中盤……まだ折り返し地点ではないのでしょうかね?
今回は船での話し合い~になります。
・・・
船で話し合いをした結果、隠されたクリティア族の街であり、
そしてアスピオについて、今日はひとまず休もうか、となった時だった。カロルが話があると言い出した。どうやら、ここでジュディスの事についてだった。
「ボク、ずっと考えてた。ギルドとしてどうするべきなんだろうって。で、思ったんだ。やっぱりギルドとしてやっていくためにも決めなきゃいけないって」
「どうするか決めたんだな」
「言ったよね。ギルドは掟を守ることが一番大事。掟を破ると厳しい処罰を受ける。例えそれが友達でも、兄弟でも。それがギルドの誇りだって」
「ええ」
「だから……みんなで罰を受けよう」
「え?」
「ボク、ジュディスが一人で世界のために頑張ってるなんて知らなかった。知らなかったからって手伝ってあげなかったのは事実でしょ?だからボクも罰を受けなきゃ。ユーリ」
「オレ?」
急に名前を呼ばれたユーリは心底驚いて声を上げた。まさか呼ばれるとは思っていなかったようだ。
「ユーリも自分の道だからって秘密にしていたことがあった。それって仲間のためにならないでしょ」
「ま、まぁな……」
「アスカ」
「ん」
「アスカも、たくさん秘密にしてたことがあったよね」
「まぁね。別にみんなが知っている必要ないかなって、思ったから話さなかった。変に気を使われるのも、嫌だから話さなかった」
「だよね」
「ものすごいこじつけ」
「……掟は大事だよ。でも正しいことをしてるのに掟に反してるからって罰を与えるべきなのか……ホント言うとまだわかんない……なら、みんなで罰を受けて全部やり直そうって思ったんだ。これじゃ、ダメ?」
「オレ、また秘密で何かするかもしれないぜ?」
「信頼してもらえなくてそうなっちゃうんならしょうがないよ。それはボクが悪いんだ」
「またギルドの必要としてる
「でもそれは世界のためだもん。それに掟を守るためにギルドがあるワケじゃないもん。許容範囲じゃないかな」
「また秘密抱えて、話さないかもよ?心配とか迷惑とかかけたくないからって」
「一人で抱えるよりみんなで考えたほうがいいって思ってもらえるように頑張るよ」
「それって掟の意味あるの?」
そう、リタが言った途端。レイヴンが声をあげて笑い出した。そんなギルドは聞いたことがない。でも、面白い、と。パティも型にとらわれることがなくていい、と言っていた。
「カロル。おまえすごいな。オレは自分はどうするかって考えてたが仲間としてどうしていくかって考えられてなかったかもしれない。オレには思いもつかないけじめのつけ方だ」
「ボ、ボクはただみんなと旅を続けたいだけなんだ。みんなの道を
「そっか。そうだな。ジュディ、そういうことらしいぜ」
「おかしな人たちね、あななたちホントに……。でも……そういうの、嫌いじゃないわ」
「じゃあ改めて
どうやら、無事に話しがまとまったようで何よりである。飛鳥も飛鳥で、原作と大きく変わったところがないとわかると、少し胸をなでおろした。
「なーんかご都合。ギルドってそんなもん?」
「ま、ドンのギルドとはひと味違うねぇ」
「でもなんか素敵です」
「
「パティも入る?」
「今はまだダメなのじゃ」
「そっか、パティは記憶を取り戻さなきゃなんないんだよね」
「で、罰はどうなるのよ?」
「あ!そっか。えっと……」
カロルが悩んでいると、リタが答えた。それを聞き、飛鳥は思う。後にこの罰が鉄拳制裁とかになるんだな、と。飛鳥は知らない。後々、自分も同じように制裁されることを。
「休まずに人探しってとこかな。あたしたちはウチで待ってる」
「ちょっと!勝手に決めないで……」
「何よ、文句ある?」
「はっはっはっ。ねぇよ」
「ええ」
「ん」
「了解~」
という事で、ギルドメンバーである、カロル、ユーリ、ジュディス、飛鳥の4人は人探しをすることとになった。そして、しばらく探し回っていると、1人のクリティア族を見つける。名をトートと言うらしい。そして、話し合いの末、ミョルゾへの生き方を教わった。
