【トリップ】それでも、私は生きている   作:月乃夜桜

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さて、きましたよ!!

ドンに会いに行くということで、あの一騎打ちです。



29戦目

・・・

 

あの後、ケーブ・モック大森林からダングレストに戻るために移動していたユーリ達。すると、途中でドンに出会ったのだった。どうにも話し込んでいると、ドンはレイヴンを見つけ、声をかけた。知り合いらしい。ユーリが名乗り、話がある、と言ったところでドンは飛鳥のことを見つけたのだった。

 

「っと、おい。そこにいんのはアスカじゃねえか」

 

「!……あー、うん。久しぶり、って言ったらいいかな?」

 

「え、アスカってドンと知り合いだったの!?え、ってことはアスカは天を射る矢(アルトスク)の一員!?」

 

「んなわけないっしょ。うちみたいなんが居れるわけあらへん。訳ありで、ぶっ倒れてたとこ助けてもらって、しばらくの間面倒見てもらったんよ。まぁ、碌な恩返しせずに旅立って、気がつきゃ、記憶喪失、だなんて笑えねぇけどな」

 

「で、記憶は戻ったのか?」

 

「まーね。全部じゃないけど大体はね」

 

「そうか。元気そうでなによりだ。……居場所は見つかったみてえだな」

 

「はぁ――、揃いも揃ってそれかい。見つかった、かどうかはまだわかんねぇよ?だって、うちは咎人(トガビト)なんやから」

 

「!……てめえ、まだそんなこと言ってやがるのか。アレはてめえのせいでもなんでもねえだろうが」

 

「あぁ、何度でも言うよ。事実なんやから。アレは、うちのせいや」

 

アスカが珍しく、喧嘩腰なこと、口調が乱れてることに気づいたユーリは、2人とレイヴンが割と仲が良かったのでは、と推測した。そして、ドンには飛鳥が度々口にしてる、咎が何か、話しているようだ、とも。

 

「ったく頑固な小娘だ。で、若ぇの、ちょいと面貸せや」

 

レイヴン曰く、腕っ節が強そうなのを見つけると、試したくなるそうだ。そして、あぁ、と思い出したかのように

 

「あぁ、あとアスカ。てめぇもな」

 

と告げるドン。

 

「は……ちょお待ち!うちも!?えぇちょっと、勘弁したってよ!!?」

 

「――強くなったろ。〝飛鳥〟。見せてみろ、この老いぼれにな」

 

「――っ!!」

 

ドンにそういわれた飛鳥は、目を見開く。あぁ、なんで。どうしてソレを知ってるの。おかしい。確かに、名乗ったはずだ。アスカ・ツキシロ、と。決して月城飛鳥、とは名乗ってないはず。なのに、なんで、知ってるの?ねえ、過去に話したとでも、言うの?

 

飛鳥は、硬直しその場に座り込んだ。自然と胸元へと手を当てる。

 

―うち、は……全部、話して、しもたん?そこの記憶は、ないからわからん。けど、あぁ、そっか。ドンは。それでか。んでもって、この、疼き、は何……!?

 

「アスカ!?」

 

「だいじょうぶ。あたまいたい、とかじゃ、ない、から……」

 

どこ虚ろで、片言な飛鳥。だが、次の瞬間。覚醒した。

 

「アスカ?」

 

「大丈夫。ドン直々にご指名のようなんで、ちょっとボコられてくる」

 

その瞳には、光が見えた。それを見たのは、ドンしかいない。だが、悟った者がいる。レイヴンだ。

 

―あー……嬢ちゃん、覚醒したのね。やっぱあのドンの言葉は特別だわ。名前を呼んだだけなのに。まぁ、嬢ちゃんが背負ったモノ考えりゃ、覚醒でもしなきゃやってらんないわな。嬢ちゃんは、本当に一般人だってのに……あとなんでかおっさんの事知ってるしなぁ……ドンは嬢ちゃんのせいじゃないって言ってるけど、あの眼は……

 

・・・

 

 

ユーリとドンの一騎打ち(ユーリが一方的にボコられた)が終わり、次は飛鳥の番になった。あまり飛鳥は乗り気ではないようだが。

 

