【トリップ】それでも、私は生きている   作:月乃夜桜

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いやぁ、もう気が付いたら30話ですよ、30話!

飛鳥の覚醒した場面描きたい……けどそんなかっこよく描けるはずもなく……w

カットインとかも描きたいし秘奥義発動うんぬんとかも……!!


あぁ、やりたいことばかり増えてく~!

今回はダングレストに戻ったとこ~になります。


30戦目

・・・

 

あれから、ダングレストに戻ったユーリは、まず最初に気絶したままの飛鳥を宿屋に、と思った。だが、飛鳥は目覚め、大丈夫だと告げる。ボロボロな様子は全く大丈夫に見えなかったが、本人曰く寝ていた(気絶していた)ため、大丈夫だと言い張って譲らない。そのため、仕方なくユーリは皆をつれ、ドンのいるユニオンを訪ねるのだった。

 

 

「よぉ、てめぇら、帰ってきたか」

 

 

ユニオンに入ってすぐドンの声がかかる。しかし、先客がいた。フレンである。どうにも、込み入った話をしているらしい。だが、ドンは約束通りユーリの話を聞く。だが、話を聞いたフレンも

 

「そっちも、バルボス絡みか」

 

とこぼしたことで、フレンの話していたこともバルボスについてだったようだ。そして話が進み、帝国とギルドが手を組み、事態を収束させるために動くことが決まった。しかし、フレンが預かったヨーデルからの密書は内容が違っており、

 

『ドン・ホワイトホースの首を差し出せば、、バルボスの件に関し、ユニオンを不問とする』

 

と書いてあったのだ。そのため、フレンは連行された。そして、帝国との全面戦争が開始されることになってしまった。さすがにこうなっては、自分たちの用件について何も言えない。ひとまず広場まで戻ってくると、ユーリが財布をドンのところで落とした、と言って取りに行った。

 

―あぁ、フレンの様子見に行くんやな

 

ぼーっとしていた飛鳥は、カロルに手を引かれ、移動することとなったが、そのまま考え事を続けていた。

 

・・・

 

一方、嘘をつきフレンの様子を見に言ったユーリはというと。フレンはユーリに背を向けている。だが、軽口を言い合うところから、そこまで参っているようではなかった。参っていない、と言えば嘘になるだろうが。

 

「あれは赤眼どもの仕業だ。ユーリと別れた後でまた襲われたんだ」

 

「らしくねえ、ミスしてんな。部下が原因か?」

 

「それも含めて僕のミスだ」

 

「そうかい。けど、赤眼どもってことは裏にいんのはラゴウだな」

 

「ん?どうしてそれを?」

 

「港の街でな、ラゴウが赤眼どもと一緒だった暗殺者に命令出すの見てんだよ」

 

そんな調子で話し合う2人。どうにも敵の目的はギルドと帝国の武力衝突らしかった。

 

「そこまでわかってんなら、さっさと本物の書状を奪い返してこいよ」

 

そういってユーリは武器で牢屋のカギをこじ開けた。

 

「その忌まわしいカギをユーリがあけてくれるのをずっと待っていたんだ」

 

「………」

 

「君はそこにいてくれ」

 

「オレ、身代わりかよ。おまえ、オレを見捨てる気まんまんだろ」

 

「そうだな、もし戻ってこなかったその時は……僕の代わりに死んでくれ」

 

「ああ……」

 

・・・

 

しばらくして、ユーリのいる牢屋へ、ドンが入ってきた。

 

「友の代わりに牢に入る、か。そいつはどんな酔狂だ、小僧」

 

「わざわざ見張りをなくした大間抜けなじじいに言われたくないね」

 

「ふんっ、騎士の坊主に秘密の頼みがあったんだよ」

 

「フレンに?」

 

「こんな茶番を仕掛ける連中だ。その辺で高みの見物としゃれ込んでるんだろうよ」

 

「茶番だってわかってんならギルドを煽んなよ」

 

「やる気見せねえと、黒幕が見物にこねえだろうが。それに、こうでもしなきゃ、血の気の多いうちの連中が黙っちゃいねえよ。まあ、そういうわけだ。騎士の坊主が戻らなけりゃあ、当然、てめえの命をもらう」