皆のところに戻り、エゴソーの森という場所に手がかりがあることを伝えた。だが、ひとまずはカロルが休みたいとこのことなので、一休みをしてから行くこととなった。すると、パティがその一休みをしている間、お宝の手がかりがないか、探してくるとの事。
・・・
休憩が終わり、パティの元へ行くと。どうやら目的の本は置いてなかったようだ。そのため、もう少しユーリ達と一緒に旅をしながらアイフリードの事を探すとのこと。すると、パティの話を聞いていたのか、一人の男性が声をかけてくる。
そして、罵詈雑言の嵐。だが、パティは一言も言葉を発しなかった。言い返したとしても、きっとまた何かいわれる。それが、わかっていたのだろう。飛鳥も、わかっていた。飛鳥も、同じような経験を此処にくるまでにしていたから。
だが、そこでエステルが反論する。しかし、男は何も思っていないようだ。そして、ユーリ達を新しく入った
「ボ、ボクらは
カロルはそういった。だが、男から何をするギルドだ、と聞かれ答えられないカロル。そこでユーリが助け舟を出す。それでもまだユーリ達に絡む男。飛鳥は、何か言おうと口を開く。だが、言う前にリタが言いたいことを言ってくれた。
そして、男はリタがいるとわかった瞬間、黙った。ユーリ達が立ち去ろうとすると、何か言いかけた。だが、ジュディスの笑顔でまだ何か、と問うたことで男は今度こそ去っていく。
しかし。カロルはさっきの男が今の事を言いふらすだろうと心配しているようだ。しかし、そんなのは気にしなくていいとユーリが言う。言いたいヤツには言わせておけばいい、とジュディスが言う。
「気にするだけ無駄や。ああいうのはこっちの反応を楽しんでるか、ただの憂さ晴らしか、たまたま絡む要素見つけて絡んできただけ、とかね。碌でもない理由で関わってくる奴らばっかだからね」
飛鳥がそういうと、何かを言おうとして、パティが口を開く。だが、飛鳥は言わせたくなかった。だから。
「うち……」
「ユーリ、ヒピオニア大陸のどこだっけ?」
と、ユーリに話を振った。
「赤い花が咲き誇る岸辺、だったか」
「あ、うん」
「じゃあ、行くか」
ユーリも、すぐさま話を繋いでくれた。落ち込むパティに飛鳥はこっそりと頭をなでた。その行為にびっくりしたのか、パティはハッと顔を上げた。そして、これもまた、皆には聞こえないように言った。
「パティ、うちはパティがいないと寂しい。もっと、パティと話をしたい。ダメ、かな?」
「!……ダメではないのじゃ!」
「ふふ、よかった。じゃあ、いこっか」
パティの目に、少しだが光が戻ったのを見て、飛鳥はこれくらいは、いいよね、と自分に言い聞かせるように、心の中で言った。
・・・
トートという青年に教えてもらった場所に到着したユーリ達。周辺を探索していると、ジュディスが、岩の中が空洞になっていることを見抜いた。すると、リタが魔術で入り口を作る。
すると、少し様子のおかしいパティ。だが、暗闇が怖かったと告げる。怖かったら待つか、とユーリが言うがパティは一緒に行くと告げ、一緒に行く。
中に入ってみると、とても広い洞窟になっていた。探索するうち、沢山の石並ぶ場所を見つける。真ん中には、誰かの名前が刻まれている。パティはそっと近づく。ここには石に刻んである通り、ブラックホープ号事件の被害者のお墓のようだ。すると、パティが突然、力を失ったようにその場に座り込んだ。
「パティ……!」
「でも……うち…………まさか、こんな……」
「パティ……」
「いくらなんでも、無理ないわ。この歳で、この現実を受け止めろって方が無茶だ」
「……」
沈黙が流れる中、ジュディスがカギを探すと言う。いまだ放心状態のパティを連れまわすわけにはいかないでしょう、とのこと。確かに一理ある。だが、魔物の気配がしない。
「なら、うちはパティと一緒にいるね」
「じゃあラピード、アスカと一緒にパティ頼んだぜ」
という事で飛鳥はパティと共に残ったのだった。そしてユーリ達が言った後。すぐくらいだろうか。あの黒い魔物が現れたのだ。
「はぁぁぁ……なんとなく、そんな予感してた。――“我が力は光に属するものなり。闇に対抗する力。我が力、宿れ”!!
