意味が分からなかった。そうだろう。知っているとは言っても、何を知っているのかは言っていないのだから。だが、どこか、ゾクリと寒気がした。どうして、と。なんで、と。だが、流石は隊長首席。すぐに切り替え、攻撃を仕掛けている。

 

2人が問答している間にフレンがユーリに、治癒術を使う。そして、その後戦って、何とか膝をつかせる。しかし、その後すぐにユーリに斬りかかり、斬り合う2人。そして、ユーリの一撃がシュヴァーンの心臓を切り裂いた、はずだった。

 

シュヴァーンの胸には魔道器(ブラスティア)が、輝いていた。それを見た皆は飛鳥を覗き、驚いていた。飛鳥は、シュヴァーンの胸にある魔道器(ブラスティア)が何なのか、知っていた。だから、呟いてしまった。

 

「……心臓魔道器(カディスブラスティア)。やっぱり、そうだよね」

 

「アスカ……?」

 

アスカの声を拾ったのはパティだ。だが、聞き取れなかったのか聞き返していた。その問いに、飛鳥は答えられなかった。そうして問答していると、神殿が揺れ出した。シュヴァーン曰く、アレクセイが生き埋めにするつもりでやったと、そう語る。

どんどん崩れていくのに、その場を動く気がなく、最初から生きてここを出る選択肢がないと、そう分かった途端だ。ユーリは怒鳴った。

 

「最後までしゃんと生きやがれ!」

 

「……ホント、容赦ねえあんちゃんだねえ」

 

「ふざけんな!置いてかないでよ……!」

 

「嬢ちゃん?」

 

「貴方とドンが居たから……!だから、立ち直れた!頑張ろうって、思えた……!まだ、恩を返せてない!!」

 

「どうして、そこまで俺を慕う?こんな死人に」

 

「バカ…!うちは、レイヴンが死ぬなんて許さないから!!シュヴァーンだ?帝国騎士団隊長だ?だから、何だって言うん!!何度でも言うよ!うちは、“貴方”に、ドンに、救ってもらったんだ……!」

 

そんな風に問答していると、神殿の天上が崩れる。カロルを庇って、シュヴァーンが瓦礫を受け止める。今のうちに行け、とそう言うシュヴァーンに従うユーリ達。

 

だが、飛鳥は最後まで動かなかった。カロルが行った後で、飛鳥はずっと持っていたお守りを、シュヴァーンのが動けないのを良いことに、腕に絡めてから、

 

「嬢ちゃん何を……!?」

 

「生きて、帰ってきてね」

 

そう言い残して、飛鳥もユーリ達の後を追い掛けていくのだった。

 

―知ってるから。貴方がちゃんと、戻って来てくれること。だから、待ってるね、レイヴン。

 

 




というわけでシュヴァーンと戦いました。

飛鳥ちゃんは、ドンとレイヴンには1番荒れてた頃の自分を受け止めて貰ったっていう恩があるし、何より全部知ってるから、慕うと思われ。

次回はバクティオン神殿から出た所〜になります。

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