 

「わかってるよ」

 

ユーリの返事を聞いて、立ち去ろうとするドンに、ユーリは質問を投げかけた。

 

「なあ、あんたはなんでギルドを作ったんだ?」

 

「帝国の作ったルールじゃあ、俺の大事なもんが、守れねえって思ったからだ」

 

「帝国にいた方が、守りやすいもんもあったろ。下町でさえ結界に守られていた。魔物は絶対に入ってこねえ」

 

「だから、その他の気に入らねえことをてめえは我慢してんのかよ」

 

「……それは」

 

「帝国の作ったルールが気に入らねえなら、選択肢はふたつだ。あの騎士の坊主のように、変えてやろうと意気込むか、もしくは帝国を飛び出して、てめぇのルールをてめぇで作り上げるか、だ」

 

「はっきりしてんのな」

 

「そうそう。うちの大事な人質を逃した責任は取れよ」

 

「身代わり以外に、まだなんかやれっての?」

 

「茶番を仕切ってる黒幕が街に紛れてるはずだ。あの騎士の坊主に探させるつもりだったんだがな」

 

「それ、オレに探せって?」

 

「責任の取り方はてめぇに任せる。連れの娘っ子だってケガ人相手に、駆けずり回ってんんだ。てめぇだけのんびりっていうのは性に合わねえだろう。あぁ、そうそう。アスカの奴は大丈夫か?」

 

「アスカ?あぁ、元気そうだぜ」

 

「錯乱とかしてねえか?」

 

「錯乱?んなことはしてねえよ。まぁ、記憶が戻った時に多少パニックにはなってたけどな」

 

「そうか……」

 

「あいつが錯乱って、よっぽどだな」

 

「ここに来た時、あいつは精神を病んでいないのが不思議なほど、参ってやがった」

 

「!?」

 

ユーリは驚く。あの飛鳥が錯乱していた?精神を病んでないのが不思議なほど、参っていた?そんなのは初耳だ。飛鳥は自分と会った時は大人しくて、無表情で、自分に自信がなかった。だが、錯乱するような精神的不安定さはなかった。落ち着いていた。

 

「特に夜はほぼ毎晩、魘されて飛び起きてたな。酷いと泣きじゃくって、錯乱して、ひたすら謝ったり、てめぇに大丈夫、まだやれる、と言い聞かせたり、そりゃあもう、酷い有様だったぜ」

 

「今とは全く違うな」

 

「あぁ、今のあいつは怖い程落ち着いてやがる」

 

「……なぁ。アスカの言ってた咎人(トガビト)ってなんなんだ?度々口にしてっけど、聞いても話してくれねえんだ」

 

「……それはな、最近見る、黒い魔物がいるだろ?」

 

「あぁ、あの全身真っ黒で赤眼のやつらか」

 

「そうだ。そいつらは、自分がここにいるせいでいるんだ、自分が引き連れてきたんだとかぬかしやがってな」

 

「!」

 

飛鳥なら言いかねない、と今なら思う。自分で咎人(トガビト)と言っているあたり、そうだろう。

 

「魔物の新種なんて珍しくもねえ。確かにアスカが来たとたんに見かけることが増えたが、そんなのはただの偶然だ」

 

「で、自分が引き連れてきた、と思ってるから咎人(トガビト)だって言ってんのか」

 

「そういうこった。だから、たまにでいい。様子がおかしい、ってなった時でもいい。ちゃんと名前で呼んでやれ」

 

「名前?」

 

「そうだ。あいつの、名前を“ちゃんと”呼んでやれ」

 

「ちゃんと?」

 

「………〝飛鳥〟だ。間違っても、アスカじゃねえ。引き戻してやれ。引っ張ってやれ」

 

「…………」

 

ドンのその言葉に何も言えないユーリ。少しばかり、言い方が違うだけだ。だが、その微かな違いが、飛鳥にとっては大事なのだろう。そう理解したユーリは

 

「あぁ、わかった」

 

と返した。それをきいたドンは今度こそ去っていった。




というわけで、ユーリとドンの会話でした!

次回は牢屋から出たところ~になります。

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