飛鳥は、言い終えてからハッとする。今、自分は無意識に何か発動させた。わかっている。べリウスから言われてから、考えてはいたのだ。だが、ようしたらいいか、わからなかった。
「大丈夫、もう発動はできる!ラピード、攻撃、今なら通るから手伝ってもらってもいい?ちょいと、数多いわ」
「……ワフ」
飛鳥は、ラピードに声をかけつつ銃を構えた。すると、ラピードも戦闘態勢に入った。飛鳥は、息を吐くと、黒い魔物に向けて早打ちをする。一発も外すことなく、すべて的中させ、葬り去った。だが。真後ろに突然現れた敵には、反応できなかった。
攻撃を食らい、反対側に吹っ飛ばされ、背中を強打する飛鳥。息が出来ず、一瞬だが息も止まる。すぐに咳き込み、立ち上がろうとするも、力が入らなかった。
「ごめ……パティ、たの、ん、だ……げほっ……っぐ………!」
飛鳥の言葉を理解したのか、ラピードはパティを守るように前に出た。そして、飛鳥は立てないながらも銃を構え、敵の頭を狙い、倒すことに成功する。だが、追い打ちをかけるように、飛鳥の右に、またもや黒い魔物が現れる。
「!!うっそ、やろ……」
背中を強打した飛鳥はまだ立てない。もう一度吹っ飛ばされる。だが、無理やりにでも身体をおこす。すると、目の前に敵。さすがに防護壁を張ろうにも間に合わない。右肩を噛まれる。だが、チャンスだ。
そう思った飛鳥は、左の銃で魔物の顎を撃ち抜いた。すると、運良く魔物は消えてくれた。だが、もう動けない。
―あぁ、痛い。でも、“こんな程度”、別に転げまわるほどじゃあないな……首切られたとか、頭傷いったとかじゃないし……それに大丈夫やろ、ユーリ達が戻ってくれば。
飛鳥はぼんやりとしながら、遠くを見る。あぁ、ラピードがこっちに来る。いいのに。飛鳥は、立てるようになるまで回復すると、パティのもとまで歩いていく。変わらず、パティは座り込んだままだ。しかし、外相は見当たらない。
パティの横に座り、飛鳥はユーリ達の帰りを待つのだった。珍しく、心配そうにこちらを見る、ラピード。どうやら、素を出し始めた自分を少しは認めてくれたようだ。きっと、最初に攻撃的だったのは、絶対そうだ。
自分を、偽りすぎていたから。だから、あんなにも攻撃的だったのだ。自分をさらけ出さないヤツ。そんな怪しいヤツを自分が主人と認めた人の近くになんて。そう、思っていたのだろう。
―はは……こんな体たらくで、ホントに世界なんて、救えるんかなぁ……あの声の主は言ってた。うちだからって……
考える飛鳥。だが、そのうちに気を失い、倒れてしまった。
・・・
ユーリ達が扉を見つけ、パティ達の元へ戻ろうか。そんな時だ。どこかで、ドォンという音が聞こえた。何かが爆発でもしたのだろうか?いや、そんな爆発物はここには見当たらなかった。嫌な予感がして、パティ達の元へ戻る道を急ぐと。途中でラピードが走ってきた。
「!?ラピード?どうした!?」
「ワフ!」
ラピードはひと吠えすると、ついてこいと言わんばかりに来た道を戻っていく。
「何かあったわね、こりゃ」
「うん、急ごう!!」
そうして戻ってみると。変わらず座り込むパティと、倒れている飛鳥。パティは特に変わらないように見える。だが、飛鳥はボロボロだった。その上、右肩から血が出ている。
「「「!!」」」
「アスカ!!」
エステルが駆け寄るが、ぴたりと止まる。そうだ、飛鳥には自分の力は過剰すぎるのだ。飛鳥に余計なダメージを与えてしまう。すると、ユーリが飛鳥を助け起こし、声をかける。すると、飛鳥はうっすらを目を開ける。だが。
「ははっ……今度は、何するんや……っ、いってて……包丁で抉った、次は……なんや、足でも抉るか……?」
目に光はなく、どこを見ているのか。まだぼんやりとしているようだ。
「アスカ、しっかりしろ!」
「は?これ以上、どうしっかりしろって?ゆーてくれやな、わからんで?うちは屑なんやろ?」
「ちょっと、何言ってんのよ!!」