「マジでやんなきゃダメ?」

 

「てめえらの話聞かなくていいならやめてもいいぞ」

 

「それ卑怯!!絶対やんなきゃなんないやん!!」

 

ドンにそう言われ、ドンへかかっていく。その動きは下手をすればユーリよりも動けていると言っていいだろうものだった。それを見て、ユーリやカロル、エステルらは驚いた。あのユーリでさえ、防戦一方だったのだ。それなのに飛鳥は、ドンの攻撃を避け、攻撃をしていた。

 

「あいつ、オレよりやるんじゃねえの?」

 

「すごい……」

 

「まぁ、ドンにああやって扱かれてたからねえ、嬢ちゃん」

 

「そうなの!?」

 

「そうよ、毎回ボロボロにされちゃってまぁ、手当てすんの大変だったんだから」

 

戦いを見守るが、アスカは何度も吹っ飛ばされていた。しかし、それでも立ち上がる。その姿にドンは満足しているのか、嬉しそうに言った。

 

「アスカ!てめえやりゃあ出来るんじゃねえか!!」

 

「はぁ、はぁ……!!やんなきゃアンタに扱かれんでしょーが!!アレはもうヤダかんね!!?」

 

息が上がりつつも、攻撃をする飛鳥。すべて防がれているものの、今までずっと銃を使っている。チャクラムは使わないのだろうか。

 

「どうした!」

 

「~~~!!!うちは、銃のが得意だって、言ってんでしょー!!!」

 

そういいながら飛鳥がチャクラムにチェンジし、ドンへ接近戦を挑む。本来の飛鳥なら、こんなことはしないだろう。だが、ソレをさせるだけの何かが、ドンにはあるらしい。だが、接近戦は不慣れらしく、先ほどよりも随分と吹っ飛ばされていた。だが、ドンの剣を避けた時だ。同時に足を出していたらしい。

 

「っ!!」

 

「は、足癖の悪いヤツだな!」

 

「おかげ様でね!」

 

どうやら、回避しながら攻撃するという方法はドンから教わったらしい。そのあとも、しばらく打ち合いが続く。それを見てユーリは悟った。あぁ、自分の時で半分くらいかそれ以下の力しか出していないのだと。そして、今飛鳥の相手をしている時は、自分の時よりもさらに加減していることに気づく。だが、それも終わった。飛鳥が今までよりも盛大に吹っ飛ばされ、樹にぶつかったからだ。受け身を取れておらず、そのままぐったりとしていた。

 

「「「アスカ!!」」」

 

「おおっと、ちょいとやりすぎたか」

 

「やりすぎた、じゃないわよ、爺さん。あれ、気ぃ失ってんじゃないの?」

 

「かもな」

 

「かもって……」

 

ユーリとエステルが慌てて飛鳥に近づき、ユーリが飛鳥に触れようとした瞬間。

 

 

パァン!!

 

 

銃声が、鳴り響いた。だが、ソレはユーリには当たっておらず、後ろの黒い魔物にあたったようだ。黒い魔物が耳障りな声を上げ、消滅していく。

 

「……は!?」

 

「――っ、はぁ、はぁ、はぁ……もう、こちとら、体力、ないんやから、勘弁、してーな……」

 

それだけ言うと、地面に倒れこんだ。

 

「ひゅー、やるねえ。嬢ちゃん」

 

「アスカ!!」

 

「気ぃ失っただけだ」

 

「……わたしの治癒術、アスカには、ダメなんですよね……」

 

しゅん、と落ち込んだ様子のエステル。やはり、怪我をしている人がいて、それを治す術を持っているが故に、それが使えないとなると、優しい彼女は耐えられないらしい。ユーリは飛鳥を背負う。そして、ドンがダングレストに戻ったら話を聞く、と約束をしてくれたので、ひとまず戻ることになったのだった。

 

 

 

 

 

 




というわけで、飛鳥ちゃんにも一騎打ちをしてもらいましたw

まあユーリが勝てませんから、飛鳥のときはかなり手加減してもらいましたw

あと、ドンやレイヴンとの関係は、また本編で明かすので、もうしばらくお待ちを。

次回はダングレスト~になります。

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