今回はザギ戦~となります。
アスカの技、どうしようかなぁ…w
・・・
ザギ戦に突入したユーリ達。幸い、ザギはユーリが目的だったらしく、執拗にユーリを狙っているのみだった。そのため飛鳥が狙われることはほぼなく、銃でひたすらザギの足を狙い、機動力の低下を試みる。だが、そんな飛鳥にザギが迫る。
「さっきからちょこまかと逃げ回りながら、オレの足を狙いやがって!!」
「げっ…」
端に追い詰められた飛鳥は、銃を弾き飛ばされてしまう。だが、そこで飛鳥も負けじとチャクラムを出し、手に持ったままザギを殴り(斬りつけ)、しまいには蹴り上げたのだ。すると、そこにユーリが追撃。いつの間にか飛鳥と立ち位置が逆になっていたザギはそのまま海に落っこちたのだ。その後、驚異の速さで船の上に上がってきたが。
―はぁ、死ぬかと思った……つーかここに来てからかな!?咄嗟に足が出るようになったんだけど!!!いやまぁいいんだけどさ!!!でもこれ、割とビビるんだかんね~!!?
内心で再び発狂している飛鳥は、それでもチャクラムに持ち替えながら銃を拾う。所々で火の手が挙がっているため、早くしなければまずい。そうしてなんとかザギを撃退することに成功したユーリ達。
「ぐぅあああっ……!!痛ぇ」
「勝負あったな」
「……オ、オレが退いた……ふ、ふふふアハハハハっ!!貴様、強いな!強い、強い!覚えた覚えたぞユーリ、ユーリっ!!お前を殺すぞユーリ!!切り刻んでやる、幾重にも!動くな、じっとしてろよ……!アハハハハハ」
そこまで言ってザギは船の爆発に巻き込まれ海に落ちた。飛鳥はザギとはこのあと何度か戦うことを知っているため、絶対このくらいじゃ死なないという事はわかっているし、何よりも敵であるザギを心配することもしない。流石にそこまでお人よしではないのだ、自分も。
―ザギ戦が終わった後は……船が沈むんだっけ
飛鳥は、気づかれないようにカロルが開けようとしていた扉の前に行く。すると、何故か頑丈に閉まっていたため、銃を使って扉を壊したのだ。扉を開け、捕まっている人(まだ少年とも呼べるがエステルとそう変わらないだろう)の縄を下町を出る時にもらったナイフで切る。
「こんなところで気ぃ失ったら、死ぬで!もうちょっとやから頑張って!!」
「っ、あな、たは……」
「うちのことは後で不敬罪でもなんでも罰すればええ。せやから、今はちょっと頑張って。火事になっとるから煙あんま吸わんようにね。よっと」
「あ、ありがとう、ございます…」
「おいアスカ!?」
「捕まってた人や。おそらく、エステルと同じように偉い身分の方だと思う。ユーリ、うちじゃ運べない。任せていい?」
「あ、あぁ」
ユーリは、飛鳥から気絶している小柄な男性(少年?)を託される。しかし、そのすぐ後に船が沈む。水中で飛鳥は、見えた。ひっかかり、危ないユーリと、少年の姿を。飛鳥はすぐに銃でユーリ達をひっかけている木片を撃ち抜く。
そうしてなんとか水面に上がることに成功。リタやエステル、カロルも無事のようだ。飛鳥は、泳ぎが得意でなかったのだが、どうやらこちらに来てからはそうでもないらしい。
「……っぷは!あ~~しょっぱいっ!!ひっさびさだけど、ホントしょっぱいっ!!!」
「アスカ、お前、ほんとにアスカか?」
「!………そやで。今は、『月城飛鳥』じゃない。アスカ・ツキシロだ。ホントはね、もっと大人しくしとこうとか思ったけど、ダメだ。だから、普通にいくよ。クス、おかしいなぁ、ポーカーフェイスだって、特技の1つだったはずなのに……いつの間にひっぺがれたんだろうねぇ……」
「アスカ……?」
