今回はエゴソーの森~になります。
主人公ちゃんの秘奥義イベ、どうしましょうね……
候補は何個かあるのですが…
・・・
ミョルゾへ行くために、エゴソーの森に向かったユーリ達。だが、何をどうすれば良いのやら。ここから見える、
その騎士たちの格好を見て、レイヴンが親衛隊、帝国直属のエリート部隊だと教えてくれた。ユーリはやや挑発的に、この森に
だが、当然というべきか、ユーリの問いには答えず、さらには法令により一般人の立ち入りは制限されていると言ってきた。ここには来るな、すぐに立ち去れ、ということだろうか。その割には、武器はユーリ達に向けられていた。
ユーリがそれを指摘した途端、一斉に襲い掛かってきた。これには飛鳥も怒りを通り越して、呆れていた。
「やれやれ……まぁ見られたくないから、なんだろうけど殺そうとするって……」
とりあえず、応戦したところであの森に入ったところから見えていた巨大な
だが飛んできた弾は2つ。もう1発は飛鳥が当たる前に吸収したのだった。これには全員が驚いた。そして、エステルの力がここにきて感情と反応して無意識に発動するようになってきているのも、わかってしまった。
「え、アスカ!?」
「っ……ぐ、きっつ……っと、せぇ、の!!」
すぐさま3発目が放たれるも、飛鳥は防護壁で防ぐ。そこで、飛鳥は前よりもエネルギーの許容量が増えていることに気づく。前ならば、きっとあれは許容オーバーして、何かしらダメージを負っていたはずである。
ともかくあの
「確かに。リタなら安心やね。大丈夫、いざってなったらうちが防護壁張るし。何なら、あの弾吸収できるしね」
「吸収するのはいいけど、そんなことしてアンタの身体は大丈夫なわけ?」
「んー、まぁきつかったけど、別にできなくはないよ。大丈夫、後に備えて、許容量は上げとかなきゃだし、大丈夫大丈夫」
「それで倒れたりすんなよ?」
「さぁ?そこは知らん。まぁ、血反吐吐くかもだけど、大丈夫っしょ」
「なんで、またそんな無茶な」
「え?だって、そういうもんでしょ?何さ、努力もなしに、はいできました!ってなるの?ちがうでしょーよ」
そう言った飛鳥に、やはりどこか違和感を覚えるユーリやレイヴン。前はこんなだったか。何か嫌な予感がする。だが、どうにもできない。ともかく今は進むのだった。
そうして、なんとか進んでいくと、
そんな中、ジュディスが気配を感じたのか、上に槍を放つ。すると、
咄嗟に飛び出したユーリは巻き込まれ、吹っ飛ばされる。その直後、間髪入れず飛鳥も飛び出し、飛んできた弾を吸収する。
「っ―――!!」
何となく、口の中に血の味がする気がする。大丈夫、このくらいの無茶、どうってことない。そう言い聞かせ、もう一発飛んできた弾も、吸収するのだった。だが、流石に弾2発分を吸収するのは無理があったようだ。
口の端から、血が零れ落ちる。だがそれでも飛鳥は何とかその状態を保つ。許容上限を上げるために。
「アスカまで!!」
「いいのいいの。今後のために、必要な事だから。きっと、“あの時”、止めないといけなくなるから……」
「え?」
「大丈夫、今はまだ、“修正”、できてるから」
ポツリとつぶやいた飛鳥。エステルはその飛鳥に、何かとてつもない大きなものを背負っているのではないか、と感じる。だが、確信ではない以上、何も言わなかった。そして、進んでいく中、もう一発、放たれる。
全員が岩陰に隠れたことで、大丈夫だったが、今度はレイヴンが辛そうだった。その様子を見て、飛鳥は一か八か、やってみることにする。
「レイヴン、ちょっと失礼」
「え?お嬢ちゃん、何を――!?」
飛鳥は、レイヴンに近づき、そっと腕をつかむ。そして力を使う。すると、ふっとエネルギーが自分に流れ込んでくるのがわかる。これで、おそらくレイヴンは大丈夫なはずだ。自分もバレないように、力を使ったりしているため、何とか吸収、排出を繰り返している。
「アスカ?あんた何したの?」
「ん?レイヴンがエアルの影響受けているっぽかったから、周囲のエアル吸収したの。上手くいったみたい」
「最近、新技みたくバカスカその力使ってるけど、無茶はダメだからね?あんたすぐに無茶するんだから」
「んー、ちょっとその約束はできへんけど、頑張るね」
「もー!!あんたねぇ!」
「あいたっ!?」
リタからチョップをくらい、された場所を抑える飛鳥。だが、こんな風に心配されていることを思うと、自然とくすぐったい気持ちになり、無意識に微笑んでいた。まだ、その笑みは悲し気だったが、果たして、それを見たのは誰だったか。
・・・
もう1台の
だが、それはチャクラムのみでの話。だが、これで気づかれずユーリ達の武器にも付加が出来るのではないか?と思う。まぁそれも奥の手だ。普段から使うわけにはいかない。飛鳥は、ふと気づいてパティに声をかける。
「大丈夫、パティはちゃんとこの世界の住人なんやから」
「!」
「うちみたく、余所者じゃあない。だから、安心したらええ」
飛鳥はそう、小さな声で伝えると先に向かう。パティはその姿にどこか大人びている、と感じたのだった。
そして。もう1台の
「ねぇ、アスカ」
「ん?」
「アスカは、とっても強いよね」
「ん!?いきない、どないしたし」
「だって、僕はこれまで、ずっと逃げてきた。でも、アスカは違ったんでしょ?」
「あぁ、そういう。いや、逃げ道なんてなかった。だから、逃げられなかっただけや。あの頃は――
「逃げ道が、なかった?」
「そう。どこに行ったって、逃げ道なんてどこにも。ただ、唯一自分の部屋だけ。でも、その場所に長く居られるわけじゃあないから。だからだよ。逃げられないのなら、どうにかして、ダメージを減らそうって。生憎と、死ぬか、発狂するかのどっちかしかなかった。だから、それは嫌だったからね」
なんて、なんてことのないように語る。いや、懐かしむように語る。彼女にとって、その出来事はもう、過去の事なのだろうか?