揺さぶっても、声をかけても飛鳥は、戻らない。一体、自分たちが離れている間に何があったというのだ。意識はハッキリしている。だが、どこかおかしい。会話が噛み合っていない気がする。
「あちゃー……」
その様子を見て、レイヴンが参ったように声を上げた。
「おっさん、なんか知ってんのか?」
「あぁ、その状態になっちゃったアスカちゃんは、しばらく戻らないわよ。どうも、何かのはずみで過去の記憶と今がごっちゃになってんの。ダングレストに居た時でも滅多にならなかったんだけど……」
「そんな!何とかならないんです!?」
「おい、アスカ!!………“飛鳥”!!!」
ユーリが飛鳥の名前を“呼んだ”。すると。
「?………ユーリ?あぁ、うん。でも、ううん、違う。そんなわけ、ない」
ユーリの事は認識した。だが。やはり、どこかぼんやりしていた。
「うぅ、痛い……でも、いつも通り。そうだ、大丈夫。まだ、大丈夫。動くから。大丈夫、だって、コレをされたならあとは、抉られるだけ……大丈夫、何度もされてる。いい加減、慣れろ……大丈夫、うちは、まだ、大丈夫。ははっ、だって、殺されてない。だって、生きてる。生きてるんだもん。いつまで続くのかなぁ?きっと、大人になっても、ここ、違う、“あそこ”にいる限り、かなぁ……」
「もういい、もういい!アスカ!!」
ブツブツと大丈夫だという飛鳥。だが、急に。
「いつに、なったら。助けがくるかなぁ…………ん、あれ?皆???」
何の前触れもなく、飛鳥は元に戻った。目に光が宿る。
「アスカか?」
「ん?あー、うん、そう。あっちゃ~……〝トリガー〟、引いてしもたわ。ごめんな、変な事言っとったやろ」
「アスカ?戻ったの?」
「うん、ごめんね。いやー、あの黒いヤツにガブッってされたからやな。あんの屑どもの記憶がな。もう、大丈夫やで」
のそのそと起き上がる飛鳥は、確かに自分たちの知っている飛鳥だ。痛い、といいつつ自分の治癒術で傷を塞いでるあたり、本当に戻ったようだ。
「黒いヤツが襲ってきたの?」
「そーそ。急に現れるもんだから、困ったもんよ。あぁ、安心して。全部ヤッといたから」
そういった飛鳥はもう大丈夫のようだ。若干、違和感を覚えるところがあるが、きっと気のせいだ。そう、思ってミョルゾへの扉の鍵が見つかった事を話す。パティもどうにか大丈夫になったらしい。
という事で、船に戻る。すると、パティが話があるとのことだった。聞いてみると、ここらあたりで皆と、別れたい、とのことだった。だが、皆からの言葉を受け、考え直すことにしたパティ。
移動中、パティは黄昏ている飛鳥を見つけ、声をかけた。
「アスカ」
「ん?」
「……アスカは、記憶が戻って、何か感じたかの?」
「せやなぁ、うちはここでの記憶は全部嘘だかんなぁ……まぁでも、何か埋まったような気はしたな。思い出したことで、できることも増えたり、気持ちの整理がつかなかった事に整理が付けられたり。まぁ、より一層自分が情けない、足手まといって実感はしたかな」
「そんな事ないのじゃ!アスカは、そんな足手まといなんかじゃ!」
そんな風に言われ、飛鳥は戸惑いながらもパティを抱きしめた。きっと、パティはいろいろと不安定なのだろうから。記憶が戻って、混乱しているはずだ。だから。
「ア、アスカ……!?」
「ありがとね。あと、本気で辛くなったら、うちのとこにきたらいい。まだ、感情を表にだせるうちに、出しときな。うちみたいに、素直に出せなくなったら、辛いじゃすまへんで」
「アスカ?」
「大丈夫、サイファーは
「え?アスカは知っているのか!?アイフリードやサイファーの事!!?」
「ふふ、秘密。まだ、“その時”やあらへん。あおれまでお預け」
思わず、そういった飛鳥は得意の言葉で、遠ざける。大丈夫、まだ抱えてられるから。
―大丈夫。うちは、まだ、大丈夫。まだ、話さないよ
今回ちょっと飛鳥さんの〝トリガー〟を引かせちゃいました。
やっぱり夢主はボロボロにしたい。けど、ちゃんと救います。
秘奥義イベント、どうしようかなぁ……
次回はエゴソーの森~になります。