そういって悲しそうに、どこか申し訳なさそうに笑う飛鳥に、ユーリには、彼女が何を言っているのかがわからなかった。ハッキリわかるのは、飛鳥が、最初のようにどこか無理してるような話し方や、行動をしないということだけだ。どうしてそんな風に悲し気に、申し訳なさげに笑うのかまでは、わからない。
・・・
あの後、フレン率いる騎士団の船に助けられたユーリ達はひとまず港(おそらくトリム港だと思われる)でおろしてもらい、宿屋で詳しい話をすることになった。しかし、そこにいたのはラゴウだった。そして、ヨーデルという男性もだ。フレンたち騎士団もいる。そんな中でラゴウは会ったのは初めてだとか言い出す。
これには飛鳥もキレかけたが、飛鳥より前にユーリ達がキレたようで、特にリタが
「ウソ言うな!魔物のエサにされた人たちを、あたしはこの目で見たのよ!」
というのだが。
「さぁ、フレン殿、貴公はこのならず者と評議会の私とどちらを信じるのです?」
そこで何も言えないフレン。その態度を見たラゴウはそのまま部屋を出ていった。そのあと、ヨーデルが次期皇帝候補だということを伝えられる。だが、エステルとフレンにはヨーデルが捕まった理由はわかっているらしい。しかし、一般市民であるユーリには教えられず、黙ってしまう。
「ま、好きにすればいいさ。目の前で困ってる連中をほっとく帝国のごたごたに興味はねぇ」
そういって、そのまま行こうとするユーリにフレンが声をかける。
「ユーリ……そうやって帝国に背を向けて何か変わったか?人々が安定した生活を送るには帝国の定めた正しい法が必要だ」
「けど、その法が、今はラゴウを許してんだろ」
「だから、それを変えるために、僕たちは騎士になった。下から吠えているだけでは何も変えられないから。手柄を立て、信頼を勝ち取り、帝国を内部から是正する。そうだったろ、ユーリ」
「……だから出世のために、ガキが魔物のエサにされんのを黙って見てろってか?下町の連中が厳しい取り立てにあってんのを見過ごすのかよ!それができねぇからオレは騎士団をやめたんだ」
「知ってるよ。けど、やめて何か変わったか?」
「………」
「騎士団に入る前と何か変わったのか?」
フレンがそこまで言うと、ユーリは何も言わないままフレンたちに背を向け、その場から去ってしまった。
―だよねぇ……まぁ、うちは行くとこないし、ひとまずユーリについていくかな。
「少年、アスカ」
「ん」
「え……ボ、ボク……!?」
「ユーリに彼女を頼むと伝えておいてくれ」
「は、はい……!」
「りょーかい」
「あ、それとアスカ」
「ん?」
飛鳥は、フレンに呼び止められて立ち止まる。なんだ、この時点でフレンから何か言われるようなことはしていないはずだ。
「君は、本当に騎士団に、いたのかい?」
「あぁ、そのこと?そやね、全部の記憶が戻ったわけやないからなんもわかんないけど、でもうちは騎士団をやめてる。きっと、ほんの一時期だけだったんだよ、うちがいたのは。だから、2,3度、挨拶をした程度とかじゃないかな。やから、フレンが覚えてなくて当然。それにやめてよかったのかもね。うちは、やっぱりどこにいても……邪魔者でしか、ないみたいやし。うちは―――〝咎人〟やから」
「え?」
「アスカ、それはどういう意味です!?」
「そのうち、わかるよ。だから、忘れないで。うちが、〝咎人〟だってこと。後で絶対、その意味が分かるから」
飛鳥はそれだけを言い残し、そのまま走って追いかけていった。それを追うようにエステルも追いかけていく。残ったフレンはというと。
「アスカが、咎人――?」
飛鳥の背を見て、そう呟いた。
ということで、ザギ戦~ユーリとフレンの衝突まででした。
アスカが何故自分をそう称したのかは、ネタバレになるので書きませんが、おそらく頭の良い皆さんは、すぐにわかると思います(笑)
では次はユーリの単独行動~となります。