「元の世界でうちは必要とされてなかった。存在自体がね。でも、ここでは必要だよ、って言ってくれる人がいた。だから、それでいいの。そりゃ苦しいのも、しんどいのも、辛いのも、嫌だ。でも、せっかく、唯一のこの世界に居てもいい、条件。それが果たせなかったら嫌だから。だから、多少は頑張ろうかなって」
「貴女にとって、ソレはもう過去の事、と割り切れているのかしら?」
「正直、まだ半分くらい。でも、
「あら、それでいいんじゃないから?貴女は、すごく大きなものを背負っているのでしょう?」
「アスカ、どうしたら強くなれるかの?」
「えー、それをうちに聞くか!うち、がむしゃらだったからよく覚えてへん。けど。
どうしたら、痛くないかな?
どうしたら、苦しくないかな?
どうしたら、辛くないかな?
どうしたら、楽になれるのかな?
どうしたら。ずっと、ずっと、どうしたらいいか、考えてた。だから、うちから、言えることは、これをしていたら、落ち着けるってこととか、一回凹んでもいい。転んだっていい。だだ、次、無理やりにでも、前向きに、ポジティブに考えること、かな?」
飛鳥は、話していてわかった。人に話すことで、割と楽になれるのだと。話を聞いた人たちには悪いとは思うが、ほんの少しでもいいから余裕が欲しかった。心に。きっと、もうこちらに来た時点で。キャパオーバーだったのはわかっていた。
だけど、それでもソレを知らぬふりをして、蓋をした。でも、それでも抑えきれなくなって。誤魔化し切れなくなって。だから、ほんの少し。全部を語るときっと余計なものまで話してしまうから。だから、ほんの少しだけを話した。
「やっぱりアスカは強いのじゃ」
「そうなっただけだよ。うちはただの怖がりで、泣き虫で、弱虫。出来損ない。だから、うちみたいに、ならんといて。それだけは、お願いやな」
少し、泣きそうになりながら言った飛鳥。でも、どこか少し、吹っ切れたような感じだった。そして、話をしていると、親衛隊が戻ってきたのだった。
・・・
そして、リタが術式にかけられた封印を解くまでなんとか持ちこたえる、と。リタも、なんとかする、という事で連戦に次ぐ連戦。
「アスカ、なんか吹っ切れたか?」
「んー?せやな、うちみたいな余所者を、本気で心配してくれてる人が、うちの話をバカにしないで聞いてくれる人が、そんなゲームや漫画の中でしかいないような人たちがいるって、やっとわかったからかな!」
飛鳥は、銃ではなく、チャクラムで応戦していた。今までなら銃だったのに。だが、その顔はユーリが言ったように、吹っ切れたような、憑き物が落ちたような、そんな顔で。なんとなく、しっくりくるような感覚だった。
もしかしたら、何も偽らない、本来の飛鳥の姿なのかもしれない。ユーリはそう思ったし、レイヴンは確信していた。飛鳥が、すべてを受け入れて、前に進もうとしていることを。
自分が“こう”だからかもしれない。だからこそ、わかったのかもしれない。彼女の変化。ほんの少しでも、ここに、この世界に居ても良い、と思えたのなら。自分を赦せたのかもしれない。
「やるじゃねえか、アスカ!でもお前、近接は苦手って言ってなかったか?」
「まぁね。銃のが絶対安定して後ろに居られるからね。でも、このままじゃ、ダメな気がしたから、近接の方も練習しとこうかなって」
「なるほどな」
そうして、どうにか連戦を潜り抜けたユーリ達。すると、鈴の音が聞こえ、空中に大きな術式が現れる。ジュディス曰く、その現れた術式がミョルゾへの入り口だという。という事で、ユーリ達はついにミョルゾへと向かうのだった。
やたら戦闘が長くてどうしようかとw
とりあえず、飛鳥さんに色々と話させて、スッキリさせましたw
次回はミョルゾ~になります。