【トリップ】それでも、私は生きている   作:月乃夜桜

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前の投稿から大分空いてしまいましたが、続きです!

今回はミョルゾ〜になります。

ではどうぞ!


50戦目

・・・

 

無事にミョルゾへとたどり着いたユーリ達。すると、複数のクリティア族が現れる。歓迎されていないのかと思ったが、そうではないようだ。話を聞く限り、外から人が来るという事が珍しいようだ。あれやこれやと質問をしてきて、答える間がない。ジュディスが長老に会いたいと言ったところでやっと開放された。

 

長老を探して、街を探索していると。大量の魔導器(ブラスティア)が捨てられていた。どれもこれも魔核(コア)がなく、コンテナのみらしい。ジュディスによると、ここの民は魔導器(ブラスティア)を捨てたのだそう。どうして、と問いかける声に答えたのは、ジュディスではなかった。

 

「それがワシらの選んだ生き方だからじゃよ」

 

「お久しぶりね、長老さま」

 

そう、問いかけに答えたのは自分たちが探していた長老本人であった。そうして、話をしてみると。どうやら、魔導器(ブラスティア)聖核(アパティア)を砕いたものらしい。聖核(アパティア)は力が強すぎたのだと。それでなくても、貴重な石。それ故に砕く事で数を増やしたのだとの事。

 

そこまで話を聞いて、ユーリは自分たちの目的を伝える。すると、長老はあっさりと許可を出し、日課の散歩の途中だから勝手に家に入って待ってろという。そういうことでユーリ達は長老の家に向かうことにした。

 

―今のところは、まだ何もない、か…このまま原作通りに進めばいいのに……

 

飛鳥は、ぼーっとしながら待つ。先の戦いでの疲れもあるのだろう。そうこうして、思い思いに過ごしていると長老が帰ってくる。一行に奥のまっさらの壁面に向かうよう伝える。そして、ジュディスにナギーグを使いながら伝える文を言えという。

 

ジュディスが実際にしてみると、まっさらだった壁面に絵が浮かび上がる。絵を見る限りあまり良さげには見えない。ジュディスがナギーグを使い、壁面に書かれた文を読み上げる。それを聴きながら、飛鳥はあぁ、と納得する。

 

―これが、星喰み…ラスボス。うちが、何とかしなきゃなんないヤツ。

 

飛鳥は、終始無言だった。ただただ、見ていただけである。特に自分に聞かれていなかったからと言うのが大きい。飛鳥が我に返ったのは、エステルが走り出してからだった。

 

―あぁ、そっか。壁面の通りだとエステルは、満月の子は世界のために死ねって言われて死なないとだもんね。そりゃ、いても立っても居られない…いや、この場に居たくない、よね…

 

長老に宿屋の場所を聞き、ひとまず体を休めるユーリ達。壁面の内容を話せば話すほど、満月の子は世界のために死んだ、あるいは殺されたという話が濃厚になってくる。そして、何より魔導器(ブラスティア)自体が全て、エアルを乱す原因になっていると、そう解釈出来る内容でもあった。しかし、今の人の生活に魔導器(ブラスティア)が欠かせないのも事実。

 

だが。リタのいう、リゾマータの公式というものに辿り着き、確立出来れば話は違ってくるらしい。エステルが生きていけるのも難しくないらしい。そこまで話をしたところでレイヴンが席を外す。難しい話ばかりでついていけないから、散歩に行くのだと。そしてそのすぐあと。大きな音がした。何事かと思って外に出てみると。

 

外に捨てられていた、転送用の魔導器(ブラスティア)が動いていた。そして、レイヴンとエステル、2人が居なくなる。そこで飛鳥はピンとくる。あぁ、そうだと。考え込む飛鳥に不意に声が掛かる。

 

「っと、アスカ!ずっと黙ってるけどどうしたのよ!2人が居なくなったってのに何も言わないなんて、あんたらしくないじゃない」

 

「――え、あ、ごめん」

 

「責めてるわけじゃないわよ。大丈夫かって聞いてるの」

 

「大丈夫だよ、うん。何でも、ないから…」

 

どこか、上の空の飛鳥。ただ、飛鳥は知っていたけれど、信じたくなかったのだ。レイヴンが裏切り、そしてエステルを攫った事。レイヴンがシュヴァーンであり、帝国に仕える騎士だと知っていた。知っていたけれど証拠がなかったから、言えなかった。

 

もっといえば、原作通りに事が進まないのが怖かった。自分が対処できる範囲でズレるなら何とかする。でも、仲間の関係が崩れたり、やるべき事が成されなかったりするのは困る。だから、飛鳥は何も知らぬ存ぜぬで通した。仲間に自分の事情を話した。だけど、先のことまで、終わりまである程度どうなるか知っているけれど、その事は伏せて話した。

 

「あんま無理すんなよ?」

 

「ん。ありがとう。大丈夫、まだ何とか出来るから」

 

そういった飛鳥は、どこか遠くに居て。怖くなって、カロルは飛鳥を呼んだ。無意識なのだろうが、見ている側は怖いものがある。

 

「飛鳥!どこにも、行かないよね?」

 

「―――!うん、大丈夫、行かないよ。だって行く場所がないもの」

 

そう言って笑った飛鳥に、カロルは一先ずは安心するのだった。

 

・・・

 

エアルの動きを感知してもらい、ユーリ達はコゴール砂漠にある街、ヨームゲンに来ていた。しかし、そこは廃墟でしかも何百年経っている、という痛み方だった。だが、そこでデュークがいるのを発見。そして、カドスの喉笛にいた、魔物も。追おうとしたところで、アレクセイが現れる。話からして裏で糸を引いていたのは、彼だったようだ。そして、フレンが現れる。なぜ謀反を、と。そう問いかけるが、謀反ではなく真の支配者の歩む道だ、と。そういい残し、去っていく。

 

その道をゴーシュとドロワットが阻み、一行は残される。バスティオン神殿にエステルはいるようで、場所もわかった。だが、ユーリはフレンと話があるようで皆と離れる。残された皆はひとまず待つことにした。その時に、リタは飛鳥に問い詰めた。

 

「アスカ。あんた、何を思い詰めてんのよ」

 

「……この先」

 

「?」

 

「この先、一緒に着いていける気がしない。皆が、強いから」

 

「何言ってんのよ。あんたのその防壁には沢山助けられた。戦えない訳じゃないでしょ!」

 

「だってうちは、ただの引きこもりだ!なにも、出来やしない!何にも、出来やしないんだよ…!」

 

不安が溢れて、抑えられなかった。未来を知っているという重圧が、飛鳥を推し潰そうとする。未来を知っているからどうなるかもわかる。なのに、不安で仕方がない。

 

「貴女は何を悩んでいるの?私達は仲間よ。力になれる事はなるわ」

 

「……不安で仕方ないの。うちが本当に世界を救う鍵になるのか。言われたことだけど、信じられなくて、何をしたらいいか分からなくて」

 

「大丈夫よ。貴女は強いわ。だって貴女は立ち向かえるもの。何をしなくては行けないかは一緒に探せば良いでしょう?」

 

ジュディスに言われて、ひとまずはその不安は置いておくことにした。きっと、答えが出ないから。だから、きっとその時になればわかると。そうこうしているとユーリとフレンの話が終わり、フレンが一緒に来るという事で話はまとまったのだった。一行は改めてバクティオン神殿に向かうのだった。

 

 




ということで区切りをつけました。

次回はバクティオン神殿〜になります。

ついにあの場面か〜!内容どうしようかなー

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